フリーレントとは?空室対策になるのかメリット・リスクを解説【家主向け】

「なかなか入居者が決まらない。でも、家賃を下げるのには抵抗がある…」

そんなお悩みをお持ちの不動産オーナーに、よく使われているのが「フリーレント」という仕組みです。初月や数ヶ月分の家賃を無料にすることで、入居希望者の費用負担を軽くし、早期の契約につなげる狙いがあります。

しかし、「家賃をタダにするなんて、損しないの?」と不安になるのも当然のことです。

そこで、この記事ではフリーレントの基本的な仕組みから、実際のメリット・リスク、成功・失敗の実例までをわかりやすく解説していきます。自分の物件に合うかどうかを見極めるヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。

「うちの物件でも効果があるのか知りたい…」そんな方は、お気軽にご相談ください。物件の状況に合わせて、最適な空室対策をご提案いたします。

この記事で分かること
    • フリーレントの基本的な仕組みと適用条件
    • オーナーにとってのメリットとリスク
    • 家賃値下げとの収益比較シミュレーション
    • フリーレント導入の成功事例と失敗事例
    • 効果的な導入方法と物件タイプ別の活用ポイント

    目次

    賃貸管理完全ガイド
    依頼すべき理由

    そもそもフリーレントとは?

    まずは、フリーレントの基本的な仕組みをしっかり押さえていきましょう。

    フリーレントの基本的な仕組み

    「フリーレント」とは、契約開始から一定期間、家賃が無料になる制度のことです。期間の目安は、契約開始日から1〜2ヶ月程度が一般的です。
    オーナーにとっては一時的に収入が減る一方で、入居者には「引っ越し費用が抑えられる」というメリットがあり、早期成約につながりやすくなります。

    共益費・管理費は無料対象外の場合が多い

    注意したいのは、フリーレントの対象はあくまで「家賃」だけという点です。

    共益費や管理費、町内会費、火災保険料といった諸経費については、費用が発生することがほとんどでしょう。

    「家賃1ヶ月無料」とだけ表示すると誤解される可能性もあるため、対象費用は明確にしておくことが大切です。

    賃借人・オーナー双方の視点からの特徴

    入居者にとっての魅力は、初期費用がぐっと抑えられることです。
    特に、募集時に「ゼロゼロ物件」と呼ばれる敷金・礼金無料の条件にフリーレントを組み合わせることで、入居時の費用を数十万円単位で抑えられることもあります。

    一方オーナー側には、家賃を下げずに早期成約を狙える利点があります。
    ただし、収入がゼロになる期間がある以上、長期入居が見込めないと損になる可能性もある点には注意が必要です。


    なぜフリーレント物件が増えているのか?

    最近は、エリアに問わず「フリーレント付き」の物件をよく見かけるようになりました。その背景には、なかなか入居者が決まらず、空室期間が長くなりやすい状況があると考えられます。
    特に、築年数が経過していたり、駅から距離がある物件では、家賃を下げても反応が得られにくい傾向があります。

    そこで、「初期費用をできるだけ抑えたい」という入居者の声に応えるかたちで、フリーレントを取り入れるオーナーが増えているのです。

    フリーレントは、家賃そのものを下げなくてもお得感を出せるため、物件の価値を落とさずにアピールできる方法としても注目されています。

    また、入居希望者にとっては「とりあえず住んでみよう」と思える心理的ハードルの低さも魅力のひとつ。
    費用面の不安が軽減されることで、他の物件との比較検討がしやすくなり、結果として成約につながるケースも増えているのです。


    オーナーにとってのフリーレントのメリット

    フリーレントは一時的に収入は無くなりますが、オーナーにとってのメリットは大きいです。

    • 空室期間の短縮
    • 入居者の初期費用の軽減
    • 長期入居の可能性

    これらの代表的なメリットを以下で3つ紹介します。

    ①空室期間の短縮につながる可能性

    フリーレントの大きな魅力は、「早く入居が決まりやすくなる」ことです。
    「初月の家賃が無料なら、ちょっと検討してみようかな」といった人たちにアピールできるため、広告を出してから反応が出るまでのスピードが早まる傾向があります。

