
売却のご相談をいただくと、ご事情は異なっていても、本質的なお気持ちは同じだと感じます。
「いくらで売れますか?」
もちろん、一番気になるところですよね。
ただ、私たちが実際のご相談で先にお伝えするのは、査定額だけではありません。本当に大切なのは、「売れたあとに、お客様の手元へいくら残るか」です。
仲介手数料や住宅ローンの残債、一括繰上返済費用、登記費用、場合によっては税金もかかるため、査定額と手残り額は同じにはなりません。
今回は、この「査定額」と「手残り額」のギャップを、実際の数字を使いながらお伝えします。売却するかどうかは、最終的にこの手残り額で判断していただきたいというのが、現場からのお願いです。
「売れそうな価格」だけでなく、「手元にいくら残るか」まで知りたい方は、お気軽にご相談ください。現在のローン残債や諸費用も含めて、売却後の手残り額をわかりやすくご案内いたします。
目次
不動産売却にかかる諸経費を知っておこう

不動産売却では、価格ばかりに目が行きがちですが、さまざまな諸経費がかかります。
「思ったより手残り額が少ない」とならないよう、何にいくらかかるのか、先にざっくり頭に入れておきましょう。
仲介手数料
宅建業者に売却の依頼をすると、成果報酬の形で発生する費用です。
「売買価格×3%+6万円(+消費税)」というのが法定上限の目安です。宅建業法上の上限ではあるものの、実質的には多くの仲介会社がこの上限額を基本としているのが実情です。
3,500万円で売れた場合、仲介手数料はおよそ122万円になります。これが、諸経費の中でも大きくウエイトを占める費用です。
ただし、売買価格が800万円以下だと話が変わります。
宅建業法には「低廉な空家等の媒介特例」というルールがあり、この価格帯なら手数料の上限を30万円+消費税(税込33万円)まで上げてOKになっています。(2024年7月改正)
ただし勝手に上乗せできるわけではなく、媒介契約を結ぶ時点で事前に合意しておくことが条件です。
抵当権抹消費用・ローン繰上返済手数料
住宅ローンやアパートローンが残っている場合、次の費用が発生します。
- 抵当権を抹消する登記費用(数万円程度)
- 金融機関ごとの繰上返済手数料
これは金融機関によって異なり、数万円で済むこともあれば、証書貸付だと10万円近くかかることもあります。
事前に金融機関へ確認しておくと、売却時に慌てずに済みます。
印紙税・登記費用など
売買契約書に貼る印紙税は、契約金額に応じて1万円〜3万円程度(軽減措置適用時)発生します。
印紙税は契約書1通ごとに必要ですが、不動産売買では契約書を1通のみ作成する場合は、印紙代を買主と売主で折半するケースもあります。
また、相続した不動産の売却で相続登記をしていない場合は、売却前に司法書士への登記関連費用も数万円単位でかかります。
なお、売買で生じる所有権移転登記については、買主側が費用を負担するケースが一般的です。
譲渡所得税(※専門家へ要確認)
売却益が出た場合は、譲渡所得税・住民税がかかります。
不動産を売却した翌年の2〜3月に確定申告を行い、その内容に応じて税金を納めることになります。「売却が終われば手続きも終わり」ではないため、翌年の税金まで見据えて準備しておくと安心です。
所有期間が5年を超えるか超えないかで税率が大きく変わりますし、居住用財産の特別控除(3,000万円控除)が使えるかどうかでも結果はまったく違ってきます。
正直なところ、ここは私たち不動産の現場担当者が断定的にお答えできる領域ではありません。
算定方法や特例の適用条件は個別事情によって変わるため、必ず税理士や税務署に確認したうえで判断してください。
手残りシミュレーション
言葉だけだとイメージしづらいので、実際にご相談いただいたケースに近い数字で見てみましょう。
【物件条件】
築25年の区分マンション、売却価格3,500万円、住宅ローン残債1,800万円
- 売却価格:3,500万円
- 仲介手数料(税込):約122万円
- ローン一括返済手数料:約5万円
- 抵当権抹消登記費用:約3万円
- 印紙税:約1万円
- ローン残債の返済:1,800万円
ここまでの差し引きで、手元に残るのは約1,569万円。
「3,500万円で売れました」という報告自体は間違いではありません。
ただ、そこから住宅ローンの残債1,800万円を引いて「じゃあ1,700万円くらい残るだろう」と考えていると、実際のプランは狂います。仲介手数料や諸費用を差し引くと、手元に残るのは1,569万円ほど。
単純な引き算と実際の手残りの間には、130万円以上の差が生まれるということです。私たちが最初のご相談の段階で、あえてこの手残り額の話を先にするのは、そういう理由からです。
物件ごとに異なる追加費用に注意

ここで挙げた数字は、あくまで「特にイレギュラーがない場合」の目安です。実際には物件ごとの事情によって、想定外の費用が発生することもあります。
- 確定測量費用
- 解体費用
- 相続手続き費用
- 合筆・分筆費用
- 残置物撤去費用(家具・家電・ゴミの処分など)
- 越境トラブル・越境是正費用(ブロック塀や樹木などの是正が必要な場合)
たとえば、古い土地で境界が確定していない場合、測量費用だけで100万円前後かかることも。
古家付きで「解体更地渡し」という条件で売り出すなら、数百万円の解体費用もみておかなくてはなりません。倒壊の恐れがある建物は、エリアによっては認定されると行政の補助を受けられるケースがあります。
補助制度にも期限が設けられているので、確認しておくとよいでしょう。
また、相続人が複数いて、しかも遠方に散らばっているようなケースでは、司法書士や弁護士の手を借りて書類の取りまとめが必要です。相続人の人数が多いほど費用もかさみます。
土地の一部だけ売る、あるいは分筆が必要になれば、そこにもさらに数十万円単位の費用がかかりますし、空き家では、家具や家電などの残置物を処分してから引き渡す必要があり、撤去費用が発生することもあります。
また、ブロック塀や樹木などの越境が見つかった場合は、売却前に是正費用や隣地所有者との調整が必要になるケースもあります。
つまり「1,562万円残るはず」と思っていても、物件の複雑さ次第では1,000万円程度、もしくはそれ以下まで目減りすることもあり得るということです。ご自身の物件に何か特殊な事情がないか、早めの段階で一度確認しておくことをおすすめします。
見るべきは査定額より手残り額
売却を考えはじめたら、最初に見るべきは「いくらで売れそうか」ではなく「いくら手元に残るか」です。ローン残債、仲介手数料、諸費用——ここまでは私たちの方で概算をお出しできます。税金部分だけは専門家の確認を挟んでいただく必要がありますが、それ以外の部分は、ご相談いただければ現在の物件条件からすぐに試算可能です。
「なんとなく高く売れそうだから」で動く前に、一度手残りベースの数字を見てから判断する。それだけで、売却後の後悔はかなり減らせるはずです。
「売れそうな価格」だけでなく、「手元にいくら残るか」まで知りたい方は、お気軽にご相談ください。現在のローン残債や諸費用も含めて、売却後の手残り額をわかりやすくご案内いたします。





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