家を貸すときの注意点19個をステージ別に解説!失敗しない必携ガイド

「家を貸そうと思っているけど、トラブルなく貸す方法を知りたい」
「具体的に注意すべきポイントを教えてほしい」

このように考える方は多いのではないでしょうか。

転勤や海外赴任で一時的に空き家となる自宅や相続した実家など、家を貸すことを検討する人が増えています。安定した収入源として期待できる一方、トラブルになる危険も無視できません。

 

この記事では、家を貸す前の準備から契約、コストや税金面まで、経験豊富な専門家の視点からステージ別に注意点を詳しく解説します。

【この記事を読むと得られるメリット】
・家を貸すときの失敗リスクを大幅に減らせる
・想定外のトラブルや出費から身を守れる
・安全に家賃収入を得るためのノウハウが身につく

住宅ローン規約違反や入居者トラブルといった落とし穴を避け、安心して家を貸せるようにするために、お役立てください。

目次

賃貸管理完全ガイド
依頼すべき理由

1. 家を貸す決断をする前の注意点

 

さっそく、家を貸すかどうか決断する前に注意すべき点から見ていきましょう。

  1. 住宅ローン規約違反にならないか確認する
  2. 賃貸と売却の収支シミュレーションを行っておく
  3. 家賃滞納や近隣迷惑行為などのリスクを把握する

1-1. 住宅ローン規約違反にならないか確認する

自宅を購入する際に利用した住宅ローンには、「本人や家族が居住すること」が条件として設定されていることがほとんどです。

この条件に反して無断で賃貸に出すと、ローン契約違反となり高金利の投資用ローンへの切り替えや一括返済を求められる可能性があります。

【住宅ローン利用中の注意点】

  • 事前相談の必要性:住宅ローンを利用中の物件を貸し出す場合は、かならず事前に金融機関へ相談します。転勤などのやむを得ない事情があれば例外的に認められるケースが多いですが、無断で賃貸に出すとローン契約違反となります。
  • 控除適用への影響:住宅ローン控除は、本人も家族も居住しなくなった年以降は適用外となります。ただし、転勤後に自宅へ再入居する場合は、残存期間について要件を満たせば再適用を受けられます。
  • 返済条件が変更される可能性:金融機関によっては、貸し出し期間中の金利引き上げや返済条件の変更を求められることがあります。事前に詳細条件を確認し、賃貸収入と返済のバランスを試算しておくことが重要です。

住宅ローンの規約確認は、家を貸す際の最初のハードルといえます。金融機関との良好な関係を維持するためにも、正式な手続きを踏んで賃貸を始めましょう。

出典:国税庁「No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等」

1-2. 賃貸と売却の収支シミュレーションを行っておく

「家を貸すか、それとも売却するか」の判断に迷っている方もいるでしょう。その場合、双方の経済的メリット・デメリットを比較検討することが欠かせません。

家賃収入と諸経費のバランス、将来的な資産価値の変動なども含めた総合的な収支予測が重要です。

【収支シミュレーションのポイント】

  • 賃貸収入を試算する:地域の相場を調査し、物件の状態や築年数を考慮した現実的な家賃設定を想定します。相場より高すぎる設定では空室リスクが高くなり、低すぎると収益性が落ちるため、バランスの取れた設定が重要です。
  • 必要経費を把握する:管理会社への委託料(家賃の5%程度)、固定資産税、修繕費、火災保険料などの経費を計上します。これらを賃料から差し引いた実質手取り額を把握しておくと、収益性を正確に判断できます。
  • 売却と比較する:物件の売却価格と、賃貸で得られる長期的な収入を比較します。とくに転勤など一時的な不在の場合は、帰任後の再居住の可能性も含めて総合的に判断することが賢明です。
  • 空室リスクを考慮する:地域によっては入居者が見つからず空室期間が長引くリスクがあります。地元の不動産会社に需要を確認し、最低でも年間1~2カ月の空室期間を想定した収支計画を立てる必要があります。

