
2026年9月、日銀が政策金利を1.0%から1.25%へ引き上げました。
世間では「また金利が上がる」とも言われていますが、自分の物件でキャッシュフローが具体的にどう変化するかまで計算していますか?
この記事では、一般的によくあるタイプの木造アパート(1K×8戸)を例に試算していきます。
また、一棟アパート・マンションから区分マンションまで、金利上昇で手残りが減り、売却も難しくなる物件を5パターンに分けました。それぞれ「どこまでなら大丈夫か」の目安と、当てはまったときの対処法を紹介します。
あなたの賃貸経営、金利上昇に耐えられますか?
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| この記事でわかること |
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金利が1%上がると、手残りは年いくら減るのか

家賃収入が変わらなくても、金利が上がるとローンの返済が増え、その分だけ手残りが減ります。木造8戸の一棟アパートを例に、実際にどれくらい変わるのか見てみましょう。
【条件】
- 木造アパート、1K×8戸、築8年
- 家賃:6万円×8戸=月48万円(満室家賃 年間576万円)
- ローン:25年、8年経過(残り17年)、残債4,800万円
- 毎月の返済額:月約29万円(年間 約347万円)
- 金利:2.5%→3.5%
まずは、満室が続いた場合の試算です。
| 年間の収支 | 金利2.5% | 金利3.5% |
|---|---|---|
| 家賃収入 | 576万円 | 576万円 |
| 経費 | 約115万円 | 約115万円 |
| ローン返済 | 約347万円 | 約375万円 |
| 手残り | 約114万円 | 約86万円 |
金利が1%上がることで、年間の手残りは約28万円減ります。家賃収入は変わらないのに、手残りの約4分の1がなくなる計算です。
さらに、金利が3.5%に上がった後、1戸が1年間空いたらどうなるでしょうか。
1戸の家賃は月6万円なので、年間の家賃収入は72万円減ります。経費が変わらないとすると、手残りは次のようになります。
- 満室時の手残り:約86万円
- 1戸が1年間空室だったときの手残り:約14万円
年間で約14万円しか残らなければ、設備の故障や退去時の原状回復が重なったときに、家賃収入だけでは支払いきれない可能性があります。
自分の物件でも、この組み合わせで確認しておくことが大切です。
※元利均等返済・ボーナス返済なしで試算しています。手残りは税金を引く前の金額です。
金利上昇で詰みやすい物件5パターン

