「アパートの修繕費ってどんなもの?誰が払うもの?」
「アパートの修繕費っていつ、何に、いくらぐらいかかるの?」
アパートを経営する上で、あらかじめ把握しておくべき費用のひとつが修繕費です。
アパートの修繕費とは、建物の劣化や老朽化を防ぐため、定期的に行う修繕のための費用です。
アパートの修繕費の目安やタイミングは次のようになります。
修繕費の種類 | 費用の目安 | 修繕のタイミング | 修繕内容 |
---|---|---|---|
原状回復費 | 数万から20万円程度 | 入居者が退去した時 |
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予防修繕費 | 数万円~数十万円 | 3年に1回 |
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大規模修繕費 | 数百万~数千万 | 15年に1回 |
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故障・破損箇所の修繕費 | 数万円~数十万円 | 建物や設備が故障・破損した時 |
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上記のように、修繕費は定期的に多額の費用が必要となります。
アパートの賃貸経営を安定させるには、しっかりと資金計画を立てることが重要です。
その資金計画の中でも、修繕費は定期的に高額な費用が必要となるため、いつ、何に、いくらぐらいかかるのかをしっかりと把握し、資金計画の中に入れておかなくてはいけません。
修繕費について理解しておらず、自分の物件にはいつ、いくらぐらい修繕費を用意しておけばいいのかわからないままアパート経営を続けてしまえば、いざという時修繕費が足りず、資金計画が破綻し、アパート経営を失敗してしまう可能性もあります。
そこでこの記事では、アパートの修繕費について詳しく解説します。
この記事を読めばわかること |
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この記事を読み、アパートの修繕費について深く理解することで、アパートの修繕費をしっかりと準備することができるようになります。
そして必要な費用を把握し、しっかりとした資金計画を立てることで、資金繰りを健全化し、きちんと利益を出し続けられるアパート経営を行うことができるようになるのです。
ぜひ最後までお読みください。
目次
- 1. 【4種類】アパート経営するなら把握しておくべき修繕費
- 1-1. 原状回復費
- 1-2. 予防修繕費
- 1-3. 大規模修繕費
- 1-4. 故障・破損箇所の修繕費
- 2. 【修繕費の種類別】アパートの各箇所を修繕するのにかかる費用相場
- 2-1. 【原状回復費】修繕箇所ごとの費用相場
- 2-2. 【予防修繕費】修繕箇所ごとの費用相場
- 2-3. 【大規模修繕費】修繕箇所ごとの費用相場
- 2-4. 【故障・破損箇所の修繕費】修繕箇所ごとの費用相場
- 3. アパート修繕費が発生するタイミングの目安
- 3-1. 5年ごとを目安に行う修繕
- 3-2. 10年ごとを目安に行う修繕
- 3-3. 15年ごとを目安に行う修繕
- 3-4. 25年目を目安に行うべき修繕
- 4. 収入に対する修繕費の目安は5%前後
- 5. アパートの修繕費負担をできるだけ抑える6つの施策
- 5-1. 耐久性の高い建材を使用する
- 5-2. 契約書に「通常損耗補修特約」を記載する
- 5-3. 1年に1度は点検を行う
- 5-4. 定期的に予防修繕する
- 5-5. 故障・破損箇所の修繕が必要な場合はすぐに直す
- 5-6. 入居者審査をしっかり行う
- 6. 【重要】アパートは長期的な修繕計画を事前に立てておく
- 7. 客付けが計画通りにいかないとアパートの修繕計画が崩れてしまう
- 8. まとめ
1. 【4種類】アパート経営するなら把握しておくべき修繕費
この章では、アパートの修繕費を理解するために、アパートの修繕費とはどんなものなのかについて詳しく解説していきます。
アパートを適切に管理し、維持していくために必要な修繕費は、大きく分けて次の4つです。
修繕費の種類 | 修繕内容 |
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原状回復費 |
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予防修繕費 |
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大規模修繕費 |
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故障・破損箇所の修繕費 | 故障や破損を修繕して使えるようにする |
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1-1. 原状回復費
目的 | 部屋を入居前の元の状態に戻す |
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行うタイミング | 入居者が退去した時 |