経済的な観点からの分析は、感情的な判断を避け、合理的な決断をするために不可欠です。

しかしながら、専門的な知識がないと正確な分析は難しいものです。そこで、このタイミングで専門家に相談だけでもしておくことを強くおすすめします。

家賃や売却時の相場観や、直近の取引状況の情報を持つ専門家なら、参考になる具体的なアドバイスが可能です。ぜひお気軽に、私たちルーム・スタイルへご連絡ください。

1-3. 家賃滞納や近隣迷惑行為などのリスクを把握する

家を貸す際には、さまざまな考慮すべきリスクがあります。家賃滞納や入居者の近隣トラブル、住宅の破損など、想定外の問題に備えた準備が必要です。

【おもなリスクと対策】

  • 家賃滞納リスク:入居者が家賃を滞納するリスクは常に存在します。このリスクを軽減するため、信頼できる保証会社の利用や、入居者の信用情報・職業安定性を事前に確認することが大切です。
  • 入居者の居住態度:入居者による騒音やゴミ出しルール違反などが近隣トラブルにつながることがあります。入居時の説明を徹底し、契約書に生活ルールを明記して注意喚起を行うことがトラブル防止に役立ちます。
  • 住宅の破損・汚損:通常の使用による経年劣化と、入居者の故意・過失による破損は区別が必要です。入居前の現状確認書の作成や写真撮影による記録を通じて、退去時の原状回復範囲を明確にしておきましょう。
  • 長期入居による立ち退き困難:普通借家契約で貸し出すと、契約更新が前提となり、オーナーが再入居したい場合でも入居者に退去を求めるのが困難になります。転勤期間後に戻る予定がある場合は、定期借家契約を締結する必要があります。

これらのリスクは、事前に理解し対策を講じておくと、将来的なトラブルを未然に防げます。万が一の事態に備え、リスク管理の視点を持って貸し出し計画を立てることが大切です。

トラブルについては、「一軒家賃貸で事前に抑えなければいけないトラブル5選と解決方法」の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。


2. 不動産会社選びの注意点

 

家を貸すことを決断したら、次に行うことは不動産会社選びです。単に手数料の安さだけでなく、サービス内容や実績、対応力などを総合的に判断することが非常に重要です。

  1. 賃貸仲介と管理の両方に強い会社か確認する
  2. 担当者の専門知識とレスポンス速度をチェックする
  3. 管理委託契約書の内容を隅々まで確認する
  4. 会社の評判や過去の管理実績を調査する

2-1. 賃貸仲介と管理の両方に強い会社か確認する

不動産会社には入居者募集に強い仲介専門の会社と、入居後の管理に力を入れている管理会社があります。理想は、両方の機能を併せ持つ会社を選ぶことです。一貫したサービスを受けられます。

【仲介・管理両面の確認ポイント】

  • 仲介力の評価:入居者募集のスピードと質を確認します。地域での知名度や広告展開力、ポータルサイトへの掲載状況、過去の成約実績などから仲介力を判断できます。
  • 管理体制の充実度:24時間対応の緊急窓口があるか、定期的な見回り点検があるか、家賃滞納時の対応はどうかなど、管理サービスの内容を詳しく確認します。とくに遠方に住むオーナーの場合、トラブル発生時の迅速な対応力は重要な選定基準です。
  • 専任担当者の有無:担当者が頻繁に変わると対応の一貫性が失われます。長期的に同じ担当者がつく体制があるか、また担当者の経験年数や専門知識の程度も確認しておくと安心です。
  • 賃貸住宅管理業者登録の有無:2021年より一定規模以上の管理会社は国への登録が義務化されました。賃貸住宅管理業者登録番号を持つ会社はコンプライアンスの意識が高く、安心して任せられる目安となります。

例として、私たちルーム・スタイルは、客付けに特化した賃貸仲介グループ会社だからこそ、卓越した仲介力が強みです。

 

と同時に、賃貸管理については、専任担当スタッフによるサポート、24時間365日対応のコールセンター、相続や海外転勤にも対応など、充実したサービスをご提供しています。初めて家を貸す方にとって、心強い味方となります。

 

不動産会社・賃貸管理会社を選ぶ際には、このようにオーナーの負担を減らし、安定した賃貸経営をサポートする強力なパートナーとなる会社を選ぶことが非常に重要なポイントです。

2-2. 担当者の専門知識とレスポンス速度をチェックする

不動産会社との日常的なやりとりは担当者を通じて行われるため、担当者の質がサービス満足度を大きく左右します。専門知識の深さや連絡対応の速さなど、担当者の能力をしっかり見極めましょう。

