
「家賃はちゃんと振り込まれてるのに、なんで手元にお金が残らないんだろう」
賃貸経営では、思っていた収支と実際の手残りに差を感じることがあります。
入居者はいるし、家賃も相場並み。それなのに、通帳を見返すと思ったほど貯まっていない。
実はこれ、よくある話です。原因はだいたいパターン化されていて、順番に見ていけば「ああ、これか」と心当たりが出てくるはずです。
この記事では、お金が残らない典型的な原因と、今すぐ見直せるポイントを整理していきます。
▶記事を読む前に、まず自分の物件の状況を知りたい方は、ぜひルームスタイルの賃貸管理コンサルタントへお気軽にご相談ください。
| この記事でわかること |
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「家賃収入=手残り」ではない

まず押さえておきたいのが、「家賃収入」と「手元に残るお金(手残り)」は、そもそも別物だということです。
最新の不動産市場を見ても、特に都心は家賃相場自体は堅調に推移しているエリアが多く、「入居者がいるから経営は順調」と考えがちです。
ですが、家賃収入は売上であって、「利益」ではありません。そこからローンの返済、管理費、税金、修繕費などが差し引かれて、ようやく手残りになります。
試しに、家賃7万5,000円の部屋を8戸所有するオーナーを想定し、シミュレーションしてみます。
| 項目 | 金額(年間) |
|---|---|
| 家賃収入 | 720万円 |
| ローン返済(元金+利息) | 374万円 |
| 毎月の管理費・修繕積立金 | 192万円 |
| 毎月の賃貸管理手数料 | 36万円 |
| 固定資産税 | 22万円 |
| 手残り(概算) | 96万円 |
今回は8戸すべてが満室で、1戸につき毎月2万円の管理費・修繕積立金を支払う想定です。賃貸管理会社への手数料は家賃の5%として、ローン返済や税金も差し引いています。
それでも、年間720万円の家賃収入に対して、手残りは96万円。8戸合わせて月8万円、1戸当たりでは月1万円です。
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 1戸当たりの月額返済 | 374万円÷12ヵ月÷8戸 | 約3万8,958円 |
| 返済比率 | 374万円÷720万円×100 | 約51.9% |
不動産投資の返済比率は、40~50%程度が一つの目安です。ただ、区分マンションは管理費や修繕積立金もかかるため、50%以下でも安心とは限りません。
購入するエリアにもよりますが、今回のような返済比率が高いケースでは、もともとの収支計画に余裕が少なかったのかもしれません。
退去や設備の故障が重なると、手残りが無くなり、自己資金から持ち出しすることもあります。
一棟アパート投資でも返済比率の目安は同じですが、管理方法や修繕時期を自分でコントロールしやすく、支出を見直す余地があります。
賃貸経営でお金が残らない「よくある原因」

