
「マイホームを買いたい!」
そう思ったら、まず何から始めればいいのでしょうか?
不動産の購入は、物件探しから契約・引き渡しまで、いくつものステップを踏んで進めていきます。
この記事では、初めての方でも安心して進められるよう、9つのステップで購入の流れを解説します。必要書類や費用、注意ポイントについても紹介しますので、これからマイホームを検討する方はぜひ参考にしてみてください。
目次
- 不動産購入の全体的な流れ
- STEP1.希望条件と予算を決める
- STEP2.情報収集する
- STEP3.不動産会社に問い合わせる
- STEP4.物件を内見する
- STEP5.購入の申込をする
- STEP6.住宅ローンの仮審査を受ける
- STEP7.不動産売買契約を締結する
- STEP8.住宅ローンの本審査に申込する
- STEP9.金銭消費貸借契約をする
- STEP10.決済・引き渡し
- 不動産を購入するときの注意ポイント
- 1. 将来のライフプランを考慮する
- 2. もしもに備えた資金計画を立てる
- 3. エリアのハザードマップを確認する
- 4. 物件の状態や性能を確認する
- 5. 契約解除の条件や違約金の有無を確認する
- 6. 不動産会社の言葉を鵜呑みにしない
- まとめ
不動産購入の全体的な流れ
不動産の購入は全体の流れを把握しておくことで、どのタイミングで何を準備すべきかが分かり、余裕を持った計画を立てることができます。
以下の表では、不動産購入の流れと各工程にかかる目安の期間をまとめました。
購入ステップ | 期間目安 |
①希望条件と予算を決める | 1週間~1ヵ月 |
②情報収集する | 2週間~数ヶ月 |
③不動産会社に問い合わせる | 1日~数日 |
④物件を内見する | 1週間~1ヵ月 |
⑤購入の申込をする | 1日~数日 |
⑥住宅ローンの仮審査を受ける | 3日~1週間 |
⑦不動産売買契約を締結する | 1日(2~3時間) |
⑧住宅ローンの本審査に申込する | 1~3週間 |
⑨金銭消費貸借契約をする | 1日(1~2時間) |
⑩決済・引き渡し | 1日(1~2時間) |
一般的に、不動産購入を決意してから引き渡しまでの期間は3ヶ月前後が目安です。また、売買契約の締結から引渡しまでの期間は1ヵ月程度が目安です。
ただし、物件探しやローン審査の進み具合次第では、半年以上かかることもあります。
それぞれのステップで何をするのか、スムーズに購入手続きを進めるためのポイントを詳しく解説していきます。
STEP1.希望条件と予算を決める
まず「どんな物件が欲しいのか」を明確にしましょう。
たとえば、以下のようなポイントを整理すると、理想の住まいがイメージしやすくなります。
- 立地(通勤・通学の利便性、学区、駅からの距離、周辺環境など)
- 間取り・広さ(家族構成に合った広さ、部屋数)
- 駐車場の有無
- 築年数(新築・中古)
- 設備・仕様(オール電化、省エネ住宅、食洗器付きキッチン、ペットの可否など)
希望条件が多すぎると、該当物件が見つかりにくくなるため、「絶対に譲れない条件」と「妥協できる条件」を整理することが重要です。
次に、「予算決め」です。
住宅ローンを利用する場合は、月々の返済額が無理なく支払える範囲かを確認しましょう。
金融機関の返済比率の上限 | 手取り収入の30~35% |
理想的な返済比率 | 手取り収入の20~25% |
金融機関の返済比率上限(30~35%)はあくまで「借入可能額」の目安であり、無理なく返済できるとは限りません。
実際は20~25%に抑えるのが理想で、借入が多すぎると家計を圧迫し、将来の負担につながるため注意が必要です。
STEP2.情報収集する
希望条件と予算が決まったら、物件に関するさまざまな情報を調べましょう。具体的にリサーチするのは以下の点です。
- 購入する物件
- 購入時にかかる諸経費、内訳
- 購入後にかかるランニングコスト
- 希望エリアの相場
- 最適な返済プラン
- 仲介依頼する不動産会社の評判
物件選びとあわせて、購入時にかかる初期費用・諸経費もしっかり把握しておきましょう。
主な初期費用・諸経費
- 手付金(物件価格の5~10%)
- 不動産会社への仲介手数料
- 登記費用(所有権移転・抵当権設定)
- 各種税金
- 火災・地震保険(住宅ローン利用時は必須)
- 住宅ローン保証料・事務手数料
- 契約にかかる印紙代
- 住民票などの取得代
- 引っ越し費用・家具家電の購入費
事前におおまかな総額を把握し、予算オーバーを防ぎましょう。
STEP3.不動産会社に問い合わせる
上記のステップを終えたら、実際に不動産会社に問い合わせます。
最近は、気になる物件がポータルサイトに掲載されている場合、サイトを通じて直接問い合わせをするケースが多いです。しかし、自分で調べて気になる不動産会社があれば、直接電話をして問い合わせてみることも一つの方法です。
