賃貸物件を管理する不動産オーナーは、入居者が毎月家賃を確実に支払ってくれるかどうかは、常に気がかりな問題です。
そこで、近年では家賃保証会社の導入が一般的になりつつあります。
家賃保証会社は厳密な審査を行い、オーナーが安心して入居者を迎えられる体制を整えています。
この記事では、家賃保証会社の概要や種類、役割や審査について詳しく解説します。
賃貸物件の管理をしている大家や、これから賃貸物件を購入しようとしている人はぜひ参考にしてください。
本記事を読んでわかること |
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目次
- 家賃保証会社とは?
- 1.信販系の保証会社
- 2.協会系の保証会社
- 3.独立系保証会社
- 賃貸の家賃保証会社が果たす役割5選
- 1.審査による契約者の身元保証
- 2.保証人代わりの家賃負担
- 3.滞納時の督促・家賃回収
- 4.退去費用(原状回復費)の負担
- 5.契約者との訴訟代行
- 家賃保証会社は入居時に加入必須?
- 家賃保証会社の加入を必須とする物件は増加している
- 家賃保証会社への加入はオーナー側のメリットが大きい
- 賃保証会社の審査日数は2~4日が目安
- 申込書類に不備があると揃うまで審査開始できない
- 「正社員」は1~2日程度
- 「個人事業主」「学生」は2~4日程度
- 「無職」「求職中」は3~5日程度
- 家賃保証会社は入居審査で何を見ている?
- 1.支払い能力
- 2.家賃の滞納歴
- 3.過去の金銭トラブル
- 4.人柄
- 家賃保証会社の審査で必要になる書類
- 1.申込書・加入同意書
- 2.身分証明書
- 3.在職(在籍)証明書
- 4.収入証明書
- 家賃保証会社の審査に落ちる人の特徴
- 1.毎月の収入に対して家賃が高い
- 2.過去に慢性的な家賃滞納をしていた
- 3.クレジットカードや携帯代の滞納歴がある
- 4.反社会的勢力との関係があった
- 家賃保証会社で大家さんが抱えるリスク
- 1.入居時に高額保証料が発生すると物件候補から外されやすい
- 2.更新料が発生するタイミングで退去者が出やすい
- まとめ
家賃保証会社とは?
審査の際には、収入や職業の安定性、過去の家賃滞納歴、信用情報を確認します。
また、単に経済的な条件だけでなく、過去に金銭トラブルがないか、契約上問題が発生しそうな人物かどうかも調査した上で審査を行います。
保証会社には以下の3種類があり、それぞれ審査の方法や厳しさが異なるため、特徴を理解して使い分けることが必要です。
①信販系の保証会社
②協会系の保証会社
③独立系の保証会社
1.信販系の保証会社
信販系の保証会社は、クレジットカード会社や金融機関と提携しており、入居者の個人信用情報を基に審査を行います。
入居者がクレジットカードやローンの支払い履歴を持っている場合、その履歴が評価基準となります。
信販系の保証会社は、厳密な信用チェックを行うため、審査基準が高いですが、信頼性の高い入居者を確保する手段として有効です。
2.協会系の保証会社
協会系の保証会社は、全国賃貸保証業協会などの業界団体が運営している保証会社です。
協会系は、地域密着型のサービスを提供することが多く、柔軟な審査基準を持つことが特徴です。
入居者の支払い能力に関して、信販系ほど厳しくない場合がありますが、地域の実情に応じた対応ができます。
協会系の保証会社は、より幅広い層の入居者を受け入れやすい点が魅力です。
3.独立系保証会社
独立系の保証会社は、信販系や協会系とは異なり、特定の金融機関や団体に依存しない運営をしています。
そのため、審査基準やサービス内容が会社ごとに異なり、オーナーや物件のニーズに応じた柔軟な対応が可能です。
特に、独自の審査基準を設けることで、信販系や協会系で審査に通らなかった入居者も受け入れられるケースがあります。
賃貸の家賃保証会社が果たす役割5選
家賃保証会社は、単に家賃滞納時の保証だけでなく、オーナーが賃貸経営を安定して行うための多くのサポートを用意しています。
審査による契約者の身元保証
保証人がわりの家賃負担
滞納時の督促・家賃回収
退去費用(原状回復費用)の負担
契約者との訴訟代行
それぞれ具体的に解説しましょう。
1.審査による契約者の身元保証
家賃保証会社の重要な役割の一つは、審査によって契約者の身元を保証することです。
家賃保証会社は、審査を通じて契約者が安定した収入を持ち、契約上の責任を果たすことができるかを確認します。
審査では、契約者の収入、職業、勤続年数、過去の滞納歴や信用情報などをチェックすることで、身元が保証されます。
2.保証人代わりの家賃負担
家賃保証会社が家賃を滞納した場合に、契約者の保証人の代わりに家賃を支払うことも重要な役割です。
滞納時も保証会社が家賃を支払ってくれるので、オーナーは保証人の有無に関わらず、安定した家賃収入を確保できます。
特に、入居者が転職や不安定な収入状況にある場合、保証会社が家賃を負担してくれることは大きな安心材料です。
3.滞納時の督促・家賃回収
家賃保証会社は、滞納が発生した際に迅速に対応し、契約者に督促を行います。
