賃貸経営でおすすめの間取りとは?ターゲット別に徹底解説

「賃貸経営をしようと思っているけど、物件にどの間取りを採用するべきか迷う…」
「賃貸経営をするうえで、どの間取りがおすすめなのか知りたい」
と考えていませんか?

物件の入居者ターゲット別におすすめの間取りをまとめると、以下のとおりになります。

ターゲットおすすめの間取り
単身者1K、1DK
ファミリー2LDK、3LDK
カップルや夫婦1LDK、2DK、2LDK
学生1R、1K

ただし、現時点で入居者ターゲットが明確に決まっていれば良いのですが、ターゲットが定まっていない状態で上記の表を見ていても間取りは決まりません。

賃貸経営において間取りを決める際は、

①賃貸経営を希望するエリアの「立地条件」「周辺状況」「年齢構成」など、エリアの特徴を調査
②そのうえで入居者のターゲットを決める
③そしてターゲットのニーズに合わせて間取りを決める

というプロセスを踏むことが、賃貸経営を成功させるうえで重要です。

上記のようなプロセスを経ないまま間取りを決めてしまうと、「ターゲットのニーズ」からずれてしまい、「入居したい」と思ってもらえない物件になってしまいます。その結果、空室増加や収益性の低下につながってしまうのです。

そこでこの記事ではまず、

・賃貸経営において間取りを決める際は、事前に「入居者ターゲット」を決めることが重要
・入居者ターゲットの決め方

を解説します。そして、

・ターゲット別のおすすめの間取り

をご紹介します。

また本記事の内容は以下のとおりです。

【本記事の内容】 
◆賃貸経営で知っておきたい間取りの種類一覧
◆賃貸経営において間取りを決める際は、事前に「入居者ターゲット」を決めることが重要
◆入居者ターゲットごとにおすすめの間取り
◆賃貸経営で間取りの詳細を決める際のポイント
◆入居してもらいやすい物件にするための3つのコツ

この記事を読むことで、ご自身がオーナーとなる物件の間取りを決めることができるようになります。

また物件に最適な間取りだけでなく、入居してもらいやすくなるためのコツも知って、入居率が高い物件にするためのノウハウを手に入れることができます。

ぜひ最後までお読みください。

賃貸管理完全ガイド
依頼すべき理由

1.賃貸経営で知っておきたい間取りの種類一覧

賃貸経営におけるおすすめの間取りを知るために、まずは間取りの種類を理解しておきましょう。

間取りの種類はいくつもあり、数字とアルファベットで構成されているため、理解していないと2章以降の内容がわからなくなってしまいます。

以下に賃貸経営で知っておきたい間取りの種類を記載したので、参考にしてください。

間取りの種類・名称をすでに知っている場合は、「2.賃貸経営において間取りを決める前に入居者ターゲットを決めることが重要」へと読み飛ばしましょう。

【間取りの種類一覧表】

間取り説明
1R居室とキッチンの間に仕切りがない間取りのこと。家賃は割安に設定されているケースが多い。住居費を抑えたい一人暮らしの人におすすめの間取り。
1K居室の数は1Rと同様に1つ。居室とキッチンの間に仕切りがある。調理中の匂いが部屋に広がりにくい。玄関から寝室を見えないようにできる自炊をしたい、プライバシーも配慮したい一人暮らしの人におすすめ。
1DK1Kと同じで居室とキッチンが仕切られている。またキッチンのある部屋で食事ができるスペースを確保できる。DK(ダイニングキッチン)は4畳半〜8畳程度となるため、電化製品やダイニングテーブルを無理なく設置可能。余裕のある一人暮らしや同棲カップル、新婚夫婦などにおすすめ。
2DK居室が2つとDK(ダイニングキッチン)がある。中には1LDKとして使えるタイプもあり、自由度が高い。1LDKよりも家賃が割安になるケースが多い。同棲カップルや夫婦で、それぞれに個室が必要、もしくは部屋数を確保したい人におすすめ。
1LDK8畳以上のLDK(リビングダイニングキッチン)と居室が1つの間取り。食事をしてくつろげるような広めの空間があり、居室を寝室専用にしやすい。家賃が割高でも快適に暮らしたい単身者や、寝室を一緒にしたいカップル・夫婦におすすめ。
2LDK居室が2つと8畳以上のLDK(リビングダイニングキッチン)がある。一般的なアパートや、住居を上下に分けたメゾネット型のアパートやマンションなどでも採用されることが多い。寝室を別にしたいカップル・夫婦や、子供がいる家族(3〜4人)におすすめ。

