
「マンションを売るなら、やっぱりリフォームしてからのほうが高く売れるのでは?」
「でも、リフォームってお金も時間もかかるし、本当にやるべきなのかわからない…」
そう悩んでこの記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、マンションを売却する際にリフォームをする必要はありません。
なぜならば実際には、リフォーム費用を売却価格に上乗せできないことが多く、費用倒れになるリスクが高いからです。
たとえば、300万円の費用をかけてリフォームしたら300万円上乗せできるとも限らず、「予算に合わない」「周りのマンションより高いな」と思われて敬遠されてしまう可能性があります。
本記事では、マンション売却前のリフォームが「原則として必要ない」理由について詳しく解説するとともに、例外ケースや有効な売却戦略まで丁寧に解説していきます。
読み終えたときには、自分のマンションはリフォームすべきかどうか、どんな順番で判断すればよいのかが明確にわかるようになるはずです。
ぜひ、この記事を参考に、後悔のない売却準備を進めてください。
目次
- 1.【結論】マンション売却前のリフォームは原則として不要
- 1-1. リフォームしても費用を回収できないリスクが高い
- 1-2. ただし最低限の修繕(修理・補修)は必要
- 1-3. よくあるフルリノベ物件は「業者だから」できること
- 1-4. まずはリフォームなしでの売却を考えるのがおすすめ
- 2. 個人がリフォームしても費用倒れになるリスクが高い理由
- 2-1. 結局は売却価格は相場・買主の予算で決まるから
- 2-2. リフォーム費用が定価なので想像以上に高くなる(400万円など)から
- 2-3. 購入希望者の好みに合わなければ逆に敬遠されることすらあるから
- 2-4. 購入者がリフォーム前提で探しているケースも多いから
- 2-5.【結論】価値が上がるか分からないのにリフォームするのは危険
- 3. 例外的にマンション売却前のリフォームが有効なケース
- 3-1. 劣化が激しくて内見時にマイナス印象を与える場合
- 3-2. リフォーム費用を上乗せできる公算がある場合
- 4. マンション売却前のリフォームに迷ったときに有効な売却戦略
- 4-1. まずは「現状のまま」不動産会社に査定を依頼する
- 4-2. 似ているマンションの売り出し価格を調べてみる
- 4-3. 需要期を狙って「現況渡し」で売り出してみる
- 4-4. 反響がなければ販売戦略を見直す
- 5. マンションを高く売る力のある不動産会社に相談しよう
- まとめ
1.【結論】マンション売却前のリフォームは原則として不要
マンションを売却するときに、「リフォームしてから売ったほうが高く売れるのでは?」と考える方は少なくありません。しかしながら、結論からお伝えすると、原則として、マンションはリフォームせずに現況のまま売却するのがおすすめです。
まずは、マンションリフォームについて考えるうえで、知っておくべき4つのポイントを解説していきます。
マンションリフォームの4つのポイント ・リフォームしても費用を回収できないリスクが高い ・ただし、最低限の修繕(修理・補修)はしておいたほうがよい ・よくあるフルリノベ物件は「業者だから」できること ・まずは現況のまま売却する方向性を考えるのがおすすめ |
どれも大切なポイントなので、しっかり理解していきましょう。
1-1. リフォームしても費用を回収できないリスクが高い
まずは事実として、せっかくリフォームしても、かけた費用を売却価格で回収できないリスクが高いということをお伝えします。
個人は買取再販業者と違って費用倒れになるリスクが高い! ◆理由1:結局は売却価格は相場や買主の予算で決まるので、リフォームしたからといって上乗せできる訳ではない! ◆理由2:リフォーム費用が定価なので、想像以上に高い(400万円など)! ◆理由3:リフォームしても購入希望者の好みに合わなければ、逆に値下げしないといけないことも…! ◆理由4:購入者がリフォーム前提で探しているケースもあり、そもそもお金をかける必要がないこともある! ◆まとめ:価値が上がるか分からない状態でのリフォームは危険! ※詳しい理由については、「2. 個人がリフォームしても費用倒れになるリスクが高い理由」で丁寧に解説しています。 |