【担当者評価のポイント】

  • 質問への回答力:賃貸や税金に関する質問に、どれだけ正確に答えられるか観察します。曖昧な回答や「後で調べます」が多い担当者は、専門知識が不足している可能性があります。信頼して任せるには不安が残ります。
  • 連絡の迅速さ:メールや電話での返信スピードは、実際に管理を任せた後のレスポンスを予測する重要な指標です。緊急時の対応が遅い会社は、トラブル発生時に大きな問題に発展する可能性があるため、注意が必要です。
  • 提案の具体性:物件の特性や市場状況を踏まえ、具体的な提案ができるかどうかを確認します。「なんとなく良さそう」ではなく、データや過去事例に基づいた説得力のある提案ができる担当者は、信頼性が高いといえます。
  • 経験年数と実績:担当者の不動産業界での経験年数や過去の管理実績数は、蓄積されたノウハウの指標になります。類似物件の管理経験があれば、予測できるトラブルへの対処法も心得ているはずです。

担当者とのファーストコンタクトは、今後数年間続く関係を予想するベースとなります。面談時の印象や説明のわかりやすさ、質問への対応姿勢などから、長期的に付き合える相手かどうか見極めることが大切です。

2-3. 管理委託契約書の内容を隅々まで確認する

管理会社との契約は、数年間にわたってオーナーの権利義務を規定する重要な書類です。契約書の細部まで確認し、不明点は質問してから契約することが後々のトラブル防止につながります。

【契約書確認のポイント】

  • 管理業務の範囲:「家賃集金」「入居者対応」「建物点検」「原状回復工事手配」など、具体的にどのサービスが含まれるのか明確に記載されているか確認します。管理会社によってサービス範囲は異なるため、想定していたサービスが含まれているかかならず確認することが大切です。
  • 免責事項と責任範囲:管理会社がどこまで責任を負うのか、免責される条件は何かを確認します。とくに入居者による家賃滞納や物件破損時の対応について、管理会社とオーナーの責任分担が明確になっているか確認しておくことが重要です。
  • 契約期間と更新条件:契約期間(1年、または2年など)や更新時の料金改定条件、解約申し入れのタイミングについても確認します。とくに解約予告期間(例:3カ月前)は、万一サービスに不満があった場合の撤退タイミングに影響するため、把握しておく必要があります。
  • 特約条項の有無:標準契約書に追加されている特約がある場合は、その内容と影響を慎重に確認します。オーナーの権利や義務、費用負担に関わる特別な取り決めは、メリットとデメリットをよく理解したうえで契約する必要があります。

参考までに、ルーム・スタイルの場合、以下の「6つの安心保証」がついています。

 

契約書の内容に不安がある場合は、法律の専門家(弁護士など)に確認してもらうことも検討しましょう。一度締結した契約は簡単に変更できないため、契約前の確認が非常に重要です。

2-4. 会社の評判や過去の管理実績を調査する

不動産会社の選定では、その会社の市場での評判や実績の調査も行いましょう。公式サイトの情報だけでなく、第三者からの評価や実際のオーナーの声を集めると、より客観的な判断ができます。

【評判調査の効果的な方法】

  • 口コミサイトのチェック:不動産会社の口コミサイトやレビューサイトで評判を確認します。ただし、極端に良い評価や悪い評価だけでなく、中間的な評価も含めて総合的に判断することが大切です。
  • 既存オーナーからの評価:可能であれば、すでにその会社に管理を依頼しているオーナーから直接話を聞きます。「家賃滞納時の対応は迅速か」「修繕の提案は適切か」など、実際の管理状況について具体的に質問すれば、リアルな情報が得られます。
  • 管理物件数と入居率:会社が管理している物件数と平均入居率は実力の指標になります。管理戸数が多すぎて担当者が手一杯になっていないか、また入居率が市場平均と比べて高いかどうかを確認するとよいでしょう。
  • トラブル対応の実績:過去にどのようなトラブルを経験し、どう解決したかを質問します。具体的な事例とその解決方法を説明できる会社は、実践的なノウハウを持っていると判断できます。

例として、ルーム・スタイルの賃貸管理の特徴は以下のとおりとなっています。

 

会社の評判や実績は、将来的な管理品質を予測する重要な判断材料です。時間をかけてしっかり調査すれば、長期的に信頼できるパートナーを見つけられます。


3. 貸し出し準備段階での注意点

 

続いて、物件を実際に貸し出す準備段階での注意点を見ていきましょう。

  1. 修繕箇所や動作の確認をして設備不良のクレームを防ぐ
  2. 残置物トラブル回避のため所有権と撤去方法を明確化する
  3. 賃貸中の事故に対応できる火災保険か確認する
  4. 近隣トラブル防止のために事前あいさつを行う
  5. 入居者希望者の人柄・生活態度や信頼度を見極める