2.賃貸経営において間取りを決める際は、事前に「入居者ターゲット」を決めることが重要

賃貸経営において間取りを決める際は、

①賃貸経営を希望するエリアの「立地条件」「周辺状況」「年齢構成」など、エリアの特徴を調査
②そのうえで入居者のターゲットを決める
③そしてターゲットのニーズに合わせて間取りを決める

というプロセスを踏むことが、賃貸経営を成功させるうえで重要です。

なぜなら、上記のようなプロセスを経ないまま間取りを決めてしまうと、「エリアのターゲットニーズ」からずれた物件となってしまい、空室増加や収益性の低下につながってしまうからです。

たとえば、「賃貸経営を希望するエリアが大学近くである場合」を考えてみましょう。

【エリアのニーズと物件の間取りの関係性の具体例】 
賃貸経営を希望するエリアが大学近くである場合を考えてみましょう。このエリアでは、学生や若い社会人が主なターゲットとなります。 

調査をしないで間取りを決めた場合
もし事前の調査なしに一般的なファミリータイプの間取り(例:2LDKや3LDK)を採用してしまった場合、学生や単身者には不便すぎる、または不要な空間が多く、家賃が高くなりがちです。結果として、このターゲット層にとって魅力的ではなくなり、空室率が上昇してしまう可能性があります。 

調査をして間取りを決めた場合エリアの特性とターゲット層を事前にしっかり分析し、学生や若い社会人が住みやすいワンルームや1Kの間取りを提供した場合、ニーズに合致するため、入居率が高まり、安定した賃貸収入が見込めるようになります。さらに、共用スペースを設けることで学生コミュニティ形成を促し、長期入居も期待できます。

このように、賃貸経営において間取りを決める前に、エリアの立地条件や周辺状況を調査し、ターゲットを明確にすることが、空室リスクの低減と収益性向上に直結するため、重要なのです。

賃貸物件を運用するエリアの特徴・ニーズから入居者ターゲットを決めるためには、以下のようにエリアの特徴を明らかにしたうえで、ターゲットを決めていきましょう。

【入居者ターゲットの決め方】
エリアの特徴・ニーズを調査する 
人口統計と動向を調べる
エリア内の人口構成、年齢分布、世帯数などのデータを以下を使って収集し、将来的な人口動向の予測も参照します。 
・国が公開する「国勢調査」「人口統計データ」
・対象エリアの地方自治体や市役所、町村役場のウェブサイト
・不動産業界のレポートや調査データ 

データから以下をチェックしてみましょう!
・人口構成: 年齢別、性別の人口割合
・世帯数と世帯類型: 単身世帯、家族世帯の数と比率
・年齢分布: 若年層、中年層、高齢層の比率
・将来人口動向: 人口増減予測、高齢化率の変動予測 

経済状況を調べる
地域経済の健全性や住民の世帯年収などの情報を集めます。国や自治体の統計局が公開している経済報告や統計データを使って調べましょう。 

データから以下をチェックしてみましょう!
・平均収入水準: 地域住民の平均年収や世帯収入
・経済成長率: 地域経済の成長性を示す指標や予測 

競合を調べる
同エリア内の賃貸物件の空室率、賃料相場を分析します。不動産ポータルサイトでは、物件の検索結果から賃料相場や入居率などを確認できます。エリアごとの物件数や賃料帯を分析することで、市場の概要を把握可能です。たとえば「SUUMO」などのポータルサイトを利用して調べてみましょう。 