2,500万円のマンションを300万円かけてリフォームしたからといって、2,800万円で売却できるとは限りません。結局は売却価格は周辺相場や買主の予算によって決まってしまうからです。
費用と見返りが釣り合わないことが多いため、売却前のリフォームは慎重になるべきです。
1-2. ただし最低限の修繕(修理・補修)は必要
売却前のリフォームはおすすめしませんが、最低限の修理や補修はしておくことは必要です。
なぜならば、内見時に「結構汚いな」「壊れているところが多いんだな」という印象を与えてしまうと、購入をやめてしまう原因になるからです。
なお、リフォームと修繕の違いがわからない方は意味を理解しておきましょう。リフォームは付加価値を上げるもので、修繕はマンションの安全性・機能性を保つために直すことをいいます。
【リフォームと修繕の違い】
リフォーム | 建物の付加価値を高めるために、快適性や利便を向上させる工事のこと |
修繕 | 建物の安全性や機能性を保つために、建物の損傷や故障を修理すること |
たとえば、以下のような修繕を行っておくことは、適正価格で売却するために必要な内容です。
・壁紙の破れやめくれを補修する
・ドアや建具の不具合を直す
・水まわりの水漏れやカビを除去する
・ハウスクリーニングで全体を清潔にする
修繕は、不用意に価格を下げないために必要となることが多いと考えておきましょう。
1-3. よくあるフルリノベ物件は「業者だから」できること
築年数が古くてもフルリノベーションして高く売っているマンションを見かけるかもしれませんが、そのほとんどは「買取再販業者」が売主から安く買い取って転売しているケースなので注意が必要です。
買取再販業者がプロの仕事として行っていることを、個人が同じように再現するのは非常に難しいのが現実です。
なぜならば、業者は次のような強みを活かして、転売で利益が出るよう戦略的に行っているからです。
・現金一括・スピード買取などで、相場より安くマンションを仕入れる
・自社内や大量発注などで、工事費用を安く抑えることができる
・売れやすい間取り・デザインのトレンドを熟知している
・フルリノベを希望する購入者に最大限魅力を伝えるノウハウがある
採算が取れなさそうなマンションはそもそも買い取ってくれませんし、コストを極限まで抑えて確実に利益を出すようにしているのです。
たとえば業者の場合、現況のままだと2,000万円が相場のマンションを、1,500万円で買い取って150万円でフルリノベーションし、2,700万円で売り出すようなスキームを組んでいます。仕入れ・工事・販売のすべてでコストを抑えつつ、需要に合ったデザインで販売することで利益を確保することができます。
一方で、個人が同じような形でリフォームして売却しようとしても、工事費用は定価となるため300万円以上かかることが一般的です。さらに、物件の魅力を引き出す「リフォームの勘所」が分からず、買い手のニーズから外れた改修になってしまうリスクもあります。
その結果、価格に300万円を上乗せできず、むしろ値引き交渉を受けるケースも十分あり得ます。
結局のところ、「リフォームせず、現況のままで売り出していた方が結果的によかった」という展開になることも少なくないのです。
1-4. まずはリフォームなしでの売却を考えるのがおすすめ
ここまでお伝えしてきたように、個人が売却前にリフォームを行っても、かけた費用をそのまま回収できるとは限らず、費用倒れになるリスクが高いといえます。フルリノベーション物件のように魅力的な内装をつくって高く売るスキームは、仕入れ・施工・販売を効率的に管理できる業者だからこそ成立するものです。
そのため、まずはリフォームをせず、最低限の修繕だけを済ませた状態で売却する方向性で進めるのがおすすめです。
現況のまま「地域の動向に詳しい不動産会社」に相談して、周辺のリフォーム需要などを確認したうえで、リフォームの必要性や内容などを決めていくのが現実的です。
具体的な売却戦略については記事後半の「4. マンション売却前のリフォームに迷ったときに有効な売却戦略」で詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
2. 個人がリフォームしても費用倒れになるリスクが高い理由
1章でお伝えした通り、業者とは違って個人がマンションをリフォームしても、費用倒れになるリスクが高いのが現状です。
この章では、なぜ個人によるリフォームが費用倒れになりやすいのか、その代表的な理由を5つに分けて解説していきます。
