【大家向け】賃貸の湿気トラブルを解決する4ステップと予防策を解説

「部屋の湿気がひどいと入居者とトラブルになっている。スムーズに解決するにはどうやって対処したらいいかな?」
「入居者からカビがすぐ生えるとクレームが来たけど、大家の責任なの?」

賃貸に出している部屋で湿気トラブルになり、困っているところではありませんか?

自分(大家)と入居者のどちらが悪いのか判断が難しかったり、トラブルを円満に解決するにはどうすればよいか対応に困ったりしているのではないでしょうか。

賃貸の湿気トラブルをスムーズにベストな方法で解決するには、以下のステップで対処するといいでしょう。

賃貸の湿気トラブルは、大家に責任があるケースと入居者に責任があるケース、どちらの場合もあります。そのため、カビの対処をする前に、湿気の原因や責任のよりどころを突き止めてから、カビの対処をするのがいいでしょう。

大まかな責任の違いは、以下のようになります。

【賃貸の湿気トラブルの責任範囲の目安】

しかし、湿気トラブルの責任のよりどころについては素人が判断するのは難しく、自分の責任になると費用が発生することもあるので、慎重に進めていかなければなりません

また、カビはどんどん繁殖してしまうので、一刻も早くカビの対処をする必要もあります。

そこでこの記事では、今回の湿気トラブルのベストな対応方法が分かり、迅速かつスムーズに解決できるよう、以下のことを解説します。

この記事で分かること
  • 賃貸の湿気トラブルの対処方法
  • 賃貸の湿気トラブルの責任が大家と入居者のどちらにあるかの判断基準
  • 入居者に責任がある場合の湿気の対処方法
  • 大家に責任がある場合の湿気の対処方法
  • 賃貸の湿気トラブルのよくある質問
  • 今後、同じような湿気トラブルが起きないようにするための予防策

この記事を最後まで読むと、湿気トラブルの対処法が分かるだけでなく、今後同じような湿気トラブルが起きないように対策を打つこともできます。

賃貸経営をする中で、湿気トラブルはありがちなトラブルですので、今湿気トラブルに悩んでいる大家さんはもちろん、賃貸オーナーの皆さんはぜひご覧ください。

賃貸管理完全ガイド
依頼すべき理由

1. 【STEP1】専門業者に調査依頼し、湿気の原因を突き止める

湿気トラブルになったら、まずは専門業者に調査を依頼し、湿気の原因を突き止めましょう。

専門家でない個人の方が湿気やカビの原因まで突き止めるのは難しく、入居者が「掃除・換気をしていた」と主張したとしても、それが本当か分からないためです。

専門業者に依頼すると、以下のようなメリットがあります。

特に、今回のようにすでにトラブルになっている場合、責任が大家と入居者どちらにあるのかの判断が非常に重要になります。専門家に調査を依頼すると、第三者の目線からしっかりと原因の特定をしてくれるため、トラブルの早期解決・湿気の再発防止になるでしょう。

事例は賃貸物件とは違いますが、カビの調査業者に調査を依頼したことで、数千万円の損失を防げたケースもあります。

【調査業者に依頼したことで、湿気トラブルが円満に解決した事例】

ある工務店の建てた新築物件で、新築のカビがひどく、お施主様との間でトラブルになり訴訟問題にまで発展。建て替えまで検討されていました。

そこでカビ調査業者がカビの調査を行ったところ、1階部分のカビの撤去・カビ対策のみで対応できることが判明。建て替えをせずに済み、数千万円の損失が出るのを防げました。

専門業者に依頼することで、適切な湿気・カビ対策ができ、費用も抑えられ、トラブルの早期解決に繫がったのです。

カビの調査費用のおおよその目安は、以下になります。

【カビの調査費用の目安】

カビ取り業者無料~(無料見積もりを利用した場合)
カビ調査の専門業者10万円以上~

カビ取り業者が行っている無料見積もりを利用すれば、カビの調査は無料で行える場合もあります。

ただし、カビ取り業者などの無料見積もりは、カビ調査の専門業者ほど詳しい調査ではありません。上記事例のように訴訟問題に発展したり、建て替え検討など大ごとになったりしている場合は、より詳しい調査をしてくれるカビ調査の専門業者に依頼するのがおすすめです。

