知らないと危険!自主管理の大家が直面するトラブル9選と対処法

「大家をするなら、自主管理をしたい!でもトラブル対応が結構大変なイメージがある…具体的にどんなことがあるのだろう」
「自主管理物件で大家がトラブル対応するのって難しいのかな?できれば自主管理希望なんだけど、自分にはできるのか知りたい!」

賃貸経営をこれから始める方のなかには、自主管理をしたいと考えている大家さんも多いでしょう。

しかしなかには「トラブル対応は大変そう」というイメージがあり、迷っている方もいるかもしれません。

自主管理する大家が直面しやすいトラブルは、以下9つです。

自主管理するにあたって、大家自身がこれらのトラブルの概要や対処法を事前に把握しておくと、いざ問題に直面してもスムーズに解決しやすくなります。

ただし、「トラブルは適切なやり方で解決しなければいけない」ことを知っておいてください。

トラブル解決に向けてよかれと思って行動したときに、貸金業法における禁止行為をおこなってしまえば、大家自身が立場的に不利になってしまう可能性を否定できません。

また手順をしっかり踏んで対処しなければ、余計に問題がこじれてしまうケースもあるので注意が必要です。

そこで本記事では、自主管理物件で生じたトラブルを法にも抵触せずスムーズに解決できるよう、順序やポイントを押さえながら解説していきます。

本記事を読んでわかること
・自主管理する大家が直面しやすい9つのトラブルについてわかる
・自主管理する大家がトラブルに直面したときの対処法がわかる
・トラブルを対処するときの最適な手順がわかる
・自主管理する大家がトラブル対処するときに注意すべき点を理解できる
・自主管理でトラブル対応に向かなかったときどうすべきか判断できる

自主管理する大家が普段どのようなトラブルに直面するのか、どのように解決するとうまくいくのかが本記事を読むことで、まるっとわかります。

本記事を読み終えたあとには、あなたが自主管理でトラブル対応できるか否かまでしっかり判断できる記事となっていますので、ぜひこのまま読み進めてください。

目次

賃貸管理完全ガイド
依頼すべき理由

1. 自主管理する大家が直面しやすいトラブル9選

自主管理する大家が直面しやすいトラブルは、以下9つです。

自主管理の物件では、大家自身がこれらのトラブルを対処しなくてはなりません。

対処が遅れてしまうと入居者の不満が溜まり、退去につながるリスクがあります。

また入居候補者から見ても、トラブルが放置されている物件では魅力を感じてもらえず、空室率が高まってしまうので注意が必要です。

たとえばあなたが大家へ設備不良を訴えたとき、なかなか改善してもらえなければ気をもんだり不満を抱いたりしてしまいますよね。

限界を感じたとき「この状況が続くなら新しい物件を探そう」と引っ越しを検討する可能性もあるでしょう。

だからこそトラブルは適切で早い対処が大切であり、自主管理なので大家自身で解決できなければなりません。

次の章からは各トラブルの概要と、具体的な解決方法について解説しますので、さっそく見ていきましょう。


2. トラブル1|家賃滞納と対処法

まずは自主管理する大家で直面するトラブルのなかでも、収益に直結する家賃滞納について見ていきましょう。

公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会の日管協短観によると、2022年度の家賃滞納率は以下のとおりです。

月末での1ヶ月滞納率 (%)
月末での2ヶ月以上滞納率 (%)
首都圏0.40.2
関西圏3.31.1
その他2.30.8
全国0.80.3

参考:公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会「第27回日管協短観」

関西圏はやや多いものの全国的には1%を切っており、思っていたより滞納率は低いように感じますよね。

ただし日管協短観のアンケート対象は不動産管理のプロである賃貸管理会社なので、まだ管理経験の浅い方が自主管理する場合の滞納率は上記より上がってしまうでしょう。

自主管理で家賃滞納が起きると、収益が減るだけでなく、大家にとって以下のようなリスクを伴います。

・ローンの返済や修繕費用の捻出ができない
・立ち退きさせたい場合でも労力が必要になる
・家賃の支払いの催促によって、感情的なトラブルに発展する可能性がある
・家賃滞納者がいることで既存住民から治安への不安をもたれ、信用の低下を招く

費用面で困るだけでなく、既存の入居者から不安をもたれると退去にもつながる可能性があるため、早期の対処が必要です。

対処法としては、以下2つがあるので順番に解説します。

対処法1|家賃の回収方法を口座振替やクレジットカードに設定する
対処法2|状況に応じて支払いを求める

2-1. 対処法1|家賃の回収方法を口座振替やクレジットカードに設定する

家賃の回収方法に振込を採用せず、口座振替やクレジットカードへ設定しましょう。

家賃の一般的な回収方法には、以下があります。

指定口座への振込大家が指定した口座へ借主が振り込む
現金手渡し大家へ直接渡す
口座振替(自動引き落とし)
※大家が振込手数料を支払う
引き落とし口座を登録すると決まった日に引き落とされる
クレジットカード
※大家が決済手数料を支払う
毎月決められた日にカード会社から家賃分が振り込まれる

指定口座への振込や現金手渡しは借主が忘れてしまえば賃料を支払ってもらえません。

そのため手数料がかかっても、口座振替やクレジットカードの利用が確実なため、おすすめです。

2-2. 対処法2|状況に応じて支払いを求める

うっかり忘れてしまったのか、それとも長期化や頻繁に繰り返されるものなのか、家賃滞納が発生したときの対処法は状況に応じて、段階を踏みながら支払いをアプローチしていきます。

