木造アパート6つのデメリットとは?解決方法や4つのメリットも解説

不動産投資初心者や、引っ越しを検討している消費者の多くは、なんとなくの知識として「木造の建物は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物よりも家賃は安いが、建物としての状態は劣る」と把握しているはずです。

同じ木造と言っても、アパートとマンションがあるのはご存知でしょうか。また、木造とその他の構造の具体的な違いは何でしょうか。

この記事は、木造アパートの購入あるいは木造物件への引っ越しを検討しているものの、そのデメリットが気になるという方に向けて、知っておくべき知識をお伝えします。 木造アパートのメリット・デメリット、そしてそのデメリットを解決する方法もお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

本記事を読んでわかること
  • 「木造アパート」と「木造マンション」の違い
  • 木材の特徴や特性とは
  • 木造物件のメリット・デメリット
  • 木造に住むデメリットの解決方法
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木造アパートと木造マンションの違い

同じ木造の賃貸物件でも、「木造アパート」と「木造マンション」の2種類の呼び方を聞いたことはありませんか。その両者の違いについて、もしかしたら独自の思い込みをしている方もいるかもしれません。

まずは、2つの違いについて解説していきましょう。

アパートとマンションの違いは何?

木造に限らず、そもそもアパートとマンション、それぞれの定義については建築基準法・宅地建物取引業法などで明確に定められているわけではありません。

木造で「2階建て以下の建物はアパート」「3階建て以上でエレベーターがある建物はマンション」といった認識をしている方が多いのではないでしょうか。

それらの認識は決して間違いとは言えませんが、あくまでも法に則った定義ではないということです。

「アパート」「マンション」どちらかは取扱い会社の呼び方次第

実は、木造物件においてアパート・マンションどちらに該当するかは、取扱う不動産会社の独自の判断で決まっています。不動産会社や管理会社によって、アパート・マンションの定義は少し違うのが実情です。

一般的に、アパートとマンションは、家賃や階数など以下のように区別されることが多いようです。

家賃建物の構造階数エントランスや駐輪場など遮音性
アパート安い木造2階以下比較的狭く、建物によっては設けられていない場合もある低い
マンション高い鉄骨造・鉄筋コンクリート造など3階以上比較的広く設けられている高い

また、「3階建てのアパート」「2階建てのマンション」「木造のマンション」など、他にもさまざまな呼び方が存在しています。


木造アパートのデメリット5選

木造物件は「壁が薄い」「共用部の階段の音が響きやすい」ということを聞いたことがあるかもしれません。

冒頭にも述べたように「木造の建物は、建物としての状態が劣る」と認識している方が多いでしょう。

では、具体的にどのような点において状態が劣るのでしょうか。 木造アパートのデメリットとして、以下の5点について解説します。

1. 遮音性(防音性)が低い

木造アパートは建物の質量が低いため、鉄筋コンクリート造の建物よりも遮音性が劣ります。 よって、周囲の部屋の話し声や足音などの生活音が聞こえやすい、建物の外の音をうるさく感じやすいといったデメリットが生じます。建物によっては、上下左右の部屋のテレビ音が聞こえることもあるようです。

また、自室の音が上下階や隣人の部屋に響いてしまい、苦情を申し立てられるなどのトラブルが発生することも懸念されるでしょう。

遮音性は、「鉄骨鉄筋コンクリート>鉄筋コンクリート造>重量鉄骨造>軽量鉄骨造>木造」の順に低くなっており、木造は最も遮音性に劣る構造です。

ただし、木造アパートでも使用する建材や間取りに工夫をして、遮音性が高くなるように建築されている建物もあります。また、入居後にマットを敷くなどして遮音性を高める工夫をしている人もいます。 木造アパートの遮音性の低さが気になる場合は、内覧時にしっかり確認しておいた方が良いでしょう。

2. 築年数次第では耐震性が心配

一般的に、木造アパートは耐震性が低いと言われています。 全国各所で大きな地震災害が起きているこの日本で、耐震性が低い建物に住むのは不安かもしれません。

ただし、建築基準法における耐震基準は1981年6月1日の改正を起点に、旧耐震・新耐震に分けて考えられています。

旧耐震
  • 震度5程度の中規模の地震で大きな倒壊(崩壊)しないこと
  • 震度6強程度の大地震は規定なし
新耐震
  • 震度5程度の中規模の地震で軽微なひび割れ程度であること
  • 震度6強程度の大地震で倒壊(崩壊)しないこと

