不動産投資の「レバレッジ」とは?初心者でもわかる仕組み・リスクを解説

産投資を考える際、「レバレッジ」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。これは、投資効率を高めるための重要な概念です。

本記事では、「レバレッジ」の仕組みやメリット、そして注意すべきリスクについて、初心者にもわかりやすく解説します。また、実際の計算例や成功事例を交えながら、不動産投資で賢くレバレッジを活用するためのポイントをお伝えします。

この記事で分かること
  • 不動産投資におけるレバレッジの基本と仕組み
  • レバレッジを活用する投資メリット
  • 借入を行うことによるリスクと注意点
  • 逆レバレッジというリスクを回避するためのポイント
  • 経験者の成功事例から学ぶ活用方法
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レバレッジって何?初心者でもわかる仕組み

不動産投資の初心者にとって「レバレッジ」は難しい言葉のように思えるかもしれませんが、その基本は非常にシンプルです。大きな資産を少ない資金で動かすことができる仕組みのことです。これにより、元手の少ない投資家でも高額な不動産を所有し、資産形成を始められます。

「レバレッジ」の基本は「てこの原理」

レバレッジの基本概念は、物理の「てこの原理」に例えられます。てこは、小さな力で重い物を持ち上げることができます。

これと同様に、不動産投資では金融機関からの融資を活用することで、手持ち資金以上の資産を運用できるのです。この仕組みにより、投資効率が飛躍的に向上します。

レバレッジを活用した不動産投資の仕組み

不動産投資におけるレバレッジとは、自分の手元にある現金と借りたお金を組み合わせることで、より大きな資産を手に入れる方法を指します。

たとえば、3000万円の物件を購入する場合、1000万円を自己資金として用意し、残りは銀行から借りるというものです。全額を現金で購入するのは難しいケースが多いですが、借入をすることで、自己資金だけでは手に入らないような資産を持つことが可能になります。

不動産投資でレバレッジを使うとどうなるのか

では、自己資金500万円と融資による借入2,500万円で、合計3,000万円の物件を購入するケースを考えてみましょう。

前提条件

  • 購入物件価格:3,000万円
  • 自己資金:500万円
  • 借入金:2,500万円
  • 借入金の金利:3%(年間)
  • 家賃収入:月額20万円(年間240万円)
  • 運営費(管理費や税金など):年間60万円

自己資金3,000万円を用意するとなると、一般的な年収の方は一生をかけても準備できない可能性があります。しかし、金融機関から借入をすることで、物件価格の2~3割の自己資金を準備することにより、不動産投資をスタートできる可能性が高まります。

上記の場合、自己資金に対するリターンの割合は21%です。しかし、これが全額自己資金(現金)の場合、たったの6%に留まります。

このように、「少ない自己資金で大きなリターンを狙えること」がレバレッジを利かせる利点と言えます。


不動産投資でレバレッジを使うメリット3選

不動産投資ではレバレッジを活用することで、手元の資金を効率的に運用しながら、資産を増やす可能性を広げることができます。

本章では、レバレッジを使うことで得られる主なメリットを、投資初心者にも分かりやすいように3つ解説します。

1.少ないお金で大きな資産を持てる

不動産投資の魅力のひとつは、前述したように少額の自己資金で高額な資産を手に入れられる点です。ある程度の自己資金を用意し、金融機関から融資を受けることで、数千万円規模の不動産を購入することが可能になります。

金融機関から融資を受けるには、年収や勤務先、勤続年数、その他の借入といった信用情報が審査対象となりますが、これをクリアすれば購入資金の大部分をカバーできます。この方法なら、自己資金だけでは到底手が届かない大きな資産を持つことが可能です。

さらに、家賃収入を得ながら融資を返済していくことで、とても効率的に資産形成を実現できます。

2.早期に投資をスタートできる

自己資金だけで投資を始める場合、資金を貯めるのに時間がかかるため、投資のスタートが遅れることがあります。しかし、レバレッジを活用することで、少ない資金でも早い段階から投資を始めることが可能です。

また、早い段階で投資を始めることで、賃料収入を再投資に回しやすくなり、次の物件を購入するチャンスも広がります。不動産投資は、複数の物件を運用することで収益を安定させる戦略が取れるため、早く始めるほど資産を効率的に増やす可能性が高まります。

