賃貸物件を自主管理するオーナーの方は、
「家賃の支払いが2,3日遅れているけど、滞納として督促すべき?」
「家賃滞納の督促って、『いつから』『どうやって』すればいいの?」
といった悩みを抱えることもあるでしょう。
賃貸オーナーの誰しもが「起こってほしくない」と願いながらも、一定数の方に生じてしまうトラブルが「家賃滞納」ではないでしょうか。
そんな家賃滞納の問題を、自主管理オーナーがスムーズに解決するには、適切な手順や方法で督促することが重要です。自主管理オーナーが行うべき督促方法の流れをまとめると、以下のようになります。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の「2022年度日管協短観」によると、月末での1か月滞納率は全国平均0.8%で、125戸に1戸の割合で滞納が発生していることになります。2か月以上続く滞納率になると0.3%に減少するため、家賃を1か月滞納した人のうちの約6割は、1~2か月のあいだに解消されていることがわかります。
つまり家賃滞納が発生しても、適切な督促を行えば2か月までのあいだに解決できる可能性が高いといえるでしょう。
一方で、家賃を滞納したまま居座られ続ける場合は法的手段を使うことになり、訴訟や建物の明渡しには100万円以上の費用がかかるケースも珍しくありません。
そこでこの記事では、法的手段を行使する前に自主管理オーナーが行うべき督促方法を、すぐに実践できる具体的な5つのステップにまとめました。さらに、今後の家賃滞納リスクを軽減するための4つの方法もご紹介します。
お読みいただくと、今あなたが行うべき適切な督促がわかり、すぐに行動に移せます。家賃滞納の早期解決につながりやすくなり、オーナー様が抱える不安や焦りが軽減されるでしょう。
賃貸経営を行ううえで知っておきたい基礎知識でもありますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1. 【STEP1】電話連絡
家賃滞納に気が付いても、「まだ2,3日過ぎただけだから様子を見よう」と考えるオーナーも多いかもしれません。しかし1日でも支払いが遅れたら、できるだけ早く入居者本人へ連絡を入れることが大切です。
「支払日を少し過ぎただけでも連絡がくる」とわかった入居者は、滞納に対する罪の意識が強まり、今後は滞納しないように注意する意識が高まるからです。
入居者に電話をかけるタイミングは、個人の方に電話をかける時間帯として一般的な朝9時~夜21時のあいだが適切です。一度かけても出られなかった場合は、同じ時間帯に何度も電話するのではなく、1日に2,3回を目安に時間帯を変えてかけ直してみましょう。
家賃滞納の原因は「うっかり忘れていた」だけのケースが多いため、最初の電話で強く支払いを促すのは、入居者との関係性を悪化させる恐れがあります。「督促」ではなく「確認」のための連絡であると理解しておきましょう。
入居者が電話に出たら
電話がつながったら、契約者本人であるかを確認したあとに、
「家賃の支払いをお忘れではないですか?」
というような柔らかい言い方で支払いを済ませたがどうかを確認しましょう。
入居者が「うっかり忘れていた!」ということであれば、
「○日までにお支払いいただくことは可能ですか?」
と予定を聞き、双方が合意できる支払期日を設定します。
明確な支払期日を決めずに「できるだけ早くお支払いをお願いします」で電話を終えてしまうと、お互いの認識に差が出たり、支払いを後回しにされたりする恐れがあります。
もし入金日が決められない様子であれば、
「なにかご事情があるのでしょうか?」
と支払いが遅れる理由を確認することが大切です。
以下の例のように、入居者が家賃を支払えない理由がわかると、今後の見通しや対策が立てやすくなります。
【住居確保給付金とは】
離職もしくは廃業後2年以内で家賃の支払いが困難な人に向けて、家賃相当額を自治体が代理納付してくれる制度。「求職活動を行っている」などの要件を満たせば、原則3か月(延長により最大9か月)のあいだ給付が受けられる。
大家が入居者の事情を理解し、それに寄り添える知識を身に付けていれば、入居者にとっても望ましい打開策が提案できる可能性が高まるでしょう。
電話をかけても出ないときの注意点
1日に2,3回電話をかけてもつながらない状態が続く場合は、留守電やSMSにも家賃の支払いについて電話したメッセージを残して、次のステップに進みましょう。
入居者と連絡がつかないと不安になりますが、電話に出ないからといって以下のように行動をエスカレートさせるのは問題です。
- 1日に4回以上電話をかける(目安は1日3回まで)