データから以下をチェックしてみましょう!
・エリア内の賃貸物件の空室率、もしくは入居率
・エリアの賃料相場 

エリア周辺環境について調べる
エリアの周辺環境について、実地調査をしてみましょう。具体的には、 
・交通アクセス:公共交通の利便性、主要道路へのアクセス
・生活利便施設:スーパーマーケット、学校、病院、公園など、生活に必要な施設への近さ
・地域の特性:地元の大学や企業の有無、家族向けの施設(学校、公園など)の密集度など 
を自分の足で調べてみましょう。それが難しければ、グーグルマップを使用して調査するのも良いでしょう。 

入居者ターゲットを決めるエリアの調査が完了したら、入居者ターゲットを決定します。単身者、学生、ファミリー層など、エリアの特徴から目指すターゲット層を特定しましょう。

【入居者ターゲットの決め方シミュレーション 】
 エリアの特徴・ニーズを調査する 
人口統計と動向
・市中心部に位置するため、高い人口密度と多様な年齢層が想定されます。
・国勢調査や市の公式ウェブサイトから、若年層と働き世代の割合が多いことが判明しました。
・将来人口動向では、若年層と働き世代の安定した推移が予測されます。

 経済状況
・地域経済は安定しており、多様な産業が根付いていることが確認できました。
・平均収入水準は国平均を上回り、経済成長率も安定しています。 

競合を調査
・不動産ポータルサイトで分析した結果、空室率は比較的低く、賃料相場も高めです。
・エリア内では特に単身者向けの物件が人気であり、ファミリー層向けの物件にも需要があることがわかりました。

エリア周辺環境
・交通アクセスは非常に良好で、主要駅やバス停へのアクセスが便利です。
・生活利便施設も充実しており、大学や企業が多く存在しています。 

入居者ターゲットを決める
このエリアの特性を考えると、入居者ターゲットとして「単身者」が適していると考えられます。 

単身者が入居者ターゲットとして適している理由
・中心部へのアクセスが良好で、若年層と働き世代が多いため。
・平均収入水準が高いことから、賃料相場が高めの物件でも、単身で働く若年層や働き世代は賃料を支払える経済力を持っています。
・不動産ポータルサイトの分析結果から、単身者向けの物件が特に人気であることがわかり、空室リスクが低いことが予測されます。
・交通アクセスの良さや生活利便施設の充実は、単身者が求める生活の質とマッチしています。

このように、間取りを決める前にまずは入居者ターゲットを特定しておきましょう。

【賃貸経営を行ううえで、入居者ターゲットや間取りについて困ったらはルーム・スタイルにご相談ください!】 

入居者ターゲットや間取りに悩んだら、私たちルーム・スタイルにお任せください! 
「そもそも入居者ターゲットを決めるのが難しい」「一番入居率が高くなる間取りってどれだろう?」 といった悩みや疑問も、今までの経験からくる豊富なノウハウを使って徹底的にサポートさせていただきます。

 ルーム・スタイルの委託管理では、さまざまなシーンで浮かぶ疑問や不安をまるごと解決いたします!
より多くの方をサポートするために、スタッフ一人ひとりが必要な資格や実績を積み重ねてきました。
チーム制だからこそ、どんなお悩みや不安にも、即座にお答えできます。

さらに私たちは、年間入居率98%、入居までの期間は平均1ヶ月と、圧倒的な賃貸管理の結果を残しています。物件の資産価値が下がったとしても家賃を最大化し続けるため、家賃収入を維持できます。 ご興味のある方は、ぜひ一度、ルーム・スタイルへお問い合わせください。 


3.入居者ターゲットごとにおすすめの間取り

入居者ターゲットが把握できたら、ようやく間取りを決定する段階に突入します。入居者ターゲットごとに、ニーズが異なれば、求める間取りも異なるため、3章ではターゲットごとにおすすめの間取りをご紹介します。

