家賃収入は副業になる?不動産所得に興味がある会社員の疑問を解決

2018年1月に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表して以降、副収入を得る方法として不動産投資に興味を持つ方が増えています。

しかし、まだまだ副業を禁止としている企業も多く、そのような企業で働く方は「家賃収入は副業に入るのか?」との疑問があるはずです。

結論から言うと、家賃収入が副業に「なる」「ならない」の判断は企業によって違います。

そこで、この記事では「家賃収入×副業」に関する会社員の疑問を徹底的に解説していきます。

本記事を読んでわかること
  • 多くの企業が家賃収入を副業とみなさない理由
  • 家賃収入が副業となり得る4つのケース
  • 家賃収入が会社に見つかってしまう主な3つの理由
  • 会社員だからこそ得られる不動産投資のメリット・デメリット
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家賃収入の仕組み

そもそも家賃収入とは賃貸物件を購入してオーナーとなり、その物件を第三者の入居者に貸し出すことで得られる収入のことです。

以下では、家賃収入の具体的な仕組みについて解説します。

会社員の家賃収入の種類

所有物件に入居者が入り、賃料をもらうことで家賃収入となります。

そのため、居住用やオフィス・店舗、民泊などさまざまな種類がありますが、一般的に会社員が家賃収入を得る方法として多いのは以下です。

区分マンション、一棟アパート

単身者やファミリー向けの物件。

一般的には月単位の賃貸契約が主流。

戸建住宅

 広いスペースやプライバシーを求めるファミリー層に人気。

長期の賃貸契約が多い。

家賃収入の計算方法

年間総収入 – 年間経費 = 実際の収益(不動産所得)

家賃収入は、単純に入居者から支払われた賃料額だけでなく、必要経費の支出額を差し引かなくてはなりません。

例えば、毎月の家賃が8万円の場合、年間総収入は96万円になります。この総収入から主な経費として考えられる以下の項目を差し引き、「所得」の計算をしていきます。

  • ローン金利
  • 管理委託料
  • 修繕費
  • 固定資産税
  • 仲介手数料
  • 広告料

また、以下のような物件探しや購入時に発生した費用も、経費として計上することができます。

  • 火災・地震保険料
  • 司法書士・税理士への報酬
  • ローン保証料
  • 印紙代
  • 減価償却費
  • 通信費
  • 接待交際費
  • 旅費交通費

これらを漏れなく計上することで、所得を抑え節税へとつながります。


  家賃収入が副業になる・ならないは就業規則次第

家賃収入が副業になるか否かは、一概にはいえません。

その判断は、企業の就業規則によって変わってくるからです。それを踏まえたうえで、多くの会社員に当てはまる基礎知識として以下の2点を解説します。

副業禁止でも家賃収入はOKとする企業が多い

多くの企業は、家賃収入を「副業ではない」と判断しています。つまり、副業を禁止していても「家賃収入を得るのは問題なし」としている企業がほとんどです。その理由として、以下の5点が挙げられます。

  • 本業に影響が出にくい
  • 企業の情報が漏洩するリスクが少ない
  • 企業のノウハウが外部に盗用されるリスクが少ない
  • 不動産投資は副業ではなく資産運用に該当する
  • 相続などやむを得ない事情による場合もある

副業を禁止している企業の多くは「本業に支障が出ること」「企業内や顧客の情報が漏洩するリスクがあること」「企業のノウハウを外部に盗用され、損失を被るリスクがあること」の3つを懸念材料としています。

しかし、社員が家賃収入を得ていたとしても、それらの懸念材料を脅かされる可能性は極めて低いはずです。

よって、多くの企業は、家賃収入は副業には含まれないと判断しています。

企業によっては届出が必要

一部の企業は、不動産所得を得るうえで「会社に届出を出し、承認をもらうこと」をマストとしています。

おそらく、それらの企業は「不動産投資は多額の損失を抱えるリスクもあり、本業に影響が出る可能性がある」と危惧しているのでしょう。届出が必要な企業でそれをせずに家賃収入を得てしまうと、自社の就業規則を破ってしまうことになります。

