2025年のアパート市況の振り返り|国交省×楽待×健美家データで読み解く投資判断

2025年のアパート市況の振り返り|国交省×楽待×健美家データで読み解く投資判断

2025年のアパート市場は、全国的に価格水準がやや高止まりした一年でした。国交省の不動産価格指数や、楽待・健美家の最新データからも、その傾向が伺えます。
一方で、利回りや投資家の動きには細かな変化も見られました。
この記事では、3つの根拠データをもとに、2025年の市況を振り返りながら、今後の投資判断のヒントを探っていきます。
アパート経営を検討している方は、今の時代に合った戦略を見極めることが重要です。将来を見据えた不動産投資をしたい方は、ぜひ弊社へご相談ください。

この記事で分かること
  • 国交省の「不動産価格指数」から見る2025年のアパート価格動向と全国的な上昇傾向
  • 楽待・健美家の最新データによる一棟アパート市場の価格・利回り・地域差の実態
  • 首都圏と地方主要都市で進む「価格高止まり」と「利回り二極化」の背景
  • 表面上の数字では見えない、海外資金流入や金利転換リスクなどの潜在的リスク
  • 2025年以降に向けたアパート投資の見直し戦略と実践的アクションポイント

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国交省「不動産価格指数」で見る2025年のアパート市況

国交省「不動産価格指数」で見る2025年のアパート市況
(出典:国土交通省ホームページ)

国交省が公表する「不動産価格指数」とは、実際の取引価格をもとに全国の価格動向を示す指標のことです。
ここでは、そのデータから見える2025年のアパート市況をわかりやすく解説します。

不動産価格指数は172.5と過去最高を記録

不動産価格指数 商業用不動産

(出典:国土交通省プレスリリース「不動産価格指数(令和7年7月・令和7年第2四半期分)を公表」)
※本章の以下表・画像・データはすべて国交省の同レポートによる。

国交省が公表する不動産価格指数のうち、アパート投資に関わりが深いのが「商業用不動産(マンション・アパート一棟を含む)」の区分です。
この指数は、全国の実際の取引事例をもとに作成されており、賃貸住宅や収益物件の価格動向を把握するうえで最も信頼性の高い指標のひとつといえます。

上図は、最新データである2025年第2四半期までの不動産価格指数です。一棟マンション・アパートを表す緑ラインは、2025年以降も右肩上がりとなっています。
また、全体としても上昇傾向が続いており、収益物件市場の底堅さを示す結果となりました。

時期不動産価格指数(商業用不動産)対前期比(%)サンプル数
2008 Q2114.7703
2024 Q1165.4▲0.22,152
2024 Q2164.0▲0.92,253
2024 Q3169.03.12,472
2024 Q4168.0▲0.62,263
2025 Q1171.32.02,197
2025 Q2172.50.72,073

上の表は、国交省が統計を開始した2008年第2四半期からの価格指数の推移を一部抜粋したものです。
最新分では172.5を記録し、統計開始以来の過去最高値となりました。前期(2025年第1四半期)の171.3からもわずかに上昇しており、価格上昇の勢いが続いていることがわかります。
一方で、サンプル数は2,073件と前年よりやや減少しており、取引量がやや減少した中でも価格水準は維持されている状況です。

地方都市にも上昇が波及

商業用不動産価格指数の「マンション・アパート(一棟)」を見ると、2025年第2四半期時点で全国的に高い水準を維持しています。
特に、三大都市圏に限らず地方都市でも上昇傾向が確認され、価格上昇が全国に広がる動きが見られました。地価上昇や建築費高騰に加え、都市圏から地方へと投資資金が流入していることが背景にあります。
一方で、物件の供給は依然として限られており、需給の逼迫が高値維持を支えています。

アパート経営を検討している方は、今の時代に合った戦略を見極めることが重要です。将来を見据えた不動産投資をしたい方は、ぜひ弊社へご相談ください。


楽待「投資用不動産 市場動向」で見る2025年のアパート市況

楽待「投資用不動産 市場動向」で見る2025年のアパート市況
(出典:楽待公式ホームページ)

全国の投資家や不動産会社が利用する投資用物件サイト「楽待」では、毎月「投資用不動産 市場動向」を公表しています。
掲載件数や問い合わせ数、価格帯の推移など、リアルな取引現場の“肌感”を反映したデータが特徴です。ここでは、楽待の最新レポートから、2025年のアパート市場がどのような動きを見せているのかを見ていきましょう。

