マンションを貸すと税金はいくら?節税対策7選と確定申告について解説

「マンションを貸すと税金は、いくら増えるのだろうか」

「個人ができる税金対策は、何があるのだろう」と、お悩みではないでしょうか。

マンションを貸したことによる収入は不動産所得に該当し、税金の対象です。不動産所得は、給与所得や事業所得などの所得と合算して税金が計算され、マンションを貸すと税金が増える可能性があります。

しかし、これらは青色申告やふるさと納税などで税金対策が可能です。

この記事では、マンションを貸すと課される税金の種類と特徴について解説します。個人ができる税金対策や、家賃収入が100万円あった場合、税金はいくらになるかについても、分かる内容になっています。

この記事で分かること
  • マンションを貸すと課される税金の種類(所得税、住民税、消費税、個人事業税)
  • マンションを貸すことで収入・経費となる項目
  • 個人でできる節税対策7選
  • 確定申告の概要、手順
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マンションを貸すと課される税金の種類と特徴

マンションを貸すと課される税金は、以下の4つが考えられます。 ・所得税(復興特別所得税) ・住民税 ・個人事業税 ・固定資産税・都市計画税 所得税(復興特別所得税)や住民税、個人事業税は所得によって計算され、損失などの場合は課されない可能性があります。また、固定資産税・都市計画税はマンションを所有しているだけで課される税金です。 それぞれ解説していきましょう。

所得税(復興特別所得税)

所得税とは、1月1日から12月31日までの1年間で得た個人の所得に対してかかる税金です。所得税は、所得に応じて税率が変わる累進課税となっており、所得が増えると税率が高くなり、5~45%の税率で計算されます。

復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興のために必要な資金を集めるための税金です。2013年から2037年までの25年間、所得税に上乗せされる形で徴収される税金で、税率は2.1%です。 マンションを貸すと家賃収入を得ますが、家賃収入は不動産所得に分類され、所得税の課税対象となります。

参考:国税庁「所得税のしくみ」 

住民税

住民税は、前年の所得に応じて計算され、居住する自治体に納める税金です。

住民税には所得に応じて課される所得割と、所得に関係なく一律に課される均等割があります。住民税の税率は所得の金額にかかわらず、税率は10%です。

参考:総務省「個人住民税」 

個人事業税

個人事業税は、事業所得や不動産所得に対して課される税金で、事業を行っている所在地の自治体に納付します。マンションを貸す事業を不動産貸付業といい、年間の所得が290万円を超える場合、個人事業税の課税対象になります。不動産貸付業の場合、個人事業税の税率は5%です。

しかし、年間の所得が290万円を超える場合でも、事業的規模でない場合、個人事業税はかかりません。事業的規模の判定は自治体によって異なりますが、一般的には5棟10室です。

参考:総務省「個人事業税」 

固定資産税・都市計画税

マンションを所有すると、固定資産税と都市計画税という2種類の税金を納付する必要があります。土地や建物の価値に対して課されるもので、所有しているだけで税金納付が必要です。

固定資産税は、土地や建物の固定資産評価額に対して課税され、固定資産評価額は3年ごとに見直されます。都市計画税は、都市計画区域内の土地や建物に対して課税されるため、都市計画税がかからない地域もあります。


マンションを貸すと税金は増える?

マンションを貸すと家賃収入を得ますが、家賃収入は不動産所得として、税金の対象です。個人の所得が増えるため、マンションを貸すと税金が増える可能性があります。

しかし、収入よりも経費の方が多い場合は、税金が減る可能性があります。

ここでは、マンションを貸す場合の税金について解説します。

不動産所得はすべての所得と合算して課税

マンションを貸すことで得た不動産所得は、給与所得や事業所得などの所得と合算して、所得税や住民税の計算が行われます。

先述の通り、個人の税金は、1月1日から12月31日までの1年間で得た所得に対して課税されます。給与所得のある人がマンションを貸し出して不動産所得を得た場合、給与所得と不動産所得を合算した金額が課税対象です。

所得が増えると税率が高くなる可能性がありますので、マンションを貸す際は、一度税金シミュレーションしてみましょう。

税金が減るケースもある

マンションを貸すと税金が増えるケースが多数ですが、場合によっては税金が減る可能性があります。

マンションを貸すと、家賃収入を得る一方で、マンションの維持管理費用やローンの利息などの経費がかかります。経費は、家賃収入から差し引くことが可能です。経費が家賃収入を上回れば、不動産所得はマイナスになり、税金が減る可能性があります。