・STEP1|うっかり忘れてしまった場合はまず支払いを促す
・STEP2|長期化する場合は法的手段を取る

順番に解説します。

2-2-1. STEP1|うっかり忘れてしまった場合はまず支払いを促す

生活環境の変化や忙しさでうっかり家賃の支払いを忘れてしまうケースもあるでしょう。

以下のようなケースでは、まず借主に支払ってもらうよう促します。

・忙しかった
・旅行や出張に行っていた
・口座残高が不足していた
・入院していた

これらのケースの場合は、支払う気持ちがあったうえで忘れてしまっただけなので促すだけで解決するケースが多いです。

2-2-2. STEP2|長期化する場合は法的手段をとる

入居者が経済的に困窮していたり、支払うつもりがなかったりして家賃滞納が長期化する場合は法的手段をとることになります。

ただし家賃滞納後すぐではうっかり忘れの可能性もあるため、目安は3ヶ月以上経ってからです。

安易にすぐ法的手段をとってしまえば、入居者との関係性がより悪化してしまうため注意しましょう。

裁判を起こす場合は弁護士へ相談のうえ、対処していきます。

以下のようなところから弁護士を探してみましょう。

弁護士の探し方
・インターネット検索
・知り合いからの紹介
・弁護士ポータルサイトで探す(弁護士ドットコムココナラ法律相談など)
・県の弁護士会に相談して探す
日本弁護士連合会のサイトから探す
法テラスを利用する

注意点として、以下のようなを行為してしまうと裁判に不利となってしまいます。

裁判で不利になるためやるべきではないこと
・玄関への張り紙
・学校や職場への連絡
・連帯保証人以外への督促
貸金業法における禁止行為に当たる。
第三者に家賃滞納の事実をさらす行為は、名誉毀損として逆に訴えられる可能性がある。
出典:貸金業法|e-Gov法令検索「第二十一条 (取立て行為の規制)」
早朝や深夜に電話・訪問相手が脅迫と受け取ってしまった場合に、違法行為と見なされてしまう。
玄関の鍵を交換「自力救済の禁止」とされており、違反行為となるので絶対にしてはいけない。損害賠償に発展した事例もある。
(出典:一般財団法人 不動産適正取引推進機構「不動産賃貸借における無断立入り・鍵交換に関する判例の動向」)

督促の方法によっては大家の方が違法行為と見なされ、損害賠償を負う可能性もあります。

自己判断で借主に督促せず、法的手段をとる場合は弁護士に相談のうえ手続きをおこないましょう。


3. トラブル2|入居者同士のトラブル対応と対処法

つづいては入居者同士のトラブル対応を、自主管理する大家が対処せざるを得ない場合について解説します。

たとえば、以下のようなケースでは、入居者同士の意見や考え方が合わず、トラブルにつながることが多いです。

入居者同士のトラブルの種類解説
騒音 生活音や楽器・子どもの声などで、入居者同士が騒音を巡って対立する
ゴミ出しゴミの分別や出し方・収集日時などのルールを守らない人がいて、入居者間で意見が対立する
駐車場の使用方法 駐車スペースの使い方や、来客用スペースの占有などを巡って意見が対立する
生活スタイルの差ベランダの使い方や来客の頻度など、生活スタイルの違いが入居者間の軋轢を生む
共用部分の使い方廊下やエントランス・エレベーターなどの共用部分の使い方を巡って、入居者間で意見が対立する

もしそのまま放置すれば大きなトラブルに発展して、退去につながったり、ほかの関係ない入居者へ不安を与えたりします。

大家が適切な対処をもって介入しなければ、所有物件の空室率が上がる可能性があるため、早期の対処が重要といえるでしょう。

入居者同士のトラブル対応では、以下2つの対処法があります。

対処法1|一方がクレームを入れている場合:入居者全員に注意喚起をする
対処法2|双方からクレームが入っている場合:中立の立場で事実確認をおこなう

順番に解説します。

3-1. 対処法1|一方がクレームを入れている場合:入居者全員に注意喚起をする

一方がクレームを入れている場合は、トラブルのもととなっている入居者だけでなく、全員に注意喚起をすることが重要です。

まずは以下のような事実確認をしたうえで、入居者全員へ注意喚起を実施しましょう。

・トラブルの内容 
・発生時期や頻度
・トラブルの原因人物である特定要因

トラブルのもととなっている入居者だけに注意喚起をすると、誰がクレームをいっているのかわかってしまうことがあり、さらに大きな問題へ発展しかねません。

共通の掲示板やポストなどを通して、入居者全員に注意喚起をおこなうといいでしょう。

入居者への注意喚起に関する文面に悩んだときは、「入居者への注意喚起例」と検索するとさまざまな文例が表示されるので参考にしてください。

3-2. 対処法2|双方からクレームが入っている場合:中立の立場で解決を目指す

もし一方的なクレームではなく、トラブルの当事者同士がはっきりと認識し合っている場合は、中立の立場で事実確認をおこなってください。

流れは、以下のとおりです。

トラブル解決の流れ概要
1.事実確認をする各入居者の話を聞き、状況を把握する。
トラブルやクレームは感覚に個人差があり、苦情をいっている側といわれている側で意見が食い違うことが多い。
双方の意見をフラットな立場で聞くことを意識する。
2.ルールの確認をするトラブルの原因が、ルール違反や認識不足であることもよくある。
 例)ゴミ出しの時間や駐車スペースの決まりなどルールの確認をして、認識が合っているか確認する。
3.再度当事者間が話し合う場
を設ける
双方が落ち着いて話せるような環境を整えたうえで再度話し合う。
騒がしくない事務所や会議室などの場所や時間を十分にとり、大家は中立な立場として同席する。
4.第三者を挟む当事者間が話し合って解決しなければ、専門家(弁護士、司法書士など)や調停委員などを挟んで話し合いをすすめる。
より専門知識がある立場の第三者を挟むことで解決しやすくなる。
5.必要に応じて法的手段をとる1~4の工程を踏んでも解決しなければ法的手段をとる。
弁護士へ相談のうえ、必要な手続きをとる。