特に公務員の場合は、注意が必要です。公務員は私的な事業によって利益を得ることが禁止されており、副業に対しても「人事院規則」で取り決められています。公務員でも「一定の規模以下であれば家賃収入を得ても問題ない」とされることが多いようですが、違反による罰則も厳しくなります。

家賃収入を得るために不動産投資をスタートするなら、まずは勤め先の就業規則を確認しておきましょう。


 家賃収入が副業と判断されやすいケー

基本的には家賃収入を「副業ではない」と判断する企業がほとんどですが、例外となる条件もいくつかあります。その理由を一言でいうと「副業の域を超えた事業」として判断されることがあるからです。

家賃収入を事業として判断されやすいケースとして、以下で4つの例を解説します。

1. 一定金額以上の家賃収入を得ている

企業の就業規則によっては、一定金額以上の家賃収入がある場合は事業として判断されます。

その判断基準となる金額は企業によってさまざまですが、その一例として「年間で500万円」「給与所得の1/2以上」などがあります。

ただし、企業によってその境目はそれぞれです。自身が勤め先の就業規則に違反してしまう可能性がないか、事前に確認しておきましょう。

2. 5棟10室以上の物件を所有している

所得税方第26条では、5棟10室以上の物件を「事業的規模の基準」と定めています。「5棟10室基準」などと呼ばれています。

よって、それに該当する物件を所有している場合は、副業の範疇を超えていると判断される可能性が高いでしょう。

相続によって物件を所有している場合は判断が難しいところですが、これから物件を購入して不動産投資を始めるなら、この条件を考慮して物件を選んだ方がよさそうです。

不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断します。

ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。

(1) 貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。

(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

(出典:国税庁「No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分

3. 50台以上の規模の駐車場を運営している

賃貸用の物件とは違って法的な基準はありませんが50台以上の規模の駐車場は事業的規模として判断されることが多いようです。

また、駐車場付きの物件を賃貸に出している場合、前述した「一定金額以上の家賃収入」には家賃・駐車場代の両方が含まれます。家賃収入だけでは規定内の範疇に収まっていても、駐車場料金の収入を含めると規定を超える場合はアウトになるので注意してください。

4. 娯楽施設を運営している

所有している物件が賃貸アパート・マンションではなく娯楽施設の場合は、その規模を問わず事業として判断されます。

  • 娯楽サービス業
  • 宿泊系サービス業
  • 飲食サービス業
  • レジャーサービス業 など

会社員が副業で娯楽施設を運営するケースはそうそうないかもしれませんが、相続によって譲り受ける場合は注意した方がよさそうです。


家賃収入が勤務先に見つかってしまう理由

「家賃収入も副業と判断される」「事業的規模で家賃収入を得ている」などの場合、「会社に言わなければ、発覚しないのでは?」と考えるかもしれません。

しかし、残念ながら多くの場合は副収入があることを会社に黙っていても、遅かれ早かれ見つかってしまいます。発覚してしまう要因はさまざまありますが、特に多いのは以下の3つです。

1. 住民税額が変わる

家賃収入が勤務先に見つかってしまう理由としてよくあるのは、住民税額が変わることです。

多くの会社員は、住民税を給与から天引きする形で会社が支払う「特別徴収」という方法で納税しています。

家賃収入を得た翌年はそれ以前より住民税額が上がるため、その金額の変化に会社が気付くのはほぼ確実でしょう。

住民税を給与から天引きせず、自身で納付する納税方法を「普通徴収」といい、普通徴収を選択しておけば副収入を得ていることを勤務先に知られにくくなります。

しかし、普通徴収に切り替えたこと自体は会社に通知されるはずなので、会社から怪しまれる可能性があるのは否定できません。

2. 確定申告をしていない

年間で20万円以上の所得、つまり家賃収入を得ている場合は、自身で確定申告をする必要があります。

申告をしないと会社に連絡がいくため、家賃収入を得ていることを知られてしまうでしょう。

また、確定申告を忘れていたり放棄したりすると、追徴課税などの法的なペナルティを課せられます。

勤め先の就業規則以前に法に反したことになり、企業・国の双方からペナルティを課せられてしまうかもしれません。納税や確定申告は国民の義務ですので、失念しないよう十分注意してください。