ターゲット別のおすすめの間取りをまとめると以下の通りです。

ターゲットおすすめの間取り
単身者1K、1DK
ファミリー2LDK、3LDK
カップルや夫婦1LDK、2DK、2LDK
学生1R、1K

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1.単身者向けのおすすめの間取りは1K、1DK

単身者向けのおすすめ間取りは「1K」「1DK」です。
単身者に1K、1DKがおすすめな理由は、以下のとおりです。

【単身者に1K、1DKがおすすめな理由】 
◆1K
単身者の場合は、広い部屋に住むことより、駅へのアクセスのよさを重視することが多い傾向にあるからです。1Kはキッチンと居室が一体となったシンプルな構造で、限られた空間を効率的に使えるため、単身者に人気です。 

◆1DK
単身者の中には好んで自炊をする、家で過ごす時間を大切にしたいというニーズもあるためです。1DKではダイニングキッチン(DK)が独立しており、食事の準備や食事そのものを落ち着いた空間で行うことができます。またDKがしっかりと寝室と分かれているため、生活空間が整理され、より快適な住環境を実現できます。これらの間取りは、単身者が日常生活において求める機能性と快適性を兼ね備えています。立地の良さや収納スペースの充実、生活空間の質を考慮した1Kや1DKは、単身での生活を豊かにしてくれるでしょう。

こうしたことから単身者をターゲットにする場合には1K、1DKの部屋を用意することをおすすめします。

3-2.ファミリー層におすすめの間取りは2LDK~3LDK

ファミリー層におすすめ間取りは「2LDK~3LDK」です。
ファミリー層に2LDK~3LDKがおすすめな理由は、以下のとおりです。

【ファミリー層に2LDK~3LDKがおすすめな理由】
 家族の成長に合わせた空間を用意できるため
子どもの成長段階に応じて、遊び場としても使える広いリビングは必須です。幼少期はリビングで家族みんなが遊ぶスペースとして活用し、学齢期には子どもの勉強やプライベート空間としても必要になります。2LDKや3LDKの間取りは、こうしたニーズに柔軟に応えることができます。 

家族団らんできるスペースを大切にする傾向にあるから
ファミリー層では、家族が一緒に時間を過ごすリビングスペースを大切にする傾向にあります。

こうした理由から、ファミリー層には2LDK~3LDKの間取りがおすすめです。

子どもの成長に合わせて柔軟に対応できるプライベート空間と、家族が一緒に過ごせる共有スペースのバランスが取れた間取りによって、快適に生活してもらいやすくなるでしょう。

3-3.カップルや夫婦2人暮らしにおすすめの間取りは1LDK、2DK、2LDK

カップルや夫婦2人暮らしにおすすめの間取りは「1LDK、2DK、2LDK」です。
カップルや夫婦2人暮らしに1LDK、2DK、2LDKがおすすめな理由は、以下のとおりです。

【カップルや夫婦2人暮らしに1LDK、2DK、2LDKがおすすめな理由】
 二人の生活スタイルやニーズに柔軟に対応することができるため
一緒に過ごす時間を長く取りたい方々、もしくは一緒に過ごす時間と各々のプライベートタイムのバランスを保ちたい方々、それぞれのニーズに合うものを考えると、1LDK、2DK、2LDKがベストな間取りになります。

具体的には、2人のニーズごとに以下の間取りがおすすめです。

【カップルや夫婦2人暮らしのニーズごとにおすすめの間取り】 
◆1LDK :一緒に過ごす時間を重視するカップルに最適
1LDKは、共有のリビングダイニングキッチンとプライベートな寝室が一つある間取りです。共通の趣味を楽しんだり、一緒に料理や食事をするスペースとしてLDKが活用できます。 

◆2DK・2LDK:プライベートタイムを守りたいカップルや夫婦に最適
2DKは、個室が二つにダイニングキッチンが別に設けられています。2LDKはさらにリビングスペースが広く取られており、より快適な共有スペースを提供します。各自が自分の趣味や作業に没頭できるプライベートな空間を確保しつつ、リビングで共に時間を過ごすこともできます。これにより、お互いの独立性を尊重しながらも、共同生活の楽しみを享受できるバランスが取れた生活が可能になります。

