賃貸中物件の売却で失敗しないために|事前準備6つのポイント

賃貸中物件を売却するときの注意点|買主が必ず確認する6つのポイント

「そろそろ手放そうかな」
そう思ったとき、オーナーチェンジ物件は何から手をつけていいのか分かりにくいものです。入居者がいる分、実需物件の売却とは勝手が違うからです。

今回は、私たちが日々の管理業務の中で実際によく相談を受ける「売却前に整理しておきたいこと」を、準備段階に絞ってお伝えします。

オーナーチェンジ物件の売却について「今売るべきか相談したい」という方は、まずはお気軽にご相談ください。物件の状況を確認しながら、売却準備の進め方をご案内いたします。

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【オーナーチェンジ】投資物件の売買は情報商戦

【オーナーチェンジ】投資物件の売買は情報商戦

はじめに知っておいてほしいのですが、投資用物件は入居中のまま、中を見せずに売買されるのが基本形です。
買主(多くは投資家)も、部屋の中を見て判断するつもりで物件を探しているわけではありません。

では何を見て判断するかというと、立地や外観、そして数字です。
家賃収入の実績、契約内容、修繕の履歴——こうした資料を頼りに、この物件を買うかどうかを決めています。
つまり、中を見られない分「どれだけ正確で厚みのある情報を出せるか」が、そのまま物件の印象を左右する「情報商戦」になっているということです。

情報が曖昧なままだと、買主はどうしても不安になり、そこを値下げ交渉の材料にされてしまいます。
私たちも過去に、情報が揃っていなかったせいで交渉が難航してしまった案件をいくつも見てきました。

また、意外と着目されているのが、入居者の契約更新時期や、今後の退去見込みとの兼ね合いです。

たとえば、入居者が退去を検討しているタイミングであれば、「オーナーチェンジのまま売る」か「退去を待って空室で売る」かによって、想定される買主層も価格も変わってきます。投資家向けに早期売却するのか、実需向けに高値を狙うのか——この判断は、日々の入居者対応の中でしか見えてこない部分です。

売却を意識し始めたら、まずは自分の物件の「賃貸の中身」を客観的に見直しておくこと。それが、この情報商戦を有利に進める一番の近道です。


売却前にまとめておきたい6つの情報

いざ整理しようとすると、「物件の詳細を把握できていない」という方は意外と多いものです。
ここでは、買主が必ずと言っていいほど確認してくる項目を挙げます。

①賃貸借契約の内容

①賃貸借契約の内容

まずは、入居者と締結している賃貸借契約の内容です。

  • 現在の賃料状況(レントロール)
  • 契約形態(普通借家契約か定期借家契約か)
  • 契約期間
  • 更新時期
  • 特約事項

上記は、買主が最も気にするポイントです。
特に定期借家契約であれば、契約満了時期によって「すぐに自分で使える物件」として訴求できる一方で、購入後も賃貸経営を続けたい投資家からは敬遠されることもあります。
物件を誰に売りたいのかによって、メリットにもデメリットにもなり得るポイントです。

契約書一式は、管理会社が原本または写しを保管していることが一般的です。

なお、サブリース契約になっている場合は特に注意が必要です。
売却時には、サブリース契約をそのまま買主へ引き継ぐケースもあれば、事前に解約してから売却するケースもあります。
投資家の中には、引継ぎ・運用の自由度が下がることから、サブリース契約付きの物件を敬遠する方も多いです。
売却の選択肢を広げるためにも、契約内容や解約条件は早めに確認するようにしてください。

②家賃の滞納状況と入居者の支払い履歴

②家賃の滞納状況と入居者の支払い履歴

次に、直近の家賃の入金状況です。

  • 過去の滞納の有無、回数
  • 現在も未収金が残っていないか
  • 保証会社加入の有無、連帯保証人の有無

一度や二度の数日程度の遅れならさほど気にされませんが、慢性的に滞納が続いている入居者がいると、買主は「この賃料は本当に安定して入ってくるのか」と疑い始めます。

特に保証会社に加入していない契約は、それだけで大きなリスクとして見られやすくなります。
今でこそ保証会社への加入が当然の賃貸市場になっていますが、一昔前はそうではありませんでした。
そのため、長年住み続けている入居者ほど保証会社に加入していないケースも多いのです。入居者に支払いの遅れが目立つ場合や、保証会社に加入していない場合は、特に注意して確認しておきたいところです。

