賃貸の委託管理とは|種類や委託できる業務をくわしく解説

「賃貸の委託管理とは?どういうものかわからない」
「賃貸の委託管理ってどうなの?委託するかどうか悩んでいる」

と感じていませんか?

賃貸の委託管理とは、不動産会社に物件の管理・運営を任せることです。

本来は物件のオーナーが行う管理業務を不動産会社に委託できるため、オーナーの負担を軽減できるというメリットがあり、利用するオーナーも多い傾向にあります。

そのほかにも、賃貸の委託管理には

・遠方の物件も運用できるようになる
・賃貸経営のプロのノウハウを学べる

といったメリットがあります。

ただし、賃貸の委託管理にはマイナス面もあり、多くの人が利用しているからといって、ご自身にも委託管理という方法をとったほうがいいとは限りません。

賃貸の委託管理が向いていないにも関わらず、不動産会社に賃貸の管理を委託してしまうと、

・委託管理をした結果、自分自身に賃貸経営のノウハウやスキルが一切身につかない
・委託管理費用がかかって、賃料収入が減ってしまうことに不満を抱く

といった状態になり、コストを支払ってまで委託したことを大きく後悔することになってしまいます。

そこでこの記事では、

・賃貸の委託管理のメリット、デメリット
・自主管理のメリット・デメリット
・賃貸の委託管理の費用相場とシミュレーション
・賃貸の委託管理が向いている人、自主管理が向いている人

を解説し、ご自身が賃貸の委託管理に向いているか、自主管理に向いているのかを総合的に判断できるようにします。

本記事の内容は以下のとおりです。

【本記事の内容】 
◆賃貸の委託管理とは
◆賃貸の委託管理で依頼できる業務
◆賃貸の委託管理の3つのメリット
◆賃貸の委託管理の3つのデメリット
◆自主管理のメリット・デメリット
◆賃貸の委託管理の費用相場とシミュレーション
◆賃貸の委託管理が向いている人、自主管理が向いている人
◆不動産経営が上手な賃貸の委託管理先の選ぶ3つのコツ

本記事を読むことで、賃貸の委託管理とはどのようなものか理解できるようになります。

また、賃貸の委託管理をするべきか自主管理をするべきか判断できるようになるでしょう。

ぜひ最後までお読みください。

賃貸管理完全ガイド
依頼すべき理由

1.賃貸の委託管理とは

まずは賃貸の委託管理とはどのようなものなのか理解できるよう、以下2点を解説します。

・賃貸の委託管理とは不動産会社に物件の管理・運営を任せること
・賃貸の委託管理の種類は2つ

それぞれ見ていきましょう。

1-1.賃貸の委託管理とは不動産会社に物件の管理・運営を任せること

賃貸の委託管理とは、不動産会社に賃貸物件の管理・運営を任せることです。

具体的には、

・入居者の募集
・賃貸契約関係手続き(新規および更新)
・賃料回収・滞納への対応(督促など)
・入居者からの苦情やトラブルへの対応
・修繕工事の手配
・退去の立ち会い
・共用設備の清掃、メンテナンス

などを委託することができます。

本来は物件のオーナーが行う管理業務を不動産会社に委託できるため、オーナーの負担を軽減できるというメリットがあり、利用するオーナーも多くいます。

実際に国土交通省の「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(2019年)」によると、入居者の募集から契約などの管理業務のすべて、または一部を業者に委託している賃貸物件のオーナーの割合は81.5%となっています。

このように多くのオーナーが利用する賃貸の委託管理ですが、実は委託管理の契約には2パターンあります。

次項「1-2.賃貸の委託管理の種類は2」で詳しく見ていきましょう。

1-2.賃貸の委託管理の種類は2つ

賃貸の委託管理の種類は、

・一般管理契約
・サブリース契約

の2つがあります。

それぞれどういう契約内容なのか見ていきましょう。

1-2-1.一般管理契約

一般管理契約とは、オーナーが不動産会社に対して、物件の管理業務の代行を依頼するときに行う契約のことです。

 

上記の図のように、まずオーナーと入居者は直接、賃貸借契約を締結します。そのうえで、オーナーは管理業務を代行してもらうために、不動産会社と一般管理契約を結ぶという構図になっています。

具体的に、一般管理契約で不動産会社に委託できる業務は以下のとおりです。

下記業務の一部を代行してもらう(一部委託)、もしくはすべてを代行してもらう(全部委託)ことができます。

【一般管理契約で委託できる業務一覧】 
・入居者募集
・賃貸借契約締結・更新
・賃料回収・賃料滞納者への督促
・解約手続き
・退去時の立会い
・クレーム処理
・清掃
・法定点検
・室内クリーニング
・リフォーム 

より具体的な委託できる業務は「2.賃貸の委託管理で依頼できる業務」で解説しています。

一方で、一般管理契約では管理業務の代行をしてもらえるだけで、不動産経営を依頼するわけではありません。そのため、

・オーナーの収入にかかわる賃料や敷金、礼金の決定
・賃料決定をするための物件周辺の賃料相場などのリサーチ
・空室対策(※)

などはオーナー自身で行う必要があります。

そうしたことをふまえると、一般管理契約のメリット・デメリットは以下のようになります。

【一般管理契約のメリット・デメリット一覧】

メリットデメリット
◎管理業務を委託するが、賃貸経営自体を委託するわけではないため、オーナーが賃貸経営状況を把握できる
◎賃料や入居募集条件はオーナーの意思が反映できる◎管理会社に不満がある場合は、解約しやすい(委任契約のため解除はいつでもできる)
▲空室の時に賃料保証がない
▲空室期間の長さは、管理会社の入居者募集力に左右される

※空室対策:賃貸物件に空室を作らないよう、オーナーが行う対策のこと。具体的には、「退去された部屋にできるだけ早く次の入居者を決める対策」「入居者に長く入居してもらうための対策」です。

1-2-2.サブリース契約(マスターリース契約)

サブリース契約とは、不動産会社がオーナーから物件をまるごと借り上げる契約です。
別名、マスターリース契約といいます。(※)

不動産会社が第三者(入居者)へ転貸することを目的とし、オーナーから物件を借ります。
一般管理契約と同じ点は、「不動産会社に管理業務を委託する」という点。

一方で一般管理契約との違いは、「不動産会社が物件をオーナーからまるごと借り上げる」という点です。
不動産会社に物件まるごと貸し出すため、物件の管理業務だけでなく、賃貸経営までも不動産会社が担ってくれます。

