賃貸の空室期間の平均は?埋まらない原因と効果的な対策をチェック

「賃貸の空室期間って、普通はどれくらいなんだろう?」

賃貸オーナーの方にとって、空室期間は気になるところではないでしょうか。

詳しくは本文にて解説しますが、賃貸の空室期間は「およそ4ヶ月」が目安です。

5ヶ月以上の空室期間が続いているケースではもちろんのこと、それ以下であっても、空室期間の短縮は賃貸経営の重要課題です。

あらためて、賃貸の空室期間が長引く原因や対策をチェックし、空室期間を減らして賃貸経営を成功させる手法を学んでいきましょう。

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1. 賃貸の空室期間の目安とは?

まず、冒頭でも触れた賃貸の空室期間の目安について、詳しく見ていきましょう。

1-1. 平均空室期間は「4ヶ月」が目安

空室期間の目安を知るうえで参考になるのが、株式会社タスが公表しているレポートの「募集期間」です。

民間住宅情報会社に公開された情報を用いて、成約物件の平均募集期間が分析されています。

下表は、本記事執筆時点での最新情報である2023年8月期のデータです。

※募集期間(Downtime)
成約した物件の平均募集期間を示します。民間住宅情報会社に公開された情報を用いて、下記の計算式で求められます。
募集期間=Average(成約日-募集開始日)
出典:株式会社タス「2023年11月 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版」より作成

分析対象とされている10都府県(東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・京都・兵庫・愛知・静岡・福岡)のうち、最も募集期間が短いのは〈京都:3.96ヶ月〉でした。

一方、最も募集期間が長いのは、〈静岡:5.99ヶ月〉です。

〈首都圏の4都県:4.27〜4.55ヶ月〉となっています。

なお、上記は2023年8月期のデータのため、「オフシーズンのデータでは?」という点が気になる方もいるかもしれません。

念のため、2023年3月期のデータもお伝えすると、〈首都圏の4都県:4.46〜4.72ヶ月〉となっており、大きくは変わらないことがわかります。

出典:株式会社タス「2023年6月 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版」

1-2. 地域や物件タイプによる空室期間の違い

株式会社タスでは「空室率TVI(TAS Vacancy Index:タス空室インデックス)」という独自指標を使って、賃貸住宅の空室率を算出しています。こちらも見てみましょう。

空室率TVI(TAS Vacancy Index:タス空室インデックス)タスが開発した賃貸住宅の空室の指標です。空室率TVIは、民間住宅情報会社に公開された情報を空室のサンプリング、募集建物の総戸数をストックのサンプリングとして下式で算出を行います。
なお、募集建物の総戸数は①募集建物を階層別に分類②国勢調査・住宅土地統計調査を用いて階層別の都道府県毎の平均戸数を算出し、両者を乗じることにより算出しています。
TVI=空室のサンプリング÷ストックのサンプリング
=∑募集戸数÷∑募集建物の総戸数
出典:株式会社タス「2023年11月 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版」

なお、本記事内では一部のみ引用します。詳細は「2023年11月 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版」より、原本をダウンロードしてご確認ください。

出典:株式会社タス「2023年11月 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版」

上図は空室率VTIの過去2年の推移を、「地域別」の切り口でグラフ化したものです。東京23区の空室率の低さと、東京市部の空室率の高さが目立ちます。

続いて、空室率VTIの過去2年の推移を、大阪府の「間取り別」でグラフ化した図表がありますので、以下に引用します。

出典:株式会社タス「2023年11月 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版」

直近半年ほどに注目してみると、1K・1DK・1LDK・ワンルームは、空室率上昇の傾向が見てとれます。

※詳細は「2023年11月 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版」よりご覧ください。

1-3. 参考:弊社の募集期間は平均1ヶ月

参考までに、弊社ルーム・スタイルの事例をご紹介すると、〈募集から入居者決定までの平均日数は、約1ヶ月〉です(専任媒介の場合)。

なぜ、平均値の4分の1という圧倒的なスピードで入居者を見つけられるのか?というご質問に対しては、次の3つのポイントが挙げられます。

  • 集客力のある自社サイトを複数所有している:自社サイトへのアクセスが月間60万PV以上あります。なかでも「高級賃貸.com」では、多数の富裕層の方や大手法人にお勤めの方が常時物件探しをされているため、掲載直後に申込みが入ることも、珍しくありません。
  • サイト掲載ノウハウに長けている:自社サイト以外の検索サイトやポータルサイトへの掲載も行いますが、一眼レフ撮影による写真や動画・パノラマ画像、文言表現などのクオリティが突出しています。常に高効果な訴求で、ユーザーを惹きつけます。
  • 有人店舗の顧客ルート・大手法人企業様とのつながり:グループ会社に客付けに特化した賃貸仲介会社を有しています。グループ会社の顧客に対して物件情報を直接ご紹介し、早期の契約を実現しています。