個人がリフォームしても費用倒れになるリスクが高い理由 ・結局は売却価格は相場・買主の予算で決まる ・リフォーム費用は想像以上に高くついてしまう ・購入希望者の好みに合うとは限らない ・購入者がリフォーム前提で探しているケースも多い ・価値が上がるか分からない状態でのリフォームは危険 |
2-1. 結局は売却価格は相場・買主の予算で決まるから
どれだけお金をかけてリフォームしても、マンションの売却価格は相場と買主の予算によって決まるため、希望どおりの価格で売れるとは限りません。
なぜならば、中古マンションを探している多くの買主は、エリアや広さ、築年数などの条件をもとに物件を比較しており、「いくらで買えるか」を重視して検討するからです。
相場が3,000万円前後のエリアで、300万円かけてリフォームしたからといって、3,300万円で売れるとは限りません。「工事にいくらかけたか」は、買主からすると全く関係がないのです。
たとえば予算3,000万円で分譲マンションを探している方がいた場合、「リフォームしていてキレイな物件だけど予算をオーバーしてしまうな」「他に3,000万円で買える物件がある」と判断されてしまえば、内見すら入らない可能性があります。
さらに、買取再販業者が戦略的にフルリノベーションした物件が競合となるため、個人がリフォームした物件で価値を出すのは簡単には行きません。
この点を見誤ってしまうと「せっかくお金をかけたのに、上乗せできなかった」という結果で終わってしまいます。
2-2. リフォーム費用が定価なので想像以上に高くなる(400万円など)から
マンションを売却前に個人的にリフォームしようとすると、思っている以上に費用がかかることが多くなります。
先ほどから説明している「買取再販業者」と違って、個人がリフォームを依頼する場合は、「定価」で工事を発注することになるためです。業者は施工会社と長年の取引があり、大量発注によって1件あたりのコストを抑えることが可能ですが、個人では同じ条件で発注することは難しく割高になりがちです。
たとえば、水回り4点(キッチン・浴室・トイレ・洗面台)をまとめて直すとそれだけで200万円を超えることもあります。さらにクロスや床の全面張り替えを加えると、あっという間に300万円〜400万円程度かかってしまいます。
【リフォーム費用の相場】
項目 | 費用目安 |
クロス・床の全面張り替え | マンション:60万円〜 戸建て:120万円〜 |
システムキッチン交換 | 45万円〜80万円程度 |
浴室交換 | 50万円〜90万円程度 |
洗面台・トイレ交換 | 30万円〜60万円程度 |
これだけ費用をかけても、かかった費用をそのまま売却価格に上乗せできないケースもあります。
2-3. 購入希望者の好みに合わなければ逆に敬遠されることすらあるから
たとえ高額な費用をかけてリフォームしても、その仕上がりが買主の好みに合わなければ売却価格は上乗せになりません。むしろデザインや間取りが希望と違っていれば、価格を下げても買ってもらえない危険性すらあります。
内装のデザインや設備の仕様は、人それぞれで好みが分かれます。良かれと思ってお金をかけてリフォームしても、マンションを買う人から敬遠されてしまえば購入につながりません。
買取再販業者は、「いまは3LDKより2LDK+ワークスペースが人気」「対面キッチンは成約率が高い」など、その地域で売れているマンションの傾向を踏まえて、リノベーションの設計を行うことが可能です。
一方で個人の場合、自分の感覚で判断しがちになるため、結果的にニーズから外れてしまうことが少なくないのです。たとえ高級な設備を導入しても、買主がそれを必要としなければ評価されません。
個人だと万人に好まれるリフォームは難しく、自己判断でリフォームすることは費用倒れになるリスクが高いといえます。
2-4. 購入者がリフォーム前提で探しているケースも多いから
中古マンションを検討している買主の中には「フルリフォーム済みのマンションを買うのではなく、現況のまま買ってスケルトン状態にして、自分で間取りもすべてやりなおしたい」という方もいます。
2-3の内容とも重なりますが、リフォームしている物件でも「自分好み」と合わないことがありえるからです。
「内装は古いけど、その分価格が安い」という物件は、リフォーム前提で探している層にとって魅力的です。「割高なリフォーム済み物件」よりも、「自由に改修できる現状販売」の方が選ばれることもあるのです。