そのためオーナーは、ほとんど賃貸経営・管理業務の手間がなくなり、賃料による収入を受け取るのみになります。

またサブリース契約の場合、空室があっても契約で定めた賃料を支払ってもらえる「賃料保証」をつけることもできます。賃料は、賃料相場から数%引かれた保証賃料が毎月支払われるため、安定した収入を得られます。

サブリース契約において、不動産会社に依頼できる具体的な業務は以下のとおりです。

【サブリース契約で委託できる業務一覧】 
・入居者募集
・賃貸借契約締結・更新
・賃料回収・賃料滞納者への督促
・解約手続き
・退去時の立会い
・クレーム処理
・清掃
・法定点検
・室内クリーニング
・リフォーム
・賃料設定
・空室対策

サブリース契約は賃貸物件をまるごと貸し出して、賃貸経営もすべてお任せするという契約内容であるため、以下のようなメリット・デメリットを持っています。

【サブリース契約のメリット・デメリット一覧】

メリットデメリット
◎賃貸経営のノウハウがいらない
◎相続税の節税効果が高い
◎賃貸経営・管理業務の手間がかからず、賃料を得るだけで良い
◎収入が安定する
◎空室時でも賃料収入を得られる(賃料保証がつけられる場合)
▲物件をまるごと不動産会社に借り上げてもらうため、オーナーが賃料を自由に設定できず、より多くの賃料収入を得るのは難しい
▲入居状況を把握しにくい
▲リフォーム・修繕内容は決められないが、その費用はオーナーが負担する
▲不動産会社に不満があっても、解約が難しい(賃貸借契約のため借地借家法が適用される)
▲賃料が減額されて収入が減ってしまう可能性がある(契約に定められた年数ごとに賃料の見直しがあるため)

このように賃貸の委託管理の契約方法は2つあり、メリット・デメリットがそれぞれにあります。そのため、オーナー自身の状況や賃貸経営の方向性によって向き・不向きがあるといえます。

ここで一般管理契約に向いている人、サブリース契約に向いている人を整理しておきましょう。

【一般管理契約・サブリース契約に向いている人一覧】

一般管理契約に向いている人サブリース契約に向いている人
◆入居者の選定などある程度の管理は自分で行いたい人
◆予算に合わせて不動産会社を利用したい人
◆リフォーム内容や賃料は自分で決めたい人
◆賃貸管理の手間を省きたい人
◆賃貸経営のノウハウがない人
◆賃貸物件を相続する可能性が高い人
◆任せきりではなく自分で調べられる人
◆安定して収益を得たい人
【サブリース契約のトラブルに注意!】 
サブリース契約は「賃料保証がある」「管理業務をまかせっきりにできる」など、オーナーにとっては魅力的なメリットがありますが、賃料減額が発生したり、オーナーからは契約解除が難しかったりすることから、トラブルが発生するケースも起こっています。 
サブリース契約を検討する場合は、契約内容や賃料減額などのリスクをしっかり把握したうえで、信頼できる不動産会社と契約するようにしましょう。複数の不動産会社を比較するなど、選択肢を広げておくと、信頼できる不動産会社が見つけやすくなります。
【サブリース契約・マスターリース契約について】
 ※実は、今回ご紹介しているサブリース契約は、別名「マスターリース契約」と呼ばれている契約です。厳密には、下記の図のように、サブリース契約は「不動産会社と入居者」の間で結ばれる賃貸借契約(※)であり、マスターリース契約は「物件のオーナーと不動産会社」の間で結ばれる賃貸借契約です。  


ただ、マスターリース・サブリースを使い分けていない不動産会社も多いのが実情です。マスターリース・サブリースの一連の契約を「サブリース」と呼ぶこともよくあります。今回は、マスターリース・サブリースという使い分けをしないで、解説していきます。 マスターリース・サブリースの違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。「【賃貸経営を検討中の方へ】サブリースとマスターリースの違いを徹底解説」


2.賃貸の委託管理で依頼できる業務

賃貸の管理委託で依頼できる業務を1章で簡単にご紹介しましたが、より具体的に委託できる業務内容を知っておくことで、ご自身にとって賃貸の管理委託が便利かどうか判断しやすくなります。

そこで2章ではより具体的な「賃貸の管理委託で依頼できる業務」をご紹介します。

【賃貸の管理委託で依頼できる業務一覧】

入居者管理業務建物管理業務サブリース契約のみ依頼できる業務
・入居者募集
・賃貸借契約締結・更新
・賃料回収
・賃料滞納者への督促
・解約手続き
・退去時の立会い
・クレーム処理
・清掃
・法定点検
・室内クリーニング・リフォーム、修繕工事
・賃料設定
・空室対策

一般管理契約も、サブリース契約もすべての管理業務を委託する場合は、上記の「入居者管理業務」「建物管理業務」を依頼することになります。ただし、サブリース契約では物件をまるごと借り上げてもらうため、これらの業務にプラスして「賃料の設定(周辺相場をリサーチして妥当な賃料を設定する)」「空室対策」も依頼することになります。

それでは詳しく見ていきましょう。

2-1.入居者管理業務

まずは入居者管理業務について解説します。不動産会社に入居者管理業務を依頼すると、以下の業務を代行してもらうことができます。

【入居者管理業務を委託する場合に、依頼できる具体的な業務一覧】

委託業務名具体的な委託できる内容
入居者募集空室が発生した際に、不動産会社がチラシやネット広告、不動産ポータルサイトで新しい入居者を探し出してくれます。問い合わせがあれば、不動産会社は希望者に向けて内覧を実施します。 (ただしサブリース契約の場合は「賃料保証」をつけるケースも多く、空室になっても収入が変わらないため、不動産会社がどのように入居者募集しているかをオーナーが知らないことのほうが多いのが実情です。)
賃貸借契約締結・更新入居希望者が現れたら、不動産会社が・入居審査・賃貸借契約書の作成・鍵の受け渡しなどの事務手続きを代行してくれます。また入居者が契約更新する際には、不動産会社が入居者に契約更新の意向を確認し、必要に応じて新たな契約書を作成します。
賃料回収・賃料滞納者への督促不動産会社がオーナーの代わりに家賃の回収をします。入居者が家賃を滞納した場合は、不動産会社が督促を行います。
解約手続き・退去時の立会い入居者から解約の申し出を受けると、退去日までの家賃を不動産会社が計算し、入居者に対して請求を行ってくれます。 退去時の立ち会いでは、・部屋に傷や汚れが無いかどうかを確認する・入居者から鍵を返却を受ける・原状回復にかかった費用を請求し、精算するなどを、オーナーの代わりに不動産会社が行います。
クレーム処理水漏れや騒音問題など、物件に関するトラブルが発生し、クレームが発生してしまった場合に、オーナーの代わりに不動産会社が入居者のクレームに対応してくれます。深夜や早朝などにクレームの連絡があったり、解決までに時間がかかったりするなど、ストレスがたまりやすい業務を代行してもらえます。