    特に、繁忙期を逃した後や真夏の閑散期などでは、思った以上に効果を感じることもあります。

    早く決まればその分、空室による損失も減らせるので、結果的に収入の安定にもつながりやすくなるのです。

    ②入居者の初期費用負担を軽減できる

    引っ越しには何かとお金がかかるので、「できるだけ初期費用を抑えたい」と考える人はとても多いです。そこにフリーレントが加わると、手元資金が少ない人でも住み始めやすくなります。

    学生さんや新社会人、ひとり親の方など、まとまったお金を用意するのが難しい層にも響きやすく、今まで届かなかった入居者層にアプローチできるのもメリットです。

    特に、単身者向けのアパートでは、「初月無料」のひと言が他の物件との差を生みやすく、選ばれるきっかけになることもあります。

    ③契約条件によっては長期入居を期待できる

    フリーレントは一時的に家賃を無料にする仕組みですが、契約の工夫次第で長く住んでもらえる可能性を高めることもできます。

    たとえば、「半年以内の退去には違約金が発生する」といった条件をつけておけば、すぐに出て行かれるリスクを減らすことができます。

    初期費用の負担を減らして入りやすくしながら、しっかりと契約内容で出口も整えておくことがポイントです。


    フリーレントのデメリット・リスク

    メリットがある一方で、フリーレントにはいくつか注意すべきデメリットやリスクもあります。実際の導入前にしっかり理解しておきましょう。

    ①実質的な収益減(家賃の割引効果)

    フリーレントを設定すると、一見家賃を維持しているようでも、実質的には収益が減少している場合があります。

    例えば、「1ヶ月フリーレント」とは、1年契約であれば1/12の収入が減ることを意味します。

    単純に月1万円の値引きよりも目立ちにくいですが、実質的には同じ、もしくはそれ以上の負担になることもあります。複数戸同時にフリーレントを実施すると、全体の収益バランスが大きく崩れる可能性もあるため注意が必要です。

    一時的な空室対策としては効果的ですが、ずっと続ける方法としてはおすすめできません。

    ②短期解約・早期退去リスク

    しかしその反面、住み心地が合わなければすぐに退去してしまうリスクもあります。

    特に多いのが、若年層の一人暮らしや、転勤・進学などで仮住まいとして部屋を探している人です。
    フリーレントが終了したタイミングで解約されてしまうと、家賃収入がほとんど得られないばかりか、原状回復費用や再募集の広告料といったコストが再び発生することになります。

    ③周辺物件との価格競争激化の可能性

    「この物件がフリーレントなら、うちもやらなきゃ…」というように、近隣のオーナーにも影響を与えることがあります。

    結果として、エリア全体の家賃相場が下がるきっかけになってしまうことも。
    フリーレントの施策が広がりすぎると、逆に空室の埋まりにくいエリアになってしまう危険性もあります。

    目先の入居促進だけでなく、周辺環境とのバランスも見極めることが大切です。

    「うちの物件でも効果があるのか知りたい…」そんな方は、お気軽にご相談ください。物件の状況に合わせて、最適な空室対策をご提案いたします。


    収益性はどっちが上?|家賃値下げ vs フリーレント

    空室を埋めるために「家賃を下げる」のと「フリーレントを付ける」のとでは、どちらが収益的に有利なのでしょうか。

    ここでは、家賃8万円の物件を例に、半年間・1年間の収支シミュレーションを比較してみます。

    家賃8万円の物件での収支比較(フリーレントにすることで初月から入居した6ヶ月の内訳)

    空室が続いた場合と比べて、フリーレントを使った方が最大で40万円の差が出ることもあります。

    値下げと比べても、フリーレントのほうが手元に残る金額が大きくなるケースは少なくありません。

    パターン

    内容

    半年間の収入合計

    空室6ヵ月

    入居者ゼロ

    0円

    家賃値下げ1万円

    →5ヵ月入居

    (初月は入居者無し)

    家賃7万円×5ヵ月

    35万円

    家賃値下げ5千円

    →5ヵ月入居

    (初月は入居者無し)

    家賃7.5万円×5ヵ月

    37.5万円

    フリーレント1ヵ月

    →6ヵ月入居

    (初月から入居者有、初月無料)

    家賃8万円×5ヵ月

    40万円

    このように、初月だけ無料にしても、全体で見れば収入が多くなるパターンもあることが分かります。

    家賃8万円の物件での収支比較(同月に入居したが家賃交渉で減収した1年間の内訳)

