マンションを貸すときに発生する手数料・コスト・相場を徹底解説!

近年、マンション価格の高騰による需要増で、新築・中古問わず区分マンションの人気が高まっています。購入したマンションに自身で居住するケースもあれば、賃貸物件にして家賃収入を得るケースも少なくありません。

しかし、マンションを賃貸する際には、さまざまな費用が発生します。

賃貸する場合、どのような費用が必要かを把握したうえで賃料設定しないと、利益が充分にでない可能性があります。

そこで、この記事では、マンションを貸す時の費用や手数料、相場について網羅的に解説します。賃貸管理手数料、リフォーム費用、火災保険料など、賃貸に関するあらゆるコスト、また賃貸の流れや注意点についても詳しく紹介していきましょう。

これからマンションを賃貸に出そうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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依頼すべき理由

マンションを貸すときの費用と相場

マンションを賃貸に出そうとすると、意外と多くの費用が掛かります。

具体的には、以下に挙げるものがマンションを賃貸に出す場合にかかる費用です。

  • 仲介業者に払う費用
  • 賃貸管理業者に払う費用
  • 入居前のリフォームのための費用
  • 退去後の修繕費やクリーニングにかかる費用
  • 火災保険料
  • 広告にかかる費用
  • 各種税金

これらの費用が発生することを理解し、大体の費用を把握・積算しておくことで計画的に賃貸経営が行えます。

今回は、物件をすでに所有している状態から、お話を進めていきましょう。

1. 仲介業者に払う費用

マンションを貸す際には、まず賃貸仲介業者に依頼することが一般的です。

賃貸仲介業者に依頼することで、不動産ポータルサイトでの物件の広告や案内、契約から入居までの手続き業務をすべて行ってくれます。入居までの業務の対価として、貸主が支払うのが仲介手数料です。

仲介業者に支払う仲介手数料は、宅建業法により貸主・借主が支払う仲介手数料の合計が、賃料の1ヶ月分(税別)と定められています。

仲介業者は、貸主と借主から受け取った金額が、法律で定められた金額を上回らなければどのような配分で受け取っても良いので、貸主が全額負担することも可能です。

ただし、実際の現場では、借主側が賃料1ヶ月分の仲介手数料を支払い、貸主側は「広告料」という名目で同様に賃料1ヶ月分の報酬を支払うケースが多いようです。(後述)

2. 賃貸管理業者に払う費用

賃貸物件は入居してからも、物件の掃除や入居者からの連絡の対応などさまざまな管理業務が発生します。専門的な知識が必要となるため、多くのマンションオーナーは、「賃貸管理業者」に入居後の物件管理を委託しています。

管理形態には以下の3つがあります。

自主管理

管理業者に委託せず、すべての管理業務をオーナーが行う管理形態

一部管理入退去手続や物件清掃など、管理業務の一部を業者に委託する管理形態
全部管理入退去やクレーム、滞納処理など管理業務のすべてを業者に委託する管理形態

賃貸管理業者に管理委託する場合、業務量によって異なりますが、一般的には毎月の賃料合計額の510%程度の管理手数料が必要です。

管理業者に業務を委託することで一定の費用が掛かりますが、賃貸管理の業務は賃料の回収や苦情への対応など対応することが困難なものもあります。

そのような難しい業務も管理業者に依頼することで、オーナーの手間を大幅に減らすことが可能です。

サブリースという契約形態

近年では、不動産会社が賃貸物件を借り上げ転貸するサブリース契約という方式も増えています。

サブリース契約は、サブリース会社が物件を借り上げ、第三者に転貸する契約形態です。オーナーは第三者の入居の有無にかかわらず、賃料収入が発生するのがメリットです。また、サブリース会社が管理業務を全て行うため、オーナーはこれらの手間もありません。

ただし、サブリース契約の場合、全体の賃料収入の8割程度がオーナーに支払われるのが相場です。立場上、借主が強くなるというオーナー側のデメリットもありますので、慎重に決定していかなくてはなりません。

それぞれの管理方法やサブリースについては、管理手数料とサブリース契約の賃料を比較して検討する必要があります。

3. 入居前のリフォームのための費用

マンション購入後、賃貸にする際にリフォームを行うことで入居者が見つかりやすくなります。特に中古マンションを購入した場合には、設備の状況や部屋の状態を見て、適切なリフォームやクリーニングを行うことが必要です。