このように1LDK、2DK、2LDKの間取りは、共に過ごす時間の質を高めたり、必要に応じてプライベートな時間も確保したりできるなど、カップルや夫婦のさまざまなライフスタイルに適応できるのです。

3-3.学生におすすめの間取りは1R、1K

学生におすすめの間取りは「1R、1K」です。
学生に1R、1Kがおすすめな理由は、以下のとおりです。

【学生に1R、1Kがおすすめな理由】 
家賃が最も抑えられる間取りであるため
学生は収入が不安定になりがち。そのため家賃が一番抑えられるという理由から1R、1Kが人気なのです。 

掃除する箇所が少なくて楽であるため
学校やアルバイト・サークルなどで忙しくても、掃除をする箇所が少なく、楽であるのは、学生にとってポイントが高い。

このように、学生にとってはコンパクトで家賃も比較的抑えられる物件が最もニーズが高いといえるでしょう。


4.賃貸経営で間取りの詳細を決める際のポイント

間取りを決める際には、入居者にターゲットに刺さるように決定したいものです。
ただ「1K」「1LDK」と決めるだけではターゲットに刺さる部屋にすることはできません。

そこで4章では、間取りを決める際のポイントを以下4点解説します。

【賃貸経営で間取りを決める際のポイント】 
・収納スペースを多くする
・生活の動線を考えて間取りを決める
・風呂・トイレは別々にする
・間取りが良くても狭い部屋にはしないようにする

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1.収納場所を多くする

1つめのポイントは「収納場所を多くする」ことです。

賃貸経営において間取りを決める際、収納の量は大きな影響を及ぼします。入居者が快適に生活するためには、衣類、書類、趣味のグッズなどを収納する場所が必要です。

収納が不足してしまうと、部屋の中が散らかったり、生活空間が狭くなったりして、入居者は不満を感じやすくなってしまいます。

一方で、収納場所を豊富にすることで、入居者は整理整頓しやすくなり、生活空間が快適に保たれます。物が多くなっても生活空間を圧迫することなく収納できるため、居心地の良い住環境を維持できます。その結果、入居者の満足度を高められるのです。

具体的には、以下のような設備を導入して収納場所・収納量を増やすことをおすすめします。

【導入がおすすめの収納設備】 
ウォークインクローゼット
1LDK以上の物件で、ウォークインクローゼットを設けると、衣類やスーツケースなど大きな物の収納に便利です。 

キッチン収納
食器や調理器具を整理するための十分なキッチン収納スペースを提供します。食器棚や引き出しの数を増やし、使い勝手を考慮した設計にすると満足度も高まります。 

バスルーム収納
洗面所やバスルームにも収納スペースを設け、タオルや洗剤、化粧品などを整理しやすくします。 

屋外収納
自転車やスキー板など、屋外で使う大型のアイテムのための収納スペースや、ベランダに小さな収納ボックスを設置することも有効です。

隠し収納
ベッド下やソファ下、階段下など、通常の生活空間を圧迫しない隠し収納スペースも有効です。空間を有効活用しつつ、見た目の美しさを保ちます。 その他一般的に、収納スペースは部屋の大きさやターゲットとする居住者層に応じて最適な量を検討する必要があります。たとえば、単身者向け物件ではコンパクトながら機能的な収納が求められますが、ファミリー向け物件ではより多くの収納スペースが必要となります。

4-2.生活の動線を考えて間取りを決める

2つめのポイントは「生活の動線を考えて間取りを決める」ことです。

生活の動線を考えて間取りを決めることで、入居者の日常生活がスムーズに運ぶようにでき、物件の魅力を高められるのです。入居者が家事や日常の活動をより効率的に、快適に行えるようになります。

たとえば、キッチンからダイニングへの移動がスムーズであったり、洗面所が寝室に近いことで朝の準備が楽になったりします。また、洗濯機の位置と物干しスペースが近いことで洗濯作業が便利になるなど、こうした小さな配慮が入居者が日々の生活の中で感じるストレスを軽減し、大きな満足度につながります。