【カビ調査の専門業者を選ぶ際の5つのポイント】

  • カビの専門知識があるか
  • 実績が豊富にあるか
  • 建築の専門知識があるか(建築士、一級建築施工管理技士、住宅診断士、宅地建物取引士など)
  • 調査に使用する機械は、高性能なものや最新のものを使用しているか
  • 口コミ評価が高いか(悪い口コミが少ない)

安さだけを重視してしまうと、仕事が雑な業者に当たった場合、結果的に原因追及もできず二度手間になってしまったり、トラブルに発展したりする恐れがあります。

そのため信頼できる専門業者に依頼するには、上記5つのポイントを参考に選んでみてください。

湿気トラブルをベストな方法で早急に解決するためにも、トラブルの原因となっている湿気の調査は慎重に行っていきましょう。


2. 【STEP2】責任が大家と入居者どちらにあるのか明確にする

湿気やカビの調査をしたことで、湿気の原因が分かったと思います。原因が分かったら、今回の湿気トラブルの責任が大家と入居者のどちらにあるのか明確にしていきます。

責任のよりどころによって、湿気の対処をする人や費用の負担先が変わってくるため、責任がどちらにあるのか慎重に判断しましょう。

責任がどちらにあるかの判断基準は、前章で解説した専門業者の調査結果と、国土交通省「原状回復のガイドライン」を基準に判断していきます。

判断基準は、大まかには以下のように分かれます。

入居者が通常の掃除もしておらずカビが生えそうな暮らしをしていた場合は入居者の責任、入居者が日常の掃除を行い湿気に気をつけていたにもかかわらず湿気トラブルになった場合は、大家の責任となります。

例えば、
例1)備え付けのクーラーから水漏れが発生し、入居者が放置したためにトラブルが発生した場合
・備え付けのクーラーの修理や買い替えは
 →大家の責任(故障原因が入居者にある場合はその限りではない)
・水漏れを放置して発生したカビやシミなどの湿気トラブル
 →入居者の責任

例2)入居者が設置したクーラーなどから水漏れし、トラブルが発生した場合
・クーラーの修理や買い替え
 →入居者の責任
・水漏れを放置して発生したカビやシミなどの湿気トラブル
 →入居者の責任

ガイドラインの考え方を参考に責任割合を算出し、湿気トラブルの対処を進めてくださいね。


3. 【STEP3】入居者・大家の責任範囲に応じて速やかに湿気トラブルの対処をする

ここまでで、今回の湿気トラブルのケースでは、入居者と大家どちらに責任があるのか判断できたのではないでしょうか。

責任のよりどころが分かったら、湿気の被害を一刻も早く止めるために、速やかに湿気の対処をしていきましょう

入居者と大家、それぞれの責任範囲に応じた湿気の対処方法を解説していきますね。

3-1.  入居者に湿気トラブルの責任がある場合

入居者に湿気トラブルの責任がある場合、入居者自身でカビ・シミの掃除や費用負担をしてもらうことになります。

この場合、以下のように対処していきます。

【入居者に責任がある場合の湿気(カビ・シミなど)の対処方法】
  • カビやシミの掃除→入居者先導で進める
  • 設備の故障など→大家先導で進める

掃除については、入居者自身で掃除をするのか・クリーニング業者に依頼するかなど、入居者の方に決めてもらい掃除を進めてもらいます。

下図1)のように軽度のカビであれば自分で掃除できるかもしれませんが、2)のように重度のカビであれば業者に依頼する方がいいでしょう。

カビやシミの程度がひどく、そのまま湿気が進行すると

  • 建物への被害が大きくなりそう
  • 床下に水もれするなど、周りの住民へ迷惑がかかりそう

など被害が拡大しそうな場合は、一刻も早く湿気の改善が必要なため、大家先導でクリーニング業者を手配し、あとでクリーニング費用を清算するなどしましょう。

入居者自身が自分で掃除をする場合は、以下の手順がおすすめです。大家さんが丁寧に教えてあげましょう。

【入居者自身が自分でカビ・シミの掃除をする際のおすすめの掃除方法】

▼畳の掃除方法

ホコリ状の粉カビ(アオカビ)
  1. 雑巾に非塩素系のカビ取り剤をつけて、拭く
  2. 畳をしっかり乾かす
頑固な黒カビ
  1. 塩素系のカビ取り剤を畳に吹きかける
  2. 10~30分ほど時間を置く
    ※歯ブラシなどでこするとより効果的
  3. 黒カビがまだ残っていたら追加で吹きかける
  4. 黒カビが溶けてシミが抜けるまで1~3を繰り返す
  5. カビが取れたら絞った雑巾で水拭きする
  6. 畳をしっかり乾かす