たとえば、年間の家賃収入が120万円で、経費が150万円だったとします。この場合、不動産所得はマイナス30万円です。

不動産所得のマイナス30万円は、給与所得など他の所得と相殺し所得を減らすことが可能です。 このように、マンションを貸すと、必ずしも税金が増えるわけではありません。経費をきちんと計上することによって、税金を減らすことが可能です。

税金対策目的のマンション投資は注意

節税効果を期待してマンション投資する人がいますが、必ずしも効果があるとは限りません。マンションの価格や家賃相場、金利など、さまざまな要因によって、税金対策の効果は変わってきます。

また、マンション投資にはリスクも伴うため、税金対策目的のマンション投資は注意が必要です。

たとえば、高額なマンションを購入して家賃収入を得ても、ローンの返済額や管理費などの経費の方が高ければ資金が減ります。マンション投資の税金対策を考えている方は、専門家のアドバイスを受けるなど、慎重に進めるようにしましょう。


不動産所得の計算方法(収入・支出)

不動産所得の計算方法は以下の通りです。

  • 不動産所得 = 総家賃収入 ー 必要経費

不動産所得を計算するには家賃収入に含まれるものと、経費となるものの区分が必要です。

家賃収入に含まれるもの

家賃収入に含まれるものは、毎月の賃料だけではありません。ここでは家賃収入に含まれるものについて、具体的な項目を解説します。

1. 毎月の賃料

毎月の賃料は、マンションを貸し出して、入居者から毎月受け取る収入です。金額は物件によって様々ですが、毎月安定して入ってくる収入のため、家賃収入の柱となる部分です。

2. 駐車場賃料

駐車場付きの物件を所有している場合、駐車場を借りている方から毎月駐車場賃料を受け取りますが、駐車場賃料も家賃収入に含まれます。

駐車場賃料は家賃とは別に設定されることが多く、金額は地域や物件の立地条件によって異なります。例えば、駐車場賃料が1万円の場合、毎月1万円が家賃収入に追加されます。

3. 管理費(共益費)

マンションなどの集合住宅では、共用部分の維持管理費として管理費(共益費)を受け取ることがあり、家賃収入とは別に入居者の方から受け取るお金です。

管理費は、建物の規模や設備、管理内容によって変わってきます。大規模なマンションなら管理費も高くなりますし、小規模なアパートなら管理費は安めに設定されています。

4.礼金

入居者が物件を借りる際、大家さんにお礼として支払うお金が礼金です。

一般的には家賃の1から2ヶ月分が相場ですが、地域や物件によって異なり、礼金も家賃収入に含まれます。

最近では、ライバルとの差別化のため礼金0とする物件も増えています。

5.更新料

賃貸契約を更新する際に入居者の方から更新量を受け取ることがあります。家賃収入とは別に、契約更新時のみ受け取るため注意が必要です。

マンションを貸すと経費となるもの

次は、マンションを貸すと経費(必要経費)として挙げられる項目について解説します。

非常に多くの項目が経費計上できますので、漏れなく申告することで節税効果が得られます。

1. 固定資産税・都市計画税

固定資産税・都市計画税はマンションを所有しているだけで毎年必ず発生する税金ですが、賃貸に出している場合は経費として計上できます。マンションを持っている以上は避けられない出費ですが、賃貸経営においては忘れずに経費計上しましょう。

