あなたは今、滞納された家賃回収をしなければならず、
- 物件から離れた場所に住んでいて、家賃回収のために訪問して督促するなどの対応ができない
- 忙しくて、滞納家賃の回収に時間を割けない
- 滞納家賃の回収は手間がかかりそうだから、自分ではやりたくない
このような悩みを抱えており、代行業者を探しているのではないでしょうか。
滞納家賃の回収代行はその名の通り、滞納された家賃を回収する業務を代行してくれるサービスです。
「代行」と聞くとさまざまなサービスがありそうに思えますが、代行を依頼できるのは「弁護士」だけです。
詳しくは後述しますが、弁護士法によって滞納家賃(債権)の回収は当事者(大家さん)か弁護士以外はおこなってはいけないと決められているからです。
弁護士に依頼する場合、大家さんは回収業務を行う必要がなくなり、手間や精神的な疲労を負わなくて済みます。ただし、依頼料が回収した家賃を上回る可能性もあるため、しっかりと検討してから依頼することが大切です。
この記事では、滞納家賃の回収代行を依頼するメリット・デメリットや、利用する流れをわかりやすく解説しています。また、回収代行の利用がおすすめのケースも紹介していますので、自分は利用すべきか判断できるでしょう。
家賃滞納への備え方についても紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
- 1. 滞納家賃の回収代行ができるのは【弁護士】のみ
- 2. 滞納家賃の回収代行で弁護士を利用するメリット3つ
- 2-1. 適切な方法で迅速に家賃を回収してくれる
- 2-2. 滞納家賃の回収に手間がかからない
- 2-3. 強制退去させたい場合も対応してもらえる
- 3. 滞納家賃の回収代行で弁護士を利用するデメリット2つ
- 3-1. 依頼するのに費用がかかる
- 3-2. 必ずしも滞納家賃を回収できるとは限らない
- 4. 滞納家賃の回収代行の利用がおすすめのケース
- 4-1. 回収業務を行えない・手間をかけたくない場合
- 4-2. 滞納家賃の回収が難航している場合
- 4-3. 家主が法的知識に不安を感じている場合
- 4-4. 契約解除や強制退去を検討している場合
- 5. 滞納家賃の回収代行で弁護士を利用する際の流れ
- 5-1.弁護士を選ぶ
- 5-2. 弁護士に相談する
- 5-3. 弁護士が滞納家賃の回収や退去に向けて交渉を進める
- 5-4. 弁護士が強制退去の手続きを進める
- 6. 滞納家賃のリスクに備えるには家賃保証会社との契約を必須にするのがおすすめ
- 7. まとめ
1. 滞納家賃の回収代行ができるのは【弁護士】のみ
冒頭でもお伝えしたように、滞納家賃の回収代行は弁護士にしかできません。なぜなら、滞納家賃は「債権」の扱いになり、債権の回収は「弁護士法72条・73条」により基本的に当事者、もしくは弁護士以外はおこなってはいけないからです。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
第七十三条何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の実行をすることを業とすることができない。
滞納家賃の回収代行で調べていると、家賃保証会社などの情報が出てくるケースがあります。たしかに、保証会社や家賃保証がある管理会社を利用していれば、家賃滞納が発生した際、入居者の代わりに支払ってもらう(代位弁済)ことは可能です。
しかし、また、保証会社も管理会社もあらかじめ契約している必要があり、それらを契約していない場合は家賃滞納が発生した際だけ、滞納分の回収のみを依頼することはできません。
【家賃滞納発生時の弁護士・保証会社・管理会社の違い】
そのため、家賃滞納分の回収代行を依頼したいのであれば、弁護士に依頼するしか方法がないのです。
【代位弁済後の保証会社や管理会社による回収は「滞納家賃の回収」ではない】
保証会社や管理会社が代位弁済をした後、各業者が入居者に対して回収業務をおこないますが、これは「滞納家賃の回収」ではありません。代位弁済された時点で、「滞納家賃」という負債はなくなっているからです。
