賃貸経営の6大リスクとは?確実に収入を得るための回避策も紹介

不動産を貸して家賃収入を得られる夢の賃貸経営。
不労所得という言葉に、一度は「やってみようかな」と憧れる人は多いのではないでしょうか。

「賃貸経営で働かずに儲けたい!」
「引越しで自宅が余るから、いっそ賃貸経営でも始めてみようか」
「節税対策になるっていうし、相続した土地にアパートを建てようかな」

始めたいと思うきっかけはさまざまですが、

「うまい話ばかりじゃないよね…」「リスクもあるのでは?」

やってみたいと思う反面、そんなふうに賃貸経営のリスクに不安を覚える人も多いでしょう。
結論から先にいえば、賃貸経営には「収入減少」につながる、次のようなリスクがひそんでいます。

上記のリスクを回避し、経営が成功するかどうかは、「始める前にどれだけ対策できたか」にかかっているといえるでしょう。いきおい始めてみたものの、リスク対策を怠ったせいで、儲けが出ないどころか赤字になるのでは、経営する意味がありません。

逆に考えれば、賃貸経営を始める前にどんなリスクがあるかしっかり認識して対策しておけば、成功への一歩が踏み出せるということですね。
確実に収入を得たいと考えるなら、対策が後手に回らないよう、前もってリスク対策をするのが肝心です。

そこでこの記事では、賃貸経営にひそむリスクとその対策を解説します。

【この記事を読んでわかること】

・賃貸経営にひそむ6つのリスク
・賃貸経営リスクへの対策

賃貸経営では、手元にある資産をどう使うのか、活用方法に「賃貸経営」という選択肢を選んで良いのか、良い面だけでなく、リスクを踏まえて検討する必要があります。

この記事を読んでいただければ、賃貸経営のリスクと対策を把握した上で、「賃貸経営ができるのか」という判断が可能になりますので、ぜひ最後まで目を通してくださいね。

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1. 賃貸経営にひそむ6大リスクとは

賃貸経営には、「働かずにお金儲け」というメリットの反面、失敗につながる上記6つのリスクがひそんでいます。

賃貸経営の「失敗」とは何かというと、一般的には「利益が出ないこと」を指すでしょう。
単純にいうなら、「家賃収入-費用」の数字がゼロ以下となれば、経営する意味がありません。

失敗しないためには、

・家賃収入が減ること
・費用が増えること

のどちらも対策する必要があります。

そのため、これらのリスクに対応するには、賃貸経営を始める前に取り組むことが大切です。賃貸経営を始めてからでは遅いのです。

事前にリスクの内容を把握し、「どうすれば収入が減らないようにできるのか」的確な対策を取ることが必要になります。

なお、賃貸経営と一口にいっても、経営する物件は、一棟マンションやアパート、一戸建てや区分マンション(1〜数室のマンション)といくつかに分かれますよね。

不動産の種類は違っても、備えるべきリスクの基本は共通していますので、ご安心ください。


2. 賃貸経営のリスク1|空室リスク

賃貸経営において最初に気を付けたいのは、借り手が付かない可能性「空室リスク」といえます。

なぜなら、賃貸経営における収入源は、物件の借り手である賃借人が支払ってくれる「家賃」だからです。

いくら物件を貸し出しても、借り手がいないのでは家賃が入ってきません。すなわち、賃貸経営を失敗させないためにはまず、空室を出さないための対策が重要となります。

主な空室の原因には、以下のものが挙げられます。

物件が原因の空室リスク・物件が駅やスーパーなどから遠く不便な場所にある
・物件の設備が他の物件と比べて低スペックである
入居者トラブルの空室リスク・入居者同士のトラブルが発生して退去される
・入居者トラブルが発生して退去される

それぞれ、対応する回避策をご紹介していきますね。

【空室リスクの対策】
・所有(予定)の物件と周囲の競合物件を徹底調査する
・入居者トラブルを起こしそうな入居者を事前に避ける

空室リスクについては、「不動産投資最大のリスク【空室リスク】とは?原因と対策を簡単解説」でより詳しく解説しています。
目安となる空室率など、より詳しく空室リスクの原因や事前対策をお伝えしていますので、ぜひあわせてご覧ください。