たとえば、固定資産税が年間10万円、都市計画税が年間5万円かかった場合、合計15万円を経費として計上できます。

貸していない自宅の固定資産税や火災保険料などは、経費にならないため注意しましょう。

2. 減価償却費

マンションは年数が経つにつれて価値が下がっていきますが、この価値の減少分を経費として計上できるのが減価償却費です。

減価償却費は、マンションの購入費用を一度に経費計上するのではなく、耐用年数にわたって少しずつ経費計上していく仕組みです。

3. 仲介手数料

マンションを賃貸に出す際、不動産会社への仲介依頼が一般的です。その際に発生する仲介手数料も、経費として計上できます。

金額が大きいため、忘れずに計上するようにしてください。

4.司法書士報酬

マンションを購入時、司法書士に登記費用として報酬を支払いますが、こちらも経費計上が可能です。

5. 火災・地震保険料

マンションを所有していると、火災や地震などのリスクに備えて保険へ加入するのが一般的です。火災保険料や地震保険料も、経費として計上できます。

しかし、経費として計上した地震保険料は、地震保険料控除として所得控除できないため注意しましょう。

6.管理委託費

マンションの管理を専門の会社に委託した場合、管理委託費が発生しますが、経費として計上できます。

管理委託費は、マンションの規模や管理内容によって異なりますが、家賃の5%程度が一般的です。

7.修繕積立金

マンションを所有していると、共用部分の修繕や設備の更新などに備えて修繕積立金を毎月支払う必要がありますが、

修繕積立金も経費として計上できます。修繕積立金は、マンションの規模や築年数によって異なりますが、毎月数千~数万円程度でしょう。

8.修繕費・ハウスクリーニング費

マンションを賃貸に出す際、入居者が気持ちよく住めるように、原状回復工事をします。

その際に発生する修繕費やハウスクリーニング費も、経費として計上できます。修繕の内容によっては、固定資産に該当するため注意しましょう。

9. 賃貸会社への広告料

マンションを賃貸に出す際、不動産会社に広告料を支払うことがあります。

広告料は不動産会社によって異なりますが、一般的には家賃の1~2ヶ月分程度です。

10.借入利息

マンションを購入するためにローンを組んでいる場合、ローンの利息を経費として計上できます。

利息は経費計上できますが、元本の返済は経費とはならないため注意しましょう。


家賃収入が100万円の場合の税金はいくら?

家賃収入が100万円の場合、税金はいくらになるか気になっていないでしょうか。ここでは、以下の例を基にシミュレーションします。

家賃収入

100万円

必要経費

60万円

不動産所得

40万円

ケース1:家賃収入のみ

家賃収入のみの場合、不動産所得40万円に対して税金を計算します。不動産所得は40万円ですが、基礎控除48万円以下のため税金はかかりません。

40万円(不動産所得) ー 48万円(基礎控除) = 0円(課税所得)

ケース2:給与収入500万円

不動産所得以外に給与収入がある場合、不動産所得と給与所得を合算して税金を計算します。

給与収入(総支給額)

500万円

給与所得(手取り額)

356万円

所得控除

130万円

所得税及び復興特別所得税

131,100

不動産所得と給与所得を合算した場合の課税所得は、266万円です。

※356万円(給与所得) + 40万円(不動産所得) ー 130万円(所得控除) = 266万円(課税所得)

課税所得266万円に対する所得税(復興特別所得税)は、172,000円です。不動産所得が増えることによって、40,900円の所得税及び復興特別所得税が増加します。

※172,000円 ー 131,100円 = 40,900円

ケース3:給与収入700万円

給与収入

700万円

給与所得

520万円

所得控除

160万円

所得税及び復興特別所得税

298,600

不動産所得と給与所得を合算した場合の課税所得は、430万円です。

※520万円(給与所得) + 40万円(不動産所得) ー 160万円(所得控除) = 400万円(課税所得)

課税所得430万円に対する所得税及び復興特別所得税は、380,300円です。不動産所得が増えることによって、81,700円の所得税及び復興特別所得税が増加します。

※380,300円 ー 298,600円 = 81,700円


マンションを貸す個人ができる7つの税金対策

 

せっかくマンションを貸して収入を得るなら、できるだけ税金を減らして手元のお金を残したいものです。

本章では、個人ができる税金対策を7つ紹介しますので、これからマンション経営をする方、不動産投資を検討されている方はぜひ一度検討してみてください。

  • 青色申告で申告
  • 必要経費を計上
  • 小規模企業共済に加入
  • ふるさと納税
  • 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
  • DeCo(イデコ)
  • 医療費控除

それぞれ解説していきます。

青色申告で申告

マンションを貸すと一般的に確定申告が必要になりますが、青色申告を選択することで節税効果が期待できます。

確定申告は青色申告と白色申告があり、青色申告には白色申告にはない以下などのメリットがあります。 

  • 青色申告特別控除:最大65万円の控除
  • 青色事業専従者給与:家族に支払った給与を経費に計上
  • 少額減価償却資産:30万円未満の減価償却資産を一括で経費に計上

青色申告で申告するには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。提出期限までに、忘れずに提出しましょう。

必要経費を計上

必要経費を計上すると、所得が減り税金の負担が軽くなります。

必要経費として認められるものはマンションの修繕費や管理費、火災保険料などさまざまです。経費を計上するには、領収書や請求書などの保管が大切です。

ただし、経費計上することで他の税優遇制度が併用できない場合がありますので、あらかじめ確認するようにしましょう。

小規模企業共済に加入

小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者が加入できる共済制度です。毎月の掛金は全額所得控除の対象となるため、節税効果が期待できます。

