タワマン投資って、結局儲かるの?さまざまな観点から「良し悪し」を考察

「タワマン投資は、本当に儲かるのだろうか」

東京のマンション価格が高騰する中で、このように考える方は多いでしょう。

結論から言うと、タワーマンションへの投資は、他の不動産投資に比べて慎重な判断が必要です。立地や資産価値の面では大きな利益になりうることもありますが、高額な購入費用や維持費、低めの利回りといった独自の課題も存在します。

そこで今回は、タワマン投資のメリット・デメリット、さらに利回りや維持費といった具体的な数字をもとに、儲かるかどうかをさまざまな視点からわかりやすく解説していきます。

本記事を読んでわかること
  • 「投資」という観点から見たタワマンの特性
  • タワマンのメリット・デメリット
  • タワマン投資で考えるべき5つの観点
  • タワマン投資はどちらかと言えば「高層階」を選んだ方がいい理由
  • タワマン投資で失敗した3つの事例
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タワマン投資の考え方

タワーマンション投資は、豪華な設備や高層階ならではの魅力を活かし、資産価値の上昇や売却益を期待する手法で、一般的に高所得者向けの投資です。

ただし、家賃収入に対する利回りが低くなりがちなので、他のマンション投資と比べて慎重に進める必要があります。今回は、タワマン投資の特徴や、どういったポイントに注意すべきかをわかりやすく解説していきます。

タワーマンション(タワマン)の定義

タワーマンション、通称「タワマン」は、一般的に20階以上の高層マンションを指し、充実した共用施設や高度なセキュリティが特徴です。

たとえば、タワマンの共用施設には、フィットネスジムやプール、パーティールーム、ラウンジといったホテル並みの設備が揃っていることが多く、居住者は日常的に快適なサービスを利用できます。また、セキュリティ面でも24時間有人管理や防犯カメラ、専用のカードキーを使用したエントランスなど、高度な防犯対策が施されており、安心して暮らせる環境が整っています。

タワマンは都市の中心部や一等地に建設されることが多く、住むこと自体がステータスとされる物件も少なくありません。住戸数が多く、外観も目を引くため、投資先としても注目されています。

タワマンの入居ターゲットは「高所得者」「富裕層」

タワーマンションの主な入居ターゲットは、収入が安定している高所得者層や富裕層です。

彼らは、都心での便利な生活と、タワマンならではの豪華なライフスタイルを求めるため、家賃が高めに設定されている物件でも一定の需要があります。

また、「ワンルーム条例」がある東京や一部のエリアでは、タワーマンションにおける1R(ワンルーム)物件は限定的です。この条例は法律とは別で自治体によって定められており、1Rの総戸数を制限するほか、一定の割合でしか1Rを設置できないようになっています。

そのため、タワマンでは広めの間取りが主流となり、特に高所得者層や富裕層向けの二人以上世帯、ファミリー世帯向けの広めの部屋が多くなっています。

タワマン投資はインカムゲインは狙いづらい手法

タワマン投資は、家賃収入(インカムゲイン)をメインに利益を上げるのが難しい投資方法とされています。特に、高級タワーマンションでは、物件の購入価格が非常に高額なため、利回り(投資額に対する収益の割合)が他の不動産投資に比べて低くなりがちです。

一般的に、インカムゲインを狙う場合、最低ラインとして利回り3%は必要と言われています。しかし、東京都心などのタワマンでは2〜3%程度の利回りしか見込めないことも多いです。

この低利回りでは、家賃収入から毎月のローン返済、管理費、修繕積立金、そして固定資産税などを支払うと、ほとんど利益が残らないことが多いです。そのため、タワマン投資では家賃収入での大きな利益(インカムゲイン)を期待するのは難しく、物件の価値が上がった際の売却益(キャピタルゲイン)を狙うのが一般的な戦略となります。

ただし、現状の利回りが2%台の物件が、今後急激に資産価値を上げることは難しいため、キャピタルゲインで利益を出すのも簡単ではありません。タワマン投資を考える場合、購入前にしっかりと数字を把握し、慎重な判断が求められます。


タワマン投資の利回り・維持費はどれぐらい?

