賃貸アパートが事故物件|大家が取るべき対応をわかりやすく解説

「賃貸アパートで入居者が亡くなってしまったけれど、もしかして事故物件になってしまったのでは?」
「事故物件になった場合、いつまで告知しなければならない?」

自身が所有する賃貸アパートで入居者が亡くなり、このようにお悩みの人もいるでしょう。

実は、入居者が室内で亡くなった場合であっても、必ずしも事故物件になるわけではありません。たとえば、病気や寿命といった「自然死」である孤独死の場合は、基本的には告知義務は発生せず、事故物件とはなりません。

ただし、孤独死であっても特殊清掃が必要になった場合は告知が必要になります。
このように、死因や場所、状況に応じて事故物件に該当するのかどうなのかを判断する必要があります。

ちなみに、事故物件になったかどうかや、いつまで告知すべきかどうかという点については明確な決まりはありません。

しかし、これらの判断基準は、国土交通省の宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」に記されています。事故物件にまつわる損害賠償の訴訟において、裁判所はこのガイドラインに基づいて判断するケースが多いため、ガイドラインをもとに対処することでトラブルを避けられる可能性が高まります。

そのため、このガイドラインを理解して事故物件かどうか、告知期間はどうするのかを判断することが大切になってきます。

この記事では、所有する賃貸アパートが事故物件になってしまった場合に大家さんがすべきことについて、ガイドラインをもとに詳しく解説していきます。お読みいただくことで、これからどのように動くべきなのかがわかります。

事故物件の定義や、事故物件の空室対策なども解説していますので、ぜひ最後までお読みください。

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1. 賃貸アパートが事故物件になった場合に大家が取るべき対応の流れ

賃貸アパートが事故物件になってしまった場合、大家さんは以下の流れに沿って行動しましょう。

このように行動することで、以下のように損失を最小限におさえて、適切に空室対策をおこなえます

  • そもそも事故物件になっているのか正確に判断できる
  • 適切な告知義務期間を設けられ、入居者とのトラブルを避けられる
  • 事故物件になったことによってかかった費用を適切に請求できる
  • 事故物件でも借り手が見つかるような空室対策をおこない、空室期間を最小限におさえられる

「事故物件になってしまったかもしれない」という焦りや不安があるかと思いますが、損失を増やさないためにもなるべく早く動き出しましょう。

では、次章から上記の手順をひとつずつ解説していきます。


2. STEP1.賃貸アパートが本当に事故物件に該当するかガイドラインで判断する

 

まず、事故物件の定義を把握しておきましょう。事故物件になったと思っていたものの、実は該当していないという可能性もあるからです。もしも事故物件の定義に当てはまらなければ、告知する必要がなくなり、多大な損失を発生させずに済みます。

冒頭でもお伝えしたようにどのような状況が事故物件に該当するのかいう明確な定義はありません
しかし、国土交通省の宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」に、その基準が記載されています。

ガイドラインは法律ではないため強制力はありません。しかし、政府が判断基準として発表しているものなので、これを目安に判断するのがもっとも安心であるといえるでしょう。

下記は、ガイドラインで記載されている状況をわかりやすくまとめたものです。

【事故物件に該当する状況一覧】

状況詳細
自然死や不慮の事故以外で入居者が死亡した場合
  • 他殺・自死・火災などによる事故死はこれに該当する

※不慮の事故とは、階段からの転落・入浴中の溺死・転倒事故・食べ物をのどに詰まらせたことによる窒息死などを指す

自然死や不慮の事故での死亡ではあるが、特殊清掃などがおこなわれた場合
  • 発見が遅れてしまい、特殊清掃が必要なほど遺体が腐敗していた場合はこれに該当する
借主・入居者が日常生活で使用する共用部分で自然死や不慮の事故以外での死亡があった場合
  • 他殺・自死・火災などによる事故死はこれに該当する
  • 階段・廊下・エントランスなど、入居者や貸主が普段から出入りする場所を指す
  • 自然死や不慮の事故でも特殊清掃がおこなわれた場合はこれに該当する