家賃保証会社が家賃を回収してくれるので、オーナーは面倒な交渉や手続きを避け、スムーズな家賃回収が可能です。
滞納時の督促や家賃回収は時間、精神ともに負担が大きい業務のため、代わりに行ってくれる保証会社の存在はオーナーにとって欠かせません。
4.退去費用(原状回復費)の負担
家賃保証会社は、入居者の負担とされる原状回復費用を支払わない場合、これを保証し、オーナーが経済的損失を被らないようにします。
特に、故意・過失による損傷・破損があった場合には、この保証が大いに役立ちます。
賃貸において原状回復の場面はトラブルが多い傾向があるため、保証会社を利用することで、原状回復でトラブルになるリスクを低下させられます。
5.契約者との訴訟代行
家賃保証会社は、入居者が家賃滞納や契約違反をした場合、オーナーに代わって訴訟を進めてくれることがあります。
これにより、オーナーは自ら法的手続きを行う手間を省き、よりスムーズに問題を解決できるでしょう。不動産は法律に関する難しい問題が多いため、特に複雑な紛争が予想される場合には、保証会社のサポートが役立ちます。
また、訴訟費用に関しては保証会社が一部または全部を負担するケースもありますが、立て替えの形で請求される場合もあるため、契約内容を確認しましょう。
家賃保証会社は入居時に加入必須?
現在、家賃保証会社への加入を必須とする賃貸物件が増加しています。
保証会社の手厚いサービスが普及したことで、より多くのオーナーが利用するようになりました。
保証会社への加入は、家賃滞納リスクを低減し、トラブルを未然に防ぐ手段として非常に有効です。
また、入居者にとっても、連帯保証人を探す手間が省けるため、両者にとって利便性が高まっています。
家賃保証会社の加入を必須とする物件は増加している
近年、賃貸物件において家賃保証会社への加入を必須とするケースが増えています。
民法の改正により、連帯保証人の規定が厳格化されたことをきっかけに、管理会社側からのニーズが高まっているようです。
実際、国土交通省による調査によると、2020年度の家賃保証業者利用率が8割を超えているといいます。
加入を必須とする大きな理由は、従来の連帯証人制度よりも家賃の未払いリスクを低減できることでしょう。
特に、若年層や外国人など、連帯保証人を見つけるのが難しい入居者に対しても柔軟に対応できるため、オーナー側からの需要が高まっています。
家賃保証会社への加入はオーナー側のメリットが大きい
家賃保証会社に加入することで、オーナーは賃貸経営において多くのメリットが得られます。
特に、家賃保証会社のサービスが普及する前は、いわゆる「夜逃げ」などをされてしまうと、原状回復費用を回収するのが難しく、多くのオーナーが泣き寝入りせざるを得ない状況にありました。
また、夜逃げでなくとも家賃滞納の督促や、原状回復費用については揉めるケースが多くありましたが、法律知識の豊富な家賃保証会社が仲介することで、オーナーの「食いっぱぐれ状態」を無くすことができます。
賃保証会社の審査日数は2~4日が目安
家賃保証会社の審査は、通常2~4日程度で完了します。
一般的には、正社員など安定した収入がある人は迅速に審査が進みますが、個人事業主や学生、無職者の場合は審査に時間がかかることがあるため注意が必要です。
申込書類に不備があると揃うまで審査開始できない
家賃保証会社の審査をスムーズに進めるためには、申込書類に不備がないことが前提です。
書類に不備がある場合、保証会社は審査を開始できないため、審査が遅延します。
書類不備によるトラブルを防ぐために、事前に入居者に確認することが必要です。
「正社員」は1~2日程度
正社員として働いている入居者の場合、家賃保証会社の審査は比較的早く完了する傾向があります。
入居者が正社員であれば1~2日程度で審査が完了することが多いです。
正社員は安定した収入があるため、リスクが低いとみなされます。
迅速な審査が行われるため、オーナーにとっては入居申込のキャンセルを減らせる点がメリットです。
「個人事業主」「学生」は2~4日程度
個人事業主や学生は、正社員に比べて収入の安定性が低く厳密な審査をされるため、家賃保証会社の審査に2~4日かかることがあります。
個人事業主の場合、収入の波が大きいため、確定申告書類や収入証明書、場合によっては納税証明書のチェックが必要です。
学生に関しては、親の保証や奨学金の有無などが考慮されます。
また、在学中ではなく、大学入学のタイミングであれば合格証明などが追加で求められることもあります。
審査に時間がかかる可能性があるため、スケジュールに余裕を持って対応しましょう。進捗報告など、入居者とも適切にコミュニケーションをとることが重要です。
「無職」「求職中」は3~5日程度
無職や求職中の入居者に対しては、家賃保証会社の審査はより厳しく行われ、3~5日程度かかることが一般的です。
無職や求職中の方は収入源が不安定なため、審査には特に慎重な対応が求められます。
家賃保証会社は、過去の職歴や貯蓄状況、今後の就業予定などを詳細に確認します。
オーナーはこのような入居者のケースでは、保証会社の審査に時間がかかることを理解し、焦らずに進めることが大切です。
家賃保証会社は入居審査で何を見ている?