3-1. 修繕箇所や動作の確認をして設備不良のクレームを防ぐ

貸し出し前に、物件の設備状態を詳細にチェックし、必要な修繕を行っておきましょう。入居後のトラブルやクレームを未然に防ぐためにも、入念な点検と対応が欠かせません。

【設備チェックのポイント】

  • 水回り設備の確認:キッチン・浴室・トイレなどの水回りは漏水や排水不良がないか入念に確認します。蛇口の水漏れ・シャワーの水圧・排水口の流れなど、実際に使用して問題がないか確かめることが、入居後のトラブルを大幅に減らします。
  • 電気設備の動作確認:照明器具・コンセント・インターホン・エアコンなどの電気設備が正常に作動するか確認します。備え付けのエアコンは、冷暖房両方の動作チェックが必要です。故障している場合は、家を貸し出す前に撤去または修理・交換を検討しなければなりません。
  • 建具の状態確認:ドアや窓、網戸などの開閉と鍵の動作を確認します。ドアの閉まりが悪い、鍵がスムーズに回らないなどの不具合があれば調整や修理を行います。防犯面でも安心できる状態にしておくことが大切です。
  • 外壁や屋根の点検:雨漏りの痕跡がないか、外壁にひび割れや破損がないかチェックします。築年数が経過している物件では、外装部分の劣化が進んでいる可能性があります。専門業者による点検を依頼することも検討します。
  • 害虫や害獣の確認:シロアリや害獣の痕跡がないか確認します。床下や天井裏など、普段目に入らない場所にも注意を払います。必要に応じて駆除や防除処理を行い、入居者が快適に過ごせる環境を整えましょう。

設備の状態を把握し必要な修繕を行うことは、入居者満足度の向上と長期的な入居につながります。修繕費用は初期投資として考え、適切に対応しましょう。

3-2. 残置物トラブル回避のため所有権と撤去方法を明確化する

貸し出し前に室内の私物や家具などを整理し、何を残すか、何を撤去するかを明確にします。残置物をめぐるトラブルを防ぐためには、入居前の丁寧な準備が欠かせません。

【残置物の適切な管理方法】

  • 撤去と保管の区分け:私物や思い出の品、貴重品はかならず撤去または別途保管します。個人的なアイテムは、入居者が自由に使えるスペースを確保するためにも完全に片付けておく必要があります。
  • 残す設備品の選別:エアコンや照明器具、カーテンレールなど物件に付帯する設備は残しても問題ありません。古くて使い勝手が悪い家具や、 家電は撤去しましょう。入居者が自分の好みのものを持ち込める状態にしておくと、入居しやすい環境を作れます。
  • 残置物リストの作成:やむを得ず残す家具や家電がある場合は、写真付きの残置物リストを作成します。品名・状態・数量を記録し、契約時に入居者と共有して退去時のトラブルを防ぎましょう。
  • 撤去品の保管:撤去した物品を廃棄しない場合には、保管場所を確保する必要がある点も注意が必要です。親族宅や倉庫、トランクルームなどを検討しましょう。

残置物の扱いを明確にしておくと、入居者との誤解や退去時のトラブルを未然に防げます。とくに再入居の予定がある場合は、保管方法も含めて計画的に準備することが大切です。

3-3. 賃貸中の事故に対応できる火災保険か確認する

賃貸に出す際は、これまでの居住用火災保険から内容の見直しが必要です。オーナーと入居者それぞれに必要な保険の種類や補償内容を理解し、万全の備えをしましょう。

【火災保険確認のポイント】

  • 保険内容の見直し:自宅を貸し出す場合、賃貸住宅オーナー向けの内容に火災保険を見直す必要があります。不要になる補償(家財補償など)は解約し、施設賠償責任保険などの付加を検討します。
  • 施設賠償責任保険の検討:施設賠償責任保険は、建物の構造上の欠陥や管理不備など、オーナー側の責任によって第三者(入居者、通行人、隣家など)に損害を与えてしまった場合に備えるものです。オーナーとしての賠償責任をカバーする補償があると安心です。
  • 借家人賠償責任保険の確認:入居者には借家人賠償責任保険を付帯した火災保険への加入を義務付けることが一般的です。入居者の過失で発生した火災などによる建物の損害を補償する保険です。オーナーの負担リスクを軽減できます。
  • 地震保険の検討:地震による損害は火災保険では補償されないため、地域の地震リスクに応じて地震保険の加入も検討します。とくに木造住宅や築年数の古い物件は地震による損壊リスクが高いため、補償内容と保険料のバランスを考慮した判断が必要です。