空室期間でお悩みであれば、こちらのご案内ページより、弊社の詳細をご確認いただければと思います。


2. 賃貸の空室期間が長くなったときしてはいけない2つのこと

賃貸の空室期間が長くなることは、悩ましい問題です。つい、短期的な対処をしがちですが、してはいけない2つのことがあります。

2-1. ただ家賃を下げるだけの対処

1つめは「ただ家賃を下げるだけの対処」です。

賃料を安くすることは、一見すると入居者を引きつける簡単な方法のように思えます。

しかし、この方法にはリスクが伴います。たとえば、賃料を下げたことで入居者が増えたとしても、メンテナンス費用は変わらず、結果的に収益が減少することがあります。

賃料を下げることで、物件の価値が低く見られるケースも少なくありません。さらに、一度下げた賃料を元に戻すのは困難で、長期的な収益性の低下につながります。

家賃を下げれば、空室期間が短くなることは事実です。しかし、それは「製品・サービスを値下げすると売れる」のと同じで、根本的な解決になりません。

経営としては、できる限り利益を最大化することが命題ですから、値下げは最終手段です。

2-2. 入居審査の基準を下げるだけの対処

2つめは「入居審査の基準を下げるだけの対処」です。

入居審査の基準を下げることも、短期的には入居者を増やす手段になり得ます。

しかし、不良入居者が増えると、他の入居者からの苦情が増えます。物件の評判を下げ、結果的に入居率の低下を招くことになります。

共用部の汚れや故障などが原因で、建物のメンテナンスコストが増加するリスクもあります。

不良入居者による家賃滞納や夜逃げ、入居者同士のトラブル、裁判に発展するケースなども考慮すると、入居審査の基準を安易に下げるのは、けしておすすめできる方法ではありません。

2-3. 「生涯の家賃収入」を増やさないと意味がない

空室対策は、短期的な入居率の向上だけでなく、「生涯の家賃収入」を増やすことを目指すべき、といえます。

たとえば、賃料を適切に設定し、質の高い入居者を確保することで、長期的な安定収入を得られます。

物件の価値を高めるための投資、たとえば設備の改善やリノベーションを行うことも重要です。

具体的にどのような対処をしていくべきか、次のセクションで解説します。


3. 空室期間を短縮する効果的な対策

空室期間を短縮するために効果的な対策を、ここでは5つ、ご紹介します。

1. 問い合わせ数を増やすために再撮影をする
2. 内見の印象をアップさせる
3. 設備を充実させる
4. 入居者のニーズを理解したリフォームをする
5. データをもとに賃料を割り出す

3-1. 問い合わせ数を増やすために再撮影をする

1つめの対策は「問い合わせ数を増やすために再撮影をする」です。

まず、問い合わせ数の母数を増やすための対策を行います。

コストをかけず、すぐ取り組めるのは「写真の再撮影」です。

現在は、多くの人がポータルサイト経由で物件探しをしているため、サイト上に掲載される写真の質によって、問い合わせ数が左右されます。

物件写真の撮り方のテクニックは、[物件写真の撮り方]などのワードでGoogle検索するとヒットしますので、確認しましょう。

「最低限、これを守るだけでも変わる」というポイントを絞ってお伝えすると、以下のとおりです。

  • 水平を正確に保つ
  • ピンボケと手ぶれをなくす
  • 青空でよく晴れた日に撮影する
  • 室内は可能な限り自然光で撮影する
  • 室内は壁を背にしてギリギリまで下がり、開口部(窓など)が入るように撮影する
  • 外観は順光(太陽を背にする)で青空を入れる

以下は、室内の撮影例ですが、2つの開口部が写真内に収まっているために、明るく広々として見えます。

外観は、青空が入っていたほうが、印象が明るくポジティブになります。

なお、技術があれば、一眼レフなどの機材によって、高品質な写真を撮影できます。

しかし、初心者の場合、一眼レフではISO感度・絞り値・シャッタースピードなどの調整が難しく、かえって質が落ちるケースがあります。

初心者でも簡単にキレイな写真を撮りやすいのは、一眼レフよりもスマートフォンのカメラ機能です。数年以内にスマホを買い換えている方であれば、まずは手元のスマホで撮影してみることをおすすめします。

