アパートの賃貸経営をしている中で、空室対策や賃料アップのために「インターネットを導入しようかな?」と考えたことがあるオーナー様は多いことでしょう。しかし、ネックになるのは「費用面」です。
結論から言うと、アパート全室にインターネットを導入するための費用は、20万円〜40万円程度が相場となります。
工事費用の目安が「1部屋あたり3万円〜5万円程度」なので、一般的なアパート(6部屋〜8部屋)の場合にはだいたい20万円〜40万円が相場になるのです。
【アパートの部屋数別の導入費用の目安】
アパートの部屋数 | インターネット導入費用 |
4部屋 | 12万円〜20万円 |
6部屋 | 18万円〜30万円 |
8部屋 | 24万円〜40万円 |
10部屋 | 30万円〜50万円 |
ただし条件によっては、初期費用がゼロ(かからない)というケースもあります。これについては詳しくは本文で紹介します。
本記事では、アパート経営において空室対策や賃料アップが見込めるインターネット導入費用について詳しく解説するとともに、月額費用の相場(毎月1万円程度)や注意点についても解説していきます。
注意すべきポイントとして「ただ無料インターネットを導入すれば良い訳ではない」という点があります。これを知らずに適当にインターネットを導入してしまうと、逆に入居者が見つからず後悔する羽目になるかもしれません。
ぜひ最後までお読みいただき、アパート経営のプラスになるようなインターネット導入を行ってください。
目次
- 1. アパート経営のインターネット導入費用(初期費用)は0円〜40万円程度
- 1-1. 一般的には20万円〜40万円程度かかる
- 1-2. ケースによっては初期費用がかからないこともある
- 2. アパート経営のインターネット維持費は毎月1万円程度
- 3. 導入費用の安さだけではなくインターネット速度をしっかり確認しよう
- 3-1. 速度の遅い「インターネット無料物件」は嫌われる
- 3-2. 速度が遅くなる方式は避けた方が無難
- 4. 空室率や家賃低迷に悩んでいるならインターネット導入を検討しよう
- 4-1. 入居率をアップできる
- 4-2. 相場より少し家賃を高くできる
- 4-3. 入居者の満足度を向上させ「空室対策」にもなる
- まとめ
1. アパート経営のインターネット導入費用(初期費用)は0円〜40万円程度
アパート経営のオーナーが各部屋にインターネット(光回線)を導入する時に最初にかかる「初期費用」は、6戸〜8戸の場合、20万円~40万円程度が相場となります。
【アパート経営のインターネット導入費用】
ケース別 | 初期費用 |
一般的なケース | 20万円〜40万円程度(6戸〜8戸の場合) |
初期費用0円プランを利用する場合 | 0円(工事代を毎月の利用料に乗せて支払いをする) |
新しいガス会社と契約する場合 | 0円(ガス会社が工事費用を払ってくれる) |
乗り換えの場合 | 0円(既に光回線の配線がされている場合) |
一般的なケース(新たにアパート全体に配線が必要なケース)では20万円〜40万円が目安ですが、状況によっては初期費用なしで導入が可能なインターネットサービスもあります。
もう少し詳しく解説していきます。
1-1. 一般的には20万円〜40万円程度かかる
アパート経営しているオーナーがインターネットを導入する場合にかかる工事費用の目安は、一般的には20万円〜40万円程度です。
導入するサービスや施工会社にもよるのですが、アパート全体にインターネット設備を導入する場合の工事費用は「1部屋あたり3万円〜5万円程度」といわれています。
【アパートの部屋数別の導入費用の目安】
アパートの部屋数 | インターネット導入費用 |
4部屋 | 12万円〜20万円 |
6部屋 | 18万円〜30万円 |
8部屋 | 24万円〜40万円 |
10部屋 | 30万円〜50万円 |
アパートの戸数は6部屋〜8部屋がボリュームゾーンなので、だいたい20万円〜40万円の工事費が目安となるでしょう。
この費用には、アパートの共用スペース(MDF室)まで光回線を引き込み、そこから全部屋へ配線する費用を含みます。
ただし実際には、アパートの部屋数や間取り、引き込みやすさなどによって異なります。工事費用を正確に見積もるには、図面や現地を見てもらって業者に問い合わせるのが確実です。
1-2. ケースによっては初期費用がかからないこともある
ケースによっては「初期費用0円で導入可能」というサービスもあります。代表的な3つのケースは以下です。
(1)初期費用0円プランを利用する場合 (2)ガス会社を変更する場合 (3)乗り換えの場合 |
(1)初期費用0円プランを利用する場合
インターネットを導入する業者によっては、工事にかかる初期費用をゼロにして、月額費用に上乗せできるケースがあります。
