東京の狭小(激狭)ワンルーム投資が人気?資産価値や収益性、注意点を解説

近年、東京の不動産市場では、狭小(激狭)ワンルーム物件への投資が注目されています。

地価が高い都心部でも、コンパクトなスペースを活かした賃貸物件は若年層やミニマリストの間で人気が高まっています。立地の良さを武器に、通常のワンルーム投資とは異なる収益性や運用法が求められる狭小ワンルーム投資。

本記事では、資産価値や収益性、さらには投資の際に気をつけるべきポイントを詳しく解説します。狭小ワンルーム投資のメリットとデメリットを理解し、成功の鍵を握る知識を身につけましょう。

本記事を読んでわかること
  • 狭小ワンルーム投資の特徴・変遷とは
  • 通常のワンルームと比較して収益性は高い?
  • 狭小ワンルームのメリット・デメリット
  • 始める際の注意点やリスク、物件選びのポイント
賃貸管理完全ガイド
依頼すべき理由

狭小(激狭)ワンルーム投資とは

狭小ワンルーム投資とは、東京の都心部に存在する5~10平米程度の非常に小さなワンルームマンションを投資対象とすることです。

この中にキッチンやバスルーム、トイレといった水回り設備を含めるので、実際の居住スペースは3畳前後です。

これらの物件は、狭いスペースをうまく活用して必要な生活機能を備えた部屋を提供し、便利な立地を強みにして一定の人気を集めています。

東京では狭小物件が増えている?

近年、東京ではこのような狭小ワンルーム物件が増加傾向にあると考えられます。

狭小物件が注目を集める背景には、東京の地価が年々上昇している現状があります。

そのため、一棟に狭小ワンルームを詰め込んで構成する建物スタイルが増えており、限られた空間を最大限に活用する設計が特徴的です。

東京では、23区すべてでワンルーム規制がされているため、昨今はワンルームの希少性が高まっています。

狭小ワンルーム投資にみる特徴

狭小ワンルームは、手軽な初期費用で不動産投資を始められます。地価が高い都心でも、その物件の小ささから比較的安価に購入できるため、初心者にも人気があります。

入居者のターゲット層は都心で働く若者で、その多くが「シャワーと就寝のために帰るだけ」「立地の良い物件に安く住みたい」と考えているようです。

また、単身赴任で東京に来ている人は、会社から家賃補助が出るケースが多く、生活空間に一定の広さや快適さを求めるため、このような狭小ワンルームよりも通常のワンルームを選ぶことが多いです。

 


狭小ワンルームの変遷

狭小ワンルーム物件は、その時代背景や社会のニーズに応じて、イメージや価値が大きく変わってきています。

従来と現在で、一体どのような変化があったのでしょうか。

一昔前は「貧乏」「浪人」などネガティブ要素のある物件

かつて、狭小ワンルームはその家賃の安さから、主に「貧乏学生」や「浪人生」が生活する場所とイメージする人も多いでしょう。

最低限の設備しかない物件が多かったため、「仮住まい」や「一時的な滞在場所」として利用されるケースが多く、水回りは何世帯かで共同使用するという物件も多く見られました。