3. 噂や同僚からの告げ口

家賃収入を得ていることを不特定多数の第三者に話した場合、噂や同僚の告げ口によって会社の上層部まで話が回ってしまうことがあります。

「この人なら大丈夫だろう」と思っていても、噂はどう広まるか分かりません。

「本業に集中できていない」と見られる要因になることも考えるため、家賃収入に関する相談は直属の上司や経理部など、本当に信頼のおける一部の同僚間だけに留めておいた方が無難です。


家賃収入や副業が会社に見つかったらどうなる?

家賃収入が副業になるか否かと同様に、副収入が会社にバレた場合の対処も勤め先の就業規則に委ねられます。

就業規則で禁止されている場合・いない場合のペナルティや、起こりうるトラブルについて解説します。

1.就業規則で禁止されている場合

就業規則に「副業禁止」と明記されている場合は、規則に準じて降格・減給・出勤停止などの処罰を与えられる可能性が高いです。

規則に違反した際の処罰の内容についても、文中に記載されているところも多いでしょう。

規律を重んじる企業の場合は、即刻で解雇を命じられたり、自主退社を促されたりするケースもあるようです。あらかじめ、自社の就業規則を確認しておき、その内容によっては隠れて規則違反するのは避けておいた方が賢明でしょう。

2.就業規則で禁止されていない場合

副業を禁止していない企業の場合は、家賃収入を得ていることを知られても特にペナルティを与えられることはないでしょう。家賃収入は自ら労力を割かずに得られる収入のため、本業に支障をきたす可能性は極めて低いはずだからです。

ただし、就業規則に違反しているわけではなくても、同僚や上司の立場からすると「隠されていた」と感じる場合もあるでしょう。

中小企業の場合は、前例や規律として確立していない可能性も考えられます。職場の人間関係に亀裂が入るリスクを抑えるという意味では、ある程度近しい立場の同僚・上司には話しておいた方がいいかもしれません。