保証会社の場合は、入居者と契約を結んでいるため、代位弁済分の請求を「当事者」としておこないます。
また、管理会社の場合は大家さんとの契約であるため、代位弁済後の回収は電話などでの支払い催促とどめられます。ただし、管理会社が弁護士と顧問契約を結んでいた場合は、督促などもおこなえます。
2. 滞納家賃の回収代行で弁護士を利用するメリット3つ
滞納家賃の回収代行を利用した場合、次のようなメリットがあります。
- 適切な方法で迅速に家賃を回収してくれる
- 滞納家賃の回収に手間がかからない
- 強制退去させたい場合も対応してもらえる
では、これらのメリットについて詳しく見ていきましょう。
2-1. 適切な方法で迅速に家賃を回収してくれる
弁護士に依頼すると、家賃回収に必要な法的手続きを適切かつ迅速に進めてくれます。
大家さんが自分で滞納家賃を回収しようとすると、手順を確認しながら法に触れないように進めていかなければなりません。しかし、弁護士ならどのように進めていけばいいかを理解しているため、大家さんが自分で回収するよりも時間がかからない可能性が高いでしょう。
また、弁護士が介入することで、家賃滞納者に対してプレッシャーを与えられ、支払いに応じてくれる可能性も高まります。
2-2. 滞納家賃の回収に手間がかからない
滞納家賃の回収を自分でおこなおうとすると、手間がかかります。弁護士に依頼した場合、回収にかかる手間をすべて弁護士が引き受けてくれます。
自分で回収する場合、滞納が続くと電話・書面・対面などで督促を複数回おこなう必要があります。
また、書面の場合は滞納から経過している時期にあわせて、以下のように内容を変更しなければなりません。
書面の種類 | 内容 |
---|---|
督促状 |
|
催告書 |
|
電話や対面で督促をおこなう場合は、滞納者が言い訳ばかりで話が進まなかったり、払うと言ったのに払われなかったりする可能性もあります。支払いに応じない場合、民事訴訟を起こさなければならなくなるケースもあります。
このようなことに労力を割くと、手間がかかるだけでなく精神的にも疲弊してしまうでしょう。
しかし、弁護士に依頼すればこのような手間がかかることはありません。
2-3. 強制退去させたい場合も対応してもらえる
何ヵ月分も家賃を滞納している場合など、滞納状況によっては入居者に退去してもらいたいケースもあるでしょう。
強制退去をさせるには、以下のようなことをおこなわなくてはなりません。
- 「いつまでに家賃を支払わなければ、賃貸契約を解除します」という内容の催告書を内容証明郵便で発送
- 家賃が支払われず、退去も拒否されたら民事訴訟を起こす
- 民事訴訟で賃貸契約の解除と物件明渡請求が認められたら、強制執行の手続きをする
- 強制執行に立ち会う
これらすべてをおこなうことになった場合は、解決するまでに数ヵ月かかってしまい、自分でおこなおうとすると非常に大変です。これらをおこなわずに強制退去させようとすると、逆に大家さんが入居者に損害賠償請求をされてしまう可能性もあります。
また、民事訴訟に発展した場合は、結局弁護士を雇うことになるので、滞納家賃の回収とともに最初から対応してもらった方がいいのです。
弁護士にあわせて依頼することで、内容証明の発送や民事訴訟までスムーズに対応してくれます。
3. 滞納家賃の回収代行で弁護士を利用するデメリット2つ
滞納家賃の回収代行を弁護士に依頼する場合、以下のようなデメリットがあることも把握しておきましょう。
- 依頼するのに費用がかかる
- 必ずしも滞納家賃を回収できるとは限らない
では、詳しく解説します。
3-1. 依頼するのに費用がかかる
弁護士に依頼する場合、以下のような費用が発生します。
相場 | |
相談料 | 5,000円/1時間 |
---|---|
着手金 | 10~40万円(家賃が20万円以下の場合) |
成功報酬 | 回収金額の10~35% |
上記は、滞納家賃の回収のみ(民事訴訟含む)の相場であるため、強制執行の手続きなども依頼した場合は、金額が変わります。