おすすめの洗剤

出典:Amazon

商品名
カビホワイト カビソフト除去スプレー 300ml
価格
1,180円(税込)※2024年8月現在の価格です。
どんなカビ・シミに効果的か
  • 木材(押し入れ、フローリングなど)
  • 布団
  • マットレス
  • カーテン

※黒カビ・青カビ・赤カビ・緑カビ・白カビ、どんなカビにも対応

▼お風呂・キッチン・トイレ・洗面台・排水口などの水回りの掃除方法

お風呂
キッチン
トイレ
洗面台
排水口
など水回りのカビ
  1. カビのある部分に洗剤を添付する
  2. 30~60分ほど時間を置く
  3. カビが黒色から黄色に変色すれば効果あり。まだ黒カビのままの部分がある場合はそのまま追加で10時間ほど放置
  4. 時間をおいても変化なしの場合は1~3を繰り返す
  5. 水でしっかり洗い流し、乾燥させる

おすすめの洗剤

出典:Amazon

商品名カビ取り将軍 ジェルスプレー 450g
価格2,200円(税込)※2024年8月現在の価格です。
どんなカビ・シミに効果的か
  • お風呂の壁、床、天井、浴槽
  • キッチンの排水口
  • ゴムパッキン
  • タイル目地

※頑固なカビにおすすめ

▼壁の掃除方法

壁のカビ
  1. 水で濡らし、固く絞った雑巾にエタノールを吹きかけ拭く
  2. 表面をよく乾かす

おすすめの洗剤

出典:Amazon

商品名カビ取り侍 液スプレー 500g
価格1,700円(税込)※2024年8月現在の価格です。
どんなカビ・シミに効果的か
  • 壁(壁紙、壁面、砂壁、土壁)
  • 天井の雨漏りによるシミ
  • マットレス
  • 布団のシーツ
  • カーテン

※部屋などで使用する標準タイプ

▼モルタルやコンクリートの黒カビの掃除方法

モルタルやコンクリート
の黒カビ
  1. 洗剤をカビの生えている部分にスプレーする
  2. そのまま10~30分ほど時間を置く
    ※カビが黄色くなってきて徐々に消える
  3. カビが残っている場合はもう一度スプレーする
  4. カビがなくなるまで1~3を繰り返す
  5. 雑巾でふき取り、壁をしっかり乾燥させる

おすすめの洗剤

出典:Amazon

商品名カビホワイト カビ強力除去スプレー 300ml
価格1,480円(税込)※2024年8月現在の価格です。
どんなカビ・シミに効果的か
  • モルタルやコンクリート
  • お風呂
  • ユニットバス
  • 土壁

※頑固なカビにおすすめ

ただし、カビやシミの掃除は、健康へのリスクがあり、カビの根本から掃除するのは個人では難しいため、できればカビ取り専門業者に依頼するのがおすすめです。

退去時には別途クリーニング代が発生する可能性があることを伝えておこう
入居者が自分で掃除するか、業者に頼むのか、どちらのケースにせよ、退去時にはクリーニング代やその時相応の原状回復費用が発生する可能性がある旨を説明しておきましょう。
そうすることで、退去時に

「あの時に一度クリーニングしたのに、またクリーニング代を払うの?」

などとトラブルに発展するのを防ぐことができます。

3-2.  大家に湿気トラブルの責任がある場合

大家に湿気トラブルの責任がある場合、基本的にクリーニング業者に依頼して掃除をします。

カビが酷い場合、天井裏や壁紙の裏など、自分では見つけられない部分にまでカビの繁殖が進んでいることがあり、個人でカビを根本から掃除するには限界があるためです。

業者に依頼することで、カビに特化した清掃と今後カビが再発しないような対策をしてくれます。これ以上カビが繁殖しないよう食い止めるために、業者に依頼して専門的な清掃をしてもらいましょう