家賃保証会社は、さまざまな観点から審査を行います。
入居審査の際に、家賃保証会社が特に注意深く見ているポイントは下記の通りです。
支払い能力
家賃の滞納歴
過去の金銭トラブル
人柄
本章では、上記のポイントとそれを重要視する理由について紹介します。
1.支払い能力
入居者の支払い能力は、家賃保証会社が審査するとても重要なポイントです。
信頼できる入居者を選び、オーナーの安定した家賃収入の獲得につなげるのはもちろん、
保証会社側も滞納や督促にかかる時間、費用を取られたくありません。
優良な入居者を入れることで、オーナーはもちろん保証会社の利益も高まるのです。
【年収】
保証会社は、契約者の年収が1年間に支払う家賃の何倍であるかを基準にしてリスクを評価します。
一般的には、年収が1年間に支払う家賃の3倍以上であれば支払い能力が十分と見なされます。
【職業・勤め先】
入居者の職業や勤め先も、家賃支払い能力を判断する上での重要な要素です。
大手企業に勤めている正社員や公務員は、安定した収入を得ていると見なされ、審査において有利です。
一方、フリーランスや個人事業主の場合、収入が不安定なことから審査基準が厳しくなります。
保証会社は、勤め先の信頼性や事業の安定性も確認し、リスクを評価します。
【勤続年数】
勤続年数は、長ければ長いほど収入が安定しており、家賃支払いリスクが低いとみなされます。
保証会社は、入居者が同じ職場で長期間働いているかどうかを確認し、安定性の高い入居者を選びます。
2.家賃の滞納歴
家賃の滞納歴は、個人の信用情報です。
過去に家賃滞納があった場合、再び滞納するリスクが高いと判断されるため、審査が厳しくなります。
特に、長期間にわたる滞納や支払いを怠った履歴がある場合は、審査で非承認になることが多いです。
3.過去の金銭トラブル
家賃保証会社は、過去の金銭トラブルの有無も審査で注視します。
これは、クレジットカードの滞納や借金の支払い遅延、さらには裁判沙汰になった金銭トラブルまでが含まれます。
信用情報は、CICやLICCのような信用情報機関を通じて確認されることが一般的です。
過去の金銭トラブルで非承認になった場合、無理に他の審査が緩い保証会社で通すことはせず、新たな入居者を探す方がよいかもしれません。
4.人柄
家賃保証会社は、入居者の人柄も審査の一環としてチェックします。
入居者への審査に関する電話において、折り返しがあるかや受け答えができるかなども人柄を評価する判断材料としています。
家賃保証会社の審査で必要になる書類
家賃保証会社の審査において、契約者および入居者は以下の必要書類を揃える必要があります。
申込書・加入同意書
身分証明書
在職(在籍)証明書
収入証明書
これらの書類は、入居者の身元確認や支払い能力を判断するための重要な材料となります。
1.申込書・加入同意書
家賃保証会社の審査を開始するために、まず必要なのが申込書と加入同意書です。
申込書には、契約者・入居者の住所や連絡先、勤務先などの基本情報が記載され、家賃保証会社が審査を進めるために必ず必要です。
また、加入同意書は、契約者が保証会社のサービスを利用することに同意する書類であり、契約が成立する前提として必須です。
管理会社やオーナーは、申込書や加入同意書に正確な情報が記入されていることを確認しなければなりません。
2.身分証明書
家賃保証会社は、入居者の身元を確認するために身分証明書の提出を求めます。
一般的には、運転免許証やパスポートなどの顔写真付きの証明書が必要です。
また、身分証明書の住所が変更されていない場合は、住民票などの追加の書類も必要となる場合があります。
これにより、契約者が本人であることが確認できるだけでなく、虚偽の情報を申告していないこともわかります。
入居者の身元の確認は、後々のトラブルを防ぐために重要です。
3.在職(在籍)証明書
入居者が安定した収入を得ていることを証明するために、在職証明書の提出が求められることがあります。
在籍証明書は、入居者が現在どのような職業に従事しているかを確認するための書類です。正社員や契約社員などの雇用形態も明記されています。
