中古マンションのインスペクションは必要?|費用や診断内容など徹底解説

中古マンションのインスペクション|費用・タイミング・診断内容まで徹底解説

中古マンションの購入や売却する際に気になるのが「建物の状態」。見た目では分かりづらい建物の劣化や欠陥を調べるのがインスペクション(住宅診断)です。
この記事では、中古マンションの売買を検討中の方に向けて、インスペクションの必要性や費用、タイミング、注意点までわかりやすく解説します。安心して中古マンションを選びたい方、売却したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

インスペクションを入れるべきか迷っている方は、まずは一度ご相談ください。専門スタッフが物件の状況や目的に合わせて、最適な診断方法をご案内します。

この記事で分かること
  • インスペクション(住宅診断)の基本と建物状況調査との違い
  • 中古マンションでインスペクションが注目される理由
  • インスペクションのチェック箇所と内容
  • 費用・所要時間・依頼の流れと注意点
  • メリット・デメリットと実施の判断ポイント

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インスペクションとは?

インスペクションとは?

インスペクション(住宅診断)とは、第三者の専門家が建物の状態を調査することです。「住宅インスペクション」「ホームインスペクション」と呼ばれることもあり、その結果は報告書としてまとめられます。
まずは、インスペクションと建物状況調査との違いや、中古住宅市場で注目されている理由をみていきましょう。

建物状況調査との違い

「建物状況調査」は、国が定めた基準に基づく公式なインスペクションです。2018年の宅地建物取引業法改正で、中古住宅の売買をする際、「建物状況調査の実施の有無」についての説明が義務化されました。

  • 建物状況調査を受けた履歴
  • 今後、調査を実施するかどうかの意向

    仲介を行う不動産会社は、建物状況調査に関する内容を必ず確認し、買主へ説明することが求められます。
    ここでいう「調査」とは、国土交通省が定めた講習を修了した建築士(1級・2級・木造)が、国の基準に沿って行う「公的な住宅診断」のことです。この建築士を「既存住宅状況調査技術者」といいます。

    一方で、「住宅インスペクション」「ホームインスペクション」という言葉は、建物状況調査を含めるより広い概念です。
    たとえば、建物状況調査は主に「売買時の現状確認」を目的としていますが、インスペクションの概念は

    • リフォーム前の劣化診断
    • 住宅購入前の簡易チェック
    • 賃貸物件の維持管理のための点検

    など、より多様な目的に対応しています。
    そのため、「公式な報告書として公的制度に利用したい場合」は建物状況調査を行うようにしましょう。

    中古住宅市場で注目される理由

    近年、中古マンションの売買においてインスペクションが注目を集めている背景には、大きく3つの要因があります。

    ①法制度の厳格化

    まずは、前述した宅地建物取引業法の制度改正です。
    この法改正により、売買契約時に必ず建物状況調査について触れる必要があるため、インスペクションという言葉自体が一般の消費者に広く知られるようになりました。

    ②中古住宅の流通促進

    日本は「新築志向」が強いのが特徴です。その結果、欧米諸国と比べて中古住宅の流通割合が低くなっています。
    しかし、多くの人にとって、やはり「中古=不安」というイメージは拭いきれません。インスペクションは、建物の状態を専門家が適正評価することで不安を解消し、安心して取引できる環境を整える役割を担っています。
    こうした取り組みによって、少子高齢化や空き家問題の解決が期待されています。

    ③消費者の意識変化

    近年、「価格」だけでなく「品質」も重視する購入者が増えています。
    SNSや口コミの発達により、購入後のトラブル事例が可視化されるようになりました。これにより、「購入前に状態をチェックしたい」という意識が高まっています。
    特に、初めて不動産を購入する方、中古でも高額物件を購入する方からの需要が急増しています。


    中古マンションでインスペクションが必要な理由

    中古マンションでインスペクションが必要な理由

    インスペクションを行うのは、戸建てだけではありません。
    建物を共有するマンションでも、多くのメリットがあります。中古マンション購入は大きな買い物だからこそ、建物の状態を正確に把握することが重要です。
    インスペクションがなぜ必要なのか、具体的な理由を3つの観点から詳しく解説します。

