「サブリース契約のトラブルってどんなものがあるの?」
「サブリース契約のトラブルって結局何が問題なの?」
不動産投資をしようと物件購入を検討していると、不動産会社から、物件とサブリースとをセットで勧められることも少なくありません。このサブリースについて、「危険」「危ない」という噂を耳にしたこともあって、実際にどのようなトラブルがあるのか気になっている方も多いでしょう。
この記事では、サブリースのトラブルとして、まず知っておくべき3大事例と7つのトラブルのパターンについて紹介します。
サブリース契約のトラブル3大事例 |
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上記の3大事例は、過去に大々的に報道され、社会問題にもなった有名なトラブル事例です。
業界では広く知られていることであるため、知らないで同様のトラブルに引っかかると「不動産投資をするにしては少々勉強不足では……」と言われてしまうかもしれません。しっかり把握して警戒しておくことがおすすめです。
またこれらのトラブルは、決して過去のことではなく、現在も同様のことが起きています。現在でも起きているトラブルのパターンをまとめると下記の通りです。
サブリース契約のよくあるトラブルパターン7つ |
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こうしたトラブルを知らないでうっかりサブリース契約をしてしまうと、下記のような事態に陥ってしまう可能性があるため注意しましょう。
サブリーストラブルを把握していないと起きること |
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上記のような事態に陥らないためにも、ぜひ最後まで目を通してみてください。
▽この記事でわかること
- サブリース契約のトラブル3大事例
- サブリース契約のよくあるトラブルパターン7つ
- サブリースのデメリットを把握していないと誰にでもトラブルは起こりうる
- 初心者はサブリース契約を避けた方がよい
- サブリースを利用しても問題ないのはこんな人
- サブリースに不安がある場合は管理委託の利用がおすすめ
記事の後半では、初心者がサブリースを避けた方がいい理由や、サブリースを利用しても問題のない人のタイプがわかります。サブリースの利用について適切な判断をするためにも、ぜひ一読してみてください。
目次
- 1. サブリース契約のトラブル3大事例
- 1-1. 【かぼちゃの馬車問題】サブリース会社の経営破綻で多くのオーナーが自己破産の危機に陥ったトラブル
- 1-2. 【D社サブリース商法問題】大手企業のセールストークを鵜呑みにしたオーナーの多くが破産の危機に面したトラブル
- 1-3. 【L社サブリース違法建築問題】サブリース契約で建てられた物件が不良物件だったトラブル
- 2. サブリース契約のよくあるトラブルパターン7つ
- 2-1. 家賃減額を受けて赤字続きとなった
- 2-2. 一方的に契約を解除され賃料収入が突然途絶えた
- 2-3. 家賃保証のはずが入金されない期間があった
- 2-4. 過大な修繕費を請求された
- 2-5. サブリースを解約したくても解約させてもらえなかった
- 2-6. 入居者が選べないことで資産価値が下がった
- 2-7. 物件価値の低いものを買わされた
- 3. サブリースのデメリットを把握していないと誰でもトラブルは起こりうる
- 3-1. 【デメリット1】家賃は大幅に減額されることがある
- 3-2. 【デメリット2】サブリース契約はサブリース会社側から一方的に解除されることがある
- 3-3. 【デメリット3】家賃保証があっても免責期間は賃料が支払われない
- 3-4. 【デメリット4】サブリース会社によっては修繕費が割高になることがある
- 3-5. 【デメリット5】オーナー側からは簡単に解約ができない
- 4. 初心者はサブリース契約は避けた方がよい
- 5. サブリース契約を利用しても問題ないのはこんな人
- 6. サブリースに不安がある場合は管理委託の利用がおすすめ
- まとめ
1. サブリース契約のトラブル3大事例
冒頭でも触れましたが、サブリースのトラブルという場合に、まず挙げられる3つの大きな事例について紹介します。
サブリーストラブルの3大事例は下記のようなものです。
サブリース契約のトラブル3大事例 |