2-2.建物管理業務

次に建物管理業務について解説します。
不動産会社に建物管理業務を依頼すると、以下の業務を代行してもらうことができます。

【建物管理業務を委託する場合に、依頼できる具体的な業務一覧】

業務名説明
清掃オーナーの代わりに不動産会社が外構や共用部(廊下・階段・エントランスなど)の清掃を行って、物件を快適に保ってくれます。
法定点検法定点検とは、1棟のマンションやアパートを所有しているオーナーに対し、法律によって義務付けられている点検のことです。不動産会社は、法定点検も代行して行ってくれます。具体的には、 ・特殊建築物定期調査(基礎、外壁など)・消防用設備点検(火災報知器、消火器、避難設備、誘導灯など)・建築設備定期検査(換気、排煙、貯水・排水設備、非常用照明器具など)・自家用電気工作物定期点検         (発電設備など)・エレベーター定期検査(安全装置、ワイヤーロープなど)・専用水道定期水質検査(受水槽、高置水槽など)・簡易専用水道管理状況検査         (受水槽、高置水槽など) などを代行してもらえます。
室内クリーニング入居者が退去した後の部屋の室内クリーニングを代行してもらえます。不動産会社は専門の清掃業者を手配してくれるため、新規の入居者が気持ちよく生活できるほどのきれいな仕上がりが期待できます。
リフォーム・修繕工事内装や設備が古くなってしまった場合など、物件にリフォームや修繕工事が必要になった場合に、不動産会社が代わりに工事の手配を行ってくれます。

2-3.サブリース契約のみ依頼できる業務

次に、サブリース契約をしたときのみ不動産会社に依頼できる業務を、以下2つ解説します。

【サブリース契約のみ依頼できる業務】

業務名説明
賃料設定サブリース契約を締結すると、不動産会社が物件をまるごと借り上げるため、賃料の設定も不動産会社が行います。オーナーが賃料を設定することがないため、オーナー自身に不動産経営のノウハウがなくても、適切な賃料を不動産会社が決定して入居者を集めてくれます。
空室対策不動産会社が賃貸経営自体を代行してくれるため、もし空室が発生した場合でも以下のような空室対策を行ってくれます。 ・物件のターゲットやアピールポイントを見直す・広告を改善する・室内の内見準備(清掃・スリッパの用意・ウェルカムボードの設置など)をする・入居者に人気の設備を導入するなど

このように不動産会社に物件の管理業務を委託することで、さまざまな手間をなくすことができ、オーナーの負担を軽減することができます。


3.賃貸の委託管理の3つのメリット

賃貸の委託管理の基礎知識を理解したところで、「賃貸の委託管理を依頼するべきかどうか」を判断するために、そのメリットについても知っておきましょう。

3章では賃貸の委託管理のメリットについて、以下3つを解説します。

【賃貸の委託管理のメリット】 
①物件管理の負担を軽減できる
②遠方の物件も運用できるようになる
③賃貸経営のプロのノウハウを学べる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1.物件管理の負担を軽減できる

1つめは「物件管理の負担を軽減できる」ことです。

これまでに述べてきたように賃貸の委託管理では、

・入居者の募集
・賃貸契約関係手続き(新規および更新)
・賃料回収・滞納への対応(督促など)
・入居者からの苦情やトラブルへの対応
・修繕工事の手配
・退去の立ち会い
・共用設備の清掃、メンテナンス

などの業務を不動産会社に委託できるため、管理業務の負担を軽減することができるのです。

自主管理では上記の管理業務を、すべてオーナー自身が対応する必要があるため、多大な時間と労力を要します。とくにトラブルが発生した場合や、定期的なメンテナンスが必要な場合、管理業務はオーナーの日常生活や本業にも影響を及ぼす可能性があるでしょう。

たとえば本業の業務中に入居者から電話がかかってきたり、本業を休んで入居者対応をしなければならなかったり、休日も日常清掃や日常点検にいかなくてはならなかったりするなど、管理業務を自分で行う場合、オーナーにとって大きな負担となってしまいます。

そこで委託管理を利用することで、こうした煩雑な管理業務から解放され、オーナーはほかの活動や自身の本業に集中できるようになります。

不動産会社は専門の知識と経験を活かして、効率的に賃貸管理業務を遂行してくれるため、物件の状態を適切に維持しつつ、オーナーの精神的・肉体的な負担を軽減してくれるのです。

このように、オーナー自身の負担を大きく軽減できる点は委託管理の大きな魅力の一つといえるでしょう。

3-2.遠方の物件も運用できるようになる

2つめは「遠方の物件も運用できるようになる」ことです。

自主管理を行う場合、物件の日常点検や清掃など、定期的に現地へ足を運ぶ必要があるため、自宅から近い場所にある物件に限定されがちです。そのため、良い立地や利回りを求めて物件を選ぶ際、「物件が遠方にある」という点は大きな障害となってしまいます。

とくに条件が良くても、自宅から離れた場所にある物件は選択肢から外れてしまいがちです。

そこで管理業務を不動産会社に委託することで、物件の地理的な位置は問題ではなくなります。

不動産会社は物件の所在地に近い場所で運営されていることが多く、オーナーが直接物件の管理をする必要がなくなります。そのため、オーナーは遠方にある条件の良い物件を選ぶことができ、不動産投資の選択肢が広がります。