タワマン投資における利回りは、通常の区分マンション投資と比較すると低めです。

「高級感」や「ステータス」に依存するのが物件の特性で、これを維持するためのコストが高額になることが大きな理由です。

では、利回りや維持・管理にかかる費用は、通常の区分マンションと比較するとどれくらいになるのでしょうか。

タワマン投資の利回り相場

通常の区分マンションとタワマンの利回りを比較してみると、新築では1~2%程度の差が生じます。

物件タイプ利回りの相場
タワマン投資(新築)2~3%
通常のマンション投資(新築)3~4%

意外と小さな差であると感じるかもしれませんが、物件価格や家賃が大きいため実はとても「大きな差」です。

中古物件は、立地や築年数や物件のグレードや階数、状態によって利回り差が顕著に表れるので、一概に断言することは難しいでしょう。不動産ポータルサイトによる調査データや一般論では、築20年程度で5~6%、築25年以上で7~8%以上が通常のマンションの理想的な利回り目安です。

一方で、タワマンは築年数が経つにつれて修繕にかかる費用が高額になるため、築25年以上でも5%程度にとどまることがあります。

運用中の維持・管理にかかる費用

タワマン投資の運用中にかかる維持・管理費用は、通常のマンションの約1.5倍であると言われています。

共益費や修繕積立金、管理費用は通常のマンションに比べて高くなります。

  • エレベーターの維持費
  • 立体駐車場
  • 防犯設備
  • レンタルスペース
  • フィットネスジム
  • プール
  • ラウンジ
  • 敷地内の植栽 

上記の共用施設の管理を行うため、複数の世帯で按分したとしても大きな負担となります。

また、忘れてはいけないのは「一時徴収金」です。

これは、予期せぬ大規模修繕や設備更新が必要になった際に、突発的に徴収される費用のことで、場合によっては100万円以上の高額になることもあります。これらの維持費が積み重なると、家賃収入だけでは到底カバーしきれなくなるため、事前にしっかりと理解しておくことが重要です。


タワマン投資のメリット・デメリット

タワマン投資には、他のマンションとは異なる独自の魅力とリスクがあります。

本章では、タワマン投資の具体的なメリットとデメリットを、入居者・オーナー両方の視点で挙げてみましょう。

メリット

タワマンに住む入居者のメリット、タワマン投資をするオーナーのメリットは以下のとおりです。

入居者目線オーナー目線
  • セキュリティが高度で安心感がある
  • 各階にゴミ捨て場があり便利
  • 24時間いつでもゴミ出しできる
  • 高層階は虫が出にくい
  • 高層階は静かで快適
  • 景観が良く、眺めが楽しめる
  • 豪華なエントランスがある
  • 駅や商業施設と直結していることがある
  • プールやジムなど共用施設が充実
  • ブランド力があり、ステータスが高い
  • コンシェルジュなどのサービスが利用可能
  • 地震対策が施されている物件が多い
  • 雨でも商業施設への移動が簡単
  • 資産価値が高く、長期的な保有でも下がりにくい
  • 高所得者が入居するため、安定した賃料収入が期待できる
  • 再販時にキャピタルゲインが期待できる
  • ブランド物件は空室リスクが低い
  • 高層階は退去率が低く、長期入居者が多い
  • 駅直結など利便性の高い物件は賃貸需要が強い
  • セキュリティ・設備力の高さで入居者に満足感を得やすい
  • 節税効果が高い

デメリット

反対に、タワマンに住む入居者のデメリット、タワマン投資をするオーナーのデメリットとなる点は以下です。

入居者目線オーナー目線
  • 家賃が高額で、支出が増える
  • 共益費や管理費が高く、毎月の負担が大きい
  • 高層階だとエレベーターの待ち時間が長い
  • 忘れ物を取りに行くのが大変
  • 風が強い日はベランダが使いにくい
  • 災害時に避難が困難なことがある
  • 高層階は眺めがいいが、地上階より寒さや暑さが厳しいことがある
  • 都心部だと騒音や人混みが気になる場合がある
  • 自然環境が少なく、リラックスできる場所が少ない
  • 物件価格が高額で、初期投資額が大きい
  • 利回りが低く、インカムゲインが期待しづらい
  • 維持費や修繕積立金が通常のマンションより高額
  • 共用施設の管理費がかさみ、運営コストが高い
  • 資産価値が大きく下落するリスクがある
  • 築年数が経つと賃貸需要が減少しやすい
  • 景観や周辺環境の変化で入居者の需要が変わる可能性がある
  • 高額な物件ほど、売却時に買い手を見つけるのが難しい場合がある
  • 一時徴収金などの突発的な費用が発生する可能性がある

