「夜逃げをされて、残置物が残されているけれど、勝手に処分してもいいの?」
「夜逃げの残置物の処分にはどれくらいの費用がかかるの?」
夜逃げをされ、室内にある残置物の処分に困っているのではないでしょうか。
夜逃げの場合、入居者は必要最低限のものだけ持って逃げてしまっているケースが多く、室内には多くの残置物が残されていることがほとんどです。しかし、これらを勝手に処分してしまうと、最悪の場合、損害賠償請求をされてしまう可能性があります。
なぜならこの時点では賃貸契約はまだ成立しているので、物件オーナーが勝手に入室すると「住居侵入罪」、室内のものは入居者の所有物のため、適切な手続きをせずに勝手に処分すると、「器物損壊罪」に該当し、物件オーナーが罪に問われてしまうからです。
そのため、以下のように法律に則り、正しい手順を踏んで残置物の処分をする必要があります。
【夜逃げの残置物の処分手順】
この記事では、夜逃げの残置物の処分手順や、処分にかかる費用の相場について解説しています。お読みいただくことで、これから何をすべきかが明確になり、残置物処分のためにスムーズに動き出せます。
また、夜逃げのリスクを防ぐ方法も解説していますので、今後夜逃げに備えるためにも、ぜひ最後までお読みください。
目次
- 1. 夜逃げされた場合の残置物は勝手に処分してはいけない
- 2. 夜逃げの残置物を適切に処分する手順
- 3. STEP1.賃貸契約を解除する
- 3-1. 賃貸契約を解除するための条件について理解する
- 3-2. 民事訴訟を起こす前に催告と解除の通知をおこなう
- 3-3. 賃貸契約の解除と建物明渡請求をするための民事訴訟を起こす
- 4. STEP2.強制執行の申立てをする
- 4-1. 申し立て後に執行補助者を選ぶ
- 4-2. 執行官が明渡催告をおこなう
- 4-3. 執行官が明渡の断行をおこなう
- 5. 夜逃げの残置物処分にかかる費用の相場
- 5-1. 民事訴訟にかかる費用
- 5-2. 強制執行にかかる費用
- 6. 夜逃げのリスクを防ぐ方法
- 6-1. 賃貸契約時に連帯保証人をつける
- 6-2. 入居審査を厳しくする
- 6-3. 夜逃げに関する保証がある管理会社を利用する
- 7. まとめ
1. 夜逃げされた場合の残置物は勝手に処分してはいけない
夜逃げをされた場合でも、残置物を勝手に処分してはいけません。なぜなら、処分後に入居者が戻ってきた場合、「違法な自力救済」と判断される可能性があるからです。
自力救済とは、「適切な司法手続きをおこなわず、私的に実力行使をおこなうことで自己の権利を救済すること」です。自力救済は基本的に違法とされます。
【”自己の権利を救済する”とは】
例として、自分のバッグをひったくられてその場で取り返すことは、自己の権利(自身の持ち物)を救済する(実力行使で取り返す)ことにあたります。ただし、この場合はその場で取り返しているため、例外として違法にはなりません。
このケースで違法な自力救済となるのは、盗まれた自身の持ち物を、後日犯人宅に押し入り取り返すといった場合です。
賃貸関連では、家賃を滞納している入居者を司法手続きせずに追い出すことも、違法な自力救済にあたります。
夜逃げされた際に法的手続きをおこなわず、残置物を処分することは、違法な自力救済となります。
万が一、入居者から訴えられてしまった場合、損害賠償義務を負うことになり、以下のものを支払わなくてはならなくなります。
- 処分した物品の時価総額
- 慰謝料
- 入居者の弁護士費用
損害賠償額は物件や残置物の量によっても異なりますが、十万~数十万円ほどの支払いが発生します。
そのため、入居者と連絡が取れなかったり、連帯保証人や警察と一緒に室内を確認して「夜逃げした」と確定したりした場合でも、この後解説する「正しい手順」を踏んで、適切に対応することが大事です。
2. 夜逃げの残置物を適切に処分する手順
では、ここからは夜逃げの残置物を適切に処分する手順について見ていきましょう。
違法にならないように残置物を処分する場合は、以下の手順通りに進めていきます。