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そもそもサブリースとは、住宅のオーナーからサブリース会社が住宅を一括して長期に借り上げ、入居者に転貸する仕組みのことです。サブリースの最大の魅力は、空き室の場合もサブリース会社から一定の賃料を支払ってもらえる「家賃保証」といえるでしょう。
この安定的に賃料が得られるというメリットだけに気を取られていると、上記事例のような思わぬ落とし穴にはまってしまうこともあるため注意が必要です。
以下で詳しく解説します。
1-1. 【かぼちゃの馬車問題】サブリース会社の経営破綻で多くのオーナーが自己破産の危機に陥ったトラブル
過去のサブリースのトラブルで、最も有名で大きなトラブルといえるのは、2018年に発覚した「かぼちゃの馬車問題」と呼ばれるものです。
これは高い利回りのサブリース物件を購入した多くのオーナーが、サブリース会社の倒産により、多額のローンを返済できなくなり、自己破産の危機に陥ったトラブルです。
「かぼちゃの馬車」とは、2014年にリリースされた女性用シェアハウスのブランド名のことです。1棟1億円もの物件でしたが、「30年間賃料保証、利回り8%」という触れ込みで広く販売されていました。
「30年間賃料保証、利回り8%」とは、1億円の物件では年間800万円の賃料が30年入る計算です。非常に高い利益が得られるということが強くアピールされ、この触れ込みを信じた多くの人が1億円もの高いローンを組んでこの物件を購入しました。
しかし、その後三つの問題が生じました。
一つめは、「かぼちゃの馬車」リリースから4年後の2018年に運営会社であるスマートデイズが倒産し、利回り8%といわれていた賃料が支払われなくなったことです。
これにより、たちまち賃料収入が途絶え、オーナーの多くは月々百万円前後もの赤字を抱えることとなりました。
二つめは、オーナーたちが1億円で買わされていた物件が、実際には土地を含めて資産価値6,000万円ほどでしかなかったことです。スマートデイズは建築会社から50%のキックバックを受けるスキームで、建築会社が5,000万円で建てた物件をオーナーに倍額で売りつけ、利益を上げていました。
物件を販売した時点で、スマートデイズは1棟当たり2,500万円ほどの利益を上げ、オーナーは資産価値ベースで4,000万円の損を抱えていたことになります。
三つめは、この件で融資を行っていた銀行までもが書類改ざんなどの不正を行い、オーナーの返済能力以上のローン貸し付けを行っていたことです。通常、銀行は、申込者の返済能力に合わせて融資を行いますが、かぼちゃの馬車の融資担当だったスルガ銀行では、営業成績を上げるために、融資審査用の書類を改ざんするなどして、オーナーに返済能力以上のローンを組ませていました。
この不正融資があったことで、本来は1億円の物件が買えない人までが、物件を購入してしまっていました。そうした返済能力以上のローンを組んでいたオーナー達は、実際に返済ができなくなり、自宅を売却したり、自己破産したりといった事態に陥りました。
1-2. 【D社サブリース商法問題】大手企業のセールストークを鵜呑みにしたオーナーの多くが破産の危機に面したトラブル
サブリース契約のトラブルとしては、大手企業のセールストークを鵜呑みにして多くのオーナーが破産の危機に面した「D社サブリース商法」問題があります。
これは、賃貸管理業界の大手企業D社の「35年間の家賃保証」との営業トークを過信し、サブリース付きアパートを建築したオーナー達の多くが、ローンの返済に窮して破産の危機に面したトラブルです。
このトラブルでは、賃貸業界の大手企業が、遊休地を持つ土地のオーナーに「35年間一括借り上げをし、家賃を保証するのでアパートを建てませんか?空家・家賃滞納時にも家賃が得られて安心ですよ」と持ち込み、アパート建設を行ったものです。
サブリースのアパート建築自体は特に問題はないものの、問題となったのは、通常、サブリースの家賃保証では、契約期間中に家賃が減額されることがあるにも関わらず、その点についてしっかりとオーナーに説明がなされていなかったことといえるでしょう。
「35年間家賃は下がらない」と説明されたオーナー、あるいはそのように思い込んでしまったオーナーたちは、35年間、契約時の家賃で賃料収入が得られるという収支計画のもと、高いローンを組んでアパート建築をしました。
しかし、その後「下がらない」はずの賃料が下がり、オーナーたちはたちまちローンや固定資産税が支払えなくなります。赤字経営が続き、ローンの返済に困り自己破産の危機に陥るオーナーも少なくありませんでした。