トラブルを放っておけば当事者だけでなく、ほかの入居者の退去につながる可能性も大いにあり得るため、速やかな対処が大切です。

賃貸管理会社へ物件管理を委託していればトラブル対応してもらうことが可能ですが、自主管理の場合は大家が対応しなければなりません。

うまくいかなければ、早い段階で弁護士のような第三者を挟むことが早期解決への糸口となります。

自分では難しいと感じた段階で、早めに弁護士への相談も視野に入れましょう。

弁護士の探し方は、以下を参考にしてください。

弁護士の探し方
・インターネット検索
・知り合いからの紹介
・弁護士ポータルサイトで探す(弁護士ドットコムココナラ法律相談など)
・県の弁護士会に相談して探す
日本弁護士連合会のサイトから探す
法テラスを利用する

4. トラブル3|ペット不可物件におけるペット飼育と対処法

ペットの飼育を許可していないにもかかわらず、飼育しているルール違反もトラブルの原因となります。

ペット不可物件におけるペット飼育のトラブルには、以下のようなケースがあります。

ペット飼育のトラブル
概要
アレルギー問題ペットのアレルギーをもつほかの入居者の健康被害が生じる
共用部分の汚れエレベーターや廊下などの共用部分がペットの排泄物や体毛で汚れる
逃亡や事故ペットが部屋から逃げ出し、他の入居者に危害を加えたり、建物設備を損キズしたりする
退去時の原状回復ペット特有の臭いのほか壁や床のキズの損キズなどで原状回復費用の請求に発展する
騒音・ニオイペットの鳴き声や排泄物による臭気が、ほかの入居者の迷惑になる

ペット不可物件であったことを知らずに入居した人もいれば、わかっていて飼育している人もいるでしょう。

多くの場合、ほかの住民から「ペットの鳴き声がする」「ペットを見かけた」といって飼育していることが発覚します。

ほかにもゴミ出しや買い物の中身にペットのものが入っていて、見かけた人からの連絡で発覚したり、退去時に部屋のキズ・ニオイで大家自身が気がついたりするケースもあります。

ペットを飼育する人は、安易に捉えているかもしれません。

しかし物件の汚れやキズだけでなく、アレルギーに関する問題に発展すればほかの入居者の健康被害がかかわるため、大家は早急な対処が必要です。

また入居率に影響するからと先延ばしにしてしまうと黙認していると見なされ、ペットを飼育する人が増えたり契約の解除が難しくなったりするので注意しましょう。

4-1. 対処法|ペットの飼育をやめるよう求める

ペット不可物件でペットを飼育していることが発覚した場合は以下の5つの手順でやめるよう求めます。

・STEP1|ペットの飼育をしている証拠を集める
・STEP2|入居者に飼育の事実確認をする
・STEP3|ペットの飼育をやめるよう求める
・STEP4|ペットを手放せず退去を受け入れた場合は原状回復費用を請求する
・STEP5|ペットを手放せないが、入居者が退去に応じない場合は法的手段をとる

順番に解説します。

4-1-1. STEP1|ペットの飼育をしている証拠を集める

入居者がペットを飼育していると情報が寄せられたときは、以下のように証拠集めをしていきます。

・ほかの住民が目撃した日時をメモ
・ほかの住民が鳴き声が聞こえた日時をメモ
・防犯カメラの確認・室内点検

室内点検では床や部屋のキズをチェックしたり、エアコンの内部を調べて大量の毛が付着していたりしないかチェックして確実な証拠をつかみましょう。

4-1-2. STEP2|入居者に飼育の事実確認をする

証拠を集めたら、入居者にペットの飼育の事実確認をします。

なかには「知人のペットを預かっていただけ」といわれるケースも少なくありません。

床や部屋のキズのほか、エアコンに付着した毛などの証拠をもとに、入居者へ事実確認をしましょう。

4-1-3. STEP3|ペットの飼育をやめるよう求める

入居者がペットを飼育していることを認めたら、やめるよう求めます。

とはいえけんか腰で話をしては、より大きなもめ事となってしまいます。

以下のように柔らかい口調で話しましょう。

ペットの飼育をやめるよう求めるときの例
「申し訳ありませんが、入居の際に交わした契約書ではペットの飼育は禁止となっております。
お手数をおかけいたしますが、契約内容を改めてご確認いただけますでしょうか。」
「〇〇様、ペットを飼育されているとのことで、大変申し訳ございませんが、当マンションでは禁止事項となっております。皆様に快適に暮らしていただくためのルールとなっておりますので、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。」

また、同時に実家や友人の家に預けたり、里親探しや譲渡などさまざま方法の提案をしましょう。

1週間以内や10日以内など明確な期日を設けて、手放すまでの期間を長引かせないようにすることもポイントです。

ペットを問題なく手放してもらえるようであれば、このまま入居となりますが、もし手放せない場合は自主的に退去、もしくは強制退去となります。

4-1-5. STEP4|ペットを手放せず退去を受け入れた場合は原状回復費用を請求する

入居者がペットを手放せず、退去することになった場合は、原状回復費用を請求します。

ペットを飼育している場合、以下のような日常生活でつかないような汚れやキズが生じます。

・床やドア、壁紙の汚れ
・キズ・床やドア、壁紙のニオイ
・部屋のニオイ

契約に反してできたキズやニオイは入居者に対して原状回復費用を請求できるので、退去時に立ち会うときに細かく確認しましょう。

4-1-6. STEP5|ペットを手放せないが、入居者が退去に応じない場合は法的手段をとる

入居者がペットを手放したくないけれど、絶対に退去したくないというケースもあるかもしれません。

このような場合に黙認すればさらに状況が悪化するため、法的手段に踏み切り強制退去してもらいます。

弁護士を探して、手続きをおこないましょう。

弁護士の探し方は、以下を参考にしてください。

弁護士の探し方
・インターネット検索
・知り合いからの紹介
・弁護士ポータルサイトで探す(弁護士ドットコムココナラ法律相談など)
・県の弁護士会に相談して探す
日本弁護士連合会のサイトから探す
法テラスを利用する