【夜逃げの残置物の処分手順】
このように、いくつかの手順を踏む必要があるため手間がかかりますが、この手順を怠ると前述したように違法となってしまうため、必ず守りましょう。
では、次章からそれぞれの手順について詳しく解説します。
3. STEP1.賃貸契約を解除する
夜逃げの残置物を処分する場合、まずは賃貸契約の解除をおこないます。なぜなら、賃貸契約が締結されている間は入居者の居住する権利が守られているため、契約を解除しないことには、部屋に立ち入ることすらできないからです。
では、賃貸契約を解除するための条件や民事訴訟の起こし方について解説します。
3-1. 賃貸契約を解除するための条件について理解する
夜逃げの場合は入居者との話し合いができないため、一方的に解除する手続きをおこなわなくてはなりません。そして、そのためには契約を解除する「正当な理由」が必要です。
正当な理由とは、入居者側の債務不履行によって賃借人との信頼関係が破壊された状態を指します。たとえば、夜逃げした入居者に家賃の滞納が3か月以上ある場合などは、正当な理由となります。
ただし実際に賃貸契約の解除に動き出すのは、「家賃滞納が2か月間発生したタイミングが目安」と覚えておきましょう。詳しくは次章以降にて記載しますが、裁判が開始されるまでの手続き(入居者への通知や、公示送達という手続き)におよそ1~2ヶ月かかるためです。
賃貸契約を解除するための準備を進めつつ、家賃滞納が3ヶ月を経過し夜逃げが確定となったら、賃貸契約解除と建物の明け渡しを求める民事訴訟(明渡訴訟)の手続きをおこなうことになります。
3-2. 民事訴訟を起こす前に催告と解除の通知をおこなう
民事訴訟を起こす前に、入居者に対して配達証明付の内容証明郵便で催告と解除の通知をおこないます。これをおこなわなければ、適切な手順を踏んでいないとみなされて、民事訴訟を起こせないからです。
内容証明郵便が入居者に届かない、届いたものの連絡が来ない場合は、催告期間(1週間~10日ほど)が過ぎた場合に、夜逃げした入居者を相手方として訴訟を起こしましょう。
なお、内容証明郵便の送り方については日本郵便株式会社の「内容証明」を参考にしてください。
3-3. 賃貸契約の解除と建物明渡請求をするための民事訴訟を起こす
内容証明郵便で催告と解除の通知をおこなったにも関わらず入居者から連絡が来なかった場合、「賃貸契約の解除」と「建物明渡請求」の訴訟を起こすことになります。
夜逃げの残置物を処分するには、以下の2つの民事訴訟を起こす必要があるのです。
賃貸契約解除の訴訟 |
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建物明渡請求の訴訟 |
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なお、賃貸契約解除の訴訟と建物明渡請求の訴訟は、同時に進めることが可能です。
並行して訴訟をおこなうことで、裁判所が賃貸契約解除の正当性を認めた場合、そのまま建物の明渡しを命じる判決を得ることができ、時間と費用の短縮が可能となります。
一般的に、賃貸経営における民事訴訟は、物件の所在地を管轄する「簡易裁判所」でおこなわれます。簡易裁判とは、対象の金額が140万円以下の場合のみを扱う裁判です。
3か月の滞納があると仮定した場合、家賃が月に47万円以上でなければ、簡易裁判を起こすことになります。
簡易裁判の一般的な流れとしては、まず訴状を裁判所に提出し、それを裁判所が被告(入居者)に送付します。その後、相手が訴状を受け取ったことによって、訴訟開始とされます。
【簡易裁判の一般的な流れ】
【訴状の提出先は所轄の裁判所】
訴状を提出する裁判所は、物件の所在地を管轄する簡易裁判所となります。滞納している家賃が高額となる場合は、物件の所在地を所轄する地方裁判所となります。
しかし、夜逃げされた場合は訴状が相手に届かない可能性が高いでしょう。