トラブルに陥った人の中には、相続税の節税対策でアパート建築に興味を持ちだした高齢者も多かったといわれています。
相続税では、現預金で資産を持つよりも、土地や建物で持つ方が課税額が低くなり、さらには土地や建物を人に貸していた方が課税額が下がり、節税効果は高まります。そのため、一括借り上げで家賃保証をしてくれるサブリース契約のアパート建築は、節税対策として魅力あるものです。
しかし、実際のところ、サブリースでは家賃保証はあるものの賃料は一定でなく、急に減額されたり途絶えたりすることも少なくなくありません。
この賃料が減ることを知らないままに、高いローンを組んでアパートを建てた多くの地主たちが、結果として多額のローン返済に苦しむこととなりました。
参考:ダイヤモンド社「週刊ダイヤモンド2017年6/24号」
1-3. 【L社サブリース違法建築問題】サブリース契約で建てられた物件が不良物件だったトラブル
サブリースのトラブルとしては、サブリース契約で建てた物件が不良物件だったという、L社サブリース違法建築問題も広く知られています。
これは、大手不動産会社のL社が、遊休地を持つ地主に対し「30年一括家賃保証」のサブリースでアパートを建築させたものの、物件の施工不良などの問題があったというトラブルです。
L社が建てたサブリース物件には、天井裏に通常であれば遮音や延焼を防ぐための「界壁」が設置されるはずが、設置されていませんでした。オーナーたちが高額のローンを組んで建てた物件は、施工に不備のある欠陥住宅ということになります。
2018年にこの問題が発覚した当初は、L社は現場の施工会社の責任としていました。しかし、その後、外部調査委員会の調査により、一連の施行不良がL社の創業者の指示で組織的に行われていたことが指摘されました。オーナーたちは、L社の組織ぐるみの不正行為により、不良物件を掴まされるという損害を受けたこととなります。
また、L社のサブリース契約の問題は、物件の施工不良だけではありません。L社が同様のアパートを近所に乱立させたことにより、賃料が大幅に下落するという被害も起きました。
L社は、サブリース付きアパートの建築を勧めた土地の近隣の地主にも同様のアパート建築を勧めていました。そのため、同じエリアに似たようなアパートが立ち並ぶといった事態が生じます。結果として入居者を奪い合うことなり、それぞれのアパートの入居率の低下を招き、家賃相場が大幅に下落しました。
家賃相場が大幅に下がったためオーナーたちの賃料収入も大幅に下げられ、ローンの返済に行き詰まるケースが相次ぎました。
参考:全国賃貸住宅新聞「レオパレス、違法建築185棟」
2. サブリース契約のよくあるトラブルパターン7つ
先述の3大トラブルがサブリースの代表的なトラブル事例といえます。
これらの3大トラブルを受けて、近年は国でも悪質なサブリースを規制するべく動いています。しかし、完全にこれらのトラブルが防げているわけではありません。現在でも同様のトラブルは起きています。
以下では、現在もよく起きているサブリース契約に関するトラブルのパターンについて紹介します。
サブリース契約のよくあるトラブルパターン7つ |
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サブリースのトラブルに巻き込まれないためにもこれらのパターンを把握しておくことが大切です。詳しい内容は次の通りです。
2-1. 家賃減額を受けて赤字続きとなった
サブリースでは家賃の減額を受けて、賃料収入が下がり、賃料収入よりもローンの返済額が上回って赤字続きとなるトラブルが少なくありません。
例えば下記のようなケースです。
【家賃減額により赤字続きとなるケース】
「家賃保証により、家賃10万円の80%を満室の10部屋分、ずっと受け取ることができる」というセールストークを受けて、アパート1棟をローンで購入。月々の収入見込みが80万円で、返済額70万円のつもりでいたが、3年目から家賃が1部屋10万円から8万円に減額された。月々の収入が64万円となり返済額70万円を差し引くと毎月6万円の赤字が続くこととなってしまった。
先述の通り、サブリースの基本的な仕組みは、サブリース会社などがオーナーから物件を一括借り上げ、空室となっても家賃の80%~90%の家賃保証を支払うというものです。
この家賃保証の支払いのもととなる家賃については、物件の経年劣化により減額されることがある点に注意が必要です。
サブリース会社がこの家賃減額について積極的にオーナーに伝えていなかったり、オーナー側がこの家賃減額について認識していなかったりしていると、トラブルになることがあります。