原状回復費とは、入居者が退去した時に部屋を入居前の状態へ戻すための費用で、入居者が退去するたびに行います。
アパートの一室が対象です。
入居者が住むと、壁や床などに汚れや傷が付き、次の入居者には住みたいとは思えない状態になってしまいます。
それを元の状態へと戻し、もう一度新しい入居者が住みたいと思える部屋へと戻すために必要な費用です。
例えば以下のような箇所が原状回復費を使って修繕されます。
原状回復費で修繕する箇所 |
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修繕箇所は退去した部屋の状態によって変わります。
汚れや傷が少なければハウスクリーニングだけで対応できる場合もありますが、経年劣化などで部屋の汚れが目立つ場合は壁紙の張り替えなどが必要です。
原状回復にかかる費用は、基本的にはオーナーが負担します。
ただし、入居者の過失による汚れや傷は、入居者負担となります。
例えば日焼けで変色した壁紙の張り替えにかかる費用はオーナー負担ですが、結露を放置したために壁紙にカビが生えてしまった場合は入居者負担です。
どこまでがオーナー負担で、どこからを入居者に請求するかについては、国土交通省が出している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にしてください。
1-2. 予防修繕費
目的 | 建物の劣化や損傷を予防する |
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行うタイミング | 3年に1回 |
予防修繕費とは、アパートの劣化や損傷を防ぐために行われる修繕のための費用です。
アパートの建物全体が対象となります。
予防修繕は、3年に1回ほどのペースで行うことが一般的です。
アパートなどの建物は、経年劣化やシロアリなどの影響で損傷してしまうものです。
そのような劣化や損傷を防ぎ、建物を長持ちさせるために、あらかじめ予防修繕を行っておく必要があります。
具体的には次のような修繕が予防修繕費の対象となります。
予防修繕費で修繕する箇所 |
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劣化や損傷が大きくなる前に対処することで、建物を長持ちさせることができますから、費用はかかっても定期的に行うことが大切です。
予防修繕費はオーナーが負担します。
アパートの建物の劣化を防ぎ、長く家賃収入を得るためにも欠かせない費用ですので、きちんと費用を確保しておきましょう。
1-3. 大規模修繕費
目的 | 建物の劣化や損傷を大規模にメンテナンスする |
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行うタイミング | 15年に1回 |
大規模修繕費は、外壁や屋根など、建物全体の老朽化をメンテナンスするための大規模な修繕にかかる費用です。
アパートの建物全体が対象となります。
大規模修繕は15年に1回ほどのペースで行うことが一般的です。
予防修繕で劣化や損傷をなるべく減らしていても、築年数が経つにつれ建物はどうしても老朽化してしまいます。
老朽化した建物全体を大規模に修繕することで、アパートの価値を保ち、家賃収入を得るためには必ず必要になる費用です。
大規模修繕費では、以下のような箇所を修繕します。
大規模修繕費で修繕する箇所 |
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大規模修繕にかかる費用はオーナーが負担します。
修繕の規模が大きい分、費用も高額になりますから、アパート経営を始めた時点で大規模修繕にかかる費用を積立し、確保しておくようにしましょう。
1-4. 故障・破損箇所の修繕費
目的 | 故障や破損を修繕して使えるようにする |
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行うタイミング | 建物や設備が故障・破損した時 |
故障・破損箇所の修繕費は、給湯器やエアコンなどの設備が故障した場合や、雨漏りなど突発的に起こった建物の破損した箇所を修繕するための費用です。
エアコンやトイレなど、アパートにあらかじめ備え付けられた設備の故障や破損はいつ起こるかわかりませんが、起こった場合は速やかに修繕しなくてはいけません。
故障や破損したままでは、入居者の生活に支障が出てしまうため、退去に繋がってしまいます。
また、詳しくは「5-5.故障・破損箇所の修繕が必要な場合はすぐに直す」で詳しく紹介しますが、故障や破損をそのままにしておくことで、家賃を減額しなくてはいけない場合もあります。
故障・破損の修繕費は、経年劣化や通常の使用で発生した場合はオーナーが負担します。
入居者の過失により起こった場合は入居者負担です。
まずは故障・破損の原因を探り、費用負担については入居者と交渉しましょう。
2. 【修繕費の種類別】アパートの各箇所を修繕するのにかかる費用相場
アパートの修繕費にはどのようなものがあるのかが分かったところで、次に気になるのが、修繕費はいくらぐらいかかるのかという費用相場です。