適切な保険加入によって、万一の事故や災害時の経済的負担を軽減できます。保険の専門家に相談し、物件特性に合った最適な保険プランを選びましょう。

3-4. 近隣トラブル防止のために事前あいさつを行う

貸し出す前に近隣住民へのあいさつや説明を行うと、入居者と近隣住民とのトラブルを未然に防げます。長年住んだ地域での良好な関係を維持するためにも、丁寧な配慮が必要です。

【近隣への配慮と対応策】

  • あいさつ回りの実施:転勤などで家を貸し出す際は、近隣住民にあいさつをして事情を説明します。突然知らない人が住み始めることへの不安や不信感を解消し、地域コミュニティの一員として受け入れてもらいやすくなります。
  • 自治会への連絡:地域の自治会や町内会に賃貸に出す旨を伝えておきます。自治会費の支払い方法や回覧板の取り扱い、ゴミ出しルールなど地域特有の慣習について再確認し、入居者にも伝えられるよう情報を整理しておきます。
  • 管理会社の連絡先共有:近隣からの苦情や問い合わせ先として、管理会社の連絡先を伝えておきます。自分が遠方にいる場合でも管理会社が窓口となれば、トラブル発生時の初期対応がスムーズになり、問題の拡大を防止できます。

近隣との良好な関係づくりは、長期的な賃貸経営をスムーズに進めるための基盤ともいえます。

3-5. 入居者希望者の人柄・生活態度や信頼度を見極める

良質な入居者を選ぶことは、トラブルのない賃貸経営の鍵です。入居希望者の属性や信頼性を慎重に確認し、物件と相性の良い入居者を見つけることが大切です。

【入居者選定のポイント】

  • 属性情報の確認:入居希望者の年齢・職業・勤務先・年収などの基本情報を確認します。安定した収入があり、長期入居が見込める人を優先しましょう。家賃滞納リスクや頻繁な入れ替わりによる空室リスクを軽減できます。
  • 入居目的の確認:入居の目的や予定期間を可能な範囲で確認します。転勤で数年の予定、結婚までの一時的な住まい、長期定住希望など、入居者の計画によって契約内容や準備すべき環境が変わってきます。
  • 保証人または保証会社の利用:連帯保証人を立ててもらうか、保証会社の利用を義務付けます。万一の滞納や原状回復費用の支払いが発生した場合のリスクヘッジとして、信頼できる保証体制を築いておくことが安心につながります。

入居者選びは一度決めると簡単には変更できないため、慎重さが求められます。管理会社の経験やアドバイスも参考にしながら、長期的な視点で判断することが重要です。

なお、後述しますが、初めて家を貸すオーナーの方は、家賃保証会社への加入を入居者の必須条件として、家賃保証会社が行う厳しい審査を通過した人のみ入居可とする方法がおすすめです。

家賃保証会社とは、賃貸契約において入居者が家賃滞納した際に、代わりに家賃をオーナーに支払うことを保証する会社です。詳しくは「賃貸の家賃保証会社は入居審査で何を見ている?」の記事にてご確認ください。


4. 賃貸借契約を結ぶ際の注意点

 

契約は賃貸経営の基礎となる重要な手続きです。明確な取り決めと適切な契約形式の選択により、将来的なトラブルを未然に防げます。

  1. 一時的に家を貸す場合は定期借家契約を選ぶ
  2. 貸主借主どちらが修繕費を負担するか明記する
  3. トラブル時の契約解除条件を具体的に定める
  4. 許容する生活音やペット飼育など生活ルールを決める
  5. 家賃滞納リスクに備え家賃保証会社の利用を検討する

4-1. 一時的に家を貸す場合は定期借家契約を選ぶ

転勤などで一時的に家を貸す場合は、期間満了時に確実に物件を返してもらえる「定期借家契約」が適しています。契約の特性を理解し、適切な期間設定と手続きを行いましょう。