    購入後のトラブル(雨漏り・設備不具合など)を防ぐ


    不動産購入で特に避けたいのが、買ってから「こんなはずじゃなかった」となること。
    内覧時だけでは、意外と不具合に気付けないものです。たとえば、壁紙の裏にカビが広がっていたり、給排水管がサビていたり。
    また、中古マンションでは「雨漏りって最上階の話でしょ?」と思っている方が多くいますが、そうとは限りません。外壁のひび割れやサッシのすき間から水が入り込み、中層階でも雨漏りすることはあります。
    しかも、こうした不具合は火災保険の対象外のケースも多く、あとから数十万円の修繕費がかかることも。

    インスペクションにより購入前に発見できれば、修繕の必要性や費用の目安を事前に把握することが可能です。

    • 不具合箇所がある分、価格交渉する
    • 今回は購入をやめておく

      上記のように冷静な判断がしやすくなります。

      資産価値を把握できる

      中古マンションの価格は、立地や築年数に加えて、「建物の現状」によっても大きく左右されます。
      しかし、不動産の広告や担当者との対話、短時間の内覧だけでは、本当の建物状態を知ることはできません。
      ましてや、売主が居住中の場合、収納の奥や床下、天井裏まで細かくチェックすることは、失礼にあたる場合もあります。
      とはいえ、限られた情報だけで数千万円の判断をするのは、リスクが大きいもの。
      そこで心強いのがインスペクションの存在です。
      「インスペクションをお願いしたい」と不動産会社に伝えるのは、決して特別なことではありません。購入後のトラブルを防ぐために多くの人が活用しており、きちんとした担当者ほどその意図を理解しています。

      安心して売買取引を行う

      インスペクションは、買主だけでなく売主にとってもメリットがあります。
      すでに買う側のメリットはいくつか挙げましたが、売る側にとっても、事前にインスペクションを行って報告書を用意しておくことで、「誠実に取引している」という印象を与えられます。
      「何か隠しているのでは?」という疑いを持たれにくく、話がスムーズに進みやすいです。調査の段階で気づいた部分があれば、先に直しておいたり、その分を考慮した適正価格で売り出したりすることで、信頼を得やすくなるでしょう。

      インスペクションを入れるべきか迷っている方は、まずは一度ご相談ください。専門スタッフが物件の状況や目的に合わせて、最適な診断方法をご案内します。


      中古マンションのインスペクション箇所と内容

      中古マンションのインスペクション箇所と内容

      では、実際にインスペクションではどのような箇所を、どのように調査するのでしょうか。マンションの場合、居室内の専有部分と共用部分のどちらも行います。
      ここでは、具体的な検査内容と対象箇所、そして劣化診断の実例について詳しく解説します。

      専有部分の診断箇所と内容

      ここで紹介するチェック項目は、建物の構造や設備の仕様によって異なる場合があります。
      ※マンションの築年数やリフォーム履歴などによっても確認内容が変わるため、あくまで目安として参考にしてください。

      診断箇所

      チェック内容

      壁・柱・梁

      ひび割れ・浮き・剥がれ・カビ・水染み。

      床の傾き・たわみ・ひび割れ・めくれ・沈み。

      天井

      天井のひび割れ・水染み・変色。窓サッシ・建具の開閉不良・隙間。

      水回り設備
      (キッチン・浴室・洗面・トイレ)

      給水・排水の流れ・漏水・封水の確認・カビ・換気の効き。

      収納・クローゼット・見えにくい箇所

      扉を開けた中の状況(梁・柱の露出・カビ臭・染み)や収納力。

      電気・配線・設備機器

      スイッチ・コンセントの位置・数、エアコン・換気扇・給湯器などの動作。

      バルコニー・テラス
      (専用使用権のある部分)

      床の傾斜・ひび割れ・ドレインの詰まり・手すりの腐食・外壁との接合部のシーリング劣化など。

      マンションでは、床下や天井裏に入れない構造が多いため、こうした箇所の点検は基本調査に含まれないことがほとんどです。
      二重床や二重天井など、点検口がある場合のみオプションとして依頼できるケースがあります。

      共用部分の診断箇所と内容

      共用部分のチェック項目は、マンションの規模や構造、管理のされ方によって多少異なります。ここでは、一般的によく確認されるポイントを紹介します。

      診断箇所

      チェック内容

      外壁・屋上・陸屋根・防水層

      外壁のひび割れ・浮き・白華現象・雨水浸入の有無。屋上の防水層の劣化。

      共用廊下・階段・エントランス・駐車場/駐輪場

      床・手すり・壁の破損/汚損・清掃状況・照明・設備の動作。管理状況をうかがわせる指標。

      バルコニー・ポーチ等
      (共用的に使用される部分)