費用については、アパートの大きさや、どの部分を修繕するかによって異なります。
アパートの主な箇所の修繕費用は次の通りです。
修繕費用 | 費用相場 |
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原状回復費 | 数万から20万円程度 |
予防修繕費 | 数万円~数十万円 |
大規模修繕費 | 数百万~数千万円 |
故障・破損箇所の修繕費 | 数万~数十万円 |
それぞれ詳しくみていきましょう。
2-1. 【原状回復費】修繕箇所ごとの費用相場
原状回復費は、部屋の大きさや汚れ具合によっても変わりますが、数万から20万円程度が目安です。
部屋の各箇所の原状回復費は次の通りです。
修繕箇所 | 費用相場 |
---|---|
ハウスクリーニング(ワンルーム、1K) | 15,000~3万円 |
ハウスクリーニング(1DK、1LDK) | 2万円~4万円 |
ハウスクリーニング(2DK、2LDK) | 3万円~5万円 |
ハウスクリーニング(3DK、3LDK) | 5万円~8万円 |
ハウスクリーニング(4DK、4LDK) | 7万円~ |
壁紙の張り替え | 1,000~1,500円/1㎡ |
フローリングの張り替え | 9万円~20万円 |
壁や天井のボードの交換 | 3万円~6万円 |
鍵の交換 | 10,000~30,000円 |
原状回復費の各項目は、費用相場にそれぞれ幅があります。
それは部屋の状態や建材の種類などの要素で費用が変わってくるからです。
具体的には次のような要素で費用は左右されます。
原状回復工事の内容 | 費用を左右する要素 |
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ハウスクリーニング |
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壁紙の張り替え |
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フローリングの張り替え |
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壁や天井のボードの交換 |
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鍵の交換 |
(ロータリーディスクシリンダー1万円~、ディンプルシリンダーであれば15,000円~) |
原状回復費は、部屋の大きさと使う建材のグレードによって変わりますので、あらかじめ考慮した上で費用を用意しておきましょう。
2-2. 【予防修繕費】修繕箇所ごとの費用相場
予防修繕費は、修繕内容やアパートの大きさによって変わり、費用相場は数万円~数十万円です。
修繕箇所それぞれの費用の目安は次の通りです。
修繕箇所 | 費用相場 |
---|---|
外壁の劣化調査 | 120~700円/㎡ |
耐震調査(木造) | 約40万円~50万円 |
耐震調査(鉄筋コンクリート造) | 2,000~3,500 円/㎡ |
白アリ防除 | 6,000〜10,000円程度/1坪当たり |
配水管の洗浄 | 4万8,000円〜6万円 |
予防修繕費の費用の幅は、行う調査の種類やアパートの大きさによって変わります。
具体的には次のような要素で費用が変わります。
予防修繕工事の内容 | 費用を左右する要素 |
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外壁の劣化調査 |
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耐震調査(木造) |
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耐震調査(鉄筋コンクリート造) |
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白アリ防除 |
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配水管の洗浄 |
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外壁の劣化調査は、打診調査と赤外線調査の2種類があります。
- 打診調査/壁の表面を打診棒という棒で叩き、音の違いで外壁材の浮きを調査する
- 赤外線調査/壁を赤外線カメラで撮影し、壁の温度変化で外壁の割れや剥離がないかを検査する
打診調査の方が費用が高く、1㎡当たり約280~700円、赤外線調査は1㎡当たり約120~350円が費用相場です。
2-3. 【大規模修繕費】修繕箇所ごとの費用相場
大規模修繕費は、修繕費の中で最も高額となり、費用相場はアパートの大きさにもよりますが数百万~数千万円かかります。
修繕箇所による費用相場は次の通りです。
修繕箇所 | 費用相場 |
---|---|
外壁塗装(1㎡当たり) | 3,000~5,000円 |
給排水管更生工事 | 15万円~ |
給排水管更新工事 | 40万円~ |
柱補強工事 | 約100万円~ |
屋根の防水工事 | 3,500〜1万円/1㎡ |