- 社会的に非常識な時間(21時~翌朝8時)に電話をかける
- 職場や家族といった本人以外の人物へ電話をして、家賃滞納の事実を伝える
家賃の督促については、現在のところ明確な法規制はありません。しかし、債権の取り立てと同様の性質をもつため、貸金業法の規定に基づいて対応すべきと考えられています。
上記のような非常識な取り立て行為は、借金業法や日本貸金業協会の自主規制に反するとみなされ、損害賠償を請求される可能性もあるため注意が必要です。
2. 【STEP2】1回目の督促状
電話がつながらなかったり、支払日を明確にしてもらえなかったりした場合は、家賃支払日から1週間ほどを目安に「督促状」を郵送します。
滞納額が大きくなる前のほうが入居者も支払いやすいため、できる限り早めに家賃を回収できるように行動していくことが大切です。
初めて出す督促状は、入居者が家賃を未払いであることに気が付いていない可能性もあるため、威圧するような強い表現を避けるようにしましょう。
【1回目の督促状に記載する項目】
- 請求金額
- 振込先
- オーナーの連絡先
【1回目の督促状のテンプレート】
初回の督促状から、「連帯保証人に連絡します」「支払わなければ退去してもらいます」といった強い文面で請求を迫ると、入居者とのあいだに溝が深まってしまう恐れがあります。
「家賃が未入金である」、「振込してほしい・連絡してほしい」ことが伝わる文書を意識しましょう。
【注意】
近場の物件であれば直接訪問して持参するほうが確実ですが、玄関ドアに督促状を張り付ける行為はNGです。第三者に家賃滞納の事実を公表することになり、入居者の私生活を害したとして違法とみなされる恐れがあります。
入居者が不在だと、督促状が確実に入居者の目に入るように目立つ場所に設置したくなりますが、他人の目につく状態にするのは避けましょう。
3. 【STEP3】2回目の督促状
1度督促状を送っても進展がなく、家賃が未払いのまま半月~1か月ほど経過した場合は、2回目の督促状を送りましょう。
1か月も家賃を滞納しているのに支払いのめどを立ててもらえない場合、家賃の未払いを認識したうえで意図的に滞納していると考えられます。2回目の督促状では1回目よりも強めに支払いを促し、緊急性や深刻さが伝わるようにしましょう。
具体的には、「〇月〇日までに入金がなければ連帯保証人に家賃の請求をする」といった文言を入れます。
【2回目の督促状のテンプレート】
入居の契約時に連帯保証人を付けていれば、入居者本人と同様に連帯保証人にも滞納家賃を支払う義務が課せられます。
ただし、入居者本人になんの連絡もなしに連帯保証人へ直接請求してしまうと、のちのトラブルへと発展しかねません。連帯保証人に連絡する前に、必ず事前予告を入れるようにしましょう。
4. 【STEP4】連帯保証人へ電話連絡
2回目の督促状での支払期日までに入金がなければ、連帯保証人に連絡を入れます。この時点で家賃滞納から1~2か月が経過していることになるでしょう。
連帯保証人への連絡方法は、電話・メール・書面が挙げられます。連帯保証人といっても、借主との関係性が薄い場合や、保証人になっていたことを忘れているケースもあるため、まずは事情を詳しく説明できる電話を選択しましょう。
入居者本人と連絡が取れない場合、連帯保証人が事態を進展させるキーパーソンとなる可能性があります。やり取りできる関係性を続けるためにも、感情的な態度にならないよう注意しましょう。
連帯保証人に電話をかけてもつながらない、事情を話しても対応してもらえないといった場合は、連帯保証人にも督促状を郵送します。
5. 【STEP5】催告書を内容証明郵便で送付
いよいよ家賃滞納が3か月分まで重なってしまった場合、賃貸借契約の解除通知をするための催告書を送付します。
賃貸借契約の解除が認められれば、法的な強制力をもって入居者を退去させる「強制退去」の手続きを進めていけます。
【賃貸借契約を解除するには】
賃貸借契約は、「家賃の滞納」という契約条項の違反があっても、ただちに解除が認められるものではありません。契約を解除するためには、入居者に滞納家賃を支払う意思がなく、オーナーと入居者とのあいだの「信頼関係が破壊された」とみなされる必要があります。
裁判実務上で「信頼関係の破壊」とみなされるのは、「3か月分の家賃滞納」が1つの目安となる傾向にあります。
3か月分の家賃滞納が続いた時点で、「〇月〇日までに滞納家賃が支払わなければ賃貸借契約を解除する」という旨を記載した催告書を、内容証明郵便で送付します。