このような背景から快適さに欠け、狭小ワンルームにはネガティブな印象がつきまとっていました。

現在は「立地重視派」「ミニマリスト」から選ばれる人気物件

現在では狭小ワンルームのイメージが大きく変わり、都市部で暮らす人々にとって魅力的で快適な住まいとなっています。

  • 通勤や生活の利便性を重視する「立地重視派」
  • 少ない持ち物でシンプルに暮らすことを好む「ミニマリスト」層

これらの層が増加したことで、狭小ワンルームは都市部での新たなライフスタイルにフィットする物件として人気を集めています。

特に後者は、SNSによるインフルエンサーの影響を受ける人も多いようです。

インターネットの普及によって、たとえば本・DVDがなくてもスマホ1つで見ることができ、「狭くても快適に過ごせる」という時代の流れもあるのでしょう。

また、デザイナーズマンションやスタイリッシュな内装を施した物件が登場し、以前とは異なる魅力を持たせることで、これまでのネガティブなイメージを払拭しつつあります。


狭小ワンルームと通常のワンルーム投資の収益性を比較

狭小ワンルームと通常のワンルームでは、面積や賃料の違いがあるため、それぞれに異なる投資戦略が求められます。

狭小ワンルームは、初期投資額が抑えられる分、インカムゲインの面では通常のワンルームよりも有利であると言えます。

ここでは、狭小ワンルームと通常のワンルームの収益性を詳しく解説しましょう。

面積と家賃のちがい

今回、某不動産ポータルサイトで「新宿区」に絞り、ワンルームで調査を行いました。

検索条件

  • 駅徒歩:5分以内
  • 築年数:5年以内
  • 人気のこだわり条件:バス・トイレ別

    上記の条件で、狭小ワンルームを探してみると、新宿区では7.0万円以下の物件は見られませんでした。

    面積家賃築年数備考
    9~10平米7.4万円前後3~4年程度ロフト付き狭小ワンルーム
    15~16平米8.6万円前後3~4年程度東京都心によくある広さのワンルーム
    17~18平米10万円前後3~4年程度東京都心ではゆとりのあるワンルーム

    表示された物件を平均的にまとめると、広さごとの家賃は上記のようになっています。

    このように比較すると分かりますが、平米あたりの家賃(収益性)は、狭小ワンルームは非常に高いのです。

    17~18平米で10万円の家賃を基準にすると、9~10平米の面積では家賃6万円台が妥当と考えられます。しかし、同じ割合で家賃が低くなるわけではない構造が分かります。

    トータルで見た収益性の違い

    上表を基にして収益性を単純計算する(建築基準法などを考慮しないものとする)と、一棟当たりの家賃収入に非常に大きな差が開きます。

    たとえば、建築可能な面積(土地)が90平米あったとしましょう。

    10平米のワンルームの場合、ワンフロアに9戸、3階建てにすると合計27戸作ることが可能です。

    一方、18平米のワンルームの場合、ワンフロアに5戸、3階建てにすると合計15戸作ることができます。

    10平米のワンルームの月間家賃収入7.4万円/戸×27戸=1,998,000円
    18平米のワンルームの月間家賃収入10万円/戸×15戸=1,500,000円

    一棟投資をする場合には、インカムゲインは上記のようになり、狭小ワンルームの方が有利であることが分かります。


    狭小ワンルーム投資のメリット

    狭小ワンルームへの投資には、その小さなサイズならではの利点があります。特に都心部での物件運用や低コストでの維持管理など、他の物件とは異なる魅力が多くあります。

    以下では、狭小ワンルーム投資の具体的なメリットについて詳しく解説します。

    個人投資家でも東京都心で物件を所有できる

    不動産投資において、立地良い物件を選定する重要性を理解していても、個人投資家にとって都心部の物件を購入するのは簡単ではありません。東京都心の地価は非常に高く、駅近や広い物件を手に入れるには多額の初期投資が必要です。

    しかし、狭小ワンルームはそのコンパクトさから価格が抑えられており、個人投資家でも他の物件よりも手軽に購入できます。そのため、個人投資家でも都心で賃貸需要の高いエリアに物件を所有し、安定した収益を得るチャンスが広がります。

    激狭でも若者から一定のニーズがある

    狭小ワンルームは、そのコンパクトさにも関わらず、特に若い世代から一定のニーズがあります。

    都心で働く若者の中には、立地の良さやコストパフォーマンスを重視する人が多く、実際に住んでいる人からは、以下のようなポジティブな意見も多く声が聞かれます。

    • 内覧時は狭さに驚いたが、暮らしてみたら意外と快適だった
    • 物を買わなくなり、自然とミニマリストになった
    • 限られたスペースでどう収納するか工夫するようになり、収納上手になった
    • エアコンがよく効くのでとても快適
    • 長時間家にいないので、アクティブになった

    このように、狭小ワンルームは単に生活スペースを提供するだけでなく、新たな価値観を育む場所として受け入れられています。

    物価の上昇や晩婚化といった時代の変化もあり、現在を生きる若者たちのニーズに適している、ということでしょう。

    原状回復費・修繕費が安い

    狭小ワンルームを運用していく中で大きなメリットとなるのは、原状回復費や修繕費が安く抑えられる点です。

    通常のワンルームマンションは水回りを含めると10~12畳程度の広さであるのに対し、狭小ワンルームはその半分程度のスペースしかありません。そのため、内装の補修や設備の修繕コストが大幅に安くなるのが利点です。