金利が1%上がっても、すぐに苦しくなる物件ばかりではありません。苦しくなるのは「手残りが薄いか」「出口が塞がっているか」そのどちらかの物件です。
一棟でも区分でも、当てはまる構造は同じです。ただ、数字の見え方は少し違います。
次の5パターンのうち、ご自身がいくつ当てはまるかを見てみてください。
パターン1|家賃収入に対してローン返済が重い
家賃の大半がローン返済に消える物件は、金利が上がると手残りが減り、空室や修繕に対応しにくくなります。
この物件では、家賃収入に占める返済の割合が約60%から約65%に上がります。残りの35%が、そのまま利益になるわけではありません。
経費にも家賃収入の20%がかかるため、手元に残るのは約15%ということです。しかし、1戸空くだけで、その手残りもほとんどなくなります。
区分マンションでは、ローンに加えて管理費・修繕積立金もかかります。これらを引いた後の手残りで判断するようにしてください。
- 確認すること:金利上昇と空室が重なっても、返済と経費を払えるか
- 対処法:借入先に返済条件を相談する。繰上返済は、空室・修繕用のお金を残して検討する
パターン2|売却価格よりローン残高が高い
金利が上がると、買い手側もローン返済の負担が増えます。同じ家賃でも手残りが減るため、これまでの価格では買いにくくなり、値下げを求められることがあります。
たとえば、年間の家賃収入が461万円の物件で、買い手が求める利回りが8.5%から9.5%に上がったとしましょう。利回りから逆算すると、物件価格は約5,424万円から約4,853万円まで下がります。
残債は4,800万円なので、売値との差はわずか約53万円。売却時には、不動産会社へ支払う仲介手数料などもかかるため、たとえ売れてもローンを完済するお金が足りなくなります。
- 確認すること:売却価格から売却費用を引いて、ローンを完済できるか
- 対処法:すぐ売らず、持ち出しで残債を減らす、金利が固定のうちに動くか判断する
パターン3|借り換えたくても、返済期間が組めない築古物件
借り換えでは、どれくらいの返済期間を組めるかも重要です。金融機関によって審査基準は異なりますが、建物の法定耐用年数を融資期間の判断材料の一つとするケースがあります。木造住宅の法定耐用年数は22年です。
たとえば、例の木造アパート(満室家賃576万円、残債4,800万円)は築8年です。仮に法定耐用年数の残り14年を返済期間として借り換えると、期間が短くなる分、毎月の返済は重くなります。
4,800万円を14年・金利3.5%で組み直した場合、年間返済は約434万円です。
- 今の返済:約375万円(家賃の約65%)
- 借り換え後:約434万円(家賃の約75%)
金利上昇から逃れるために借り換えても、返済期間が短くなれば、かえって毎月の返済が増えることがあります。固定金利への借り換えを考えていても、希望する返済期間で審査が通らず、思ったように切り替えられないケースもあるということです。
RC造の住宅は法定耐用年数が47年と木造より長いため、法定耐用年数を融資期間の判断材料とする金融機関では、木造より返済期間を取りやすいケースがあります。
- 確認すること:物件の構造ごとの法定耐用年数と、残りの年数
- 対処法:借り換えを考えるなら、築年が浅く期間を長く取れるうちに動く。難しければ、返済額が増えても耐えられるか先に試算しておく
パターン4|家賃を下げないと埋まらない物件
金利が上がっても、家賃は上がりません。増えた返済を、入居者に転嫁できないからです。競合が多いエリアや築年が進んだ物件は、築年数の経過とともに空室を埋めるために家賃を下げることになります。
例の木造アパートは、満室家賃576万円、年間返済約375万円、経費約115万円で、金利上昇だけなら手残りは約86万円。
そこに10%の家賃値下げが重なると、手残りは約29万円まで減ります。
- 金利上昇前(返済約347万円)、家賃そのまま:手残り約115万円
- 金利上昇後、家賃そのまま:約86万円
- 金利上昇後、家賃10%下げ:約29万円
金利の負担と家賃値下げが同時に来ると、一戸あけば赤字になる水準です。
- 確認すること:近隣の募集家賃との差。家賃を5%、10%下げたときの手残り
- 対処法:家賃を下げる前に、設備・初期費用・広告などの募集条件で埋められないか、管理会社に相談する
パターン5|大規模修繕が近く、借りて払うことになる物件
木造アパートの外壁や屋根の修繕は、200万円前後が一つの目安です。手元に現金があれば問題ありません。困るのは、積立がなく、借りて払うしかない場合です。
200万円を、たとえば10年・金利3.5%で借りると、年間返済は約24万円の増加。満室でも、手残りは約86万円から約62万円に減ります。
しかも、すでに返済が重い物件は、追加の融資が通りにくい傾向があります。
区分マンションでは、修繕積立金が足りないと一時金を求められます。手元資金がなければ、借りて払わなくてはいけません。
- 確認すること:修繕の予定時期と見積額、それに使える手元資金
- 対処法:見積りを早めに取り、修繕前に売るか、直してから持つかを比べる
当てはまったら|売る・条件を変える・持ち続けるの決め方

3つ以上当てはまったら、一度数字を並べてみる段階です。物件が一棟でも区分でも戸建でも、考え方は同じです。見比べるのは、次の2つです。
- 今売ったら、手元にいくら残るか
- 5年持ってから売ったら、手元にいくら残るか(5年分の手残りと、売却後の手取りの合計)
この2つを並べると、どちらが得か見えてきます。選択肢は「売る」「返済条件を変えて持つ」「そのまま持ち続ける」です。
それぞれを、手残りと出口とリスクで比べます。必要な情報は、次のとおりです。
- 残債
- 金利のタイプ
- 残りの返済期間
- 今の家賃
- 築年数
まず概算だけなら、残債・金利・築年数があれば出せます。
まとめ
手遅れになる前に、物件の手残りを確認しましょう
金利が上がって苦しくなりやすいのは、主に次のような物件です。
- 家賃に対して、ローン返済が重い
- 売却価格より、ローン残高が高い
- 借り換えても、返済が重くなる
- 家賃を下げないと、手残りが残らない
- 修繕が近く、借りて払うことになる
今の物件を「売る・持つ・条件を見直す」という選択肢を数字で比較し、ルーム・スタイルが、あなたの納得できる材料をご提供いたします。
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