不動産売却でかかる税金の節税方法|知って得する特例と対策まとめ

「家や土地を売ったら、思った以上に税金がかかってしまった…」そんな経験をした人は少なくありません。

しかし、実は税金の仕組みを理解し、適切な準備をすれば、節税できるケースが多くあります。

この記事では、不動産売却時にかかる税金の種類や代表的な特例、経費の扱い方、失敗しやすいポイントまで分かりやすく解説します。売却を検討している方はもちろん、将来手放す際に備えておきたい方も、ぜひ参考にしてみてください。

不動産の売却は、タイミングと準備次第で手元に残る金額が大きく変わります。節税までしっかり考えた売却をご希望の方は、まずはお気軽にご相談ください。

この記事で分かること
  • 不動産売却でかかる主な税金の種類とそれぞれの仕組み
  • 譲渡所得税を節税するための基本的な考え方と「5年ルール」
  • 節税に役立つ3つの特例制度の内容と適用条件
  • 譲渡所得の計算方法と経費として認められる・認められない支出の違い
  • 土地の種類や法人名義による売却時の注意点とよくある落とし穴

    目次

    賃貸管理完全ガイド
    依頼すべき理由

    不動産売却にかかる税金一覧

    不動産の売却時にかかる税金は、主に以下の4つです。

    • 譲渡所得税
    • 復興特別所得税
    • 登録免許税
    • 印紙税
    • 消費税(事業者が所有している建物のみ)

    まずは、それぞれどのような税金なのかを解説します。

    ①譲渡所得税(所得税+住民税)

    譲渡所得税とは、不動産を売って利益が出たときにかかる税金のことです。

    譲渡所得税は、個人が不動産を売って得た利益に対して課税されるもので、その額は「売却額から取得費と諸経費を差し引いて」算出されます。

    たとえば、2,000万円で購入した物件を3,000万円で売却した場合、1,000万円の利益に対して課税されるという仕組みです。

    復興特別所得税

    なお、譲渡所得税を計算する際には、「復興特別所得税」も加算される点に注意が必要です。

    これは2011年の東日本大震災を受けて導入されたもので、所得税額に対して2.1%が上乗せされます。2037年まで課されることが定められています。

    ②登録免許税

    登録免許税とは、不動産の権利に関する登記をするときにかかる税金です。
    売却時には、住宅ローンの抵当権がまだ登記上に残っている場合、これを抹消するための「抵当権抹消登記」が必要になります。

    たとえローンの返済が完了していても、抹消登記が済んでいなければ、売却前にこの手続きが必要です。
    登録免許税は、抵当権1件あたり1,000円と比較的少額です。しかし、司法書士に依頼する場合は1万〜3万円程度の報酬もかかるのが一般的です。

    ③印紙税

    印紙税とは、不動産の売買契約書を作成する際にかかる税金です。
    契約書に記載された売買金額に応じて課税され、契約書に収入印紙を貼付することで納税します。

    たとえば、売買価格が

    • 1,000万円超〜5,000万円以下の場合:1万円
    • 5,000万円超〜1億円以下の場合:3万円
      が必要です(※いずれも2026年3月31日までは軽減措置が適用中)。

    印紙税の負担は、実務上は売主・買主で折半するケースもあれば、どちらかが全額負担するケースもあります。

    また、印紙税の負担方法は契約書の作成通数によっても変わります。契約書を1通のみ作成し、それを買主が保管する場合は、印紙税は買主が全額負担するのが一般的です。

    一方で、契約書を2通作成し、売主・買主が1通ずつ保管する場合は、それぞれが印紙税を負担するケースもあります。

    ④消費税(事業者が所有していた建物の場合)

    事業者が所有していた建物を売却する場合、その建物部分には消費税が課税されます。
    これは、不動産業者や法人など、課税事業者に該当する売主が対象です。

    一方で、個人が自宅などを売却する場合には、建物に対しても消費税はかかりません。
    なお、土地部分については、売主が誰であっても消費税は非課税です。


    不動産を売るときの税金対策とは?