2-1. 回避策1|所有(予定)の物件と周囲の競合物件を徹底調査する

まずは、所有(予定)の物件と周囲の競合物件を徹底調査しましょう。

事前に物件をしっかり調べ、経営準備を進めておかないと、「想定よりも全然入居者が見つからない」ということになるからです。

具体的には、次のようなステップで進めていきましょう。

調査のステップ
1.最低限の家賃設定を確認する
2.所有物件と競合物件の需要(アピールポイント)を洗い出す
3.どんな入居者層がターゲットになるか予想し、ターゲット層を決める
4.競合物件と差別化する魅力をプラスする
5.適切な家賃を設定し、設定家賃で経営できるかシミュレーションする

所有物件のスペックや、立地条件、競合物件との関係性を踏まえた上で適切な家賃を設定できれば、空室は生まれにくくなるでしょう。

具体的な進め方は「収益を最大化する賃貸物件の家賃の決め方|計算方法と理想の家賃」にて解説しています。
空室リスクを防ぐためにどのように家賃設定を行ったら良いか知りたい方は、ぜひあわせて参考にしてみてください。

2-2. 回避策2|入居者トラブルを起こしそうな入居者を事前に避ける

入居者トラブルを起こしそうな入居者を事前に避けることも重要です。

具体的には、人柄を中心に入居審査を行うことが対策となります。なぜなら、トラブルの発生率は、入居者のモラルによるところが大きいからです。

「人に迷惑をかけない」「きちんと家賃は払うのが当たり前」「規則は守るべきもの」という考えが根底にある人は、トラブルの原因にはなりにくいでしょう。

電話応対や内覧時も含め、次のような言動をする人は要注意といえます。

【要注意な入居希望者を見分けるポイント】

・言葉遣いが荒く、雑な物言いをする
・約束の時間に無断で遅れたり、来なかったりするなど自分勝手な行動が目立つ
・基本的な挨拶がない
・物件に土足で上がろうとする

仲介業者や管理会社に依頼し、入居希望者とのやり取りを任せる場合は、どんな言動をしていたか注視しておくよう頼んでおきましょう。

このとき、管理実績がしっかりとした賃貸管理会社を選んでおけば、要注意な入居希望者を見抜く勘も鍛えられているはずですので、リスクを最小限に留めてくれる可能性が高まります。

私どもルーム・スタイルは累計口コミ1,616件、オーナー様・入居者様両方から高い満足度を得ている賃貸管理会社です。入居者トラブルを回避したい方は、ぜひ私たちにご相談くださいね。


3. 賃貸経営のリスク2|老朽化リスク

築年数が経つと、多かれ少なかれ、建物は劣化してしまいます。
老朽化リスクとは、築年数の経過により発生する、物件や設備等の劣化に関するリスクです。

【主な老朽化リスク】
・借り手の需要が低下する
・修繕に費用がかかる

経年劣化によって物件の見た目が損なわれれば、内覧に訪れた人に良くない印象を与える可能性もあり、借り手の賃貸への意欲を削ぐ場合もあるでしょう。

また、老朽化は空室リスクにつながるだけでなく、修繕費という経費の必要性を生むことでも、収入を減少させてしまいます。
「住宅にどのような修繕が必要になるのか」の参考に、一般的な例をご紹介しますね。

修繕部位修繕の検討例取り替え時期の目安
屋根全面葺き替え10~15年ほど
外壁全面的な修繕15~20年ほど
サッシ取り替え20~30年ほど
給・排水管全面取り替え20年ほど
水回り設備取り替え10~20年ほど

出典:(一財)北海道建築指導センター「住まいの健康、チェックしてますか?

「新築の時は常に満室だったのに、空室だらけになってしまった…」「予想していなかった修繕費の出費で、収支バランスが狂った!」

新築から賃貸経営を始めた場合は特に、新築ではなくなったときの需要の低下や修繕トラブルを考慮しておく必要があります。

3-1. 回避策1|施工品質の高い建築業者に依頼する

対策としてはまず、施工品質の高い建築業者に依頼することが大切です。始めにしっかりした建物を建てておけば、劣化スピードを抑え、修繕費がかかりにくくなる期待が持てるからです。

劣化の進度は、業者独自の工法(建て方)はもちろん、サビに強い屋根や、紫外線に強い塗料など、使う建材などによっても異なります。

建築費用との兼ね合いもあり、劣化しにくいグレードの高い建材ばかりを選ぶのは難しいかもしれませんが、建築費の安さだけでなく、劣化への強度も踏まえて、相談・見積もりの依頼をしてみてください。

