退去立ち会いって必要?省略時のトラブル例と揉めないための予防策

「退去立ち会いって、本当に必要なの?」
日程の調整が面倒だったり、入居者と対面することに気を遣ったりと、退去立ち会いを行うかどうか悩むオーナーは多くみられます。
しかし、実際に立ち会いを省略したことでトラブルに発展してしまうケースは少なくありません。

この記事では、退去立ち会いを省略した場合に起こりうる具体的なトラブル例と、スムーズに退去してもらうための予防策をわかりやすく解説します。オーナー側の負担を減らしつつ、トラブルを未然に防ぐためのヒントを見つけてみてください。

退去対応に不安がある方は、おひとりで悩まずお気軽にご相談ください。トラブルを防ぐためのサポートやアドバイスをご提供いたします。

この記事で分かること
  • 退去立ち会いの基本的な役割と目的
  • 立ち会いを省略した場合に起こりやすいトラブル
  • 退去前にオーナーが準備すべき確認事項
  • 立ち会い当日のチェックポイントと注意点
  • 円満退去のための入居者への対応姿勢
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    そもそも退去立ち会いって?オーナーが知っておきたい基本

    退去時のトラブルを防ぐには、まず「退去立ち会い」とは何か、その目的や役割を理解しておくことが大切です。
    まずは、立ち会いの基本的な意味と、実施しないことで起きやすいリスクについて紹介します。

    賃貸物件の退去立ち会いの意味と役割

    退去立ち会いとは、入居者が物件を退去する際、オーナーや管理会社の担当者が現地で室内の状態を入居者と一緒に確認する作業のことです。

    主な目的は以下の3つです。

    1. 原状回復の範囲を確認する
       室内の汚れや傷が、通常の使用による経年劣化なのか、それとも入居者の故意や過失による損傷なのかを判断します。

    2. 退去時の室内状況を記録に残す
       傷や汚れなどがあれば、その場で写真を撮るなどして証拠を残すことで、後のトラブル防止につながります。

    3. 費用負担について話し合う
       原状回復にかかる費用がある場合は、その場で内容を説明することで、入居者にも納得してもらいやすくなります。

    立ち会いは、「オーナーと入居者の双方の確認の場」であり、原状回復における認識すり合わせのための大切なステップです。

    立ち会いがない場合のリスク

    ネットやSNSで情報を得やすい今、立ち会いを省略すると「一方的な請求だ」と誤解され、トラブルになることもあります。

    実際によくあるのは、次のようなケースです。

    • 費用の請求に納得してもらえない
    • SNSなどに悪い評判を書かれてしまう
    • 入居者に故意や過失の損傷を認めてもらえない
    • 証拠がなく、費用の請求が通らない

    このように、立ち会いを省略すると、オーナーにとっても入居者にとってもリスクが大きくなることを理解しておく必要があります。手間はかかっても、立ち会いで確認・記録しておくことが、後々のトラブル防止につながります。


    退去前の準備でトラブルは8割防げる

    退去時に起こりやすいトラブルは、ほとんどが「事前の準備不足」によって起きています。逆にいえば、退去前に必要な確認や声かけをしておくことで、8割以上のトラブルは防げるともいえます。

    本章では、入居者から退去連絡があったあとの流れに沿って、オーナー側がやるべき準備とポイントを整理してお伝えします。

    退去連絡後にすべき確認

    退去の申し出があったら、まず退去日や立ち会いの日時、退去月の賃料や共益費の精算方法(日割りか月額全額か)を確認し、入居者に伝えましょう。
    また、退去後にクリーニング費などの追加請求が発生した場合の連絡手順や支払方法も明確にしておくと安心です。

    さらに「敷金償却」の契約内容がある場合は、返金がない旨を事前に伝えることが大切です。
    契約時の説明を忘れている入居者も多く、返金をあてにしていたことで後からトラブルになるケースがあります。

    【参考記事:「敷金償却」とは?敷金の基礎知識とトラブル回避のポイントを解説

    掃除や片付けは入居者が行うべきか

    原状回復の判断にも関わるため、退去時の物件清掃や片付けについて入居者にしっかり伝えることが重要です。伝える際は、感情的にならず、以下のように「お願いベース」で丁寧に伝えることがポイントです。