※給排水管更生工事は、給排水管の内部に樹脂を流し込み、新しいパイプを作る工事です。
壁を壊さずに作業できるので、価格を抑えることができます。
※給排水管更新工事は、新しい配管と交換する工事です。
壁や床を壊して配管をむき出しにしなくてはならないため、費用が高くなります。
大規模修繕費用の費用相場が変わるのは、主にアパートの大きさと工事や建材の種類です。
具体的には次の要素で価格が変わります。
大規模修繕工事の内容 | 費用を左右する要素 |
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外壁塗装 |
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給排水管工事 |
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柱の補強工事 |
|
屋根の防水工事 |
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2-4. 【故障・破損箇所の修繕費】修繕箇所ごとの費用相場
故障・破損箇所の修繕費は、修繕する箇所によって費用が変わり、数万円から数十万円かかることもあります。
修繕箇所ごとの費用相場は次の通りです。
修繕箇所 | 費用相場 |
---|---|
エアコン修理(1台) | 15,000~15万円円 |
エアコン交換(1台) | 5万円~15万円円 |
トイレの修理 | 1万円~2万円前後 |
トイレの交換 | 3万円~40万円 |
キッチンのガスコンロ交換(1台) | 5万円~20万 |
キッチンのIH修理(1台) | 1万円~5万円 |
キッチンのIH交換(1台) | 4万円~30万 |
給湯機の交換 | 10万円 |
故障・破損箇所の修繕費の費用の幅は、故障具合や交換する設備のグレードによって変わります。
具体的には次のような要素です。
大規模修繕工事の内容 | 費用を左右する要素 |
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エアコンの修理 |
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エアコンの交換 |
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トイレの修理 |
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トイレの交換 |
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キッチンのガスコンロ交換 |
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キッチンのIH修理・交換 |
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3. アパート修繕費が発生するタイミングの目安
これまでに紹介したアパート修繕費が発生するのは、いつなのでしょうか?
原状回復は入居者が退去した時、故障・破損個所の修繕は設備が壊れた時です。
予防修繕と大規模修繕に関しては、オーナーが自分で判断し、行うものです。
この章では、予防修繕と大規模修繕のタイミングについてご紹介します。
アパート修繕費が発生するタイミングの目安は次の通りです。
修繕箇所 | 修繕のタイミングの目安 |
---|---|
壁紙の張り替え | 6~7年 |
床材(クッションフロア)の張り替え | 8~12年 |
エアコン | 10~15年 |
給湯機 | 10~15年 |
給排水管の高圧洗浄 | 5年 |
給排水管の交換 | 30年 |
階段・廊下の鉄部の塗装 | 4~10年 |
階段・廊下の防水、塗装 | 10~18年 |
屋根の塗装・補修 | 10~15年 |
屋根の防水・葺き替え | 20~25年 |
外壁塗装 | 10~18年 |
それぞれの補修箇所により、目安となる期間は変わりますが、毎年修繕工事を行うというのは大変です。
目安として5年スパンくらいで予防修繕と大規模修繕を行うのがよいでしょう。
5年ごとを目安に行う修繕内容をご紹介していきます。
3-1. 5年ごとを目安に行う修繕
5年を目安に行う修繕 |
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アパート新築から5年ごとを目安に行うのは、給排水管の高圧洗浄と階段・廊下の鉄部の塗装です。
給排水管は汚れが溜まってしまうと詰まりが発生し、管を傷めて使用年数が短くなってしまいます。
5年を目安に高圧洗浄を行うことで、使用期間を長くすることができるのです。
階段や廊下などの鉄部も、サビで劣化が進みます。
5年を目安に塗装を行うことで、見た目を美しく保つことはもちろん、建物の寿命を長持ちさせることに繋がるのです。
3-2. 10年ごとを目安に行う修繕
10年ごとを目安に行うべき修繕は次の通りです。
10年を目安に行う修繕 |
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床材や壁紙は原状回復で張り替えることが多いですが、汚れや傷が少なくても、経年劣化で傷んでいきます。