そのため、リフォームせずに現状のままで販売するほうが、買主の自由度が高く、かえって好まれることもあります。
2-5.【結論】価値が上がるか分からないのにリフォームするのは危険
ここまでの内容をまとめると、リフォームに費用をかけても、かかった費用を売却価格に上乗せできないリスクがあります。
・結局は売却価格は相場・買主の予算で決まる
・リフォーム費用は結構高くついてしまう
・買主の好みに合う保証がない
・むしろ「自由にリフォームしたい層」に敬遠される
つまり、価値が上がるかどうか分からない状態でリフォームにお金をかけるのは、マンションをできるだけ高く売る戦略としては危険といえます。
まずは現状のままで市場の反応を見たり、不動産会社に地域の特性を相談したりしてみてから、「できるだけ高く売却する方法」を検討していくのが賢明です。
3. 例外的にマンション売却前のリフォームが有効なケース
これまで、マンション売却前のリフォームは「原則としておすすめしない」という方針でお伝えしてきました。
1章・2章で解説したように、リフォームに費用をかけても売却価格に上乗せできる保証はなく費用倒れになるリスクがあるため、基本的には「まずはリフォームせずに売り出す」という判断が安全です。
しかしその一方で、一定の条件がそろった物件においては、例外的にリフォームが効果を発揮するケースも存在します。
例外的にマンション売却前のリフォームが有効なケース ・劣化が激しくて内見時にマイナス印象を与える場合 ・リフォーム費用を上乗せできる公算がある場合 |
この章では、例外的なケースとして、マンション売却前のリフォームも視野に入れたほうがよいマンションの特徴を解説していきます。
3-1. 劣化が激しくて内見時にマイナス印象を与える場合
リフォームを検討すべき例外的なケースのひとつとして、室内の劣化が激しくて、購入希望者が現地を見に来たときに「これは住みたくない」と感じられてしまう状態です。
マンション内見時の第一印象はとても重要であり、明らかに「古い」「汚い」「壊れている箇所が多い」と感じられてしまうと、購入検討対象から外されてしまいます。
たとえば、以下のような状態が見られる場合には、部分的なリフォームを行うことで、印象が大きく改善される可能性があります。
・タバコやペットによる臭い・黄ばみがある → 壁や床だけ張り替えるなどのリフォームを行う
・フローリングなどの傷が気になる → 目立つ箇所だけリフォームを行う
・浴室・洗面所のカビが目立つ → 水回りだけ最低限のリフォームを行う
とくに目立つ部分を直しておかないと、「管理状態が悪い」「住んでいた人の使い方が悪かったのかな」などと不安にさせてしまい、「ほかにも不具合がありそう」と判断されがちです。その結果、なかなか購入に至りにくくなります。
ただし、「全面リフォームをすべき」と言っているのではなく、印象を大きく改善できる部分に絞った対応を検討する、という位置づけが適切です。
3-2. リフォーム費用を上乗せできる公算がある場合
非常に限られたケースですが、リフォームにかけた費用以上に「高い確率で売却価格を上乗せできる見込み」がある場合のみ、リフォームを前向きに検討してもよいでしょう。
たとえば、次のような条件が揃っている場合です。
・中古マンション価格が高水準かつ、リフォームでかなりの金額アップを実現できるエリアにある
・リフォーム会社とのつながりがあって、相場より大幅に安く工事できる
・不動産投資の経験があり、価値を高めるポイント(間取り、設備、導線など)を熟知している
・すでに再販ビジネスのような形で、同様の取引を何度も経験している
このように、「費用を抑えられる」「確実に価値を高められる」「価格設定と買主層を把握している」といった条件が揃っている場合に限っては、リフォームでの価格上乗せも現実的になります。
ただし、これらはあくまで例外中の例外であり、多くの売主にとっては再現性が低く、かつ判断が難しい領域です。一般の人が安易に真似するのはおすすめできません。
このような例外的な判断は、売主自身に十分な知識と経験がある場合、あるいは信頼できる不動産会社・施工会社と密に連携できる場合にのみ成立する選択肢と考えるべきです。
4. マンション売却前のリフォームに迷ったときに有効な売却戦略
ここまでの内容で、マンション売却時にリフォームすることは原則として不要であること、個人が手を加えても費用を回収しにくいことを解説してきました。