内容証明郵便は「いつ、誰から誰に、どのような内容の文書が届けられたか」が証明されるものです。今後法的措置を進めていく際には、きちんと督促を行った事実を認めてもらう必要があり、その重要な証拠となります。
【催告文を内容証明で送付する場合のテンプレート】
また、催告書を作成する段階で弁護士に相談することも有効です。催告書の内容証明郵便は、大家の名義よりも、弁護士名義で送られたもののほうが、相手に心理的なプレッシャーを与えられます。
「まだ大丈夫だろう」と思っていた滞納者でも、弁護士名義での内容証明郵便が送られてくると「本当に裁判になってしまう」と、自身の認識の甘さを感じるはずです。結果的には、解決を早められる可能性が高まるでしょう。
内容証明郵便の作成から弁護士に依頼、もしくは作成代行してもらう場合の費用は、「7. 家賃滞納の督促にかかる費用」にまとめてあります。
【補足】
家賃滞納の消滅時効は5年間
家賃滞納の消滅時効は、民法により5年間と定められています。内容証明郵便で催告すると、時効が完成するまでに6か月の猶予期間が得られるため、時効を延ばす意味でも催告書の内容証明郵便は欠かせません。
6. 【それでもダメなら】法的措置
催告書を内容証明郵便で送付しても、話し合いに応じず支払う意思が見られない場合は、いよいよ法的措置を検討しましょう。
家賃を滞納したまま部屋に居座られ続けている状態は、損害が膨らむばかりです。一刻も早く部屋から退去してもらうには、法的な強制力を行使するための法的手続きを進めていかなければなりません。
この段階まできたら、弁護士に訴訟を依頼したほうがスムーズに進みます。以下のような法的措置のなかから、状況に適した手段を選びましょう。
- 民事調停
話し合いの余地があれば、調停委員に当事者間に入ってもらうことで解決できる場合もある。
訴訟にくらべて費用負担が少ないのがメリット。 - 支払督促
簡易裁判所での書類提出のみで、裁判所に出向くことなく債務者に金銭の支払い命令が出せる。
少ない費用で利用できるが、相手方が異議申し立てをすると通常訴訟に切り替わる。 - 少額訴訟
滞納額が60万円以下の場合に利用でき、通常は1日で審理が終わり判決が出される。
建物の明け渡し請求はできないため、退去させたいのであれば通常訴訟を起こす必要がある。 - 通常訴訟
一般的な裁判を指し、滞納家賃の支払いだけでなく、同時に物件の明渡しも請求できる。
手続きには数か月を要し、訴訟費用のほか弁護士費用もかさんでしまう。
滞納発生から通常訴訟の判決が出るまでには、少なくとも半年ほどの時間が必要です。判決が出ても退去されなければ、強制執行で部屋を明け渡してもらうまでにはプラスで1,2か月を要します。
また、家賃を滞納したまま入居者が無断で部屋から逃げてしまう「夜逃げ」の場合も、民事訴訟から強制執行の申立てへと手続きを進めていかなければなりません。強制執行の申立てや夜逃げされた場合の対応を詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「夜逃げの残置物は勝手に処分できない!処分までの流れや費用を解説」
入居者が部屋を明け渡すまでは、家賃は入ってこないうえに新たな入居者も募集できません。法的措置を取るのは滞納家賃回収のためではなく、損害を最小限に抑えるために1日でも早く退去してもらうことが目的であることを念頭において動いていきましょう。
【補足】
任意交渉で解決できるのが理想
訴訟で解決するよりも、任意交渉で自主退去させられるほうが、時間も費用もかからずに済みます。たとえば、未払い家賃の支払いを一部免除するなどを条件に交渉することで、早期に立ち退きしてもらえるケースもあります。
どのような手段が有効かは弁護士と相談しながら進めていきましょう。
7. 家賃滞納の督促にかかる費用
家賃滞納の督促にかかる費用は、おもに以下のタイミングで発生します。
- 内容証明郵便の送付
- 訴訟
- 強制執行
それぞれのタイミングで発生する費用を、表にまとめると以下のようになります。
【内容証明郵便にかかる費用】
自分で作成したときの郵送費用 | 約1,400円~2,000円(文書1~3枚の場合) ※2024年10月時点での料金 |
弁護士に作成を代行してもらったときの費用 | 約3万円~6万円 |
内容証明郵便の作成段階から弁護士に依頼し、 訴訟前に解決した場合の弁護士費用 | 約20万円~30万円 |
【訴訟にかかる費用】
訴訟の申立手数料 | 数千円~7万円程度 固定資産税評価額の2分の1の価額をもとに計算される (固定資産税評価額400万円の場合:15,000円) |
裁判所に納める郵便切手の予納額 | 原告・被告それぞれ1名ずつで 6,000円 (東京地方裁判所の場合) |
