家を貸したいときのリフォーム代はいくら?相場と資金調達を解説

「家を貸したいけど、リフォーム代っていくらかかるの?」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。

近年、既存住宅を賃貸として再活用する動きが広がっていますが、空き家や古家の場合、適切なリフォームなしでは入居者確保は難しい状況です。

そこで重要なのは、家を貸したいときに必要なリフォームの範囲と費用を事前に把握することです。

 

この記事では、リフォームの範囲別費用相場から、補助金やローンなどの資金調達方法まで、家を貸す際に知っておきたい情報を網羅的に解説します。

【この記事を読むと得られるメリット】・リフォーム費用相場がわかり、現実的な予算計画が立てられる
・入居者確保に効果的なリフォーム箇所の優先順位がわかる
・ローンや補助金などの資金調達について情報収集できる

リフォーム内容の優先順位付けと資金計画を適切に行い、無駄な出費を抑えながら魅力的な賃貸物件へと生まれ変わらせるためにお役立てください。

賃貸管理完全ガイド
依頼すべき理由

1. リフォーム代を算出する前に「何を・どの程度リフォームするか」考える

 

家を貸す際のリフォーム代は、 内容によって大きく変わります。何をどの程度リフォームするか、事前に検討することが重要です。

まずは以下のポイントを確認しましょう。

  1. 安全な居住に必要な修繕は絶対条件
  2. 借り手が付きやすくなる最優先は水回り
  3. 壁紙と床の張り替えは低コストで印象が劇的に変わる
  4. 給湯器など設備の動作状況は入念に確認
  5. 築30年超えなら給排水管や電気配線の劣化点検も必須

1-1. 安全な居住に必要な修繕は絶対条件

「住宅の安全性に関わる部分」の修繕は、賃貸物件として貸し出す前にかならず対応すべき最優先事項です。

【安全確保のために必要な修繕】

  • 構造の健全性:基礎や柱・梁に著しい劣化や破損がある場合は、早急に修繕する必要があります。築30年以上の木造住宅では、シロアリ被害や木材の腐食がないか、専門家による調査を依頼しましょう。
  • 耐震性の確保:1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅は、耐震診断を行い必要に応じて耐震補強工事を実施します。耐震性が低い住宅は入居者募集時に不利になるだけでなく、大地震時の倒壊リスクも高まります。
  • 雨漏り対策:屋根や外壁からの雨漏りは放置すると建物の劣化を早め、入居者とのトラブルにもつながります。雨漏りの形跡がある場合は原因箇所を特定し、屋根修理や外壁の防水処理を行いましょう。
  • 防火対策:火災報知器の設置は、法律で義務付けられています。古い配線や漏電の恐れがある電気設備も火災リスクとなるため、電気設備の点検と必要な更新を行ってください。

入居者の安全を確保することは、貸主としての責任です。安全性に関わる修繕を怠ると、入居者の生命・財産に関わる事故につながるリスクがあります。

また賃貸借契約上、貸主には修繕義務があります。必要な修繕を放置すると法的責任を問われる可能性もあります。

1-2. 借り手が付きやすくなる最優先は水回り

賃貸物件選びで多くの入居者が最も重視するのは、水回り設備です。キッチン・バス・トイレなどの水回りが古いと入居希望者の印象が下がり、空室リスクや家賃下落につながります。

【水回りリフォームのポイント】

  • キッチン:古いキッチンは汚れや臭いが染み付き清潔感に欠けるため、新品に交換するとイメージが大きく向上します。システムキッチンへの交換は費用がかかりますが、収納力や調理のしやすさが向上します。とくにファミリー向け物件では、重要な訴求ポイントになります。
  • 浴室:バランス釜(むき出しの風呂釜)から追い焚き機能付き給湯器への交換や、タイル貼りの在来浴室からユニットバスへの変更で、入居者満足度が大きく向上します。浴室暖房乾燥機付きのユニットバスも人気です。
  • トイレ:和式トイレを洋式に変えるのはもちろんですが、最近では温水洗浄便座が標準装備と考える入居者も増えています。費用対効果を考慮しながら設備グレードを検討しましょう。
  • 洗面所:独立した洗面化粧台の設置や、既存洗面台の交換で清潔感を演出できます。照明を明るくしたり鏡を大きくするだけでも、使い勝手とイメージが向上します。