    たとえば、通常のワンルームでルームクリーニング費が3~4万円であるのに対し、狭小ワンルームでは2.5~3万円程度で済むことがあります。

    また、浴槽がない分、高額になりがちなユニットバスのリフォーム費用も抑えられるため、維持コストの面でも大きなメリットがあるようです。

    都心でも高い収益性(利回り)で一棟投資を実現できる

    狭小ワンルームを一棟丸ごと購入して運用する場合、都心部でも高い収益性(利回り)を確保できる点が大きなメリットです。

    通常、都心の物件は地価が高いため、一棟投資には多額の初期資金が必要となります。しかし、狭小ワンルームは一部屋あたりの面積が小さく、一棟全体でもコンパクトに設計されているため、他の物件に比べて初期投資を抑えながら都心に物件を所有できます。

    また、前章でも解説したように、面積あたりの家賃が高くとれるため、収益性が維持されやすいという強みもあります。賃料設定も都心の立地を活かして高めに設定できるため、高利回りを実現しやすく、一棟投資としての魅力が大きいです。


    狭小ワンルーム投資のデメリット

    狭小ワンルーム投資は、手軽に始められる反面、いくつかのリスクやデメリットもあります。

    物件が小さいため、入居者のニーズが限られていたり、市場の変化により価値が下がったりする可能性も考えられます。こうしたリスクを理解し、失敗を避けるためには、あらかじめデメリットについても把握しておくことが重要です。

    銀行の融資を受けづらい

    狭小ワンルームは、通常の物件に比べて面積が小さいため、銀行からの融資が難しくなる場合があります。金融機関は、リスクを考慮して融資額や条件を決定するため、狭小物件のように賃料収入や資産価値に限界があると判断されると、融資条件が厳しくなるだけでなく、そもそも融資を受けられないこともあります。

    これにより、求めていた借入額での承認が得られず、自己資金の割合が高くなるなど投資のハードルが上がる可能性があるでしょう。

    若者ならではのクレーム・トラブルがある

    狭小ワンルームは若い世代に人気がありますが、彼ら特有のトラブルやクレームが発生しやすい傾向があります。

    特に多いのが「騒音」と「ゴミ出し」問題です。

    たとえば、騒音の問題は、狭い物件の構造が影響しています。部屋が非常に小さく、隣の住戸と近接しているため、生活音が壁を通じて伝わりやすくなります。若者は夜型の生活リズムになりがちで、深夜に帰宅したり友人を招くことが多いため、隣人との騒音トラブルが起こりやすいのです。

    さらに、ゴミの出し方についても、一人暮らしの経験が少ない若者が多く、地域のゴミ出しルールに不慣れな場合があります。分別やゴミ出しのタイミング(収集日の朝や指定された時間帯)を守らないと、近隣住民とのトラブルが生じることがあります。

    こうしたトラブルに対して、適切に対応しない管理会社だと、入居者が不満を抱き、退去するリスクが高まるため、信頼できる管理体制を持つ管理会社を選ぶことが大切です。

    長期間の入居が望みづらい

    狭小ワンルームは、若者や単身者向けの物件であるため、ライフステージの変化によって短期間で退去されることが多く、安定した入居を望めない場合があります。

    • 結婚(恋人との同棲)
    • 転職
    • 実家に帰る

    など、理由はさまざまです。

    実際に多くの調査によって、ファミリー世帯よりも単身世帯の方が、入居期間が短いことが明らかになっています。

    これらの理由以外にも、「住んでみたら思ったより不便だった」「狭すぎて収納スペースが足りない」といった理由ですぐに退去するケースも少なくありません。狭小ワンルームはその特性上、住む前の期待と実際の生活環境にギャップが生じやすく、こうした不満が退去に繋がることがあります。

    また、物が少ないミニマリストのライフスタイルを持つ入居者が多いため、引っ越しが容易で、退去のハードルが低いことも一因です。これにより、入居者の入れ替わりが頻繁に発生し、空室リスクが高まることがあります。

    市場の変動やブームによる一過性の可能性がある

    狭小ワンルームは、都内での地価高騰によりミニマリストブームや都心部の便利な立地を重視するトレンドに乗って需要が増えています。しかし、こうした人気が一時的なブームに過ぎない可能性があります。

    たとえば、コロナ禍でキャンプやアウトドア活動が一気に流行しましたが、収束後にその人気が多少落ち着きました。狭小物件への需要もライフスタイルや市場の変化によって、絶対に下がらないとも言い切れません。