とはいえ弁護士を依頼すれば、費用や労力が大きな負担となります。

裁判時の証拠になる内容証明や申立書など、準備する書類も少なくありません。

法的手段は最終手段としておき、できるだけ話し合いで契約を解除できるよう努めましょう。


5. トラブル4|水漏れと対処法

水漏れは、自主管理物件で大家が直面するトラブルのひとつです。

早急に対処しなければ生活するうえで入居者が困るだけでなく、不満が募ることで退去にもつながるでしょう。

また階下への漏水のような大きな被害に広がっていくため、迅速な対応が必要です。

事実、日本トレンドリサーチの「下階への水漏れ」に関するアンケートでは、1272サンプル中以下の結果が出ています。

上の階から水が漏れてきた経験がある人:16.7%
自分が下の階に水漏れをしてしまった経験がある人:10.6%

参考:PR TIMES「日本トレンドリサーチ・下階への水漏れに関する調査

家財に損害が生じてしまうと損害賠償問題にも発展しかねないため、水漏れが生じた場合はすぐに入居者のもとへ向かいましょう。

5-1. 対処法|すぐに水道業者を手配する

入居者から連絡を受けたらまずは水道業者を手配し、なぜ水もれになったのか原因を特定のうえ修理してもらいます。

また修理や原状回復費用の支払いを踏まえ、過失が入居者側にあったのか、設備不良や老朽化のように大家側に原因があるのか判断しなければなりません。

たとえば以下のような状況をもとに、修理や原状回復費用をどちらが負担するのか判断します。

修理や原状回復費用
【入居者が負担】
お風呂を沸かしっぱなし、シンクに水を溜めっぱなしなど入居者側に原因があった場合
【大家が負担】
設備不良や老朽化のように大家側に原因がある場合

とはいえ入居者と大家のどちらに原因があったにせよ、水もれは火災保険を利用できる場合が多いので、確認してみましょう。

物件や家財などを、保険金でカバーできる可能性があります。

下の階への水漏れは火災保険の対象外!個人賠償責任保険にはいっていれば使える
下の階への水漏れは、火災保険の対象外です。
代わりに、第三者に損害を与えてしまったときに適用される、個人賠償責任保険にはいっていれば使用できます。
火災保険や自動車保険の特約として有料で付けていることが多いので確認してみましょう。

6. トラブル5|鍵の紛失と対処法

賃貸物件の鍵を紛失してしまい、入居者が部屋に入れないトラブルもよくあります。

入居者側としてみれば部屋に入れず困ってしまうため、深夜や早朝を問わず、連絡が来たら対処する必要があります。

また鍵の紛失は防犯面においてもリスクが高いため、大家にとっても重大なトラブルのひとつです。

スペアキーで開けて終わりではなく、迅速に対処しましょう。

6-1. 対処法|深夜早朝問わず即対応する

入居者から鍵の紛失の知らせを受けたら、スペアキーをもって入居者宅へ向かいます。

早い解錠が望ましいため、深夜や早朝を問わず、できるだけ早く向かいましょう。

解錠後は紛失した鍵による無断侵入やスペアキーの作成など悪用リスクに備えて、鍵交換をおこないます。

鍵交換の依頼先
・工務店
・ハウスメーカー
・鍵屋

鍵交換の費用はおよそ15,000円~となり、種類によって異なります。

入居者の過失となるので、費用は入居者に負担してもらえます。

また、鍵交換は入居時に加入した火災保険を使用できる場合もあるので、確認してみましょう。


7. トラブル6|退去時の敷金精算と対処法

敷金のある物件の場合は退去時に精算する必要があり、返金費用に不満をもたれてトラブルに発展する場合があります。

敷金とはそもそも入居者が大家に対して、賃料の未払いや原状回復費用に備えて担保する保証金です。

原状回復費用に多くの費用がかかってしまえば入居者が退去するときに返金はありません。

しかし入居者のなかには返金された敷金の額に納得できなかったり、全額返ってくるものと考えている人も多かったりすることから、金額を巡るトラブルとなるのです。

7-1. 対処法|原状回復ガイドラインをもとに納得のいく説明する

退去時の市敷金精算のトラブルに発展しないためには、大家が原状回復ガイドラインをもとに入居者が納得のいく説明をすることです。

原状回復ガイドラインは、国土交通省が1998年に制定した、賃貸住宅の退去時の原状回復を巡るトラブルを防止するための指針です。

近年では2020年4月1日に改定され、より原状回復義務の責任について明確化されました。

以下は原状回復ガイドラインにもとづき、原状回復費用について示した図です。

参考:国土交通省:「「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に関する参考資料

まず新築時から入居時までにあった価値低下分に関しては、あたりまえですが入居者の負担はありません。

一般的に入居者が日常生活を過ごすなかで生じた劣化や消耗は、大家負担となります。

ほかにも新たな入居者を迎えるために、フローリングを上質なものにするといった投資も大家が費用を負担します。

一方入居後に入居者が誤って破損したり、食べ物をこぼしたりしてシミやカビが発生した場合は、入居者負担です。

以下に入居者と大家、どちらが原状回復費を負担するかの目安をまとめましたので参考にしてください。

入居者負担大家負担
・汚れや傷がつくとわかっていておこなった行為
例)タバコによる焦げ
・ヤニ汚れキャスター付き家具によるフローリングのキズ
・不可抗力による汚れ
例)日照りによる畳やフローリング・クロスの変色家電を設置した背部の黒ずみ
・うっかり汚れや傷を付けてしまった場合
例)飲食物をこぼしてできたシミやカビ
・通常生活の範囲内によるキズ
例)家具によるフローリングのへこみ壁の画鋲・ピン・くぎのあと
・手入れ不足
例)台所のひどい油汚れ手入れをせずにできた結露によるシミやカビ
・クーラーからの水漏れによる腐食
※借主所有のものであれば入居者負担
・注意する必要があったものの怠った場合
例)引越作業で生じたキズ
・物件の維持管理のための行為
例)網戸の張替え(破損等なし)
ハウスクリーニング代