したがって賃貸の委託管理を行うことで、自分の居住地域に関係なく、条件の良い賃貸物件を遠方であっても運用できるようになるという点は、大きなメリットといえるでしょう。

3-3.賃貸経営のプロのノウハウを学べる

3つめは「賃貸経営のプロのノウハウを学べる」ことです。

不動産会社は賃貸経営のプロであり、不動産だけでなく、「法律」「建築」といった賃貸経営に必要な知識を持っています。「クレーム対応」「空室対策」「入居者の選び方」など、今後、賃貸経営に力をいれていきたいと考えているオーナーにとっては学んでおきたいノウハウがたくさんあるのです。

そのため、不動産投資の初心者や、将来的には自主管理を目指すオーナーでも、委託管理を通じてプロのノウハウを学び、賃貸経営の基盤を固めることができます。賃貸経営の効率化や利益最大化につながる知識と経験を蓄積できるのです。

今後、不動産投資として賃貸経営に力を入れていこうと考えており、いずれはご自身で自主管理をしようと考えている場合は、まずは不動産会社に賃貸の委託管理を依頼するというのも一つの手です。

間近で賃貸経営を学べるという点は、賃貸の委託管理のメリットといえるでしょう。


4.賃貸の委託管理の3つのデメリット

賃貸の委託管理について、次はデメリットをご紹介します。

良い面だけでなくマイナス面も含めて賃貸の委託管理について知っておくことで、ご自身にとって「賃貸の委託管理を依頼するかどうか」を総合的に考えることができ、適切な判断を下せるようになるでしょう。

賃貸の委託管理のデメリットは以下の3つです。

【賃貸の委託管理のデメリット】 
①コストがかかり、その分賃料収入が減る
②オーナー自身の管理能力が低くなる
③不動産会社の能力に左右されやすい

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1.コストがかかり、その分賃料収入が減る

1つめのデメリットは「コストがかかり、その分賃料収入が減る」ということです。

賃貸の委託管理では、管理委託費と仲介手数料がかかります。これらの費用は物件の管理や入居者募集に関わるもので、オーナーがこうした費用を支払うことによって、実際に手元に残る賃料収入が減少します。

具体的には、オーナーは以下のコストを支払うことになります。

【オーナーが賃貸の委託管理で支払うコスト】 
管理委託費
不動産会社への管理委託に伴い、家賃収入の3~8%が費用としてかかります。これは物件管理の手間を省く代わりに発生する固定的な負担で、家賃収入が増えるほど管理委託費も増加します。たとえば、家賃5万円の部屋が10部屋ある物件を自主管理する場合、1ヶ月の家賃収入は50万円。管理委託費用を5%に設定している不動産会社に委託する場合は、月々2万5,000円の管理委託費が必要になり、家賃収入は47万5,000円になります。 

仲介手数料
入居者募集の際には、成功報酬として不動産会社に家賃の0.5カ月分〜1カ月分を支払います。この費用は新しい入居者が見つかるたびに発生し、賃料収入の一部を占めることになります。

上記のコストは、家賃収入から差し引くとどうしても賃料が減少してしまうため、自主管理と比較するとデメリットといえるでしょう。

ただし、こうしたコストは物件管理の労力・時間を節約できたり、プロのノウハウを活用したりするためには価値のある投資ともいえます。

賃貸経営に取り組みやすくなるということを考えると、こうしたコストの発生が大きなデメリットになるとは言い切れないのです。

4-2.オーナー自身の管理能力が低くなる

2つめは「オーナー自身の管理能力が低くなる」ことです。

オーナー自身に不動産会社からノウハウを得ようという意欲があれば問題ありません。

しかし、オーナー自身が不動産会社に任せっぱなしで、自身は物件に関することは知らなくていいというスタンスだと、以下のような事態が発生してしまいます。

【オーナーの管理能力が低くなる原因】 
管理経験が欠如してしまう
管理業務を自ら行わないことで、日常の運営やトラブル対応に関する実践的な経験が積めません。この経験は問題解決能力や意思決定能力の向上に直結するため、委託して実際の運営を放置してしまうと、管理能力の重要なスキルが身につきにくくなってしまいます。 

市場動向の把握不足になってしまう
オーナー自身が管理や入居者募集を行うことで地域の市場動向やニーズの理解が深まります。しかし委託してまかせっきりにすると、これらの情報から遠ざかり、不動産市場に対する感度が鈍くなりがちです。 

コミュニケーションが不足してしまう
オーナー自らが入居者と直接関わる機会が減少するため、入居者のニーズや不満点を直接聞く機会が失われます。そのため物件の改善点を見逃し、長期的な収益性向上のチャンスを逃すことにつながってしまいます。 

委託先の不動産会社に依存してしまう
不動産会社に依存することで、自らが積極的に情報を収集し、知識を更新する機会が減少してしまいます。その結果、管理に関する最新の法律やトレンドから取り残され、適切な判断ができなくなる恐れがあります。

このような状況では、いずれ自主管理に移行したいと考えている場合、スキル・経験不足によって、オーナー自身でうまく賃貸経営を回していけるようにはなりません。

とくに自主管理に移行したいと考えている場合は、不動産会社に任せっぱなしにするのではなく、定期的に物件の状態を聞いて把握しておいたり、一緒に空室対策について考えたりするなど、不動産会社から学べる点は取り入れるようにすると良いでしょう。

4-3.不動産会社の能力に左右されやすい

3つめは「不動産会社の能力に左右されやすい」ことです。

すべての不動産会社に高い管理能力があるわけではありません。委託する会社の管理能力によって物件の状態や入居者満足度、さらには収益性に直接影響を受ける可能性があります。

たとえば、一部の管理会社では物件の清掃が不十分だったり、入居者からのクレーム対応が遅れたりすることがあります。こうした状況は、物件の魅力を低下させ、入居率の低下や収益性の損失につながる恐れがあるのです。

そのため委託管理を検討する際は、不動産会社の実績や評判、提供するサービスの質を慎重に調査し、比較検討する必要があります。管理能力の高い不動産会社を選択することで、物件の価値を維持し、安定した収益を確保することができます。

