賃貸の管理会社を変更すべき?考え方や変更手順・留意点を解説

「賃貸の管理会社を変えたほうがいいのかな?」
「今の管理会社には、不満が多くて……」

このように、悶々と悩んでいる賃貸オーナーの方は少なくありません。

近年の不動産市場の変化やニーズの多様化により、理想の賃貸管理会社のあり方や、その重要性も変化が生じています。

常に適切な管理会社を選択し続けることは、賃貸物件の資産価値の維持や、収益の最大化に直結します。

本記事では、賃貸管理会社を変更するべきかどうかの判断基準から、変更手順、注意点までを詳しく解説します。

管理会社の変更を検討する際の具体的なポイントを把握して、よりよい選択をロジカルにできるようにしていきましょう。

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1. 賃貸オーナーが管理会社の変更を考えるのはどんなとき?

賃貸オーナーが管理会社を変更することを考えるのは、現在の管理状況に何らかの問題を感じたときです。

管理会社の役割は、賃貸物件の運営を円滑にし、オーナーの収益を最大化することにあります。しかし、管理会社のサービスが不十分であれば、オーナーは変更を検討せざるを得ません。

以下に、管理会社の変更を検討するケースとして主要なものをリストアップしました。

  1. 対応が遅い
  2. 空室が多い
  3. 報告が不十分
  4. 本業に支障をきたす
  5. トラブルが生じた
  6. 管理手数料が高い

上記に当てはまれば、「管理会社の変更をすべきタイミング」といえます。それぞれ、詳しく見ていきましょう。

1-1. 対応が遅い

1つめは「対応が遅い」ケースです。

賃貸管理会社の対応速度は、賃貸経営において非常に重要です。

迅速な対応は、入居者の満足度を高め、物件の評価を向上させます。逆に、対応の遅れは、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。

【対応遅延の影響】

  • 入居者の不満増加:修繕要望への遅延対応は、入居者の不満を引き起こします。たとえば、水漏れの修繕が遅れると、入居者の生活に支障をきたし、苦情・クレームにつながります。
  • 退去率の上昇:入居者の不満が高まると、退去を決意するケースが増えます。これにより、オーナーの収益に直接的な影響が及びます。
  • 意思決定の遅れ:オーナーから管理会社に対する問い合わせに対する返答が遅いと、重要な意思決定が遅れることになります。たとえば、リノベーションの計画や賃料の見直しなど、タイムリーな対応が求められる事項において、遅延は大きな問題です。
  • 信頼性の低下:管理会社の対応が遅いと、オーナーと入居者双方の信頼を失います。これは、長期的に見ても物件の評価に悪影響を及ぼします。

オーナーは、管理会社の対応速度に注目し、必要に応じて改善を求めるか、他の会社への変更を検討すべきといえるでしょう。

1-2. 空室が多い

2つめは「空室が多い」ケースです。

賃貸物件における空室率の高さは、オーナーの収益に直接的な影響を与えます。

市場のニーズを的確に把握し、適切なマーケティング戦略を実施することが、空室率低減の鍵となります。

適切な戦略が欠けると、空室が増加し、収益性が悪化します。

【空室率増加の要因】

  • 市場ニーズの誤解:市場のニーズを正確に理解しないと、入居希望者の要望に合わない物件となり、空室率が上昇します。
  • 不十分なマーケティング:効果的なマーケティング戦略が欠けると、物件の魅力が十分に伝わらず、空室率が高まります。
  • 物件の状態:古い、またはメンテナンスが不十分な物件は、入居希望者に敬遠される傾向があります。
  • 不適切な賃料設定:周辺市場の賃料動向を無視した高すぎる賃料設定は、入居希望者を遠ざけます。適正な価格設定は、競争力を保つために重要です。

これらの要素を総合的に考慮し、オーナー視点でサポートしてくれる管理会社でなければ、変更を検討すべきといえます。

1-3. 報告が不十分

3つめは「報告が不十分」なケースです。

賃貸物件の運営において、定期的かつ詳細な報告は、オーナーが物件の状況を正確に把握するために、不可欠です。

管理会社からの十分な情報提供がなければ、オーナーは物件の実情を理解し、適切な判断を下すことができません。

【報告不足がもたらす問題】

  • 収益の詳細情報の不足:収益に関する詳細が不十分な場合、オーナーは財務状況を正確に理解し、将来の投資計画を立てることが難しくなります。
  • 市場動向の誤解:市場動向に関する情報が不足していると、オーナーは市場の変化に対応した戦略を立てることができません。
  • コミュニケーションの欠如:定期的な報告がないと、オーナーと管理会社間のコミュニケーションが不足し、信頼関係の構築が難しくなります。

