
「気づいたら資産の8割が株式になっている」
「不動産ばかり持っていて現金が足りない」
突然ですが、今あなたはこうした状況に陥っていませんか?
株式・不動産・現金などを偏りなく持つことで、どんな市況でも安心して資産を守れる状態をつくることができます。
そこで、本記事では、資産組み換えの基本的な考え方から資産別の特徴、実践方法、ポイントまで、わかりやすく解説していきます。
資産を見直すタイミングは、人それぞれ。「自分はどう動くべき?」と迷われた際は、いつでもお気軽に弊社へご相談ください。お客様の目的や状況に合わせて、最適な組み換えの方向性をご提案いたします。
| この記事で分かること |
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目次
資産組み換えとは?なぜ必要なのか
「資産組み換え」とは、持っている資産の割合が偏りすぎないように調整し、目的に合った形へ戻すことです。時間が経つと、資産配分は自然と変化してしまいます。
たとえば、当初は株式50%・債券50%で始めても、株価が上がれば株式70%・債券30%になることがあります。一見、資産が増えて良い状態に思えますが、実はリスクが大きくなった状態です。
もし株価が急落すれば、資産全体のダメージが大きくなる可能性があるからです。そのため、定期的に偏りを修正し、リスクとリターンのバランスの配分調整が重要になります。
リスク回避以外に、資産組み換えが必要な理由が大きく3つあります。
- 市場環境の変化に対応するため
- ライフステージの変化に合わせるため
- 税制優遇を最大限活用するため
市場環境によって資産の構成はすぐ偏ってしまいますし、年齢によって取れるリスクも変わります。また、NISAやiDeCoなど税制優遇も変化します。
だからこそ、いつでも「自分に最適な状態」を保つために、定期的な資産組み換えが必要なのです。
主な資産クラスの特徴を理解しよう
保有資産の組み換えを考える前に、まずは各資産の特徴を理解することから始めましょう。
代表的な6つの資産を「リスクとリターンの関係」で整理すると、下記のようになります。(資産クラスの運用商品にもよります)
| 資産クラス | リスク | リターン |
| 株式 | 高 | 高 |
| 債権 | 低~中 | 低~中 |
| 不動産 | 中~高 | 中~高 |
| 金 | 中 | 低~中 |
| 投資信託・ETF | 中~高 | 中~高 |
| 現金 | 低 | 超低 |
一般に、リスクが高い資産ほどリターンも大きくなり、リスクが低い資産はリターンも小さくなる傾向があります。
つまり、どの資産が良い・悪いではなく、性質を知ったうえで「自分の目的に合った配分」にすることが重要です。以下で、各資産の具体的な特徴を解説していきます。
①株式
株式は、長期的に最も高いリターンが期待できる資産です。過去のデータを見ると、株式の年平均リターンは5〜7%程度とされ、他の資産クラスを上回っています。配当収入も得られるため、保有しているだけで定期的なキャッシュフローが生まれます。
株式の大きな強みは、インフレに強い点です。企業は物価上昇に合わせて商品価格を引き上げられるため、実質的な価値を保てます。現金や債券がインフレで目減りする中、株式は価値を維持しやすいのです。
ただし、短期的な価格変動は激しく、1年で30%下落することもありえます。リーマンショックやコロナショックのような危機では、50%以上下落することもあります。
投資には元本割れの可能性がつきものです。だからこそ、どこまで損失を受け入れられるのか、自分のリスク許容度を理解したうえで判断することが大切です。
また、個別株投資には銘柄選定のスキルが求められます。業績が悪化すれば株価は下がり、最悪の場合は倒産して無価値になるリスクもあります。初心者なら、複数の銘柄に分散投資できる投資信託やETFから始めるのが賢明です。
【向いている人】
- 長期で資産を増やしたい人
- 給与収入が安定している人
- 価格変動に動じにくい人
- インフレ対策をしたい人
- 分散投資できる人
②債券
債券は、国や企業が発行する借用証書のようなものです。投資家が資金を貸し、発行体は定期的に利息を支払い、満期には元本を返済します。株式より価格変動が小さく、安定性を求める人に適しています。