このような例を参考にしながら、入居者に原状回復費用の請求について納得してもらえるように話しましょう。

また、退去時に敷金精算をおこない後日退去精算書を送付するときは、写真を送ることでよりトラブルを未然に防げます。

退去精算書を送付するときは写真も一緒に送る
請求額だけ文書で送られるよりも、汚れの指摘箇所やキズの有無について入居者がわかりやすくなる!
入居者にしてみれば、引っ越し後しばらく経ってから退去精算書は送られてくるので、記憶が曖昧になりがち。
敷金の精算額についての納得感を高められる。

8. トラブル7|共用部の使用方法におけるトラブルと対処法

つづいては共用部の使用方法におけるトラブルを解説します。

ベランダでの喫煙やゴミ出しのルールを守らない人がいる・私物の放置など、共用部の使用方法におけるトラブルはほかの入居者からのクレームによって大家の頭を悩ませる原因となります。

共用部の使用方法が悪い場合、以下のようなリスクがあります。

・入居者の不満が蓄積して退去者が増える
・入居希望者からの印象が悪くなり成約率が減少する
・治安の悪さを招く

だれでも自分が住んでいる物件が汚いといやですよね。

既存の入居者からすると分別がきちんとされておらず、常に集積所に回収されないゴミがあれば嫌な気持ちになるでしょう。

ベランダでの喫煙が禁止されているにもかかわらず、洗濯物にたばこの臭いがついていれば不快に思う人が多数です。

また常にゴミが落ちていると汚しても抵抗感がなくなるケースも多く、さらに助長して治安の悪さを招くこともあります。

そのため共用部の使用方法の悪さが目についたり、入居者からクレームが来たりした場合は、退去や空室率の悪化につながらせないために、迅速な対応が望まれます。

8-1. 対処法|段階を踏んで対応する

共用部の使用方法が悪いときは、いきなり対象者に注意するのではなく、段階を踏んで対応します。

・STEP1|張り紙で入居者全体に周知する
・STEP2|対象者に直接交渉する
・STEP3|効果がなければ法的措置を検討する

順番に解説します。

8-1-1. STEP1|張り紙で入居者全体に周知する

なかには共用部の使用マナーの悪い入居者が誰なのか、クレームから判明しているケースもあるでしょう。

しかし、対象の入居者がルールを知らないケースも想定でき、いきなり注意してしまうと感情的なトラブルの悪化を招きかねません。

そのため第一段階として、共用部の使用方法に関するマナーをエントランスや廊下など、入居者の目につくところへ文書で掲示しましょう。

文書については「賃貸物件 注意喚起のひな形」と検索すると、具体的な例が検索できるので参考にしてください。

また物件の印象が悪化するため大量の掲示は避け、数カ所ピックアップすることをおすすめします。

8-1-2. STEP2|対象者に直接注意をする

張り紙で入居者全体に周知しても効果がなければ、対象者に直接注意をします。

ただし話し合いの決裂を防ぐためにも決めつけて話をせず、共用部の使用方法をについてわからない点や困りごとはないか、確かめるように聞いてみましょう。

共用部の使用方法を守れていないと認めた場合は、迷惑に感じる入居者がいることを柔らかく伝えます。

このときクレームを入れた入居者が特定されないよう、以下のように伝え方には十分注意してください。

共用部の使用方法の伝え方の例
「〇〇様、お忙しいところ恐れ入ります。最近、ゴミ置き場でのルール違反が目立っており、他の入居者の方からもご意見をいただいております。お忙しい中とは存じますが、ルールを守っていただけますでしょうか。」
「〇〇様、先日の点検で共用部の使用状況を確認したところ、いくつか改善していただきたい点がございました。具体的には、ゴミ置き場での分別の不徹底と、駐輪場の整理整頓不足が目立ちました。入居者の皆様のマナー向上なくしては、快適な住環境の維持は困難です。お手数をおかけしますが、ルールの順守にご協力ください。」

そして共用部の使用マナーを再度通知したうえで、様子を見ましょう。

8-1-3. STEP3|効果がなければ法的措置を検討する

対象者に直接注意をしても効果がなければ、法的措置を検討します。

再度文書で使用マナーの改善を申し入れて裁判をする意思表示となる内容証明を送り、法的手段を検討していることを伝えてください。

内容証明サービスについては郵便局の公式サイト「内容証明」をご覧ください。

実際に法的手段をとる場合は、弁護士へ依頼して手続きを進めていきます。

弁護士の探し方
・インターネット検索
・知り合いからの紹介
・弁護士ポータルサイトで探す(弁護士ドットコムココナラ法律相談など)
・県の弁護士会に相談して探す
日本弁護士連合会のサイトから探す
法テラスを利用する
ただし法的手段をとると時間や労力・費用が大きくかかってくるため、できる限り交渉で解決することが望ましいです。

そのため以下のような共用部の使用方法に関して、トラブルを未然に防げる手段をとっておくことも検討しましょう。

共用部の使用方法におけるトラブルを未然に防ぐルール設定も大切
・賃貸物件全体を禁煙にする
・喫煙所を設ける
・ゴミ出しの袋に部屋の番号を記入する
・ゴミの分別について説明を徹底する
・私物が共用部に置いてあった場合は2時間で撤去する