生活の動線を整えるための間取りを考える際には、以下のポイントに注意して計画を立てると良いでしょう。

【生活の動線を考えて間取りを決める際のポイント】 
日常生活の流れを把握する
入居者が日常的に行う活動(起床、食事の準備と食事、出勤や学校への準備、帰宅後のリラックスタイム、就寝準備など)の流れを想定し、これらの活動がスムーズに行える間取りを考えます。

キッチン、バスルーム、寝室の配置
キッチン、バスルーム、寝室をはじめとする主な生活空間の配置を考える際には、これらの空間間の移動が自然で、無駄のない動線になるように配置します。たとえば、バスルームから寝室へのアクセスは直接的であるほうがよいでしょう。 

収納スペースの位置
収納スペースは、使用する場所の近くに配置することが理想的です。たとえば、靴は玄関近く、洋服は寝室やバスルーム近く、キッチン用品はキッチン内やそのすぐそばに配置することで、日常生活の効率性を高めます。 

入居者のプライバシーの確保
特に複数人での生活を想定する場合、個々のプライバシーが確保されるような間取りを心がけることが大切です。たとえば、寝室間の音が漏れにくい構造や、共用スペースとプライベートスペースの明確な分離を図ります。 

光の流れと風通しを考える
窓の位置やサイズを考える際には、自然光が室内に入りやすく、風通しが良い間取りにすることも重要です。自然光と風は、居住空間の快適性を大きく左右します。 

◆ 家具の配置を想定する
家具が配置された状態を想定して間取りを計画することで、実際の生活シーンが想像しやすくなります。家具の配置によって生じる動線の変化を事前に考慮することで、より実用的な間取りを設計できます。

4-3.風呂・トイレは別々にする

3つめは「風呂・トイレは別々にする」ことです。

これは、あなたも家探しをするときにこだわったことがあるのではないでしょうか。

風呂とトイレが一緒のユニットバスは、設備としてはコンパクトで経済的な場合が多いですが、使用の利便性や快適性では、別々の設備に分かれている方が明らかに優れています。

とくに一緒に暮らす人がいる場合、風呂とトイレが同時に利用できないことが不便であるため、入居を敬遠されてしまうことがあるのです。

お風呂とトイレを別々にすることで、入居者は

・お風呂にゆっくりとつかれる
・洗面所を広く利用できる

といったことが可能になり、結果的に出かける前や寝る前の準備がスムーズになります。

また風呂・トイレを別にすれば、衛生的な観点からもメリットがあります。

風呂・トイレが一緒の場合、湿気がトイレ全体に広がりやすく、清潔感を保ちにくいというデメリットがあります。そこで別々に配置されていれば、それぞれ独立して換気や掃除が行えるため、より衛生的な環境を維持しやすくなるのです。

以上の理由から、賃貸経営において間取りを決定する際には、風呂・トイレを別々に配置することが、入居者にとっての快適性や生活の利便性を高める重要なポイントとなります。

4-4.間取りが良くても狭い部屋にはしないようにする

4つめは「間取りが良くても狭い部屋にはしないようにする」ことです。

たとえ単身者や若者をターゲットにしている場合でも、あまりにも狭い部屋は避けるべきです。

なぜなら、たとえ間取りが機能的であっても、実際の居住スペースが狭すぎると日常生活において不便を感じることが多く、長期的な居住の満足度を下げる原因となるからです。

たとえば部屋が狭いと、必要な家具や家電を配置するのが難しくなり、住む人の生活スタイルに制限を加えてしまいます。また、狭い空間では物の収納場所にも困りがちで、部屋が散らかりやすくなるため、快適な居住空間を保ちにくくなります。