問い合わせをする際には、以下のような点を確認するとスムーズにやり取りが進みます。
- 物件の空き状況(すでに申し込みが入っていないか)
- 内見の予約(希望の日程を伝えてスケジュールを調整)
- 掲載情報にない詳細(管理費・修繕積立金・周辺環境など)
- 購入の流れや必要な手続き
大手不動産会社は豊富な物件情報や手続きのスムーズさが強みです。一方、地域に根ざした不動産会社には、ネットに掲載されていない地元ならではの情報や独自の物件があることも多いです。どちらにもメリットがあるため、希望する条件やサポート体制に応じて、上手に活用すると良いでしょう。
また、担当者との相性もよくチェックしてください。相性が合わないと、意思疎通がうまくいかず、希望と異なる提案を受けたり、手続きの進行がスムーズにいかないこともあります。違和感を感じたら、遠慮せず担当者の変更を相談しましょう。
STEP4.物件を内見する
気になる物件を見つけたら、実際に現地へ内見に行きます。
内見は、写真や間取り図では分からない部分をチェックできる大切な機会です。特に、以下の点はしっかり見ておきましょう。
- 周辺の雰囲気
- 接道状況
- 隣地との境界
- 騒音
- 日当たり
- 風通し
- 景観や窓からの視線
- 収納スペース
- 使用感(中古の場合)
1件目の内見で即決するのではなく、できれば2~3件見比べることがおすすめです。実際にいくつかの物件を内見すると、物件を見る目(感覚)が養われ、理想の住まいを冷静に判断できるようになります。
中古物件の場合、売主がまだ住んでいることも多いため、内見のタイミングは売主の都合に合わせる必要があります。
居住中の物件内見での注意ポイント
- 内見は売主の指定した日時に行う(急な訪問はNG)
- クローゼットや収納の中など見られない場所もある
- 「この人なら売ってもいい」と思ってもらえるよう丁寧な対応を心がける
売主に良い印象を持たれると、価格交渉がスムーズになったり、他の購入希望者より優先される可能性もあります。
焦らずにしっかり見比べ、自分にとってベストな物件を見極めましょう。
STEP5.購入の申込をする
気に入った物件が見つかったら、「購入申込書(買付申込書)」を提出し、正式に購入の意思を示しましょう。この書類は、「この物件をこの金額で購入したい」という意思を売主に伝える証拠です。
合わせて、免許証などの本人確認書も提出します。
ただし、必ずしも早い者勝ちではなく、売主にとって安心できる買主である以下のような条件を満たす場合、優先されることがあります。
- 住宅ローン審査に通過している(事前審査済み)
- 現金一括払い
競争が激しい物件では、迅速な申し込みが求められます。事前に資金計画や住宅ローン審査を整えておくと、スピーディに対応できるでしょう。
STEP6.住宅ローンの仮審査を受ける
住宅ローンを利用する場合、「仮審査」を受けて融資可能額を確認します。これは購入申し込み前に行うこともあります。
持ち物
- 本人確認書
- 所得証明書類(会社員は直近1年分、自営業者は直近1~2年分)
- 健康保険証
- 仮審査の申込書
- 物件の概要が分かる書類(物件資料、登記簿謄本など)
金融機関にもよりますが、不動産会社を介した審査であれば、上記の書類を用意することで簡単に受けることができます。物件の概要が分かる書類は、不動産会社側が用意してくれるケースがほとんどです。
住宅ローンは、金融機関ごとに金利やサービスが異なるため、3社以上の審査を受けることがおすすめです。
特に比較したいポイント
- 金利
- 団体信用生命保険(団信)
- 繰上げ返済手数料
- 審査スピードや対応
最近はネット銀行の低金利が魅力ですが、特に初めて利用する方は以下の点に注意が必要です。
- 審査に時間がかかる
- 窓口がなく手続きが大変
- 仮審査が通っても、本審査で否決されることがある
どうしてもネット銀行を選びたい方は、審査期間を考慮し、契約スケジュールに影響が出ないよう不動産会社と連携しましょう。
STEP7.不動産売買契約を締結する
これらの段階を経て、いよいよ売買契約を結びます。
売買契約は、売主・買主が正式に合意し、不動産の売買が確定する重要な手続きです。
契約は不動産会社の事務所で行われることが多く、通常2時間程度かかります。
◆ 契約当日の主な流れ ◆
①売主・買主・不動産会社が集合 | 売主・買主・不動産会社の担当者が集まります。 |
②必要書類の確認 | 【持ち物】
【不動産会社から指示がある場合】
|
③重要事項説明書の説明・署名押印 | 契約の前に宅地建物取引士が買主・借主に対して、物件や契約内容の重要な事項を説明します。 |
