
「早く強制退去させたい」と思っても、何から手をつければいいのか分からず不安ではありませんか?
実は「立ち退き」と「強制執行」は似ているようで、手続きも法的な重みも全く違います。この違いを曖昧にしたまま、管理会社や保証会社に任せきりにするのは非常に危険です。
一歩間違えれば、オーナー自身が法を犯す「自力救済」とみなされるリスクすらあります。
本記事では、混同しがちな用語を整理し、各会社の役割と時系列のフローを解説します。最短・確実に解決するために、オーナーが持つべき判断基準を明確にしましょう。
すでに家賃滞納が発生しており、どう動けばいいか分からない方は、今の状況をそのまま弊社までご相談ください。最短で取るべき選択肢を一緒に整理します。
| この記事で分かること |
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目次
- オーナーがやるべきことは「動く」より「握る」
- 自力救済はすべて違法になる
- オーナーが前に出るほどリスクは増える
- 窓口は必ず管理会社・保証会社・弁護士に一本化する
- 立ち退きと強制執行の違いとは?オーナーが知るべき基礎知識
- 立ち退きとは|話し合いで退去してもらう手続き(合意が前提)
- 強制執行とは|裁判所の力で退去させる最終手段
- 任意退去と強制執行の決定的な違い
- 立ち退き料が必要なケース・不要なケース
- どこで「任意」から「法的」に切り替えるか
- 保証会社がいても立ち退き問題は別物
- 保証会社がカバーするのは「お金」だけ
- 住んでいる人を出すのはオーナーの責任
- 「保証があるから安心」は危険
- 賃貸トラブルの登場人物と役割整理
- 管理会社の役割|現場対応と記録係
- 保証会社の役割|金銭回収と法務担当
- オーナーの役割|意思決定と費用負担
- 弁護士と執行官の立場
- 【時系列】滞納発生から強制執行までのリアルフロー
- ① 滞納1か月目:管理会社が動くフェーズ
- ② 滞納2〜3か月目:保証会社が前面に出る
- ③ 改善なし:解除ラインの協議フェーズ
- ④ 契約解除通知:ここから戦争モード
- ⑤ 明渡し訴訟:管理会社は裏方、保証会社は法務担当
- ⑥ 強制執行フェーズ:役割が逆転する瞬間
- 強制執行で本当に怖いのは「人の感情」
- 執行現場は想像以上に緊張する
- 感情爆発リスクが高い入居者の特徴
- 強制執行にかかる費用と期間のリアル
- 任意退去で終わる場合の期間と費用
- 強制執行まで行った場合の総コスト
- 費用はほぼ回収できない現実
- まとめ
オーナーがやるべきことは「動く」より「握る」
まず、賃貸経営において滞納やトラブル発生した際、オーナーは自身が現場に飛び込んで解決しようとしてはいけません。
自ら動くのではなく、「状況を把握し、いつ・誰に・何をさせるか」という手綱を握ることが、オーナーの仕事だと捉えましょう。
自力救済はすべて違法になる
法律では、どんなに相手が悪くても、裁判所の手続きを通さずに無理やり退去させる「自力救済」を固く禁じています。
- 勝手に鍵を交換する
- 部屋の荷物を外に出す、または処分する
- 電気・ガス・水道を止める
- 「いつ出ていくんだ」と執拗に詰め寄る
これらはすべて、オーナー側が逆に「不法侵入」「損害賠償」「刑事罰」を問われるリスクがある行為です。「物件は自分の持ち物なのに、なぜ自由にならないのか」と憤りを感じるのはもっともです。
しかし、法治国家においては「ルールを破ったほうが負ける」という現実をまず受け入れなければなりません。
オーナーが前に出るほどリスクは増える
オーナー自身が直接交渉に臨むと、どうしても個人の感情が入り混じります。入居者との対話で感情が爆発し、失言をしてしまうと、後の裁判で「脅迫」や「不当な圧力」とされるケースも少なくありません。
また、相手に「もう少し待ってもらえるかも」という甘えや、「嫌がらせをされている」という被害者意識を持たせてしまうと、解決はさらに遠のきます。オーナーは現場から距離を置き、適切な意思決定を行うことに注力するのが、自分自身を守る最大の防衛策です。
窓口は必ず管理会社・保証会社・弁護士に一本化する
トラブル対応は、以下の理由から交渉窓口を一つに絞るのが鉄則です。
- 言った・言わないのトラブル防止
- 法的証拠の蓄積
- オーナーの精神的負担の軽減