家賃が下がらないと思ってローンを組んでしまうと、返済途中で、家賃減額により、収入よりも返済額が上回る事態に陥ることがあるため注意しましょう。
2-2. 一方的に契約を解除され賃料収入が突然途絶えた
サブリースでは一方的に契約を解除され、想定していた賃料収入が受け取れなくなるトラブルもよくあります。
例えば下記のようなケースです。
【一方的に契約解除され賃料収入が途絶えるケース】
「家賃保証により家賃10万円の80%を満室の10部屋分、ずっと受け取ることができる」というセールストークを受けて、アパート1棟をローンで購入。月々の収入見込みが80万円のため月々の返済額60万円のつもりでローンを組むも、2年目に入り、一方的に契約を解除され、賃料収入が得られなくなった。月々60万円のローン返済だけが残ることとなった。慌てて別のサブリース会社を探すもなかなか受けてもらえるところがなくてローン返済が重荷になっている。
サブリースは、オーナー側からサブリース会社が物件を一括借り上げする仕組みです。サブリース会社が物件の借主となり、借地借家法により借主として保護され、一方的にサブリース契約を解除することができます。
このため、サブリース会社は、サブリース契約でうまく利益が出せない場合に、一方的にサブリースを解約し、それ以上家賃保証を支払わずに済ませることも可能です。それに対して、オーナー側はこの解約を拒否することはできません。一方的な契約解除で賃料支払いを止められ、オーナーはたちまちローンの返済に窮してしまいます。
こうした借主の解約しやすい立場を利用した悪質なサブリーストラブルも少なくない点に注意しましょう。
2-3. 家賃保証のはずが入金されない期間があった
サブリースの家賃保証では、「空き室のときも賃料が得られる」との説明を受けるものの、実際には空き室を理由に入金されないこともあるため注意が必要です。
例えば下記のようなケースです。
【家賃保証のはずが入金が滞るケース】
「家賃保証により、空き室時も家賃10万円の80%を受け取ることができる」というセールストークを受けて、ワンルームマンション1室を購入。しかし、入居者が退去するたびに、数ヶ月間賃料が支払われない時期があった。サブリース会社に確認しても「免責期間により賃料は支払われない」と言われ、支払われなかった。
免責期間とは入居者が退去した後の1~2ヶ月間については賃料の支払いが免除されることです。免責期間は、入居者募集のために必要な期間として、一般的な管理契約でも設けられている事項で違法ではありません。
サブリース契約でトラブルとなるのは、この免責期間に賃料が支払われないことについて、オーナー側が把握できていなかった場合です。
契約書をよく読めば記載されているものの見落としていたり、サブリース会社がしっかりと説明しなかったりすることが多いため、後になって「聞いてない」とトラブルになりやすい傾向です。中には免責期間が通常より長い3~4ヶ月に設定されているケースもあるため注意が必要です。
2-4. 過大な修繕費を請求された
サブリースでは、過大な修繕費を請求されるトラブルもあります。
例えば下記のようなケースです。
【過大な修繕費を請求されるケース】
サブリース会社から、マンションの機械設備の修繕費として15万円を請求された。内容を確認すると相場より5万円ほど高いので、修繕費の安い業者を使ってほしいとサブリース会社に伝えるも、サブリース会社から自社の関係会社でないと修繕を依頼できないといわれた。
サブリースの場合、物件の老朽化によって発生する修繕費や入居者が退去したあとの原状回復費用は、原則としてオーナー負担です。そのため、修繕費はオーナーに請求されることは仕方がありません。問題となるのは、相場よりも過大な修繕費を請求されることがある点です。
修繕を依頼する場合、サブリース会社は自社の関連会社に依頼することも多く、そうした場合には修繕費が割高になる傾向です。中には、オーナーに見積もりを開示することなく、修繕費を事後報告で、請求してくるサブリース会社もあります。
トラブルにならないように、「修繕時には見積もりの事前開示が必要」といった手順を契約前に決めておく必要があるといえるでしょう。
2-5. サブリースを解約したくても解約させてもらえなかった
サブリースでは、オーナー側が「こんなはずではなかった」と思ってサブリースの契約を解除したいと思っても、簡単には解約できないトラブルもあります。
例えば下記のようなケースです。
【オーナーからの契約解除が認められにくいケース】