【STEP1】専門業者に調査依頼し、湿気の原因を突き止めるで、専門業者に湿気の原因を調査してもらっている場合は、そのままその業者に依頼することもできます。

他の業者に清掃を依頼する際は、以下の手順で依頼を進めましょう。

クリーニング業者に依頼する流れ
  1. 業者を探し、依頼する業者を選ぶ
  2. 業者・入居者と日程を合わせて、物件の現状確認・見積りを出してもらう
  3. 業者・入居者で日程を合わせて、清掃を進める
  4. 大家が清算をする

カビを清掃してもらう業者には、一般的なハウスクリーニング業者とカビ取りに特化した業者に依頼する場合の大きく2パターンがあります。

特にカビの程度が重度の場合は、一般的なハウスクリーニングよりもカビ取りに特化したカビ取り業者に依頼するのがおすすめです。

一般的なハウスクリーニングとカビ取り業者では、以下のような違いがあるためです。

【ハウスクリーニング業者とカビ取り業者の違い】

業者サービス内容費用目安
ハウスクリーニング業者通常のハウスクリーニング1,500円/㎡~
カビ取り業者通常のハウスクリーニング+カビに特化した清掃+防カビ対策+内装工事(業者による)2,200円/㎡~

カビ取り業者に依頼すると、一般的なハウスクリーニング業者がしてくれる清掃に加え、カビに特化した清掃と今後カビが再発しないような対策をしてくれます。さらに、業者によっては、カビで傷んだ床やカビの張替えなどリフォームまで一括で対応している業者もいます。

一般的なハウスクリーニング業者に依頼するよりも費用は割高になりますが、今後の湿気トラブルを極力なくすためにも、カビ取りの専門業者に依頼するのがいいでしょう

どのように業者を選べばいいのかは、【STEP1】専門業者に調査依頼し、湿気の原因を突き止めるの「カビ調査の専門業者を選ぶ際の5つのポイント」を参考にしてくださいね。


4. 【STEP4】責任範囲に応じて費用を清算する

入居者と大家、それぞれの責任範囲に応じて湿気の対処ができたら、かかった費用の清算をしていきましょう。

費用清算の考え方は基本的に原状回復の時と同じで、減価償却や耐用年数を加味して修繕費用を算出します。

具体的には、以下の流れで行います。

参考:国土交通省「原状回復のガイドライン」

原状回復費用について、詳しくは「原状回復で大家さんがすべきこと全7STEP|トラブル事例と対処法付き」の記事で説明しているので、チェックしてみてくださいね。

ただし、湿気トラブルはケースバイケースのため、細かい負担割合の算定まではガイドラインでも明記されていません。専門業者の調査結果や、上記ガイドラインを参考にしながら入居者と話し合いの上、負担割合を決める必要があります。

原状回復を考慮すると、入居者が100%負担する可能性は低い
このように、賃貸物件の修繕には原状回復の考え方が適用されるため、たとえ入居者に責任があったとしても入居者が100%修繕費用を負担するケースは少ないと言えるでしょう。

5.  賃貸の湿気トラブルのよくある質問

ここまでで、今回の湿気トラブルに適切に対処できたのではないでしょうか。

ここでは、賃貸の湿気トラブルに関してよくある質問をいくつか紹介します。訴訟問題に発展しているなど、よりトラブルが深刻になっている場合は、参考にしてみてくださいね。

賃貸の湿気トラブルのよくある質問
Q1.湿気による健康被害で治療費や慰謝料を請求されたらどうする?
Q2.賃貸の湿気トラブルで揉めて、訴訟に発展したらどうなる?

それぞれ解説していきます。

Q1.  湿気による健康被害で治療費や慰謝料を請求されたらどうする?