※ここで言う事故物件とはガイドラインで「告知義務あり」となっている状況を指します

状況によっては、室内以外の共有部分で死亡した場合も事故物件になります。また、入居者が死亡した物件の両隣などの物件は、基本的に告知対象とはなりません。


3. STEP2.告知義務について把握する

ガイドラインの基準で、自分が保有する賃貸アパートが事故物件に該当した場合、告知義務について以下のことを把握しておきましょう。

  • 告知義務の期間を把握する
  • 告知内容について把握する
  • 告知範囲について把握する
  • 入居者募集時の告知方法について把握する
  • 告知をせずに事故物件を貸し出した場合のリスクを理解しておく

では、告知義務について詳しく解説します。

3-1. 告知義務の期間を把握する

告知すべき期間は、賃貸であれば原則として3年程度とされています。これは、「人の死による心理的瑕疵(かし)は、時間の経過とともに希釈される」という考えのもと、ガイドラインに記されています。

瑕疵は、以下のような意味を持つ言葉です。

  • きず、欠点
  • 法律や当事者の予測において通常あるべき品質を欠いていること

賃貸に関する「瑕疵」とは、土地や物件になんらかの不具合があることを指します。事故物件の場合は心理的に抵抗感が生まれて生活に影響が出る「心理的瑕疵」にあたります。

【心理的瑕疵とは】

借主や買主にとって、心理的な抵抗が生じる恐れがあること

注意すべきなのが、事故物件を手放したくて売却する場合です。過去の判例として物件売買の際に、数十年以上前の事故について告知しなかったことが告知義務違反になったケースもあります。

【告知義務違反とされた判例】

■判例1

事案
  • 買主は賃貸目的で物件の売買契約を締結した
  • 決済前に隣人より、12年前に当物件内で絞首自殺があったことを聞いた
  • 売主はその事故から長年経過していたことで、買主に告知をしなかった
  • 買主は売主に契約解除を請求した
裁判所判断

当物件の立地条件・事故を知った経緯・建て替え不可であるという状況を加味した結果、12年では自殺に対する嫌悪感がなくなるとは言えないとして、契約解除請求を認めた

経過
売主が控訴したものの、その後、売主と買主で売買契約の解除で和解した

■判例2

事案
  • 売買の際に、買主は売主から事件・事故はなかったと聞いていた
  • しかし、実際には7年前に当物件で殺人事件があった
  • 売買が完了した後に事件を知った買主が、3,300万円の損害賠償を請求した
裁判所判断
  • 殺人事件の発生は社会通念上、売買価格に相当の影響を与え、契約の成否を左右するものであるため、告知をしなかったことは買主に対する不法行為にあたるとし、市場価格の1,575万円と買主の弁護士費用160万円を認めた

参照:国土交通省「建物賃貸借と心理的瑕疵に関する裁判例」

これらの判例から、売却の場合は自死や他殺は時間経過によって告知義務はなくならないと考えておくべきでしょう。

【事故物件に誰かが住んでも告知義務はなくならない】

「事故物件となった物件に誰かが短期間でも住めば、その後は事故物件として告知しなくてもいい」という話を耳にしたことがある人は多いでしょう。

しかし、ガイドラインやさまざまな判例を見ても、「誰かが入居すればその後は告知しなくてもいい」というものはありません。そのため、ガイドラインの「3年」という告知期間は守ることをおすすめします。

たとえば、事故物件であることを理解しながら入居した人が3年以上住んだのであれば、その後は告知しなくても問題ない可能性が高いといえますが、短期間で退去したのであれば、基本的に事故物件となってから3年間は入居募集する際に告知すべきでしょう。

事故物件となった場合の告知義務の期間は、賃貸と売却の場合で異なることを理解しておきましょう。

【賃貸と売却の告知義務期間の違い】

賃貸原則として3年程度
売買自死や他殺の場合は3年以上経過しても告知義務が無くならない可能性がある

3-2. 告知内容について把握する

どこまでを告知しなければならないのか、その範囲を理解しておきましょう。

【告知内容】

発生時期・場所
  • 事故や事件の発生時期
  • 事故や事件の発生場所
死因
  • 病気、事故、自殺、殺人などの死亡原因
特殊清掃について
  • 特殊清掃がおこなわれたか
  • 特殊清掃がいつおこなわれたか
  • どこを清掃したか

