
「立地も悪くないし、設備交換もしたのに空室が埋まらない」
そんな悩みを抱えているアパートオーナーは、少なくありません。
そんな中で、意外にも功を奏したという声が多いのが「アパート名の変更」。見た目や設備と同じくらい、物件の「名称」は入居申込の決断に大きな影響を与えているようです。
この記事では、アパート名の変更が空室対策につながる理由から、具体的な手続き・費用・注意点までわかりやすく解説します。「アパート名の見直しなんて考えたこともなかった」という方も、ぜひ参考にしてみてください。
名称変更を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。物件の魅力を引き出す、最適なネーミングをご提案いたします。
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目次
- なぜアパート名の変更が関心を集めているのか?
- 空室対策の新手法として導入されている
- 改名で問い合わせが増加した事例もある
- アパート名の変更を検討すべきケースとは?
- ①築年数が経過していて古臭いイメージがある
- ②トラブルの印象が残っている
- ③他物件と名前が被っている
- ④今の入居層に合っていない
- アパート名を変えるメリット・デメリット
- メリット① 内見のきっかけ・空室対策になる
- メリット② 物件の古臭さを払拭できる
- デメリット① 手続きに手間と費用がかかる
- デメリット② 郵便や登録情報にズレが出る
- アパート名を変えるときの手続きと注意点
- STEP① 名称変更できるかを確認する
- STEP② 法務局で登記簿の変更手続きを行う
- STEP③ 市区町村に名称変更を届け出る
- STEP④ 電気・水道など契約先の名義を変える
- STEP⑤ 入居者や関係者にしっかり案内する
- STEP⑥ 看板や書類、ネットの情報を新名称に更新する
- アパート名変更にかかる費用
- 館銘板の交換費用
- 届出や手続きにかかる費用
- リブランディングを業者に頼む費用
- アパート名のつけ方・変え方のコツとは?
- 住んでほしい人をイメージする
- 覚えやすくて検索されやすい名前にする
- 言葉の意味にも注意する
- ローマ字や地名をうまく使う
- アパート名を変えて成功した事例
- まとめ
なぜアパート名の変更が関心を集めているのか?
築年数や立地に問題がなくても、実はアパート名の印象だけで選ばれにくくなっている物件があります。
特にネットでの物件探しがメジャーな昨今、物件名は「第一印象」そのものです。そのため、なかにはリフォームや家賃の見直しと合わせて、名称を変えてみるといった空室対策を取り入れるオーナーもいます。
手軽に取り組めて効果も期待できる方法として、アパート名の見直しが一部で関心を集めています。
空室対策の新手法として導入されている
アパート名を変えるという方法は、これまで意外と意識されてこなかった空室対策です。
「そんなことで状況が変わるの?」と思う方もいるかもしれませんが、実際には手間もコストも比較的少なく、物件の印象を大きく変えることができるため、検討の価値はあるでしょう。
特に、「○○荘」「コーポ○○」「ハイツ○○」「〇〇第2、第3」のようなレトロ感のある名称がついている物件は、それだけで古さを感じさせてしまうこともあります。
資金的に大きな工事や設備投資が難しい場合でも、名称を少し変えるだけで「古臭い印象」を払拭できるのは大きなメリットです。
改名で問い合わせが増加した事例もある
実際に、名称を変えたことで空室が解消されたというケースもあるようです。
とあるアパートオーナーは、昔ながらの名前から今風のネーミングに変え、ポータルサイトでの反響がこれまでよりも圧倒的に増えたと言います。そもそも、問い合わせが増えなければ空室は埋まりません。
「この物件いいけど、“○○荘”っていうのがちょっと…」というような反応があるように、建物名は意外と見られているポイントです。ちょっとした名称の工夫が、想像以上に効果を発揮することもあります。
名称変更を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。物件の魅力を引き出す、最適なネーミングをご提案いたします。
アパート名の変更を検討すべきケースとは?