サブリース契約をしたものの、家賃は減額されため、当初の返済計画通りにローンの返済ができないため、サブリース契約を辞めたいと思い、サブリース会社に契約解除を申し入れたが、正当な事由がないため法的にも解約はできないと断られてしまった。
サブリースでは、オーナーが貸主、サブリース会社が借主となり、借地借家法により借主の立場が保護されるため、貸主からは正当な事由がない限り、サブリースの賃貸契約を解除することができません。
オーナーから解約する際の正当な事由としては下記のようなものが挙げられますが、必ずしも認められるとは限りません。
【解約の正当事由の例】
- オーナー自身が居住する必要がある
- 生計のために売却する必要がある
- 物件の大規模な修繕あるいは取壊しの必要性がある
解約には、弁護士などの専門家に相談する必要があります。
また解約ができる場合でも、違約金を払って解約を認めてもらうケースが多いといえます。サブリースの違約金の相場は家賃収入の6ヶ月分と決して安くない点にも注意が必要です。
2-6. 入居者が選べないことで資産価値が下がった
サブリースは、入居者が選べないことで資産価値が下がるといったトラブルもあります。
例えば下記のようなケースです。
【入居者が選べないことで資産価値が下がるケース】
サブリース会社が入居者にペットを飼うことを認めたために、退去後の原状回復費用が通常よりかかるようになってしまった。物件価値を高く維持するためにも、ペットを飼う入居者を拒否したいとサブリース会社に伝えたが、聞き入れてもらえなかった。
サブリースの場合、入居者を選ぶ権限はサブリース会社にあります。
入居者がタバコを吸ったり、ペットを飼ったりする場合は、退去後の修繕費用が高くなるため、そうした入居者を断りたいとオーナーが考えても、断ることはできません。
ご近所トラブルを起こしやすい入居者や、部屋をゴミ屋敷化させてしまう入居者の場合は、他の部屋の入居率を低下させ、資産価値を下げてしまう可能性もあります。
資産価値に影響のない入居者を選びたいと思っても、オーナーは入居者を選ぶ権限がない点に注意しましょう。
2-7. 物件価値の低いものを買わされた
サブリースでは物件価値の低いものを買わされるといったトラブルもあります。
サブリースでは、家賃保証で安定した収入が得られることに気を取られて、物件価値の査定額を吟味せずに契約してしまうことがあります。その結果として、割高な物件を買わされるケースも少なくありません。
例えば下記のようなケースです。
【物件価値の低いものを買わされることがある】
「アパート満室分の家賃保証をずっと受け取ることができる」というセールストークを受けて、アパート1棟を約8000万円で購入。しかし、一方的にサブリース契約を解除され、賃料収入が得られなくなった。次の借り手も見つからないため、仕方なくサブリース物件を売却しようと査定に出したら、評価額が5,000万円ほどだった。経年劣化を考慮しても予想外に低く、割高に物件を買わされていたことがわかった。
サブリース物件を買う場合、家賃保証があるうえ、客付けもサブリース会社が行なってくれるため、本当にこの物件に人が入るのかといった物件価値を慎重に吟味する人は少ないといえます。
そのため、割高な物件を買わされていても、実際に売却する局面にならないと気付かないこともよくあります。契約前に、購入額が物件価値とそもそも見合っているかどうか、専門家に査定してもらうなど、しっかりと見極めることが大切です。
3. サブリースのデメリットを把握していないと誰でもトラブルは起こりうる
サブリースのトラブルについては、サブリースのデメリットをしっかりと把握していないと誰でも被害にあう可能性があります。
サブリースのデメリットとは、下記のような点です。
【サブリースのデメリット】
- 家賃は大幅に減額されることがある
- サブリース契約はサブリース会社側から一方的に解除されることがある
- 家賃保証であっても免責期間は賃料が支払われない
- サブリース会社によっては修繕費が割高になることがある
- オーナー側からは簡単に解約ができない
上記デメリットをオーナー側がよく理解していないと、サブリース会社が悪質である場合はもちろん、信頼できる会社であっても、後で「こんなはずではなかった」という事態に陥りかねません。
以下では、サブリースのデメリットを把握していないとどのようなトラブルに遭う可能性があるか、紹介します。
3-1. 【デメリット1】家賃は大幅に減額されることがある
サブリースでは、家賃保証があっても、経年劣化や家賃相場の低下により家賃が減額されるというデメリットがあります。