オーナーが賢明な意思決定をするためには、そのために必要な情報がそろっていなければなりません。

管理会社は本来、優良な情報源となるべきであり、報告が不十分であれば、将来的にリスクとなる可能性があります。

1-4. 本業に支障をきたす

4つめは「本業に支障をきたす」ケースです。

賃貸管理会社に管理を委託する賃貸オーナーの中には、兼業大家であり、本業をほかに持っている人が少なくありません。

本業に支障をきたすことなく、兼業の大家業を円滑に実行する目的で、管理会社を使っています。

にもかかわらず、管理の不行き届きで、オーナー自身の大家業に費やす時間が増えれば、管理会社変更を検討するのもやむを得ません。

【本業への影響】

  • 時間の浪費:管理会社の不適切な対応により、オーナーが入居者との交渉に時間を割く必要が生じ、本業に割くべき時間が減少します。
  • ストレスの増加:賃貸管理の問題に直面することで、オーナーはストレスを感じ、本業のパフォーマンスが低下する可能性があります。
  • 経営判断の誤り:オーナーの注意力が分散することで、賃貸経営はもちろん、本業においても、経営上の重要な判断を見誤るリスクが高まります。
  • 信頼の損失:オーナーが賃貸管理の問題に翻弄されていると、ビジネスパートナーや顧客からの信頼を失うリスクがあります。

上記のような兆候が見られれば、本業に集中できるよう、管理会社の変更を検討すべきタイミングといえます。

1-5. トラブルが生じた

5つめは「トラブルが生じた」ケースです。

管理会社の対応によって、トラブルが生じたという既成事実は、変更の決定打となることが多いでしょう。

入居者とのトラブルが適切に解決されない場合や、法令違反が発生した場合などがあります。これらの問題は、オーナーの信頼性や物件の評価に大きな影響を及ぼします。

【トラブルの影響】

  • 信頼性の低下:入居者とのトラブルが適切に解決されない場合、オーナーの信頼性が低下し、将来のビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 評価の低下:物件の評価が低下することで、新たな入居者の獲得が困難になり、収益に影響を及ぼすことがあります。
  • 法的リスク:法令違反が発生した場合、オーナーは法的な責任を問われる可能性があります。
  • 修復コストの増加:トラブルの解決には時間とコストがかかり、これが経営に負担をかけることがあります。
  • イメージの損失:トラブルが公になると、オーナーのイメージやブランド価値が損なわれることがあります。

管理会社の対応によるトラブルは、オーナーにとって重大な問題です。

深刻性が高い場合、スピード感のある決断で、管理会社を変更する必要があります。

1-6. 管理手数料が高い

6つめは「管理手数料が高い」ケースです。

管理費用が高い場合、オーナーの利益は圧迫されます。

相場よりも高い管理費を請求される場合や、不透明な追加費用が発生する場合には、管理会社の変更を検討すべきといえるでしょう。

【管理費用の影響】

  • 利益の圧迫:高い管理費用は、オーナーの収益を直接的に減少させます。
  • 市場競争力の低下:市場相場より高い管理費は、家賃設定を高額にせざるを得ず、物件の競争力を低下させる可能性があります。
  • 不透明な費用:追加費用が不透明な場合、オーナーは不必要な出費を強いられることがあります。
  • 投資の回収期間:高い管理費用は、投資の回収期間を延長させる可能性があります。

ただし、注意点として、“管理手数料だけ” に目を奪われて管理会社を選ぶのは、おすすめできません。典型的な失敗例に陥りやすくなります。

とくに、近年では「管理手数料ゼロ」を打ち出している会社が出ています。「質の高い管理」が伴ってこそ、利益最大化できる、という前提を忘れないようにしましょう。


2. 賃貸管理会社を変更する手順

現状を鑑みて、
「やはり、賃貸管理会社を変更したい」と思ったら、以下の手順で実行していきます。

  1. 現在の管理会社との契約内容を確認する
  2. 新しい管理会社の選定を始める
  3. 現在の管理会社に解約の連絡をする
  4. 新しい管理会社と契約締結し引継ぎを行う