水回りのリフォームは費用がかかる一方で、入居者の生活満足度に直結する重要な部分です。快適な水回り設備を整えておくと、空室期間の短縮や適正家賃の維持につながります。

1-3. 壁紙と床の張り替えは低コストで印象が劇的に変わる

内装の中でもとくに壁紙(クロス)と床材の張り替えは、費用対効果の高いリフォーム項目です。比較的低コストで実施できる一方、物件の印象を大きく向上させる効果があります。

【内装張り替えのメリット】

  • 壁紙張り替え:汚れや経年変化で黄ばんだ壁紙を新しく張り替えるだけで、部屋全体が明るく清潔な印象になります。玄関・リビング・水回りなど、入居者の目に触れやすい場所の壁紙は優先的に交換しましょう。
  • 床材の刷新:傷んだフローリングや汚れた畳は、部屋全体の印象を下げます。フローリングの張り替えや和室から洋室への変更で、現代的な雰囲気に生まれ変わります。
  • 天井クロスの張り替え:天井のシミや黄ばみは意外と目立ちます。とくにヤニ汚れがある場合は、洗浄だけでは除去しきれないため、クロス張り替えを検討しましょう。
  • 建具の交換:古びた室内ドアや襖・障子を新しくするだけでも、部屋の印象が良くなります。和室を洋室に変更する場合は、建具も合わせて洋風に変えると統一感が生まれます。

壁紙と床材は、内覧時に入居希望者の目に最初に入る部分でもあります。予算が限られている場合でも、内装の張り替えは優先的に検討しましょう。

1-4. 給湯器など設備の動作状況は入念に確認

賃貸物件での設備故障は入居者からのクレームにつながりやすく、対応の遅れが不満を招きます。給湯器などの生活必需設備は、事前に動作確認と必要に応じた交換を行っておくことが重要です。

【確認すべきおもな設備】

  • 給湯器:築10年以上経過した給湯器は故障リスクが高まります。現在正常に動作していても、寿命が近づいている場合は予防的に交換を検討しましょう。
  • エアコン:冷暖房効率が落ちている、異音がする、水漏れするなどの症状があれば修理か交換が必要です。省エネタイプへの買い替えは、電気代負担軽減というアピールポイントにもなります。
  • 換気扇:台所や浴室の換気扇は、油汚れや湿気による劣化が進みやすい部分です。換気不良は、カビの発生原因になります。正常に動作するか確認し、必要に応じてクリーニングや交換を行いましょう。

設備の動作不良は入居後のトラブルの種になるため、入念な点検が欠かせません。また、設備のグレードアップは物件の魅力向上につながるため、長期的な視点で投資対効果を考えて更新を検討しましょう。

1-5. 築30年超えなら給排水管や電気配線の劣化点検も必須

築30年を超える物件では、壁や床の内部に隠れた給排水管や電気配線の劣化が進行している可能性があります。これらは目に見えにくいため見落としがちですが、漏水や停電など深刻なトラブルを防ぐためにも専門家による点検が必要です。

【インフラ設備の劣化チェックポイント】

  • 給水管の状態:鉄管が使われている場合、サビによる赤水や水圧低下の問題が生じやすくなります。給水管の材質や経年劣化状況を確認し、必要に応じて樹脂管への交換を検討しましょう。
  • 排水管の詰まり:台所や浴室の排水の流れが悪い場合は、配管内に汚れや異物が蓄積している可能性があります。高圧洗浄によるクリーニングや、老朽化が進んでいる場合は配管の交換が必要です。
  • 電気容量の確認:古い住宅では30A(アンペア)など容量が小さい場合があり、現代の電化製品を多用する生活スタイルには不足します。分電盤の交換やアンペアブレーカーの増設を検討しましょう。
  • コンセント・スイッチの更新:古いコンセントは接触不良を起こしやすく、漏電や火災の原因になることもあります。使用頻度の高い場所のコンセントは増設も含めて検討し、安全性と利便性を向上させましょう。
  • 通信環境の整備:インターネット回線の引き込みや、Wi-Fi環境の整備も現代の賃貸物件では重要なポイントです。快適にネット利用できる環境は、入居者募集の強みになります。