    「お忙しいところ恐れ入りますが、家具をすべて撤去いただき、床・壁の簡単な清掃をお願いいたします。」

    「キッチンや水まわりに汚れがあると追加修繕費がかかる場合もあるため、できる範囲で構いませんので清掃をお願いします。」

    書面・メールだけでなく、電話でも一言添えることで、より親切な印象を与え、入居者からの協力も得やすくなります。

    当日の持ち物とチェック項目

    立ち会い当日は、現場での確認をスムーズに進めるために、以下の持ち物とチェック項目を準備しておきましょう。

    持ち物

    • 契約書・原状回復ガイドライン
    • チェックリスト(印刷可)
    • スマホやカメラ(記録用)
    • 筆記用具・メモ帳

     

    チェック項目

    • 壁・床・天井の破損や汚れ
    • エアコン・キッチン・浴室などの設備
    • 鍵の返却(予備鍵含む)
    • ゴミや私物の置き忘れの有無

      事前に上記のような「チェックリスト付きの紙」を渡しておけば、入居者も安心して準備できます。こうしたちょっとした心配りが、トラブルの抑止につながります。

      退去対応に不安がある方は、おひとりで悩まずお気軽にご相談ください。トラブルを防ぐためのサポートやアドバイスをご提供いたします。


      立ち会い当日はここを見よう|気になるポイントと進め方

      退去立ち会いは、室内の状態を確認し、原状回復の必要がある箇所を把握する大切なタイミングです。
      具体的にどこを見るべきか、どのようにして進めるかを事前に把握しておくことが重要です。

      チェックすべき具体的な場所

      退去立ち会いでは、次のようなポイントを一つずつ丁寧に確認していきましょう。

      【退去立ち会いでチェックする主な場所・項目】

      チェック箇所

      確認内容例

      室内全体

      壁紙の汚れ・破れ・穴、床の傷・へこみ、壁・天井のシミ、たばこのヤニなど

      キッチン

      コンロやグリルの焦げ・油汚れ、シンクや蛇口まわりの水垢・カビ、換気扇やレンジフードの汚れ

      バス・トイレ・洗面所

      浴室のカビ、排水溝のつまり、鏡や洗面ボウルの水垢・ヒビ、トイレの便座の汚れ・匂い、ウォシュレットの破損

      窓まわり・玄関

      サッシや網戸の破れ、レールの汚れ、玄関ドアの傷・へこみ、鍵やドアノブの動作・損傷

      設備・備品

      エアコンの動作・フィルターの汚れ、照明の破損・球切れ、リモコン・インターホンの有無と動作

      その他

      ペットやタバコによる臭いの残留、家具を置いていた部分の床の変色

      こうしたチェック項目は、見落としを防ぐだけでなく、入居者との認識のズレを減らすためにも重要です。

      確認時には、写真を撮って記録を残す、チェックリストにメモを取るなど入居者にも現状を確認してもらい、納得のうえで退去してもらうことがポイントです。

      自分だけで判断ができない場合は、専門業者に立ち会ってもらうと良いでしょう。

      その場でサインする際の注意点

      退去時には、原状回復費用や室内の状態に関する書類へのサインを求められることがあります。

      オーナーは、金額や内容に曖昧な点がある場合は「詳細金額は後日見積もり」などと明記し、入居者に対して丁寧に説明することが大切です。

      なお、入居者は、納得できない内容には絶対にサインしてはいけません。書類にサインするということは、「その内容に同意した」という証明になります。

      少しでも疑問や不安がある場合は、その場でサインせず、持ち帰って確認するようにしましょう。


      経年劣化と故意過失はガイドラインに沿った判断を

      退去時に「この汚れの費用は入居者かオーナー、どちらが負担すべきか?」と判断に迷うケースは少なくありません。

      そんなときに参考になるのが、国土交通省の「原状回復をめぐるガイドライン」です。原状回復の考え方や具体的な事例が示されており、トラブルの予防に役立ちます。

      以下に、判断が分かれやすい箇所とそのポイントをまとめました。

      【原状回復ガイドラインでよく見られる場所と判断ポイント】

      よく見る場所

      判断されやすいポイント

      経年劣化・通常消耗

      入居者の負担になるケース

      壁紙・クロス

      日焼け・家具跡・穴

      日焼けや冷蔵庫裏の黒ずみ

      画びょう穴多数、子供の落書き、故意の破れ など

      床(フローリング・畳)