【定期借家契約のポイント】

  • 契約の特徴:定期借家契約は、契約期間の満了とともに更新なく確定的に終了する契約形態です。普通借家契約と異なり、貸主からの更新拒絶に「正当事由」が不要なため、オーナーの再入居計画がある場合に適しています。
  • 事前説明書の交付:定期借家契約を結ぶ際は、契約締結前に借主へ「定期建物賃貸借契約に関する事前説明書」を交付し、定期借家契約の内容と期間満了で終了することを説明する法的義務があります。この手続きを怠ると定期借家契約が無効となる可能性があるため、かならず実施しましょう。
  • 期間設定の考慮:転勤期間や再入居予定時期を考慮して、適切な契約期間を設定します。不確定要素がある場合は、最低限必要な期間として設定し、状況に応じて再契約することも検討すると柔軟性が保てます。
  • 終了通知の必要性:契約期間満了の1年前から6カ月前までの間に、借主に対して期間満了により契約が終了する旨を通知する必要があります。この通知を怠ると、借主が期間満了後も退去しない場合に法的手続きが複雑になるリスクがあります。
  • 再契約の条件整理:契約満了時に再契約を希望する場合の条件(家賃改定の有無など)をあらかじめ検討しておきます。転勤期間が延長された場合など、柔軟に対応できるよう準備しておくことが望ましいでしょう。

定期借家契約は物件の確実な返還が保証される一方、借主にとっては安定性に欠ける契約です。よって、賃料を通常より1~2割低く設定するなどの配慮が必要な場合もあります。

定期借家については、「定期借家のメリット・デメリットと向いているケース・不向きなケース」の記事もご覧ください。

参考:公益社団法人 全日本不動産協会「定期借家期間満了後の終了通知」

4-2. 貸主借主どちらが修繕費を負担するか明記する

賃貸中の修繕やメンテナンスは、その費用負担をめぐってトラブルになりやすい事項です。貸主と借主それぞれの負担範囲を、契約書で明確にしておきましょう。

【修繕負担の明確化ポイント】

  • 法律上の原則:民法では、賃貸物件の使用に必要な修繕は原則として貸主の負担とされています。ただし、借主の故意または過失による破損・汚損は借主負担となるため、この基本原則を踏まえたうえで契約条項を確認します。
  • 設備別の負担区分:給湯器や換気扇などの設備機器、水道・電気などのライフライン設備、建物の構造部分について、故障時の修理負担者を項目ごとに明確にします。基本原則は貸主負担ですが、経年劣化による故障と使用上の不注意による故障の区別をどうするかを具体的に定めておくと、後のトラブルを防げます。
  • 小額修繕の取り扱い:電球交換やフィルター清掃など小額の修繕・メンテナンスについては、一定金額(例:1万円)以下は借主負担とする特約を結ぶケースが一般的です。この金額の上限と対象範囲を明確にして、ささいな修繕依頼の乱発を防ぎつつ、必要な修繕は適切に行える体制を整えましょう。
  • 定期点検と予防保全:設備の定期点検や予防的なメンテナンスの負担についても明確化しておきます。計画的な点検と早期対応で大きな故障を防ぐことができ、結果的に修繕費の総額を抑えられるメリットがあります。

修繕負担の取り決めは「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(国土交通省)も参考に、公平かつ明確な条件を設定することが大切です。特約で借主負担を増やしすぎると入居者の満足度低下や早期退去につながる可能性もあるため、バランスの取れた内容にしましょう。

参考:東京都住宅政策本部「賃貸物件の修繕及び原状回復に 関するトラブルについて」

4-3. トラブル時の契約解除条件を具体的に定める

賃貸借契約では、家賃滞納や迷惑行為などのトラブル発生時に契約を解除できる条件を明確に定めておくことが重要です。解除条件を具体的に規定しておくと、深刻な問題が起きた際に適切に対処できます。

【契約解除条件の設定ポイント】

  • 家賃滞納の基準:家賃滞納が何カ月続いた場合に契約解除できるかを明記します。一般的には3カ月以上の滞納で解除条項が発動するケースが多く見られます。
  • 騒音・迷惑行為:近隣に迷惑をかける騒音や悪臭、違法行為などが認められた場合の対応を定めます。具体的にどのような行為が「迷惑行為」に該当するか例示し、警告後も改善されない場合は契約解除できる旨を明記しておくと、問題発生時の対応根拠となります。
  • 無断転貸の禁止:借主が第三者に無断で又貸し(転貸)することを禁止し、違反した場合は即時契約解除できる条項を入れておきます。とくに民泊など短期宿泊事業に利用されるリスクもあるため、明確に禁止事項として定めることが重要です。
  • 契約違反の是正手順:契約違反があった場合の是正要求の手順(書面による警告、是正期間の設定など)を明記します。いきなり解除ではなく段階的な対応手順を定めておきます。借主にも是正の機会を与えつつ、貸主の権利も守れる公平な仕組みを作ります。
  • 緊急時の立ち入り権:火災や漏水など緊急事態発生時に、貸主や管理会社が室内に立ち入れる条件を定めておきます。プライバシーへの配慮と緊急対応のバランスを取った条項にしておくと、必要時に迅速な対応が可能になります。