9. トラブル8|「ゴミ屋敷化」による異臭と対処法

次にお伝えするのは、「ゴミ屋敷化」による異臭トラブルです。

入居者がゴミをため込む「ゴミ屋敷化」にしてしまった場合、異臭によるクレームが生じかねません。

またゴミ屋敷化されてしまうと、大家にとっても以下のような問題があります。

大家のリスク概要
物件の損傷大量のゴミによって床や壁が傷む
火災のリスクゴミの蓄積により可燃物が大量にあると火災のリスクが高まる
害獣・害虫の発生不衛生な環境はネズミや害虫の発生を招き。入居者の健康被害につながる恐れがある
原状回復費用の増大ゴミ屋敷の片付けには膨大な時間と費用がかかり、退去時の原状回復が大きくなる
空室率の悪化ほかの入居者が退去する新規入居者の確保が難しくなる

万が一ゴミ屋敷化が発覚した場合は、賃貸経営を潤滑におこなえなくなる可能性が高まるため、速やかな対応が必要です。

9-1. 対処法|段階を踏んで片付け交渉!むずかしければ契約解除にもちこむ

貸している物件がゴミ屋敷化してしまった場合は、以下のように段階を踏んで片付け交渉し、むずかしければ契約解除にもちこみます。

・STEP1|入居者へ片付けるよう交渉する
・STEP2|内容証明郵便を送る
・STEP3|契約解除する

順番に解説します。

9-1-1. STEP1|入居者へ片付けるよう交渉する

まずは入居者へゴミ屋敷の状態を片付けるよう、交渉します。

このときただ片付けるよう伝えるのではなく、清掃業者や自治体のサポートなどを伝えるといいでしょう。

たとえば利用している清掃業者を紹介したり、市の相談員の窓口を調べてあげてもいいですね。

「片付けてください」だけではうまくできない入居者もいるため、具体的な方法を探してみましょう。

9-1-2. STEP2|内容証明を送る

入居者へ片付けるよう交渉してもうまくいかない場合は、内容証明を送ります。

法的手段で退去を申し入れたときに、内容証明によって、継続して片付けるよう交渉していた証拠となります。

書面の内容には、以下の2点を盛り込みましょう。

・〇日までにゴミを撤去してほしい
・〇日までに完了しなければ契約を解除する

内容証明サービスの具体的な書き方については、郵便局の公式サイト「内容証明」をご覧ください。

9-1-3. STEP3|契約解除のために法定手段をとる

提示した期日までに片付けてもらえなかった場合は、法的手段により、契約解除の手続きを進めましょう。

入居者が退去に応じなければ弁護士に相談のうえ、法的手段となります。

弁護士の探し方は、以下を参考にしてください。

弁護士の探し方
・インターネット検索
・知り合いからの紹介
・弁護士ポータルサイトで探す(弁護士ドットコムココナラ法律相談など)
・県の弁護士会に相談して探す
日本弁護士連合会のサイトから探す
法テラスを利用する
 一般的には、借地借家法に守られている入居者を、大家が退去させることは難しいです。

(出典:e-Gov法令検索借地借家法「平成三年法律第九十号 借地借家法 第二十八条」)

しかし、注意喚起をおこない、片付けのサポートをしたにもかかわらず、ゴミ屋敷という異常な状態になっている場合は、契約解除のハードルは下がります。

なぜなら、ゴミ屋敷の状態になったことで、賃貸契約で重視される以下のような信頼関係が崩れてしまっているからです。

・賃料を適切に支払う
・本来の住まいとしての用途以外に使用しない
・第三者へ貸さない

よって民法541条にもとづき、ゴミ屋敷化は裁判の結果、契約解除に持ち込みやすいです。(出典:e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号) 第五百四十一条」)

実際に入居者が退去を認められた裁判事例もあるので、物件のゴミ屋敷化は十分契約解除事由に当たります。(出典:一般財団法人 不動産適正取引推進機構「賃借人が貸室内へゴミ放置と異臭を発生させた等の迷惑行為が賃貸借契約の解除事由に当たるとされた事例」)

とはいえ、裁判に至らないほうが費用や労力がかからないことも事実です。

片付けを促しながら、難しいようであれば裁判を考慮して状況を判断しましょう。


10. トラブル9|無断駐車と対処法

今回紹介する最後のトラブルとして、9つ目の無断駐車を見ていきましょう。

駐車場を契約していないにもかかわらず、勝手にほかの入居者の駐車場に無断駐車してトラブルになるケースがあります。

お金を払って契約している駐車場へ勝手に停められたら、誰でも不満に思うでしょう。

クレームを受けてそのまま放置していれば被害を受けている入居者の不満が溜まります。

もし当人同士で対処しようとした場合、大きなもめ事に発展しかねないため大家が早めに動くことが重要です。

10-1. 対処法|段階を踏んで入居者を特定しながら対処する

無断駐車によるトラブルは、以下のように段階を踏んで入居者を特定しながら対処します。

・STEP1|ナンバーを確認して入居者のものか確認する
・STEP2|警告書を貼る
・STEP3|運輸支局もしくは自動車検査登録事務所で所有者を特定する
・STEP4|撤去されなければ法的手段をとる