    不動産売却の税金対策

    不動産の売却に税金はつきものですが、工夫次第で節約できるものもあります。なかでも節税効果が大きいのが、売却益にかかる「譲渡所得税」です。

    また、「印紙税」のように、費用負担を事前に調整することで出費を抑えられる税金もあります。
    ここでは、特に節税の余地が大きい「譲渡所得税」について詳しく解説します。

    譲渡所得税を節税できる理由

    先述の例では、2,000万円で買った物件を3,000万円で売ると、1,000万円の利益に課税されると説明しました。
    ただし、税率は利益の額だけでなく、不動産をどれくらい保有していたかによっても変わります。

    特に重要なのが「5年の所有期間」という区切りで、これを超えるかどうかで適用される税率が大きく異なるのです。

    譲渡所得における税率の「5年ルール」とは

    不動産の所有期間が5年以下か、5年を超えているかによって、適用される税率が大きく変わります。それぞれ「短期譲渡所得」「長期譲渡所得」と呼びます。

    • 短期譲渡(5年以下):所得税30%+住民税9%=合計39.63%
    • 長期譲渡(5年超):所得税15%+住民税5%=合計20.315%

      上記のように税率が約2倍も違うため、同じ金額で売却しても、手元に残る金額に大きな差が出るのです。節税を意識するなら、「いつ売るか」は重要なポイントになります。

      譲渡所得の計算方法

      譲渡所得(売却益)は、以下の計算式で求められます。

      譲渡所得の算出方法

      売却価格 -(購入価格+購入時の諸経費+売却時の諸経費)

      ここでいう「諸経費」には、不動産会社への仲介手数料や登記費用、測量費、建物の解体費などが含まれます。これらを差し引くことで、実際に利益がいくら出たのかを正確に算出します。

      そして、この譲渡所得に対して所得税や住民税などが課税される、というのが基本的な仕組みです。

      「1月1日基準」で損しない売却時期の見極め

      不動産の所有期間は、売買契約日や決済日ではなく、「譲渡した年の1月1日時点」で判定されます。
      そのため、取得から実際の売却まで5年を超えていても、1月1日時点で5年未満なら「短期譲渡所得」となり、税率が高くなります。

      たとえば、2019年3月に購入した物件を2024年3月に売却しても、2024年1月1日時点で5年未満のため、短期譲渡扱いになります。

      5年目前での売却は、タイミングを少しずらすだけで節税につながる可能性があることを覚えておきましょう。

      不動産の売却は、タイミングと準備次第で手元に残る金額が大きく変わります。節税までしっかり考えた売却をご希望の方は、まずはお気軽にご相談ください。


      不動産売却の代表的な節税特例3選【知らなきゃ損する!?】

      不動産売却の税金で損しない方法

      不動産の売却において、要件を満たせば税金を大幅に減らせる「特例制度」がいくつか用意されています。

      • 3,000万円特別控除
      • 居住用財産の買換え特例
      • 相続財産の取得費加算

      以下で代表的な3つの特例について紹介します。

      ① 3,000万円特別控除

      自宅を売却した場合、適用要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける制度があります。これが「3,000万円特別控除」です。たとえば、売却によって2,000万円の利益が出ても、この特例を使えば課税対象の所得がゼロになり、税金がかからないケースもあります。

      申告が必要になるため、事前に制度の内容を確認しておくことが大切です。

      ② 居住用財産の買換え特例(通称:買い替え特例)

      自宅の売却後に新たな家を購入する場合、売却益すぐに課税されるのではなく、将来その新しい家を売ったときまで課税を繰り延べる仕組みです。

      ただし、「売却する家の所有期間が10年以上であること」など売却時・購入時のともに細かな要件があります。

      ①の「3,000万円特別控除」とは併用できないため、どちらを使うかは慎重に検討する必要があります。

      ③ 相続財産の取得費加算

      相続した不動産を売却する際には、被相続人(亡くなった方)が支払った相続税の一部を取得費に加算できる特例があります。

      相続で受け取った不動産には、一般的に「購入時の金額」がわからないため、利益が大きく計算されて税金も高くなりがちです。
      しかしこの制度を使えば、相続税の一部を取得費として加えることで、利益(譲渡所得)を少なく見積もることができ、結果的に節税につながります。

      ただし、適用を受けるには、

      • 相続税の申告をしていること
      • 相続開始から3年以内に売却していること

      などの条件があるため、早めに確認しておくことが大切です。


      譲渡所得から「取得費」として経費にできるもの

      売却益で経費にできるもの

      不動産を売却したときの利益(譲渡所得)から、売却にかかった費用を差し引くことで、課税される金額を減らすことができます。この「差し引ける費用」がいわゆる経費です。

      ただし、なんでも経費にできるわけではなく、「対象となるもの」「ならないもの」があります。

      経費になるもの

      経費として認められやすい代表的な項目は以下の通りです。

      • 不動産会社への仲介手数料
      • 売却のための広告費
      • 建物の解体費用
      • 測量費や登記費用
      • 契約書に貼付する印紙代
      • 抵当権抹消にかかる登録免許税

      どんなに正しく経費を申告しても、領収書や契約書がなければ認められない可能性があります。税務調査に備えて、関連書類は5年間保管し、ファイルなどで整理しておくと安心です。