④売買契約書の確認・署名押印 | 売買契約書の内容を売主・買主双方で確認します。 |
⑤付帯設備表・物件状況報告書の確認 | 物件や付帯設備の現況が記されています。 特に中古物件の場合、内容をよく確認しましょう。 |
⑥媒介契約の締結 | 不動産会社に仲介を依頼し、それに伴う報酬について定めた契約書を締結します。 |
⑦金銭の授受 | 売主へ手付金、不動産会社へ仲介手数料の半金を支払います。 |
⑧契約書の控えを受け取る | 売買契約書に署名・押印をして、契約書の控えを受け取ります。 |
⑨今後のスケジュールを確認 | 【確認事項の例】
|
STEP8.住宅ローンの本審査に申込する
売買契約が完了したら、仮審査で承認を得た金融機関の中から最も条件の良い1社を選び、住宅ローンの本審査(正式審査)を受けます。
仮審査は不動産会社を介して書類の記入などを行うケースが多いですが、本審査では実際に金融機関に足を運ぶケースがほとんどです。
持ち物
- 本人確認書
- 過去3年分の所得証明書類
- 物件・契約に関する書類(売買契約書、工事請負書、登記事項証明書など)
- その他の書類(申込者に応じた追加資料)
本審査は仮審査よりも厳しく、金融機関が買主の返済能力や物件の担保価値を詳細に審査します。仮審査に通っていても、勤務先や借入状況の変化によって否決される可能性もゼロではありません。
また、不動産売買契約には「ローン特約」があります。審査承認期限(ローン特約期日)までにローン審査が通らなければ、契約を白紙撤回できます。
本審査の結果は通常1~3週間で通知されますが、期日を過ぎて否決された場合は違約金が発生するため、スケジュール管理を徹底することが重要です。
STEP9.金銭消費貸借契約をする
住宅ローンの本審査に通過したら、金融機関と「金銭消費貸借契約(金消契約)」を結びます。この契約は、借入額・返済期間・金利などのローン条件を正式に決定する重要な手続きです。
持ち物
- 本人確認書
- 融資を受ける物件所在地の記載がある住民票
- 印鑑証明書
- 収入印紙
この際、契約内容の確認のため、売買契約書のコピーの再提出を求められることがあります。ただし、本審査の申込時にすでに提出していれば、改めて提出を求められない場合もあります。
また、契約後に勤務先の変更や他の借入増加があると、融資実行が取り消されるリスクがあるため、ローンが実行されるまで慎重に行動することが大切です。
金消契約が完了すれば、いよいよ決済・引き渡しの準備に進みます。
STEP10.決済・引き渡し
住宅ローンの本審査が通ったら、決済と物件の引き渡しを行います。ついに、不動産購入における最終ステップです。
決済は買主の借入先の金融機関で行われることが一般的で、買主・売主・不動産会社の担当者・司法書士が立ち会います。通常、平日の午前中に実施されるため、事前にスケジュール調整しておきましょう。
◆ 決済当日に行うこと ◆
①売主・不動産会社・司法書士と最終確認 | 【持ち物】
【金融機関から指示がある場合】
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②残代金の支払 |
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③必要書類の受け渡し | 【受け渡す書類例】
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④売主から鍵の受け取り | 売主の居住時の鍵を受け取ります。引き渡し後、鍵を交換する方が多いです。 |
⑤物件に関する最終確認 | ライフラインの切替が行われているか、郵便物がどうなっているかなどの最終確認をします。 |
⑥重要書類の保管について説明 | 契約書類や確認申請書類、登記識別情報(後述)などの保管方法について説明を受けます。 |
決済後、司法書士は所有権移転登記の申請をするために法務局へ行きます。後日、無事に所有権移転登記が完了したら、買主宛に「登記識別情報(権利証)」が郵送されます。
これは、不動産の正式な所有者であることを証明する重要な書類で、再発行ができないため慎重に保管しましょう。
鍵を受け取れば、いよいよ新生活のスタートとなります。
不動産を購入するときの注意ポイント
マイホームの購入は、一生に一度の大きな買い物だからこそ、「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないよう、慎重に判断することが大切です。
検討すべきポイントは多岐にわたりますが、その中でも特に重要な6つの注意ポイントがあります。
- 将来のライフプランを考慮する
- もしもに備えた資金計画を立てる
- エリアのハザードマップを確認する
- 物件の状態や性能を確認する
- 契約解除の条件や違約金の有無を確認する
