
マンションやアパートの資産価値や入居者の満足度を維持するためには、共用部の清掃が欠かせません。突然の内見や空室案内に備え、共用部はいつもきれいに整えておきたいものです。
しかし、物件オーナーにとって共用部の清掃は、悩ましいポイントが多いのも実情です。
「具体的にどれくらいの頻度で、どんな掃除をすればいいのか」
「外注したいが、業者選びはどうするべきか」
「業者に頼むといくらかかるのか」
この記事では、上記のように悩むオーナー様に向けて、共用部清掃の基本から費用相場、業者選びのコツ、シミュレーション、成功・失敗事例までを徹底解説します。
物件清掃でお悩みの方や、外注先をお探しのオーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。
ご予算や物件に合わせた最適な清掃プランをご提案します。
この記事で分かること |
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目次
- 共用部清掃とは?
- 共用部とはどこを指す?
- マンションとアパートの共用部清掃の違い
- 共用部清掃に含まれる内容
- 日常清掃
- 定期清掃
- 特別清掃
- 共用部清掃の頻度とコスト
- 日常清掃の実施頻度・費用相場
- 定期清掃の頻度・費用相場
- 特別清掃の頻度・費用相場
- 共用部の清掃方法|自主清掃と業者委託の比較
- 自主清掃のメリット・デメリット
- 業者委託のメリット・デメリット
- 清掃業者選びのポイント
- 豊富な実績と専門知識
- 対応エリア内かどうか
- 口コミ・評判の確認
- 契約内容や費用の透明性
- オーナーが知っておきたい注意点
- 入居者とのトラブル防止
- 清潔感維持と資産価値向上
- 共用部清掃のシミュレーション例
- 約24万円
- 共用部清掃を外注した成功例・失敗例
- 成功例:業者選びで満足度UP
- 失敗例:コスト優先でトラブル
- まとめ
共用部清掃とは?
共用部清掃とは、マンションやアパートの住人全員が使用するエリアの清掃のことです。
物件の清潔感や快適性を保つだけでなく、資産価値にも大きく影響します。適切な清掃は入居率向上や退去率低下につながり、オーナーにとっても重要な管理項目です。
共用部とはどこを指す?
共用部とは、入居者や居住者全員が使うスペースを指します。
代表的なのは、以下の場所です。
- エントランス
- 廊下
- 階段
- ゴミ置き場
- 駐輪場
- 駐車場
- エレベーター
- 集合ポスト
これらのスペースは日常的に使用されるため、汚れやすく、こまめな清掃が必要です。
また、見た目のきれいさはもちろんのこと、安全面や衛生面の管理も欠かせません。
マンションとアパートの共用部清掃の違い
不動産投資において、「区分マンション」と「一棟アパート」では、共用部清掃の考え方が大きく異なります。
区分マンション投資では、清掃に関する事項は管理組合がまとめて行うため、オーナー自ら業者を探す必要はありません。毎月の管理費に清掃費が含まれているので、基本的には任せきりです。
一方、一棟アパート投資では、自主管理ならオーナー自身が掃除するか、業者を手配する必要があります。外注する人が多いのは、やはり手間や専門性を考えてのことです。
また、管理会社に委託している場合は、その会社が提携業者に依頼するのが一般的です。中には、管理会社は入居者対応のみで、清掃はオーナー側で業者を選ぶ契約もあるので、管理内容は事前に確認しておきましょう。
ただし、サブリース契約の場合は管理会社が清掃も代行するため、オーナーが業者を手配する必要は基本的にありません。
共用部清掃に含まれる内容
共用部清掃は、物件の第一印象や入居者の満足度を大きく左右します。
ここでは、共用部清掃に含まれる主な作業内容について詳しく紹介します。
日常清掃
日常清掃はゴミ拾い、草取り、掃き掃除、簡易的な拭き掃除が中心です。
日常清掃では、共用部分を清潔に保つだけでなく、物件に異常がないかを確認する役割も担います。
たとえば、電球の切れや設備の破損、落書きなどの小さな異常を早期に発見できるのが特徴です。また、空室の郵便ポストにチラシが溜まっていた場合は、回収作業も行います。
共用掲示板などに今月の清掃日が記入された書類が貼られていることがあり、これは日常清掃の実施記録です。こうした掲示は、入居者に清掃状況を伝える役割も果たしています。
定期清掃
定期清掃はワックス掛け、高圧洗浄、窓ガラス清掃など、専用の機材を使った作業が含まれます。