一棟アパート価格は集計開始以来の最高額を更新

平均価格は3期連続上昇
(出典:PR TIMES「投資用物件の価格が全種別で上昇、一棟アパート・区分マンションは過去最高額を更新 | 楽待株式会社のプレスリリース」)
※本章の以下画像・データはすべて楽待の同レポートによる。

楽待の四半期レポートを見ると、2025年7〜9月期の一棟アパートの平均価格は8,483万円と、2025年に入ってからも上昇を続けています。特に2025年1〜3月期の8,278万円から3期連続で上昇しており、集計開始以来の過去最高額を更新しました。

一方で、表面利回りは9.68%と前期の10.41%から低下。価格の上昇に対して賃料が追いついておらず、利回りの圧縮傾向が見られます。
それでも取引は活発で、都市部を中心に「高くても買いたい」という投資家心理が根強いことがうかがえます。

一棟マンション・区分マンションとの比較

同じレポートで見ると、一棟マンションの平均価格は2025年7〜9月期に2億2,315万円と回復傾向にあります。前期(4〜6月期)は一時的に下落したものの、再び持ち直しており、都市部を中心に堅調な取引が続いていることがわかります。
表面利回りは7.72%とわずかに低下しましたが、依然として安定した水準を維持。大規模物件ほど、金利上昇局面でも価格の下支えが強い傾向が見られます。

一方、区分マンションは平均価格2,743万円で小幅な上昇。利回りは6.75%と横ばいで推移しており、個人投資家が比較的手を出しやすい価格帯の安定感が際立ちます。
総じて、2025年はアパートが「価格上昇・利回り低下」、マンションが「価格安定・利回り横ばい」という対照的な動きとなりました。

首都圏だけでなく近郊エリアでも価格上昇が広がる

これまでのデータで注目すべきは、上昇の中心が東京都心だけではない点です。

利回りは回復傾向

利回りは回復傾向

神奈川・埼玉・千葉などの近郊エリアでも価格上昇が広がっており、全体の中価格帯そのものが底上げされています。特定の高額物件が平均を押し上げたのではなく、市場全体の地力が高まっていることがうかがえます。

さらに、日経平均株価が2025年10月27日に5万円を突破するなど、政権交代後の政策期待による投資マインドの高まりも影響していると見られます。
今後は金利や物価動向、新政権の経済政策が不動産市場にどのように波及するかが注目点となるでしょう。


健美家「収益物件 市場動向レポート」で見る2025年のアパート市況

健美家「収益物件 市場動向レポート」で見る2025年のアパート市況
(出典:健美家公式ホームページ)

投資家向け情報サイト「健美家(けんびや)」が毎月発表する「収益物件 市場動向レポート」では、全国の掲載物件データから平均利回りや価格変化を分析しています。
とくにアパート一棟市場では、エリア別の利回り差や価格調整の傾向が見えるのが特徴です。健美家のデータをもとに、2025年のアパート市況をより細かい角度から読み解きます。

8,500万円超えでも利回り8%台を維持

健美家「価格・利回りともに上昇」
(出典:不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)「収益物件市場動向四半期レポート<2025年7月~9月期>」)
※本章の以下画像・データはすべて健美家の同レポートによる。

健美家の最新データによると、2025年7〜9月期の一棟アパート平均価格は8,505万円と、前期から上昇を続けています。
この数値は、楽待の同時期データ(8,483万円)とほぼ同水準で、複数の調査で価格上昇トレンドが裏づけられています。

注目すべきは、価格が上がっているにもかかわらず、投資利回りが8.00%と安定している点です。
楽待では同期間の表面利回りが9.68%とやや高めに出ており、健美家の数字との差は「物件の掲載傾向」の違いによるものと考えられます。
健美家では都市圏中心の築浅・高品質物件が多く、価格上昇局面でも利回りを大きく落とさない堅調さが特徴的です。

2023年以降、アパート価格は一貫して上昇傾向にあり、平均価格としては8,000万円台が定着しつつあります。
金利上昇リスクが意識される中でも、安定した賃貸需要を背景に「アパート市場の底堅さ」が続いているといえるでしょう。

一棟マンション・区分マンションとの比較

健美家のレポートでは、一棟マンション・区分マンションともに価格が上昇傾向にあります。
とくに一棟マンションは回復基調が続き、区分マンションも中価格帯の底上げによって堅調さを保っています。