賃貸経営において、購入後に手元にお金が残らない原因は、だいたい次の5つのどれかに当てはまります。
空室損
購入前のシミュレーションを、そのまま今も信じていないでしょうか。営業担当から提示される多くの収支計画は、「満室が続く」前提で組まれています。
- 8戸中1戸が半年空くだけで、家賃収入は数十万円単位で減る
(家賃7万5,000円の部屋なら、半年で45万円) - フリーレントをつけて募集すれば、その期間分の家賃収入もまるごと消える
(家賃7万5,000円の部屋で1.5ヵ月つければ、11万2,500円) - 入居者を決めるために、仲介会社へ払う広告料もかかる
(家賃7万5,000円の部屋で広告料2ヵ月分なら、15万円)
もしこの3つが重なれば、1戸で約71万円です。
- 半年空室:45万円
- フリーレント1.5ヵ月:11万2,500円
- 広告料2ヵ月分:15万円
合計すると71万2,500円。これが、8戸のうちたった1戸の話です。
家賃7万5,000円の部屋が1戸空くだけで、これだけのお金が出ていきます。
帳簿と手残りの誤差
ローン返済のうち、利息は経費になりますが、元金は経費になりません。そのため、帳簿上は利益が出ていても、返済が続けば手元のお金は減ります。
| 項目 | 経費になる? | 手元のお金 |
|---|---|---|
| ローンの利息 | なる | 減る |
| ローンの元金 | ならない | 減る |
元金は、払っても帳簿には出てきません。でも通帳からはしっかり出ていきます。
たとえば、こんなケースです。
- 帳簿上:家賃収入から経費を引いて、100万円の黒字
- 実際の手元:元金返済200万円を払うと、100万円のマイナス
帳簿は黒字なのに、現金は減っている。しかも税金は帳簿上の利益にかかるので、「利益が出ているから」と税金まで払うことになります。
デッドクロス
さらに築年数が経った物件で注意したいのが「デッドクロス」です。これは減価償却費より、ローンの元金返済額が大きくなった状態を指します。
- 購入当初:減価償却費300万円 > 元金返済200万円。現金の支出より、経費にできる額が大きい
- デッドクロス後:減価償却費80万円 < 元金返済200万円。経費にできる額より、現金の支出が大きい
木造アパートは減価償却期間が短いため、鉄骨造やRC造よりデッドクロスが早く訪れる傾向があります。
修繕費・原状回復費
退去のたびに発生する原状回復費、そして設備の修繕費。建物は人間と同じで、築年数が経つほど、頻度も金額も上がっていきます。
- 築5年:クロスの張り替えなど、原状回復費は数万円〜10万円程度で済むことが多い
- 築15年以上:給湯器やエアコンの交換が重なり、1回の退去で数十万円かかることも
- 屋根や外壁など建物全体の修繕は、10〜15年周期でまとまった金額(数百万円単位)が必要になる
退去が出るたびに、クロスも設備もまるごと交換。管理会社の見積もりをそのまま承諾している。
手元にお金が残らないオーナーさんは、このパターンが多いです。
1回の退去で数十万円。それを毎回払っていたら、数年でかなりの額になります。もちろん、部屋をきれいにするのは大事です。
でも、その見積もり、中身を自分で見ましたか?「全部替えます」に「お願いします」と返しているだけなら、替えなくていい分まで払っているかもしれません。
管理手数料・突発的な出費
管理手数料は、内容を確認しないまま「相場だろう」と払い続けている人が多いです。家賃3%と5%では、家賃7万5,000円の部屋1室で年間1万8,000円、8戸なら年間14万4,000円の差になります。
また、給湯器が壊れたら、交換だけで十数万円。台風で屋根が傷めば、その何倍もかかります。
突発的な支出は、保険で賄える場合もありますが、全額が補償対象とは限りません。予備費がないと、その年の手残りは一気に減ります。
上記の原因とタイミングを整理すると、こうなります。
| 原因 | 手残りへの影響が出るタイミング |
|---|---|
| 空室損 | 空室発生直後 |
| 帳簿と手残りの誤差 | 毎月。ただし気づくのは納税のとき |
| デッドクロス | 築年数が経ってから、ある年を境に突然 |
| 修繕費 | 退去や設備故障のたび、不定期 |
| 管理手数料 | 毎月気付かないまま |
| 突発的な出費 | 予測できないタイミング |
今すぐ見直したいポイント

原因がわかったところで、じゃあ実際に何を見直せばいいのか。すぐに着手できるポイントを整理します。
- 家賃設定:相場より高すぎて空室が長引いていないか。逆に、周辺相場が上がっているのに据え置いたままになっていないか。長期入居者ほど、この差が開きやすい
- 管理委託費:委託内容と手数料が見合っているか。清掃・巡回・入居者対応など、何にいくら払っているか内訳を一度洗い出してみる
- ローンの借り換え:金利や条件を購入当初のまま放置していないか。金利が1%下がるだけで、年間の返済額が数十万円単位で変わることもある
- 空室対策:原因が「物件」(設備・間取り・清掃状態)か「募集」(写真・家賃設定・仲介会社との連携)か、切り分けられているか。原因を混同すると、的外れな対策にお金をかけることになる
- 修繕計画:突発対応ではなく計画修繕にできているか。修繕費がローン返済や税金の支払いと同じ時期に重ならないよう、時期を分散できているか
これらは、どれか1つだけ直せば解決するものではありません。
また、放置している期間が長いほど、あとで一気に見直す負担も大きくなります。
物件の収支を正しく把握できていますか?
ここまで、お金が残らない原因と見直しポイントを見てきました。「じゃあ自分の物件はどれに当てはまるのか」を一度考えてみてください。
空室が原因なのか、デッドクロスが近いのか、修繕費が重なりやすい時期に来ているのか。切り分けには、物件ごとの状況を踏まえた診断が必要です。
「なんとなくお金が残らない」を放置していると、気付いたときには対策の選択肢が狭まっていることもあります。
まずはご自身の物件の収支をルーム・スタイルの賃貸経営コンサルタントと一緒に整理してみませんか?




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