      経費にならないもの

      一方で、以下のような費用は税務上「譲渡費用」に含めることができないため、節税効果は得られません。

      • 固定資産税(精算されても経費にできない)
      • 自己都合によるリフォーム費用
      • 引っ越し費用や住み替え先の家賃
      • 通常の住宅ローン返済

      「生活のための出費」や「売却に直接関係しない支出」は基本的に経費として扱えないと考えておきましょう。

      不動産の売却は、タイミングと準備次第で手元に残る金額が大きく変わります。節税までしっかり考えた売却をご希望の方は、まずはお気軽にご相談ください。


      土地を売却するときの節税ポイント

      土地の売却では、建物付きの不動産とは異なる注意点があります。

      特に相続した土地や、農地・山林といった特殊な用途の土地は、税金の扱いや手続きが異なる場合があり、気づかないうちに損をしてしまうこともあるのです。

      相続した土地は節税のチャンスが多い

      相続した土地は、売却時に「取得費加算の特例」が使えることがあり、支払った相続税の一部を売却益から差し引くことが可能です。

      また、「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除(いわゆる空き家特例)」が使えるケースもあり、最大3,000万円の控除が受けられる可能性もあります。

      いずれの特例も、相続から3年以内の売却が要件になることが多いため、早めの確認が大切です。

      農地や山林など用途で扱いが変わることがある

      土地を売却するときは、種類や用途によって追加の届出や許可が必要になる場合があります。
      たとえば、農地を売るには「農地法」による転用許可や譲渡の届出が必要で、すぐに売却できないこともあります。また、山林の場合は「山林所得」として扱われるため、ほかの土地とは違う税計算が必要になるケースも。

      このように、土地の種類によって税金の扱いや節税のポイントが変わることがあるため、自己判断は禁物です。


      「法人名義にすると節税になる」は本当?

      法人は節税できる?

      不動産の売却では、「法人で持っていた方が節税になるのでは?」と考える人も少なくありません。たしかに、法人と個人では課税の仕組みや経費の扱いが異なり、税率にも差があります。

      ただし、法人化が必ず得になるとは限らないため、状況に応じた判断が必要です。

      法人で売却した場合の税率

      法人が不動産を保有・売却した場合、利益に対して「法人税」が課税されます。法人税率は所得に応じて約15%〜23%で、個人の所得税・住民税と比較して高所得者にとっては有利な場合もあります。

      また、法人では経費として認められる範囲が広いのも特徴です。
      たとえば、役員報酬・社用車・出張費なども経費計上できるケースがあり、結果として節税につながる可能性があります。

      個人と法人、どちらが得かの判断基準

      「法人にしたほうが節税になる」と言われがちですが、実際はケースバイケースです。

      • 年収が高く、個人の税率が高い人は法人の方が税負担を抑えられることがあります。
      • 今後も複数の不動産を長期で保有・運用する予定がある人は、法人化により経費の自由度や損益管理のしやすさがメリットになります。

      一方で、売却が一度きりの場合や、法人の設立・維持コストが見合わない場合は、個人のままの方が合理的です。節税効果だけで判断せず、資産運用の方針や将来の見通しも踏まえて検討しましょう。


      節税対策の落とし穴

      土地売却の節税での注意

      譲渡所得の節税は、制度をうまく使えば大きなメリットがあります。しかし、内容をよく知らずに使おうとすると、かえって損をしてしまうこともあるため注意が必要です。

      ここでは、見落としやすい注意点をいくつか紹介します。

      特例は「併用できない」ものがある

      節税制度には「併用できないルール」が多くあります。先にも述べたとおり、3,000万円特別控除と居住用財産の買換え特例は、原則として併用不可です。

      両方使えそうだからと軽い気持ちで申告すると、後に否認されて追徴課税を受けるリスクもあるため、どの制度を使うかは慎重に選びましょう。

      「住んでいた実績」がないと使えない控除

      住民票を移していても、実際に住んでいなかった場合は特例が適用されないこともあります。公共料金の使用実績、郵便物の受け取り記録など、「生活実態」を証明できる資料があると安心です。

      特に空き家やセカンドハウスを売却する際は、控除の適用可否を事前に確認しましょう。

      自己判断により損した事例

      「ネットで調べたから大丈夫」と思っていたら、思わぬ誤りで控除を受けられなかった…という例は少なくありません。特に相続や法人が絡むケースでは、自己判断による申告ミスで数十万円〜数百万円の損になることもあります。