こうしたことから、賃貸経営で間取りを決める際は、間取りの機能性だけでなく、実際に生活する上で必要とされる最低限の広さを確保することが重要です。

おすすめの部屋の広さは以下を参考にしましょう。

【ターゲット別 おすすめの部屋の広さ】 
単身者:20㎡以上
単身者向け物件の場合、20㎡以上が一つの目安とされています。この広さがあれば、必要最低限の家具や家電を配置するスペースが確保できます。特に新社会人や学生など、一人暮らしを始める方向けには、このくらいの広さが求められることが多いです。 

カップルや夫婦:40㎡〜60㎡程度
カップルや夫婦二人での生活を考える場合、40㎡〜60㎡程度の広さが望ましいとされます。この広さがあれば、それぞれのプライベート空間と共有スペースを適切に確保でき、快適な生活が送りやすくなります。 

ファミリー層:60㎡以上
子供がいる家庭の場合、60㎡以上、特に2LDK以上の間取りが推奨されます。子供の成長に合わせて部屋を分けたり、家族が共有できるリビングスペースを確保したりする必要があるため、より広いスペースが必要となります。


5.入居してもらいやすい物件にするための3つのコツ

ここまで賃貸物件のおすすめの間取りや気をつけるポイントなどを解説しましたが、間取り以外にも入居してもらいやすい物件にするためのコツがあります。

そこで5章では入居してもらいやすい物件にするためのコツを以下3つ解説します。

【入居してもらいやすい物件にするための3つのコツ】 
・日当たりのいい部屋になるよう窓の位置を工夫する
・住みやすい街に物件を構える
・設備を整える

間取り以外の重要なポイントを押さえて、入居率をアップさせましょう。

5-1.日当たりのいい部屋になるよう窓の位置を工夫する

1つめは「日当たりのいい部屋になるよう窓の位置を工夫する」ことです。

日当たりが悪いと部屋が暗くなったり、寒くなったり、洗濯物も乾きにくくなったりしてしまうなど、デメリットが大きいため、どの部屋もできるだけ日当たりのいい部屋になるよう、窓の位置を工夫することが重要です。

日当たりのいい部屋になるように窓を配置するためには、

・天井を高くして高い位置に窓を設置する
・天窓を設置する
・小さな窓をたくさん設置する

といった対策を施すことで、採光条件が良くなり、日当たりのいい部屋にできます。

5-2.住みやすい街に物件を構える

2つめは「住みやすい街に物件を構える」ことです。

住みやすい街とは、

・どこへ行くにもアクセスが良い(通勤、通学、レジャーなど)
・生活の利便性が高い(スーパーやコンビニ、学校、駅に近いなど)
・治安が良い
・災害に強い
・子育て環境が充実している

といったように、長期間生活するうえで必要なポイントを満たしている街のことです。

こうした街に物件を構えることで、入居者は住んでいる地域全体に対して満足度が高くなり、長く住み続けてくれるようになります。その結果、空室になりづらくなるのです。

以下の項目を確認し、候補となるエリアが住みやすい街かどうかをチェックしてみましょう。

【住みやすい街の特徴】 
どこへ行くにもアクセスが良い
都市部の場合、都心に近く乗り換えが便利な駅やバス停の近くのエリア、郊外の街なら、急行や快速などの優等列車の停車駅近くのエリアはどこへ行くにもアクセスが良いといえます。 

生活の利便性が高い
スーパーやコンビニ、学校や病院など、普段の生活に欠かせない施設が近くにあると生活の利便性が高いといえます。 

治安が良い
駅前に遊戯施設が多くない、夜は街灯で明るい、犯罪がよく発生する街ではない、といった条件がそろっていると、治安が良いといえます。また学区によっては、保護者や地域住民が防犯に注力する地区があるため、子どもがいるファミリー層向けの賃貸物件の場合は、そうした地区に物件を構えると良いでしょう。 

災害に強い
崖崩れや洪水など、近くに災害リスクがないと安心して住むことができるため、住みやすい環境であるといえます。自治体が公表しているハザードマップを確認することをおすすめします。 