以下で詳しく見ていきましょう。

2-1. 現在の管理会社との契約内容を確認する

1つめのステップは「現在の管理会社との契約内容を確認する」です。

「管理委託契約書」の、とくに解約の申し入れについて、確認しましょう。

出典:国土交通省「賃貸住宅標準管理委託契約書」より作成

上記は国土交通省の標準契約書の例ですが、「3ヶ月前の申し入れ」または「3ヶ月分の管理報酬相当額の支払い」が、条件として記載されています。

また、管理会社側に重大な過失がある場合は、解約申し入れではなく、契約の解除ができるかどうか、その条件についても確認しましょう。

出典:国土交通省「賃貸住宅標準管理委託契約書」より作成

2-2. 新しい管理会社の選定を始める

2つめのステップは「新しい管理会社の選定を始める」です。

解約できる時期(例:解約通知から3ヶ月後)を見据えつつ、新しい管理会社探しに着手します。

現在の管理会社に対する不満や改善点を、明確に文章化しておくことは、新しい管理会社選びにおいて非常に役立ちます。メモ帳などに書き出しておきましょう。

新しい管理会社を選ぶ際のポイントは、後述のセクションで詳しく掘り下げますので、続けてご覧ください。

2-3. 現在の管理会社に解約の連絡をする

3つめのステップは「現在の管理会社に解約の連絡をする」です。

新しい管理会社との契約のめどが立ったら、現在の管理会社に解約の申し入れをします。

契約書に記載されている条件に従って、行いましょう。契約終了時の処理についても、契約書の記載を確認しておきます。以下は、標準契約書の記載例です。

出典:国土交通省「賃貸住宅標準管理委託契約書」より作成

2-4. 新しい管理会社と契約締結し引継ぎを行う

4つめのステップは「新しい管理会社と契約締結し引継ぎを行う」です。

現在の管理会社に解約を申し入れてから契約終了日までの期間で、新しい管理会社との契約締結と、新旧の管理会社間での引継ぎを行います。

現在の管理会社は、保管している書類や金銭(敷金など)を引き渡すとともに、賃料の滞納状況の報告を行う必要があります。

引継ぎの手順やスケジュールは、新しい管理会社と十分に相談しましょう。

また、入居者に対しては、管理会社が変更されたことを通知しなければなりません。

実際の業務は、新しい管理会社が主体となって行います。オーナーの立場では、すべての手続きが適切に行われたか、確認をしましょう。


3. 新しい賃貸管理会社を選ぶ際のポイント

新しい賃貸管理会社を選ぶ際には、以下のポイントを重点的に確認しましょう。

  1. 変更理由となった課題を確実に解決できるか
  2. 移管プランを提供しているか
  3. 現在の管理会社よりも質の落ちる点がないか

それぞれ以下で解説します。

3-1. 変更理由となった課題を確実に解決できるか

1つめのポイントは「変更理由となった課題を確実に解決できるか」です。

新しい管理会社を選ぶ際、最も重要なのは、変更の理由となった問題点を解決できるかどうかです。

再び問題のある管理会社を選んでしまうと、頻繁な管理会社の変更により、入居者に不信感を持たれるリスクがあります。

具体的な問題点を明確にし、それを解決できる“エビデンス”を確認できる管理会社を選ぶことが求められます。

たとえば、「入居者対応が遅い」という問題があった場合を考えてみましょう。

新しい管理会社は「24時間緊急対応サービスを提供している」など、迅速な対応をできる具体的な根拠のある会社を選ぶことが大切です。

「入居者がなかなか見つからない」という課題なら、募集から入居者決定までの平均日数を確認します。「平均1ヶ月」といった短期間の管理会社なら、課題が改善されることを、根拠を持って期待できます。