時間を味方につけることで、より大きな資産形成を目指せる点が、レバレッジを活用した投資の大きなメリットと言えるでしょう。

3.団体信用生命保険に加入できる

金融機関から融資を受ける際には、多くの場合、団体信用生命保険(団信)への加入が求められます。団信に加入していると、契約者の身に万が一のことが起きた際に残債が保険でカバーされ、不動産が無借金の状態で残されるため、遺された家族にとって大きな安心材料となります。

このように、融資を利用することで保険のメリットを享受できる点は、レバレッジを効かせた不動産投資ならではの大きな魅力です。


レバレッジを効かせる際の自己資金の目安

不動産投資におけるレバレッジは、一般的に物件価格に対する自己資金の割合が重要視されます。

自己資金は、一般的には物件価格に対して1~3割程度とされています。しかし、近年不動産投資における融資の基準が厳格化していることを加味すると、物件価格に対して2~3割以上あると安心です。以下は自己資金ごとの物件価格の例です。

自己資金購入可能な物件価格
300万円1,000万円~1,500万円
500万円1,666万円~2,500万円
1000万円3,333万円~5,000万円

実際には、本人の属性や物件の収益性、金融機関が投資ローンへ積極的か否かによっても、結果は異なります。属性が高い方の場合は、自己資金に対して上表よりも高額な融資を受けられる可能性もあります。上記は、1つの目安として理解しておきましょう。


不動産投資によるレバレッジ効果を具体的に比較

不動産投資を実行するうえでレバレッジを利かせた場合どれほど利益に差異が出るのか、比較してみましょう。

レバレッジ効果を利かせる場合

借入条件

  • 物件価格: 3,000万円
  • 自己資金: 20%(600万円)
  • 借入金額: 2,400万円
  • 金利: 年利2.5%
  • 返済期間: 20年

借入条件を上記とすると、キャッシュフローは以下のようになります。

収支試算(年利2.5%の場合)

  • 年間返済額: 約1,270,000円
  • 賃料収入: 年間240万円(月額20万円)
  • 年間キャッシュフロー: 賃料収入 – 返済額 = 約113万円

    レバレッジ効果を利かせない場合

    同じく3,000万円の物件を、全額自己資金で購入する場合、キャッシュフローは以下のようになります。

    収支計算(全額自己資金)

    • 年間返済額: 0円
    • 賃料収入: 年間240万円(月額20万円)
    • 年間キャッシュフロー: 賃料収入 = 240万円

    総投資利回りは借入をした方が良好

    項目レバレッジあり(年利2.5%)レバレッジなし
    自己資金600万円3,000万円
    年間キャッシュフロー約113万円240万円
    総投資利回り(目安)約18.8%8.0%

    不動産投資で気をつけたい「逆レバレッジ」とは

    レバレッジを活用して不動産投資をするのであれば、「逆レバレッジ」のリスクについて理解しておかなければなりません。メリットの大きい投資手法には、必ずリスクがついてまわります。リスクがあるからといって過剰に忌避するのではなく、リスクをしっかり理解したうえで適切に活用することが重要です。

    逆レバレッジとは

    不動産投資において、レバレッジは借入金を活用して投資を拡大する手法です。しかし、投資の収益率が借入金の利息を下回った場合、「逆レバレッジ」が発生します。これは、資産を増やすつもりで借入金を利用した結果、むしろ損失を拡大させる状況を指します。

    たとえば言うと、不動産投資の利回りが5%の場合に、借入金の金利が6%であれば、差額分の1%が赤字として発生し、投資全体の収益性を押し下げます。

    逆レバレッジが起こるとどうなるのか

    逆レバレッジが起こると、次のような影響が及びます。

    1. キャッシュフローが悪化する
      家賃収入でローンの返済や維持費をまかなえなくなり、追加の自己資金が必要になります。これにより、投資家の生活費や他の資産運用に支障をきたす可能性があります。
    2. 投資リスクが増加する
      キャッシュフローがマイナスになると、金融機関からの信頼が低下し、将来的な追加融資が難しくなることがあります。また、不動産価格が下落した場合には、物件の売却を余儀なくされるリスクも高まります。
    3. 資産形成のスピードが低下する
      逆レバレッジにより収益がマイナスになると、元本返済が進まないため、資産形成が遅れます。特に、長期的な資産形成を目指している場合には、大きな痛手となります。

    「逆レバレッジ」を防ぐ方法

    不動産投資において、収益性が低下し、ローン返済が負担になる「逆レバレッジ」の状態は、投資家にとって避けたいリスクです。では、どのようにすれば逆レバレッジを未然に防ぎ、安定した投資運用ができるのでしょうか。