      仕上げ面のひび割れ・めくれ・シーリングの劣化・錆び・排水ドレインの状態。

      共用設備・施設
      (ゴミ置場・セキュリティ設備など)

      掲示物の状態・セキュリティ機器(カメラ・オートロック等)の設置と動作・清掃状況。

      管理運営・修繕履歴・積立金の状況
      (診断報告時の付随確認)

      管理規約・長期修繕計画・修繕履歴の書類確認。状態悪化が予想される管理体制の不備をチェック。 

      たとえば、照明の球切れや手すりのサビなど、日常的な手入れの有無を見ると、その建物がどんなふうに管理されてきたかが分かります。
      こうした部分まで確認しておくことで、実際に住んだあとの管理の質や雰囲気も自然と見えてきます。

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      中古マンションのインスペクションの流れ

      中古マンションのインスペクションの流れ

      中古マンションのインスペクション(建物状況調査)は、購入を検討している人はもちろん、売却前に実施したい人にとっても、流れを知っておくことは大切です。
      ここでは、依頼から報告書の活用までの基本的なステップを紹介します。

      対象者・費用負担者

      インスペクションは、買主・売主のどちらからでも依頼可能です。

      • 購入前の判断材料にしたい場合:買主側から申込

      • 売出前に建物の状態を明らかにしたい場合:売主側から申込

      基本的には、依頼(申込)した側が費用を負担します。

      インスペクションを行うタイミング

      インスペクションは、買主・売主どちらの依頼でも「売買契約を結ぶ前に実施するのが基本」です。
      契約後に不具合が見つかると、修繕や価格交渉が難しくなるため、購入を決める前に物件の状態を確認しておきましょう。
      また、ローン特約や引き渡しの期限、売主・買主それぞれの仲介会社との調整も発生するため、タイミングを逃すと手続きが複雑になります。
      内見時に気になる点があった場合や築年数が経過しているマンションでは、早めの依頼がおすすめです。

      報告書の見方と活用法

      インスペクションの結果は、「調査報告書」としてまとめて提出されます。
      報告書には、劣化の有無や修繕が必要な箇所、今後注意したいポイントなどが、写真付きでわかりやすく記載されています。
      構造部分(柱・梁など)や雨漏り、給排水管の状態など、一般の人では確認しづらい項目は特に注視してください。

      また、報告書を活用することで、住宅ローン減税や瑕疵保険の加入といった制度面にもメリットがあります。
      国が定める「既存住宅売買瑕疵保険」は、インスペクションを受けた物件であることが条件のひとつです。この保険に加入すれば、購入後に構造上の欠陥などが見つかった際、一定額の補修費が保証されます。また、そこから派生して、住宅ローン減税や登録免許税の軽減措置を受けられるという利点も。
      この報告書は、建物の資産価値を裏づける資料であり、税制優遇を受ける際にも役立ちます。

      インスペクションを入れるべきか迷っている方は、まずは一度ご相談ください。専門スタッフが物件の状況や目的に合わせて、最適な診断方法をご案内します。


      インスペクションの費用相場と所要時間

      インスペクションの費用相場と所要時間

      インスペクションを依頼する際に気になるのが、費用と調査にかかる時間です。一見するとどの業者も似た価格帯に見えますが、建物の規模や依頼内容、エリアによって費用には差があります。

      マンションの費用目安

      中古マンションのインスペクション費用は、おおむね6万〜8万円前後が目安です。
      調査にかかる時間は、専有面積や設備数にもよりますが、1〜2時間程度で完了するケースが多くなっています。
      上記の基本料金に含まれるのは、専有部分(室内)の劣化状況・雨漏り・給排水設備などの目視・計測調査です。共用部分を含めて確認してもらう場合は、管理組合の許可が必要になることもあります。
      また、費用には報告書作成料も含まれていることが多く、調査後1週間〜10日ほどで書面が届くのが一般的です。
      あらかじめ複数の業者で見積もりを取り、調査範囲と料金のバランスを確認しておくと安心です。

      追加オプション

      インスペクションには、基本調査に加えてオプションを選べる場合があります。
      代表的なものは以下の通りです。

      • 赤外線カメラ調査:壁や天井の内部にある雨漏り・断熱不良・結露を検出(約2〜3万円)
      • 床下・天井裏点検:専用機器を使用し、配管や断熱材の劣化を確認(約1〜2万円)
      • 耐震診断:構造体の強度を専門家が評価(5万円前後〜)