特徴的なのは、価格上昇と利回りのバランスが保たれている点です。
健美家のデータでは、価格上昇局面でも利回りの大きな低下は見られず、安定した運用環境が続いています。

一方、楽待のデータでは、いずれの種別も価格上昇がやや強く、利回りの圧縮傾向が見られます。
総じて、両データとも「価格は上昇、利回りは安定~微減」との傾向が共通しており、2025年の市場は投資需要の強さを裏づける結果となっています。

一都三県は全体的に利回り低下

一都三県は全体的に利回り低下

健美家のデータによると、一都三県では全体的に利回りが下落傾向にあります。
2025年時点で、東京23区の平均利回りは5%台後半まで低下し、川崎市や横浜市など周辺都市も7%前後にとどまっています。

背景には、地価や建築コストの上昇により物件価格が上がり続けている一方、家賃上昇が限定的なことがあります。
特に東京都心部では、築浅・好立地の物件ほど価格競争が激しく、利回りが圧縮されやすい状況です。

対照的に、千葉や埼玉といった近郊エリアでは7%前後の水準を維持しており、都心に比べて相対的に高利回りを確保しやすい地域といえます。

首都圏とその他の主要都市で二極化

主要都市のアパート利回り推移

健美家のデータを見ると、一棟アパートの利回りは地域によって明確な差が広がっていることがわかります。
2025年時点で、首都圏の利回りが6〜7%台にとどまる一方、地方主要都市では9%前後を維持。

特に神戸市・札幌市・仙台市では9%台と高い水準が続いており、賃料に対して物件価格が比較的抑えられていることが背景にあります。
これに対し、東京や大阪、福岡といった人口集中エリアでは、価格上昇による利回り低下が進んでおり、投資効率の面で差が広がっているようです。
円安を追い風に海外マネーが都心の収益物件に向かう動きが強まり、結果的に利回りを押し下げているように見受けられます。

アパート経営を検討している方は、今の時代に合った戦略を見極めることが重要です。将来を見据えた不動産投資をしたい方は、ぜひ弊社へご相談ください。


三つのデータで読み解く2025年アパート市況の全体像

三つのデータで読み解く2025年アパート市況の全体像

国交省の「不動産価格指数」、楽待の「投資用不動産 市場動向」、健美家の「収益物件 市場動向レポート」——。
それぞれが異なる角度からアパート市場を映しています。数字だけを追うのではなく、これらをあわせて見ることで、2025年のアパート市況がより鮮明に見えてきます。ここでは、3つのデータから見えてくる全体像を整理しながら、市場の流れを掴んでいきましょう。

価格は高止まりでも投資需要は堅調

2025年のアパート市場では、価格が高止まりする中でも投資マインドの強さが目立ちました
金利上昇や物価高といった不確実要因がある一方で、現金資産を不動産へ移す動きが根強く、「インフレに強い実物資産」としてアパート投資を選ぶ層が増えています。
不動産投資をする方が増えているのも、「インフレ対策ができる安定資産」という点に利点を見出していると考えられます。

特に目立ったのは、「安定収益を重視する投資家層の拡大」です。一時的な利回りよりも、長期的に入居が見込めるエリア・構造の物件を選ぶ傾向が強まりました。
また、相続対策や事業承継を意識した購入も増えており、アパートが「収益物件」だけでなく「資産形成ツール」として再評価されつつあります。
さらには、円安基調を背景に海外資金の流入も市場の底支え要因となりました。外資系ファンドや個人投資家が東京・大阪などの都心物件を中心に買い進めており、国内投資家の心理にも「価格はまだ上がるかもしれない」という安心感を与えた側面があるでしょう。

築浅・好立地への偏りが強まる

三つのデータに共通して見られるのは、新しい物件ほど価格が維持されやすい構造です。建築コストの高止まりにより、新築・築浅物件は希少性が増し、結果的に市場全体の価格を押し上げています。
一方で、築20年以上のアパートでは修繕費・空室リスクを理由に価格の伸びが鈍く、市場が二層化しているのが現状です。
つまり、2025年のアパート市場は「全体が上がった」というよりも、「選ばれる物件だけが値上がりする」時代に入ったといえるでしょう。