アパート名の変更が効果的ではあるものの、これはすべての物件に必要なわけではありません。では、一体どんなときに見直しを検討すべきなのでしょうか。名称の変更を考えるべき代表的なケースを紹介します。
①築年数が経過していて古臭いイメージがある
築年数が古くなると、どうしても外観や間取りに「古さ」が滲み出てしまいます。それに加えて「○○荘」や「○○ハイツ」といった名前は、若者にとってちょっと時代遅れな印象に。
こういった名称に加え、間取りがワンルームや1K、家賃も相場より安めとなると、どうしても「低所得者向け」というイメージが先行しやすく、実際に内覧する前から「入居者の質が心配」と感じられてしまうこともあります。
特に女性の一人暮らしや親御さんが関与する場合、名称からくる印象だけで候補から外れてしまう可能性もあるため、「古さを感じさせない名前」へのリブランディングは、空室対策として有効な一手といえるでしょう。
実際、賃貸仲介を行う営業マンの立場からしても、今どきの若者に「○○荘」を紹介するのは少しハードルが高く、「他の物件がいいです」と言われてしまうこともあります。そんなときは、ネーミングを少し見直すだけでも、印象がぐっと今風に変わります。
②トラブルの印象が残っている
過去に騒音トラブルや事故などがあった物件は、ネットで調べるとその情報が残っていることもあります。今やSNSや口コミサイトの影響力は大きく、一度ネガティブな情報が出回ると「あのアパートか…」と敬遠されてしまいます。
ネガティブなイメージをリセットしたいときは、アパート名を変えるのもひとつの方法です。
③他物件と名前が被っている
同じような名称のアパートが近くに複数あると、内見希望者や配達業者が迷う原因になります。
たとえば、公園のそばに「グリーンパークサイド」と「グリーンパーク」という名前のアパートが一棟ずつ建っていたとします。どちらも似たような名称だと、入居希望者が混乱したり、物件を検索しても見分けがつきにくくなったりすることがあります。
「○○ハイツ」「コーポ○○」といった定番の名称は、他物件と被りやすい傾向があります。
とくに以下のようなネーミングは、地域内で似た物件が複数存在することも少なくありません。
- 「○○ハイツ」「コーポ○○」など、昭和・平成初期に多用された定番名
- 「パーク○○」「リバー○○」など、公園や川の近くにありがちな名称
- 「サン○○」「ロイヤル○○」など、抽象的でありがちな英語表現
- 地名+数字(例:○○町ハイツ2号館)のような、識別しにくい表記
こうした名称は検索結果でも埋もれやすく、印象にも残りにくいため、少し言葉を足したり、英語表記やコンセプトを工夫したりすることで差別化を図るのが効果的です。
④今の入居層に合っていない
アパート名の印象と、想定している入居者のイメージがかけ離れていると、なかなか興味を持ってもらえません。
たとえば、1Kの間取りで「◯◯ファミリータウン」といった名称がついていたら違和感があります。逆に、落ち着いたシニア層向けなのに、カタカナの派手な名称では落ち着かない印象を与えるかもしれません。
名称の見直しを検討する際は、どんな人に住んでもらいたいかを意識して考えることが大切です。
アパート名を変えるメリット・デメリット
アパート名を変える際には、いいことばかりではなく、手続きの手間や周知の必要など、気をつけたい点もあります。
ここでは、実際に名称を変える前に知っておきたいメリットとデメリットについて、それぞれわかりやすく紹介します。
メリット① 内見のきっかけ・空室対策になる
アパート名は、ネット検索や物件一覧の中で最初に目に入る情報です。そこで印象に残る名称にであれば「ちょっと見てみようかな」と思ってもらえる確率が高まります。
内見につながるきっかけを作れるという意味でも、名称の変更は空室対策として有効です。
メリット② 物件の古臭さを払拭できる
築年数が経っていても、ネーミングを工夫することで「今っぽさ」を演出できます。
たとえば、「○○荘」から「○○レジデンス」に変わったら、どう感じるでしょうか。それだけでも、物件全体の印象がぐっと今風に変わることがあります。
デメリット① 手続きに手間と費用がかかる
アパート名を変更するには、館銘板の交換、登記簿の修正など、いくつかの手続きと費用が発生します。
入居者への変更通知などの手間がかかるうえ、登記を専門家に依頼する場合は外注費も発生するため、あらかじめ予算を見積もっておくことが大切です。
デメリット② 郵便や登録情報にズレが出る
名称を変えると、郵便物や宅配便が別の物件に届いてしまうなど、誤配のリスクも出てきます。
また、入居者以外にも不動産ポータルサイトや管理会社の情報更新など、関係先への周知も欠かせません。変更後は情報のズレがないよう、しっかり対応する必要があります。
アパート名を変えるときの手続きと注意点
アパート名の変更は、いくつかの段階を踏んで進める必要があるため、事前に流れを把握しておくことが大切です。
ここでは、実際にアパート名を変更する際の手順を、わかりやすくステップごとにまとめました。初めての方でも迷わず進められるよう、確認ポイントを押さえていきましょう。
STEP① 名称変更できるかを確認する