弁護士に依頼する際の費用は非常に高額ですが、内容証明を発送した段階で支払いがあった場合は成功報酬がかからないところもあります(成功報酬型除く)。成功報酬とは、訴訟に勝訴した場合を「成功」としているため、訴訟に発展しなければ成功報酬もかからないということです。
また、弁護士事務所によっては、以下のように利用しやすい工夫がなされているケースもあります。
- 初回相談料無料
- 着手金無料
- 成功報酬型
成功報酬型で依頼する場合、回収できなければ費用は発生しません。着手金無料で成功報酬型の弁護士事務所も存在しますので、調べてみましょう。
3-2. 必ずしも滞納家賃を回収できるとは限らない
弁護士に依頼したからといって、100%滞納家賃を回収できるとは限りません。なぜなら、家賃滞納者に支払い能力がない可能性があるからです。
たとえば、民事訴訟で勝訴して裁判所から支払い命令が出たものの、家賃滞納者が働いておらず貯金も財産もなく、お金を用立ててくれる親族もいない可能性もあります。そうなると「ない袖は振れない」状態になってしまうのです。
そのような場合、着手金や依頼料だけが発生し、大家さんがただ損をするだけになってしまうこともあります。
4. 滞納家賃の回収代行の利用がおすすめのケース
ここまで、弁護士による滞納家賃の回収代行について解説してきましたが、利用すべきか判断できないという人もいるでしょう。
弁護士への依頼がおすすめのケースは、以下のような場合です。
- 回収業務を行えない・手間をかけたくない場合
- 滞納家賃の回収が難航している場合
- 家主が法的知識に不安を感じている場合
- 家主が法的知識に不安を感じている場合
では、詳しく解説します。
4-1. 回収業務を行えない・手間をかけたくない場合
大家さんが忙しかったり遠方に住んでいたりして、回収業務や法的手続きを行えない場合や、手間をかけたくない場合は、弁護士に依頼しましょう。
契約後は弁護士にすべて任せられるため、大家さんが滞納家賃の回収のために動く必要がなくなります。
4-2. 滞納家賃の回収が難航している場合
夜逃げによって家賃滞納者の所在が不明な場合など、回収業務が難航している場合も弁護士に依頼するのがおすすめです。
また、家賃滞納者が感情的になってしまい話しにならない場合なども、弁護士に依頼することで、冷静かつ法的根拠に基づいた交渉をおこなってくれます。
4-3. 家主が法的知識に不安を感じている場合
自分で督促や法的手続きをしなければならない場合、法的知識がなくて不安を感じる人は多いのではないでしょうか。
そのような場合も弁護士を利用することで、適切な手順で督促や手続きを進めてくれるため、正確かつ迅速に滞納家賃の回収ができます。
4-4. 契約解除や強制退去を検討している場合
督促は自分でおこなえたとしても、民事訴訟に発展した場合は難しい法律を理解する必要があるため、弁護士に依頼するケースがほとんどです。
そのため、「退去してほしい」と考えている場合は、滞納家賃の回収代行とあわせて、契約解除や強制退去の手続きもあわせて依頼することで、早期解決につなげられるでしょう。
5. 滞納家賃の回収代行で弁護士を利用する際の流れ
実際に、弁護士に滞納家賃の回収代行を依頼した場合、以下のような流れで進みます。
- 弁護士を選ぶ
- 弁護士に相談する
- 弁護士が滞納家賃の回収や退去に向けて交渉を進める
- 弁護士が強制退去の手続きを進める
では、これらの流れについて順に解説します。
5-1.弁護士を選ぶ
滞納家賃の回収代行を依頼する場合、代行を専門的に請け負っている弁護士を探しましょう。なぜなら、弁護士の中にも得意不得意な分野があるためです。
「滞納家賃 回収代行 弁護士」などで検索すると、滞納家賃の回収代行を強みとしている弁護士事務所のWebサイトなどが出てきます。
回収実績や、費用が相場よりも高くないかを確認して、2~3つくらいに候補を絞りましょう。
費用の相場は以下を参考にしてください。
弁護士に依頼した場合の費用相場 | |
相談料 | 5,000円/1時間 |
---|---|
着手金 | 10~40万円(家賃が20万円以下の場合) |
成功報酬 | 回収金額の10~35% |
初回相談料が無料のところを選ぶのもおすすめです。
5-2. 弁護士に相談する