それでも、「うちの場合は本当にリフォームしなくていいの?」「見た目が古くて、このままでは売れないのでは?」と悩む方も多いはずです。
この章では、そんな不安を持つ方に向けて、リスクを抑えながら進められるステップを丁寧に解説します。
ひとつずつ、詳しく解説します。
4-1. まずは「現状のまま」不動産会社に査定を依頼する
まずは「現在の状態のまま」で不動産会社の売却査定を受けることから始めましょう。
査定を受けることで「今の状態でも購入希望が入りそうなのか」や「売れるとしたらいくらぐらいの価格で売れそうか」がわかり、リフォームが本当に必要かどうかを客観的に判断できるからです。
たとえば、「古いけれど駅近なので現状でも十分売れますよ」と言われれば、わざわざお金をかけてリフォームする必要はありません。一方で、「内見の印象が悪くなりそうな部分だけは直した方がいいかもしれません」といったアドバイスが得られることもあります。
このように、不動産会社の意見をもとに現状での価値を把握することが、最初の判断材料となります。
査定は無料で対応している会社がほとんどなので、気軽に相談してみることをおすすめします。
※ただし、不動産会社も玉石混交であり、中には悪徳な業者や強引な会社がまぎれている可能性があります。すべての担当者の言い分を鵜呑みにするのではなく、複数の業者の査定を受けて、信頼できる担当者の言葉を参考にしましょう。 |
※また、査定価格=実際に売却できる価格ではない点にも注意しましょう。査定価格はあくまで「このぐらいの価格で売れそう」と担当者が判断する価格であり、実際にその価格で買いたい方が現れなければ価格を下げることもあります。 だからこそ、「リフォームにお金をかけても高く売れるか分からない」というリスクがあり、リフォームをせずに売却するのが現実的な選択肢となります。 |
4-2. 似ているマンションの売り出し価格を調べてみる
査定を依頼するのと同時に、自分のマンションと条件の近い物件がどれくらいの価格で売り出されているかを確認することも大切です。
周辺相場を知ることで「このままの状態で売れる可能性があるか」「リフォームして価格を上げられる余地があるか」が見えてくるからです。
たとえば自分のマンションが、築25年、3LDK、70㎡、駅徒歩10分という条件だとします。不動産ポータルサイトで検索して、似ている条件のマンションを見つけて、いくらで売り出されているか確認します。
そもそもリフォーム済みの中古マンションがあまり見つからない場合には、「リフォーム需要はなさそう」と判断して、現況のままでも良さそうと判断ができるでしょう。
一方で、似ている条件でフルリノベーション済みマンションが3,500万円、現況のままだと2,800万円というケースならば、リフォームをする余地があるかもしれません。
調査は無料でできるため、自分でも相場を調べてみることで、後悔しない正確な判断ができるでしょう。
4-3. 需要期を狙って「現況渡し」で売り出してみる
売却を検討しているなら、まずは「現況」のまま最低限の修繕やクリーニングだけを行い、需要が高まる時期に売り出してみることをおすすめします。
なぜなら、需要期であれば多少の古さや印象面の弱点があっても、検討対象として前向きに見てもらえることが多いからです。
たとえば、1月〜3月の進学・転勤シーズンや、6月・12月のボーナス期は不動産の動きが活発になります。こうした時期に合わせて、現況販売で出してみると、最低限の手入れでも成約に至る可能性があります。
リフォームはしませんが、見た目の印象が悪くならないよう、ハウスクリーニングは済ませておくのがベストです。また、壁の大きな汚れや剥がれなど目立つ箇所は直しておくと印象が良くなります。
「現況販売であること」を前提とした価格設定と説明文の工夫も効果的です。たとえば「現況のため、リフォーム前提でご検討いただける方向け」「この分、価格を抑えています」といった打ち出し方をすれば、買主にポジティブに受け止められやすくなります。
このように、まずは大きな費用をかけず、最低限の整備とタイミングの工夫だけで市場に出してみることが、費用を抑えつつ売却につなげる第一歩になります。
4-4. 反響がなければ販売戦略を見直す
現況で売り出してもなかなか反響がない場合にも、あわてて「やっぱりリフォームしよう」と考えず、販売戦略そのものを見直すことが必要です。