トラブル時の契約解除条件は、借主に不当に不利な内容にならないよう配慮しつつ、貸主の正当な利益を守る観点から設定することが大切です。法的効力を確保するためにも、条件は具体的かつ明確に記載しましょう。

4-4. 許容する生活音やペット飼育など生活ルールを決める

入居者の生活スタイルや好みはさまざまであり、それに伴うトラブルも発生しやすいものです。とくに生活音やペット飼育については、事前に明確なルールを設けることが重要です。

【生活ルール設定のポイント】

  • 生活音の基準:深夜や早朝の楽器演奏、パーティー、掃除機使用などについて時間帯の制限を設けます。「午後10時から午前7時までは大きな音を出す行為を控える」など具体的な基準を示して、近隣トラブルを未然に防ぎましょう。
  • ペット飼育のルール:ペット飼育の可否、許可する動物の種類、大きさ、数などを具体的に定めます。猫のみ可、小型犬1匹まで可、魚・小鳥のみ可など明確に規定し、違反した場合の対応についても契約書に記載しておきます。
  • 喫煙の取り扱い:室内での喫煙を許可するか禁止するかを明記します。喫煙可の場合でも、退去時のクリーニング費用負担を特約で定めるなど、詳細なルールを設けるとよいでしょう。
  • バーベキューや共有部分の利用:庭やベランダでのバーベキュー、共用部分の利用(マンションの場合)に関するルールを設定します。火災リスクや近隣迷惑を考慮し、適切な制限を設定します。
  • 改修・改装の制限:壁紙の張り替えや釘打ち、設備の取り付けなど、物件への改変をどこまで認めるかルールを決めます。「原状回復が可能な範囲」「事前に管理会社の許可を得ること」など条件付きで認める方法もあり、入居者の満足度向上につながります。

生活ルールの設定では、禁止事項を多くしすぎると入居者の生活の質を下げてしまいます。必要最低限のルールに留めることも大切です。物件の性質や周辺環境に合わせた合理的なルール設定を心がけましょう。

4-5. 家賃滞納リスクに備え家賃保証会社の利用を検討する

家賃滞納は賃貸経営において最も深刻なリスクのひとつです。入居者審査の項でも触れた「家賃保証会社」の利用を検討することが賢明です。

【保証会社利用のポイント】

  • 保証会社の役割:家賃保証会社は入居者が家賃を滞納した場合に、オーナーに代わって家賃を立て替え払いする役割を担います。滞納分は保証会社が入居者から回収するため、オーナーの家賃収入が途切れるリスクを大幅に軽減できる重要なサービスです。
  • 保証範囲の確認:家賃保証会社によって保証範囲は異なります。家賃だけでなく、共益費や更新料、原状回復費用まで保証されるのか、何カ月分まで保証されるのかなど、具体的な保証内容を確認して選択することが重要です。
  • 保証会社の信頼性:大手の家賃保証会社から地域密着型までさまざまな会社が存在しますが、財務基盤や実績を確認して選びます。保証会社自体が経営破綻すると保証機能が失われるリスクがあります。安定した会社を選ぶことが安心につながります。
  • 滞納時の対応フロー:滞納が発生した場合、誰がどのタイミングで入居者に連絡するのか、立替払いはいつ行われるのか、明け渡し請求はどの段階で行われるのかなど、一連の対応フローを事前に把握しておきましょう。

保証会社の利用は、安定した家賃収入の確保と滞納時の煩雑な手続きから解放されるメリットがあります。とくに兼業大家の方や遠方に住むオーナーなど常に物件を管理できない場合には、大きな安心材料となるでしょう。


5. 税金や費用面での注意点

 