これらは日常清掃では落としきれない汚れを除去し、建物の清潔感や見た目を維持するために欠かせません。特にエントランスや外壁の高圧洗浄は、物件全体の印象を大きく左右する重要な作業です。年末の大掃除の時期を目安に、定期清掃をまとめて行うオーナーも多く見られます。
中には、日常清掃のことを定期清掃と呼ぶ業者もいるため、契約前に作業内容をしっかり確認しておくことが大切です。
特別清掃
特別清掃は、害虫駆除や排水管の洗浄など、普段の清掃ではカバーできない作業を指します。
排水管洗浄は詰まりや悪臭の予防、害虫駆除はクレームを防ぐためにも役立ちます。
屋上や外壁の特殊洗浄、防水工事前の下準備なども特別清掃に含まれ、建物の寿命を延ばすうえで大切な作業です。
こうした作業は専門の業者に依頼する必要があるため、前もって計画を立て、見積もりを取っておくと安心です。
物件清掃でお悩みの方や、外注先をお探しのオーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。
ご予算や物件に合わせた最適な清掃プランをご提案します。
共用部清掃の頻度とコスト
清掃の頻度は、物件の規模や立地、入居者数によって変わります。
この章では、清掃の適切な頻度とその費用について詳しく解説します。
※地域や業者、清掃内容によっても費用は変わるため、複数社から見積もりを取ることをおすすめします。
日常清掃の実施頻度・費用相場
日常清掃におけるおおよその頻度と費用相場は、下記のとおりです。
規模・タイプ | 頻度の目安 | 費用の目安(月額) |
小規模アパート (4~8戸) | 週1回 | 約1万~2万円 |
中規模マンション (10~20戸) | 週2~3回 | 約2万~4万円 |
大規模マンション (30戸以上) | 週3~5回 | 約4万~6万円以上 |
暮らす世帯数が多いほど共用部の利用が増え、どうしても汚れやすくなります。そのため、入居者数が多い物件ほど、より頻繁な清掃が求められる傾向があります。
特にゴミ置き場やエントランスなどは使用頻度が高く、こまめな清掃で清潔な状態を保つことが大切です。
定期清掃の頻度・費用相場
日常清掃におけるおおよその頻度と費用相場は、下記のとおりです。
規模・タイプ | 頻度の目安 | 費用の目安(1回あたり) |
小規模アパート (4~8戸) | 半年~1年に1回 | 約1万~3万円 |
中規模マンション (10~20戸) | 1~2年に1回 | 約3万~7万円 |
大規模マンション (30戸以上) | 1~2年に1回 | 約5万~10万円以上 |
日常清掃と同じく、物件規模が大きくなるほど作業範囲や内容が増えるため、頻度・費用ともに上がる傾向があります。
費用は清掃範囲や作業内容で大きく変わるため、まずは業者に相談し、必要な作業を整理してから見積もりを取るのがポイントです。
特別清掃の頻度・費用相場
特別清掃は、さまざまな種類のものがありますが、よく行われる清掃の頻度と費用の目安を以下にまとめました。
規模・タイプ | 頻度の目安 | 費用の目安(1棟1回あたり) |
配水管洗浄 | 3~5年に1回 | 約10万~30万円 |
害虫駆除 | 3~5年に回 | 約5万~15万円 |
外壁・屋上の特殊洗浄 | 5~10年に1回 | 約30万~100万円以上 |
特別清掃は、物件の状態や過去の実施履歴によって頻度が大きく変わります。
たとえば、排水管は築年数が古くなると詰まりやすくなるため、3年に1度は行いたいところですし、害虫駆除は建物の立地(緑が多い、飲食店が近いなど)によって、その必要性が変わります。
また、外壁や屋上の特殊洗浄は、劣化や汚れが目立ってきたタイミングでの実施が多く、特に分譲マンションでは大規模修繕のタイミングと合わせて行われることもあります。
いずれも特別清掃は高額になりがちな作業なので、余裕を持った予算計画と早めの相談がおすすめです。
共用部の清掃方法|自主清掃と業者委託の比較
オーナー自身が行うか、業者に委託するかは重要な判断ポイントです。それぞれのメリット・デメリットを整理して考えましょう。
自主清掃のメリット・デメリット
自主清掃のメリット・デメリットは以下の通りです。
自主清掃のメリット | 自主清掃のデメリット |
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自主清掃は、コストを抑えつつ物件の状況を細かくチェックできる点が魅力です。
ただし、掃除に時間や手間がかかり、特に高所作業や専門機材が必要な作業は対応が難しいことがデメリットです。小規模物件や自宅に近い物件であれば現実的ですが、物件数が増えると負担は大きくなります。