良心的な業者であれば、施主の意向を組んで、修繕費のシミュレーションをしてくれる場合もあります。

3-2. 回避策2|修繕計画を立てて修繕費を積み立てる

修繕の計画を立てて費用概算し、家賃収入から積み立てられるよう、整えておくことも大切です。修繕費のやりくりがうまくできないと、修繕が追いつかず、需要の低下を進めてしまうからです。

戸建て経営など、比較的小規模な賃貸経営を行う場合は、先にご紹介したような「修繕箇所と修繕の周期」を確認して、いつどのくらいの費用が必要になるか算出しましょう。

あらかじめ計画しておけば、「あわてて業者に修繕の見積もりを頼む」ということも少なくなります。また、複数社に相見積もりすることで、費用対効果を比較し、コストの節約もできるでしょう。

必要な金額を修繕費として分けておくことで、「予定外の出費で収支が狂った」という事態も防ぎやすくなりますね。

アパートやマンション物件は「長期修繕計画」を立てておこう

アパートやマンションは修繕工事の規模やかかる費用も大きいため、長期的な修繕計画を立てることが推奨されています。

長期修繕計画とは、およそ12〜15年を目安に行う、大規模修繕工事のための計画です。
工事内容は、主に次のようなものが一般的となります。

【1回目:築後12~15年】
・外壁の補修や塗り替え
・屋根防水の補修や修繕
・建具の点検や調整

【2回目:築後24~30年】
・外壁の補修や塗り替え、除去
・屋根防水の補修や修繕、新設
・傷んだ金物類の取り替え
・耐用年数の経った設備の取り替え

【3回目:築後36~45年】
・これまでの工事内容
・給排水管の取り替え

【長期修繕計画の例(単位:万円)】

出典:国土交通省:「民間賃貸住宅の計画修繕   ガイドブック


4. 賃貸経営のリスク3|家賃下落リスク

家賃下落リスクとは、家賃が賃貸を始めた当初よりも下落し、収入減少につながるリスクをいいます。

家賃下落リスクの主な原因として、次の2つが挙げられます。

老朽化が原因の家賃下落リスク・築年数の経過により建物の評価が下がる
賃料減額交渉による家賃下落リスク・サブリース契約で賃料減額交渉をされる可能性がある

築年数の経過によって建物が老朽化すると、その分家賃が安くなる可能性があります。

実際に、三井住友トラスト基礎研究所の調査によると、築3年から11年目にかけての家賃の下げ幅が大きく、指数換算するとおよそ2%のマイナスになっています。

出典:株式会社 三井住友トラスト基礎研究所「Report 経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由
(アットホーム株式会社のデータを用いた2001~2011年の理論賃料指数の築年数ごとの平均数値)

また、賃貸経営を検討中の方には、「サブリース契約をするつもりだから、家賃は補償されるし大丈夫」と考えている方もいるかもしれませんね。

しかし、これは契約当初の家賃を保証するものではありません。
「空室があっても家賃を払う」という保証です。

そのため、老朽化や空室率の上昇などにより、保証される家賃の金額が下がる恐れもあります。

「新築でなくなったから、家賃が大幅に下がってしまった」
「ずっと定額家賃が入ると思っていたのに、途中で減額されてしまった」
「収支バランスが狂ってしまった」

老朽化にしても、サブリース契約にしても、当初家賃だけで収支計算をしていると、家賃の減額による収入減少で経営に打撃を受ける可能性があるのです。

4-1.回避策1|家賃下落を見込んだ収支計画を立てる

リスクへの対策として、家賃下落を見込んだ収支計画を立てておくことをおすすめします。

家賃の下落を予想して収支予定を概算しておけば、「出費に間に合わない」と慌てる事態を減らせるからです。

どれくらいの下落を見込んでおくかは、先に紹介した三井住友トラスト基礎研究所の調査結果を参考に、2%程度の下落率を見込んでおくのが無難でしょう。

物件を選ぶ際、家賃相場が高い新築に目を引かれることも多いですが、「将来的に大きく下落するかもしれない」といったん立ち止まり、収支のシミュレーションをすることが大切です。