なかなか反響が得られない原因が「価格の高さ」「競合物件との比較」「写真や間取り図の見せ方」にあることも多いため、次のような観点で販売戦略を見直してみましょう。
反響がない場合の販売戦略の見直しの例 (1)物件広告を改善してもらう:写真の明るさや掲載コメントの工夫などで印象が変わります。 (2)不動産会社の再検討:不動産会社によって熱意や販売力が異なります。会社を見直すことで反響が増える可能性があります。 (3)売り出し価格の値下げ:反響が全然ないのであれば、相場を参考に値下げも検討すべきです。 |
まずはもう少し不動産会社に頑張ってもらって反響を増やして、それでも難しい場合には売り出し価格を再検討するのが現実的な戦略となります。
300万円をかけてリフォームしても、その分を売却価格に上乗せできるとは限りません。それならば300万円を価格から値下げした方が、購入希望者の反応が得られやすく、結果的に早く売れる可能性があります。
5. マンションを高く売る力のある不動産会社に相談しよう
ここまで、「マンションを売却する前にリフォームはしなくて良い」ということを伝えてきました。それでも「できれば1円でも高くマンションを売りたい」という方もいるでしょう。
マンションをなるべく高く納得のいく形で売却したいなら、中古マンションの売却の経験が豊富にあり、販売力のある不動産会社に相談することが一番良い選択肢となります。
とくに、「リフォームしなくてもこの価格なら売れる」という適切な査定金額を出せる会社や、「リフォームしなくても物件の価値を最大限に伝える広告を作れる」という不動産会社がおすすめです。
エリアやマンションのタイプ(ファミリー向けなのか単身向けなのかなど)によっても買主が求める条件は全く異なってくるので、適した販売戦略を考えられる業者に任せるのがベストです。
たとえば、売主が「このままでは売れないかも」と感じていても、不動産会社が「立地や広さが魅力的なので現状でも十分売れます」と判断するかもしれません。高く・早く・納得のいく売却を実現するには、「自己判断」ではなく、信頼できる不動産会社と一緒に販売戦略を考えることが最短ルートなのです。
リフォームなしでマンションを高く売れる不動産会社の特徴 ・中古マンションの売却実績が豊富にある ・エリア動向を熟知していて、購入層の傾向にも詳しい ・査定だけでなく「どうすれば高く売れるか」まで具体的にアドバイスしてくれる ・写真や文章、掲載ポータルの活用方法にも工夫して、買主に魅力的にアプローチできる |
このようなパートナーと組むことができれば、たとえリフォームしなくても、マンションの価値を最大限に引き出す提案が受けられるはずです。
もしも信頼できる不動産会社選びに迷ったら、ぜひ賃貸経営から仲介まで実績豊富なルーム・スタイルにご相談ください。
まとめ
本記事では、マンション売却前のリフォームは原則として不要であることを中心に解説してきました。最後に、章ごとの要点を簡単に振り返っておきます。
◆マンション売却前のリフォームは原則として不要
・リフォームしても費用を回収できないリスクが高い
・ただし、最低限の修繕(修理・補修)は必要
・よくあるフルリノベ物件は「業者だから」できること
・まずは現況のまま売却する方向性を考えるのがおすすめ
◆個人がリフォームしても費用倒れになるリスクが高い理由
・結局は売却価格は相場・買主の予算で決まる
・リフォーム費用は想像以上に高くついてしまう
・購入希望者の好みに合うとは限らない
・購入者がリフォーム前提で探しているケースも多い
・価値が上がるか分からない状態でのリフォームは危険
◆例外的にマンション売却前のリフォームが有効なケース
・劣化が激しくて内見時にマイナス印象を与える場合
・リフォーム費用を上乗せできる公算がある場合
◆マンション売却前のリフォームに迷ったときに有効な売却戦略
・まずは「現状のまま」不動産会社に査定を依頼する
・似ているマンションの売り出し価格を調べてみる
・需要期を狙って「現況渡し」で売り出してみる
・反響がなければ販売戦略を見直す(価格・見せ方・会社)
◆マンションを高く売る力のある不動産会社に相談しよう
・自己判断よりも、販売力のある不動産会社の力を借りるのが近道
・地域の動向を熟知し、最適な販売戦略を提案してくれるパートナーを選ぶことが重要
リフォームなしでも高く売ってくれる、信頼できる不動産会社を選びましょう。
コメント