③敷金・原状回復・修繕の状況

③敷金・原状回復・修繕の状況

お金と建物の状態に関する情報も重要です。

  • 預かっている敷金の額と、退去時の原状回復の取り決め
  • これまでの退去時に何を交換・修繕したか(クロス、設備など)
  • 直近の修繕履歴(給排水、外壁、屋上防水など)
  • 今後予定されている大規模修繕の有無と時期

買主が気にしているのは「今後どれくらい修繕費がかかりそうか」です。
給湯器やエアコンなど、高額費用のかかる設備は質問に挙がりやすい傾向にあります。

また、次の大規模修繕がいつ頃発生しそうかは購入後の収支計画に直結するため、ほぼ必ず聞かれます。
いつのタイミングで、どこを、いくらかけて直したか——この記録はしっかりと整理しておきましょう。

④入居者とのやり取り・クレーム対応の履歴

④入居者とのやり取り・クレーム対応の履歴

入居者との関係性も、購入時の判断ポイントになります。

  • 騒音や設備不良などのクレームの有無
  • 対応にかかった期間や解決までの経緯
  • 現在も未解決のトラブルが残っていないか

買主が本当に知りたいのは「この入居者は長く住み続けてくれそうか」という点です。

重大な入居者間のトラブルやクレームについて、聞かれない限り自分からは話さない、というオーナー様もいます。ただし、隠しても契約が引き継がれる以上、いずれ買主の耳に入る可能性はあります。
大事なのは、記録としてきちんと残っているか、そのときに適切な対応がされていたかという部分です。対応の記録が残っていれば、それ自体が管理の質を示す材料になります。
売却活動中、買主から「過去にどんなトラブルがありましたか」「今は解決していますか」と質問されることもあります。そのようなとき、日頃から管理している会社であれば経緯を把握しているため、確認に時間がかからず、スムーズに回答できることが多いでしょう。

⑤火災保険・保証会社・法定点検などの契約関連

⑤火災保険・保証会社・法定点検などの契約関連

そして、契約に付随する周辺契約です。

  • 火災保険の契約内容と満期
  • 家賃保証会社との契約(引き継ぎの可否)
  • 消防点検など法定点検の実施状況

保証会社との契約は物件ではなくオーナー個人に紐づいているケースもあり、そのままでは買主に引き継げないことがあります。
法定点検の記録が残っていない場合、買主側で改めて点検を行う必要があり、その費用(数万円程度)が発生することもあるため、あらかじめ確認しておきたいポイントです。

⑥あるとなお良いプラスアルファの資料

⑥あるとなお良いプラスアルファの資料

ここまでの5つが揃っていれば、まずは十分です。
余裕があれば、次のような数字も用意しておくと、買主側の心理的なハードルはさらに下がります。

  • 空室期間の実績(すぐ埋まる物件かどうか)
  • 管理費・修繕積立金の推移(区分所有の場合)

先ほどお伝えした「情報商戦」の話に戻ると、こうした数字が並んでいるだけで「きちんと運用されてきた物件だ」「堅実なオーナーだから大丈夫そうだ」というプラスの印象を与えられます。


売却準備は「情報整理」から始めよう

オーナーチェンジ物件は、室内を見てもらえないことが多いからこそ、契約内容や管理状況といった「情報」が売却価格や売れやすさを左右します。

今回ご紹介した6つの項目は、どれも買主から確認されることが多いものです。売却が決まってから慌てて資料を探し始めるより、早めに整理しておくだけでも、その後の動きはずいぶん変わってきます。
もし管理会社へ管理を委託しているのであれば、契約書や修繕履歴、家賃の入金状況、入居者対応の記録など、多くの情報がすでに管理会社に蓄積されています。オーナー様が一から資料を集めなくても済む場合もあるため、一度確認してみるとよいでしょう。

「まだ売るかどうか決めていない」という段階でも大丈夫です。まずは今の物件がどんな状態なのか、整理してみることから始めてみませんか。
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