インフラ設備のリフォームは表面上の見栄えには直接影響しませんが、入居者の日常生活の質と安全性に関わる重要な要素です。築年数の古い物件ほど、これらの点検と必要な更新は優先して行いましょう。


2. 範囲別のリフォーム代の費用相場

 

リフォーム代の相場は、どの部分をどの程度リフォームするかによって大きく変わります。また、地域や選ぶ設備のグレード、施工業者によっても費用は異なるため、複数の見積りを取ることが大切です。

以下ではあくまでも目安ではありますが、費用相場をご紹介します。

  1. 水回り3点リフォーム費用は100万〜200万円が目安
  2. 内装リフォームは面積によって大きく変動
  3. 外装リフォームは数十万円〜
  4. 解体費などの諸経費も計算する

2-1. 水回り3点リフォーム費用は100万〜200万円が目安

キッチン・浴室・トイレの水回り3点セットは、賃貸物件のリフォームで最も重要かつ費用がかかる部分です。グレードや工事範囲によって幅がありますが、100万円から200万円程度が一般的な相場となります。

【水回りリフォームの費用内訳】

  • キッチン交換:システムキッチンへの交換は、グレードにより40万~80万円が目安です。比較的コンパクトな賃貸向けキッチンなら、中級グレードでも50万円前後で交換可能です。
  • 浴室ユニットバス:標準的なサイズ(1坪タイプ)のユニットバスへの交換は50万~150万円程度かかります。追い焚き機能付き給湯器を含めると、さらに20万円程度上乗せになるでしょう。
  • トイレ交換:和式から洋式への変更や、古い洋式トイレから温水洗浄便座付きトイレへの交換は15万~40万円程度です。トイレの位置を変える場合は排水管工事が必要となり、さらに費用がかさみます。
  • 洗面台交換:既存の位置に新しい洗面化粧台を設置する場合、10万~70万円程度が相場です。照明やコンセントの位置変更が必要な場合は追加費用が発生します。
  • 給湯器交換:従来のガス給湯器からエコキュートなどの高効率給湯器に変更する場合、本体価格と工事費込みで20万~40万円程度かかります。

前述のとおり、水回りリフォームは居住性向上に直結するため、賃貸物件でも投資対効果が高い項目です。古い設備は故障リスクが高いため、長期的な維持管理コストを考えると、一度にまとめて交換するほうが効率的な場合もあります。

2-2. 内装リフォームは面積によって大きく変動

壁紙や床材の張り替えなど内装リフォームは、面積に応じて費用が変動します。

【内装リフォームの費用目安】

  • 壁紙(クロス)張り替え:一般的な品質の壁紙で1平方メートルあたり1,000~1,500円程度です。たとえば、6畳間の壁と天井全面を張り替える場合、5~8万円が目安になります。
  • フローリング張り替え:既存フローリングの上から重ね張りする場合、1平方メートルあたり5,000~8,000円程度です。下地から新設する場合はさらに費用がかかります。
  • 和室から洋室への変更:6畳間の和室を洋室に変更する場合、畳からフローリングへの床材変更、壁・天井の張り替え、建具交換などを含めて20万~60万円程度が相場です。
  • 室内ドアの交換:既存枠を活かした開き戸の交換なら1箇所あたり3万~8万円、枠ごと交換する場合は5万~12万円程度です。
  • クローゼット設置:押入れをクローゼットに改造する場合、既存の枠を活かせば10万~15万円程度、新設の場合は15万~25万円程度が目安です。