債券の魅力は、予測可能な収入です。年2回の利息支払いが事前に決まっているため、計画的な資金運用ができます。満期まで保有すれば元本が戻る(デフォルトしない限り)ため、心理的な安心感もあります。
国債は信用リスクが低く、安全性が高い資産です。日本国債なら、日本政府が破綻しない限り元本が保証されます。一方、社債は企業の信用力に依存するため、利回りは高いもののリスクも高まります。
デメリットは、リターンが低い点です。現在の日本国債の利回りは1%前後と低く、大きな資産形成は期待できません。また、金利上昇時には債券価格が下落するため、満期前に売却すると損失が出る可能性があります。
インフレにも弱いのが欠点です。物価が上がると、固定利息の実質的な価値が目減りします。年2%のインフレなら、利回り1%の債券は実質的にマイナスになってしまいます。
【向いている人】
- 値動きに不安を感じる人
- 定期収入がほしい人
- 近い将来に使う資金を守りたい人
- 資産を大崩れさせたくない人
- 株式だけでは不安な人
③不動産
不動産投資には、「物件を購入して家賃収入を得る方法」と「REIT(不動産投資信託)」で間接的に投資する方法があります。実物不動産の場合、入居者がいる限り毎月の家賃が入り、安定したキャッシュフローを得やすいのが魅力です。
また、ローンを活用できる点もメリットです。たとえば、自己資金1,000万円でも、銀行融資によって5,000万円規模の物件を購入し、本来自分の資金だけでは得られない家賃収入や資産価値を手にすることができます。これが他の資産にはあまりみられない「レバレッジ効果」です。
一方で、不動産ならではのデメリットもあります。売却には数か月かかり、急な資金化には向きません。入居者対応や修繕などの管理業務が発生し、想定外の手間やコストが発生することもあります。
特に空室リスクには注意が必要です。退去が続けば収入がなくなり、ローン返済は継続。築年数が進むと競争力が落ちやすく、家賃下落につながるケースもあります。また、災害や事故など、保険だけでは補いきれない損失リスクもゼロではありません。
REITであれば、少額から始められ、流動性が高く、管理の手間もありません。ただし、価格変動はあるため、短期的に値下がりする可能性もあります。
【向いている人】
- 長期で家賃収入を積み上げたい人
- ローンを活用して資産規模を拡大したい人
- 築年数・立地・人口動態を調べるのが苦にならない人
- 手間や管理コストも「投資の一部」と考えられる人
- 将来の売却益や資産としての保有価値を重視する人
④金
金は、何千年も前から価値を認められてきた資産です。株式や債券と違い、企業や国家の信用に依存しません。そのため、経済危機や戦争、政情不安といった「有事」の際に、価値を保つ傾向があります。
金の魅力は、株式や債券と逆の動きをすることが多い点です。株価が暴落する局面で金価格が上昇すれば、ポートフォリオ全体の下落を和らげられます。分散投資の観点から、資産の5〜10%を金で保有する投資家は少なくありません。
また、金はインフレヘッジとしても機能します。物価が上昇すれば、金の価格も上がる傾向があります。円安で現金の価値が目減りする中、金は実質的な購買力を維持できるのです。
デメリットは、配当や利息が一切ない点です。株式なら配当、債券なら利息がありますが、金を持っているだけでは収入は生まれません。長期的なリターンも株式より低く、過去数十年のデータでは年平均2〜3%程度とされています。
現物の金を保有するなら、保管コストもかかります。自宅で保管すれば盗難リスクがあり、銀行の貸金庫を使えば年間数万円の費用がかかります。金ETFや金地金積立なら、保管の手間はありませんが、手数料が発生します。
価格変動もあるため、短期的には損失が出ることもあります。ただし、長期的には価値を保つ傾向があるため、「守りの資産」として少額保有するのが現実的です。
【向いている人】
- 有事に備えたい人
- インフレ対策をしたい人
- 資産の一部を守りたい人
- 現物資産に安心感を持つ人
- 長期でコツコツ保有できる人
⑤投資信託・ETF
投資信託とETFは、複数の株式や債券をパッケージ化した商品です。1つの商品を買うだけで、数十〜数百の銘柄に分散投資できます。少額から始められ、初心者でも扱いやすいのが最大の利点です。