タワマン投資における5つの考察ポイント

タワマン投資で成功するためには、購入時だけでなく、長期的なリスクにも目を向けることが大切です。タワマンには特有のリスクや課題がありますが、それを理解してしっかりと対策を取ることで、投資効率を高めることができます。

ここでは、タワマン投資を考える際に注意すべき5つのポイントについて、わかりやすく解説していきます。

ポイント1.入居率(空室リスク)

タワマン投資のリスクとして、まず考慮すべきなのが空室リスクです。新築タワマンの場合、最初の入居者は「新築ブランド」という強みがあるため、比較的早く見つかることが多いです。

しかし、賃料設定やエリアによっては2人目以降の入居者を確保するのはやや難しくなる場合があります。これは、新築という魅力がなくなることで、次の入居者が見つかるまで時間がかかるケースがあるためです。

特に、賃料が高いタワマンでは、単身者向けの物件と比較して、ファミリー層などの入居者を探すのに時間がかかることがあります。

ポイント2.家賃下落率

新築タワマンの賃料は、最初の入居時には「新築プレミアム」として高めに設定されることが多くあります。

タワマン特有の注意ポイントは、2人目以降はそのプレミアムがなくなるため、2週目ですぐに賃料が下がる可能性があることです。新築時は入居者にとって大きな魅力となりますが、需要が高くない物件は、築年数が経つにつれて物件の価値が徐々に下がり、家賃も下落圧力を受けやすくなります。

  • 最初の入居者にどれだけ長く住んでもらえるか
  • 2週目以降どれだけ賃料が維持できるかが

これがタワマン投資の収益性に大きく影響を与えます。

ポイント3.資産価値

タワマンの資産価値について考える際、新築と中古の両方で異なるリスクやコストを理解することが重要です。

  • 新築:高級物件としてのブランド力が強く、短期的には高い資産価値を維持しやすい
  • 中古:価格が比較的安定している場合が多いものの、メンテナンス費用の増加に注意が必要

たとえば、新築タワマンを購入した場合、5年後に築浅の中古物件として売却するとします。周辺に新たなタワマンが建設されていると、新築時の高額な価格に対して、5年後の売却価格が思ったより低くなる可能性があります。

中古物件では、違うリスクにも目を向けなければなりません。たとえば、築15年のタワマンを購入した場合、エレベーターの修理や大規模な給排水設備の修繕が必要になることがあります。これには数百万円から数千万円の費用がかかることもあるため、購入後の維持費用を見越しておくことが必要です。

インカムゲインが少ないタワマン投資で購入直後から大きな赤字経営が発生すると、利益の回収が難しく、厳しい状況が続いてしまうでしょう。

ポイント4.節税効果

タワマン投資には、「減価償却」と「相続税」の2つの面で大きな節税効果が期待できます。

まず、減価償却による節税効果について説明します。タワマンは高額な物件が多いため、その分、減価償却として経費にできる額も大きくなるのです。減価償却とは、建物が経年で価値が減る分を経費として計上できる制度で、これにより所得税や住民税の負担を軽減できます。

たとえば、1億円以上のタワマンを購入した場合、毎年数百万円を経費にでき、その分税金が減る仕組みになっています。

次に、相続税の節税効果についてです。タワマンは市場価値に比べて相続税評価額が低く設定されやすい物件です。

特に、高層階では実際の取引価格と固定資産税評価額の差が大きく、相続時にはその差を利用して相続税を軽減できます。高層階の物件は取引価格が高くても、評価額は一律に床面積で計算されるため、結果的に相続税の対象となる金額が大幅に低くなることがあります。これにより、タワマンは相続税対策としても有効な選択肢です。

ただし、節税効果を目的としてタワマン投資を検討する場合は、税務署や専門家に相談し、事前にどれだけの節税効果が見込めるかをしっかり確認することが大切です。

ポイント5.出口戦略

タワマン投資においては、購入前に売却時の出口戦略まで描くことが非常に重要です。

タワマンは物件価格が高いため、売却時に購入者を見つけるのに時間がかかる場合があります。特に、築年数が経つと資産価値が下がり、購入希望者が少なくなるリスクがあるため、売却のタイミングや市場の動向を見極めることが必要です。

具体的な出口戦略例

  • 価格が上がったタイミングで売却する
  • 再開発やインフラ整備のタイミングを狙う
  • 賃貸を継続して長期運用する
  • 自分のマイホームとして活用する
  • リフォームやリノベーションで資産価値を高める
  • 相続時に子供や家族へ譲る

期待していたリターンを得られずに赤字になるケースもあるため、事前に2~3通りの出口戦略を立てておくことで、状況に応じた柔軟な対処ができます。


タワマン投資は「低層階」「高層階」どちらにすべき?