会社員が副業で家賃収入を選ぶメリット

不動産投資によって家賃収入を得ることには、会社員以外にも共通していえる以下の4つのメリットがあります。

  • レバレッジ効果がある
  • 老後の私的年金代わりになる
  • 現物資産である(インフレに強い)
  • 団体信用生命保険の代わりになる

自ら労力を割かずに不労所得を得ながら上記のメリットも享受できるのですから、やはり家賃収入はかなり魅力的な副収入の稼ぎ方です。

しかも、それらに加えて会社員には以下の3つのメリットもあり、他の副業・不労所得よりも取り組む価値がありそうです。

1.本業に影響が出にくい

家賃収入は自身の労力をほとんど割かずに「ほったらかし投資」を実現できるため、本業に支障をきたすリスクはほとんどありません。

入居者の募集・退去手続き・修繕(原状回復)・家賃回収・クレーム対応などの物件の管理業務は専門業者に一任でき、自身は本業に集中できます。

もちろん管理会社に委託するには費用がかかります。しかし、管理委託料は家賃の5%程度が相場なので、初心者にとっての費用対効果は決して悪くありません。

自分の時間を確保し、本業やプライベートに集中するためにも、物件の管理業務は専門業者に委託することを強くおすすめします。

2.不動産ローンの審査を通りやすい

多くの場合、投資物件を購入する際は、金融機関の不動産ローンを利用します。

金融機関から融資を受けるには厳しい審査がありますが、会社員の場合は収入が安定しているため、審査を通過しやすいといえます。

不動産ローンを利用すれば、最低限の自己資金だけで高額な物件を購入することができ、高いレバレッジ効果を得ることが可能です。

ローンの利息は確定申告で経費計上できるため、節税効果も期待できるでしょう。

3.赤字分を損益通算できる

会社員の場合は、不動産所得と給与所得との損益通算ができ、不動産運用の赤字分を補うことができます。

具体的には、不動産所得から経費を差し引いた金額が赤字になった場合、その赤字分を給与所得から差し引けるということです。

これによって所得が少なくなるため、所得税・住民税の節税効果があります。


会社員が副業で家賃収入を選ぶデメリット

前章で解説したように、会社員が不動産投資をおこなうことには、とても多くのメリットがあります。

ただし、これから解説する3つのデメリットがあることは把握しておかなくてはなりません。不動産投資は多額の不労所得を得られる可能性があるのは事実ですが、「楽で簡単なものではない」ということは理解しておきましょう。

1.物件選びが難しい

不動産投資によって安定して家賃収入を得られるか否かは、物件選びにかかっています。

購入時には利回りやレントロールだけではなく、出口戦略まで考えることが大切です。

どれほどの期間所有し、何年後にいくらの見込みで売却するのか、または相続するのかなど具体的な戦略立てをしたうえで、物件を選定するようにしましょう。

また、需要においても出口戦略においても、物件選びは「立地」にこだわることが非常に重要です。

その他にも築年数・価格・修繕履歴など、物件の良し悪しを判断する基準は複数あり、それらを総合的に捉えたうえで購入を決断しなくてはなりません。

不動産投資初心者である一会社員が、物件の価値を正確に判断するのは難しいのが実情です。また、家賃収入は不労所得になりますが、この物件を決める作業は不労所得を得るための労働・仕組み作りのフェーズです。

不動産会社との面談や物件の内見、その他インターネットでのリサーチなどの時間・労力がかかり、この作業中は本業に支障をきたしてしまう可能性もゼロではないでしょう。優良物件は物件掲載後数時間で売れてしまうこともあるため、物件選びは長期戦覚悟で取り組むようにしてください。

2.金銭的なリスクがある

投資にリスクはつきものであり、もちろん不動産投資においてもそれは同じです。

所有する物件に入居者がいれば安定して家賃収入を得られますが、空室があると当然その分の収入は得られません。それどころか、毎月のローン返済に加えて管理費、修繕費がランニングコストとして発生するので、収支がマイナスになる恐れがあります。

これらの不足分を自身の貯蓄から持ち出さなくてはなりません。また、自然災害などの要因で突発的な修繕が必要になる可能性があり、入ってくるお金よりも出ていくお金が大きくなる可能性もあります。

このように、不動産投資にはさまざまな金銭リスクがあることは大きなデメリットでしょう。

3.家賃収入が20万円を超えたら確定申告が必要

年間20万円を超える家賃収入を得た場合は、会社員でも自身で確定申告を行う必要があります。

基本的に会社員の方は自分で確定申告をおこなうことがないため、その作業が難しく面倒・億劫に感じるかもしれません。

確定申告の受付期間は、毎年1月1日~12月31日までの所得分を翌年の2月15日~3月16日までに申告します。申告に必要な事務作業を全て直前にやるのは大変なので、経費や収支の計算・入力は毎月おこなうことをおすすめします。


まとめ

この記事では、会社員が得る家賃収入は「副業」に値するのかどうか、また会社員が不動産投資をおこなうメリット・デメリットを解説しました。

会社員が家賃収入を得ると副業になるか否かの結論は、勤め先の就業規則に準じます。とはいえ、副業を禁止している企業でも、家賃収入は「副業ではない」と判断しているところが多いはずです。

ただし、年間の不動産所得の総額や物件の規模など、例外となる条件もあるので注意してください。就業規則に違反することがあると、降格・減給などの処罰を受ける可能性が高く、最悪の場合解雇されてしまうケースもあります。不動産投資を始める前に、勤め先の就業規則を必ず確認しておきましょう。 

本業以外に労働収入を得る時間を捻出するのが難しい会社員にとって、不動産投資は多くのメリットがある収入を増やし方だといえます。大手の不動産会社は、投資を検討している方向けのセミナーや説明会を無料でおこなっているところもあります。不動産投資に少しでも興味があれば、参加してみるといいかもしれません。

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