    ここで考えられるのは、一過性のブームが去った後、物件の資産価値が低下し、投資としての収益性が悪化するリスクです。狭小ワンルームへの投資には、需要の安定性をしっかりと見極めることが重要です。

    出口戦略が難しい

    狭小ワンルームは、購入時は安価で手軽ですが、売却する際の出口戦略が難しいというデメリットがあります。

    狭小物件は、投資家の中でも特定の層にしかニーズがないため、売却時には買い手が限定的になりやすいです。その結果、希望通りの価格で売れない可能性があります。

    さらに、状況によっては物件価値が大幅に下がるリスクもあり、一般的なワンルーム以上に出口戦略をしっかりと考えておかなければなりません。


    狭小ワンルーム投資をする際の注意点

    狭小ワンルーム投資には高い収益が期待できる一方で、注意すべき点もいくつかあります。

    物件選びや管理の仕方で失敗しないために、事前にしっかりリスクを理解することが大切です。

    以下のポイントを押さえて、安全かつ効果的に狭小ワンルーム投資を進めましょう。

    不動産投資の初心者は手を出してはいけない

    狭小ワンルームは、通常の物件とは異なる特性があり、管理や運用が難しいため初心者にはハードルが高いです。

    • 空室リスクの管理が難しい
    • 資産価値の変動が大きい
    • 管理費や修繕費が収益に与える影響が大きい
    • 立地選びの重要性が高い
    • 家賃設定が難しい

    上述のデメリットに比べ、このようなリスクがあります。

    これらの点を踏まえると、狭小ワンルーム投資は初心者にとっては難易度が高く、しっかりとした知識と経験が必要です。

    明確な出口戦略を描けるまで購入しない

    狭小ワンルームの投資では、他の物件以上に購入前に売却や賃貸の計画を立てることが重要です。

    たとえば、ファミリー物件で投資をする場合、出口戦略として一般市場のファミリー層向けに売却することができます。ファミリー層の需要が安定しているため、価格の下落も比較的少なく、スムーズに売却できる可能性が高いです。

    しかし、収益物件は、一般の購入者ではなく投資家を対象とするため、売却価格が一般市場の物件に比べて7~8割程度に抑えられることが多いです。

    さらに、狭小ワンルームは、投資家の中でも選ぶ人が限られる可能性があります。購入希望者が限定され、売却時に思ったような価格で取引されないことも視野に入れ、将来的な売却や運用プランをしっかりと立てておきましょう。

    コンビニ・スーパーとの位置関係をしっかり確認する

    狭小ワンルームに住む人は、近くにコンビニやスーパーがあるかどうかは非常に重要です。

    毎日生活するため利便性はもちろんのことですが、狭い部屋では、あえて冷蔵庫を置かない人も多くいます。

    コンビニやスーパーを「冷蔵庫代わり」と考える人もいるので、物件選びの際は、こうした施設が近くにあるかどうかを確認し、生活しやすい環境かどうかをしっかりチェックしましょう。

    居室の縦空間を有効に活用できる部屋を選ぶ

    狭小ワンルームでは、スペースの使い方がポイントです。

    天井が高かったり、ロフトが設置されていたりと縦の空間を活用できる部屋は、収納スペースとして使えるため、住む人にとって快適さが増します。

    些細な部分ですが、物件を選ぶときには他の物件と差別化を図る意味でも、このような居住者にとってメリットがある部屋を選びましょう。


    まとめ

    狭小ワンルーム投資は、都心部の高い地価でも比較的低コストで始められ、収益を上げやすい投資方法です。

    しかし、その特徴やリスクをしっかり理解し、事前の入念な計画と準備が求められます。エリアの需要や物件の特性、ターゲット層に合った運用方法をしっかりと分析することが大切です。

    また、狭小ワンルーム投資は、不動産初心者には少々レベルが高い手法ですので、他の物件と比較して安価で手軽に見えるからといって、簡単に手を出してはいけません。購入価格が低くても運用がうまくいかなければ、空室リスクや資産価値の下落につながる可能性があります。特に「狭小ワンルームの一棟投資」は、手を出さないようにしましょう。

    初心者の方は、まずは他の物件で経験を積み、狭小ワンルーム投資に挑戦する際には、十分な準備と知識を持って取り組むようにしてください。

    コメント

    賃貸仲介から管理、売買までワンストップで対応
    まずお気軽にご相談ください
    賃貸仲介から管理、売買までワンストップで対応
    まずお気軽にご相談ください