  • 壁紙の張替え
  • 床材の張替え
  • 設備の点検、修理、交換

実際には、これらのリフォームを行うケースが多いようです。

リフォーム費用は規模や設備の状態、グレードなどによって異なりますが一般的には数万円から数十万円程度です。ただし、必要以上にリフォームにお金をかけすぎるのは、コスト回収に時間がかかりすぎるため、おすすめしません。

マンションを賃貸にするうえでどのようなリフォームが必要かどうかは、1人で判断するのが大変難しい内容です。

事前に不動産会社や、物件の管理を委託する管理会社へ相談してみましょう。近隣のライバル物件を加味した上での需要や、マンションの状態を見て適切なアドバイスをしてくれます。

 4. 退去後の修繕費やクリーニングにかかる費用

入居者の退去後、次の入居者を迎えるためにも物件の修繕(原状回復)やクリーニングが必要です。

賃貸物件では、入居者の故意・過失による損傷は、契約者に請求したり入居時に預かった敷金を使ったりして修繕を行えますが、経年劣化による故障や、退去時のクリーニング費用は基本的にはオーナーが負担します。

経年劣化による修繕やクリーニング代は、広さや程度にもよりますが、一般的には5~10万円程度の費用がかかることが多いです。

これらの費用を節約するには相見積もりを取って、継続的な依頼を前提に、業者が値引き交渉をしてみるのもおすすめです。

5. 火災保険料

購入したマンションはどのような用途で使うかに関わらず、火災保険への加入が必要です。

火災保険料は築年数や建物の構造、広さなどの条件で決まります。また、賃貸物件のオーナー向けの特約もあり、建物の管理不備による事故や、建物内での死亡事故発生に伴う家賃収入の減少に対応できる商品もあります。

賃貸物件では基本的に入居者が火災保険へ加入しますが、オーナーの加入する火災保険とはまた別物です。何かあった時に入居者が加入している保険で賄うわけではありませんので、オーナーは自身で火災保険への加入が必要です。

6. 広告にかかる費用

賃貸仲介業者に仲介手数料とは別で、広告にかかる追加費用を支払う場合もあります。通常「AD」と呼ばれるものです。

広告費用を追加で賃貸仲介業者に支払うことで、お部屋を探しに来た方に優先的に物件を紹介します。

広告費用の相場は業者によってかなり幅がありますが、賃料1か月分程度が相場です。長い間空室の状態が続き、早く入居者を見つけたいときは広告費用の増額を検討する必要があります。

7. 各種税金

賃貸物件に対しては、不動産収入による所得税や固定資産税などの税金が課せられます。

これらの税金は物件の評価額によって異なりますが、年間で数万~十万円程度かかることが多いです。

税金は賃貸収入に対する大きなコストとなるため、しっかりと計算して把握する必要があります。


賃貸管理手数料別の「サービス内容」とは

マンションを貸すうえで、継続的にかかってくる固定費である「管理手数料」。管理手数料は委託する業務内容の幅によって、支払う金額が大きく異なります。

本章では、手数料の違いによってどのようなサービスが提供されるのかを解説しますので、管理委託を検討する際の参考にしてみてください。

管理手数料3%の場合

管理手数料が3%の場合、家賃集金や滞納時の督促業務のみを代行してくれるケースが多いです。

管理手数料3%は相場より低い設定であり、家賃集金に関して電話連絡や、会計管理のみで業務が完結する家賃集金と家賃の督促をしてくれない場合がほとんどのようです。中には、家賃保証会社を入れて、そこへ一任しているケースもあります。

しかし、最近では、3%でほとんどの賃貸管理業務を代行する業者も増えてきており、なかには管理料無料を謳う業者も出現しています。

そのような業者の中には、管理手数料は安くてもオプションとして別途費用が掛かる場合もあるため注意が必要です。

管理手数料5%の場合

管理手数料5%は最も一般的な相場であり、管理業者は幅広いサービスを提供します。

管理手数料を5%の場合、一般的に以下のような業務を行います。

管理内容
  • 入居者募集
  • 内見案内
  • 契約締結や更新
  • 家賃集金や滞納時の督促業務
  • 退去手続き
  • 原状回復
  • 入居者対応(トラブルやクレーム)
  • 共有部分の定期清掃
  • 建物や設備の点検や整備
  • 巡回