業者委託のメリット・デメリット
業者委託のメリット・デメリットは以下の通りです。
業者委託のメリット | 業者委託のデメリット |
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業者委託は、プロならではの技術と効率で清掃を任せられるのが最大の強みです。
特に中〜大規模物件では定期スケジュールで安定した管理ができ、入居者満足度の維持につながります。
ただし、コストがかかる点や、業者選びを誤ると仕上がりや対応に不満が出ることがあるので、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
物件清掃でお悩みの方や、外注先をお探しのオーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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清掃業者選びのポイント
清掃を業者に頼むとき、「どこにお願いすればいいのか?」と悩む方は少なくありません。
安さだけで選んでしまうと、「思っていた仕上がりと違った」という後悔につながることも。
以下で、信頼できる業者を見極めるための4つのポイントを紹介します。
豊富な実績と専門知識
まずは業者の実績や専門知識をチェックしましょう。
マンション・アパートの清掃は、ただ掃除をするだけではなく、建物や設備の特性を理解して対応できる経験が必要です。過去の実績例や得意分野を事前に確認することで、安心感を持って依頼できます。
特に物件の規模や清掃内容に合った実績があるかどうかは、選定の重要なポイントです。
対応エリア内かどうか
業者が対応エリア内かどうかは、見落としがちなポイントです。
遠方の業者に依頼すると移動費が上乗せされたり、急な対応が難しかったりする場合があります。近隣のエリアを得意とする業者を選ぶことで、コスト面・対応スピードの両方でメリットがあります。
また、エリアに精通している業者は、沿岸エリアや積雪地帯など、地域特有の清掃ニーズにも柔軟に対応してくれることが期待できます。
口コミ・評判の確認
実際にその業者を利用した人の口コミや評判は、とても参考になります。
清掃の仕上がりだけでなく、スタッフの態度や対応力などもチェックポイントです。
公式サイトや口コミサイト、管理会社からの紹介など、複数の情報源を比較するのがおすすめです。事前に評判を調べることで、信頼できる業者かどうかを見極めやすくなります。
契約内容や費用の透明性
契約を結ぶ前に、作業内容や費用の内訳がきちんと説明されているかをチェックしておきましょう。
「そんな費用がかかるなんて聞いていなかった…」と後で慌てないためにも、見積書や契約書の細かい部分まで目を通しておくことが大切です。
また、実際の契約書では具体的に、契約範囲(清掃箇所)、清掃頻度、緊急対応の可否、清掃後の報告書の有無などを明確にしておくことが重要です。
できれば複数の業者から見積もりを取り、無理のない範囲で比較検討すると安心できます。
オーナーが知っておきたい注意点
共用部清掃は外部に委託していても、最終的な管理責任はオーナーにあります。
入居者の満足度を下げないためにも、以下の点はきちんと押さえておきましょう。
入居者とのトラブル防止
定期清掃や特別清掃を行う際は、作業日や作業範囲を事前に掲示板や案内チラシで周知しておくことが大切です。
「いつ、どこで、どんな作業があるのか」を知らせておくことで、誤解やクレームを未然に防ぎ、入居者に安心感を与えられます。
また、自主管理から外部委託へ切り替えるときや、外部の清掃業者が変更になる場合も、入居者にきちんと案内を出しましょう。
さらに、基本的に清掃業者が各戸を訪問したり、呼び鈴を鳴らすことはないようにしておくのが原則です。
もしやむを得ず個別訪問が必要な場合は、書面投函だけではなく、必ず事前に電話連絡をして入居者本人に伝えることが大切です。
こうした配慮が、不要な不安や誤解を防ぐポイントになります。
清潔感維持と資産価値向上
エントランスや廊下、階段、ゴミ置き場などの共用部分がきれいに保たれていることで、入居者の満足度が高まり、退去率の低下や家賃の維持につながります。
さらに、定期的な清掃とメンテナンスを続けることで、建物の劣化を防ぎ、長期的には資産価値の維持・向上にも貢献します。
特に一棟物件では、売却やリフォームの際に「普段からきちんと管理されているか」が評価されやすくなるため、日々の清掃はオーナーにとっても重要な投資といえるでしょう。