4-2.回避策2|複数業者の契約内容を比較する

サブリース契約による家賃下落リスクへの対策は、1社ではなく複数業者の契約の内容を比較検討することが重要になります。
サブリース契約と一口にいっても、提供されるサービスについて、業者ごとに違いがあるからです。

特に賃料見直しに関して、

・将来的に値下げをする場合の下限額はいくらか
・過去の賃料値下げの実績はあるか(あればいくら下がったのか)
・賃料見直しの周期はどのくらいか
・賃料が一定金額で保証されるのはいつまでか

を必ず確認しましょう。

その他の項目も確認して総合的に一番条件の良いサブリース業者と契約しよう

以下の内容もチェックして、総合的に一番条件の良いサブリース業者と契約することをおすすめします。

・保証される家賃(家賃保証率)はいくらか
・家賃保証率は物件や物件所在エリアにて適切なものか
・広告費や原状回復費などの費用は誰が払うのか
・上記以外にオーナー負担の費用はあるか・家賃の免責期間はどのくらいか


5. 賃貸経営のリスク4|家賃滞納リスク

「家賃滞納リスク」とは、家賃の支払いが滞ることで収入が減少してしまうリスクです。

一般的には、3カ月以上の滞納で初めて「いつまでに支払ってください」と催告し、期間内に支払いがない場合にようやく、賃貸借契約の解除ができると認識されています。

つまり、滞納があっても、1〜2カ月ほどの期間であれば、入居者を退去させることは困難です。その間は家賃収入がないという状況を招くことになります。

2. 賃貸経営のリスク1|空室リスク」で解説した、入居者トラブルの一つともいえますね。

回避策としては、「2-2.回避策2|入居者トラブルを起こしそうな入居者を事前に避ける」で説明したように、モラルの低い入居者と賃貸借契約を結ばないことが重要です。

そのほかの対策には、次の2つがあります。

【家賃滞納リスクの回避策】
・家賃保証会社を利用する
・契約時に伝えられるようルールを整備しておく

5-1. 回避策1|家賃保証会社を利用する

家賃滞納リスクを回避するには、賃貸借契約時に家賃保証会社を利用することをおすすめします。

入居者が家賃を支払えないとき、立て替え払いをしてくれるからです。

簡単にいえば、入居者が滞納しても、オーナーには家賃が入ってくる仕組みですね。保証料は入居者が支払うため、オーナーに大きなデメリットはありません。

入居者以外に保証してもらうという手段には「連帯保証人を立てる」という方法もありますが、契約当初の資力が、いざ保証してほしい場合にも確保できている保証はありません。

入居者の滞納分を立て替えてほしくても、連帯保証人にも支払い能力がない場合があるため、家賃保証会社を利用するオーナーは増加傾向にあります。

しかしながら、家賃保証会社が倒産しないとも限りません。どの保証会社を選ぶかは、資本力や会社規模の大きさといった信用力が目安になります。

また、国の創設した「家賃債務保証業者制度※」の登録業者であるかも判断材料となるでしょう。

出典:国土交通省「家賃債務保証業者登録制度 

5-2. 回避策2|契約時に伝えられるようルールを整備しておく

賃貸借契約時に、滞納に関するルールを入居者に伝えられるよう、規則周りを整備しておくことも重要になります。

滞納する人のなかには、滞納した場合のデメリットを知らず、あまり重要視していない場合があるからです。「滞納したらこんな困りごとがある」と警告しておけば、支払いが遅れないように心がけてもらえるかもしれません。

そのため、賃貸経営を始める前に、

・滞納時の退去までの期限(催告はいつされるのか)・遅延損害金の設定(遅延した場合の負担はどうなるのか)

上記のような、滞納した場合の措置をまとめておきましょう。

「強制退去まで居座ってやろう」というモラルの低い人もいますが、たいていの人は、

「何ヶ月滞納すると退去の催促が来てしまう」「遅れたらその分、負担が増える」

と心配し、滞納しないよう気を付けてくれるでしょう。


6. 賃貸経営のリスク5|金利上昇リスク

金利上昇リスクとは、賃貸物件の購入にローンを活用した際、金利が上昇することで、月々の借入金利息(費用)が増えて収入減少につながるリスクをいいます。

例えば、不動産投資ローンを返済期限30年で組んだ場合の例を計算してみましょう。
借入当初の金利は3.0%、11年目から3.5%に上昇したときは、以下のような違いがあります。