反対に、以下のような故人や遺族のプライバシーに関することは、知っていても伝えてはいけません。

  • 名前
  • 年齢
  • 住所
  • 勤務先 など

このような個人情報が漏れた場合、別のトラブルに発展しかねないため、注意しましょう。

3-3. 告知範囲について把握する

告知内容だけでなく、「どの範囲まで告知すべきか」を理解しておくことも大切です。

まず気になるのが、事故物件となった部屋の両隣に告知すべきなのかという点です。ガイドラインによると、両隣への告知義務は基本的にありません。

次に理解しておきたいのが、入居者が普段から利用する共有部分で死亡事故があった場合です。共有部分も自然死に関しては告知義務はありませんが、以下のような場合はその共有部分を使用する物件に対して告知義務が発生します。

  • 他殺
  • 自死
  • 火事などによる事故死

たとえば、以下は202号室前で殺人事件が起きたと仮定したものです。

階段が左側にあるため、日常的に殺人が起こった現場を通らない201号室には告知をする必要がありません。しかし、事件現場を通る必要がある202・203号室については、告知義務が発生します。

3-4. 入居者募集時の告知方法について理解する

実は告知義務がある場合でも、入居者募集のWebページやチラシに

  • 事故物件
  • 前入居者死亡

といったことは記載する必要がありません。ただし「告知事項あり」という記載は必須です。

事故物件への問い合わせがあった場合などに、どのような事件があったのかを説明しましょう。

3-5. 告知をせずに事故物件を貸し出した場合のリスクについて理解する

「ガイドラインに強制力がないのであれば、守る必要はないのでは?」と感じた人もいるのではないでしょうか。しかし、告知をせずに入居させ、のちに事故物件であることが知られて訴訟を起こされた場合、損害賠償として慰謝料などを支払わなくてはならない可能性があります。

事故物件の定義は法律で定められてはいないものの、「瑕疵(かし)」がある場合は、それを売却する人や入居を考えている人に伝えなければならないという告知義務があるからです。

では、具体的に損害賠償としてどれだけの支払いが必要になるのか、国土交通省が公開している「建物賃貸借と心理的瑕疵に関する裁判例」から抜粋した判例を見てみましょう。

【心理的瑕疵に関する判例】

事案
  • 入居直後に、1年5か月ほど前に入居物件にて自殺事件があったことを知った借主が退去した
  • 告知をしなかった貸主に退去費用等を請求した
裁判所判断
  • 事件を知る貸主は、借主に事件を告知する義務があり、借主が負った損害について賠償責任を負う
  • 賃料・礼金・補償金・引越費用・エアコン工事費用として64万円、慰謝料30万円、弁護士費用10万円の計104万円を認め

参照:国土交通省「建物賃貸借と心理的瑕疵に関する裁判例」

このように、告知せずに後から入居者に知られた場合、多大な損失になるだけでなく、裁判に出廷するなどの労力もかかります。このようなリスクを避けるためにも、ガイドラインの基準は守りましょう。


4. STEP3.事故物件となったことによる損失を誰が負担するのかを明確にする

事故物件になってしまった場合、以下のようなことをおこなわなくてはなりません。

  • 特殊清掃
  • 原状回復
  • 未払い家賃の回収
  • 事故物件になったことによる家賃減額
  • 残置物の処分

これらにかかる費用を誰が負担するのかを明確にし、場合によっては遺族などに請求してください。死因ごとにどの費用をだれに請求できるかを把握し、できる限り損失を減らしましょう。

【損失を補填すべき人

特殊清掃・
原状回復費
未払い家賃家賃減額分残置物の処分費
自然死や不慮の事故(特殊清掃なし )大家・遺族遺族大家遺族
自然死や不慮の事故(特殊清掃あり)遺族遺族大家遺族
他殺被告人遺族被告人被告人
自殺遺族遺族遺族遺族

まず、自然死や不慮の事故は、死亡した入居者本人に過失がないため、基本的に特殊清掃を含めた原状回復費用を遺族に全額請求することができません。
この場合は、一般的な退去時と同様に、減価償却などを加味した請求を遺族に対しておこないます。