複数の人間が関わると情報の食い違いが起き、入居者に「あっちの人はこう言った」という逃げ道を与えてしまいます。
それを防ぐために、交渉窓口は一本化するべきです。管理会社や弁護士が介入することで、全てのやり取りが記録として残り、後の訴訟を有利に進められます
また、オーナー自ら交渉に臨むと大きな精神的負担がかかるものです。そこから身を引くことで、直接の暴言や苦情を遮断でき、冷静な判断が可能になります。
オーナーは、現場の報告を受けて「法的措置に踏み切るか」「和解するか」という最終的なGOサインを出すことに集中しましょう。
立ち退きと強制執行の違いとは?オーナーが知るべき基礎知識
この章では、オーナーが混同しがちな言葉の定義を整理します。ここを間違えると、管理会社との打ち合わせで話が噛み合わなくなるため、しっかり押さえておきましょう。
結論からいうと、立ち退きと強制執行は「入居者の合意があるかどうか」という一点において決定的に異なります。
立ち退きとは|話し合いで退去してもらう手続き(合意が前提)
立ち退きは、オーナーと入居者が話し合い、双方が納得した上で解約合意書を取り交わし、部屋を明け渡してもらう手続きを指します。
ただし、あくまで任意の話し合いであり、法的強制力はありません。滞納がない場合でも、建替えなどのオーナー都合でお願いするケースもここに含まれます。
強制執行とは|裁判所の力で退去させる最終手段
強制執行は、入居者の意思に関係なく荷物を搬出し、鍵を交換して強制的に占有を解く手続きです。裁判で勝訴判決を得た後、裁判所の執行官が現地に赴いた上で行います。
入居者が「居座る」と決めた場合、この法的手段以外に合法的に追い出す方法はありません。
任意退去と強制執行の決定的な違い
項目 | 立ち退き(任意退去) | 強制執行(法的手段) |
解決の鍵 | 入居者の合意 | 裁判所の判決 |
オーナーの負担 | 立ち退き料(場合による) | 裁判費用・執行予納金・残置物処分費 |
期間の目安 | 数週間〜3ヶ月程度 | 半年〜1年程度 |
失敗リスク | 交渉決裂(解決しない) | ほぼなし(確実に退去させられる) |
任意退去と強制執行の最大の違いは、「話し合いで終わるか、法的権限で終わらせるか」という点です。
任意退去は、入居者が「いついつまでに退去します」と約束し、実際に鍵を返却することで完了します。コストも低く、理想的な解決方法です。
しかし、入居者が「出ていかない」と一点張りしたり、夜逃げして連絡が取れなくなったりした場合、任意退去の枠組みでは手も足も出せません。ここで、裁判所の権限でドアを開け、荷物を運び出す「強制執行」という最終手段が登場します。
強制執行は、入居者の合意を一切必要とせず、確実に物件を取り戻せる唯一の方法です。その分、多額の予納金や長い月日が必要になるという側面を持っています。
立ち退き料が必要なケース・不要なケース
「立ち退きには必ず立ち退き料が必要」と思われがちですが、状況によって異なります。
まず、老朽化による建替えや、オーナーが自分で使いたいなど「オーナー都合」の場合は、立ち退き料の支払いが必要です。正当事由を補完するために、立ち退き料を支払います。
深刻な家賃滞納や、禁止されているペット飼育、騒音トラブルなどの「入居者の契約違反」が原因の場合は、立ち退き料は発生しません。この場合、むしろ損害賠償を請求できる立場になります。
どこで「任意」から「法的」に切り替えるか
「任意」から「法的」への実務上の切り替えラインは、一般的に「家賃滞納3ヶ月」です。「もう少し待ってくれ」という入居者の言葉を信じ続けると、被害は拡大します。
3ヶ月分の滞納が発生すると、判例上「信頼関係が破綻した」とみなされ、裁判で契約解除が認められる可能性が極めて高くなります。ここを超えても話し合いに応じない場合は、速やかに法的措置への切り替えを判断すべきタイミングです。
すでに家賃滞納が発生しており、どう動けばいいか分からない方は、今の状況をそのまま弊社までご相談ください。最短で取るべき選択肢を一緒に整理します。
保証会社がいても立ち退き問題は別物
「家賃保証会社に加入しているから、滞納があっても丸投げで大丈夫」と考えていると、トラブルを長期化させる原因になる場合があります。