      傷・へこみ・変色

      通常使用によるすり減り

      重い家具の設置によるへこみ、飲みこぼしによるシミ など

      キッチン

      油汚れ・焦げ・臭い

      軽度の油汚れ

      焦げ跡、換気扇の重度な油汚れの放置 など

      浴槽・洗面所

      カビ・水垢・ヒビ

      通常の水垢、軽いぬめり

      カビや排水溝のつまり、ヒビ割れの放置 など

      トイレ

      便器の汚れ・尿石・臭い

      使用に伴う軽度の汚れ

      掃除不足による頑固な尿石・臭気の付着 など

      エアコン

      フィルターの汚れ

      自然にたまるホコリ

      喫煙によるヤニ汚れ・異臭、内部のカビ放置 など

      網戸・窓

      汚れ・ガタつき・鍵の不調

      金属部分の色あせ

      故意や過失による網戸の破れ・落下による窓破損 など

      同じ「汚れ」や「傷」でも、原因や使用状況によって負担の有無は大きく異なります。

      判断に迷う場合は、ガイドラインの内容をもとに必ず写真で日付と様子を記録に残し、しっかり入居者と話し合うことが大切です。

      【参考記事:原状回復で大家さんがすべきこと全7STEP|トラブル事例と対処法付き

      退去対応に不安がある方は、おひとりで悩まずお気軽にご相談ください。トラブルを防ぐためのサポートやアドバイスをご提供いたします。


      よくある退去立ち会いトラブル5選

      実際、退去後の費用精算時には、入居者とオーナー・管理会社の間でさまざまなトラブルが起こります。なかでも多いのが、説明不足や記録ミス、確認の急ぎすぎによる認識のズレです。

      ここでは、実際によくあるトラブル例を5つ紹介します。

      1.敷金の返還額でもめてしまう

      入居者から「敷金がもっと返ってくると思っていた」という声は、本当によく聞く言葉です。

      特に「敷金償却」のような特約がある契約では、入居者が敷金の返金がないことを理解しておらずにトラブルになることもあるのです。

      契約内容をきちんと説明し、退去前にも一言伝えておくと誤解が防げます。

      2.原状回復の範囲で認識のズレが起きる

      壁紙の汚れや床の傷について、「普通に生活していただけなのにできた傷だ」として、意見が食い違うことがあります。こうした場合は、国土交通省のガイドラインを参考にしながら、判断の基準を共有することが大切です。

      壁紙の使用年数や生活状況、現状の写真などをもとに、なぜ費用が発生するのかを具体的に説明することがポイントです。

      3.サインに納得できなかった

      内容をよく理解していない入居者に「ここにサインしてください」と言い、後から揉めるケースがあります。入居者が迷っている様子であれば、無理に進めず、「確認してからで大丈夫ですよ」と声をかけることが大切です。

      場合によっては、「無理やり署名させられた」「強引に手続きが進められた」として、消費者センターなどに相談する入居者もいるため、慎重な対応が求められます。

      4.写真の記録がなく後から揉めた

      立ち会い時に写真を撮り忘れていたことで、「そんな傷あった?」「ここまで汚れてなかった」と揉めることがあります。

      状態の記録は口頭だけでなく、写真に残しておくことが何よりの証拠になります。あとから言った・言わないの水掛け論にならないよう、写真での記録は“その場の空気ごと残す”意識が大切です。

      5.修繕費の説明が不十分だった

      修繕費について十分な説明がされていないと、「いきなり高い費用を請求された」「内訳がよく分からない」と入居者は不信感を持ちやすくなります。
      もし金額が確定していなくても、「あとで見積もりをお送りします」といった説明があるだけで納得度が変わります。