まずは、そのアパート名が登記簿上にちゃんと登録されているかどうかを確認しましょう。登記されていない場合は、そもそも法的な「名称」として扱われていないため、変更登記は不要です。
その場合は、看板やポータルサイト、契約書などに記載されている表記を自由に変更するだけでOKです。
登記簿上に正確に名称が登録されている場合は、法務局での手続きが必要になります(詳細はSTEP②で解説します)。名称が登記されているかどうかは、法務局で登記簿謄本を取得すれば確認できます。
STEP② 法務局で登記簿の変更手続きを行う
アパート名が登記されている場合、「建物表示変更登記」という手続きが必要になります。申請は自分でも可能ですが、不安な場合は司法書士に依頼するのが安心です。
必要書類としては、登記申請書、変更理由を証明する書類(看板の写真など)、登記原因証明情報などです。
詳しい必要書類や手続きの流れは、管轄の法務局に直接確認することをおすすめします。
STEP③ 市区町村に名称変更を届け出る
建物の名称が固定資産台帳や課税情報に登録されている場合、市区町村への届け出が必要になることもあります。
近年では、法務局で建物表示変更登記を行うと、その情報が市区町村に自動連携されるケースも増えていますが、対応状況は自治体によって異なります。
念のため、所在地の市区町村(資産税課など)に確認しておくと安心です。
STEP④ 電気・水道など契約先の名義を変える
名称を変えたあとも、電気・ガス・水道・インターネットなどのライフラインの契約情報が古いままだと、後でトラブルになることがあります。それぞれの契約先に連絡を入れ、必要に応じて名義や登録情報を変更しておきましょう。
STEP⑤ 入居者や関係者にしっかり案内する
現在の入居者には、アパートの名称が変わることを事前に丁寧に伝えることが大切です。
免許証や各種登録情報の住所変更が必要になる場合もあるため、書面での通知や掲示板での案内など、複数の方法でしっかりと周知し、十分な配慮を心がけましょう。
また、郵便局・宅配業者・清掃会社など、建物に関わる関係者にも忘れずに伝えておくと安心です。
STEP⑥ 看板や書類、ネットの情報を新名称に更新する
アパート名を変更したあとは、館銘板、管理看板、物件資料、契約書類など、関係するすべての表記を新しい名称に揃える必要があります。また、SUUMOやアットホームなどの不動産ポータルサイトの情報も更新するよう、仲介会社に連絡を入れましょう。
管理会社が入っている場合は、こうした作業を一括して対応してくれるケースが多いですが、自主管理の場合は、対応漏れがないよう特に注意が必要です。
また、GoogleマップやGoogleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)に登録している情報も、新しい物件名に更新しておきましょう。
さらに、InstagramやX(旧Twitter)などSNSで物件の情報発信をしている場合も、プロフィールや投稿内容を修正することが必要です。SNSを見て問い合わせをする入居希望者も増えているため、見落としのないよう注意しましょう。
アパート名変更にかかる費用
アパート名の変更は、看板、書類の差し替え、登記や届出などプロに依頼する場合の費用も含めると、内容によって金額に大きな差が出ることもあります。具体的にどんな部分にどれくらいの費用がかかるのか、以下で項目ごとにわかりやすく整理しました。
館銘板の交換費用
アパート名の変更にともない、まず必要になるのが館銘板の交換です。費用は設置場所やサイズによって幅があります。
素材別費用目安(小型~中型サイズ)
- アルミ製: 約1万〜3万円
- ステンレス製: 約2万〜5万円
- アクリル製: 約1.5万〜4万円
- タイル製: 約3万〜8万円
- 鋳物製: 約5万〜15万円以上
- 石材製: 約7万〜20万円以上
館銘板は、素材によって雰囲気も価格もかなり変わります。
選ぶときは、物件の外観や入居者層とのバランスを考えて、「この建物にしっくりくるか」を基準にすると失敗しにくいでしょう。
また、設置場所や取り付け方法によって工事費用は大きく変わることもあります。外構に埋め込むのか、壁に取り付けるのか、見た目だけでなく施工面のことも含めて業者に相談しましょう。
届出や手続きにかかる費用
法務局や自治体での手続き費用は、以下のようになります。
主な費用目安
- 登記変更(自分で申請): 数千円程度(印紙代など)
- 登記変更(司法書士に依頼): 約1万5,000円〜3万円
- 市区町村への名称変更届: 基本的に無料(※自治体へ要確認)
費用はさほど高額ではありませんが、必要な書類や手続きの流れを事前に確認しておくとスムーズです。
リブランディングを業者に頼む費用
費用に余裕がある方向けの提案として、イメージ自体を一新したいときには、名称やロゴを専門業者に依頼するという方法もあります。
主な費用の目安
- ネーミング+ロゴ+コンセプト設計の一式プラン: 約3万〜15万円程度
- ネーミングのみをプロに依頼: 約1万〜5万円程度
プロによって入居ターゲットに響く名前やブランディングを戦略的に考えることができるため、空室対策として費用以上の効果が出る可能性も期待できます。
アパート名のつけ方・変え方のコツとは?
