
退去の連絡が入ると、
「原状回復って、いくらくらいかかるんだろう。」
「次の入居者はすぐ決まるかな。」
オーナー様の立場としては、はじめにこの2点が気になるでしょう。
空室が続けば、その間の家賃収入は入ってきません。だからといって、費用をかければ早く決まるとも限らないのが難しいところです。
そこで今回は、私たちが原状回復のご相談を受けた際に、本当に必要な工事とは何か、どんな視点で工事内容をご提案しているのか、をご紹介します。
「うちの物件はどこまで工事すべきか分からない」という方は、まずは現地を見ながら一緒に整理していきます。市場調査から募集条件の見直しまで、状況に合わせてご提案しますので、お気軽にご相談ください。
目次
「低コスト修繕」「最新設備の導入」が正解ではない

「今回は、できるだけお金をかけたくない。」
収支に余裕がない場合、そう考えるオーナー様はたくさんいます。
実際、原状回復費用が数十万円にのぼることもあるため、少しでも抑えたい気持ちは自然なことです。
ただし、工事費の安さだけを見て判断すると、結果的に空室期間が長くなってしまうことがあります。
反対に、「せっかくなら一新しよう」と必要以上に設備を交換しても、その費用を回収できるとは限りません。
私たちも、まず考えるのは「この部屋なら、どこに費用をかけるのが効果的か」です。
その物件を探している入居者が何を重視するのかを考え、効果の出やすい部分に絞って投資することです。
原状回復工事より先に市場調査をする

では、どのような順番で判断すればよいのでしょうか。
退去後の部屋を見ると、クロス張替えや水回りのクリーニングなど、さまざまなポイントが気になります。
しかし、この判断の前に確認したいのが「現在の賃貸市場」です。
前回の家賃が今回も適正とは限らない
私たちの管理現場では、退去が発生するたびに、前回と同じ家賃や募集条件をそのまま設定するわけではありません。
周辺の物件や成約事例、過去の反響を確認し、現在の賃貸市場でどの程度の家賃が現実的なのかを考えます。
中には、前回と同じ家賃でそのまま募集を続ける管理会社もありますが、私たちはそうではなく、退去が出るたびに現在の相場を確認します。数年前に決まった家賃が、そのまま今も適正とは限らないからです。
特に東京23区内は家賃相場が上昇しているエリアも多いため、「今ならいくらで募集できそうか」というリアルタイムな視点を持って家賃を見直しています。
それが、収益を伸ばすポイントの一つです。
写真や募集条件まで含めて考える
確認するのは、家賃だけではありません。
室内写真や募集図面、設備情報、敷金・礼金などの条件も含めて、「今の条件で、入居希望者にどう見えるか」を考えます。
- 現状のままでも決まりそうか
- 最低限の原状回復でよいか
- 設備交換まで行うべきか
- 間取り変更に投資する価値があるか
といった部分を判断します。
市場を確認してから、リフォームへの投資額を決める。
この順番が重要です。これを行うことで「本当に必要な内容」が見極めやすくなってきます。
賃料アップの成功事例|約200万円の改修

(※画像はイメージです。)
実際に、弊社のオーナー様で、リフォームにまとまった費用をかけたことで、家賃アップに成功した事例があります。
【築約45年】改修前の賃料は9~10万円
23区内にある築45年ほどのとあるマンション。改修前の賃料が月額9万円から10万円ほどでした。
築年数が経過しており、内装や水回りにも古さが見られたため、そのまま原状回復をして募集するのではなく、間取りや設備を含めた見直しをご提案しました。
実施した内容は、主に次のとおりです。
- 和室から洋室への変更
- 間取りの見直し
- クロスの張り替え
- 水回り設備を一新
改修費用のトータル額は、約200万円です。
改修後は約14万円で成約
この工事後、月額約14万円での募集・成約につながりました。
単純に「200万円」という金額だけを見ると、負担が大きいと感じるかもしれません。
しかし、家賃が月4万円上がれば、年間では48万円の増収になります。
もちろん空室期間や維持費なども考慮する必要がありますが、単純計算でも約4年2か月で工事費を回収できる計算です。
さらに、設備や内装が整うことで、次回の空室期間の短縮も期待できます。
目先の工事費だけではなく、その後何年運用するのか、どの程度の家賃改善が見込めるのかまで考えて判断した事例です。
リフォームする前に、「工事が本当に必要か」を考える

私たちは退去が出たからといって、最初からリフォームはご提案しません。
周辺の市場を見ながら、「最低限の原状回復で十分なのか」「設備交換まで必要なのか」を一つずつ整理していきます。
そして、「今の市場において、この部屋は何が足りないのか」をお伝えします。
募集内容を見直すだけで変わることもある
物件そのものではなく、情報の見せ方が原因で反響につながっていないケースもあります。
たとえば、次のような点です。
- 室内の状態が分かる写真が揃っているか
- 360度パノラマなどで室内を確認できるか
- 設備情報に漏れがないか
- 駐車場や契約条件が分かりやすく掲載されているか
- 必ずかかる費用が記載されているか
- 物件の魅力が言葉で伝わる内容になっているか
「リフォームをするか」「家賃を下げるか」を考える前に、こうした点を見直すだけで状況が変わることもあります。
実際に、約1年間空室だった物件について相談を受けたことがありました。
このときも、最初に考えたのは「どこをリフォームするか」ではありません。
市場リサーチ・条件の見直しをしたところ、こちらの物件は大規模なリフォームは行わずに募集を進めることになりました。
その結果、大きな条件変更することなく、再募集開始から1か月未満で成約しています。
家賃を下げるのは、本当に最後
空室が続くと、家賃を下げるという選択肢が頭に浮かびます。
ただし、仮に家賃を月5,000円下げれば、年間では6万円、5年間では30万円の減収になります。
一度下げた家賃は、その後の収益に長く影響します。
だからこそ私たちは、工事や値下げを急ぐのではなく、「今の物件なら、どこを見直せば決まりやすくなるのか」を先に整理しています。
投資額は「成約速度」と「回収期間」で考える
原状回復やリフォームの内容で迷ったら、工事費だけでなく「回収期間」と「成約スピードへの影響」も合わせて見ましょう。
たとえば50万円の工事で家賃が月5,000円上がる場合、単純計算では回収に約8年かかります。
これだけ見ると効果は薄そうですが、その工事で空室期間を3か月縮められるなら、その分の家賃収入も加味すべきです。
逆に、高額な設備でも家賃・成約スピードに影響しないなら投資効果は低いといえます。
また、近く売却予定か長期保有かによっても、かけるべき費用は変わります。長期保有なら数年がかりで回収する工事も検討しやすく、売却が近いなら大規模工事より最低限の修繕と募集方法の改善を優先すべき場合もあります。
工事前に整理しておきたいポイント
- 現状家賃と工事後の想定家賃
- 周辺競合物件の状況
- 工事費の回収期間
- 短縮できそうな空室期間
- 今後の所有予定年数
まとめ|原状回復の目的は「収益を伸ばすこと」
原状回復やリフォームの目的は、次の入居者に選ばれ、適正な家賃で安定して貸し続けられる状態をつくることです。
そのため、物件によっては設備交換や間取り変更が効果的な場合もあれば、写真や募集条件を見直すだけで十分なケースもあります。
退去が決まったら、まず考えたいのは「いくら工事費を抑えるか」ではなく、「この部屋をどうすれば選んでもらえるか」ということ。
市場や物件の状態を踏まえながら、本当に必要な投資を見極めることが、長期的な収益につながります。





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