      ※構造によって選択できないオプションもあります。

      必要に応じて、担当業者と相談しながら最適な範囲を選ぶようにしましょう。


      依頼先の選び方と注意点

      依頼先の選び方と注意点

      インスペクションは、誰に依頼するかによって調査の質や対応範囲が大きく変わります。
      以下で主な依頼先のタイプと、トラブルを避けるための注意点を紹介します。

      建築士に直接依頼する・紹介業者に頼む

      中古マンションのインスペクションの依頼方法は主に2つです。

      ①建築士や診断専門会社を探し、直接依頼する方法

      ②不動産会社などを通じて紹介してもらう方法

        直接依頼の場合は、調査範囲や料金、報告書の形式などを比較でき、独立性が高く、第三者の意見を得やすいのが特徴です。
        一方の紹介業者経由では、手続きがスムーズで一任しやすい反面、不動産会社との関係性が強く、客観性がやや薄れる可能性があります。
        いずれの方法でも、担当の建築士が「既存住宅状況調査技術者」の登録を受けているかどうかを必ず確認しましょう。

        悪質業者を見分けるチェックリスト

        残念ながら、インスペクションを名乗りながら不明瞭な料金や不十分な調査を行う業者も存在します。次のような点に特に注意して選ぶようにしてください。

        インスペクション業者の見極めポイント

        • 料金体系やオプションについて、明確に表示されているか(説明があるか)
        • 「既存住宅状況調査技術者」の資格を持つ建築士が調査を担当しているか
        • 写真付きの報告書を提出してくれるか
        • 調査範囲や所要時間が事前に説明されているか
        • 調査後にリフォームや工事の勧誘をしないか
        • 報告書の納品が契約スケジュールに余裕があるか

        不動産会社から紹介された業者でも、内容に疑問があれば見積もりを比較してみましょう。


        インスペクションのメリット・デメリット

        まとめ|中古マンション購入で後悔しないために

        中古マンションで実施する際の主なメリットとデメリットを整理しておきましょう。
        インスペクションは、建物の状態を客観的に確認できる便利な仕組みですが、費用や時間の負担があることも事実です。

        メリット

        インスペクションを実施する本質は、「見えない不安を減らせること」です。
        購入・売却どちらの立場でも、建物の状態を明確にすることで安心して取引を進められます。

        • 購入後の修繕トラブルを未然に防げる
        • 建物の状態を正確に把握できる
        • 価格交渉や保険加入に活用できる
        • 瑕疵保険の利用で税制優遇を受けられる
        • 売主側の信頼性を高められる

          これらのメリットにより、トラブル防止だけでなく、資産価値の維持・税制面での優遇といった実利的な効果も期待できます。

          デメリット

          一方で、インスペクションにはいくつかの注意点もあります。
          「念のため調べたい」という思いが強くても、実施のタイミングや費用の負担には事前の確認が必要です。

          • 費用が発生する
          • 時間がかかる
          • 費用負担で揉めることがある
          • 全ての不具合を発見できるわけではない
          • 売主との調整が必要な場合がある

          デメリットを理解したうえで、「どの段階で、誰が、どの目的で行うか」を早い段階で明確にしておくと、無駄なく安心して活用できます。


          まとめ|中古マンション購入で後悔しないために

          まとめ|中古マンション購入で後悔しないために

          この記事では、中古マンションのインスペクションの基本から費用、依頼のタイミング、注意点までをわかりやすくまとめました。
          中古マンションのインスペクションは、「見えない部分の安心」を得るための大切な工程です。
          外からは分からない劣化や不具合を事前に確認しておくことで、購入後の思わぬ出費やトラブルを防げます。

          たしかに費用や時間はかかりますが、数千万円の買い物をするうえでの安心料と考えれば決して高くはありません。
          調査を受けておけば、建物の価値を正しく把握できるだけでなく、瑕疵保険や住宅ローン減税などの制度も利用しやすくなります。

          購入を迷っている方も、まずは一度専門家に相談してみるのがおすすめです。
          建物の状態をしっかり知ったうえで選ぶことが、後悔のないマンション購入へのいちばんの近道です。

          インスペクションを入れるべきか迷っている方は、まずは一度ご相談ください。専門スタッフが物件の状況や目的に合わせて、最適な診断方法をご案内します。

           

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