ただし、特殊清掃が必要だった場合は自然死や不慮の事故であったとしても、特殊清掃費用を含めた原状回復費を遺族に請求できます。

他殺の場合も死亡した入居者が故意・過失で死亡したわけではないため、遺族に対して家賃減額分などの損害賠償請求はできません。ただし、殺人事件を起こした被告人には原状回復費用や家賃減額分の損害賠償請求が可能です。

被告人に損害賠償請求をしたい場合は、警視庁の「犯罪被害者等施策」を参考にしてください。

遺族に対してすべての費用を請求できるのは、自殺の場合です。自殺は死亡した入居者の過失とされるため、原状回復費用や家賃減額分の損害賠償を遺族に請求することが可能です。

■未払い家賃に関する補足
一般的に、未払い家賃の補填は「連帯保証人がおこなうもの」というイメージがあるかと思いますが、入居者が死亡した場合においては、まず遺族に支払い責任が発生します。なぜなら日本の法律では、遺族(相続人)は亡くなった方の権利義務をすべて相続することになるからです。

この「権利義務」には、亡くなった方の生前の債務(未払い家賃など)も含まれるため、未払い家賃はまず相続人に支払う責任が発生するのです。

ただし、以下のような場合は連帯保証人に未払い家賃を請求することになります。

  • 遺族がいない
  • 遺族と連絡が取れない
  • 遺族が相続を放棄した

そのため、まずは遺族に連絡が取れるかを試みて、遺族への請求が難しい場合は連帯保証人に請求する流れとなります。

■残置物の処分費に関する補足

残置物の処分費も未払い家賃と同様に、まずは遺族に請求します。遺族への請求が困難な場合は連帯保証人に請求しましょう。

ただし、他殺の場合のみ、原状回復費用は被告人への請求となるため、請求先は遺族ではなく被告人になります。

【遺族が相続を放棄した場合について】

遺族が相続を放棄した場合は、財産だけでなく負債もあわせて放棄されるため、すべての損害賠償請求ができなくなってしまいます。

ただし、連帯保証人は相続を放棄したとしても賠償義務は無くならないため、そのような場合は連帯保証人に対して請求をおこないましょう。


5. STEP4.事故物件に借り手が付くよう空室対策をする

事故物件になったことで借り手がつかなくなれば、大家さんにとって大きな損失になります。そこで、事故物件における空室対策にはどのような方法があるかを知り、対策しましょう。

【事故物件の空室対策】

メリットデメリット

家賃を値引きする

家賃が大幅に値下げされるため、入居者が見つかりやすい

  • 告知義務期間が満了しても、入居者がいた場合は家賃を元に戻しにくい
  • 長期的に考えると損失が大きくなる可能性がある

フリーレントで貸し出す

  • 家賃を値下げしなくても、入居者が見つかりやすくなる
  • 長期的に考えると損失をおさえやすい
フリーレント期間はその物件の収入がなくなる

敷金・礼金・更新料など家賃以外の費用を値引き、もしくは無料にする

  • 家賃を値下げしなくても、入居者が見つかりやすくなる
  • 長期的に考えると損失をおさえやすい
  • 礼金や更新料が受け取れなくなる
  • 敷金をなしにすることで、退去時に請求が高額になりトラブルになる可能性がある

入居条件を緩和する

  • 人気の高い条件を可にすることで周囲の物件と差別化し、入居者が見つかりやすくなる
  • 家賃の値引きをおこなわなければ、もっとも損失が少なくて済む
  • すでに入居している住民からクレームがくる可能性がある(楽器やペットの鳴き声による騒音など)
  • 条件によっては物件の劣化が早くなる(ペットが壁をひっかくなど)

大規模なリフォームをおこなう

家賃以上の価値がある内装にすることで、入居者が見つかりやすくなる
  • リフォーム費用がかかる
  • 死亡した入居者の状態がひどく、それをごまかすためにリフォームしたと勘違いされる可能性がある

管理会社を使う

  • 管理会社の客付けのノウハウで、家賃を可能な限り下げずに入居者を見つけられる
  • 家賃保証や原状回復費用保証で損失をおさえられる
  • 事故物件以外のリスクにも備えられる
管理費用がかかる