湿気により発生したカビにより、喘息やアレルギーなど健康被害を及ぼす場合もあり、治療費や慰謝料を請求されるケースがあります。

慰謝料などと聞くと、戸惑ってしまう大家さんもいるでしょうが、基本的にはここまで解説した流れと同じように対応すれば大丈夫ですよ。

具体的には、以下のような流れです。

賃貸の湿気による健康被害でトラブルになった場合の対象方法
【STEP1】専門業者に依頼し、湿気の原因を突き止める
【STEP2】責任が大家と入居者どちらにあるのか明確にする
【STEP3】責任範囲に応じて費用を清算する

このケースのように、慰謝料などを請求されている場合は、責任がどちらにあるのかがより重要なポイントになります。そのため、専門業者の調査や入居者への対応を慎重に行いましょう。

もし大家に責任があった場合は、修繕費に加えて治療費や慰謝料なども負担しなければなりません。その際は、病院の診断書など証明できる書類なども併せて見せてもらってくださいね。

Q2. 賃貸の湿気トラブルで揉めて、訴訟に発展したらどうなる?

【STEP2】責任が大家と入居者どちらにあるのか明確にするで賃貸の湿気トラブルの責任は大家か入居者かについて解説していますが、自分のケースではどちらの責任になるのか判断が難しい場合もあります。

そのため、責任の範囲について当事者だけでは解決できず、訴訟に発展するケースもあります。

なぜなら、入居者がどのような生活を送っており、どれくらいの湿気対策を行っていたのか、入居者の証言や湿気の状態から判断するしかないためです。本当は入居者が掃除を全然していなかったのに「掃除をしていたよ」と嘘の主張をする可能性もあるのです。

訴訟に発展した場合でも、責任の判断基準は基本的に国土交通省「原状回復のガイドライン」が大きく影響します。

訴訟の際にしっかり判断してもらうためには、以下のような情報があるといいでしょう。

【訴訟に発展した際にあるといい情報】

  • 専門業者に依頼した湿気・カビの調査報告書
  • 上下左右の部屋の住民などに同様の事象がないかのアンケート(できるだけ多くあると良い)

訴訟問題など事態が大きくなる前に早期解決するためにも、湿気の調査を専門業者にしてもらうのがおすすめですよ。


6.  賃貸での湿気トラブルは事前の予防が大切

ここまで、賃貸の湿気トラブルの対処方法について解説してきました。

今回の湿気トラブルについて対応できたら、今後同じような湿気トラブルにならないよう事前に対策を打つことも大事です。

予防策としては、以下の6つがあります。

それぞれ見ていきましょう。

6-1.  入居時に部屋の状況を確認する

まずは、入居時に大家と入居者の双方立ち合いのもと、部屋の状況を確認し、チェックリストを作成しておきましょう。

湿気トラブルになった際に「もともとここにはシミがあった」などと入居者に言われて、どちらが原状回復費用を負担するかのトラブルを防ぐためです。

以下は、国土交通省が公開している、入居時と退去時に部屋の状態を確認するチェックリストです。

【入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト】

出典:国土交通省「原状回復のガイドライン」P5

このようなチェックリストを活用し、入居時に入居者と一緒にチェック項目を確認することで、のちのちお互いの認識がずれるのを防げるでしょう。

部屋の状態を写真や動画に残しておくと、より効果的!
チェックリストとあわせて、入居前の部屋の状態を写真や動画に残しておくと、なお効果的です。写真や動画は映像として残るので、より部屋の状態が分かりますし、トラブルになった際の有力な証拠にもなります。
湿気でカビが生えやすい場所を重視しながら、さまざまな場所を写真に残しておきましょう。

6-2.  契約時に原状回復について説明しておく

原状回復の条件について、契約時に事前に説明しておくのもおすすめです。

先に「退去時にこのような状態になっていたら、その分は弁償してもらいますよ」という具体的な状態をあらかじめ双方で認識しておくことで、入居者も気をつけて生活するためです。

また、キレイな状態で大家と入所者双方の合意が取れるので、万が一カビが生えたり損傷したりしてからトラブルになるのを防ぐことができます。

例えば、

  • 入居者が負担しないといけないケースを具体的に明記した「修繕分担表」を作成する(図1)
  • 入居者の責任になった場合の負担の単位についてあらかじめ説明しておく(図2)