賃料がそのまま維持されるわけではないことを把握しないで、投資用住宅ローンの返済計画を立ててしまうと、後でローンの返済計画が狂い、トラブルになりかねません。
サブリースにおいては家賃の減額があることを想定しておきましょう。
3-2. 【デメリット2】サブリース契約はサブリース会社側から一方的に解除されることがある
サブリースには、借地借家法により、借主であるサブリース会社側から一方的に契約解除できることになっている点がデメリットです。サブリース会社から一方的に契約解除されると、賃料収入は途絶えます。
このデメリットを理解して事前に対策を考えておかないと、サブリース会社から解約された場合に、収支計画が大きく狂い、たちまちローン返済に困るといったトラブルになりかねません。
サブリース会社に一方的に解約されて賃料収入が途切れることを見越して、あらかじめ一定の返済用資金を別途確保しておくなどの対策が必要となるでしょう。
3-3. 【デメリット3】家賃保証があっても免責期間は賃料が支払われない
サブリースには、家賃保証があっても、入居者が退去してからの数ヶ月間は免責期間となり、賃料が支払われないというデメリットがあります。
この賃料が数ヶ月途絶える可能性があることを踏まえて収支計画を立てておかないと、免責期間中にたちまちローンの返済が滞るといったトラブルにもなります。
契約中の全期間について賃料が支払われるわけではない点に注意しましょう。
3-4. 【デメリット4】サブリース会社によっては修繕費が割高になることがある
サブリースでは、修繕費はサブリース会社によっては割高になることがあるというデメリットがあります。
このデメリットを理解して、あらかじめ修繕の方針についてサブリース会社と確認をしておかないと、後に納得のいかない修繕費の請求が来て、もめることも少なくありません。
物件の原状回復や設備の修繕費は基本的に、貸主であるオーナーが負担します。そのため、修繕の必要性がある場合は、サブリース会社からオーナーに修繕費が請求されます。
修繕費の相見積もりを取って、オーナーが承諾してから修繕を行うといった手順が理想ですが、サブリース会社によっては、見積もりは取らず、すぐに関連企業に請け負わせるところもあります。
トラブルにならないためにも、どういった手順で修繕を行うか、事前に確認しておくことが大切です。
3-5. 【デメリット5】オーナー側からは簡単に解約ができない
サブリースでは、借地借家法により借主の立場が保護され、貸主であるオーナーからは、簡単に契約解除ができないこともデメリットです。
このオーナー側から簡単に解約ができないというデメリットは、家賃減額とともにトラブルに発展しやすいサブリースの大きな問題点ともいえます。
例えば、家賃減額により赤字続きのため、サブリース契約を解除したいと思っても、オーナー側の都合だけでは簡単に解約はできません。解約できた場合でも家賃の6ヶ月分ほどの違約金が発生することも少なくありません。
また、解約ができないため、サブリース契約のままで物件を売却しようした場合でも、物件価値は相場より1~2割下がる傾向です。
サブリース契約が解約できないことで、赤字続きの状態から簡単に脱却できなかったり、物件価値が低くなったりする点に注意が必要です。
4. 初心者はサブリース契約は避けた方がよい
サブリースのデメリットを把握していないと誰でもトラブルに遭う可能性があるとお伝えしましたが、特に初心者はサブリース契約を避けた方がよいでしょう。
初心者は下記のような傾向があるため、サブリースのトラブルに巻き込まれやすいといえます。
【トラブルに巻き込まれやすい初心者の傾向】
- サブリースのデメリットをよく把握できていない
- 大手企業・有名企業だから安全と考えてしまう
- 契約書を隅々まで確認しない
初心者の場合は、「3. サブリースのデメリットを把握していないと誰でもトラブルに遭う可能性がある」で紹介したようなサブリースのデメリットを知らない可能性が高いといえます。
仮にデメリットを知っていても、家賃や修繕費の交渉経験もほぼないため、サブリース会社の提案の言いなりになるしかなく、トラブルとなる傾向があります。
さらに、初心者の場合、大手企業や有名企業への警戒心が低いケースがよくあります。CMを出しているような大手企業だから信頼できると考え、契約内容をよく読まずに契約し、トラブルとなることも少なくありません。過去の3大トラブル事例でも紹介しましたが、大手企業でもトラブルになるケースはあるため、注意が必要です。