    1年単位で見ても、家賃を下げるよりもフリーレントを導入したほうが収益性が高くなることもあります。長く住んでもらえる前提なら、トータルの利益に大きく影響します。

    パターン

    内容

    半年間の収入合計

    空室6ヵ月、入居6ヶ月

    最初の6ヶ月入居者ゼロ

    48万円

    家賃値下げ1万円

    (12ヵ月入居)

    家賃7万円×12月

    84万円

    家賃値下げ5千円

    (12ヵ月入居)

    家賃7.5万円×12ヵ月

    90万円

    フリーレント1ヵ月

    (12ヵ月入居)

    家賃8万円×11ヵ月

    88万円

    フリーレントは一時的に収入が減るように感じますが、入居期間が長くなるほど、家賃を値下げするよりも収益性が高くなる傾向があります。
    たとえば、家賃を5,000円下げるよりもフリーレント1カ月を設定した方が、1年4カ月以上住んでもらえれば最終的な収入は上回る計算になります

    数字で見る効果の目安

    フリーレントの効果は、「すぐに入居が決まったか」だけでは判断できません。
    どれだけ収益につながったか、空室のリスクがどれくらい減ったかなど、数字で確認することが重要です。

    例えば、次のようなポイントで確認してみるのがおすすめです。

    • 募集から成約までの期間(1ヶ月以内なら効果あり)
    • フリーレントがなければ得られなかった家賃との差額
    • 年間収入で比較したとき、家賃値下げより収益が多いかどうか

    一時的に家賃が無料でも、空室が続いて全く収入がないよりは、結果的にプラスになることが多いでしょう。

    しっかり数字で比べてみることが、あとで後悔しないためのコツです。

    「うちの物件でも効果があるのか知りたい…」そんな方は、お気軽にご相談ください。物件の状況に合わせて、最適な空室対策をご提案いたします。


    フリーレント導入の成功事例

    ここでは、実際にフリーレントを導入して空室対策に成功した事例を紹介します。

    物件のタイプやエリアによって効果の出方が異なるため、参考になるポイントがきっと見つかるはずです。

    成功事例①:築20年の単身者向け区分マンション

    築20年のアパートを所有しているのですが、駅から徒歩20分以上と立地があまりよくないこともあって、半年以上も空室が続いていました。
    家賃を下げるのは避けたかったので、試しにフリーレント1ヶ月付きで募集をかけてみたのです。

    すると、「初月無料」という条件が響いたのか、フリーレント実施前と比較して反応がぐっと増え、掲載から1ヶ月も経たずに入居が決まりました。結果として、予定していた家賃も維持できましたし、更新までの1年分の収益を確保できたので、思い切ってフリーレントを付けて本当に良かったと感じています。

    成功事例②:地方の一棟アパート

    都市部から離れた地方で一棟物件を所有していますが、一人暮らし用にしては家賃が6.5万円とやや高めだったこともあり、気づけば1年近く空室の状態が続いていました。

    このままではもったいないと思い、思い切ってフリーレント2ヶ月を付け、内装も少し手を入れて募集をかけてみたのです。すると、「初期費用が抑えられる物件を探していた」という男性からすぐに問い合わせがあり、周辺相場を崩さずにそのままの家賃で契約が決まりました。

    多少のリフォーム費用はかかりましたが、空室のままよりずっと良かったですし、長期入居を希望する方から申込があったことにも満足しています。


    フリーレント導入の失敗事例

    入居促進の効果がある一方で、フリーレントにはデメリットやリスクも存在します。
    導入方法や契約内容を間違えると、収益を下げてしまうこともありますので、事前に注意すべきポイントを失敗事例から学んでおきましょう。

    以下で、2つの失敗談を紹介します。

    失敗事例①:短期退去による損失

    2LDKの物件で空室が出た際、早く決めたくて「家賃10万円+フリーレント1ヶ月」で募集をかけました。
    問い合わせもすぐに入り、「これは順調だ」と思っていたのですが……。

    入居したのは若いカップルだったのですが、破局をきっかけに、なんと入居からわずか2カ月で退去。
    実際に得られた家賃収入は1カ月分の10万円のみ。
    広告料や原状回復費用もかかったため、完全に赤字になってしまいました。

    今振り返れば、特にカップルの入居には「短期解約の違約金特約」を設けておくべきだったと後悔しています。
    次回からは、最低でも半年間の契約を条件にするなど、契約内容の見直しを徹底しようと決めました。