などがおすすめです。

▼大家と入居者の修繕の分担が明記されているもの(図1)

出典:国土交通省「原状回復のガイドライン」P25

また、原状回復が必要な場所によって負担する範囲を決める「単位」や「耐用年数」などの条件は異なります。

▼入居者の負担単位(一例)(図2)

負担内容賃借人(入居者)の負担単位耐用年数等の考慮
床(毀損部分の補修)原則1枚単位考慮しない
カーペット毀損等が複数ある場合は、部屋全体6年で残存価値1円となるよう負担割合を算定
フローリング原則㎡ごと
※毀損等が複数ある場合は、部屋全体
補修は経過年数を考慮しない※フローリング全体を張り替える場合は考慮する
壁・天井壁(クロス)原則㎡ごとが望ましい
※ただし毀損箇所含む一面分までの張り替え負担はやむをえない
6年で残存価値1円となるよう負担割合を算定

引用:国土交通省「原状回復のガイドライン」P26より一部抜粋

大家さんが事前にこれらの原状回復についての知識をしっかり持った上で、入居者と具体的なイメージをすり合わせておくことで「きれいにしよう」という入居者の意識も高まるでしょう。

6-3.  入居者が相談しやすいよう日頃から良好な関係を築いておく

入居者がちょっとしたことでも相談・報告しやすいよう、日頃から入居者と良好な関係を築くことも意識しましょう。

なぜなら、相談されなかったことで湿気のトラブルが悪化する恐れがあるためです。

入居者から相談されやすい環境を作るために、以下のことをやってみるといいでしょう。

【入居者と良好な関係を築けるようにできること】

  • 入居者と会った時に挨拶をし、困りごとはないかと声をかける
  • 入居者と会う機会がない場合は、チラシ(手紙)を作成しポストに入れる

自分で物件管理をしている大家さんの場合、入居者と顔を会わせる機会があるかもしれません。その際は、積極的に挨拶を交わしたり、困りごとがないか尋ねたりするといいでしょう。

また、入居者と会う機会がない大家さんも、チラシなどをポストに入れておくことで、入居者の方が意識しやすくなります。「湿気やカビで困っていることはないか」など、具体的な問いかけを入れるといいでしょう。

こちらから聞くことで、ちょっとした困りごとや気になることも相談しやすくなりますよ。

6-4.  入居者にして欲しい湿気対策を入居時に説明する

通気性の良い部屋であっても、入居者が湿気のたまりやすい生活をしていれば、当然湿気が溜まり、カビやシミになってしまいます。

入居者にして欲しい湿気対策は入居時に説明しておきましょう。

例えば、以下のような湿気対策を伝えておくといいでしょう。

入居者に事前に伝えておくといい湿気対策
・換気をこまめに行う(特に入浴後)
・お風呂のお湯を張りっぱなしにしない
・扇風機やサーキュレーターを使って空気を循環させる
・除湿剤を活用する
・エアコンや除湿機を活用する
・換気扇はできるだけ回しておく
・家具は壁との間に隙間をあけて置く
・窓際が結露で濡れたり、何かをこぼして濡れたりした場合はすぐに拭いて乾燥させる
・クーラーの故障などで水漏れをした場合は、速やかに大家に連絡する

ここでは、【STEP2】責任が大家と入居者どちらにあるのか明確にするを参考に、一般的な掃除を入居者が怠った場合に、入居者の責任になりうることをメインに具体的に提示してあげるがおすすめです。

特に湿気が高く、カビが生えやすい以下のような物件の場合は、しっかり説明をしておきましょう。

【このような物件は特に湿気がたまりやすい!】
・日差しが入りにくい
・風通しが悪い
・1階の部屋
・鉄筋コンクリート造
・標高が低い位置にある
・近くに畑や草むらがある

6-5.  建物の構造などに問題がある場合は、リフォームも検討する

【STEP2】責任が大家と入居者どちらにあるのか明確にするで大家の責任が大きいと判明した場合は、湿気がたまりやすい物件である可能性が高いため、今後も同じような湿気トラブルが起こるかもしれません。