そのような場合は、訴状を簡易裁判所に提出したのち、「公示送達」の手続きをおこなうことで、裁判を開始できます。
公示送達とは
公示送達の文書が裁判所に一定期間掲示されることで、被告に送達したとみなされる手続きのことです。裁判所の掲示板に訴訟内容が掲示された日から約2週間後に公示送達が完了し、裁判が開始されます。
訴状を提出してから契約解除が認められるまでにはおよそ3~4か月程度かかります。
公示送達が完了するまでにも2週間かかってしまうため、すぐに裁判を開始するためにも、家賃の滞納が2か月続いたら入居者に内容証明を送るなど、早めに動き出すことが大切です。
4. STEP2.強制執行の申立てをする
賃貸契約解除と建物明渡請求の判決が確定したら、残置物を処分するための強制執行の申立てをおこないます。申し立て先は、物件のある地域を管轄する地方裁判所です。
明渡し請求に関する強制執行の申立てには金額の制限がないため、上限金額がある簡易裁判所ではなく、物件の所在地を管轄する地方裁判所で行う必要があります。
民事訴訟によって賃貸契約の解除と建物明渡請求が認められても、残置物自体は入居者のものであるため、勝手に処分できません。そのため、強制執行の申し立てが必要になるのです。
強制執行は申立ての後、以下3つの手順でおこなわれます。
- 執行補助者を選ぶ
- 執行官によって入居者に明渡催告が行われる
- 明渡の断行
【明渡催告とは】
執行官、立会人、賃貸人等が賃貸物件に出向き、明渡し期限と断行日(実施日)を公示すること。一般的には、明渡し期限は公示から1か月後、断行日は明渡し期限の数日前におこなわれることが多いです。
詳しく解説します。
4-1. 申し立て後に執行補助者を選ぶ
明渡催告や強制執行の際には、「執行補助者」の同行が必要です。
執行補助者とは、強制執行の際に荷物を搬出・保管する業者のことを指します。裁判所ごとに業者が登録されており、物件オーナーは登録リストの中から業者を選びます。
業者によって金額にかなりの差が出るため、しっかりと見積もりを取ったり、業者のサイトから実績などを確認したりして選びましょう。
執行補助者が決まったら、執行官にその業者の連絡先を伝えてください。
4-2. 執行官が明渡催告をおこなう
通常(物件に入居者がいる場合など)、以下の人が対象の物件におもむき、入居者に明渡期限の説明をする「明渡催告」という手続きが必要です。
- 執行官
- 債権者(物件オーナー)※代理人可
- 執行補助者(強制執行の際に荷物を搬出・保管する業者)
- 立会人
【立会人とは】
強制執行の公平性を担保するための存在で、申立人(物件オーナー)と利害関係のない人物が裁判所などから選出されます。
しかし、夜逃げによって入居者の所在が不明の場合、この明渡催告をおこなわずに強制執行を断行(実行)することが可能です。実際に、申し立てから10日ほどで断行されたケースもあります。
4-3. 執行官が明渡の断行をおこなう
明渡の断行当日は、以下の人が実施・立ち合いのために現地に集合します。
- 執行官
- 債権者(物件オーナー)※代理人可
- 執行補助者(強制執行の際に荷物を搬出・保管する業者)
- 立会人
強制執行による明け渡しでは、まず執行官によって、強制執行の対象となる「目的物」と、それ以外の「目的外動産(=残置物)」とに区別されます。
■強制執行の対象となる「目的物」とは
目的物となるのは以下の3つです。
1)建物本体
2)付合物(建物と一体となっているキッチンなど)
3)従物(窓やドア・畳など)
たとえば、窓やドア・畳などは、建物を主物とした従物にあたります。窓やドアは、それぞれが単独で売買できるものではありますが、単体では存在意義を持ちません。そのため、建物本体とともに債権者であるオーナーに明け渡されます。
同じく建物と一体となっているキッチンなども目的物とされます。
■強制執行の対象外となる「目的外動産」とは
こちらがいわゆる「残置物」となります。
上記「目的物」以外のものすべてが目的外動産(残置物)として、これから解説する方法にて執行官の判断のもと処理されてゆくことになります。