さらに、2000年には木造の建造物を対象に「2000年基準」と呼ばれる現行の耐震基準が定められており、上記の新耐震よりもさらに高い耐震性で建物を建造するよう規定されています。 よって、2000年以降に建造された建物であれば、現行の高い耐震基準を満たしているため、「木造だから」と心配する必要は少ないかもしれません。 逆に、1981年5月31日以前に建造された建物に関しては、それ以降に建造された建物よりも耐震性がきわめて低い可能性があります。

3. 耐用年数が短い

木造アパートの法定耐用年数は22年、木造モルタルのアパートの法定耐用年数は20年です。鉄筋造の建物の法定耐用年数は47年となっており、木造アパートの耐用年数は鉄筋造の建物の半分以下となっています。

ちなみに、耐用年数とは固定資産を本来の価値を保ったまま使用できる期間のことを指します。 あくまでも資産としての価値が下がるということなので、耐用年数を過ぎた建物は必ずしも住めなくなるわけではありません。

ただし、木造アパートは自然素材を建材として使用して建てられています。そのため、メンテナンスを怠っている築古物件では、雨漏りなどの劣化が起きやすいのも事実です。 耐用年数を過ぎ、危険性のある老朽化した築古物件では、オーナーが取り壊し・立て替えを決行する場合もあります。入居者は、自身の意思に反して引っ越しを余儀なくされることを理解しておかなくてはなりません。

4. 気密性が低くエネルギー効率が悪い

建物内の空気などが外部へ漏れない性能のことを「気密性」と言いますが、木造アパートは建材と建材の間にどうしても隙間が生じてしまうため、気密性が低くなっています。よって、エアコンが効きにくく、エネルギー効率が悪いこともデメリットです。

例えば、15畳程度の広さのリビングに設置するエアコンを選ぶとしましょう。同じサイズのエアコンを選んでも、鉄筋コンクリート造では18畳程度の広さまで対応できるのに対し、密閉具合の低い木造物件では11~12畳程度までしか対応できません。 エアコンは、設定した温度に到達しないとそれまでに多くのエネルギーを消費しますので、このような点からエネルギー効率が悪くなってしまいます。

ただし、木造でもツーバイフォー工法の建物は建材と建材の隙間ができづらく、在来工法よりも気密性を確保できる特徴があります。

5. 虫が発生しやすい

木造アパートは建材と建材の間にどうしても隙間が生じるため、虫が発生しやすいというデメリットがあります。公園が近いなど、周囲に自然が多い環境の場合は特に、夏の時期は虫の発生に悩まされるかもしれません。

とはいえ、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物でも虫が入ってくる可能性はあります。この件に関しては構造よりも、建物の立地条件の方が大きな関わりがありそうです。 オーナー側のコストとして懸念されるのは「防蟻工事」です。シロアリ被害を防ぐために新築時に防蟻処理を講じておくことが多いですが、5年程度の周期で継続的にメンテナンスが必要になります。

メンテナンス方法にもよりますが、一般的な木造アパートでは20万前後のコストが発生します。


木造アパートのメリット4選

 

 

木造アパートは前章で解説したようにデメリットが多いのが事実ですが、逆に他の構造よりも優れている面もあります。 この章では、木造アパートのメリットを4点お伝えします。

1. 家賃・管理費が安く抑えられる

ご存知のように、木造アパートは鉄筋造の建物よりも家賃・管理費が安く設定されています。 これは、木造の建築コストの低さ、さらに木造アパートは建物の階数が少ないものがほとんどのため、管理費が抑えられるためです。 立地条件・広さが同じでも、木造アパートは鉄筋コンクリート造の建物よりも5~10%ほど家賃が安くなることが多いようです。

よって、木造アパートに住むと鉄筋コンクリート造の建物に住むよりも月々の家賃を抑えられるだけでなく、初期費用や更新費用も抑えられます。 年間・数年単位のコストで考えると、かなりの節約効果があるでしょう。