たとえば、課税所得500万円の人が、毎月5万円の掛金を支払った場合、年間60万円が所得から控除され、課税所得は440万円です。

このケースでは、約18万円の所得税と住民税の負担が減ります。 

しかし、事業的規模と認められない場合、加入できない可能性があるため注意しましょう。 

参考:中小企業基盤整備機構「個人事業主として不動産賃貸業をしています。加入できますか。」

ふるさと納税

ふるさと納税は、自分の選んだ自治体に寄付できる制度です。寄付金のうち2,000円を超える金額が、所得税や住民税から控除されます。

ふるさと納税には、確定申告が不要になるワンストップ特例があります。ワンストップ特例は本来、確定申告が不要な会社員などが利用できる制度です。

確定申告する方はワンストップ特例制度を利用できないため、確定申告時に忘れないようにしましょう。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

転勤などのやむを得ない事情でマイホームであるマンションを貸す場合、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)を利用できる場合があります。住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高の一定割合を、所得税から控除できる制度です。

ただし、一般的に借入をしている最中にマイホームを賃貸に出す場合、金融機関に相談が必要で、住宅ローンから投資ローンへの切り替えを求められるケースがほとんどです。

許可なく勝手に賃貸に出してしまった場合、最悪の場合は残債の一括返済を求められますので、十分注意してください。

iDeCo(イデコ)

iDeCoは自分で毎月掛金を積み立て、運用する私的年金制度です。

iDeCoは、運用益が非課税になるというメリットもあります。掛金は全額所得控除の対象となるため、将来の年金を増やしながら税金対策もできます。

原則60歳まで引き出しができないなどのデメリットもありますので、無理のない範囲で積み立てましょう。

医療費控除

年間の医療費が高額になった場合、医療費控除を利用できます。

一般的には、年間10万円を超える医療費を支払った場合、超過分を所得から控除可能です。

医療費控除を受けるためには、医療費の領収書を保管しておく必要があります。領収書の再発行ができない恐れがあるため、紛失しないように注意しましょう。


マンションを貸すときは確定申告で税金を納付

確定申告と聞くと「なんだかよく分からない」「難しそう」とイメージする会社員の方が多いのではないでしょうか。

マンションを貸すことによる確定申告は、実は複雑なものではありません。ここでは、不動産所得の確定申告について解説します。

確定申告が必要な人

まず、確定申告が必要となるのは、以下のような人です。 

  • 年間の給与収入が2,000万円を超える人
  • 土地や建物を譲渡した人
  • 副業の所得が年間20万円を超える人
  • 医療費控除を受ける人
  • 初年度の住宅ローン控除を受ける人

 マンションを貸すことで得られる収入は不動産所得に該当し、確定申告が必要です。

しかし、会社員の場合、副業所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。住民税の申告は必要なため注意しましょう。

確定申告の必要書類

不動産所得の確定申告に必要な書類は、一般的に以下の書類です。

  • 確定申告書
  • 収支内訳書(白色申告の場合)
  • 青色申告決算書(青色申告の場合)
  • 生命保険料控除証明書など各種控除証明書
  • 所得を証明する書類

白色申告と青色申告どちらかによって必要書類が異なるため、間違えないようにしましょう。

また、控除証明書を再発行すると時間がかかり、提出期限に間に合わない恐れがあるため、大切に保管しましょう。

確定申告の流れ

確定申告は以下の流れで、スムーズに実施できます。

  1. 必要書類の準備
  2. 確定申告書の作成
  3. 確定申告書の提出、納付

必要書類が準備できたら、確定申告書の作成です。確定申告書は、国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すると便利です。

確定申告書を作成したあとは、提出し納付します。提出方法は、郵送、e-Tax、税務署への持ち込みなどがあります。

確確定申告の期限は、毎年216日から315日までです。期限内に申告書を提出しないと、延滞税や加算税などのペナルティが課せられる恐れがあるため注意しましょう。


まとめ

マンションを貸したことによる収入は不動産所得として、税金の対象です。不動産所得は、給与所得などと合算して税金を計算するため、不動産所得が増えると税金も増加します。

しかし、個人であっても以下の方法で税金対策できます。

  • 青色申告で申告
  • 必要経費を計上
  • 小規模企業共済に加入
  • ふるさと納税
  • 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)※金融機関に事前に要確認
  • iDeCo(イデコ)
  • 医療費控除

また、不動産所得がマイナスな場合、他の所得と相殺して税金が減るケースもあります。

収入以上に支出が増え、資金が減る恐れがあるため、そのような方は一度専門家に相談してみましょう。

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