内装リフォームは、水回りに比べて比較的低コストで見た目の印象が大きく変わるため、費用対効果が高くなります。内覧時の第一印象を左右する玄関・リビングは重点的にリフォームすると、入居決定率アップにつながります。

2-3. 外装リフォームは数十万円〜

雨漏りや建物の劣化を防ぐためには、外装リフォームが必要となります。費用は、部位や規模によって大きく異なります。

【外装リフォームの費用相場】

  • 防水工事:バルコニーやベランダの防水層が劣化すると、雨漏りの原因になります。10平方メートル程度のベランダ防水なら5万~20万円が一般的な相場です。
  • 外壁塗装:一般的な戸建て住宅(30坪前後)の場合、足場設置費用を含めて60万~120万円程度が相場です。
  • 屋根塗装:屋根材の種類によりますが、30坪程度の住宅なら40万~80万円程度が目安です。部分的な補修が必要な場合は、追加費用がかかります。
  • 雨どい交換:破損や詰まりのある雨どいを交換する場合、1階建て住宅なら15万~40万円程度です。建物の形状や規模により費用は変動します。
  • 窓サッシ交換:結露防止や断熱性向上のため、既存窓を二重窓や断熱サッシに交換する場合、1箇所あたり10万~30万円程度が相場です。

外装のメンテナンスは建物の寿命を左右する重要なポイントです。賃貸物件として長期運用するなら、適切なタイミングでの外装リフォームが結果的にコスト削減につながります。

2-4. 解体費などの諸経費も計算する

リフォーム工事の総額には、材料費・工事費のほかに解体費や廃材処分費、諸経費なども含まれます。これらの費用はリフォーム範囲や地域によって異なりますが、事前に把握しておくことで予算オーバーを防げます。

【リフォームに伴う諸経費の内訳】

  • 解体・撤去費:既存設備や内装材の解体・撤去費用は、規模にもよりますが工事費全体の5〜10%程度を見込んでおくとよいでしょう。水回りや大規模な間取り変更では、解体費用がかさみます。
  • 廃材処分費:産業廃棄物として適切に処分する必要があり、分別や運搬費用を含めて一定の費用がかかります。環境配慮型のリフォーム会社では、リサイクル率を高めることでこの費用を抑える工夫をしているので確認しましょう。
  • 仮設工事費:足場の設置や養生(保護)の費用も必要です。外装工事や大規模リフォームでは、足場設置費用だけで数十万円かかる場合もあります。
  • 諸経費・手数料:施工管理費、保険料、現場経費などの間接費用も含まれます。一般的にはリフォーム費用全体の10~15%程度を見込んでおくとよいでしょう。
  • 図面作成費:間取り変更など比較的規模の大きいリフォームでは、設計図面の作成費用も発生します。詳細な設計図があることで工事の品質向上にもつながるため、必要経費と考えます。

諸経費は、リフォーム会社によって計上方法が異なります。見積もりを比較する際は「総額」だけでなく「内訳」も確認することが大切です。また、リフォーム中の予期せぬ追加工事に備えて、当初予算の1~2割程度は予備費として確保しておくことをおすすめします。


3. リフォーム代の資金に活用できる補助金

 

リフォーム費用を抑えるためには、国や自治体が提供する各種補助金制度を活用することが効果的です。特定の条件を満たすリフォームに対して支給されるため、計画段階から情報収集して申請準備を進めましょう。

  1. 省エネ改修に使える国の補助金制度
  2. 耐震・バリアフリー改修向けの補助制度
  3. 空き家活用のための自治体独自補助金

3-1. 省エネ改修に使える国の補助金制度

地球温暖化対策として省エネ住宅への転換が推進されており、断熱性能向上や高効率設備導入に対する補助金が充実しています。これらをリフォームに活用すれば、費用負担を軽減できます。

とくに重要なのが、住宅省エネキャンペーンです。本記事執筆時点では「住宅省エネ 2025 キャンペーン」が実施されており、補助対象となるリフォーム工事の例として以下が挙げられます(適用には諸要件があります)。

 