弁護士費用(明渡訴訟後に解決した場合) | 約20万円~60万円 |
【強制執行にかかる費用】
強制執行申立の予納金 | 約4万円~8万円(相手方が1名の場合) |
明渡の催告時や執行時における 立会証人や執行業者への日当 | ワンルーム:約10~20万円 ファミリー向けマンション:約30万円~50万円 |
解錠費用 | 約2,3万円 |
保管・廃棄費用 | 約10万円 |
弁護士費用 (強制執行を断行した場合) | 約30万円~70万円 |
訴訟や強制執行、弁護士にかかる費用を滞納者へ請求することは難しく、貸主であるオーナーの負担となってしまいます。これらの費用は、解決するタイミングが遅くなるほど高額になっていきます。
判決が出ても入居者が退去しない場合は、建物明渡の強制執行を申し立て、明渡の断行日に執行業者によって部屋から荷物を運び出さなければなりません。部屋の大きさにもよりますが、明渡しの断行まで行った場合は100万円以上の費用がかかるとみておくべきでしょう。
8. 家賃滞納のリスクを軽減する方法
ここまで家賃滞納の督促方法や費用をみてきましたが、家賃滞納が長引くとオーナーにとって非常に大きなダメージとなることがおわかりいただけたと思います。
そんな家賃滞納による損害を軽減するには、「家賃滞納の発生」と「家賃滞納による損害」を防ぐための対策を講じることが重要です。対策を立てなければ、安定した収益が維持できずにローンの返済までも滞ってしまう恐れがあります。
家賃滞納リスクを軽減するのに有効な4つの方法を詳しく解説します。
8-1. 入居審査を厳しく行う
物件へ入居してもらう際の入居審査は、不動産会社任せにせずに、「家賃を継続して支払える人物なのか」をオーナー自身が責任をもって見極めなければなりません。
入居付けをする不動産会社は、入居が決まったときの仲介手数料が主な収入源です。入居後の家賃支払いについては、自社の利益に直接影響を与えるものでないため、入居審査が甘くなってしまう可能性があるでしょう。
入居希望者の支払能力を判断するには、まずは基本的な属性調査が大切です。
- 収入額
支払可能な家賃の目安は手取り月収の30%ほどが上限 - 勤続年数
勤続年数が短いと、入居後に離職して安定した収入がなくなるリスクも考えられる - 勤務先や雇用形態
中小企業勤務や自営業よりも、経営が安定した大企業勤務のほうが安定性は高い
非正規雇用やフリーランスなどは、正社員にくらべると収入に波が出やすい
入居者の属性にくわえて人柄を見ることも大切です。
- 態度が横柄
- 言葉遣いが乱暴
⇒入居後にトラブルを起こす可能性が考えられる
また入居理由をヒアリングすると、滞納やトラブルを起こしそうな入居者を判断するのに役立ちます。
【注意すべき入居理由】
- 前職を離職したから(現在求職活動中)
⇒すぐに就職できるとは限らないため、家賃の支払いを継続できなくなる恐れがある - 理由は特にない、なんとなく
⇒職場から離れた場所に引っ越そうとしているなど不自然な点があれば、部屋の又貸しなどの不正行為が疑われる
人柄や入居理由を知るには、不動産会社の営業担当者に確認するか、不安がある場合は直接面談するのもおすすめです。
入居審査を厳しくすると「質の高い入居者」だけに入居してもらえますが、一方で属性にまったく申し分のない入居者だけで空室を埋めるのは、現実的には難しいかもしれません。
属性としては不安要素となる点があったとしても、個別に丁寧に精査することで、滞納リスクの少ない入居者を見極めやすくなるでしょう。
8-2. 自動引き落としやクレジットカード払いで家賃を集金する
家賃滞納を防ぐには、家賃の集金方法を「銀行口座からの自動引き落とし」や「クレジットカード払い」へ変更するのが有効です。
家賃を回収するには、入居者から家賃の支払期日までに振込をしてもらう方法が一般的ではありますが、入居者に毎月振込手続きをしてもらわなければなりません。そのため、「うっかり忘れていた」「忙しくて振込できなかった」といった事態がどうしても起きてしまいます。
銀行口座からの自動引き落としやクレジットカード払いの特徴を以下にまとめました。
銀行口座からの自動引き落とし | ・金融機関で所定の手続きが必要 ・振込手数料が発生する ・口座の残高が不足していると引き落としできない |
クレジットカード払い | ・カード会社や決済代行会社との契約が必要 ・決済手数料(3~7%ほど)が発生する ・手元に入金されるまでに1~2か月かかる ・口座の残高にかかわらず決済できる |