投資信託には、インデックス型とアクティブ型があります。インデックス型は、日経平均やS&P500といった指数に連動することを目指し、低コストで市場全体に投資できます。アクティブ型は、プロが銘柄を選定して市場平均を上回るリターンを狙いますが、信託報酬が高く、実際には市場平均を下回ることも多くあります。
ETFは、上場投資信託のことで、株式と同じように市場で売買できます。リアルタイムで価格が変動し、いつでも売買できるのが特徴です。投資信託より信託報酬が低い傾向があり、長期投資に向いています。
デメリットは、コストがかかる点です。信託報酬は年0.1〜2%程度かかり、長期保有するほど負担が重くなります。また、元本保証はなく、市場全体が下落すれば投資信託やETFも下がります。
とはいえ、個別株を選ぶ手間がなく、自動的に分散投資ができるため、投資初心者には最適な選択肢です。NISAやiDeCoでも投資信託やETFが中心商品として扱われています。
【向いている人】
- 少額から安全に分散投資したい人
- 個別銘柄を選ぶ時間や知識がない人
- 長期でコツコツ積み立てたい人
- 価格変動をあまり見たくない人
- NISAやiDeCoを活用して効率的に増やしたい人
⑥現金・預金
現金・預金は、最も基本的な資産です。リターンはほとんどありませんが、流動性が高く、いつでも使えるのが最大の強みです。緊急時の医療費、突然の失業、冠婚葬祭——予期せぬ出費に対応できるのは現金だけです。
元本が保証される(預金保険の範囲内で1,000万円まで)ため、心理的な安心感もあります。株価が暴落しても、現金は減りません。市場が混乱している時に、冷静に判断できる余裕を与えてくれます。
また、暴落時に買い増しできるのも現金の利点です。株価が大きく下がった時に現金があれば、割安な株式を購入できます。「現金は機会」という言葉があるように、チャンスを逃さないための待機資金として重要です。
デメリットは、リターンがほとんどない点です。現在の普通預金金利は0.001%程度と超低金利で、100万円預けても年間10円しか利息がつきません。資産形成という観点では、現金だけを持っているのは非効率です。
さらに、インフレにも弱いのが欠点です。物価が年2%上がれば、現金の実質的な価値は毎年2%ずつ目減りします。10年後には、今の100万円は実質的に82万円の価値しかなくなります。適切な現金保有額は、生活費の3〜6ヶ月分とされています。月30万円で生活しているなら、90万〜180万円を現金で確保し、残りは投資に回すのが合理的です。
【向いている人】
- 急な出費に備えたい人
- 近い将来に使う予定がある人
- 相場が荒れても気持ちを安定させたい人
- 暴落時に“チャンス買い”を狙いたい人
- 低リスクの運用を好む人
資産を見直すタイミングは、人それぞれ。「自分はどう動くべき?」と迷われた際は、いつでもお気軽に弊社へご相談ください。お客様の目的や状況に合わせて、最適な組み換えの方向性をご提案いたします。
いつ資産組み換えをすべきか
資産組み換えが必要とされる時期は、大きく分けて3つあります。「年齢」「市場環境」「ライフイベント」によるタイミングです。
以下のタイミングごとに、どのように資産を動かすべきかを分かりやすく解説していきます。
年齢による組み換え
人生のステージが変われば、お金の役割も変わります。
若いうちは資産を育てるフェーズですが、年齢を重ねるほど守るフェーズが強くなっていきます。
| 年代 | 特徴 | 最適な資産配分の考え方(目安) |
| 20~30代 | 長期運用できる/収入が安定 | 株式70%、債券20%、現金10% |
| 40~50代 | 教育費・住宅ローン/老後準備 | 株式50%、債券30%、不動産10%、現金10% |
| 60代以降 | 取り崩し期/年金中心の生活 | 株式30%、債券50%、現金20% |
自分の年齢が上がるにつれ、資産に求める役割は変わります。
たとえば、20〜30代で積み上げた資産は「増やすこと」が主な目的ですが、
60代に近づくほど、そのお金は実際の「生活費の補填」や「医療費の備え」として使う場面が増えていきます。
つまり、「育てる資産」から「使える資産」へ段階的に切り替えていくことが大切です。
この切り替えを早めに行えるかどうかで、安心して長く暮らせるかが大きく変わります。
市場環境による組み換え