では、これらの空室対策について具体的に解説していきます。

5-1. 家賃を値引きする

もっとも一般的な方法が、家賃の値引きです。相場としては、1~5割程度値引きして貸し出すのが一般的です。

値引き率については、死亡原因や死亡場所によって判断しましょう。たとえば、孤独死と自殺では、感じる嫌悪感も変わりますし、死亡した物件なのか共用部分なのかでも違うでしょう。

一般的な値引き率の相場は以下のとおりです。

死因値引き率値引き後の家賃(家賃8万円の場合)
特殊清掃が必要になった自然死・不慮の事故10~50%72,000~40,000円
自殺30~50%56,000~40,000円
他殺
70~80%
24,000~16,000円

上記はあくまでも目安であり、時間の経過や発生場所によっても値引き率は変わるため、慎重に決めましょう。

【3年経過したら家賃を値上げできるか】

事故物件となってから3年が経過したら、家賃をもとに戻しても問題ないでしょう。ただし、入居者がいる場合は双方が値上げに合意する必要があります。

更新時などに通常の家賃に戻すべく値上げを通告したものの、拒否される可能性もあります。それをきっかけとして家賃を滞納されたり、値上げに応じてもらえず退去してもらわなくてはならなかったりと、トラブルに発展する可能性もあるため、値上げは慎重に判断しましょう。

5-2. フリーレントで貸し出す

家賃を下げると、告知期間後も入居者が住み続けていた場合、家賃を元に戻しにくいというデメリットがあります。そこで、フリーレントで貸し出すことも検討しましょう。

フリーレントとは、「入居から〇ヶ月家賃無料」といったように、一定期間家賃がかからない契約形態のことです。たとえば、3月間のフリーレントであれば、最初の3月は家賃が無料になり、その後は通常の家賃を支払ってもらいます。

フリーレントにすることで、入居者は初期費用をおさえられるというメリットがあります。そのため、引っ越しにかかる費用をできる限りおさえたい人が入居してくれる可能性があるでしょう。

フリーレントにする場合は、賃貸検索サイトや入居者募集の張り紙などに「フリーレント〇か月」と記載し、アピールしましょう。賃貸検索サイトの場合は、絞り込み機能の項目に「フリーレント」があるケースが多く、そのような物件を探している人の目にも止まりやすくなります。

また、契約書の内容にも、フリーレント期間について記載してください。

フリーレント期間はその物件の家賃収入がなくなります。そのことを念頭に置いて検討しましょう。

5-3. 敷金・礼金・更新料など家賃以外の費用を値引き、もしくは無料にする

家賃を値下げせず、敷金・礼金・更新料などの費用を値引きするか、無料にする方法もあります。

敷金・礼金が無料、もしくは近隣よりも安ければ、入居者は引っ越し費用をおさえられます。また、更新料がかからない物件は少ないため、無料にすることで長く住み続けやすいと思ってもらえる可能性があるでしょう。

この対策をおこなう場合は、「敷金・礼金・更新料0円!」といったように、賃貸検索サイトや入居者募集の張り紙でアピールしてください。

ただし、敷金は0円にすることで、退去時に請求が高額になりトラブルになる可能性もあることを理解しておきましょう。

5-4. 入居条件を緩和する

入居条件を緩和することで、入居してもらいやすくなる可能性もあります。

たとえば、ペット可・楽器可などといった条件です。需要は多いものの近隣物件に少ない条件を可にすることで、入居者が見つかるかもしれません。

ただし、楽器可にしようとしても、騒音問題を考えなければならず、ペット可にする場合もアパートのほかの入居者からの反発がある可能性も考えられます。

入居条件をどこまで緩和するかは、慎重な判断が必要です。

5-5. 大規模なリフォームをおこなう

大規模なリフォームをおこない、部屋の価値を高めて入居者を見つけやすくするという手もあります。家賃以上に魅力的な部屋であれば、事故物件でも住みたいと思う人が見つかる可能性があるでしょう。