※「動産」とは、不動産以外のすべての財産(現金・商品など)のことを指します。
強制執行が開始されると、まず鍵を解錠して家財道具等の残置物が搬出されていきます。その際の運搬費用と保管費用などで多額の費用負担が発生します。
ただし、オーナー判断で残置物を搬出せずに物件内で保管し、保管費用を抑えることも可能です。
物件内での保管を希望する場合は、執行官にその旨をしっかりと伝えましょう。
明渡の断行当日に「売却価値なし」と判断された残置物は処分(廃棄)されます。その廃棄費用も基本的にオーナー負担になってしまいます。
そのような損失を軽減するために、「売却価値あり」と執行官により判断された残置物は、民事執行法によって以下の手段で売却されます。
- 明渡執行の一環での売却
- 即日売却・近日売却
- 債権者(オーナー)申立によっておこなわれる動産執行
一般的には、「明渡執行の一環での売却」または「即日売却・近日売却」にて残置物の売却がおこなわれます。
残置物の売却によって得た売却益は、強制執行によって発生した費用に補填されます。
では、これらの売却手段は何が違うのかについて見ていきましょう。
【強制執行の注意点】
強制執行は、特別な権限を持つ執行官がおこなうものです。
そのため、物件明渡請求が認められたからといって、オーナーが以下のことをおこなうことはできません。
- オーナーが勝手に居室に入って家具を運び出す
- オーナーが勝手に鍵を交換する
上記のようなことをした場合、入居者から損害賠償請求をされるリスクがあります。
強制執行に関しては、オーナーは手出しをせず、執行官に任せましょう。
4-3-1. 明渡執行の一環での売却
基本的に強制執行でおこなわれるのが、この「明渡執行の一環での売却」です。
以下の流れでおこなわれます。
- 執行官が物件内を調べて、現金や売却できそうな財産があれば差し押さえ、指定の場所にて保管する
※4-3.執行官が明渡の断行をおこなうで解説した通り、物件内にて保管することも可能です - 保管日から1週間~1か月未満の間に売却期日が指定される
- 保管期間内に元入居者が取りに来ない場合、売却期日に競売などで売却される
- 売却で得られた売却金は強制執行費用、家賃滞納などの債権回収に充てられる
一定期間保管する理由としては、保管期間中に元入居者が取りに来る可能性があるからです。期間内に元入居者が取りに来た場合、残置物を返却する必要があります。
目的外動産(残置物)の売却においては、民事執行法131条に該当する「差押禁止財産」は例外的に適用されず、執行官による一時保管を経て売却することが可能です。
※差押禁止財産とは、生活必需品や66万円以下の現金など、債務者が日常生活を送る上で必要なもののことを指し、通常、強制執行においても差し押さえることができないとされています。
4-3-2. 即日売却・近日売却
強制執行で残置物を売却する方法としては、4-3-1.明渡執行の一環での売却で解説したように、執行官が指定した場所で一時保管されたのち、売却がおこなわれるのが一般的です。
ただし、一定の要件に該当する残置物に関しては、「即日売却(断行日当日)」もしくは「近日売却(断行から1週間)」という制度によって売却可能です。
この制度を利用することで、執行官による保管期間を省略できるため、時間・費用・労力を削減できます。
一定の要件とは、民事執行法に定められた以下の3つです。
- 断行日に入居者や同居の親族に引渡せない
- 相当期間内に入居者や同居の親族に引き渡せる見込みがない
- 高価ではない
【高価なものに当てはまる例】
即日・近日売却できない「高価なもの(高価な可能性があるもの)」とは、主に以下のようなものを指します。
- 書画骨董などの美術品
- 宝石・貴金属
- 機械
上記は、すぐに価値を評価できないものとして即日売却できません。そのほかにもすぐに価値が高いことがわかる、大型テレビや冷蔵庫、高級家具といったものもこれに含まれます。
即日売却や近日売却に関しても、同行した執行官と執行補助者(搬出・保管業者)によっておこなわれます。