例えば工事費用が30万円かかる場合に、その費用を契約時に一括で払うのではなく分割して、毎月の月額費用に数万円ずつ上乗せして支払うイメージです。
(2)新しいガス会社と契約する場合
アパートで契約しているガス会社を変更することを条件に、インターネットの導入費用が無料になるケースがあります。この場合、ガス会社が工事費用を負担してくれるということです。
この方法だと導入費用がかからないためアパート経営オーナーにとってはメリットが大きいのですが、注意点もあります。
ガス会社によっては、毎月のガス料金の単価が現在のガス会社よりも割高になるケースがあるからです。これにより入居者の不満が募るデメリットが考えられます。特に、都市ガスをプロパンガスに変えた場合には、ガス代が割高になる可能性が高いので注意しましょう。
(3)乗り換えの場合
既にアパートに光回線の配線がされている場合には、インターネット導入費用(工事費用)がかからないケースがあります。
既に配線がされていれば、工事時には共有部のインターネット機器の取り換えのみとなるからです。
業者によって、無料でできるか、費用が少額かかるか異なる場合があるので、問い合わせてみましょう。
2. アパート経営のインターネット維持費は毎月1万円程度
アパート経営オーナーが物件全体にインターネットを導入する場合、初期費用以外にかかる維持費(毎月のランニングコスト)もしっかり把握しておく必要があります。
月額費用の目安は1戸あたり1,000円〜1,500円程度といわれているので、一般的な規模のアパートの場合はだいたい1万円程度と考えておけば良いでしょう。
【アパートの部屋数別の毎月の維持費の目安】
アパートの部屋数 | インターネット導入費用 |
4部屋 | 4千円〜6千円程度 |
6部屋 | 6千円〜9千円程度 |
8部屋 | 8千円〜1.2万円程度 |
10部屋 | 1万円〜1.5万円程度 |
もちろん、サービスや契約内容、保守内容によって金額はかかるので、詳しく知りたい方は見積もり時に確認してみてください。
3. 導入費用の安さだけではなくインターネット速度をしっかり確認しよう
アパートにインターネットを導入する場合には、費用の安さだけでなく「速度はどのくらい出るのか」をしっかり確認することが大切です。
冒頭でも解説した通り、インターネット無料の賃貸物件は人気があるため、うまくすれば入居率を上げたり家賃を高くしたりすることが可能です。しかしながら、インターネットの速度が遅い設備を入れてしまうと、入居者から敬遠され、逆に入居率が下がる可能性があるので注意です。
3-1. 速度の遅い「インターネット無料物件」は嫌われる
速度が遅いインターネットを導入してしまうと、メリットどころかデメリットとなることがあります。
SNSを検索すると、速度の遅い「インターネット無料物件」に住んでしまった方の不満が多く見つかります。
そらみたことか、
“光インターネット対応”を謳うマンションの実態よ…
VDSL方式/LAN方式で光インターネット対応って記載できないように法改正してくれ…頼む… pic.twitter.com/MqdErg3PmR— やんおーると (@yang_oort) April 28, 2023
アパートの部屋に論外に遅い無料インターネット回線があるのですが、僕はどうしたらいいですか? pic.twitter.com/2A2DhyJZNx
— とうふわかめ🐖 (@touhuwakame) May 24, 2020
悲報、アパートを借りたのはいいけど、「インターネット無料」のアパートで失敗してしまった
回線速度が遅い(・_・;)
nuro光だからワンチャン早いかもって期待をしてたけど駄目でした(´;ω;`)
新築に住みたいと思った私がアホでした!— あまね16bit (@am4ne16bit) December 13, 2023
3-2. 速度が遅くなる方式は避けた方が無難
せっかく光回線を導入しても、速度が遅くなる方式にしてしまうとスピードがかなり低速となり、住人から不満が出る可能性があります。また、「低速ならこの物件は辞めておこう」と避けられる可能性があり、逆に入居率を下げてしまうことがあるので注意しましょう。
【アパートのインターネットの配線方式】
【おすすめ】 光配線方式 | (1)光ファイバーケーブルをアパートの共用部まで引き込む (2)引き込まれたケーブルを、各部屋まで引き込む (3)光コンセントを室内に設置する |
【NG】 VDSL方式 | 共用部から各部屋に「電話回線用ケーブル」で配線する方式。速度が出にくいためおすすめはしません。 |
【NG】 WiFi共用部設置方式 | 共用部から各部屋には「WiFi機器で共有(線は引かない)」する方式。こちらも、使用状況によって速度が安定しにくいのでおすすめはしません。 |
VDSL方式やWiFi共用部設置方式だとコストを抑えられますが、速度が遅いことがデメリットになる可能性があります。