オーナーにとっては、入居者が安定した職に就いていることを確認することで、家賃の支払いが継続されるかどうかを判断できます。
4.収入証明書
収入証明書は、契約者が家賃を支払う能力を確認するために提出を求められることがあります。
収入証明書を提出することで、入居者が毎月安定した収入を得ていることが証明され、審査の判断材料となります。
オーナーとしても、収入証明書を確認することで、入居者が家賃の支払いを問題なく行えるかどうかを把握することが可能です。
家賃保証会社の審査に落ちる人の特徴
家賃保証会社の審査に落ちる入居者には、いくつかの共通した特徴があります。
毎月の収入に対して家賃が高い
過去に慢性的な家賃滞納をしていた
クレジットカードや携帯代の滞納歴がある
反社会的勢力との関係があった
オーナーとしては、審査に落ちた理由をしっかりと把握することで、今後の入居者について審査に落ちるかどうかの判断が早くできるようになります。
1.毎月の収入に対して家賃が高い
毎月の収入に対して家賃が高すぎる場合、家賃保証会社の審査に落ちる可能性が高くなります。
一般的には、家賃が収入の3分の1以上を占めると、支払いが困難になると見なされます。
2.過去に慢性的な家賃滞納をしていた
過去に慢性的な家賃滞納があった入居者は、審査に通りにくいです。
家賃の滞納歴があると将来滞納するリスクが高いと判断されるため、審査において不利になります。
3.クレジットカードや携帯代の滞納歴がある
クレジットカードや携帯料金の支払いを滞納した履歴がある入居者も、家賃保証会社の審査で不利になることが多いです。
滞納履歴は、信用情報に残るため、保証会社はこれを元に入居者の信頼性を判断します。
特に、支払い遅延が頻繁に発生している場合は、家賃の支払いも遅れる可能性が高いと見なされます。
4.反社会的勢力との関係があった
反社会的勢力との関係があった人物は、家賃保証会社の審査に通ることはほとんどありません
これは、保証会社が法的リスクやトラブルを避けるために厳格な基準を設けているためです。
仮に契約を締結後でも、反社会的勢力との関わりが確認された場合は即時解約となります。
家賃保証会社で大家さんが抱えるリスク
家賃保証会社を利用する際には、オーナー側にも2つ注意点があります。
入居時に高額保証料が発生すると物件候補から外されやすい
更新料が発生するタイミングで退去者が出やすい
それぞれ解説します。
1.入居時に高額保証料が発生すると物件候補から外されやすい
入居時に高額な保証料が発生する場合、入居者がその物件を選ばない可能性があります。
たとえば、初期費用として支払う保証料の設定が「家賃の80%」などというケースです。
特に、他の物件と比較して保証料が高額な場合、初期費用を抑えるために入居者はより安価な物件を選ぶ傾向があります。
ただし、保証料が安すぎるとサービスが不足する可能性があるため、保証料とサービスのバランスを選ぶべきです。
2.更新料が発生するタイミングで退去者が出やすい
家賃保証会社を利用する場合、入居者が家賃保証会社へ支払う更新料が発生することがあります。
この更新料が入居者にとって負担となり、退去の原因となることが少なくありません。
更新料の金額やタイミングを事前に把握し、入居者が納得できる条件を提示することで長期的に入居者を確保できます。
まとめ
家賃保証会社は、大家にとって家賃滞納リスクを軽減する重要なパートナーです。
しかし、審査基準や利用に伴う費用を理解し、適切に活用することが求められます。
家賃保証会社の審査では、入居者の収入や過去の滞納歴、金銭トラブルの有無などを踏まえて審査が行われます。
また、保証料や更新料が高額になると、入居者が物件を選ばない、または退去するリスクもあるため、バランスの取れた費用設定が必要です。
家賃保証会社はオーナーの味方として頼もしいサービスを提供しており、上手に活用することで、安定した賃貸経営を実現することができます。
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