4-3-3. 債権者(オーナー)申立てによって行われる動産執行
3つ目の方法として、債権者であるオーナーが裁判所に「動産執行」の申し立てを行い、残置物の差し押さえ売却をおこなう方法があります。
明渡執行の一環としておこなわれる売却との違いは、下記の通りです。
明渡執行 |
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動産執行 |
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このように、明渡執行では保管期間中に入居者が取りに来る可能性や、価値が下がることによって売却益が少なくなる恐れがあるのです。
しかし、夜逃げなどで強制執行されるような場合、動産執行をおこなうほどの価値ある高価なモノは残っていないことがほとんどです。
動産執行を申し立てるのに別途お金がかかるという点からも、確実に高く売れるものがある場合に限り、オーナー自らが動産執行を申し立てた方が良い、ということを覚えておきましょう。
5. 夜逃げの残置物処分にかかる費用の相場
夜逃げの残置物処分には、さまざまな費用がかかりますが、具体的にどのような費用がいくらくらいかかるのかについて、以下2つの費用に分けて見ていきましょう。
- 民事訴訟にかかる費用
- 強制執行にかかる費用
では、解説していきます。
5-1. 民事訴訟にかかる費用
民事訴訟にかかる費用には、以下のような項目があります。
民事訴訟にかかる費用例 | |
---|---|
内容証明郵便の費用 | 1,512円 |
裁判所に納める印紙・切手代 | 印紙:15,000円(固定資産評価額400万円の物件を想定) 切手:6,000円 |
弁護士費用 | 約30万円(明渡訴訟から強制執行まで) |
民事訴訟は弁護士に依頼するのが一般的です。長引かせて損失が大きくならないようにするためにも、訴訟を起こす段階で弁護士に依頼しましょう。
5-2. 強制執行にかかる費用
なお、強制執行にかかる費用には、以下のような項目があります。
強制執行にかかる費用例 | |
---|---|
強制執行の申立費用 | 65,000円(東京地裁の場合) |
強制執行にかかる費用 | 約30万円(ワンルームマンションの場合) |
上記は8畳程度の一般的なワンルームマンションを想定した費用です。
部屋数が多かったり、ごみ屋敷のようにごみが積み重なっているような部屋だったりした場合、強制執行にかかる費用はさらに増えてしまいます。
【残置物処分の費用は誰が負担するのか】
残置物処分にかかった費用に関しては、本来であれば夜逃げした入居者が負担すべきものです。しかし、夜逃げの場合は連絡が取れないケースがほとんどです。
次に請求先として考えられるのが「連帯保証人」ですが、連帯保証人にも連絡がつかない、話し合いに応じてくれないなどの場合は、物件オーナーが負担することになってしまいます。
6. 夜逃げのリスクを防ぐ方法
ここまで解説したように、夜逃げをされるとその後の対処に多大な手間がかかるだけでなく、弁護士費用や残置物処分費用などのコストもかかります。
そのため、夜逃げのリスクを少しでも減らせるように、以下の方法を検討することをおすすめします。
- 賃貸契約時に連帯保証人をつける
- 入居審査を厳しくする
- 夜逃げに関する保障がある管理会社を利用する
では、これらのリスクを防ぐ方法について解説していきます。
6-1. 賃貸契約時に連帯保証人をつける
夜逃げをされた可能性が高い場合、連帯保証人がいるかどうかで物件オーナーが負担する費用が大きく変わります。
たとえば、連帯保証人が引き取ってくれたり、処分費用を負担してくれたりすれば、物件オーナーが負担する費用は大きく減ります。また、未納分の家賃についても連帯保証人に対して請求ができるのです。
そのため、夜逃げのリスクの軽減を考えた場合、できる限り連帯保証人をつけて賃貸契約をした方がいいでしょう。