2. 通気性が高くカビ・結露が発生しづらい

木造アパートは気密性が低いことがデメリットですが、逆に言えば通気性が高いことがメリットです。風通しが良いため、カビ・結露が発生しづらい環境となります。

また、木材には湿度を調整してくれる「調質性」という特徴があります。湿気が多い梅雨の時期は木材が周囲の湿気を吸収し、空気が乾燥する冬の時期は溜め込んだ湿気を放出します。 木造建築は、季節によって湿度が大きく変動する日本の風土に合った構造なのです。

3. 間取りが広くとりやすい

鉄筋コンクリート造の建物はその構造上、室内や天井に柱や梁(はり)が多くなりますが、木造アパートは柱や梁による部屋の凹凸はほとんどありません。 よって、空間を広く使いやすく、家具やインテリアを設置しやすいというメリットがあります。

部屋に凹凸が多い鉄筋造の建物は、家具を設置する際に細かく寸法を測る必要がありますが、木造アパートの場合はそこまで気にする必要はなさそうです。 感覚で「これくらいの大きさなら大丈夫だろう」と判断しても、家具の購入に失敗することは少ないでしょう。

4. リフォーム・増改築がしやすい

不動産オーナー目線でのメリットになりますが、リフォーム・増改築がしやすいというメリットもあります。

木造には、日本で古くから使われている伝統的な「在来工法」と、北米・北ヨーロッパで長く使われてきた「2×4(ツーバイフォー)工法」の2つがあります。木材を線(柱)で組み立てる在来工法は、日本の工務店やハウスメーカーで現在でも多く採用されている施工方法です。 この在来工法は、リフォーム・増改築の自由度がとても高く、間取りの変更なども比較的容易に行うことができます。

ただし、2×4工法は木材を壁(板)で、箱を作るように建築していきます。そのため、壁の大きさや位置が固定されてしまっているため、リフォーム・増改築には不向きです。

5.予想以上に火災に強い

木造アパートは火災に対して弱いという一般的なイメージがありますが、実際には木造建築は火災に対して予想以上に強いと言えます。

木材は火災にさらされると、表面が炭化し、その炭化層が内部の構造を保護する役割を果たします。このため、木材は燃え広がる速度が遅く、内部の強度を長時間保つことが可能です。

一方で、鉄骨は高温にさらされると急激に強度を失います。鉄は摂氏500度を超えると強度が大幅に低下し、構造が変形してしまう危険があるのです。

実際の火災現場では、木造建築の方が持ちこたえる時間が長いため避難時間を確保しやすく、急激に強度を失う鉄骨造は、建物が突然崩壊するリスクが高くなります。これに対して木造建築は、火災が発生しても一定の時間内部の構造を維持し続けるため、避難の猶予が確保されやすいのです。

また、発火元が室内である場合、石膏ボードなどの不燃材料によって火災の広がりが阻止されます。家を支える木材まで火が到達するのには時間がかかるため、火災が発生してもすぐに家が倒壊するわけではありません。


木造アパートのデメリットを解決する方法

木造アパートには多くのデメリットがありますが、あらかじめ対策すればそれらをある程度解決することができます。

デメリットを解決できれば、家賃が安いという最大のメリットの旨みを十分に感じられるはずです。 最後に、木造アパートのデメリットを解決する方法を4つ紹介します。

1. 新築・築浅の物件を選ぶ

木造アパートの耐震性の低さ・耐用年数の短さをリカバリーするには、新築・築浅の物件を選ぶことが大切です。 新築・築浅の物件であれば、2000年基準の耐震基準のもと建設されており、耐用年数も十分に残っています。

築古物件と比較すると家賃が高くなることが入居者としてはデメリットに感じられますが、それでも鉄筋造の建物に住むよりはコストを抑えられるはずです。

2. 防音対策をする

木造アパートの遮音性の低さをリカバリーするには、工夫を凝らして防音対策することが大切です。 以下で紹介する3つの防音対策を行っておけば、他者の生活音や外部からの騒音に悩まされたり、自身の生活音が原因で近隣住民とトラブルになったりするリスクを軽減できます。