そうした管理能力の高い不動産会社を選ぶコツについては「8.不動産経営が上手な賃貸の委託管理先の選ぶコツ3」で詳しく解説しています。


5.自主管理のメリット・デメリット

賃貸の委託管理を選択しない場合、自分で物件を管理する「自主管理」をすることになります。

ご自身にとって自主管理がいいものなのかどうかを判断するため、5章では「自主管理のメリット・デメリット」を解説します。

自主管理のメリット・デメリット一覧は以下のとおりです。

【自主管理のメリット・デメリット】

メリットデメリット
①管理委託費を抑えられる
②入居者のニーズに合わせて柔軟な対応ができ、入居者の満足度を高められる
①管理業務に手間や負担がかかる
②自主管理することで資産価値が低下する可能性がある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

5-1.自主管理の2つのメリット

まずは自主管理のメリットを解説します。

5-1-1.管理委託費を抑えられる

1つめのメリットは「管理委託費を抑えられる」ことです。賃貸物件を自主管理する場合、不動産会社への管理手数料は必要ないため、管理委託費を抑えられるのです。

管理委託費は通常、家賃収入の一定割合(約3〜8%)を占めています。

たとえば、家賃が月10万円の物件において、管理委託費が家賃の5%と設定されている場合、自主管理を選ぶことにより毎月5,000円のコスト削減ができます。

このように自主管理によって削減される管理委託費は、物件の運用コストを低減させ、オーナーの手取り収益を向上させてくれます。

そのため、管理委託費を抑えられるという点は、自主管理の大きな魅力であるといえるでしょう。

5-1-2.入居者のニーズに合わせて柔軟な対応ができ、入居者の満足度を高めやすい

2つめは「入居者のニーズに合わせて柔軟な対応ができ、入居者の満足度を高めやすい」ことです。

自主管理する場合、オーナー自身が対応窓口となるため、入居者とオーナーが直接コミュニケーションを取ります。これは、

・物件の状況や入居者のニーズのリアルタイムな把握
・トラブルや建物の不具合、その他入居者のニーズへの迅速な対応

につながるため、入居者にとって快適な住環境を整えられるようになり、入居者の満足度を高めることができるのです。

たとえば自主管理をしているオーナーAさんを例に考えてみましょう。

オーナーであるAさんは、毎月の家賃回収時に短い会話を心がけ、入居者Bさんの生活や物件に対する小さな不満を聞き出しています。入居者Bさんが「シャワーの水圧が弱い」という悩みをAさんに相談すれば、Aさんはすぐに水道業者を手配し、問題を解決できます。さらに、Bさんの趣味であるガーデニングを知り、物件の共用スペースに小さなガーデンスペースを設ける提案をしました。

このようにオーナーAさんが定期的に入居者Bさんとコミュニケーションを交わすことで、入居者が小さな問題も我慢せずに相談しやすい環境を作り出すことができ、早期に解決できるため、快適に住み続けてもらうことができます。また些細なニーズも吸い上げて、オーナーの判断でニーズに沿った対応ができるため、入居者の満足度を向上させることができるでしょう。

このように入居者の満足度を向上させることができれば、退去率の低減や空室率の改善にもつながり、結果的に賃貸経営の安定化と収益性の向上にもつなげることができます。

さらに、オーナーとしても入居者の生の声を聞くことで、物件の魅力を高めるための改善点が見えてくるため、賃貸経営のノウハウを深めることもできるのです。

したがって入居者の満足度を高めやすいという点は、自主管理のメリットといえるでしょう。

5-2.自主管理の2つのデメリット

次に自主管理のデメリットを解説します。

5-2-1.管理業務に手間や負担がかかる

1つめは「管理業務に手間や負担がかかる」ことです。

自主管理を行う場合、

・入居者の募集
・賃貸契約関係手続き(新規および更新)
・賃料回収・滞納への対応(督促など)
・入居者からの苦情やトラブルへの対応
・修繕工事の手配
・退去の立ち会い
・共用設備の清掃、メンテナンス

といった管理業務をオーナーが単独で担当しなければならず、大きな時間とエネルギーが必要となります。

さらに複数の物件を所有している場合や、物件が自宅から遠方にある場合は、管理業務の負担がさらに増えてしまいます。このような状況では、身体的、精神的な疲労を引き起こし、管理の安定性や継続性を損なってしまう恐れがあるでしょう。

また、入居者からのトラブルやクレームへの対応は年中無休で求められるため、本業との両立が困難になることもあります。不動産管理業務に集中しすぎると、結果的に本業が疎かになり、経済的な損失を招く可能性もあります。

したがって、本業が忙しかったり、複数の物件を所有していたりする場合は、管理業務の手間が大きな負担となってしまうため、、委託管理の方が向いているといえるでしょう。

5-2-2.自主管理することで資産価値が低下する可能性がある

2つめは「自主管理することで資産価値が低下する可能性がある」ことです。

というのも、オーナーが定期的な清掃や点検を適切に行わないことにより、物件の状態が悪化し、結果的に資産価値が下がってしまうことがあるからです。

オーナーが清掃や建物管理のノウハウを十分に持ち合わせていない場合、物件や設備の劣化が進んでしまいます。また定期的なメンテナンスを怠ることで、将来的に大きな修繕が必要となり、予想外の高額な出費につながることもあります。

たとえば、あるオーナーAさんが自主管理を行っているケースを考えてみましょう。

Aさんは建物管理に関する専門的な知識が乏しく、日常の清掃や定期的なメンテナンスを怠っていました。

数年経過したある時、入居者から水漏れの苦情が寄せられましたが、適切な対応ができずに放置してしまい、壁内の配管が錆びて大規模な水漏れが発生しました。そして大幅な修繕費用が発生し、物件の資産価値が大きく低下しました。

さらに、この事態により入居者が退去し、空室率が上昇。結果として収益性も大きく損なわれてしまいました。

こうした例からもわかるように、オーナーがいい加減に管理することで、最終的に物件の売却価格にも悪影響を及ぼし、資産としての価値を大幅に損なってしまうおそれがあります。