      退去立ち会いを省略してトラブルになった事例

      「忙しいから立ち会いは省略でいいか」と判断した結果、後からトラブルになるケースも少なくありません。

      ここでは、実際にあった2つのトラブル事例を紹介します。どちらも、少しの手間を惜しんだことで不信感を招いたケースです。

      その①写真だけのやり取りで原状回復費用に納得されなかった

      1つ目は、退去立ち合いは不要としており、室内の写真だけをメールで共有して費用を請求したところ、「これは自分の責任ではない」と納得してもらえなかったというケースです。

      写真では伝わりにくい小さな傷や、光の加減で汚れが目立たないこともあり、「言いがかりだ」と言われてしまいました。築20年以上経った物件で、前の入居者が退去した時の写真を撮り忘れており、オーナー自身も何も言えなくなったようです。

      現地で一緒に確認して説明する時間がないと、ちょっとしたことでも大きなトラブルに発展しかねません。結局、必要最低限の費用請求しかできなかった事例です。

      その②鍵の返却後に破損を発見し、次の入居時期が遅れた

      立ち会いをせず、鍵だけ後日郵送で返してもらったあと、室内に大きな壁の破損が見つかったケースです。

      退去後に初めて入室したため、「誰がやったのか分からない」「退去時にはなかった」と入居者に否定され、費用の負担をめぐって話が平行線になってしまいました。この話し合いが長引いたことで、次の入居者の受け入れが遅れ、結果的に空室期間が発生してしまいました。

      こうした場合でも、立ち会い時に一緒に確認していれば、お互い納得のうえで対応できた可能性が高いです。

      退去対応に不安がある方は、おひとりで悩まずお気軽にご相談ください。トラブルを防ぐためのサポートやアドバイスをご提供いたします。


      「退去立ち合い」におけるオーナーと入居者の向き合い方

      退去立ち会いは、単なる確認作業ではなく、入居者との最後の接点でもあります。ここでの対応が、その後の評判やトラブルの有無を左右することもあるでしょう。大切なのは、一方的にならず、納得して退去してもらえるよう心がけることです。

      一方通行にならないように説明する

      原状回復や費用の説明は、オーナーにとっては当たり前でも、入居者にとっては初めてのことかもしれません。

      専門用語や慣れた説明になりすぎず、「なぜこの費用が必要なのか」「どの部分が対象なのか」などを相手の目線で伝えることが大切です。話すだけでなく、写真やチェックリストを使い、「見える化」することで伝わりやすくなります。

      円満退去を意識して対応する

      トラブルなく終わらせることが一番ですが、「気持ちよく終わる」ことも同じくらい重要です。
      たとえ費用が発生する場合でも、「ここはオーナー側で対応しますね」といった柔軟な姿勢があると、入居者の印象は大きく変わります。次の入居にもつながる“口コミ”の面でも、最後の対応がカギになります。

      立ち会いなしの選択肢も考える

      遠方に住んでいる、日程が合わないといった事情がある場合は、立ち会いをしない退去方法も選択肢のひとつです。

      ただしその場合は、事前に写真の提出ルールを決める、鍵の返却方法を明確にするなど、ルールづくりが不可欠です。できれば、信頼できる管理会社に立ち会いを依頼するのも安心です。


      まとめ

      退去立ち会いは、入居者との最後の確認の場であり、物件管理をするうえで欠かせない重要なステップです。

      「説明が足りなかった」「記録を残していなかった」「話がうまく伝わっていなかった」といったトラブルは、少しの準備不足やコミュニケーションのすれ違いから起こります。

      だからこそ、事前の確認・当日の対応・退去後の対応までを見直し、一方通行にならない説明や記録の工夫を心がけることが大切です。

      また、経年劣化と故意過失の区別や、原状回復の考え方をガイドラインに沿って判断することで、入居者との信頼関係を保ちながら、トラブルを防ぐことができます。

      最終的に目指すのは、「トラブルなく、気持ちよく退去を終える」ことです。

      この記事の内容を参考にしながら、安心して進められる退去対応を目指していきましょう。

      退去対応に不安がある方は、おひとりで悩まずお気軽にご相談ください。トラブルを防ぐためのサポートやアドバイスをご提供いたします。

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