カーペット(マット)を敷く

部屋の床にカーペットやマットを敷くことで、自身の足音や生活音が下の階に響いてしまうリスクを軽減できます。 インテリアとしてのカーペットやマットでも防音効果が期待できますが、中には防音性が高くなるよう設計されている商品もあります。

さらに、テーブルなどの家具の足にカバーを付けることで、音や振動を軽減する効果があるので併せて準備すると良いでしょう。

他室と隣り合う壁面に家具を配置する

他室と隣り合う壁面に本棚やクローゼット等の大きな家具を設置することで、隣室への音漏れを抑制する効果が期待できます。

木造アパートは部屋の凹凸が少なく、家具やインテリアを設置しやすいことがメリットの1つです。 大きな家具に関しては、デザインを重視した配置よりも、防音対策という意味合いを重視した方がいいかもしれません。

また、不動産会社によっては隣り合う壁面に水回りを設置したり、リビング同士を隣り合わせないようにしたりと、間取りに配慮した設計をしているアパートもあります。気になる方は、部屋探しの際に建物の平面図がないか、一度確認してみると良いでしょう。

防音カーテン・フィルムを張る

自室からの音漏れを防止するため、そして隣室や建物の外からの音をシャットアウトするために、防音カーテンやフィルムを設置しましょう。 通常のカーテンよりも厚手の素材が用いられている防音カーテンは、高い遮音効果が期待できます。

さらに、窓ガラス用の防音フィルムを併せて使用するとより効果的です。 防音カーテン・フィルムを設置することで、近隣住民との騒音トラブルを回避できるだけでなく、就寝時などに外部からの騒音に悩まされるリスクも軽減できるでしょう。

3. 角部屋を選ぶ

集合住宅に住む際は、角部屋を選んだ方が近隣住民との騒音トラブルを回避しやすくなります。 単純に、音漏れなどを気にする隣り合う対象部屋が1世帯のみとなるからです。左右両方の隣室から音漏れがあるよりもストレスは軽減されるでしょう。

ただし、角部屋は防犯性の高さや眺望の良さ、独立性の高さがあるため、他の部屋よりも家賃が少し高めとなる傾向にあります。

また、隣人の生活音に悩まされるリスクは半減されますが、建物の外部からの騒音に悩まされるリスクはあります。 防音カーテン・フィルムを設置して、しっかり対策しておいた方がいいでしょう。

4. 最上階を選ぶ

最上階の部屋に住めば、少なくとも上階からの騒音に悩まされる心配はありません。特に家にいる時間が多い方は、最上階を選ぶことがおすすめです。

最上階は日当たりや風通しも良く、1階に住むよりは快適に暮らしやすいはずです。 反対に幼児がいる世帯など、子供の足音が気になる方は1階を選ぶ方が良いでしょう。

ただし、最上階の部屋は、やはり下の階の部屋よりも高めに家賃設定されているケースが多いです。 快適に暮らせる分、この点においては当然のこととして受け入れるようにしてください。


まとめ

この記事では、木造アパートを購入したい投資家や、木造の賃貸物件への居住を検討している方に向け、木材の特性やメリット・デメリット、またデメリットの解決方法について解説しました。

木造アパートは、鉄筋コンクリート造の建物に比べて遮音性・耐震性が低いことなどがデメリットとなります。ただし、それらは部屋選びに注意したり、防音対策を行ったりすることである程度は解決することが可能です。反対に、木造アパートは家賃・管理費を抑えられるという大きなメリットがあります。 初期費用や更新費用も抑えられるため、長期的なスパンで考えるとかなりの節約になるでしょう。

「木造=鉄骨造・鉄筋コンクリート造の建物よりも劣る」というイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうであるとは言い切れません。 部屋探しをしている皆さんは、デメリット・メリットの両方を理解したうえで、自身に合った住まいを選びましょう。

そして、不動産投資をこれからスタートしたいと思っている投資初心者の皆さんは、このような木造の特徴をしっかりと理解したうえで、どんな物件を購入すべきかを考えてみてください。収益物件では、減価償却や修繕リスクにおいて検討することが非常に重要です。

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