築古物件の耐震補強は必要?工事費用の相場と補助金・税務上の注意点

築古物件の耐震補強は必要?工事費用の相場と補助金・税務上の注意点

「耐震補強には総額いくらかかるのか」
「入居者がいても工事はできるのか」

耐震補強を考えても、費用や入居者への影響が気になり、なかなか決められないものです。
この記事では、補強が必要かどうかの見極め方、費用の目安、補助金、税務上の注意点まで順に解説します。

「うちの物件にも耐震補強は必要なのか」と気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。弊社の賃貸管理コンサルタントが、物件の状況を踏まえ、これからの管理について一緒に考えます。

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この記事でわかること
  • 耐震補強が必要な物件の見分け方
  • 耐震補強の費用相場と工事内容
  • 工事費以外にかかる費用
  • 賃貸物件で使える補助金
  • 工事費の経費処理と固定資産税の減税制度

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築古の賃貸物件に耐震補強は必要?

築古物件の耐震補強は必要?工事費用の相場と補助金・税務上の注意点

耐震補強が必要かどうかは、築年数や建物の見た目だけでは判断できません。
なかでも、旧耐震基準で建てられた物件をお持ちなら、地震にどれくらい耐えられるのかを一度確認しておきたいところです。

建てられた時期が判断の目安になる

耐震基準の大きな境目は、1981年(昭和56年)6月1日です。この日以降に建築確認を受けた建物は「新耐震基準」、それ以前が「旧耐震基準」です。

旧耐震は震度5強程度で倒壊しないことを想定し、新耐震は震度6強から7でも倒壊しないことを求めています。

見るのは竣工日ではなく、建築確認を受けた日です。1981年に完成した物件でも、確認が前年なら旧耐震になります。手元にある確認済証で日付を確認しましょう。

耐震基準による違いは、実際の地震でも表れています。2016年の熊本地震で震度7が2回観測された益城町中心部では、木造の倒壊率が次のとおりでした。

  • 旧耐震(1981年5月以前):28.2%(759棟中214棟)
  • 1981年6月〜2000年5月:8.7%(877棟中76棟)
  • 2000年6月以降:2.2%(319棟中7棟)

(出典:東北大学災害科学国際研究所 榎田竜太「令和8年熊本地震における建物被害の初期整理と現状把握」)

新耐震基準で建てられた木造建物でも、2000年5月以前のものは倒壊が見られました。
木造は2000年にも基準が見直されており、それ以前に建てられた物件も診断を検討したいところです。(2000年基準)

補強が必要かは耐震診断でわかる

既存の建物が、地震にどの程度耐えられるかを調べるのが耐震診断です。建築士が図面を確認し、現地を調査して、どこが弱いかを洗い出します。

木造では「上部構造評点」で結果が出ます。結果ごとの考え方は、おおむね次のとおりです。

評点考え方
1.0以上
(一応倒壊しない)
補強は不要
0.7~1.0未満
(倒壊の可能性がある)
補強を検討
0.7未満
(倒壊の可能性が高い)
補強、建替え、売却を
早めに決める段階

RC造や鉄骨造はIs値で判定し、0.6以上が一つの目安になります。


耐震補強の費用相場と工事の内訳

耐震補強の費用相場と工事の内訳

耐震補強には、工事費のほかに、耐震診断や工事後の内装の復旧にもお金がかかります。
入居者との日程調整や、工事中に家賃が入らない場合も考えて、予算を組んでおきましょう。

建物の構造や広さで費用が変わる

工事費は構造、広さ、劣化の状態で大きく異なります。木造は、一般的な広さの戸建てで100~200万円前後が目安です。

アパートのように床面積が大きいと、数百万円かかる場合もあります。鉄骨造やRC造は規模次第で、数百万円から数千万円まで幅があります。

たとえば、次の木造アパートで費用を考えてみましょう。(金額は仮定)

  • 建物:木造2階建・延べ面積200㎡・8室
  • 満室時の家賃収入:月40万円
  • 診断費:20万円
  • 補強工事費:300万円
  • 内装復旧費:50万円

工事の総額は370万円です。満室の家賃収入で、約9か月分にあたります。家賃の値上げで回収することを前提にせず、今後の修繕費や所有期間を踏まえて判断しましょう。

壁や基礎などの主な補強工事

木造でよく行う工事は次のとおりです。

木造の主な補強工事

  • 壁の補強:筋かいの追加、構造用合板の取り付け
  • 柱と梁の接合部の補強:金物による固定
  • 基礎のひび割れの補修:補修材の注入など
  • 鉄筋のない基礎の補強:鉄筋コンクリートの増し打ち
  • 屋根の軽量化:瓦屋根から軽い金属屋根への葺き替え