順番に解説します。

10-1-1. STEP1|ナンバーを確認して入居者のものか確認する

入居者から無断駐車のクレームを受けたときはすぐに現場へ向かい、車のナンバーを確認して物件に住むいずれかの入居者のものであるか確認しましょう。

物件に住む人が駐車場を借りる場合は、一般的に事前にナンバーを大家に知らせます。

もし物件に住む入居者の車であった場合は、間違えて駐車しているケースがほとんどなので、連絡して場所を移動させてもらえば解決します。

万が一再三促しても移動させてもらえなかった場合は「10-1-4. 撤去されなければ法的手段をとる」へ進んでください。

また入居者以外の車であった場合は、次のステップへ進みましょう。

10-1-2. STEP2|警告書を貼る

入居者の車でなかった場合は、 警告書を貼って様子を見ます。

警告書には、以下の内容を盛り込みます。

・無断駐車をしないでほしいこと
・速やかに場所を空けること
・改善されない場合は所有者を調査のうえ損害賠償を請求すること

無断駐車をおこなう人のほとんどは「このくらいなら大丈夫」「空いているんだし、少しの間くらいいいでしょ」といった安易な気持ちで停めています。

警告文を見た段階で、移動してもらえるでしょう。

10-1-3. STEP3|運輸支局・自動車検査登録事務所で所有者を特定する

警告書を貼っても効果がなければ、最寄りの運輸支局・自動車検査登録事務所に請求して、ナンバープレートから所有者を特定します。

特定の仕方は、以下をご参考ください。

>運輸支局・自動車検査登録事務所は「全国運輸支局等のご案内」から確認

所有者を特定できたら、登録されている住所へ裁判のときに証拠として残せるよう内容証明を送り、撤去を求めましょう。

所有者を特定するために必要な手続きに必要な書類配下を参考にしてください。

手続きに必要な書類
・大家の本人確認書類(マイナンバー・免許証・保険証など)
・対象者のナンバー
・請求する理由
・無断駐車されている場所
・見取り図
・無断駐車されている期間
・無断駐車されている車両の写真・手数料例)
 関東運輸支局:現在登録事項等証明書(現在の登録内容)300円詳細登録事項等証明書(現在及び過去の登      録内容)の場合1,000円

参考:関東運輸支局「登録事項等証明書交付請求

10-1-4. STEP4|撤去されなければ法的手段をとる

内容証明を送付後も改善が見られないようであれば、弁護士に相談のうえ、法的手段をとります。

弁護士の探し方は、以下を参考にしてください。

弁護士の探し方
・インターネット検索
・知り合いからの紹介
・弁護士ポータルサイトで探す(弁護士ドットコムココナラ法律相談など)
・県の弁護士会に相談して探す
日本弁護士連合会のサイトから探す
法テラスを利用する

ただし弁護士に依頼すると費用や時間がかかってしまうので、基本的には移動を促すことがもっとも最適な方法といえます。

また、無断駐車にならないよう、トラブルに発展させない予防策も重要です。

トラブルに発展させないためにできる予防策
普段から以下のような予防策の実施も検討しましょう。
・看板を設置する:駐車場代を支払わずに無断で駐車した場合罰金〇〇円
・コーンを設置する:物理的に停めにくくする方法
・防犯カメラを設置する:牽制になるほか証拠として裁判時に役に立つ

11. 自主管理大家でトラブル発生時の対処が向いている人・向いてない人

自主管理大家でトラブル発生時の対処が向いている人・向いてない人を以下にまとめましたので、参考にしてください。

自主管理大家でトラブル発生時の対処が向いている人
専業大家でトラブルへ時間をしっかりさける
物件が近所にあり、いつでも駆けつけられる
コミュニケーション能力が高く、相手の意見をしっかりと聞ける
感情的にならず、冷静に状況を判断できる
意見がぶつかり合ったときに、入居者が納得できるように話し合いをまとめる力がある
予期せぬ事態に対しても柔軟に対応できる
自主管理大家でトラブル発生時の対処が向いてない人
兼業大家でトラブル対応する時間の余裕がない
複数の物件を経営しており、トラブル対応する時間の余裕がない
物件が遠方にありすぐに駆けつけられないトラブル解決する力量がない
ストレスに弱い感情的になってしまう

自主管理大家でトラブル発生時の対処をするには、前提として時間を割ける人でなければ難しいです。

そのため兼業大家や、専業であっても複数の物件を管理している大家などは、自主管理でトラブルを対処するには向いていないといえるでしょう。

また、トラブル対応は精神的に楽な業務ではありません。

入居者から感情的に悪意をぶつけられることも多いため、ストレスに弱い方には対処が難しいといえます。

ゆえに「自主管理大家でトラブル発生時の対処が向いてない人」の項目に1つでも当てはまったら自主管理で大家をすることは向いてないと考えてください。

一方で時間に余裕があり、コミュニケーション能力が高い方であれば自主管理物件でトラブルの対処をするに当たって困るケースは少ないでしょう。


12. 自主管理大家でトラブルの対処が難しい時は賃貸管理会社への委託が安心

ここまで、自主管理する大家が直面しやすい9つのトラブルと、対処への向き不向きについて解説しました。

「こんなにクレームがあるなら、大家自らトラブル対処するには向いていない」

「自主管理したかったけど、トラブル対処を自分でやれる環境にはないから諦めよう」

このように感じた方もいるかもしれません。

しかし自主管理で大家をしながら、賃貸管理会社へ部分的に委託することもできます。

そして委託先はトラブル対応のノウハウを持っているところを選ぶことがポイントです。

詳細をお伝えしていきます。

12-1. 賃貸管理会社へ部分的に委託することもできる

もし、あなたが自主管理で大家自らトラブル対処することに向いていなくても「賃貸管理会社へ一部委託」という手段があるので安心してください。

そもそも賃貸物件の管理業務には、主に以下があります。

賃貸物件の管理業務
・入居者募集
・契約業務
・点検業務
・家賃管理
・敷金精算業務
・退去の立ち会い
・修繕に関する手続き
・入居者対応(クレーム・トラブル対応) 