    失敗事例②:フリーレントが恒常的な施策になってしまった

    所有している一棟アパートで空室が目立ち始めた際、思い切って空室の全室に2ヶ月のフリーレントを導入しました。
    結果として、早めに決まったのはよかったのですが…。

    その後、他の部屋でも退去が出た際に「またフリーレント付けますよね?」と仲介会社から当然のように言われてしまい、気づけば「この物件=フリーレントあり」というイメージが定着してしまいました。

    最初は一時的な対策のつもりだったのに、一斉に行ったせいで抜け出せなくなってしまったんです。今は、フリーレントは交渉があったときに個別で対応するようにしています。


    フリーレントを成功させるポイント

    フリーレントは、上手に使えば空室対策として効果的ですが、使い方を間違えると収益を圧迫してしまうこともあるため注意が必要です。
    導入時には、以下のいくつかの工夫を加えることで、効果を最大限に引き出すことができます。

    【成功を見極める4つのポイント】

    工夫のポイント内容の概要注意点・補足
    ① 期間は1~2ヶ月に抑える無料期間が長いと収益悪化につながる閑散期に1ヶ月程度が無難
    ② 短期解約違約金を設定する早期退去のリスクをカバーするための条項「●ヶ月未満は1ヶ月分負担」など具体的に記載
    ③ 収支全体を考慮するフリーレント+広告料・礼金など全体のバランスを確認初期費用ゼロが続くと回収が遅れる
    ④ 募集の見せ方も工夫するキャッチーな表現+条件の明示で信頼性アップ共益費や違約金の有無は図面や掲載時にしっかり記載

    「うちの物件でも効果があるのか知りたい…」そんな方は、お気軽にご相談ください。物件の状況に合わせて、最適な空室対策をご提案いたします。


    フリーレント以外の空室対策と比較

    フリーレントは有効な手段ですが、他の方法と比較しながら、どの対策が自分の物件に合っているかを見極めることが大切です。

    家賃値下げとの違い

    家賃を下げることで反応が増えるのは事実ですが、一度下げた家賃は、元に戻しにくいという大きなデメリットがあるのです。将来的な収益にも影響しやすく、物件の「格」を下げてしまうおそれもあります。

    その点、フリーレントであれば、見かけの家賃は維持しながら初期費用だけ抑えることができます。値下げと違い、一時的な措置として使えるのが大きなメリットです。

    リフォーム・設備改善

    古さや機能不足が原因で空室が続いている場合は、内装リフォームや設備交換が効果的です。

    たとえば、

    • 室内のクロスや床材の張り替え
    • ウォシュレットやTVモニターホンの設置
    • 照明器具のLED化

    といった小さな改善でも、写真の印象や内見時の評価が大きく変わります。ただし、コストがかかるため「改修費の元が取れるか」という視点で計算することが大切です。

    募集条件の緩和(敷礼ゼロ、ペット可など)

    空室改善や入居のハードルを下げる手段として、「敷金・礼金ゼロ」や「ペット可」などもあります。
    これらの条件緩和は、ターゲット層を広げられる反面、リスク管理も必要です。

    たとえば、ペット可にすれば入居希望者は増えますが、退去時の原状回復費用は高くなる傾向があります。条件を緩める場合は、それに見合った保証内容や契約条項の整備が重要です。


    まとめ|フリーレントを活用して収益最大化を目指そう

    フリーレントは、「家賃を一時的に無料にするなんて損じゃないか」と思われがちですが、使い方次第では空室対策としてとても効果的です。

    家賃を下げずに入居者の初期負担を軽くできるため、物件の価値を保ちながら早期成約につなげることができます。

    とくに、築年数が経っている物件や立地にやや弱みのある物件では、フリーレントをきっかけに成約へ結びつくケースも少なくありません。

    ただし、短期解約のリスクや周囲の物件とのバランスにも注意が必要です。
    違約金の設定や広告での見せ方など、細かな工夫を重ねることで、収益性をしっかり確保することができます。

    「何から始めればいいかわからない」という方は、まずは不動産会社と相談しながら、シミュレーションしてみるのもおすすめです。

    空室に悩む今だからこそ、フリーレントを一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

    「うちの物件でも効果があるのか知りたい…」そんな方は、お気軽にご相談ください。物件の状況に合わせて、最適な空室対策をご提案いたします。

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