「入居者の入れ替わりが早くて不安……。賃貸の平均的な居住年数ってどれぐらいなのだろう?」
「エリアや居住者の属性で見た時に、うちの物件はどれぐらい住んでもらうのが平均的なのかを知りたい」
賃貸物件の収益が思ったより上がらず、その原因が居住者の入居期間の短さにあるかもしれないと悩んでいませんか?
早速、一般的な賃貸物件の、平均的な居住年数を見てみましょう。
【賃貸物件の平均居住年数】
ファミリー層 | 5年2か月 |
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単身世帯 | 3年3か月 |
ただし上記の数字は、あくまでも全国的な平均です。
居住者の属性やエリアにより、平均居住年数は変わります。
そのため、あなたが所有している賃貸物件の平均居住年数を正確に知るためには、できるだけ条件の近いデータを見て判断する必要があるでしょう。
その上で、入居者に長く住んでもらえる対策を練っていければ、あなたの賃貸物件の収益もおのずと上がっていきます。
そこで今回の記事では、「住民の属性」「エリア」別に、賃貸物件の平均居住年数をご紹介していきます。
さらに、入居者の居住期間を伸ばす4つの対策や、ご自身で平均居住年数の目安を割り出せる計算式も解説します。
この記事でわかること |
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この記事を読めば、あなたの賃貸物件の平均居住年数がわかり、入居者に長く住んでもらうためのコツを得ることができます。
ぜひ最後までご一読下さい!
目次
1. 【属性別】賃貸の平均居住年数一覧
まずは賃貸物件の平均居住年数を、以下の属性で分けて見ていきましょう。
- 学生
- 単身(学生除く)
- ファミリー
- 高齢者(65歳以上)
- 外国人
- 法人
賃貸住宅市場景況感調査 『日管協短観』の2020年下期のデータで見ると、属性ごとの平均居住年数は下記の通りです。
【属性ごとの平均居住年数(全体)】
出典:賃貸住宅市場景況感調査 『日管協短観』の2020年下期よりグラフを作成
属性別の居住傾向は、下記のとおりです。
【属性別の居住傾向】
属性 | 傾向 |
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学生 | 2〜4年の平均居住年数がダントツで多い |
単身(学生除く) | 学生に続き、2〜4年の平均居住年数が多い |
ファミリー | 4~6年の平均居住年数が多く、学生や単身世帯と比べると同じ物件に長く居住する傾向にある |
高齢者(65歳以上) | 6年以上居住する割合が半数以上おり、ファミリー以上に同じ物件に長く居住する傾向にある |
法人 | 学生、単身に次ぎ2〜4年の平均居住年数が多い。2年未満に退去する割合も約15%いる |
外国人 | 2~4年の居住年数が5割を超えるが、全体のうち約25%が1~2年で退去している |
グラフの傾向を見る限り、長期で居住してもらいたいのであれば「ファミリー」か「高齢者」をターゲットにした方がよいことがわかりますね。
ただし、エリアによってニーズが異なってくるため、オーナーとしては、複数の要素を掛け合わせた上で、総合的に判断した方がいいでしょう。
2. 【エリア別】賃貸の平均居住年数一覧
エリア別の賃貸の平均居住年数は、以下の分類で分けて見ていきましょう。
- 首都圏
- 関西
- その他
賃貸住宅市場景況感調査 『日管協短観』の2020年下期のデータをもとに、各エリア別の賃貸・平均居住年数をまとめると、以下のようになります。
【首都圏 賃貸の平均居住年数】
【関西 賃貸の平均居住年数】
出典:賃貸住宅市場景況感調査 『日管協短観』の2020年下期よりグラフを作成
【その他エリア 賃貸の平均居住年数】
出典:賃貸住宅市場景況感調査 『日管協短観』の2020年下期よりグラフを作成
全国と首都圏や関西、その他エリアを見比べてみると、次のような違いがわかります。
【居住エリアごとの特徴】
エリア | 特徴 |
---|---|
首都圏 | 「4年以上」居住する「法人」が32.4%。関西の約1.7倍、その他エリアの約2.2倍となり、定着率が高いことがわかる。 |