借入金額当初金利の返済額金利上昇後の返済額差額
1)5,000万円21万802円22万6円+9,204円
2)1億円42万1,604円44万14円+1万8,410円

借入額が大きいと、金利が上昇した際の差額も増えます。
そして、11年目から30年までずっと3.5%の借入金利息となり、それぞれの計算式は次の通りです。

1)9,204円×20年×12カ月=220万8,960円
2)1万8,140円×20年×12カ月=441万8,400円

借入金額金利上昇後20年分の増額の合計
1)5,000万円220万8,960円
2)1億円441万8,400円

上記の通り、0.5%の上昇が数百万円の負担増につながります。

現在の日本では低金利が続いていますが、今後の金融政策によっては、金利が上昇する可能性もあるかもしれません。

賃貸経営は長期的な借入が主となるため、将来的な金利変動を踏まえて、金利上昇リスクに対策しておくことが重要です。

6-1. 回避策1|自己資金の割合を多くする

金利上昇リスクを抑えるには、自己資金の割合を多くすることをおすすめします。
先にお伝えした通り、借入金額が少なければ、金利上昇に伴う利息の増加も少なくなるからです。

一般的に自己資金割合は、物件購入に必要な資金の30%以上が妥当とされています。自己資金割合が小さければ、少ない金額でリターン(利益)を得る「レバレッジ効果」を狙えるからです。

しかし、金利上昇リスクを抑えるならば、ローンはなるべく借りない方向で検討してみましょう。自己資金のみで物件購入をすると、リスクを解消できますよ。

6-2. 回避策2|低金利の不動産投資ローンを利用する

リスクを抑えるには、低金利の不動産ローンを利用することも重要です。将来的に金利が上がっても、もとの金利が低ければ、総合的な負担額は少なくて済むからです。

自己資金割合を増やすことがリスク低減の近道ですが、現実的に考えてどうしても自己資金を増やせない人もいるでしょう。

各金融機関の金利を比較し、なるべく金利の低いローンを選んでくださいね。


7. 賃貸経営のリスク6|地震や火事などの災害リスク

6大リスクの最後は、地震や火事などの災害リスクです。

賃貸物件が災害の被害に遭い、一部損壊してしまったり、倒壊してしまったりした場合、下図の通り、収入に大きく影響します。

【災害リスクが収入減少につながる例】
・家賃減額を求められる場合がある
・家賃収入がなくなる(賃貸借契約が解除となる)
・修繕費が必要になる

まず、自然災害で賃貸物件の一部が損壊した場合、賃借人は損壊の程度に応じて、家賃の減額を求めることが可能です。

地震で水道管が破裂したり、部屋が水浸しになってしまったりすると、住居としての使用に支障をきたすため、その分を減額するということですね(民法第611条1項)。

また、倒壊したり、一部損壊でも住居として使えなかったりする場合は、賃借人は賃貸借契約の解除ができます(民法第611条2項)。

そして、オーナー側には、部分的な損壊など修繕が可能であれば、賃借人の求めに応じて、賃貸物件の修繕を行う義務があるため(民法第606条1項)、まとまった修繕費用が必要になるでしょう。

当然ながら、地震により警戒区域指定されて避難指示が出るなど、やむをえない状況であれば、賃借人に賃料を払う義務はありません(住めるのに自主的に非難した場合は要判断となります)。

出典:国民生活センター「自然災害の被害にあったら 賃貸住宅をめぐるトラブル

災害に遭わなくすることは不可能ですが、収入減少を軽減するためには、リスクの低減や災害に遭った場合の対策をしておくことが重要です。

7-1. 回避策1|ハザードマップを確認する

災害リスクを少しでも小さくするには、所有物件のあるエリアのハザードマップの確認が大切となります。

災害の危険性の低い物件選びに役立てたり、災害が起こり得るという認識を高めることで、災害時の対応がスムーズにできたりするからです。

ハザードマップとは、市町村などのエリアやその周辺で、地震や大雨、台風といった自然災害が起こった場合の危険性・危険度の情報をまとめた地図です。

物件所在地のマップを確認し、

・どのような災害が起こった場合に危険があるのか・どの程度の範囲で危険性が予想されるのか

を確認しましょう。

まだ物件を購入する前なら、ハザードマップでなるべく危険の少ない物件を選べますし、すでに物件を保有しているなら、起こり得る災害の備えにつながります。

ハザードマップと一口にいっても、いくつかの種類に分かれます。下記の8種類があり、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」から検索が可能です。