オーナー自身が管理している場合も、外部委託している場合も、清掃の頻度や範囲を定期的に見直し、物件に適した維持管理を心がけることが大切です。
物件清掃でお悩みの方や、外注先をお探しのオーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。
ご予算や物件に合わせた最適な清掃プランをご提案します。
共用部清掃のシミュレーション例
共用部の清掃は、自主管理にするのか外注にするのか、また外注先のプランによっても年間の費用は大きく変わります。
以下の例を参考に、予算計画を立ててみましょう。
パターン | 清掃頻度 | 半年総費用 | 1年間総費用 |
①自主管理+定期清掃 | 週1回+年2回 | 約3万円 | 約6万円 |
②フル業者委託(日常+定期) | 週1回+年2回 | 約12万円 | 約24万円 |
【パターン①のケース】
定期清掃として年2回高圧洗浄を業者に依頼した場合、高圧洗浄機の購入費やメンテナンス費、自分で作業する手間を考えると、6万円という金額は決して高すぎるとはいえません。プロによる仕上がりや効率を考えると、十分に合理的な投資といえます。
【パターン②のケース】
週1回の清掃を1回あたり約2時間と仮定すると、年間で約100時間の清掃作業を24万円でアウトソーシングできる計算になります(2時間×週52回=約104時間)。この金額でオーナーの時間と労力、清掃にかかる経費を軽減できる点は大きなメリットです。
共用部清掃を外注した成功例・失敗例
共用部清掃を外注するか迷っているオーナーの方は多いのではないでしょうか。
「外注して本当に良かった」「こんなはずじゃなかった」――実際の声には、学べるポイントがたくさんあります。
最後に、実際の成功例と失敗例をご紹介し、後悔しない業者選びや運用のヒントをお伝えします。
成功例:業者選びで満足度UP
4世帯の一棟アパートを所有するオーナーAさんは、これまで自主清掃で共用部を管理してきました。小規模なので、自宅から物件までの距離もあったため、2週間に一度ぐらいのペースで行っていました。
しかし、以前から「共用部の汚れが目立つ」「入居者から掃除に関するクレームが多い」と悩んでいました。
そこで一念発起し、地域の口コミで評判の良い清掃業者への依頼を決断します。
大切な資産を長く保有したい、という想いで5社の清掃会社と会い、見積もりをもらいました。月に1度は自分で清掃することも検討し、業者に依頼する部分と自分で行う部分を慎重に見極めていきました。
依頼後は週1回のペースで共用廊下の掃き掃除やゴミ置き場の整理、高圧洗浄が行われ、物件全体が見違えるほど清潔に。
「これまで見過ごしていた細かい部分まで行き届くようになり、入居者から『きれいになりましたね』と言われたのが一番うれしかった」とAさんは話します。
その結果、内見時の印象が良くなり、空室の埋まりも早くなったといいます。
「正直、もっと早く業者に頼んでいればよかったと思います」と、Aさんは満足そうに語ってくれました。
失敗例:コスト優先でトラブル
一棟アパートを所有するオーナーBさんは、少しでも経費を抑えたいと考え、相場よりかなり安い料金を提示する清掃業者に依頼しました。
最初は「これで十分だろう」と思っていましたが、依頼後まもなく、共用部の掃き残しやゴミ置き場の不衛生さが目立つように。
入居者から「ゴミ置き場の悪臭が気になる」「今日掃除に入ったのに、ごみが落ちている」といったクレームが相次ぎ、内見者からも「管理状態が不安」という声が出てしまいました。
Bさんは慌てて業者に改善を求めましたが、忙しいことを理由に対応は遅く、結局別の業者に切り替えることになったそうです。
「最初からもう少し業者選びに慎重になればよかった」と、今ではコストだけで決めないことの大切さを実感しています。
共用部清掃は、物件の価値や入居者満足度を左右する重要な管理業務だからこそ、慎重な業者選びと計画的な運用が成功のカギとなります。
まとめ
共用部清掃は、「本当に必要?」「どこまでやるべき?」「業者に頼むと高いのでは?」と悩みがちなテーマです。
ですが、適切な清掃を行うことで入居者満足度が上がり、退去防止や空室対策、さらには物件の資産価値維持にもつながります。
自分でやるか、外注するか迷ったときは、まず今の負担や管理状態を見直し、無理のないやり方を検討してみましょう。
また、外注を選ぶ場合は、価格だけでなく実績や評判、契約内容をしっかり確認することで後悔のない選択ができます。
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