      迷ったときは早めに税理士へ相談しましょう。売却前のタイミングなら、節税方法を選べる可能性もあります。

      不動産の売却は、タイミングと準備次第で手元に残る金額が大きく変わります。節税までしっかり考えた売却をご希望の方は、まずはお気軽にご相談ください。


      あなたに合う節税方法はどれ?タイプ別に紹介

      自分にとって最適な節税方法はどれか

      不動産売却の節税対策は、「自分がどんな状況で売却するのか」によって最適な方法が変わってきます。

      ここでは、状況に応じた節税の考え方を、4つのタイプに分けて見ていきます。

      タイプ①初めて不動産を売却する人

      不動産を売却した経験がない方は、まず「3,000万円特別控除」の対象になるかどうかを確認してみてください。マイホームとして使っていた物件であれば、多くのケースでこの特例が利用できます。

      また、所有期間や実際の居住実績の確認も忘れずに。わからない点があれば、売却を依頼する不動産会社や税理士に早めに相談してみましょう。

      タイプ②相続した物件を売りたい人

      相続後に売却する場合、「取得費加算の特例」が使える可能性があります。これは、相続税の一部を不動産の取得費に加えられる制度で、譲渡所得を圧縮できるため節税効果が高くなります。

      また、相続から3年以内であれば、「空き家特例」により3,000万円の控除が適用される場合も。相続登記や相続税申告とあわせて、売却時の税金にも目を向けましょう。

      タイプ③賃貸として運用していた物件を手放す人

      投資用物件の売却では、「減価償却によって帳簿上の価値が下がっているため、売却時の譲渡益が大きく見える」ことがあります。そのため、税負担が重くなりやすいのが特徴です。

      売却直前のリフォームや修繕費は、譲渡費用に含められない場合もあるため注意が必要となります。管理会社からの明細や経費処理の記録を整理し、計算ミスが起きないようにしておきましょう。

      タイプ④住み替えを考えている人

      自宅の売却と同時に新たな住まいを購入する方は、「居住用財産の買換え特例」が使えるかもしれません。売却益に対する課税を繰り延べできるため、現金負担を抑えながら新居へ移れる可能性があります。

      ただしこの特例は、10年以上の所有や広さ制限など要件が細かいため、専門家に相談しながら進めると安心です。


      よくある質問(Q&A)

      よくある節税の質問と答え

      不動産売却の節税について、よくある疑問をまとめました。迷いやすいポイントを事前にチェックしておきましょう。

      不動産売却の節税準備はいつ始めればいい?

      できるだけ早く、売却を検討し始めた段階で準備を始めるのが理想です。

      というのも、「いつ売るか」「いくらで売れるか」だけでなく、「所有期間」や「住んでいた実績」などが節税特例の適用条件に関わってくるためです。

      特に、所有5年と1日の差で税率が大きく変わる「5年ルール」などは、タイミングの判断ひとつで数十万円の差になることもあります。

      赤字だったら確定申告は不要?

      たとえ譲渡所得がマイナスでも、確定申告をしておくとメリットがあります。代表的なのが「損益通算」と「繰越控除」です。

      損益通算

      他の不動産所得や株式売却益などがあれば、損益を合算して課税対象額を減らせる

      繰越控除

      翌年以降の譲渡所得と相殺できる(最長3年間)

      つまり、赤字でも確定申告をしておくことで、今後の節税につながる場合があるということです。

      売却後に確定申告が必要なケースとは?

      次のような場合には、原則として確定申告が必要です。

      • 売却によって利益(譲渡所得)が出た場合
      • 3,000万円特別控除などの特例を使う場合
      • 損失が出た場合に、損益通算や繰越控除を利用したい場合

      「課税されないから大丈夫」と思っていても、申告しないと特例が使えなかったり、税務署から問い合わせが来るリスクもあります。


      まとめ

      まとめ

      不動産を売却するときにかかる税金は、少し複雑に感じるかもしれませんが、ポイントを押さえておけばしっかりと節税することが可能です。

      • 3,000万円特別控除
      • 買い替え特例
      • 相続財産の取得費加算

      特に上記の制度は、正しく活用することで大きく税金を減らせることもあります。適用要件を確認し、事前の情報収集と準備がとても大切です。

      売却時期や所有期間、住んでいた実績、書類の保管状況なども節税に関係してきます。「知らなかった」「準備していなかった」と損してしまわないよう、早い段階からの対策が安心につながります。

      大切な資産をしっかり守りながら、納得のいく売却ができるよう、今回の内容をぜひ参考にしてみてください。

      不動産の売却は、タイミングと準備次第で手元に残る金額が大きく変わります。節税までしっかり考えた売却をご希望の方は、まずはお気軽にご相談ください。

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