その場合は、リフォームなども検討しましょう。

例えば、以下のようなケースがあります。

【リフォーム例】

・お風呂やトイレに換気扇を設置する
・窓を増やす
・湿気に強い床材、壁材を導入する
・エアコンを設置する

リフォーム費用はかかりますが、湿気を防ぐことは家の耐久性を高くすることにもなるだけでなく、入居者からの満足度も高くなる可能性が高いです。

賃貸経営の一番のリスクは空室が続くことですので、一度入居いただいた方にできるだけ長く住んでいただけるような環境を用意し、空室になったらすぐに次の入居者が入る状態に物件を整えておくことが理想です。

今後同じような湿気トラブルを防ぎ、物件をきれいに維持するためにも、リフォームの検討もしてみましょう。

6-6.  管理を安心して任せられる管理会社に依頼する

物件の管理や入居者の管理を、安心できる管理会社に依頼することも、湿気トラブルの予防になります。

管理会社は賃貸物件管理のプロなので、さまざまなトラブルを予防するノウハウ・トラブルを円滑に解決するノウハウがあるためです。

管理会社をお探しならルーム・スタイルがおすすめ!

「自分で物件を管理するのは大変だから、プロに管理を任せたいな」
「物件の管理や入居者のトラブルなどもお任せしたい!」

そんな方は、弊社「ルーム・スタイル」にぜひ、お任せください。

ルーム・スタイルに賃貸管理をお任せいただくと、以下のようなメリットがあります。

それぞれ解説していきますね。

おすすめの理由(1)
コールセンターによる24時間365日対応を実施!入居者の満足度を高め、資産価値を下げない

賃貸経営では、入居者からのクレームや問い合わせに迅速に対応できるかが重要になります。また、クレームに対する返事や対応次第で、円滑に解決できるか・トラブルが悪化してしまうかも変わってきます。

ルーム・スタイルでは、24時間365日対応できるコールセンターをご利用いただけ、トラブル対応のプロが適切に対応します。

「こんな時どうしよう!誰に相談したらいいの?」
「深夜のトラブル…すぐに解決したい」

入居者からのクレームや設備トラブルを迅速に対処できれば、被害の拡大を防げますよね。

おすすめの理由(2)
原状回復費など設備の補償制度あり

ルーム・スタイルの「総合管理プラン」をご利用いただいた場合、設備保証がついてきます。
1工事5万円・トータル賃料の1ヶ月まで保証しており、原状回復工事の負担を軽減することができます。

また、設備保障だけでなく家賃滞納の保証や死亡保障など、賃貸経営の心配ごととして必ずついてくる6つの保証がセットになっているので安心ですよ。

おすすめの理由(3)
コストパフォーマンスの良いリフォーム提案により賃料アップも実現できる

ルーム・スタイルでは、客付けや利益を最大化するために、最適な方法と費用でのリフォーム提案をする場合もあります。

管理のプロに物件を見てもらうことで、湿気トラブルになりそうな部分をリフォームすべきかどうかのアドバイスも可能です。その結果、物件の資産価値が向上し、湿気トラブルの予防や賃料アップが期待できます。

おすすめの理由(4)
専門家と連携しており、トラブル時にも安心・早期予防も可能

ルーム・スタイルでは、弁護士をはじめ、税理士や行政書士、司法書士などと連携しており、オーナー様の悩みに包括的に対応可能。

賃貸の湿気トラブルは、責任のよりどころを判断するのが難しくトラブルが長引くケースもあります。弁護士のサポートがあるルーム・スタイルなら、トラブルになった際も安心して対応できますよ。

入居者のニーズを熟知しているルーム・スタイルだからこそ、さまざまな方向から最適な提案やサポートを致します!

賃貸管理についてお悩みなら、ぜひルーム・スタイルにお問い合わせください。


7. まとめ

いかがでしたか?

賃貸の湿気トラブルについてどのように対処すべきか分かったのではないでしょうか。

最後にこの記事をまとめますと、

◎賃貸の湿気トラブルには、以下のステップで対処する

◎賃貸の湿気トラブルの責任は、大家と入居者どちらの場合もあるので慎重に判断して進めていくべき

◎今後、同じような湿気トラブルが起きないように、以下の予防策を打っていく

この記事を元に、湿気トラブルが円滑に解決できることを願っています。

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