子育て環境が充実している
子どもがいるファミリー向けの物件にする場合、広い公園や緑がある自然環境といったように、子供をのびのびと育てられる環境が近くにあるとファミリーに需要のある物件にすることができます。また託児施設(保育園・幼稚園)や教育施設、塾や予備校などがあると、ファミリー層が住みやすい環境であるといえます。

5-3.設備を整える

3つめは「設備を整える」ことです。

設備が充実していると、入居者が快適に過ごせるようになるため、結果として長く住み続けてもらえたり、「充実した設備があるから」と入居してくれる人も現れたりするのです。

住宅設備はさまざまなものがありますが、とくに人気の高い設備は以下のとおりです。

【人気の高い設備一覧】 
・エアコン
・TVモニター付きインターホン
・室内洗濯機置き場
・インターネット無料
・温水洗浄便座
・独立洗面台
・宅配ボックス
・エントランスのオートロック
・追いだき機能
・ガスコンロ
・ウォークインクローゼット
・24時間利用可能ごみ置き場
・防犯カメラ
・浴室換気乾燥器

もちろん、すべて取り入れるのは現実的ではありませんが、特に赤字になっているものは人気の高い設備であるため、導入することをおすすめします。


まとめ

この記事では、賃貸経営において間取りを決めるための手順や、ターゲット別のおすすめ間取り、間取りを決めるポイントなどを解説しました。

ここで改めて本記事の内容をおさらいしましょう。

賃貸経営で知っておきたい間取りの種類一覧

間取り説明
1R居室とキッチンの間に仕切りがない間取りのこと。家賃は割安に設定されているケースが多い。住居費を抑えたい一人暮らしの人におすすめの間取り。
1K居室の数は1Rと同様に1つ。居室とキッチンの間に仕切りがある。調理中の匂いが部屋に広がりにくい。玄関から寝室を見えないようにできる自炊をしたい、プライバシーも配慮したい一人暮らしの人におすすめ。
1DK1Kと同じで居室とキッチンが仕切られている。またキッチンのある部屋で食事ができるスペースを確保できる。DK(ダイニングキッチン)は4畳半〜8畳程度となるため、電化製品やダイニングテーブルを無理なく設置可能。余裕のある一人暮らしや同棲カップル、新婚夫婦などにおすすめ。
2DK居室が2つとDK(ダイニングキッチン)がある。中には1LDKとして使えるタイプもあり、自由度が高い。1LDKよりも家賃が割安になるケースが多い。同棲カップルや夫婦で、それぞれに個室が必要、もしくは部屋数を確保したい人におすすめ。
1LDK8畳以上のLDK(リビングダイニングキッチン)と居室が1つの間取り。食事をしてくつろげるような広めの空間があり、居室を寝室専用にしやすい。家賃が割高でも快適に暮らしたい単身者や、寝室を一緒にしたいカップル・夫婦におすすめ。
2LDK居室が2つと8畳以上のLDK(リビングダイニングキッチン)がある。一般的なアパートや、住居を上下に分けたメゾネット型のアパートやマンションなどでも採用されることが多い。寝室を別にしたいカップル・夫婦や、子供がいる家族(3〜4人)におすすめ。

賃貸経営において間取りを決める際は、事前に「入居者ターゲット」を決めることが重要

入居者ターゲットごとにおすすめの間取り

ターゲットおすすめの間取り
単身者1K、1DK
ファミリー2LDK、3LDK
カップルや夫婦1LDK、2DK、2LDK
学生1R、1K

賃貸経営で間取りの詳細を決める際のポイント

・収納スペースを多くする
・生活の動線を考えて間取りを決める
・風呂・トイレは別々にする
・間取りが良くても狭い部屋にはしないようにする

入居してもらいやすい物件にするための3つのコツ

・日当たりのいい部屋になるよう窓の位置を工夫する
・住みやすい街に物件を構える
・設備を整える

本記事が賃貸経営の間取りに悩むオーナー様のお役に立てれば幸いです。

コメント

賃貸仲介から管理、売買までワンストップで対応
まずお気軽にご相談ください
賃貸仲介から管理、売買までワンストップで対応
まずお気軽にご相談ください