原状回復では張り替えしなかった場合は、10年を目安に全体を張り替えるようにしましょう。
エアコン、給湯器は故障が増えてくるのが10年目以降です。
使用期間が10年を過ぎ、1台故障した時点で全室のエアコン、給湯器を交換する計画を立てておくと、急な故障で慌てて対応することがなくなるためおすすめです。
3-3. 15年ごとを目安に行う修繕
15年ごとを目安に行うべき修繕は次の通りです。
15年を目安に行う修繕 |
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アパート建築から15年ほど経つと、建物全体の大規模なメンテナンスが必要になっていきます。
階段や廊下の防水工事、塗装や、屋根、外壁の塗装、補修を行うことで、建物全体の寿命を長持ちさせることができるのです。
大規模な修繕となり、費用も高額になりますから、あらかじめ準備しておくことが大切です。
3-4. 25年目を目安に行うべき修繕
アパート建築から25年目を目安に行うべき修繕は、次の2つです。
25年を目安に行う修繕 |
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25年が経過すると、屋根や給排水管などの設備が経年劣化などでかなり傷みます。
屋根は防水工事や葺き替えなどを行い、雨漏りを防ぐことが必要です。
給排水管は30年が耐用期間の目安ですから、25年を過ぎたら建物全体の給排水管の交換を準備しておきましょう。
4. 収入に対する修繕費の目安は5%前後
ここまでをお読みいただき、それぞれの修繕費の相場が見えてきたかと思います。
費用相場が見えてきたら、次に気になるのは収入に対して修繕費はどれくらいになればアパート経営がうまくいくかということではないでしょうか。
アパート経営の収支計画を立てる時は、修繕費をアパートの家賃収入の5%前後で考えておきましょう。
「アパート経営の経費はいくら?金額目安や経費で落とせる基準も解説」の記事で解説しているように、アパートの経費率は収入の15~20%に抑えるようにします。
その中でも修繕費は、5%前後で考えておくと利益を出しつつ、必要な修繕が行えるのです。
例えば、以下の修繕費目安と家賃相場で考えてみましょう。
この場合、30年間の家賃収入の総額が合計2,880万円になります。
修繕費合計174万円を、この家賃収入額で割ると、6%となります。
アパートの間取り別に同様の計算をした場合の修繕費の割合は次の通りです。
間取り | 1LDK~2DK (RC造) | 1LDK~2DK (木造) | 1K(RC造) | 1K(木造) |
30年分の家賃合計(1部屋あたり) | 5,400万円 | 4,320万円 | 3,600万円 | 2,880万円 |
修繕費の目安 | 225万円 | 216万円 | 177万円 | 174万円 |
修繕費の割合 | 4.16% | 4.62% | 4.92% | 6% |
※各間取りの家賃はハトマークサイト「全国統計データ」を参考に設定
※修繕費の目安は国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」を参考に計算
こちらの計算はあくまで目安ではありますが、このくらいの費用を見ておくことで、無理なくきちんと修繕を行うことが可能です。
アパートの資金計画を立てる上で、収入の5%を目安に修繕費を積み立てておきましょう。
5. アパートの修繕費負担をできるだけ抑える6つの施策
アパートの修繕費がいくらぐらいかかるのかがわかりましたが、アパート経営を安定させ収益を上げるためには、修繕費はなるべく抑えたいものです。
この章では、アパートの修繕費をなるべく抑えるための施策を6つご紹介します。
アパートの修繕費を抑えるための施策は次の6つです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
5-1. 耐久性の高い建材を使用する
アパートの修繕費を抑えるための施策のひとつめは、「耐久性の高い建材を使用する」ことです。
アパートの建築に使う建材は、外壁、屋根、配管などそれぞれ種類があり、種類ごとに耐久性が異なります。
例えば外壁の建材では、種類によって耐久性が次のように変わります。
外壁の建材の種類 | 耐用年数 | メンテナンス周期 |
---|---|---|
窯業系サイディングボード | 20~30年 | 7~8年 |
金属系サイディングボード | 20~30年 | 10~15年 |
木質系サイディングボード | 15~30年 | 8~12年 |
樹脂系サイディングボード | 20~30年 | 10~20年 |
モルタル | 30年 | 8~10年 |
ALCボード | 60年 | 10~15年 |
コンクリート | 60~100年 | 15~20年 |
タイル | 40年 | メンテナンス不要 |
耐用年数はもちろんですが、種類によってメンテナンスを行うべき周期も変わります。
メンテナンス周期が短ければ、それだけ修繕費も高くなるのです。
ただし、タイルやコンクリート、ALCボードなど、耐用年数が高い、メンテナンス周期が長い建材ほど、価格は高くなります。