「低層階と高層階どちらが良いのでしょうか?」と、よくご質問があります。

タワマン投資を検討する際には、物件選びだけでなく、どの階層に投資するかも重要なポイントです。低層階と高層階では、それぞれ異なるメリットとデメリットがあり、入居者層や賃料、利回りに影響を与えます。

それぞれの特徴を比較し、「高層階の優位性」について解説します。

低層階の特徴

低層階は、高層階と比べて家賃や購入価格が低めに設定されます。著しく差が見られるエリアでは、1平米あたりの賃料や物件価格に1.5倍もの差が生じることがあります。

入居者の面でいうと、主にタワーマンションの利便性や設備を活用したい自宅目的の住民です。階段での移動がしやすいことや、エレベーター待ちの時間が少ないことを重視する人もいます。

また、小さな子どもがいる家庭やペットを飼っている人たちにとっては、低層階の方が利便性が高く、安全面でも安心できるため、選ばれる傾向があります。

高層階の特徴

高層階は、低層階に比べて家賃や購入価格が高く設定されるのが一般的です。そのため、高所得者層にとってステータスの象徴となることが多いです。眺望の良さやタワーマンションの最上階に住むこと自体が一種のステータスとして評価され、価格が高騰します。

入居者層については、自宅目的で高層階を選ぶ高所得者に加え、セカンドハウスとして購入する富裕層も多いでしょう。さらに、相続対策や資産運用を目的とした投資用物件としての需要も高まっており、高層階の方が幅広い目的の購入者に支持されています。

高層階での投資は、高所得者や富裕層がメインターゲットなります。自宅以外にもセカンドハウスとしても人気があるため、滞納リスクが少なく、安定した収益を期待できるのがメリットです。

ただし、高層階のステータス性を求める入居者が多い分、物件の価値が築年数とともにどう変わるかを見越しておくことが重要です。将来的なリフォームや売却戦略を考慮し、物件の価値を保つ工夫をすることが投資の成功につながります。

 


タワマン投資の失敗事例

最後に、タワマン投資の失敗事例を1つ紹介します。

本件は、再開発などエリア発展を予測していたものの、昨今の物価高騰による影響を大きく受けた事例です。

物価高騰でキャッシュフローが悪化したAさんの事例

Aさんは、将来的な資産価値と安定した家賃収入を期待して、都心のタワーマンションを投資物件として購入しました。

物件は高級感があり、賃貸需要も見込めたため、運用開始当初は順調に見えました。しかし、数年後に予想外の物価高騰が発生し、タワマン特有の修繕費や管理費が大幅に上昇。エレベーターのメンテナンス費用が急激に増え、最初の計画を大きく上回る出費を強いられることになったといいます。

一方で、家賃の値上げは思うように進まず、競争が激しいエリアでは他の物件と同水準を維持するしかなく、わずかな家賃上昇にとどまりました。コロナ禍が重なって国民の生活防衛意識が上がり、高い住居費を支払う入居者が減ったタイミングだったことも要因です。

Aさんは、修繕費の負担が大きくなったことで、貯蓄していた家賃収入だけではカバーしきれず、採算が合わない状態に陥ってしまいました。結果的に、Aさんは期待していた収益を得ることができず、修繕費の大幅な値上がりと家賃の微増とのギャップが、投資失敗の大きな要因となったのです。


まとめ

タワマン投資は、物件価格や維持費が非常に高いため、主に高所得者向けの投資手法です。

一般的に都心の一等地で設備が豪華な魅力はありますが、投資としては慎重な判断が求められます。高額な初期投資に加え、家賃収入(インカムゲイン)の利回りが低く、修繕費や管理費もかさむため、利益を出すのが難しい場面が多いです。

また、築年数が経過するにつれて資産価値が下がりやすく、家賃の値上げが思うように進まないこともリスクとなります。初心者や資金に余裕がない方には、タワマン投資はおすすめできません。

どうしてもタワマン投資を考えている場合は、まずは区分マンション投資で経験を積み、手元の資金を貯めることが賢明です。区分マンションは初期投資が低く、運用コストも抑えやすいため、安定した収益を得やすいです。経験を積んでからタワマン投資に挑戦することで、リスクを減らしつつ成功の可能性を高められます。

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