関西 | 「1年未満」で退去するのは「外国人」のみで、「学生」「単身(学生を除く)」「ファミリー」「高齢者」「法人」は、1年以上居住しつづける特徴がある。 |
その他エリア | 「1年未満」で退去する「ファミリー」が1%いて、首都圏や関西では見られない現象。「法人」においても、「6年以上」居住する法人はゼロであり、他の2エリアと比べるとても特徴的である。 |
上記のように、関東・関西・その他エリアなど居住地ごとの居住者の動向を踏まえておくと、より正確な平均居住年数を把握することができます。
ぜひあなたの賃貸物件に照らし合わせて、参考にして下さいね。
3. あなたの賃貸物件の平均居住年数目安は?計算方法を紹介
ここまで「属性」「エリア」別に、平均的な居住年数をご紹介してきました。
とはいえ、いざご自身の賃貸物件に当てはめてみても、一体どれぐらいの居住年数が妥当なのか、わかりにくい方もいらっしゃることでしょう。
実は、「賃貸の平均居住年数」は、計算式を用いれば簡単に求めることができます。
【平均居住年数を求めるSTEP】
- STEP1|解約率を出す
- STEP2|平均空室期間を出す
- STEP3|「解約率」と「平均空室期間」を用いて「平均空室期間」を出す
早速、ご紹介していきます。
3-1. STEP1|解約率を出す
「解約率」とは、1年間で解約のあった率を指します。1年を通じて、何戸の退去者が出たのかを求めていきます。
式は以下の通りです。
解約率 = 1年間の解約戸数 ÷ 物件の総戸数
今回は、以下の条件で考えてみましょう。
- あなたが所有している賃貸アパート1棟の総戸数:15戸
- 1年間で解約のあった戸数:3戸
上記の数字で解約率を求めてみましょう。
1年間の解約戸数【3戸】 ÷ 物件の総戸数【15戸】 = 0.2 = 解約率は20%
解約率は20%であることがわかりました。
一般的な賃貸物件の解約率は? |
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賃貸物件の解約率は、「シングルタイプ」「ファミリータイプ」でそれぞれ次のような解約率が一般的だと言われています。
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3-2. STEP2|平均空室期間を出す
次に「平均空室期間」を出していきます。
「平均空室期間」とは、1年のうちに空室となった期間を平均で出したものです。
式は以下の通りです。
平均空室期間 = 1年間の空室期間(月数)の合計数 ÷ 解約戸数
先ほどの具体例で見ていきましょう。
- あなたが所有している賃貸アパート1棟の総戸数:15戸
- 1年間で解約のあった戸数:3戸
- 解約戸数3戸の各室の空室期間(合計月数の例)3か月+5か月+10か月=18か月
上記の情報を踏まえた上で、平均空室期間を求めてみましょう。
1年間の空室期間(月数)の合計数【18か月】÷解約戸数【3戸】=6か月(平均空室期間)
平均空室期間は6か月であることがわかりました。
3-3. STEP3|「解約率」と「平均空室期間」を用いて「平均居住年数」を出す
最後に、「平均居住年数」を算出していきましょう。
算出方法では、上で求めた「解約率」と「平均空室期間」を使用します。
式は以下の通りです。
- あなたが所有している賃貸アパート1棟の総戸数:15戸
- 1年間で解約のあった戸数:3戸
- 解約戸数3戸の各室の空室期間(合計月数の例)3か月+5か月+10か月=18か月
- 解約率:20%
上記の数字を、式にあてはめます。
(100%÷解約率【20%】×12か月)- 平均空室期間【18か月】=42か月
(平均居住年数を月数で表したもの)=3年6か月
平均居住年数は、約3年6か月であることがわかりました。
このように、「解約率」と「平均空室期間(月数)」がわかれば、あなたの賃貸物件の平均的な居住年数を割り出すことができます。
ぜひ試してみて下さい。
4. 居住者の入居期間を伸ばす対策4つ
多くのオーナーが悩むこととして、入居者が長く住んでくれるかどうかという点が挙げられます。