弁護士事務所を絞れたら、弁護士に滞納家賃の回収代行について相談しましょう。
滞納期間や家賃滞納者の状況などのヒアリングをし、見積もりを作成してもらいます。少しでもコストを抑えたいのであれば、複数の弁護士事務所から見積もりを取ることをおすすめします。
見積もりに納得できたら、契約を結びましょう。
5-3. 弁護士が滞納家賃の回収や退去に向けて交渉を進める
契約後は、弁護士が督促や契約解除の催告をおこないます。すべて弁護士に任せられるため、大家さんがすべきことはありません。
何度も家賃を滞納している場合や、滞納期間が長い入居者に対しては、早い段階で退去請求をしてもらうことも可能です。そうすることで、早く新たな入居者を募集できるようになるでしょう。
5-4. 弁護士が強制退去の手続きを進める
家賃滞納者が督促や催告に応じない場合や連絡が取れない場合は、大家さんと合意のもと民事訴訟によって強制退去の手続きを進めます。
民事訴訟に発展した場合は、3~4ヵ月程度かかることを理解しておきましょう。
6. 滞納家賃のリスクに備えるには家賃保証会社との契約を必須にするのがおすすめ
入居時に家賃保証会社との契約を必須にし、あらかじめ滞納リスクに備えておきましょう。入居者が保証会社と契約することで、家賃滞納時に大家さんは保証会社から確実に代位弁済してもらえるからです。
その他の滞納リスクを減らす方法として、
- 保証人を付ける
- 入居審査を厳しくする
などがあります。しかし、
- 保証人と連絡がつかなかい
- 入居審査では問題なかった入居者が、入居後に何らかの理由で収入が減り家賃を支払えなくなる
などのリスクがあるため、対策としては万全ではありません。そのため、保証会社を利用することで、滞納されても確実に家賃が入ってくるようにしておくことが大切なのです。
また、代位弁済がおこなわれた時点で、滞納した家賃は保証会社への負債となるため、その後の督促などは保証会社がおこないます。そのため、大家さんは家賃の代位弁済をしてもらう以外で、特にやらなければいけないことはありません。
なお、家賃保証会社への加入は入居時におこなわれることが一般的です。加入する際や更新時には、保証料の支払いも発生します。
そのため、すでに入居している人に対し、保証会社に加入してもらうことは困難です。入居者と交渉はできますが、入居者にとっては予想外の出費が発生することになるため、了承を得られない可能性もあります。
家賃保証会社については、下記記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
保証会社 家賃滞納
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家賃滞納や賃貸契約を解除せずに引っ越されてしまうと、労力だけでなく多大な費用がかかります。そのため、あらかじめ保証によって備えておくことが大切です。
家賃滞納を含むさまざまなリスクに関する保証をご検討中の方は、ぜひ一度ルーム・スタイルにご相談ください。
7. まとめ
この記事では、滞納家賃の回収代行について解説しました。最後にまとめをご覧ください。
【滞納家賃の回収代行を依頼できるところ】
滞納家賃(債権)の回収代行は弁護士にしか依頼できない |
【滞納家賃の回収代行を利用するメリット・デメリット】
メリット |
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デメリット |
|
【滞納家賃の回収代行を利用する際の流れ】
- 弁護士に相談する
- 弁護士が滞納家賃の回収や退去に向けて交渉を進める
- 弁護士が強制退去の手続きを進める
【滞納家賃のリスクに備える方法】
- 入居時に家賃保証会社との契約を必須にする
- 家賃保証がある管理会社を利用する
家賃滞納が発生してから弁護士に回収代行を依頼すると、高額な依頼料がかかってしまう可能性があります。いつ家賃を滞納されても困らないように、家賃保証がある管理会社を利用するなどして、備えておきましょう。
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