洪水ハザードマップ堤防決壊による浸水
内水ハザードマップ雨水により下水道の処理が追いつかない場合の浸水
ため池ハザードマップため池の決壊による浸水
高潮ハザードマップ高潮による浸水
津波ハザードマップ津波による浸水
土砂災害ハザードマップ大雨の際のがけ崩れ、地すべりなど
火山ハザードマップ火山の噴火による噴煙、土石流など
地震防災・危険度マップ地震の際の揺れやすさ、被害の可能性、液状化の危険など

7-2. 回避策2|保険に加入する

災害に備えて、保険に加入しておくことも重要となります。

自然災害で賃貸住宅が損壊した場合、修繕費が必要であったり、家賃収入の減少が想定されたりするからです。

備えに役立つ保険は、主に次の3つです。

・火災保険:地震を除く自然災害・盗難・身近な事故などで発生した、建物や家財の損害を補償をしてくれる
・地震保険
地震が原因で発生した建物や家財の損害を補償してくれる
・家賃保証特約を付けた保険
:建物や家財に損害を受けて発生した家賃の損失額を補償してくれる

上記の通り火災保険のカバーする範囲は広いですが、地震を原因とする火災や山崩れなど、地震の発生で建物や家財に損害を受けた場合は補償してくれません。
地震の備えもしておきたいなら、地震保険も合わせて加入するほうが良いでしょう。

また、火災保険や地震保険では「物件が損壊したから家賃が入らなくなった」という場合の補償はないため、家賃の損失にも備えたいときは、家賃保証特約を付けるのがおすすめです。


8. リスクに対処できないなら売却がおすすめ

ここまで、賃貸経営の6大リスクを解説してきました。

結論から先にいうと、賃貸経営を始める前にこれらのリスクに対処できるかどうかが、賃貸経営の成功を左右するでしょう。

厳しい言い方になりますが、

「リスクなんて可能性に過ぎないでしょ? 対処しなくても何とかなる」
「けっこう面倒くさそうだな…。できそうな対策だけ取り組もう」

上記のように、リスクを楽観視していたり、リスクへ対処する覚悟がなかったりする場合は、賃貸経営に向いていません。リスク対処の手間を惜しむ人は避けたほうが無難です。

使っていない土地やマンション、戸建てなどを、なるべく手間をかけずに有効活用したいなら、売却がおすすめといえます。

「対処できるか不安…」という人は、何もかもをオーナー一人で行う必要はありません。大切なのは、リスクを知って「対処するぞ」という心構えです。

例えば、エリアの需要を調べるのはなかなかに大変ですが、オーナーとして大切なのは、「エリアの需要の調査が必要である」と認識し、行動できるかどうかです。

実際に調べるのは、プロに任せても良いということですね。

「エリアの需要を調査して、競合との差別化を図りたいのですが、どのようなプラス要素を付けると良いでしょうか?」と相談できることが重要といえます。

「経験豊富な管理会社に依頼して、相談しつつ、しっかりリスクに対処していこう!」「自分なりに勉強しつつ、専門家の知識やノウハウも頼りながら頑張ろう!」

自分の持てる手段を講じて、真摯に賃貸経営に向き合うことができるなら、たとえ今経営の専門知識や経験を持っていなくても、確実に収入につながる経営ができる可能性は高いといえるでしょう。


9. まとめ

この記事では、賃貸経営の6大リスクとその対策を解説しました。

賃貸経営の6大リスクは、次の通りです。

  • 空室リスク
  • 老朽化リスク
  • 家賃下落リスク
  • 家賃滞納リスク
  • 金利上昇リスク
  • 災害リスク

上記のリスクに対応できそうにない場合は、すでにお持ちの不動産は売却して現金化したほうが良いでしょう。専門家の力を借りつつ、賃貸経営リスクに対応できるなら、失敗しない経営ができる可能性が期待できます。

賃貸経営を始める前に、まずはリスクの内容を知り、対処できるかどうかを判断してみてくださいね。

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