自主管理が負担になって、定期的な管理・メンテナンスができない場合は、自主管理はあまり向いていないといえるでしょう。


6.賃貸の委託管理の費用相場とシミュレーション

賃貸の委託管理をする際に、メリット・デメリットだけでなく、そのコストも気になるところです。

4-1.コストがかかり、その分賃料収入が減る」でも簡単に解説しましたが、賃貸の委託管理でかかる費用相場は以下のとおりです。

【賃貸の委託管理の費用相場一覧】

委託にかかる費用説明費用相場
管理委託手数料管理を委託している業務の対価として、毎月定額で支払う費用です。物件管理の手間を省く代わりに発生する固定的な負担で、家賃収入が増えるほど管理委託費も増加します。家賃収入の3~8%
仲介手数料入居者募集から賃貸借契約の締結にいたるまでのサポートに対する成功報酬です。上限額:家賃の1ヶ月分 + 消費税1社がオーナーと入居者の仲介をした場合、それぞれに請求できる仲介手数料の上限は家賃の半月分 + 消費税

具体的に委託にかかる費用をシミュレーションしてみましょう。

「家賃5万円の部屋が10部屋ある物件」の管理を委託し、なおかつ入居者を募集して契約となった場合、以下のように費用がかかります。

【委託管理の費用シミュレーション】 
<条件>202●年6月の委託管理の費用をシミュレーション
・家賃月々5万円の部屋が10部屋ある物件
・管理委託手数料は賃料の5%
・1部屋が空室になり、最近やっと入居者が見つかり契約となった
・仲介手数料は家賃の1カ月分 

<シミュレーション>※消費税は計算外です。
管理委託手数料
家賃5万円 × 10部屋 × 5% = 2万5,000円 

仲介手数料
5万円 

202●年6月にかかる委託管理のコスト 
2万5,000円 + 5万円 = 7万5,000円(税抜)
ただし、新たな入居者がいない場合は仲介手数料はかからない 

202●年6月の手取り収入
家賃5万円 × 10部屋 –  7万5,000円 = 42万5,000円

このように、委託管理にはコストがかかります。

このコストが高いと感じるか、安いと感じるか、ちょうどいいのかは人それぞれです。

しかし「1-1.賃貸の委託管理とは不動産会社に物件の管理・運営を任せること」でもお伝えしたように、管理業務を委託しているオーナーの割合が8割を超えている(国土交通省「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(2019年)」より)ことから、こうしたコストを支払うことになっても、多くの人が管理業務の委託にメリットを感じているのは事実です。

ご自身の賃貸経営の資金計画に沿って、また「賃貸の管理業務は本業を続けるうえで、大きな負担となるためコストをかけてでも委託したい。」といったように、委託管理のメリット・デメリットも含めて総合的に「委託管理のためにコストをかけるべきか」判断しましょう。


7.賃貸の委託管理が向いている人、自主管理が向いている人

ここまで賃貸管理を委託するべきかどうか判断できるよう、メリット・デメリットや費用相場などをおつたえしました。ここまでの情報で賃貸管理をご自身が委託するべきかどうか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

そこで最終的な判断を下せるよう、7章では賃貸管理の委託がおすすめな人、自主管理がおすすめな人を以下にまとめました。ご自身が当てはまるものはどれなのかを確認し、最終判断のヒントにしましょう。

賃貸の委託管理が向いている人自主管理が向いている人
・本業が忙しい人
・賃貸管理の知識
・ノウハウがない人
・賃貸経営についてプロのやり方を学びたい人
・遠方の物件を管理しなければならない人
・管理委託費を抑えたい人
・賃貸経営を専業で行う人
・入居者とのコミュニケーションが苦にならない人

7-1.賃貸の委託管理が向いている人

まずは賃貸の委託管理が向いている人を解説します。

7-1-1.本業が忙しい人

1つめは「本業が忙しい人」です。

これまでお伝えしてきたように、賃貸管理には以下のような手間がかかります。

・入居者の募集
・賃貸契約関係手続き(新規および更新)
・賃料回収・滞納への対応(督促など)
・入居者からの苦情やトラブルへの対応
・修繕工事の手配
・退去の立ち会い
・共用設備の清掃、メンテナンス

など

本業が忙しい人にとってこうした業務すべてに対応するのは簡単ではありません。

たとえば、本業の仕事をしているタイミングで入居者から電話がかかってきたり、退去の立ち会いで本業を休まなければいけなくなったりするなど、負担が大きいのです。

したがって、本業が忙しい人は不動産会社へ管理業務の委託に向いています。

7-1-2.賃貸管理の知識・ノウハウがない人

2つめは「賃貸管理の知識・ノウハウがない人」です。

賃貸管理においては、「クレーム対応」「空室対策」「入居者の選び方」など、初心者には簡単に対処できないような課題がいくつもあり、経験や知識がないと対応の仕方に困ってしまうことも多くなるのです。

たとえば、なかなか空室が埋まらずに困ってしまった場合です。空室を埋めるためのリフォームやマーケティング戦略について知識がないため、単に家賃を下げることで対応しようとしました。しかしそれだけでは解決せず、賃料収入の減少につながってしまいました。

この場合、不動産会社に委託すれば市場分析やターゲットニーズの理解、適切なリフォーム計画を行ってくれるため、空室が埋まる可能性が高まるでしょう。

国土交通省による「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(2019年)」の「Q19:管理業務を業者に委託している理由 」によると、「自分自身の賃貸契約および管理に関する専門知識が不足していると感じるから」と回答した人は50.2%となっています。つまり、半数以上のオーナーは専門知識不足を不安に感じて管理業務を委託しているのです。

そのため、多くのオーナーがそうするように、これまでに賃貸管理を行ったことがなく、知識やノウハウがない場合は、不動産会社に委託して知識不足であっても賃貸経営を始められるようにすることをおすすめします。

7-1-3.プロの賃貸経営を学びたい人

3つめは「プロの賃貸経営を学びたい人」です。

不動産会社は賃貸経営のプロ。そのため、今後、賃貸経営に力をいれていきたいと考えているオーナーにとっては学んでおきたいノウハウをたくさん持っています。

たとえばクレーム対応や空室対策、入居者の選び方などです。

不動産投資の初心者や、将来的には自主管理を目指すオーナーでも、委託管理を通じて不動産会社のノウハウを横で学び、賃貸経営の基盤を固めることができます。

今後、不動産投資として賃貸経営に力を入れていこうと考えており、いずれはご自身で自主管理をしようと考えている場合は、まずは不動産会社に賃貸の委託管理を依頼するのがおすすめです。