3-2. 内見の印象をアップさせる

2つめの対策は「内見の印象をアップさせる」です。

問い合わせはあるものの、内見後の成約が決まらない場合は、内見時の印象に問題があると考えられます。

以下を行いましょう。

  • 共用部の掃除
  • 室内の掃除、スリッパの準備
  • 定期的な換気(嫌なニオイの除去)
  • すべての電気がつくように準備

ポイントとしては、内見者の印象は「明るいか、暗いか」という感覚に左右される面が大きいことを、知っておきましょう。

費用対効果からもおすすめできるのは、壁紙を新しく替えることです。白いクロスを貼り替えたばかりの部屋は、それだけで明るく感じます。

予算的に難しい場合は、たとえば「トイレだけ」といった部分的な貼り替えでも、清潔感をアップできます。

3-3. 設備を充実させる

3つめの対策は「設備を充実させる」です。

設備投資をするほど、空室対策になることは事実です。しかし、費用対効果も考慮しながら、ピンポイントで対策する必要があります。

敬遠される不人気の設備があれば、まずは、それらの排除から検討しましょう。

【あると敬遠されやすい不人気の設備】

  • 電気コンロ
  • 和式トイレ
  • 外洗濯機置き場
  • 和室 など

次に、あると成約の決め手になりやすい、近年ニーズが高まっている設備の導入を検討します。

【あると決め手になりやすいニーズが増えた設備】

  • インターネット無料
  • 高速インターネット(1Gbps以上)
  • 宅配ボックス
  • エントランスのオートロック
  • TVモニター付きインターホン
  • 防犯カメラ
  • 温水洗浄便座
  • 追い焚き機能
  • 独立洗面台
  • 遮音性の高い窓
  • BS・CSアンテナ
  • 浴室換気乾燥機
  • 24時間利用可能ごみ置き場
  • 各部屋エアコン付き

参考:全国賃貸住宅新聞「在宅勤務増で無料インターネットの要望急上昇【人気設備ランキング2022】」人気設備ランキング2021 コロナ下急増編

入居者に喜ばれる設備は、それぞれの物件のターゲット層によって異なります。

内見の営業を実際に行っている仲介会社からヒアリングできると、理想的です。どのような設備がピンポイントで成約率を高めるか、重要なヒントが得られるでしょう。

3-4. 入居者のニーズを理解したリフォームをする

4つめの対策は「入居者のニーズを理解したリフォームをする」です。

入居者のニーズを把握したうえで、設備のアップデートだけでは対応しきれないと判断した場合には、リフォーム・リノベーションを視野に入れて検討します。

ただし、無計画にリフォームへ投資してしまうと、「資金回収ができない」といった窮地に陥るリスクがあります。

「コストパフォーマンスがよいリフォーム」を行うためには、知識ある会社にお願いすることが重要です。

どうやってリフォーム業者を見極めればよいか?というのは難しい問題ですが、賃貸管理を委託している管理会社との信頼関係があれば、まずは管理会社に相談しましょう。

管理会社は、リフォームに関して専門的な知識と実績があるため、リフォーム会社選びを任せるのが理想です。

3-5. データをもとに賃料を割り出す

5つめの対策は「データをもとに賃料を割り出す」です。

できる限りの空室対策を行ったうえで、それでもなお解決しない場合には、家賃を下げるという選択肢を検討しましょう。

ただし、その場合も感覚で「これくらい」と下げるのではなく、データをもとに、相場に適した家賃を割り出して考えることが大切です。

弊社ルーム・スタイルには、適切な賃料を割り出すデータがありますので、無料査定をご利用ください。

出典:「早く」「高く」貸すならルーム・スタイル!|ルーム・スタイル


4. 賃貸の空室期間をなくすためには管理会社選びが重要

最後にお伝えしたいのは、「管理会社選びの重要性」です。

ひとつ、データをご紹介します。

出典:株式会社タス「2023年11月 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版」

2023年8月期 首都圏賃貸住宅指標では、東京23区の募集期間が〈4.55ヶ月〉でした。

一方、同じ東京23区をメインエリアとする弊社の平均募集期間は〈約1ヶ月〉です(専任媒介の場合)。これだけで3ヶ月以上の家賃分の収益に差が出てしまいます。

管理会社を選ぶ際には、募集期間の長さについて確認し、客付け力に強みのある会社を重視してください。

首都圏の物件であれば、ぜひ弊社にお問い合わせください。長年の実績に裏打ちされたノウハウをもとに、お役に立てるアドバイスをご提供できるかと思います。

こちらのお問い合わせページより、ご連絡いただければ幸いです。


5. まとめ

本記事では「賃貸の空室期間」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

  • 賃貸の空室期間の平均は「4ヶ月」が目安
  • 地域や物件タイプによっても目安は変わる
  • 弊社の募集期間は平均1ヶ月

賃貸の空室期間が長くなったときしてはいけない2つのこととして、以下をお伝えしました。

  • ただ家賃を下げるだけの対処
  • 入居審査の基準を下げるだけの対処

空室期間を短縮する対策として、次の5つを解説しました。

  • 問い合わせ数を増やすために再撮影をする
  • 内見の印象をアップさせる
  • 設備を充実させる
  • 入居者のニーズを理解したリフォームをする
  • データをもとに賃料を割り出す

賃貸の空室期間をなくすためには管理会社が重要となります。空室期間が長引いている場合には、管理会社の変更も含めて、検討を進めていきましょう。

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