3-2. 移管プランを提供しているか

2つめのポイントは「移管プランを提供しているか」です。

新しい管理会社を選ぶ際には、移管プランの有無も重要なポイントです。移管プランがあることで、スムーズな移行が可能になります。

たとえば、契約書類の準備、既存入居者への通知、前管理会社との引継ぎなど、移管に必要な手順が明確になっているかを確認することが大切です。

参考までに、以下は弊社ルーム・スタイルの移管プランの説明です。

【移管プラン】
管理を委託している他社様から、当社に管理会社を変更する際のプランです。引継ぎ業務や入居者様への通知等は、全て当社が行います。
家賃滞納時は保証会社加入済の場合は保証会社の立替払いを利用し、未加入の場合は当社にて督促を行い、入居者様(連帯保証人様)からの入金確認後にオーナー様へ送金いたします。
設備トラブル時の迅速な対応の為、24時間緊急サポート等に未加入の場合はオーナー様のご負担にて弊社提携のサポートにご加入頂きます。再募集時には入居者様負担での加入となります。

3-3. 現在の管理会社よりも質の落ちる点がないか

3つめのポイントは「現在の管理会社よりも質の落ちる点がないか」です。

新しい管理会社を選ぶ際に、意外と抜けやすいのが、現在の管理会社との全体的な比較です。

現在抱えている大きな課題が解決されることは望ましいですが、ほかの面で新たな問題が生じないかも、検討する必要があります。

入居者が、「今まで提供されていたサービスが、提供されなくなった」と感じると、改悪と捉えられ、クレームの原因になることもあります。

現在の管理会社が提供しているレベルを基準に、新しい会社がこれらを上回るか、少なくとも同等であることを確認しましょう。


4. 賃貸管理会社を変更する際の留意点

最後に、賃貸管理会社を変更する際の留意点について、お伝えします。

  1. 目先だけでなく中長期的にサポートしてくれる管理会社を選ぶ
  2. 入居者への影響を最小限にする

4-1. 目先だけでなく中長期的にサポートしてくれる管理会社を選ぶ

1つめは「目先だけでなく中長期的にサポートしてくれる管理会社を選ぶ」です。

本記事の前半でもお伝えしたとおり、賃貸経営の収益を最大化させるには「質の高い管理」が大切です。

たとえば、入居率が下がったとき、してはいけないことは、ただ家賃を安くする、入居審査の基準を下げるといった目先のことしか考えていない対処です。

目先のことだけでなく、中長期的にオーナーと同じ目線でサポートしてくれる管理会社を探しましょう。

弊社ルーム・スタイルでは、質の高い管理をリーズナブルな料金でご提供しています。

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4-2. 入居者への影響を最小限にする

2つめは「入居者への影響を最小限にする」です。

管理会社の変更は、入居者にとって大きな影響を及ぼす可能性があります。

家賃の振込先口座や、緊急連絡先の対応プロセスなどが変わります。

また、入居者にとっては、自身のプライバシー(個人情報や勤務先、居住人数など)が管理会社に知られるため、頻繁な変更は精神的にも不安を生じやすくなります。

入居者が安心して住み続けられるよう、新しい管理会社と協力して、きめ細やかな対応をしていきましょう。


5. まとめ

本記事では「賃貸管理会社の変更」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

賃貸オーナーが管理会社の変更を検討するケースとしては、以下が挙げられます。

  1. 対応が遅い
  2. 空室が多い
  3. 報告が不十分
  4. 本業に支障をきたす
  5. トラブルが生じた
  6. 管理手数料が高い

賃貸管理会社を変更する手順を、4つのステップでご紹介しました。

  1. 現在の管理会社との契約内容を確認する
  2. 新しい管理会社の選定を始める
  3. 現在の管理会社に解約の連絡をする
  4. 新しい管理会社と契約締結し引継ぎを行う

新しい賃貸管理会社を選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。

  1. 変更理由となった課題を確実に解決できるか
  2. 移管プランを提供しているか
  3. 現在の管理会社よりも質の落ちる点がないか

賃貸管理会社を変更する際は、次の点に留意しましょう。

  1. 目先だけでなく中長期的にサポートしてくれる管理会社を選ぶ
  2. 入居者への影響を最小限にする

賃貸経営の順調度や収益性は、管理会社の質によって、大きく左右される現実があります。

現在の管理会社に不満や改善点がある場合、放置せずに会社変更を検討することは、前向きな打ち手といえます。

適切な管理会社を選び、賃貸経営の向上につなげていきましょう。

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