必要な工事は建物によって異なり、基礎や屋根まで補強すると費用も増えます。たとえば、基礎に鉄筋が入っていなかったり、ひび割れがあったりする場合は、基礎の補強も検討してみてください。

【参考:地震が多い今、マンションを買うなら「価格」より先に確認したいこと】


耐震補強で使える補助金

耐震補強で使える補助金

耐震診断や補強工事の費用は、自治体の補助金で負担を抑えられる場合があります。工事を考え始めたら早めに調べておきましょう。

賃貸物件でも使える補助金がある

耐震補強の補助金は、補助の対象を「自分が住む住宅」に限り、貸家を外す自治体があります。ただし、自治体によっては、木造アパートなどの賃貸物件でも利用できます。

物件のある自治体の制度を調べ、「共同住宅」や「貸家」が対象に含まれているか確認しましょう。金額の差も大きく、改修費の上限が50万円前後の自治体もあれば、100万円を超える自治体もあります。

工事を依頼する前に申請条件を調べる

診断や工事を依頼する前に、申請の時期を確認してください。契約や着工後では補助を受けられない場合があります。
制度によっては、次のような条件もあります。

  • 事前に耐震診断を受けていること
  • 診断の評点が一定以下であること
  • 補強後の評点が一定以上になること
  • 指定された条件を満たす業者に依頼すること

予算に達すると受付が終了する場合もあるため、早めに市区町村の建築指導課や住宅課などへの問い合わせをおすすめします。


耐震補強の税務上の注意点

耐震補強の税務上の注意点

いくら耐震補強にお金をかけても、同じだけ節税できるわけではありません。工事費を経費計上するタイミングはいつか、どの減税が使えるのかを分けて考えます。

工事費を一度に経費にできるとは限らない

工事費は「修繕費」と「資本的支出」で扱いが変わります。

  • 修繕費:通常の修理や維持管理にあたる費用
  • 資本的支出:建物の価値を高めたり使える期間を延ばしたりする費用

修繕費は原則としてその年に全額を経費にでき、資本的支出は減価償却によって各年に分けて経費にします。

たとえば、壁や柱を補強して、耐震性を高める工事は資本的支出となる場合があります。工事の内容によって扱いが変わるため、見積もりの段階で税理士に確認しておくとよいでしょう。

耐震改修で固定資産税が減額される場合がある

一定の条件を満たす耐震補強をした賃貸物件は、翌年度の建物の固定資産税が、原則として1年間、半額になります。
ただし、対象は1戸当たり120㎡分までで、土地の固定資産税は減りません。

対象となるのは、1982年1月1日以前からある住宅です。工事費が1戸当たり50万円を超え、工事後に現行の耐震基準を満たす必要があります。工事の期限は令和13年3月31日です。

工事をすれば自動で減額されるわけではなく、申告が必要です。工事前に自治体の固定資産税の窓口で、対象になるか、どんな書類が必要かを聞いておきましょう。

【参考:国土交通省「住宅・建築物の耐震改修の支援策(令和8年度)」】

工事内容が決まったら税理士に相談する

見積もりの段階で、工事の内訳を細かく分けてもらいましょう。補強工事と内装の復旧が「一式」でまとめられていると、経費の処理がしにくくなります。
工事内容に応じた経費の扱いを、事前に確認しておくと安心です。


まとめ|診断と見積もりから検討しよう

築古物件の耐震補強を考える際は、次の3つを押さえておきましょう。

  • 耐震診断で補強の必要性を確認する
  • 診断や復旧費も含めて予算を組む
  • 補助金や税金の扱いを事前に調べる

必要な工事と費用がわかれば、今後も貸し続けるための計画を立てやすくなります。まずは管理会社に相談し、診断の依頼先や入居者への対応を確認するところから始めてみてください。

所有物件の耐震性や工事費用が心配な方は、ルーム・スタイルに相談してみませんか?
今後の修繕や賃貸経営も見据え、物件に合った管理をご提案します。

耐震補強と今後の賃貸管理について相談する

※耐震補強の必要性や工事費の税務上の扱いについては、物件や工事の内容に応じて、建築士や税理士への確認が必要です。

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