7-1-4.遠方の物件を管理している、もしくはしたい人

4つめは「遠方の物件を管理している、もしくはしたい人」です。

賃貸の委託管理は、遠方であっても不動産会社が代わりに管理をしてくれるため、地理的な制約や時間的な制約を受けずに、物件を管理することができるのです。

具体的には、以下のような理由があるため、遠方の物件を管理したい人に委託管理が向いているといえます。

【遠方の物件を管理する人に委託管理が向いている理由】 
日常的な管理業務を代行してもらえるから
物件が遠方にある場合、オーナーが直接、入居者からの問い合わせ対応や緊急の修繕対応などを行うことは困難です。そこで委託管理を利用することで、こうした日常的な業務をプロの不動産会社に任せることができます。 

物件の状態を監視し、メンテナンスをしてもらえるから
遠方の物件は定期的な監視や点検が難しく、小さな問題が見過ごされ大きなトラブルに発展するリスクがあります。そこで管理業務を委託することで不動産会社が定期的に物件の状態をチェックし、必要なメンテナンスを行ってくれるため、物件の維持・管理を適切に行ってもらえます。 

市場情報の取得をして、適切に戦略を立ててもらえるから
遠方の物件では、現地の市場情報や賃貸市場の動向を正確に把握することが簡単ではありません。そこで委託管理を利用することで、地元の不動産の市場情報に精通した不動産会社が適切な家賃設定やマーケティング戦略を提案してくれます。

このように、遠方の物件を管理する場合、物理的な距離と時間的な制約を考慮したうえで、専門知識を持つ不動産会社に委託管理を任せることで効率的かつ効果的な賃貸経営を実現できるのです。

そのため、遠方の物件を管理する人は委託管理が向いているといえるでしょう。

7-2.自主管理が向いている人

次に自主管理が向いている人を解説します。

7-2-1.管理委託費を抑えたい人

1つめは「管理委託費を抑えたい人」です。

というのも、自主管理を行うことで、管理委託費として外部の不動産管理会社に支払う必要のある以下の費用を節約できるのです。

【賃貸の委託管理の費用相場一覧】

委託にかかる費用説明費用相場
管理委託手数料管理を委託している業務の対価として、毎月定額で支払う費用です。物件管理の手間を省く代わりに発生する固定的な負担で、家賃収入が増えるほど管理委託費も増加します。家賃収入の3~8%
仲介手数料入居者募集から賃貸借契約の締結にいたるまでのサポートに対する成功報酬です。上限額:家賃の1ヶ月分 + 消費税1社がオーナーと入居者の仲介をした場合、それぞれに請求できる仲介手数料の上限は家賃の半月分 + 消費税

自主管理では、このような費用が発生せず、その分を賃貸事業の利益に充てることができます。

そのため、少しでも管理委託費を抑えて、賃料収入を増やしたいと考えている人には自主管理が向いているといえるでしょう。

7-2-2.賃貸経営を専業で行う人

2つめは「賃貸経営を専業で行う人」です。

本業が別にある、副業で賃貸経営を行う人は、日々の業務で忙しく、賃貸物件の管理に時間や手間をかけるのは簡単ではありません。本業が別にある人が自主管理を行うには、入居者からの問い合わせ対応、定期的な物件の点検、修繕業者の手配など、多岐にわたるタスクをこなす必要があるのです。

これらの管理業務は時間を要するため、本業にも集中することが求められる人にとっては、管理業務が負担となってしまうでしょう。

一方で賃貸経営を専業で行う人は、別に本業があるわけではないため、賃貸経営に時間をかけることができます。賃貸物件の管理・運営業務に専念できるため、入居者募集から日常のメンテナンス、緊急時の対応に至るまで、迅速かつ柔軟に対応することが可能です。

したがって、賃貸経営を専業で行うことができる環境にある場合は、物件の自主管理に向いているといえるでしょう。

7-2-3.入居者とのコミュニケーションが苦にならない人

3つめは「入居者とのコミュニケーションが苦にならない人」です。

賃貸経営における入居者との良好な関係が物件の運営をスムーズにし、トラブルの予防や迅速な解決につながりやすいからです。

具体的には、入居者とのコミュニケーションが苦にならない人は以下のような対応ができるようになるため、自主管理に向いているのです。

【入居者とのコミュニケーションをすることで可能となる対応】 
トラブルや不満の早期発見と対応ができる
入居者とコミュニケーションをとることで、入居者からの小さな不満や問題点を早期にキャッチし、迅速に対応でき、大きなトラブルに発展することを防ぐことができます。入居者とのオープンなコミュニケーションをすることで、信頼関係の構築にもつながります。 

物件のより良い改善ができる
定期的に入居者の意見や要望を聞くことで、物件の不便な点や改善すべき点を把握し、適切な改善策を実施することが可能です。その結果、物件をより良く改善でき、入居者に長く住んでもらうことができます。 

入居者の満足度を向上できる
入居者との良好な関係を築くことで、入居者の満足度を高めることができます。満足度の高い入居者は、退去率の低下や口コミによる新規入居者の獲得に直結し、結果的に物件の収益性も向上させてくれます。

こうしたことから、入居者とのコミュニケーションが苦にならず、積極的にコミュニケーションを取れる人は自主管理がおすすめです。


8.不動産経営が上手な賃貸の委託管理先の選ぶ3つのコツ

ここまで賃貸の委託管理を依頼するべきかどうか判断するための情報を解説してきましたが、ここで依頼することに決めた人にとって気になるのは「委託管理が優秀な優良不動産会社を選びたい」「委託管理で失敗したくない」ということなのではないでしょうか。

そこで8章では「賃貸経営が上手い委託先」「委託すれば手間がかかりにくい委託先」を選ぶため、そのコツを伝授します。

不動産経営が上手な賃貸の委託管理先を選ぶコツは、以下の3つです。

【不動産経営が上手な賃貸の委託管理先の選ぶ3つのコツ】 
・管理物件の入居率が95%以上である会社を選ぶ
・空室を埋めるための具体的な提案をしてくれる会社を選ぶ
・管理戸数が1万戸以上の会社を選ぶ

それぞれ詳しく見ていきましょう。

8-1.管理物件の入居率が95%以上である会社を選ぶ

1つめのコツは「管理物件の入居率が95%以上である会社を選ぶ」ことです。

なぜなら賃貸経営において、高い入居率を維持する(=空室を埋める)ことは収益の確保に直結するからです。入居率が95%以上の管理会社を選択することで、その会社が効果的に物件を管理し、空室問題を最小限に抑えることができている証拠といえます。