資産価格は日々変動するので、放っておくと知らないうちにリスクが偏ってしまいます。
上がった資産は一部売却してバランスを取り、下がった時は無理のない範囲で買い増す。これだけでも、長い目で見れば大きな差になります。
| 市場環境 | 行動のポイント |
| 株価上昇(利益増) | 一部売却・リバランスによりリスク抑制 |
| 株価下落(暴落) | 余裕資金での買い増しで回復効果の享受 |
| インフレ加速 | 現金・債券を減らしインフレ耐性資産へ |
情報に張り付いて、市場を予測する必要はありません。
短期の値動きではなく、将来使う目的に近づいているかで判断することが、迷わず続けるコツです。
ライフイベントによる組み換え
人生には「お金が絶対必要な日」が、何度もやってきます。
その日までに、安全に準備できているかが大切です。
| イベント | いつから? | 組み換えの例 |
| 住宅購入 | 3~5年前 | 株式→現金 |
| 子どもの進学 | 2~3年前 | 教育費を現金化 |
| 退職 | 5年前 | 債権・現金の比率UP |
必要時期が近づくほど、流動性の高い資産を増やし、確実に使える形へ変えていける準備をしましょう。
「使うべき時に、きちんと使える状態にしておく」それが資産組み換えの本質でもあります。
資産組み換えを成功させるための実践ステップ
資産組み換えを「思いつき」で行うと、かえって損をしてしまうことがあります。
成功のカギは、仕組みをつくり、感情に流されずに続けることです。ここでは、どなたでも今日から実践できる3つのステップを紹介します。
①ルールを決めてブレない運用をする
まず、「何のために運用するのか」をはっきりさせます。
- 老後資金なのか
- 教育費なのか
- 相続対策なのか
によって、取るべきリスクも資産配分も変わります。
次に、自分がどれくらいの損失まで耐えられるか(リスク許容度)を把握します。
10%の下落で眠れなくなるようなら、株式比率を高くするのはおすすめできません。そのうえで、
・一度に全額動かさない(数回に分ける)
・年に1〜2回は配分をチェックする
というルールを決め、淡々と継続します。たとえ市場が荒れても、一時の感情で売買しないことが成果の差になります。
②「冷静な自分」を見失わない
運用中は、「上がった資産はもっと伸びるはず」「下がった資産はしばらく放っておこう」と考えてしまいがちです。
しかしこれは、行動経済学でも指摘されている典型的な損失回避バイアス。
リバランスは、この「人のクセ」を補正し、意図しない失敗を防ぐための仕組みです。
運用を始めた当初に決めた配分は、「冷静な自分」が考えた最適解です。だからこそ、年に1〜2回でもその配分に立ち返ることで、理想とする原点に戻ることができます。
③税制優遇制度と損益通算を上手に使う
資産運用では利益が出ても、税金でその20%近く差し引かれてしまいます。
だからこそ、税制の武器を活用します。
- NISA:売却益・配当が非課税。組み換えても税負担ゼロ
- iDeCo:掛金全額所得控除+運用益非課税(ただし60歳まで引き出せない)
- 損益通算:損失を利益と相殺し税負担を軽減(翌3年まで繰越可)
利益を最大化するというより、税金で目減りさせない工夫が資産寿命を延ばします。
まとめ
資産組み換えは、単に資産を入れ替える作業ではなく、「これからの人生に、今の資産の形が本当に合っているか」を定期的に考え直すプロセスです。
- 株式の比率が膨らみすぎていないか。
- 現金が少なすぎて、急な出費に対応できなくなっていないか。
- 老後資金や教育資金といった、将来必要な場面に向けて準備ができているか。
市場も、制度も、ライフステージも変化していきます。最適だった配分も、数年後にはリスクの種になり得ます。
だからこそ、「目的に合った資産のかたち」を維持し続けることが、長期的に資産を守り、育てる力になります。
もし今のポートフォリオに少しでも違和感や不安を感じているなら、それは見直しのサインかもしれません。
資産を見直すタイミングは、人それぞれ。「自分はどう動くべき?」と迷われた際は、いつでもお気軽に弊社へご相談ください。お客様の目的や状況に合わせて、最適な組み換えの方向性をご提案いたします。










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