どちらも手数料がかかるため家賃収入が減少してしまいますが、入居者にとっては毎月の振込の手間が省けるため、居住満足度の向上につながるでしょう。特にクレジットカード払いであれば、入居者はカードのポイントを貯められるため、物件のアピールポイントにもなります。
家賃滞納された場合の手間やコストと比較して、導入を検討しましょう。
8-3. 家賃保証会社を利用する
家賃滞納によるトラブルを軽減するのに頼りになるのが、家賃保証会社です。
家賃保証会社は、家賃滞納が発生したときに入居者の代わりに未払い家賃を立て替え支払いしてくれるだけでなく、その後の督促業務もすべて代行してくれます。
契約内容にもよりますが、基本的には訴訟や強制執行にかかる費用やその間の家賃が保証されるため、家賃滞納時に受ける損失のほとんどをカバーしてもらえます。
近年は連帯保証人ではなく、入居者が家賃保証会社と契約することを入居の条件とする物件が大半を占めている傾向です。賃貸住宅管理会社が取り扱う契約においては、2020年時点で95%以上が家賃保証会社を利用しています。(参考:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「第25回 賃貸住宅市場景況感調査」)
自主管理オーナーが家賃保証会社を利用するには、以下の2つの方法があります。
- 不動産会社をとおして家賃保証会社を付ける
- オーナーが直接取引できる家賃保証会社を付ける
一般的に、家賃保証会社は個人との取引を行っていないことが多いため、不動産仲介会社や管理会社をとおして契約を結ぶ必要があります。入居付けを不動産会社に依頼している場合、その不動産会社が取引している保証会社を利用しましょう。
株式会社Casaが提供する「家主ダイレクト」であれば、入居付けから自主管理する個人賃貸オーナーでも、家賃保証会社と直接取引することが可能です。
また、入居者に家賃保証会社への契約申し込みを入居の条件とすることは、入居審査の役割も果たします。家賃保証会社の審査は、入居者の属性や信用情報などを正確に調べたうえで契約の可否が判断されるため、大家だけでの入居審査よりも確実性が高まります。
8-4. 滞納保証のある賃貸管理会社に委託する
滞納保証のある賃貸管理会社に委託すると、家賃保証会社の利用と同様に、滞納家賃の立て替え払いや督促業務の代行などのサービスが受けられます。
近年は、入居者募集や家賃の集金、建物のメンテナンスなどの賃貸管理全般の業務代行に加えて、入居者の滞納に備えた滞納保証のサービスを付加する管理会社が増加しています。
自分の物件に適した賃貸管理サービスを受けるには、自身がどのような業務を委託したいのかを整理して、サービス内容とコストが見合った賃貸管理会社を選ぶことが大切です。管理会社やプランによって委託できる業務や保証内容に違いがあり、滞納保証を付けると管理委託手数料に上乗せされる場合もあるため注意しましょう。
また、どの賃貸管理会社に委託するかによって、収益性や物件価値なども大きく左右されます。賃貸経営の成功につながる「質の高い管理」を提供する管理会社を選ぶには、「【賃貸管理会社の選び方】初心者でも失敗しない3ステップと注意点」を参考にしてください。
弊社ルーム・スタイルでは、滞納保証をはじめとした6つの保証がある「総合管理プラン」をご用意しています。
「98%以上の平均入居率」や「高品質な管理」をリーズナブルな管理費用で提供し、賃料の最大化をサポートします。
「家賃滞納を督促する手間やコストをなくしたい」
「賃貸管理のプロに家賃の集金や回収を任せて安心したい」
そのような思いから滞納保証のある賃貸管理会社を検討される方は、ぜひ私たちルーム・スタイルへ一度ご相談ください。
9. まとめ
自主管理オーナーが入居者の家賃滞納を督促するには、以下の5ステップで進めていきます。
督促をしても応じてもらえず、家賃滞納が3か月分以上となった場合は、法的措置を進めていきます。
法的措置にかかる費用(訴訟費用や弁護士費用など)の目安は、以下のとおりです。
- 明渡訴訟後に解決:約30万円~70万円
- 強制執行・明渡断行まで実施(ワンルームの場合):約70万円~120万円
家賃滞納のリスクを軽減するには、次の4つの対策が有効です。
- 入居審査を厳しく行う
- 自動引き落としやクレジットカード払いで家賃を集金する
- 家賃保証会社を利用する
- 滞納保証のある賃貸管理会社に委託する
この記事で紹介した家賃滞納時の督促ステップを実施していただき、あなたの家賃滞納トラブルが1日でも早く解決することを願っています。
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