せっかく手間や費用をかけて名称を変えるなら、なんとなくではなく、入居者に選ばれる名前にしたいものです。
では、どんな視点で名前を考えると良いのでしょうか。名称を考える際のネーミングのコツや注意点を、具体的な例とあわせて紹介します。
住んでほしい人をイメージする
名前を決めるときは、まず「どんな人に住んでもらいたいか」を考えてみてください。
たとえば、若い単身女性がターゲットなら柔らかくておしゃれな印象の名前が合いますし、高齢者向けなら落ち着いた雰囲気や親しみやすさを感じる名前が安心感につながります。
ターゲット層が変われば、響きや言葉選びも自然と変わってきます。
覚えやすくて検索されやすい名前にする
最近は、物件探しのほとんどがスマホ経由。そのため、短くて覚えやすく、入力しやすい名称のほうが見つけてもらいやすくなります。
たとえば「Reside UENO(レジデ上野)」のように、読みやすいカタカナやローマ字の組み合わせは効果的。
逆に、難しい漢字や長すぎる名称はあまりおすすめできません。入居後も、住所を手書きしたりスマホで入力したりするたびに手間がかかると、それだけで少し敬遠されてしまうこともあります。
言葉の意味にも注意する
英語や外国語を使うと今風な印象になりますが、意味やニュアンスには注意が必要です。外国人の入居者が増えている中、知らずにネガティブな意味を持つ単語を使ってしまうと、印象が悪くなることもあります。
また、方言や読みにくい漢字は、読み間違いや検索しにくさにつながるので注意しましょう。誰が見ても違和感のない言葉選びが安心です。
ローマ字や地名をうまく使う
地名+英単語の組み合わせは、定番で使いやすいネーミングパターンです。
たとえば「Sakura Court(桜コート)」「Kawasaki Place(川崎プレース)」のように、地域性を残しつつ、印象の良い名前に仕上げることができます。
あまり堅苦しくならず、でもどこにある物件かが伝わる、ちょうどいいバランスがポイントです。
アパート名を変えて成功した事例
実際にアパート名を変更したことで、空室が埋まったり、入居者層が広がったりした事例も出てきています。
築30年の木造アパート(1K・6戸)は、水回りこそリフォームされていたものの、「○○荘」という昔ながらの名称の影響か、なかなか反響が得られない状況が続いていました。
そこで、オーナーは思い切って名称を「CASA 〇〇」という今風のスタイリッシュなものに変更。
すると、これまで少なかった問い合わせが徐々に増え、若い世代からの内見予約や反応も見られるようになりました。
内見者からは「実は、仲介業者さんに『前は○○荘という名称だった』と聞いて驚きました。もし最初からその名称だったら、ちょっと申込は悩むかも…」という声もあり、これまで届きにくかった層にも関心を持ってもらえるきっかけになったようです。
まとめ
アパート名は見落とされがちな要素ですが、入居希望者の第一印象を左右する重要なポイントです。
築年数や立地に問題がなくても、名称の古さや印象がネックとなって空室につながっているケースは想像よりも多いものです。名前を少し変えるだけで「古さ」や「マイナスイメージ」を払拭し、問い合わせや内見数の増加につながる可能性も十分にあります。
手続きや費用は一定かかるものの、大掛かりなリフォームや家賃値下げに比べれば、コストを抑えて効果を得やすい手法といえるでしょう。「アパート名の見直しなんて考えたこともなかった」という方も、空室が続いているなら一度検討してみてはいかがでしょうか。
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