    以下では、リスクを抑えるための具体的な対策や考慮すべきポイントを解説します。

    できるだけ低い金利で融資を受ける

    低金利で融資を受けることで、利息負担を軽減し、キャッシュフローを安定させることができます。以下のような具体的な対策を講じるとよいでしょう。

    • 複数の金融機関から融資条件を比較検討する

    金利や諸費用の違いが大きな差を生むため、事前調査が重要です。

    • 適切な自己資金の投入

    融資比率を下げることで、低金利の融資条件を引き出しやすくなります。

    • 信用力の向上

    個人または法人の信用スコアを向上させることで、金融機関から良好な条件で融資を受けられる可能性が高まります。

    低利回り物件を買わないために綿密に試算する

    購入物件の利回りが低い場合、逆レバレッジが発生しやすくなります。そのため、購入前に詳細な試算を行うことが必要です。
    たとえば、表面利回りだけでなく、管理費や修繕費を考慮した「実質利回り」を算出することが重要です。長期的な家賃相場や空室リスクも考慮した上で将来的な収益をシミュレーションすることも大切です。
    周辺エリアや競合物件の家賃、需要などを市場調査しておけばさらに現実的な判断ができるようになります。

    借入の返済期間を長期にする

    返済期間を長く設定することで、月々の返済額を抑え、キャッシュフローを安定させる効果があります。以下は、返済期間20年と25年の簡易的な試算です。

    【試算条件】

    • 借入金額:3,000万円
    • 金利:3.0%(固定金利)

    返済期間

    月々の返済額

    総返済額

    20年

    166,379円

    約3,993万円

    25年

    142,263円

    約4,267万円

    返済期間を25年にすることで、月々の返済額を約24,000円抑えることが可能です。一方で、総返済額は、20年返済よりも25年返済の方が約274万円多くなります。

    どちらを選ぶべきかは、手元のキャッシュフローを重視するのか、総返済額を抑えるのかという投資方針によります。


    不動産投資におけるレバレッジの成功例

    世間では、副業として不動産投資を開始し、数千万円以上の資産形成に成功している方が多く存在しています。成功者の多くは、安定したキャッシュフローの確保を重視し、信頼のおける管理会社のサポートを受けながら複数の物件を所有・運用しています。
    レバレッジを活用することで、このように少ない自己資金で大きな資産を築くことが可能です。本章では、不動産投資成功者の一例を紹介します。

    一棟アパートを選んだAさんのケース

    Aさん(40代・男性)は当初、区分マンションか一棟アパートどちらで不動産投資を始めるか悩んでいました。マンションは初期費用が少なくリスクが低いと考えられましたが、Aさんはご自身の属性や、収益性のコントロールのしやすさ、資産拡大の観点から一棟アパートを選択しました。

    一棟アパートは、マンションと比較して購入時の借入額が多くなるものの、1つの建物で複数の賃貸収入を得られるため、レバレッジ効果を高めることができる点が魅力です。さらに管理会社を活用して物件の運営を効率化し、本業にも支障をきたすことなく高い収益を出し続けています。

    一棟目のアパート購入は、資金面でのハードルが高いですが、上手くいくと二棟目以降の物件購入がとてもスムーズになります。この選択により、Aさんは月々のキャッシュフローを安定的に確保しながら資産を増やすことに成功しました。

    中古物件をリフォームして価値を上げたBさん

    Bさん(30代・女性)は、不動産投資を始める際に新築物件ではなく中古物件を選びました。新築物件は魅力的ですが初期投資額が高く、コスト回収の厳しさを懸念していたと言います。
    中古物件を購入することで、購入時のコストを抑え、なるべく現金を手元に残す選択をしました。この余剰資金を活用しリフォームに投資することで、物件の価値を大幅に向上させることができたのです。

    初期費用を抑えてその分をリフォームに回すことで、物件の資産価値を高め、将来的な収益アップにつなげることができます。この戦略は、長く安定した収益を目指すうえで賢い選択と言えます。

    ただし、不動産投資のリフォームは、回収できる収益に見合った内容で施工する必要がありますので、実際に行う際には不動産会社の意見を聞くようにしてください。


    初心者におすすめの金融機関とローン選びのコツ

    投資ローンを選ぶ際、初心者にとってはどの金融機関を選び、どのローンが適切かを判断するのが難しい場合があります。金利が低い銀行を選ぶポイントや、固定金利と変動金利の違いをレバレッジの観点から解説します。