また、初心者の場合、サブリースの怖さをよく理解できていないため、あるいは、契約書を読んでもよく理解できないからと、契約書を隅々まで確認しない傾向があります。
不動産契約には思わぬ条項が記載されているケースも少なくありません。例えば、相場より過大な違約金が記載されていたり、免責期間が一般的な水準より長く設定されていたりとオーナーに不利な条件が書かれているといったケースです。初心者の場合、そうした条件を見落としてトラブルに巻き込まれてしまうことがあります。
初心者の場合は、無理にサブリースを利用するのでなく、管理委託や空き室保証を利用するなど、別の物件管理や保証手段を活用することがおすすめです。
5. サブリース契約を利用しても問題ないのはこんな人
サブリースは利用を避けた方がいい人がいる一方で、利用しても問題ない人もいます。
例えば、下記のような人であれば、サブリース契約を利用してもよいといえるでしょう。
【サブリース契約を利用しても問題のない人】
- サブリースのデメリットをよく理解している人
- 適正な物件価値や賃料、修繕費を見極められる人
- サブリース会社の提案を鵜呑みにせずに交渉できる人
「3. サブリースのデメリットを把握していないと誰でもトラブルに遭う可能性がある」で紹介したサブリースのデメリットをよく理解している人は、サブリースを利用しても問題ないでしょう。
サブリースのリスクを把握出ているため、サブリース契約中に「こんなはずではなかった」と思うことも少ないと思われます。
また、物件価値や賃料、修繕費の相場観があり、適宜見積もりを取るなどして適正価格を把握している人もサブリースを利用しても問題ないといえます。割高な物件を売りつけられたり、不当な家賃減額や修繕費を提案されたりしても、おかしいと気付いて拒否できるため、トラブルに巻き込まれにくいといえます。
さらに、サブリース会社が提案する事業計画や賃料減額、修繕費について、鵜呑みにせずに、自分なりに調べた根拠を持って交渉できる人もサブリースを問題なく利用できるでしょう。
しっかりと論拠を持って対応できるため、法外な賃料減額や修繕費といった悪質な提案を飲まされることはないといえます。
6. サブリースに不安がある場合は管理委託の利用がおすすめ
サブリースの利用に不安がある場合は、管理委託の利用がおすすめです。
サブリースには、家賃保証があり、客付けや物件管理も任せられるといった大きなメリットがある反面、家賃減額やサブリース会社からの一方的な解約で賃料収入が突然に途絶える可能性があります。
サブリースの家賃保証や客付け、物件管理にメリットを感じている場合には、サブリースでなくとも管理委託をベースにして別途空室保証を依頼するなどで同様のサービスを受けることも可能です。
サブリースと管理委託の違いをまとめると下記のようになります。
【サブリースと管理委託の違い】
サブリース | 管理委託 | |
---|---|---|
特徴 | 物件を一括で借り上げ、家賃保証をしてもらう | 物件の管理や家賃の集金代行、入居者の斡旋、入居者対応などを委託する |
家賃収入 |
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礼金・更新料 | サブリース会社の収入となる | オーナーが受け取れる |
修繕費 | オーナーが口出しできないことが多い | オーナーが口出しできる |
入居者審査 | オーナーは口出しできない | オーナーが口出しできる |
客付け | サブリース会社が行う | 委託できる |
物件管理 | サブリース会社が行う | 管理会社が行う |
解約のしやすさ | オーナー側からは解約しにくい | 解約できる |
管理手数料 | なし | 家賃の3%~8% |
管理委託では、サブリースと異なり、家賃保証はないものの、管理手数料を差し引いても家賃の90%以上は確保できるため、投資利回りはサブリースより高くなる傾向です。礼金・更新料もオーナーの収入となり、割高な修繕費を請求されることもありません。
また、管理会社の対応に不満があれば、3ヶ月など所定の期間前までに申し入れば解約も可能なため、初心者でも安心して利用できます。
空き室時の家賃保証をしてもらいたい場合には、空き室保証サービスを別途契約すれば利用が可能です。
このように管理委託を上手く使うことで、サブリースと同様に管理の手間を省き、空き室リスクを抑えることができます。このため、サブリースに不安のある方は、管理委託の活用がおすすめです。
管理委託を検討する場合には、年間入居率98%を誇るルーム・スタイルにご相談ください!