ただし、連帯保証人が快く応じてくれるとは限らない点に注意が必要です。万が一支払いに応じてくれなければ、こちらでも訴訟を起こさなくてはならなくなります。
6-2. 入居審査を厳しくする
入居審査を現状よりも厳しくし、収入の安定性などをしっかりと見極めましょう。そうすることで、家賃滞納や夜逃げの可能性を軽減できます。
基本となる審査項目は以下のとおりです。
【入居審査の基本となる項目】
チェック項目 | 内容 |
---|---|
収入に問題がないか |
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連帯保証人はだれか |
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人柄に問題はないか |
|
特に、収入と勤続年数はしっかりと確認しましょう。厳しくしすぎると入居者が見つからなくなる可能性があるため、バランスを考えることが大切です。
ただし、空室の状況が続くよりも、家賃を滞納されたあげく、夜逃げされた方が損害も大きくなることを念頭に置いて、検討してください。
6-3. 夜逃げに関する保証がある管理会社を利用する
夜逃げに関する保証がある管理会社を利用するという手もあります。
連帯保証人をつけても、その人と連絡が取れなければ民事訴訟や強制執行をおこなわなくてはならないため、それらの費用がかかり滞納した家賃も回収できない可能性があります。
また、入居審査を厳しくした場合、夜逃げの可能性は減るかもしれませんが、入居者が失業したりけがや病気で働けなくなったりすることも考えられます。
つまり、上記2つの対策はした方がいいものの、これだけでは不十分なのです。そこで重要になるのが、管理会社の保証です。
夜逃げされた際効果を発揮する保証とは、例えば以下のような費用の保証があります。
- 明渡訴訟費用保証
- 残置物の処分費用保証(原状回復保証)
- 滞納保証
これらの保証があれば、民事訴訟や強制執行にかかる費用や残置物の処分費用、滞納されている家賃も管理会社から支払われるため、夜逃げにおける損害を最小限に抑えられます。
私たちルーム・スタイルでは、これらの保障すべてを含む、「6つの安心保証」が標準完備された管理プランを提供しています。
※6つの安全保障は、ルーム・スタイルの総合管理プランのみでご利用いただけます。
賃貸経営中は、いつどんなトラブルが発生するか予想できません。だからこそ、予期せぬリスクが起こっても、オーナー様を守るためにサポートいたします。
夜逃げをされると、労力だけでなく多大な費用がかかります。そのため、あらかじめ保証によって備えておくことが大切です。
家賃滞納や夜逃げに関する保証をご検討中の方は、ぜひ一度ルーム・スタイルにご相談ください。
7. まとめ
この記事では、夜逃げされた場合の残置物の処分方法について解説しました。最後にまとめをご覧ください。
【残置物は勝手に処分してはいけない】
- 処分後に入居者が戻ってきた場合「違法な自力救済」とみなされ損害賠償義務を負う可能性がある
- 残置物を処分するには適切な手続きをおこなう必要がある
【夜逃げの残置物の処分手順】
【夜逃げの残置物処分にかかる費用の項目】
民事訴訟にかかる費用 |
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強制執行にかかる費用 |
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夜逃げされると、それまでの滞納分だけでなく、訴訟費用や残置物の処分費用など、多くの費用がかかります。連帯保証人をつけたり審査基準を厳しくするなどし、備えておくことが大切です。
夜逃げをされて多くの損害が出たもしくはこれから夜逃げに備えたいという物件オーナー様は、多大な損害を出さないためにも、夜逃げの保証が完備された管理会社の利用を検討してみてください。
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