導入する場合には、費用の比較だけでなく、方式の違いもしっかり把握して納得したものを導入しましょう。
4. 空室率や家賃低迷に悩んでいるならインターネット導入を検討しよう
アパートにインターネットを導入する場合の費用はそれほど高くないため、空室率や家賃低迷に悩んでいるオーナーさんはぜひ、インターネット導入を検討してみることをおすすめします。
ここで改めて、インターネットを導入するメリットを3つ紹介します。
4-1. 入居率をアップできる
アパートに「無料インターネット」を導入することで、入居率のアップを期待できます。なぜならば、入居者が引っ越してすぐにインターネットを使用でき、インターネット料金がかからないからです。
アパートにインターネット設備がない場合、入居者は自分でインターネット業者と契約しなければなりません。光回線のインターネット月額料金の相場が2千円〜4千円程度なので、これを無料で使えるとなると、年間2万円〜5万円程度の節約が可能になります。
そのため、「インターネット無料」の賃貸物件は入居者から人気で、賃貸物件サイトでも「インターネット無料」特集ページがあるほどです。
「インターネット無料」を条件に物件を探す方も多く、インターネットが無料で使える物件にすることで、入居率アップできる可能性があります。
4-2. 相場より少し家賃を高くできる
入居率アップの他に、インターネット導入することで「家賃を高くできる」メリットがあります。
全国賃貸住宅新聞「入居者に人気の設備ランキング2023(付加価値編)」によると、周辺相場より家賃が高くても入居が決まる「付加価値設備」の1位は、単身者向け・ファミリー向けともに「インターネット無料」となっています。
記事によると、ネット無料設備があることで5000円高い物件でも提案の承諾を得やすいとされています。
「家賃を引き上げたいが、入居者に言い出しにくい」と考えているオーナーさんは、インターネットを導入することで家賃の引き上げ交渉がしやすくなるでしょう。
4-3. 入居者の満足度を向上させ「空室対策」にもなる
インターネット回線をアパートに導入して入居者が自由に使えるようにすることで、入居者の満足度を向上させることも可能です。入居者が「便利」と感じてくれれば、退去率が減り、空室対策にもなります。
最近ではインターネット無料物件の割合も増えてきたため、「自分でインターネットを契約するのが面倒」という入居者も今後増えるかもしれません。
インターネットに対応していない「時代遅れのアパート」にならないためにも、インターネット導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
本記事では、アパート経営を行っている方向けに、インターネット導入費用についての解説をしてきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
アパート経営のインターネット導入費用(初期費用)は、20万円〜40万円程度が相場
・一般的なケース:20万円〜40万円程度(6戸〜8戸の場合) ・初期費用0円プランを利用する場合:0円(工事代を毎月の利用料に乗せて支払いをする) ・新しいガス会社と契約する場合:0円(ガス会社が工事費用を払ってくれる) ・乗り換えの場合:0円(既に光回線の配線がされている場合) |
アパート経営のインターネット維持費は毎月1万円程度が相場
・毎月の保守費用の目安は1戸あたり1,000円〜1,500円程度 ・4部屋:4千円〜6千円程度 ・6部屋:6千円〜9千円程度 ・8部屋:8千円〜1.2万円程度 ・10部屋:1万円〜1.5万円程度 |
導入費用の安さだけではなくインターネット速度をしっかり確認しよう
・速度の遅い「インターネット無料物件」は嫌われる ・速度が遅くなる方式は避けた方が無難 |
経営するアパートにインターネットを導入するメリット
・入居率をアップできる ・相場より少し家賃を高くできる ・入居者の満足度を向上させ「空室対策」にもなる |
業者によって配線方式やスピードなどが異なるため、できれば違う方式を採用している業者を複数選んで、見積もりを依頼してみましょう。最終的に導入するサービスを選ぶ際には、費用だけでなく、内容(特にスピード)と価格のバランスを確認したうえで最終判断しましょう。
いまや水道やガスと同じようなインフラとなっているインターネット。アパートを無料インターネット物件にするだけでも、反響が大きく変わる可能性があります。
「物件の魅力が下がってきた」「空室の期間が長くなってしまった」などでお悩みのオーナーさんは、ぜひインターネット導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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