サブリースか管理委託かでお悩みの場合、ルーム・スタイルの賃貸管理の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
ルーム・スタイルの賃貸管理には、例えば下記の2つの特徴があります。
- 年間入居率98%の管理委託会社の活用で空き室リスクを抑えられる
- 4種類のプランから自分にあった管理委託を選べる
管理委託では、サブリースと比べて家賃保証がないため、「空き室となった場合に賃料収入がなくなるのが不安」といった方も多いでしょう。
ルーム・スタイルでは、入居率98%、入居までの期間が平均1ヶ月と高い客付け力を誇っています。そのため空き室リスクを低く抑えることが可能です。
また、ルーム・スタイルでは下記の4種類のプランから、入居者斡旋、家賃集金、滞納保証、クレーム対応など委託したい内容に応じて管理委託プランを選んでいただけます。
このルーム・スタイルの賃貸管理を利用することにより、サブリースよりリスクを抑えて、効率的に賃貸管理ができるでしょう。
オーナー様のご要望についてしっかり伺い、物件の状態を確認したうえでプランを提案いたしますので、費用面や管理面で納得できるプランをお選びいただけます。
マンションや戸建て、1部屋から1棟まるごとなど、幅広い賃貸管理をサポートできるため、物件管理にお悩みの際にはぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
サブリース契約のトラブルについて紹介しました。
サブリースで特に有名な3大事例には下記のようなものがあります。
【サブリース契約のトラブル3大事例】
- 【かぼちゃの馬車問題】サブリース会社の経営破綻で多くのオーナーが自己破産の危機に陥ったトラブル
- 【D社サブリース商法問題】大手企業のセールストークを鵜呑みにしたオーナーの多くが破産の危機に面したトラブル
- 【L社サブリース違法建築問題】サブリース契約で建てられた物件が不良物件だったトラブル
また、現在でもサブリース契約でよく起こりがちなトラブルのパターンには下記のようなものがあります。
【サブリース契約のよくあるトラブルパターン7つ】
- 大幅な家賃減額を受けて赤字続きとなった
- 一方的に契約を解除され賃料収入が突然途絶えた
- 家賃保証のはずが入金されない期間があった
- 過大な修繕費を請求された
- サブリースを解約したくても解約させてもらえなかった
- 入居者が選べないことで資産価値が下がった
- 物件価値の低いものを買わされた
これらのトラブルは、サブリース契約のデメリットについて深い見識や理解がないと誰でも巻き込まれやすいといえるでしょう。
特に、不動産運用の初心者はサブリース契約は避けた方がよいといえます。サブリースに不安がある場合は無理にサブリースを利用せずに、管理委託を選ぶことがおすすめです。
管理委託は、サブリースと異なり、下記のような特徴があります。
【管理委託の特徴】
- 家賃保証はないものの、管理手数料を差し引いても家賃の90%は確保できる
- 礼金・更新料もオーナーの収入となる
- 割高な修繕費を請求されることはない
- オーナー側からの解約可能
これらの情報が、あなたの不動産運用を円滑に進めるためのお役に立つと幸いです。
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