出典:国土交通省 他「住宅省エネ2025キャンペーン リフォームチラシ」

注意点として、省エネ関連の補助金は、毎年度の予算や政策により内容が変更されることがあります。最新情報は国土交通省や経済産業省のWebサイト、各事業の公式サイトで確認し、早めに申請準備を進めることが重要です。z

2025年度の情報は、「住宅省エネ2025キャンペーン【公式】」のサイトにて確認できます。

3-2. 耐震・バリアフリー改修向けの補助制度

1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅の耐震化や、高齢者・障害者に配慮したバリアフリー改修には、自治体が助成を行っているケースが多くあります。

【耐震・バリアフリー関連の補助金】

  • 耐震診断・改修補助:多くの自治体で実施されている制度で、耐震診断費用の全額または一部を補助してくれます。診断結果に基づく耐震改修工事にも、工事費の一部(通常1/3~2/3程度、上限あり)の補助が受けられる場合があります(参考:東京都耐震ポータルサイト「耐震化助成制度」)。
  • バリアフリー改修支援:手すりの設置、段差の解消、廊下の拡幅などバリアフリー工事に対する補助制度があります。自治体独自の制度のほか、自己居住を前提としたものですが介護保険を活用した住宅改修費支給制度(上限20万円)もあります(参考:厚生労働省「介護保険における住宅改修」)。
  • 住宅確保要配慮者向け改修補助:高齢者や子育て世帯などの入居を拒まない賃貸住宅として登録する場合、バリアフリー化や間取り変更などの工事費用を補助する制度があります。国の「セーフティネット住宅」制度と連動しています(参考:国土交通省「セーフティネット住宅の改修費支援」)。
  • ブロック塀等安全対策補助:地震時の倒壊防止のため、危険なブロック塀の撤去や改修費用を補助する自治体が増えています。賃貸物件の外構改修にも活用できる可能性があります(参考:東京都耐震ポータルサイト「ブロック塀の安全点検等」)。

耐震・バリアフリー関連の補助金は自治体ごとに制度設計が異なります。物件所在地の市区町村窓口に問い合わせるか、自治体のWebサイトで最新情報を確認しましょう。

3-3. 空き家活用のための自治体独自補助金

空き家問題は深刻化しており、各自治体では空き家の有効活用のための独自補助制度を設けています。長期間使用されていなかった住宅を賃貸用にリフォームする場合は、これらの制度を活用できる可能性があります。

【空き家活用関連の支援制度】

  • 空き家バンク物件リフォーム補助:自治体の空き家バンクに登録した物件のリフォーム費用の一部(1/3~1/2程度、上限30~100万円のケースが多い)を補助する制度です。とくに地方都市で充実しており、移住促進策と連動しています(参考:日光市「空き家バンクリフォーム補助金」)。
  • 空き家活用モデル事業補助:空き家を地域の交流拠点や福祉施設、シェアハウスなど特定の用途に活用する場合に補助金が出る制度もあります。通常の賃貸住宅とは異なる活用方法を検討している場合に選択肢となります(参考:国土交通省「令和6年度空き家対策モデル事業の募集を開始します!」)。
  • 古民家再生支援:歴史的・文化的価値のある古民家を活かしたリフォームに補助金を出す自治体もあります。観光客向け宿泊施設など特殊な活用を考える場合に検討する価値があります(参考:兵庫県「古民家再生促進支援事業」)。
  • 空き家除却補助:老朽化した空き家を撤去して更地にする費用を補助する制度もあります。建て替えや土地活用を検討している場合には、この制度を活用して解体費用を抑えられる可能性があります(参考:木更津市「空家除却工事補助制度」)。

空き家対策は地域の実情に合わせて制度設計されているため、自治体によって内容が大きく異なります。物件所在地の自治体窓口に直接問い合わせて、最新の支援制度情報を入手しましょう。

これらの補助金に関する注意点としては、自己居住を前提とした制度の場合、家を貸すためのリフォームは対象外となるケースがあります。要件について事前によく確認することが大切です。