「数字だけでは見えないリスク」の浮上

統計上の価格や利回りは堅調に見える一方で、その裏では不安定な要素もじわりと広がっています。
特に都心部では、円安を背景にした海外マネーの流入が価格を押し上げている構図が顕著です。
一見すると市場を活性化させる要因に思えますが、為替や金利の環境が変わった途端、その資金が一気に海外へ戻るリスクをはらんでいます。
実際、外資系投資家は短期的なリターンを重視する傾向が強く、金利上昇や為替の反転局面では、売却圧力が一気に高まる可能性があります。
また、都心部の高値取引が続くことで、実需層との価格乖離が広がり、「買いたい人がいても、融資が通らない」というケースも増えています。

このように、データでは見えないリスクがじわりと積み重なっており、表面的な価格の堅調さだけで市場を判断するのは危うい局面に入りつつあるといえるでしょう。


2025年だからこそ見直すべき投資戦略とアクション

2025年だからこそ見直すべき投資戦略とアクション

価格が高止まりし、金利や為替も読みにくい2025年。数字だけを追う時代は終わり、これからは「収益構造を見抜ける投資家」が成果を出すフェーズに入っています。
同じ物件価格でも、管理コストや修繕積立、賃料維持力によって実際のキャッシュフローは大きく変わります。
また、人口の増減や街の再開発の動き、地域ごとの暮らしやすさなど、数字では見えにくい情報をどう読み解くかも重要です。ここでは、今の市況だからこそ見直したい2つの行動ポイントを紹介します。

「高値圏」での買いは収益構造を精査して挑む

価格が上昇しきった今こそ、「買う」よりも「どう収益を生むか」に目を向けるべきです。
表面利回りや価格だけで判断するのではなく、実質利回り(手残り)や長期修繕費、管理費率を細かく分析することが不可欠です。

とくに2025年以降は、家賃相場の上限が見えつつあり、「運営の質」が収益を左右する時代に入っています。
購入前の段階で、

・想定賃料がどのくらい下がっても黒字を維持できるか
・修繕積立や原状回復コストをどこまで吸収できるか

といったシミュレーションをしておくことが、投資判断の分かれ目になります。

また、賃貸ニーズが強いエリアでも、再開発による競合増加や築年劣化による選ばれにくさが出始めている物件もあります。
「買える物件を買うこと」だけでなく「勝てる運営設計」を持つことが、2025年以降はより重要になるでしょう。

保有物件は「再評価」と「再設計」を

すでに物件を所有している方は、価格が高止まりしている今だからこそ、ポートフォリオの棚卸しを行うタイミングです。

  • 売却してキャッシュポジションを高めるのか
  • 建替え・リノベで資産価値を再生するのか
  • 管理や賃料体系を見直して利回りを改善するのか

といった「再設計の選択」が投資全体の方向性を決めます。

特に築20年以上のアパートは、「ただ持っているだけ」ではリスクになることもあります。とはいえ、古いからといって価値がなくなるわけではありません。
水回りの設備を入れ替えたり、内装のデザインを工夫したりするだけでも、賃料をしっかり維持できるケースは多いものです。

大切なのは、「売るか持つか」の二択だけで考えないこと。
「どうすれば今の物件をもっと活かせるか」という視点で見直してみると、思いがけない収益アップの道が見えてくるかもしれません。

また、金融機関の融資スタンスが変わる前に、保有物件の収益性、金利条件や担保価値を見直しておくことも、今行うべき重要なアクションです。
時代の変化を受け流すのではなく、自らの資産を見直す姿勢が、次のフェーズへの成長戦略になるでしょう。

収益最大化―賃貸管理


まとめ

2025年のアパート市場は、価格の高止まりが続く一方で、投資需要の強さが際立った一年でした。
国交省・楽待・健美家の3つのデータを総合すると、数字上は安定して見えるものの、実際の現場では「選ばれる物件」と「そうでない物件」の差が明確に開き始めています。

また、海外資金の流入や金利動向といった外部要因が市場を支える一方で、その裏には、為替や景気の転換によって一気に環境が変わるリスクも潜んでいます。
「データ上の堅調さ」に安心するのではなく、物件の質・立地・長期の収益計画を冷静に見極めることがこれまで以上に重要です。

今後は、「高値圏」での購入判断や保有物件の見直しがカギとなります。アパート経営をすでに行っている方はもちろん、これから投資を検討する方も、市場の数字だけでなく「その背景にある動き」を読み解くことで、リスクを抑えながら安定した資産形成につなげられるでしょう。

アパート経営を検討している方は、今の時代に合った戦略を見極めることが重要です。将来を見据えた不動産投資をしたい方は、ぜひ弊社へご相談ください。

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