家を貸して一定の利益を得ると、税金の申告・納税義務が生じます。さまざまな経費や費用についても正確に把握し、適切に管理することが重要です。

  1. 確定申告に向けて準備を進める
  2. さまざまな出費を予測して資金を確保しておく

5-1. 確定申告に向けて準備を進める

家を貸して得た利益は、「不動産所得」として課税対象となります。法に則った適切な申告と、過剰な納税を防ぐ節税の両観点から準備する必要があります。

【確定申告のポイント】

  • 申告義務の範囲:給与所得者でも、給与以外の所得(不動産所得のほか副業なども含む)が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。最初の年から適切に申告する習慣を身につけることが大切です。
  • 不動産所得の計算方法:不動産所得は「総収入金額-必要経費」で計算します。総収入には受け取った家賃や礼金、更新料などが含まれ、経費には固定資産税、管理費、修繕費、減価償却費、火災保険料などが計上できます。日頃からこれらの領収書や証明書類を整理し、経費の計上漏れがないようにすることが節税対策につながります。
  • 確定申告の期限:毎年1月1日から12月31日までの所得について、翌年2月16日から3月15日までに確定申告を行います。期限を過ぎると加算税や延滞税が発生する可能性があります。スケジュール管理をしっかり行うことが大切です。

出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」

初めての確定申告は複雑に感じるかもしれませんが、税理士に相談したり、税務署の無料相談を利用したりすることで適切に対応できます。一度手続きを理解すれば翌年からはスムーズに行えるようになります。

不安があれば、確定申告まで一気通貫でサポートするルーム・スタイルへご相談ください。

 

5-2. さまざまな出費を予測して資金を確保しておく

家を貸す際には家賃収入だけでなく、さまざまな諸経費がかかることを正確に把握しておくことが重要です。全体的な収支バランスを見据えた計画が成功の鍵となります。

【費用計算のポイント】

  • 初期費用の把握:貸し出し前の修繕やクリーニング費用、不動産会社への仲介手数料(通常家賃の1カ月分程度)、鍵交換費用などの初期投資が必要です。これらの費用は長期的な収益計画の中で回収していく前提で、適切な金額を見積もっておきましょう。
  • 定期的な維持費用:毎月の管理委託料(家賃の5%程度)、マンションの場合は管理費・修繕積立金、火災保険料(年払いまたは複数年一括払い)など、定期的に発生する費用を年間ベースで計算します。これらは家賃収入から差し引かれる経費となるため、手取り額を正確に把握するために重要です。
  • 突発的な修繕費用:設備の故障や建物の劣化による修繕費は予測が難しいですが、築年数に応じて一定の予備費を確保しておきましょう。とくに給湯器やエアコンなど耐用年数が限られている設備は、計画的な交換時期と費用を想定しておくと安心です。
  • 将来的な大規模修繕:外壁の塗り替えや屋根の修理など大規模修繕が必要になることも考慮します。一戸建ての場合は5~10年ごとに大規模修繕の可能性があるため、毎月の家賃収入の一部を積み立てておくと、まとまった修繕費用に備えられます。
  • 管理の手間と時間コスト:自分で直接管理する場合は、時間的コストも考慮が必要です。とくに遠方にいる場合、緊急対応や日常点検のために現地に行く交通費や時間的負担は大きくなります。こうした観点からも、管理会社に委託するメリットを金銭的価値で評価しておくとよいでしょう。

収支計算では収入面だけでなく支出面も現実的に見積もることが重要です。とくに長期的な視点での費用予測を行い、安定した賃貸経営を実現するための資金計画を立てましょう。


6. まとめ

本記事では「家を貸すときの注意点」をテーマに解説しました。

  1. 住宅ローン規約違反にならないか確認する
  2. 賃貸と売却の収支シミュレーションを行っておく
  3. 家賃滞納や近隣迷惑行為などのリスクを把握する
  4. 賃貸仲介と管理の両方に強い会社か確認する
  5. 担当者の専門知識とレスポンス速度をチェックする
  6. 管理委託契約書の内容を隅々まで確認する
  7. 会社の評判や過去の管理実績を調査する
  8. 修繕箇所や動作の確認をして設備不良のクレームを防ぐ
  9. 残置物トラブル回避のため所有権と撤去方法を明確化する
  10. 賃貸中の事故に対応できる火災保険か確認する
  11. 近隣トラブル防止のために事前あいさつを行う
  12. 入居者希望者の人柄・生活態度や信頼度を見極める
  13. 一時的に家を貸す場合は定期借家契約を選ぶ
  14. 貸主借主どちらが修繕費を負担するか明記する
  15. トラブル時の契約解除条件を具体的に定める
  16. 許容する生活音やペット飼育など生活ルールを決める
  17. 家賃滞納リスクに備え家賃保証会社の利用を検討する
  18. 確定申告に向けて準備を進める
  19. さまざまな出費を予測して資金を確保しておく

適切な準備と管理を行えば、大切な家を守りながら有効活用できます。本記事で解説した注意点を参考に、失敗しない賃貸経営を実現してください。

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