4. リフォーム代のローンを組む際の注意点

 

補助金だけでは賄えない大規模なリフォーム費用は、ローンを活用して資金調達することも選択肢です。ローンを組む際に注意したいポイントを確認しましょう。

  1. 複数のローンを比較検討する
  2. 家賃収入をもとにした返済計画を立てる
  3. 金利タイプと採算性への影響を確認する

4-1. 複数のローンを比較検討する

リフォームローンは金融機関や利用目的によって条件が異なります。賃貸物件のリフォームという特性を踏まえ、適切なローン商品を選ぶことが重要です。

【リフォームに活用できるローンの例】

  • 賃貸住宅リフォーム融資:高齢者や子育て世帯などの入居を拒まない賃貸住宅(セーフティネット住宅)をリフォームする際に利用できるローンです。戸建て住宅でも利用できます(参考:住宅金融支援機構「賃貸住宅リフォーム融資(住宅セーフティネット)」)。
  • 無担保型リフォームローン:物件に抵当権を設定せず借りられるため、手続きが比較的簡単です。借入可能額や金利など諸条件はほかのローンとの比較検討が必要です(金融機関によっては自己居住住宅のみに限定され、賃貸物件には利用できない場合があります)。
  • 住宅ローン借り増し:すでに住宅ローンを組んでいる場合、追加融資としてリフォーム資金を借り入れる方法です。自己居住が想定されているものですが、賃貸併用住宅の場合や金融機関によっては、担保評価に余裕があれば賃貸部分のリフォームにも利用できる可能性があります。利用可否や条件は金融機関への確認が必要です。

ローン選びの際は、金利の低さ、返済期間、審査の通りやすさ、繰上返済手数料の有無などを多角的に比較検討することが大切です。

4-2. 家賃収入をもとにした返済計画を立てる

賃貸物件のリフォームローンは、将来の家賃収入から返済していくことになります。実現可能な返済計画を立てるためには、家賃収入から諸経費を差し引いた実質収益を正確に見積もることが重要です。

【返済計画立案のポイント】

  • 実質収益の計算:家賃収入から管理費・修繕積立金・固定資産税・保険料などの経費を差し引いた実質的な収益を把握します。通常、家賃収入の30%前後が経費として見込まれます。
  • 空室リスクの考慮:常に満室を前提とせず、年間1~2カ月程度の空室期間を想定した保守的な計画を立てることが賢明です。リフォーム後も立地や市場環境によっては、入居者がすぐに決まらない可能性があります。
  • ローン返済比率:実質収益に対するローン返済額の比率は50%以下に抑えるのが理想的です。残りは将来の修繕費用や税金に充てる資金として確保しておきましょう。
  • 返済期間の設定:リフォーム内容の耐用年数も考慮して返済期間を設定します。たとえば、水回り設備の一般的な耐用年数は10~15年程度なので、その範囲内で返済を完了できる計画が望ましいでしょう。
  • 繰上返済の検討:家賃収入が予想より順調な場合は、適宜繰上返済を行うことで総返済額を減らせます。繰上返済手数料が無料または低額のローンを選ぶとよいでしょう。

返済計画は楽観的すぎず現実的な数字で立てることが重要です。不測の事態に備えて余裕を持たせた計画が、将来の資金繰りの安定につながります。

4-3. 金利タイプと採算性への影響を確認する

リフォームローンの金利タイプは「固定金利型」と「変動金利型」があり、どちらを選ぶかで長期的な収支計画が大きく変わる可能性があります。事業としての採算性を見据えた金利タイプ選びが重要です。

【金利タイプと事業への影響】

  • 固定金利型のメリット:返済額が借入期間中変わらないため、将来の返済計画が立てやすくなります。金利上昇リスクを回避でき、長期的な資金計画に安心感があります。
  • 変動金利型のメリット:現在の低金利環境では、固定金利より低い金利で借り入れられるケースが多いでしょう。毎月の返済額を抑えられるため、短期的な収支バランスが取りやすくなります。
  • 収益物件での判断基準:賃貸経営は長期的な視点で行うビジネスなので、返済額の予見可能性を重視する場合は固定金利型、当面の収支を重視するなら変動金利型が適しています。
  • 金利上昇リスクへの対策:変動金利を選ぶ場合、金利上昇に備えて返済額の余裕を持った計画を立てることが重要です。金利上昇によって返済額が増加しても対応できる資金計画を検討しましょう。