保証会社はあくまで「金銭的保証」のパートナーであり、物件の明渡しを代行してくれるわけではありません。保証会社の役割と限界を、正確に把握しておきましょう。
保証会社がカバーするのは「お金」だけ
保証会社の本来の役割は、入居者が家賃を滞納した際に、オーナーに対してその金額を立て替えて支払うことです。 契約内容にもよりますが、一般的には以下の範囲の費用がカバーされます。
- 月々の家賃・共益費
- 訴訟にかかる弁護士費用(特約がある場合)
- 退去時の原状回復費用(一定額まで)
しかし、保証会社には入居者を物理的に部屋から出す権限はありません。彼らができるのは督促までであり、それ以上の強硬手段は法律によって厳しく制限されています。
住んでいる人を出すのはオーナーの責任
部屋を占有している入居者を退去させる手続きにおいて、当事者はあくまでオーナーと入居者です。 たとえ保証会社が訴訟費用を負担し、提携弁護士を手配してくれたとしても、裁判上の原告はオーナー自身になります。
「保証会社が勝手にやってくれる」と放置していると、いつの間にか保証期間の上限に達してしまい、それを超えた分の損失はすべてオーナーが被ることになります。「誰が主体となって追い出すのか」の最終的な責任は、常にオーナーにあることを理解しておきましょう。
「保証があるから安心」は危険
滞納が続いた際「保証があるから安心」と、オーナーの危機感が薄れてしまうのは大きなリスクです。
保証会社は自社の損失を減らすため、まずは粘り強く督促を行います。
しかし、それが功を奏さない場合、訴訟への踏み切りが遅れるほど、部屋が使えない期間は延びていきます。また、無事に強制執行が終わっても、部屋の中に大量のゴミや家財が残っている場合、その処分に手間取り、次の募集までさらに時間をロスします。
保証があるからと安心しきらず、滞納○ヶ月目になったら、保証会社の意向に関わらず法的措置を指示する」というオーナー自身の基準を持っておくことが重要です。
賃貸トラブルの登場人物と役割整理
強制執行に至るまでのプロセスでは、主に以下の4つの主体が動きます。トラブルを最小限に抑えるため、それぞれの役割を整理しましょう。
管理会社の役割|現場対応と記録係
管理会社は、入居者への初期督促や安否確認、現地の状況確認などが主な役割です。いつ誰がどのような対応をしたかという詳細な記録は、後の裁判で貸主側が尽くすべき対応を行ったことを証明する重要な証拠となります。
保証会社の役割|金銭回収と法務担当
保証会社は、滞納された家賃をオーナーへ立て替え払いし、未回収リスクを最小化します。また、提携弁護士を通じた訴訟手続きの費用負担や、実務的な進行管理を行うのも主な業務です。
オーナーの役割|意思決定と費用負担
オーナーは、「いつ法的措置に踏み切るか」「提示された和解条件を受け入れるか」といった、実務担当者では決められない重要な分岐点での判断を下します。専門家に実務を任せつつ、進捗を把握して最終的な承諾を与えるのが仕事です。
弁護士と執行官の立場
弁護士はオーナーの代理人として裁判手続きを遂行します。執行官は裁判所に所属する公務員であり、確定判決に基づいて物理的な強制退去を執行する唯一の権限を持ちます。
【時系列】滞納発生から強制執行までのリアルフロー
滞納が発生してから実際に部屋が明け渡されるまでには、通常半年から1年近い時間がかかります。各フェーズで誰が何をしているのか、その裏側を詳しく見ていきましょう。
① 滞納1か月目:管理会社が動くフェーズ
最初の滞納が発生した直後に取るべき動きを解説します。目的は「入金忘れの確認」と「早期回収」です。
管理会社の動き
滞納が発生した直後、管理会社は電話やメールで入居者に接触し、振込状況を確認します。連絡が取れない場合は、現地を訪問してポストに郵便物が溜まっていないか、電気メーターが回っているかなどを確認し、入居者の生活実態を把握します。
家賃の立替業務について、代位弁済請求が認められる期限が決まっていますので、期限内に保証会社へ書面を提出しなくてはなりません。
保証会社の動き
管理会社から代位弁済請求書を受け取った保険会社は、まず管理会社(オーナー)へ滞納分の家賃を立て替えて支払います。その後、入居者に対して立て替えた分の支払いを求める督促状を送付します。
この段階でオーナーがやることは、入金確認のみです。 保証会社から確実に代位弁済が行われているかを、通帳や管理会社からのレポートでチェックしてください。自ら督促の連絡を入れる必要はありません。