手数料が標準的な分、サービス内容も充実しており、多くのオーナーにとってバランスの取れた選択肢となります。

管理手数料10%の場合

管理手数料が10%の場合、賃貸管理手数料が5%で行う業務に加えてさらに充実したサービスが提供されます。

例えば、24時間対応の緊急サポートや財務状況の分析など、管理業者によってさまざまな独自サービスを展開・提供しています。

3%、5%に比べてどのようなサービスが追加されているかを吟味し、10%の管理手数料を払う価値があるかどうか費用対効果を検討するべきです。


マンションを貸すときの流れ

ここまで、マンションを賃貸に出す際のさまざまな費用についてご紹介しました。

ここでは、実際にマンションを賃貸に出す際の一連の流れについて、具体的なステップ順を追って解説します。

初めてのマンション賃貸運営をスムーズに進めるためのガイドラインとして、ぜひ参考にしてみてください。

※管理会社へ全部委託する場合、以下のフローはすべて一任できます。

1. 仲介依頼する不動産会社を選ぶ

マンションを貸すとき一番初めにすることは、部屋の仲介を依頼する不動産会社を選ぶことです。

マンションの賃貸に関して豊富な実績を持ち、担当となる人が信頼できる不動産会社を選ぶことで、スムーズな賃貸運営が可能となります。

全国展開しているような大手賃貸ショップにするのか、地域密着の老舗ショップにするのか、メリット・デメリットを考えてみましょう。

複数の不動産会社と打ち合わせをし、見積もりを取って、サービス内容や手数料を比較検討しましょう。

また、ホームページや口コミサイトを活用して評判を調べておくことも有効です。

2. 賃貸募集・契約・入居

仲介してもらう不動産会社が決まったら、賃貸募集の開始です。依頼した不動産会社が広告を出し、入居希望者を集め、内見対応を行います。

入居申込が入ったら審査、契約手続きを行い、鍵の引き渡しを経て入居が始まります。一度入居すると簡単に追い出すことはできませんので、入居審査は特に厳重に行いましょう。

また、契約期間を設けたい場合は、定期借家契約なども念頭に入れておく必要があります。入居希望者から価格や条件に関して交渉が入ることがありますが、仲介業者から詳細な説明やアドバイスをしてもらいつつ対応していきましょう。

3. 入居中の管理

無事に入居したら、日常的な管理業務を行います。

  • 入居者からの問い合わせ、クレーム対応
  • 毎月の賃料回収、督促
  • 物件清掃、メンテナンス など

長く居住してもらうためには、迅速かつ丁寧な対応で入居者の満足度をアップすることが求められます。

全部委託する際は、入居者目線で相談しやすく、丁寧に管理を行ってくれる管理業者を選ぶようにしましょう。

4. 退去時の精算

入居者が退去する際には、敷金の返還や修繕費の精算が必要です。

退去後の物件の状態を確認し、必要な修繕やクリーニングを行う必要がありますが、敷金の返還を巡ってトラブルになるケースも少なくありません。

国交省の原状回復におけるガイドラインと照らし合わせながら、慎重に対応することが必要です。

また、慎重な対応が求められるだけでなく、同時に空室の期間を短縮し、次の入居者を迎えるために、迅速な対応が求められます。

【参考:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)のダウンロード


マンションを貸すときに抑えておくべき重要ポイント

マンションを貸すことでさまざまな手数料が発生しますが、家賃収入という不労所得を得ることができます。

しかし、実際にマンションを貸す前に知っておくべき、いくつかのポイントがあります。これらを知らずに貸してしまうと、後々大きなトラブルに発展しかねませんので、十分に注意が必要です。

1. 分譲マンションを貸すときはローンの切り替えをする

転勤などの事情がある場合、自身が居住していた分譲マンションを売却するのではなく、賃貸に出すことが可能です。

ただし、住宅ローンを返済中の物件を賃貸に出す場合、金融機関への事前相談が必須です。

住宅ローンは自身の居住用を目的とした商品で、国民に快適な住環境を与えるために、低金利に設定されています。しかしながら、第三者へ貸し出すことで家賃収入を目的とする場合、金利が高いアパートローンへ切り替えなくてはなりません。