金利タイプの選び方は、自己資金の状況や将来の金利見通し、賃貸経営の長期計画によって異なります。複数の金融機関でシミュレーションし、総返済額や月々の返済負担を比較検討することが大切です。


5. 家を貸したいときはリフォームする前に専門家への相談がおすすめ

 

不動産会社や賃貸管理会社は、地域の賃貸市場に精通しているため、どのようなリフォームが入居者にとって魅力的かを把握しています。その知見を活用し、限られた予算で最大の効果を得られるリフォーム計画を立てましょう。

【不動産会社・管理会社に相談するメリット】

  • 入居者ニーズの把握:年齢層や世帯構成によって求める設備や間取りが異なります。地域の入居者傾向を把握している不動産会社のアドバイスは、的確なターゲット設定に役立ちます。
  • 競合物件との差別化:同じエリア内の競合物件と比較して、どのような設備や仕様が差別化につながるかを具体的に提案してもらえます。
  • 家賃設定の目安:リフォーム後にどの程度の家賃設定が可能か、実績に基づいた目安を教えてもらえます。投資回収計画の精度が高まります。
  • 入居者募集戦略:設備や内装の選択だけでなく、リフォーム後の入居者募集方法や訴求ポイントまでアドバイスを得られるので、空室期間の短縮につながります。
  • 管理サービスの提案:リフォーム後の物件管理についても、適切なサービスプランを提案してもらえます。長期的な視点での物件価値維持も含めたトータルサポートが期待できます。

上記のようなサポートが必要な方は、ぜひ私たちルーム・スタイルまでご相談ください。

 

ルーム・スタイルでは、貸し出しからリフォーム・売却まで、賃貸管理を一気通貫でサポート可能です。

コストパフォーマンスの良いリフォーム案をご提案して賃料をアップさせますので、実際にリフォームに着手する前に、ぜひご相談ください。


6. まとめ

本記事では「家を貸したいときのリフォーム代」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

リフォーム代を算出する前に「何を・どの程度リフォームするか」考えることが大切です。

  1. 安全な居住に必要な修繕は絶対条件
  2. 借り手が付きやすくなる最優先は水回り
  3. 壁紙と床の張り替えは低コストで印象が劇的に変わる
  4. 給湯器など設備の動作状況は入念に確認
  5. 築30年超えなら給排水管や電気配線の劣化点検も必須

範囲別のリフォーム代の費用相場として以下を解説しました。

  1. 水回り3点リフォーム費用は100万〜200万円が目安
  2. 内装リフォームは面積によって大きく変動
  3. 外装リフォームは数十万円〜
  4. 解体費などの諸経費も計算する

リフォーム代の資金に活用できる補助金・助成金として以下があります。

  1. 省エネ改修に使える国の補助金制度
  2. 耐震・バリアフリー改修向けの補助制度
  3. 空き家活用のための自治体独自補助金

リフォーム代のローンを組む際の注意点は以下のとおりです。

  1. 複数のローンを比較検討する
  2. 家賃収入をもとにした返済計画を立てる
  3. 金利タイプと採算性への影響を確認する

適切にリフォームされた賃貸物件は、入居者募集がスムーズになるだけでなく、安定した家賃収入と将来的な資産価値の維持にもつながります。計画的なリフォーム投資で、長期的に安心して貸せる魅力的な物件を実現しましょう。

コメント

CAPTCHA


Casas De Apostas Sem Limitações Em Portugal: Guia Completo por Betzoid
賃貸仲介から管理、売買までワンストップで対応
まずお気軽にご相談ください
賃貸仲介から管理、売買までワンストップで対応
まずお気軽にご相談ください