空室を埋めることがどれほど収益の確保に影響するのかを、シミュレーションしてみましょう。

たとえば、家賃が5万円、合計10部屋、管理手数料が5%のアパートを例に考えます。

この物件で空室が1部屋あると、毎月の家賃収入は

5万円×9部屋 – 45万円×5%(管理手数料)
=45万円 – 2万2,500円
=42万7,500円

です。

この場合、空室を1部屋埋めれば+5万円の収益になります。
(管理手数料以外のコストは計算外です。)

入居部屋数管理手数料率家賃管理手数料家賃ー管理手数料(収入)
9部屋5%45万円2万2,500円42万7,500円
10部屋50万円47万7,500円

このように不動産会社の空室を埋める力が高ければ高いほど、収益性に期待できるのです。

こうしたことから、入居率が95%を超え、空室を埋める力が高いと判断できる不動産会社を選ぶことで、上手に委託した物件を経営してもらえるでしょう。

8-2.空室を埋めるための具体的な提案をしてくれる会社を選ぶ

2つめは「空室を埋めるための具体的な提案をしてくれる会社を選ぶ」ことです。

不動産会社の中には、市場分析もしないで、ただ家賃を減額する空室対策を提案するだけの不動産会社もいます。この場合、オーナーの家賃収入が減ってしまい、利益を損ねてしまうでしょう。

そこで具体的な空室対策を提案をしてくれる会社を選ぶことで、単に家賃を下げるだけではなく、市場分析にもとづいたさまざまな戦略を提案してくれ、オーナーの利益を最大化できるようになるのです。

具体的な空室対策には、

・広告料の設定
・初期費用の減額
・リフォームの実施
・人気設備の導入

などが含まれます。

空室を埋めるための具体的な提案をしてくれる会社かどうかを判断するために、実際にどのような施策で空室を解消したのか、上記のような空室対策は行っているのかなど、事例を確認することで不動産会社を判断しましょう。

8-3.管理戸数が1万戸以上の会社を選ぶ

3つめは「管理戸数が1万戸以上の会社を選ぶ」ことです。

管理戸数が多いということは、その会社が長期間にわたり多くの物件を扱ってきた証拠。豊富な管理経験とノウハウが蓄積されていることがわかります。そのため、トラブル発生時の迅速かつ適切な対応をしてもらうことができるのです。

たとえばあるマンションで、夜間に電気が突然すべて切れるトラブルが発生した場合を想像してみましょう。

このマンションは管理戸数が多い大手不動産会社によって運営されています。

そのため、同社は以前にも似たような電気系統のトラブルを経験しており、その際には特定の電気工事業者と迅速対応のための契約を結んでいました。

トラブル発生時、不動産会社は直ちにその電気工事業者に連絡。業者はすぐに現場に駆けつけ、短時間内に電気系統の問題を特定し、修理を完了させました。この迅速な対応は、不動産会社が過去のトラブル対応から得たノウハウが活きています。

このように管理戸数が多いために蓄積された経験とノウハウは、突発的なトラブル時における迅速かつ適切な対応につながるのです。

したがって、管理戸数が多い会社はトラブル対応に強く、1万戸以上の管理戸数の多い会社を選ぶことで、入居者が安心できる管理体制を整えてもらうことができるでしょう。また、その結果、長期的な入居につながり、収入の安定にも期待できるでしょう。

【賃貸の委託管理はルーム・スタイルにお任せください!】 
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まとめ

この記事では賃貸の委託管理の基礎知識やメリット・デメリット、費用や向いている人などを解説しました。

ここで改めて本記事の内容をおさらいしましょう。

賃貸の委託管理とは、賃貸の委託管理とは不動産会社に物件の管理・運営を任せること

賃貸の委託管理で依頼できる業務

入居者管理業務建物管理業務サブリース契約のみ依頼できる業務
・入居者募集
・賃貸借契約締結・更新
・賃料回収
・賃料滞納者への督促
・解約手続き・退去時の立会い
・クレーム処理
・清掃
・法定点検
・室内クリーニング
・リフォーム、修繕工事
・賃料設定・空室対策

賃貸の委託管理の3つのメリット

①物件管理の負担を軽減できる
②遠方の物件も運用できるようになる
③賃貸経営のプロのノウハウを学べる

賃貸の委託管理の3つのデメリット

①コストがかかり、その分賃料収入が減る
②オーナー自身の管理能力が低くなる
③不動産会社の能力に左右されやすい

自主管理のメリット・デメリット

メリットデメリット
①管理委託費を抑えられる
②入居者のニーズに合わせて柔軟な対応ができ、入居者の満足度を高められる
①管理業務に手間や負担がかかる
②自主管理することで資産価値が低下する可能性がある

賃貸の委託管理の費用相場

委託にかかる費用説明費用相場
管理委託手数料管理を委託している業務の対価として、毎月定額で支払う費用です。物件管理の手間を省く代わりに発生する固定的な負担で、家賃収入が増えるほど管理委託費も増加します。家賃収入の3~8%
仲介手数料入居者募集から賃貸借契約の締結にいたるまでのサポートに対する成功報酬です。上限額:家賃の1ヶ月分 + 消費税1社がオーナーと入居者の仲介をした場合、それぞれに請求できる仲介手数料の上限は家賃の半月分 + 消費税

賃貸の委託管理が向いている人、自主管理が向いている人

賃貸の委託管理が向いている人自主管理が向いている人
・本業が忙しい人
・賃貸管理の知識
・ノウハウがない人
・賃貸経営についてプロのやり方を学びたい人
・遠方の物件を管理しなければならない人
・管理委託費を抑えたい人
・賃貸経営を専業で行う人
・入居者とのコミュニケーションが苦にならない人

不動産経営が上手な賃貸の委託管理先の選ぶ3つのコツ

・管理物件の入居率が95%以上である会社を選ぶ・空室を埋めるための具体的な提案をしてくれる会社を選ぶ・管理戸数が1万戸以上の会社を選ぶ

本記事が賃貸の委託管理を検討中のオーナー様のお役に立てれば幸いです。

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