② 滞納2〜3か月目:保証会社が前面に出る
滞納が複数月に及ぶと、単なる「忘れ」「一時的な資金不足」ではなく「支払い困難」とみなされます。ここからの動きはとても重要なフェーズに入ります。
管理会社の動き
保証会社・オーナーと密に連携し、状況を共有します。特にオーナーへは、今後の流れやリスクについて慎重に説明する必要があります。
また、後に訴訟となった場合に備え、入居者とのやり取りを詳細な交渉履歴としてまとめ始めるべき段階です。
保証会社の動き
連帯保証人がいる場合、状況を報告して本人に支払うよう促してもらいます。
しかし、この段階ではすでに本人が応じない可能性が高いので、連帯保証人に請求する動きもとっていきます。
訪問督促の頻度を上げ、より強い口調での警告を行います。「このままでは契約解除になり、法的措置に移る」という最終通告を予告する段階です。
この段階でオーナーがやることは、意思決定の準備です。 管理会社から「入居者の支払い意思が低い」という報告を受けたら、「〇か月滞納したら即座に訴訟へ移行する」という方針を決め、管理会社と共有しておきましょう。
③ 改善なし:解除ラインの協議フェーズ
家賃滞納3か月は、法律上「信頼関係が破壊された」と認められやすい重要なラインです。
管理会社の動き
管理会社は、これまで蓄積した滞納履歴や督促記録を整理し、オーナーへ法的措置の提案を行います。
保証会社の動き
保証会社は、自社の法務部門や提携弁護士と連携し、訴訟に踏み切った場合のコストや回収見込みをシミュレーションします。
オーナーは、保証会社のカバー範囲を確認した上で、法的手続きの開始を正式に承認します。ここでの決断が遅れるほど、部屋が空かない期間が延びていくため、迅速な判断が必要です。
④ 契約解除通知:ここから戦争モード
話し合いによるフェーズが終わり、「信頼関係が破壊された」ことによる法的な手続きが始まります。
管理会社の動き
管理会社は、訴訟に必要な賃貸借契約書の写しや、これまでの滞納記録などを保証会社・弁護士に提供します。管理会社が記録してきた応対履歴は、裁判において貸主側の正当性を証明するための極めて重要な材料です。
保証会社の動き
弁護士名義で、契約解除を通知する内容証明郵便を入居者へ送付します。これにより、法的に契約を終了させる意思表示を確定させます。
オーナーには、弁護士を代理人として立てるための委任状などの書類が届きます。内容を確認した上で速やかに捺印・返送し、手続きの滞りを防ぎましょう。
⑤ 明渡し訴訟:管理会社は裏方、保証会社は法務担当
裁判所での手続きが進みます。この段階になると、実際に動くのは保証会社と弁護士で、管理会社は証拠集めなどの裏方に回ります。
管理会社の動き
入居者から「部屋の設備が壊れていたから家賃を払わなかった」などの不当な反論が出た際、それを論破するための保守点検記録などを提供します。必要な記録や書類を整備し、あとは裏方に徹します。
保証会社の動き
提携弁護士が裁判所へ訴状を提出し、裁判に臨みます。入居者が欠席、あるいは反論に正当性がない場合、「建物を明け渡せ」という勝訴判決を勝ち取ります。裁判には、時間がかかります。オーナーが法廷に出廷する必要は、原則ありません。月1回程度、進捗状況を管理会社に確認しましょう。
⑥ 強制執行フェーズ:役割が逆転する瞬間
判決が出ても退去しない場合、いよいよ裁判所の権限で強制的に退去させる最終段階に入ります。ここからは現場対応が中心となり、管理会社と保証会社の役割が大きく入れ替わります。
管理会社の動き
執行当日に現地へ立ち会い、建物の管理者として執行官の補助を行います。また、執行終了後に速やかに鍵を交換し、原状回復工事の見積もりを作成します。
保証会社の動き
裁判所へ強制執行の申立てを行い、予納金を支払います。当日は、執行官や鍵業者、荷物を運び出す運送業者、そして催告を行うスタッフを総動員し、現場を主導します。
なお、オーナーは現場に出ないのが最適解です。 現場は、非常に緊迫した雰囲気になります。オーナーが立ち会うと入居者の感情を刺激し、思わぬトラブルに発展する可能性があるため、管理会社にすべてを任せ、終了の報告を待ちましょう。
すでに家賃滞納が発生しており、どう動けばいいか分からない方は、今の状況をそのまま弊社までご相談ください。最短で取るべき選択肢を一緒に整理します。