    金利が低い銀行を選ぶポイント

    金利が低い銀行というと「ネット銀行」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。不動産投資に精通している方であれば問題ありませんが、初心者がネット銀行を使うには注意が必要です。対面でのサポートが受けられない点や、融資審査の厳しさ、承認までの融資期間の長さ、諸経費の価格精査など、デメリットとして考えるべき点がいくつか存在します。

    では、一体どのような金融機関を選ぶと良いのか、4つのポイントを解説します。

    1. 提携先の多い不動産会社を選ぶ
      住宅購入時に利用する不動産会社が提携している銀行を選ぶと、優遇金利が適用される場合があります。提携先が多い不動産会社を選ぶことで、複数の銀行から好条件の選択肢を得られる可能性が高まります。
    2. 勤務先が利用している銀行を選ぶ
      勤務先と提携している銀行を利用すると、会社の財務状況を理解しているため、好条件で承認を得られることがあります。確認できる場合は、勤務先がどの銀行と提携しているのかを聞いてみましょう。個人事業主の方も、お付き合いがある銀行があったら、一度相談してみてください。
    3. 地域密着型の銀行を選ぶ
      地方銀行や信用金庫など地域密着型の銀行は、地元の顧客との信頼関係を大切にする傾向があり、個別相談で柔軟に対応してくれることがあります。特に地方在住の方は、地域特有の金利優遇制度を提供している銀行を探すとよいでしょう。
    4. 投資ローンに積極的である
      投資ローンに積極的な銀行は、不動産投資に関する知識が豊富で、融資基準や商品設計が投資家に有利な場合が多いです。こうした銀行では、審査がスムーズに進みやすく、投資目的に合わせた柔軟な融資プランを提案してくれることがあります。また、投資家向けにセミナーを開催している銀行もあり、情報収集の場として活用するのもおすすめです。

    固定金利 vs 変動金利の違い

    投資ローンを選ぶ際、固定金利と変動金利のどちらを選ぶかは非常に重要な決断です。低金利が続くこれまでの日本では、約7割の方が変動金利を選択しているという結果があります。しかし、世界的にも金利上昇の傾向が進んでおり、長期的な視野でしっかりとそれぞれの特性を理解し、判断することが重要です。

    • 固定金利の特徴
      固定金利は、契約時に決めた金利がローンの返済期間中変わらない仕組みです。金利上昇のリスクを回避できるため、安定した返済計画を立てやすいのが特徴と言えます。
      レバレッジの観点から見ると、将来的に金利が上昇すると予測される場合にとるべき選択肢です。借入額が大きい場合でも、金利上昇リスクを固定することでキャッシュフローのブレを少なくすることができます。

     

    • 変動金利の特徴
      変動金利は、契約後の金利変動に応じて返済額が変わる仕組みです。一般的に固定金利よりも初期金利が低いため、返済負担が軽減されやすい点が魅力です。
      レバレッジの観点では、金利が下がり続ける局面や将来の金利動向が読みやすい場合に適しています。ただし、金利上昇時には返済額が急増するリスクがあるため、慎重な資金計画が求められます。
      初心者の場合、固定金利を選ぶと安心感が得られる一方で、変動金利のリスクを取りつつメリットを享受する選択肢も考えられます。特に頭金が多く、返済期間が短い場合は変動金利が有利になる可能性があります。

    まとめ

    本記事では、不動産投資における「レバレッジ」の仕組みとリスクを初心者にもわかりやすく解説しました。

    レバレッジは、不動産投資で少ない自己資金から大きな資産を運用するために欠かせない仕組みです。うまく活用すれば、資産形成を加速させる強力なツールとなりますが、同時に「逆レバレッジ」というリスクも伴います。これを避けるためには、低金利での借入、適切な物件選び、返済計画の工夫が重要です。

    また、固定金利と変動金利の特徴を理解し、自身の投資方針に合ったローンを選ぶことも大切です。初心者の方は、リスクを抑えた固定金利や優良な金融機関を選びつつ、無理のない計画でスタートすることが成功への第一歩となります。

    最終的には、綿密な市場調査やシミュレーションを行いながら、信頼できるパートナーとともに投資を進めることで、安定したキャッシュフローと長期的な資産形成を目指しましょう。

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