やむを得ない事情があれば考慮される可能性もありますので、必ず事前に金融機関と協議しておきましょう。

また、一部の分譲マンションでは、規約等によって賃貸に出すことを制限している場合もあるため、事前に確認が必要です。

2. 空室の期間は賃料収入がない

賃貸物件は、当然ながら常に入居者がいるわけではありません。

空室期間が発生すると、その間の賃料収入はゼロになります。賃料収入はゼロですが、ローン返済や光熱費の基本料金、固定資産税などの一部の費用は掛かり続けます。これらを徹底的に試算、シミュレーションした上で始めてください。

空室リスクを最小限に抑え、空室中の費用を節約するためにも、近隣相場を踏まえた適切な賃料設定やリフォームおよび修繕を活用した魅力的な物件づくりが欠かせません。

3. 意外と知らない普通借家契約と定期借家契約の違い

オーナーと入居者が結ぶ賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。

普通借家契約は、契約期間が終了しても更新が可能で、特別な事情が発生しない限り入居者は継続的に居住することが可能です。

一方、定期借家契約は更新がなく、定められた契約期間の満了に伴って、その契約自体が終了します。

定期借家契約は、原則として更新ができないため入居者が限定的になりますが、賃料の見直しを行いたい場合や、後々自分で住みたい場合などに活用できます。

いくら自分の所有物であっても賃貸中は部屋に立ち入ることはできませんので、長期間貸したくない方は、定期借家契約を選ぶようにしましょう。

どちらか悩む方は、物件の状態や、周辺の需要を踏まえてどちらの契約がよいか、不動産会社に相談して決めるべきです。

 


マンションを貸すときの手数料についてよくある質問(FAQ

最後に、マンション賃貸に関するよくある質問に対して、具体的な回答を提供します。

質問の内容と回答を確認することで、賃貸経営において重要な点を再度確認しましょう。

管理手数料以外に管理会社へ支払うものはありますか?

管理委託の内容をよく確認しましょう。

例えば、区分マンションではなく一棟マンションを所有した場合、共用部の清掃費用を管理費用とは別で定めているケースがあります。

また、管理会社の24時間サポートなど、貸主が負担するサービスを設けている場合があります。

賃貸契約書の作成にかかる費用はどれぐらいですか?

全部委託の場合、基本的には管理委託手数料に組み込まれており、別途発生はしません。

一部委託や自己管理の場合、「賃貸借契約書」の作成代行などを利用する必要があり、費用は数万円程度でしょう。

ただし、賃貸借契約書は法律が関係する重要な書類であり、契約に応じた特約を設ける必要性があるかもしれません。

不要なトラブルを招かないためにも、これらはプロの不動産会社に依頼すると安心できます。

マンション貸し出し時の手数料に関する注意点を教えてください

マンションを貸し出す際には、これまでに解説した通り、多岐にわたる手数料が発生します。

ルームクリーニング費用は広さによって料金が違いますし、管理手数料が10%で高いから一概にダメという訳でもありません。

それぞれの料金が適正な価格かどうか、複数の会社から見積もりを取ったうえで精査が必要です。

マンションを貸す際には、このような多くの発生コストを事前に算出し、設定家賃とのバランスがマイナスにならないか十分に検討しましょう。


まとめ

この記事では、マンションを貸し出す際にかかる手数料や相場、流れについて解説しました。

マンションを賃貸に出す際には、

  • 仲介手数料や管理手数料
  • リフォーム費用
  • 火災保険料
  • 広告費用
  • 税金

など、多くの種類の費用がかかります。 そのため全体のコストを把握し、それぞれのシーンにおいて適切な料金でサービスを提供する業者選びが大切です。

ただし、費用を節約したい気持ちから、一部の業務をオーナー自身が行うことは慎重に検討すべきです。特に物件管理においては、一般の人が行うのが困難な業務が多く、知識がないまま始めると思わぬトラブルを招くことになります。

マンションを貸すのが初めての人は、業者に管理業務を委託し、仲介業者にある程度任せるべきでしょう。 各業者のサービスを利用する際には、それぞれ見積もりを取って適正価格を見極めるだけではなく、家賃収入と全体のコストを見比べながらサービスを検討することで、マンション経営による計画的な収益が上げられます。

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