- 不動産会社の言葉を鵜呑みにしない
後悔のないマイホーム選びのために、しっかり確認していきましょう。
1. 将来のライフプランを考慮する
マイホームは「今」だけでなく、「これから先の暮らし」にもフィットするかが重要です。子どもの成長や独立、親との同居、転勤の可能性など、ライフスタイルは変化していくもの。
数年後、「思っていたより手狭になった」「立地が合わなくなった」と後悔しないためにも、将来を見据えて間取りや立地を慎重に選びましょう。
また、住み替えや売却の可能性も考え、資産価値が落ちにくいエリアや物件を選ぶことも大切です。
2. もしもに備えた資金計画を立てる
住宅ローンは数十年にわたる長い付き合いになります。その間に、収入が減ったり、予期せぬ支出が発生したり、人生の状況が大きく変わることもあり得ます。
たとえば、病気やケガ、転職による収入減、さらには離婚といった想定外の出来事も。そうした「もしも」に備え、無理なく返済できる資金計画を立てることが大切です。
また、購入時には「一生この家に住む」と思っていても、環境の変化によって「手放したい」「引っ越したい」と思う日が来るかもしれません。そんな時に「気軽に住み替えできるかどうか」も重要な視点です。
ローンの残債と資産価値のバランスを考え、将来の選択肢を広げる準備をしておきましょう。
3. エリアのハザードマップを確認する
家を選ぶとき、通勤や買い物といった利便性ばかりに目が行きがちですが、「災害に強いかどうか」も見落としてはいけない重要なポイントです。
近年、地震や豪雨による被害が増えており、「まさか自分の家が…」と後悔するケースも少なくありません。
また、どんなに慎重に選んでも、自然災害を100%避けることはできません。だからこそ、火災保険や地震保険を手厚くかけておくことも重要な対策になります。「最低限の補償でいい」と思っていると、万が一のときに修繕費や住み替えの費用の負担が重くなる可能性があります。
安心して暮らせる家を手に入れるためにも、「災害リスク」と「備え」の両面から、しっかり対策を考えておきましょう。
4. 物件の状態や性能を確認する
家は見た目がきれいでも、見えない部分に問題が潜んでいることがあります。特に中古物件では、過去の修繕履歴やリフォームの有無を確認し、将来的な修繕費を把握することが重要です。
「シロアリ被害で柱がボロボロ」「雨漏りで修繕費がかさんだ」といったトラブルを避けるためにも、管理状況や修繕積立金の残高を確認し、不安があれば住宅診断(ホームインスペクション)を活用しましょう。
「想定外の修繕費がかかる…」と後悔しないために、購入前に物件の状態をしっかり見極めることが大切です。
5. 契約解除の条件や違約金の有無を確認する
どんなに慎重に計画しても、契約後に購入を見送らざるを得ないケースはあり得ます。
「ローンが通らなかった」
「急な転勤が決まった」
そんな時に「違約金が発生するなんて聞いてなかった…」と後悔しないよう、以下の点は事前に必ず確認しておきましょう。
- 住宅ローン特約の有無
- 手付金の返還条件
- 違約金の発生条件と金額
- 契約解除が可能な期限
- 契約解除の手続き方法
不明点があれば、不動産会社にしっかり確認し、安易に契約を進めないようにしましょう。
「知らなかった」では済まされない契約内容だからこそ、慎重にチェックし、安心して購入できる準備を整えてください。
6. 不動産会社の言葉を鵜呑みにしない
不動産会社の営業トークを100%信用してしまうと、思わぬ落とし穴にハマることがあります。
たとえば、駐車スペースの広さが気になり「大きめのファミリーカーは停められますか?」という問いに大丈夫と返されたので購入し、実際には余裕がなく車庫証明が取得できなかった、という例もあります。こうした細かいポイントこそ、自分でしっかり確認する姿勢が大切です。
不動産の知識が乏しい営業マンもいますし、人間なのでミスをすることもあります。
「言われたから安心」ではなく、「自分で確かめて納得できるか」を基準にすることが、不動産購入で後悔しないための重要なポイントです。
まとめ
この記事では、不動産購入の10ステップと注意点を解説しました。流れを把握し、ポイントを押さえることで、スムーズに進められます。
マイホーム購入は大きな決断だからこそ、計画的に進めることが成功のカギです。資金計画や契約内容をしっかり確認し、将来のライフプランや災害リスク、物件の状態を慎重に見極めることが必要です。不動産会社の言葉を鵜呑みにせず、自分でも相場や市場動向をリサーチしましょう。
マイホームは「買って終わり」ではなく、「住んでからが本番」。後悔のない選択をし、安心できる住まいを手に入れましょう。
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