アパート建築の際は建築コストだけでなく、修繕費用についても考えて、バランスのとれたものを選ぶとよいでしょう。
5-2. 契約書に「通常損耗補修特約」を記載する
アパートの修繕費を抑えるための施策のふたつめは、入居者と結ぶ契約書に「通常損耗補修特約」を記載するということです。
国土交通省住宅局が出している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、経年劣化や賃貸物件で普通に暮らしていて付く汚れ、傷の原状回復にかかる費用はオーナーが負担するものとされています。
しかし賃貸物件を原状回復するには費用が掛かるため、この費用を入居者に負担してもらうための方法が「契約書に通常損耗補修特約を記載する」ことなのです。
これは通常使用して発生する汚れや傷の原状回復費用を一部入居者に負担してもらうという特約を、契約を結ぶ際に契約書に記載し、入居者の同意を得ておきます。
この時注意したいのが、特約には「入居者に費用負担してもらう原状回復の種類・金額を、具体的に明記する」ということです。
- 退去時のハウスクリーニング費3万円
- キッチン、トイレ、バスルームの殺菌消毒費2万円
等、何にいくら必要なのかを具体的に明記し、入居者負担とする旨を記載しておくことで、費用を請求することが可能です。
オーナーの負担が減らせる特約ですが、入居者の負担が増えることで客付けが難しくなる場合もあります。
新築や築浅、駅近など、客付け力が高い人気のアパートなら、「通常損耗補修特約」を記載することを検討しましょう。
5-3. 1年に1度は点検を行う
アパートの修繕費を抑えるための施策みっつめは、「1年に1度は点検を行うこと」です。
定期的にアパートの点検を行うことで、汚れ、傷、破損が小さいうちに発見し、対処を行うことができます。
建物の汚れや損傷は、そのままにしておくとどんどん大きくなります。
汚れや損傷が大きくなればなるほど、修繕工事にかかる時間も費用も大きくなってしまうのです。
点検費用はかかりますが、こまめな点検とメンテナンスを行うことで、建物を長持ちさせ、修繕費の総額を抑えることに繋がるのです。
1年に1度はアパートを点検し、こまめな修繕を行いましょう。
5-4. 定期的に予防修繕する
アパートの修繕費を抑えるための施策よっつめは、「定期的に予防修繕する」ことです。
「5-3.1年に1度は定期点検を行う」でも説明したように、建物の汚れや損傷は、そのままにしておくとどんどん大きくなり、費用も高額になります。
例えば配管の高圧洗浄を行わないと、配管が詰まり、劣化が進んでしまいます。
定期的に予防修繕を行い、アパートの建物自体をメンテナンスしておくことで、建物に不具合が生じるのを防ぎ、長持ちさせることができるようになるのです。
定期的にアパートを予防修繕し、劣化を防ぐことで修繕費の総額を抑えるようにしましょう。
5-5. 故障・破損箇所の修繕が必要な場合はすぐに直す
アパートの修繕費を抑えるための施策いつつめは、「故障・破損個所の修繕が必要な場合はすぐに直す」ことです。
物件そのものや、設備が故障した場合、オーナーはなるべく早く故障や破損を修理しなくてはいけません。
なぜなら、入居者の過失がなく起こった故障や破損で建物の一部の部屋や設備が使えなくなっている場合、故障してから修理するまでの期間、家賃を減額しなくてはならない場合があるからです。
故障や破損が入居者から報告されてから、どれくらいの日数が経つと家賃を減額しなくてはいけないかは、故障した設備によって国土交通省によりガイドラインが示されています。
状況 | 家賃減額割合(月額)※ | 免責日数※ |
---|---|---|
トイレが使えない | 30% | 1日 |
風呂が使えない | 10% | 3日 |
水が出ない | 30% | 2日 |
エアコンが作動しない | 5000円 | 3日 |
電気が使えない | 30% | 2日 |
テレビ等通信設備が使えない | 10% | 3日 |
ガスが使えない | 10% | 3日 |
雨漏りによる利用制限 | 5~50% カビや結露が発生した場合50% | 7日 |
※家賃減額割合は月額表記です。実際に減額するのは修理完了までにかかった日数分の家賃です。
※面積日数は、故障等の連絡から修理完了まで通常必要な日数です。この分は「修理完了までにかかった日数」から差し引きます。なお、借主の帰責において修理が遅れた時は、当然その日数分も差し引くことになります。
出典:国土交通省「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集~賃借物の一部使用不能による賃料の減額等について~」
故障や破損の修繕には費用がかかりますが、早く直すことで家賃の減額などのトラブルが起こることもなくなりますし、入居者の満足度が上がります。
故障や破損があれば、すぐに修繕しましょう。
5-6. 入居者審査をしっかり行う
アパートの修繕費を抑えるための施策いつつめは、「入居者審査をしっかり行う」ということです。
入居者審査では、入居を希望する人のマナーや素行が悪くないかしっかり見極めます。