強制執行で本当に怖いのは「人の感情」
強制執行の現場で最も恐ろしいのは、法的手続きそのものではなく、当事者の心の奥にある不安・絶望・怒りといった人の感情です。理屈では整理できても、現場に立つと感情が暴発し、取り返しのつかない結果を生むことがあります。
執行現場は想像以上に緊張する
強制執行の現場は、映画やドラマで描かれるような整然とした光景ではありません。
執行官や鍵業者、運送業者が集まり、部屋の扉を開錠する瞬間から、空気は一気に緊迫します。入居者が在室していた場合、泣き叫んだり、執行官に食ってかかったりするケースも珍しくありません。執行を妨害しようとする入居者に対しては、執行官が警察を呼ぶこともあります。
たとえば、2026年1月15日、東京都杉並区の立ち退き強制執行の現場で、執行官と家賃保証会社の60代の男性が刃物で刺される事件がありました。
刺された保証会社の男性社員は、その後死亡が確認されています。犯人はすぐに逮捕されましたが、捜査関係者によると「殺すつもりはなかったが、死んでも構わないと思った」と供述しており、背後には深い感情が関与していたとみられます。
感情爆発リスクが高い入居者の特徴
では、このように感情爆発リスクが高い人はどのような特徴があるのでしょうか。
まず注意すべきなのは、滞納期間中にほとんど連絡を取ろうとせず、督促を無視し続けてきた入居者です。こうした人は、現実を受け入れられないまま当日を迎えるため、感情が一気に噴出します。
また、家族や同居人がいる場合も要注意です。本人は諦めていても、家族が執行に抵抗し、怒鳴り散らすケースがあります。精神的に不安定な様子が見られる入居者の場合、執行当日に自傷行為や暴力行為に及ぶリスクもゼロではありません。
感情爆発リスクが高い入居者は、金銭的に追い詰められていて冷静な判断ができず、自暴自棄になりやすい傾向があります。
強制執行にかかる費用と期間のリアル
「強制執行にかかる費用と期間のリアル」は、数字で見ると想像以上に重く、オーナーにとってはかなり現実的でシビアな問題です。任意退去と強制執行では、同じ“滞納対応”でも時間もコストも、まるで別物になります。
任意退去で終わる場合の期間と費用
滞納発生から入居者が自主的に退去するまでの期間は、早ければ2〜3か月です。
この場合、費用は保証会社が負担する代位弁済と、管理会社への事務手数料程度で済みます。オーナーの実質負担は、空室期間の家賃損失のみとなります。
強制執行まで行った場合の総コスト
強制執行まで進むと、期間は滞納発生から10か月〜1年以上に及びます。
費用は訴訟費用に加えて、執行予納金(40〜70万円)、荷物の運搬・保管費用(10〜30万円)、鍵交換費用(2〜3万円)、そして原状回復費用(数十万円〜)が積み重なります。総額で100万円を超えることも。
だからこそ保証会社は「とりあえず入ってもらえればいい」ではなく、オーナー自身が募集段階の要綱で指定し、回収力や対応実績まで含めて吟味して選ぶべきものです。
費用はほぼ回収できない現実
これだけの費用をかけても、入居者から回収できる可能性は極めて低いのが現実です。
そもそも家賃を払えなかった入居者に、100万円単位の費用を支払う能力はありません。保証会社がカバーする範囲も限定的で、訴訟費用や執行費用はオーナー負担となる契約も多いのです。
つまり、強制執行は「お金を回収する手段」ではなく、「滞納者から部屋を取り戻すための必要経費」なのです。
まとめ
滞納トラブルへの対応で最も重要なのは、「早く出したい」という感情で動くのではなく、法的ルールに沿って冷静に判断することです。立ち退きと強制執行は似て非なるものであり、安易な自己判断や自力救済は、かえってオーナー自身のリスクを高めます。
強制執行は確実に部屋を取り戻せる一方で、時間も費用も大きな負担となり、ほとんど回収できない現実があります。
だからオーナーに必要なのは、自分で動き回ることではなく、「任せるところは任せて、決めるところだけ決める」ことです。
すでに家賃滞納が発生しており、どう動けばいいか分からない方は、今の状況をそのまま弊社までご相談ください。最短で取るべき選択肢を一緒に整理します。











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