1年にも満たない短期間で、入居者が退去してしまうと、
- 新たな入居者募集の手間
- 室内の原状回復のための費用の発生
- 仲介手数料の発生
など、時間・費用ともに負担が大きくなるからです。
少しでも長く入居者に住んでもらうためには、きちんとした対策が必要です。
そこでこの章では、今すぐに実践していただきたい4つの対策について、ご紹介していきしょう。
- 契約更新時に特典を用意する
- 居住者のクレームや要望に迅速に対応する
- 共有部分の清掃や整頓を心がける
- 入居者向けのサービスを充実させる
詳しく解説していきます。
4-1. 契約更新時に特典を用意する
賃貸物件の契約更新時に、特典を用意することをおすすめします。
更新してくれた入居者に対して「特典」を渡すことで、入居者の住み続けたい気持ちを高めることができるからです。
「特典」としては、日常生活ですぐに使えるものや、休日のレジャーで使用できるような以下の品物がおすすめです。
特典の目安金額 | オーナーの負担にならない程度の価格の物 (目安:家賃1か月分) |
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特典の具体例 |
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4-2. 居住者のクレームや要望に迅速に対応する
居住者のクレームや要望に迅速に対応することも、重要です。
いつまでもオーナーが要望を聞いてくれず、居住者が不安になるような物件だと、人離れも加速してしまうからです。
例えば住人から寄せられるクレームや要望には、次のような内容が多くあります。
- 上の部屋からの漏水
- ベランダにおける鳩の糞害
- 隣室からの騒音
- ごみ置き場の虫の発生
- 不審者に入られた際の防犯対策
- 異臭 など
上記は、居住者にとって、一刻も早く解決して欲しいものばかりです。
業者の手配や迅速な対処、徹底した清掃などを心がけることができれば、「この家に長く住みたい」と思ってもらえるでしょう。
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4-3. 共有部分の清掃や整頓を心がける
共有部分の清掃や整頓を心がけることも重要対策の1つです。
毎日通る入り口やエレベーターホールなどの掃除が行き届いていると、居住者も気持ちよく住むことができるからです。
特に、下記のように共有部分を常に清潔に保つと、居住者の満足度も上がります。
- 物件周りの落ち葉を清掃する
- 強風の日に舞い込んだゴミを片付ける
- 外に生えている雑草や草木を剪定する など
居住者が気持ちよく過ごせるよう、清掃を心がけましょう。
4-4. 入居者向けのサービスを充実させる
入居者向けのサービスを充実させることも長く住んでもらうためには効果的です。
サービスの内容としては、次のようなものが考えられます。
- 家具や家電、インテリア商品などを優待価格で購入できるクーポンを配布
- 物件の紹介をしてくれた入居者に家賃のキャッシュバック
- 入居者をサポートする電話窓口を別途設置 など
あなたの賃貸物件に住む入居者のニーズをくみ取った上で、魅力的なサービスを提供できるよう検討してみましょう。
5. まとめ
今回は、賃貸の平均居住年数についてご紹介しました。
全体的な賃貸の平均居住年数は、以下の通りです。
【賃貸物件の平均居住年数】
ファミリー層 | 5年2か月 |
---|---|
単身世帯 | 3年3か月 |
しかし、住人の属性や住むエリアによって、賃貸物件の平均居住年数は変わります。
あなたの保有する賃貸物件の平均居住年数について、より正確に知りたい場合は、以下の計算式にあてはめて、実際に計算をしてみるといいでしょう。
平均居住年数(月数)=(100%÷解約率×12か月)-平均空室期間(月数)
上記の計算式や、今回ご紹介した「属性」「エリア」別のデータを参考にし、ぜひ知りたい賃貸物件の平均居住年数を把握してみて下さいね。
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