なぜなら、入居者のマナーや素行が悪い場合、部屋の使い方が乱暴、掃除や換気などを適切に行わないなどの理由で部屋が通常よりも傷むことがあるからです。
部屋のダメージが大きいと、敷金で賄う予定だった原状回復費が足りず、オーナーの持ち出しが大きくなることもあります。
アパートの修繕費を抑えるためにも、入居者審査はしっかりと行いましょう。
保険をかけることも大切! 突発的に起こる設備の故障や破損、自然災害によるアパートの損傷などに備えるために、損害保険に加入して備えておくことも有効です。 火災保険、地震保険などに加入し、いざという時の修繕費を用意しておきましょう。 |
6. 【重要】アパートは長期的な修繕計画を事前に立てておく
さきほどご紹介した施策で修繕費を抑えることはもちろん大切ですが、最も重要なのは、アパート経営で収益が見込めるように長期的な計画を立てることです。
修繕費はアパートを経営していくうえで必ず発生する費用です。
修繕計画を立てないまま、故障や破損が起きたところをその場その場で対応していると、対応が後手に回ってしまい、本来ならメンテナンスで防げた故障や破損が起きて、費用が高額になってしまいます。
また、計画がないため費用を事前に用意しておけず、必要な際に修繕費が足りない、といったことにもなるからです。
このようなトラブルを防ぐためにも、長期修繕計画を部位ごとに立てておき、計画的に資金繰りや予防修繕などを行っていく必要があります。
例えば以下のような修繕計画を立てておくとよいでしょう。
建物の本体はもちろん、建具、室内設備などについても修理費や交換費用を算出し、いつごろに修繕を行うのかを計画しておくことが大切なのです。
費用がどれくらいかかるかは、アパートの造りや戸数によって異なります。
「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」には、アパートの種類や間取りごとに、次のような修繕費用の目安が示されています。
こちらも参考に、自分のアパートの修繕計画を立てておきましょう。
アパートの修繕費と資本的支出は経理的に別なので注意! アパートの資金繰りを考える上で、確定申告での計上はとても大切です。 修繕費は壊れたところ、古くなったところを直すため、経費として全額が控除対象となります。 詳しくは「修繕費と資本的支出はフローチャートで判断!迷ったときの事例も紹介」で紹介していますので参考にして下さい。 |
大規模修
7. 客付けが計画通りにいかないとアパートの修繕計画が崩れてしまう
アパートの修繕費計画を立てる時は、客付けがきちんとできるかどうかも重要です。
先ほどもお伝えしたように、長期的なアパートの修繕計画を事前に立てておくことは、アパート経営の収支をプラスにするためにはとても大切なものです。
しかし、先ほど立てた計画は、アパートに入居者が入り、家賃収入が入ってくることを前提にしています。
「4.収入に対する修繕費の目安は5%前後」で、アパートの家賃収入を紹介していますが、あくまであの金額はアパートに入居者がおり、家賃収入が途絶えずに入ってくることとして計算しているのです。
もし、客付けができず、入居者がいない状態が続いてしまえば、計画は崩れてしまいます。
アパートなどの建物は、誰も住まない状態でも経年劣化していくため、修繕は必要です。
にも関わらず、空き部屋がずっと続いてしまえば想定していた家賃収入は入らず、修繕費だけを支払わなくてはならず、収支はどんどんマイナスになってしまうのです。
いくら修繕費を抑える施策を行ったとしても、家賃収入が入らなければマイナスがかさむだけです。
アパート経営の資金繰りを健全にし、収益を生み出すには、客付けをしっかりしていくことが最も大切なのです。
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8. まとめ
アパートの修繕費についてご紹介しました。
アパートの修繕費の目安やタイミングは次のようになります。
修繕費の種類 | 費用の目安 | 修繕のタイミング | 修繕内容 |
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原状回復費 | 数万から20万円程度 | 入居者が退去した時 |
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予防修繕費 | 数万円~数十万円 | 3年に1回 |
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大規模修繕費 | 数百万~数千万 | 15年に1回 |
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故障・破損箇所の修繕費 | 数万円~数十万円 | 建物や設備が故障・破損した時 |
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アパートの修繕費は必ず発生するものです。
しっかりと理解し、修繕計画を立てることで、費用を確保し、アパートの収益を安定させることができます。
ぜひこの記事を参考に、アパートの修繕費を計画してください。
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