トラブル対応だけでなく、かなりやるべきことが多いと感じた方もいるでしょう。

賃貸管理会社は必ずしもこれらすべての業務を任せる必要はなく、入居者募集や事務作業だけは自分でやる、といった一部委託も可能です。

そのため、トラブル対応が向いていない方でも、賃貸管理会社をうまく利用することで十分自主管理ができます。

自主管理の大きなメリットである、費用を抑えられる点に魅力を感じている方もいるかもしれません。

賃貸管理会社の一部委託であれば、全部委託よりもコストを抑えやすいでしょう。

また、トラブル対応における精神的な負担を抑えられる点も魅力といえます。 

12-2. 委託先はトラブル対応のノウハウを持っているところを選ぶのが大事

自主管理せず賃貸管理会社へ委託する場合、どこでもいいとはいえません。

トラブル対応のノウハウを持っているところを、委託先として選ぶことが大切です。

なぜなら賃貸管理会社によって、トラブル対応の質に差が出るからです。

しっかりトラブルに対処してもらえる賃貸管理会社は、以下をチェックしましょう。

・実績はあるか
・専門知識はあるか
・入居者対応の質が高いか
・口コミや評判はいいか
・大家への定期的な報告をしているか
・連絡を取りやすいか

数々の実績によるノウハウをもっていることはもちろん、トラブル対応ではさまざまな知識が必要なため、賃貸経営や法律・不動産などの専門知識は欠かせません。

またトラブルが発生したときにはきちんと大家へ報告を上げてもらわなければ、状況把握が困難になるでしょう。

大家自身から賃貸管理会社への問い合わせのしやすさもチェックしていただきたいポイントです。

ここからは、弊社ルーム・スタイルを例に挙げてみてみましょう。

弊社ルーム・スタイルは、2006年から賃貸管理・仲介・売却・内装業をワンストップでおこなう賃貸管理会社です。

一般的な平均客付けは4~5ヶ月ですが、ルーム・スタイルは年間入居率98%・平均入居1ヶ月で客付けをおこなっています。

平均的な数値を大きく上回る実績があることをおわかりいただけるでしょう。

またルーム・スタイルでは、24時間365日対応できるコールセンターをご利用いただけるので、クレーム対応や深夜の鍵の紛失・設備トラブルに迅速に対処いたします。

オーナー様向けのクラウドサービスを設けているので情報管理はいつでも簡単にでき、メッセージ機能によっていつでも営業担当とやり取りできる仕組みになっています。

またトラブル対応では弁護士のような専門家の存在も欠かせませんが、ルーム・スタイルでは、しっかり連携が取れる仕組みになっているので、安心してお任せいただけます。

自主管理大家を検討するとき、トラブルやクレームにどう対処すべきか、さまざまな不安を抱えてしまいますよね。

そのような方はぜひ一度、実績・ノウハウともに豊富な弊社ルーム・スタイルへご相談ください。

あなたの物件を全力でサポートいたします!

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13. まとめ

自主管理する大家が直面しやすいトラブルについて、おわかりいただけましたでしょうか。

最後に、本記事の要点をまとめていきます。

◎自主管理する大家が直面しやすいトラブルは、以下9つです。

◎大家が直面しやすいトラブル1つ目の家賃滞納の対処法は、以下です。

対処法1|家賃の回収方法を口座振替やクレジットカードに設定する
対処法2|状況に応じて支払いを求める

◎大家が直面しやすいトラブル2つ目の入居者同士のトラブル対応における対処法は、以下です。

対処法1|一方がクレームを入れている場合:入居者全員に注意喚起をする
対処法2|双方からクレームが入っている場合:中立の立場で事実確認をおこなう

◎大家が直面しやすいトラブル3つ目のペット不可物件におけるペット飼育の対処法は、以下5STEPを実施してください。

・STEP1|ペットの飼育をしている証拠を集める
・STEP2|入居者に飼育の事実確認をする
・STEP3|ペットの飼育をやめるよう求める
・STEP4|ペットを手放せず退去を受け入れた場合は原状回復費用を請求する
・STEP5|ペットを手放せないが、入居者が退去に応じない場合は法的手段をとる

◎大家が直面しやすいトラブル4つ目の水漏れへの対処法は、すぐに水道業者を手配することです。

◎大家が直面しやすいトラブル5つ目の鍵の紛失へ対処するには、深夜早朝問わず即対応しましょう。

◎大家が直面しやすいトラブル6つ目の退去時の敷金精算へ対処するときは、原状回復ガイドラインをもとに納得のいく説明をしてください。

◎大家が直面しやすいトラブル7つ目の共用部の使用方法におけるトラブルの対処法は、以下です。

・STEP1|張り紙で入居者全体に周知する
・STEP2|対象者に直接交渉する
・STEP3|効果がなければ法的措置を検討する

◎大家が直面しやすいトラブル8つ目の「ゴミ屋敷化」による異臭への対処法は、以下です。

・STEP1|入居者へ片付けるよう交渉する
・STEP2|内容証明郵便を送る
・STEP3|契約解除する

◎大家が直面しやすいトラブル9つ目の無断駐車への対処法は、以下です。

・STEP1|ナンバーを確認して入居者のものか確認する
・STEP2|警告書を貼る
・STEP3|運輸支局もしくは自動車検査登録事務所で所有者を特定する
・STEP4|撤去されなければ法的手段をとる

◎自主管理大家でトラブル発生時の対処が向いている人・向いてない人は、以下で判断できます。

自主管理大家でトラブル発生時の対処が向いている人
専業大家でトラブルへ時間をしっかりさける
物件が近所にあり、いつでも駆けつけられる
コミュニケーション能力が高く、相手の意見をしっかりと聞ける
感情的にならず、冷静に状況を判断できる
意見がぶつかり合ったときに、入居者が納得できるように話し合いをまとめる力がある
予期せぬ事態に対しても柔軟に対応できる
自主管理大家でトラブル発生時の対処が向いてない人
兼業大家でトラブル対応する時間の余裕がない
複数の物件を経営しており、トラブル対応する時間の余裕がない
物件が遠方にありすぐに駆けつけられないトラブル解決する力量がない
ストレスに弱い感情的になってしまう

◎自主管理大家でトラブルの対処が難しい時は賃貸管理会社への委託が安心です。

あなたが自主管理物件の大家として、トラブルの対処ができるか判断するときのお役に本記事が立てると幸いです。

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