ただし、死亡による汚れやにおいなどをごまかすためのリフォームであると思われないように、誤解されないような説明が大切です。

リフォームをおこなう場合は、特殊清掃が済んでから業者に依頼しましょう。また、その際に事故物件であることを伝えてください。

事故物件であることを伝えずに依頼した場合、リフォーム業者の契約内容によっては、契約違反となる可能性があるからです。

【リフォーム費用】

ワンルーム程度の物件の壁紙や床をすべて交換した場合の相場は5~7万円です。

また、設備を交換する際の相場は以下のとおりです。

  • トイレ:約10万~25万円
  • ユニットバス:約40万~150万円
  • 洗面所:約7万~20万円
  • エアコン:やk5万~15万円

リフォームをどこまでおこなうかによって、費用が数百万円かかってしまう可能性もあるため、慎重に検討することが大切です。

5-6. 管理会社を使うのもひとつの手

事故物件の入居者を見つけるのであれば、管理会社を使うのもひとつの手です。

入居率の高さを謳っている管理会社であれば、客付けのノウハウがあると考えられます。そのため、事故物件に対してできるだけ家賃を下げず、どのように入居者を募集すべきかを適切に判断し提案してくれるでしょう。

また、管理会社によっては家賃保証のほかに原状回復費用の保証がある会社もあります。そのような管理会社であれば、入居者の死亡といったことが起こっても、大家さんの負担を最小限に抑えられます。

そのため、管理会社を選ぶ際は、客付け力が高く保証が充実した管理会社を選ぶことをおすすめします。

【客付け力と充実した保証で選ぶならルーム・スタイル】

弊社ルーム・スタイルの場合は「年間入居率98%・平均入居1ヶ月の客付け」という実績があります。東京都の平均空室期間では約4.5ヶ月ですが、弊社では最短1日、平均1ヶ月で入居者様を獲得した実績があります。

15年以上の実績による経験やノウハウがあるため、「事故物件になってしまった…」といった万が一の場合でも、利益を最大化しながら短期間での客付けをおこないます。

また、以下のように死亡保証や原状回復保証が管理プランに標準完備されているため、さまざまなリスクにも備えられます。

賃貸管理会社へ依頼する場合の手数量相場は家賃の5%ですが、弊社では上記保証が付いて「総合管理プラン」の管理委託料は3%です。

また、賃貸オーナーさまの状況に応じて柔軟にプランもお選びいただけます。

空室対策やリスクへの備えにお悩みの方は、ぜひ弊社へご相談ください。

 


6. まとめ

この記事では、賃貸アパートが事故物件になってしまった場合に、大家さんがやるべきことについて解説してきました。最後にまとめをご覧ください。

【賃貸アパートが事故物件になった場合の対応の流れ】

【ガイドラインによる事故物件の基準】

状況詳細
自然死や不慮の事故以外で入居者が死亡した場合
  • 他殺・自死・火災などによる事故死はこれに該当する

※不慮の事故とは、階段からの転落・入浴中の溺死・転倒事故・食べ物をのどに詰まらせたことによる窒息死などを指す

自然死や不慮の事故での死亡ではあるが、特殊清掃などがおこなわれた場合
  • 発見が遅れてしまい、特殊清掃が必要なほど遺体が腐敗していた場合はこれに該当する
借主・入居者が日常生活で使用する共用部分で自然死や不慮の事故以外での死亡があった場合
  • 他殺・自死・火災などによる事故死はこれに該当する
  • 階段・廊下・エントランスなど、入居者や貸主が普段から出入りする場所を指す
  • 自然死や不慮の事故でも特殊清掃がおこなわれた場合はこれに該当する

【賃貸アパートが事故物件になった場合の損失の負担】

特殊清掃・
原状回復費
未払い家賃家賃減額分残置物の処分費
自然死や不慮の事故(特殊清掃なし )大家・遺族遺族大家遺族
自然死や不慮の事故(特殊清掃あり)遺族遺族大家遺族
他殺被告人遺族被告人被告人
自殺遺族遺族遺族遺族

【事故物件の空室対策の方法】

  • 家賃を値引きする
  • フリーレントで貸し出す
  • 敷金・礼金・更新料など家賃以外の費用を値引き、もしくは無料にする
  • 入居条件を緩和する
  • 大規模なリフォームをおこなう
  • 管理会社を使う

事故物件になってしまった場合、告知義務の期間や損失をどうするかを考え、適切に空室対策をおこないましょう。また、客付け力の高い管理会社への依頼も検討してみてください。

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